隣国同士の王子様は仲がいい(〆)

…アルにぃ……(さんざん一人で泣き続け、少し腫れぼったくなった目のままベッドの中に潜り込んではポツリと今会いたい人物の名を溢して)

ジェルに会えないぉ…(兄に撫でて貰いながらも、泣き止もうとしているが、上手くいかず、そう零して、行きたいのに、泣き止まない以上行けず)

「第一王子に第二王子も。今日は父の国葬に参列していただきありがとうございました！」(参列者への挨拶を一通り終えた相手と歳の変わらぬジェルミアの兄で亡き国王の次男のルファが相手とその兄の姿を見つけ駆け寄っては参列への謝辞を伝えて)

｢ルファ王子、この度はお悔やみ申し上げます｣(泣いている自分の代わりに兄が対応しては、そのまま相手の家族は大丈夫なのか尋ねていて)

「えぇ。突然の事で勿論戸惑いとかは母も兄も自分もありますが、今のところは…ジェルミアが今日ずっと部屋から出てこないくらいですかね」(相手の兄からのお悔やみの言葉に会釈を返し、家族の心配をしてくれる言葉に苦笑いしながらも家族一同の戸惑いは共通であると素直に伝えつつ、何だかんだ父親に一番懐いていた弟のジェルミアが朝から一切部屋から出てこないとも伝えて)

おれ、じぇるのへや、いく…(少しずつ泣き止んでは、相手の兄、ルファと自分の兄の話を聞いては、相手が心配だからこそ、相手の部屋に行くと伝えては、自分の兄から離れて)

「わかった、使用人に言えばすぐに通してくれる筈だ…ジェルミアのこと頼んだよ。アルベルト」(相手を敬愛し極秘に婚約も済ませている弟程ではないが歳の近い事もありそこそこ仲の良い相手が弟の元へ向かうと言ったため頷いてはまだ城内は人をあまり通さないようにはしているが相手が理由を言えばすぐに通してくれるように話は通していると相手に伝え、相手に弟を頼むと友として兄として伝えて)

うん、ありがとう、ルファ(ルファから話を通してあると聞けば、嬉しそうにして、「俺だってジェルミアの兄ちゃんだもん、任せてよ」と言い、すぐに相手の部屋へと急ぎ、城内へ入るための扉の前にいた使用人に相手に会いに来たと伝えれば、すんなりと通してもらい。そして、相手の部屋に着くと軽く身なりを整えてからノックをして、「ジェルミア、来たよ」と声を掛けて)

っ…アル、にっ…(相手と会いたいと願っていたのは間違いないが、相手の声が聞こえてくれば嬉しさと腫れぼったくなってしまった目のままでは会いたくないという不安な気持ちで心と頭の中がごちゃごちゃになってしまい。それでも相手に会いたい気持ちは変わらぬ事から少し急ぎ気味にベッドから降り、服を正す間もなくドアの方に駆け寄ってはそのままドアを開け目の前にいた相手の胸元に抱き付いては必死に相手の名を呼びながらもその声は独りきりの部屋で散々泣き続けたことで少し枯れ気味になっており、そのまま抱き付いた相手の胸元で嗚咽を漏らして)

昨日は一人で頑張ったな(出てきた相手に抱きつかれては、嬉しさを感じつつ、枯れ気味の声を聞いては、その頭を優しく撫でながら言い)

ん…(相手の優しい頭撫でに相手の胸元に顔を擦り付けるように頷いては暫く相手の身体に抱き付いたままでいて。幾ばくかをその場で過ごした後、漸く少し落ち着いてきたのかゆっくりと離れるも、赤く腫れぼったくなってしまった目を相手に見られたくなくて俯いたままで「ね、アル兄…俺のこと、ベッドに運んで、ギュッてして…」とねだって)

いいよ、今日はいっぱい甘えて(相手の言葉に笑顔で引き受ければ、相手の手を握りつつ、優しくベッドに連れていき、そのまましっかりと抱きしめたまま、頭を撫でてあげていて)

(相手の腕の中に囚われ、頭を撫でられれば父を喪った寂しさは完全には消えないものの幸せな気持ちは増えてきており、すりすりと相手の胸元へ再び顔を埋めて変わらず相手に顔を見られぬようにとしていて)

ジェルも、いっぱい泣いて疲れただろ？
俺もいっぱい泣いちゃったし、少し寝ない？(相手の髪を撫でていれば、安心からか眠気が襲い、そう提案しつつ、相手を抱き締めたまま、ベッドの中に入り)

うん…そぉする(相手からの添い寝の誘いに頷き同意しては相手に抱き締められたままベッドの中に潜れば、相手の心地よい体温にすぐにウトウトとし始めれば「アルにぃ、隣、一緒…」とあっという間に睡魔に襲われたのか眠たげな声色で呟いてはそのまま眠りについて)

眠そうなジェルも可愛い(眠そうな相手が可愛く見え、くすくすと笑いながら、可愛いと呟いて、相手の額にキスをしてから、眠りについて)

んぅ…アル、にぃ、俺のこと、傍で見てて、ずっと…(相手のキスに緩く頬を緩ませながら微睡みの奥底に意識を沈めたまま寝言を呟き、泣き腫らした顔を相手に見せまいとしていたのが嘘のように相手の身体に両手足を絡ませ使用人たちが夕食を持ってきた合図としてノックをしているそのときも眠っていて)

んん…(自分は相手を抱き締めしたまま、気持ちよさそうに眠っていたが、扉のノックで目を覚ますも、相手に両手両足を絡ませられているため、相手の寝顔を見ていて)

…アルにぃ、すき…(相手が自分の寝顔を見てるとは知らぬまま幸せな表情を浮かべつつ相手への愛の言葉を寝言で呟きながらモゾモゾと身体を動かし無意識に相手の腕だけに抱き付く姿に変えつつ抱きつきがやや甘いのか相手が動けばすぐに外れる程度になっていて)

…ちょっとだけごめんね(寝ている相手に抱きつかれている状態になれば、抜け出せそうだと思い、そう言って抜け出しては、扉を開けて料理を机に運んでもらい、使用人が部屋を出ていったと同時に見たことの無い食材が使われている料理に目を輝かせていて)