隣国同士の王子様は仲がいい(〆)

…ジェルミア、ちょっと待ってて、すぐ戻るから(相手の我儘にどうしようか考えて、相手に待っててと伝えると部屋を出て行き、急いで向かったのは両親の部屋で。ノックして中に入ると、自分の婚約者を相手にして欲しいと言えば、両親は困った顔をして)

(相手が部屋を出てしまい、言われた通りに待ってはいるものの、相手の事を困らせてしまったのかと思い、相手とお泊まりの時に一緒に眠ったり、相手に抱かれる前まできていたベッドに寝転がり、身体を丸めて)

(隣国の王である相手の両親から連絡が来た時には何事かと思えば末子を婚約者にしてほしいと相手から願われたのだと告げられ目を丸くして。今では王位継承のために頑張っているとお目付け役から連絡は貰っていたものの、現状では長く国政に携わっている長男か既に伴侶となる女性を娶っておりそのお腹に世継を宿させている次男、その2人のどちらかになりそうな現状、であれば元問題児でもある末子には隣国との国交強化のためにも相手の婚約者とするのが相応しいと考え至ったものの、今すぐに公表すれば末子が王位継承から完全に外れたと国内外に知られてしまい、それはあまり宜しくないと踏み「ジェルミアをアルベルト王子の正式な婚約者とするのは構わない、ただし此方の王位が受け継がれるまではこの事実をお互い公表はしない事が条件」と伝えて)

…！はい、承知しました
お忙しい所すみませんでした(自分の父は、相手の父から聞いた条件を、そのままに伝えた上で、自分が本気ならば何も言わないが、後継を作れない以上兄に即位させると言われ、相手と婚約できるのならと頷いて、了承してくれた両親に、頭を下げて部屋を出て、自室へ戻り)

…アルにぃ…(相手が部屋を出てから数分、たった数分ではあったものの、相手のことが頭から離れずにいて、相手の匂いの残るベッドに横になったまま布団をギュウを握り。それからまた少ししてドアが開く音が聞こえ誰か来たのかとそちらへ視線を向け)

ただいま、ジェル(自分の部屋に戻ると、ただいまと言いつつ、相手の寝転んでいるベッドに座り、「ジェルミア、大事なお話あるんだけど、聞いてくれる？」と尋ねて)

…うん、なぁに？(相手がベッドに座り大事な話があると言われればコクリと頷いて身体を起こして)

ありがとう、じゃあ話すね(相手が頷いて、起き上がって聞く体勢になってくれると、先程父に自分の婚約者について話したこと、相手の父と自分の父のそれぞれに出された条件のことを話して、「ジェルは俺の婚約者になってくれる？」と尋ねて)

…でも、それ…アル兄が王様になれない、ってこと…？俺が赤ちゃん、出来ないから…(相手から告げられた言葉は良くも悪くも衝撃的なもので。相手の婚約者となれる代わりに相手は王位を継ぐ事が出来ない、薄い可能性として自分が自国の王になれれば良いのだろうが、それでも相手がこれまで頑張っていたのを知ってるが為に眉は下がり、悲しさが声色に乗りながら呟きを溢し。自分にとって相手は頼りがいがあり、とても優しく、それでいて立派な王様になれるよう努力をしている最高の兄のような人。そんな相手が自分のせいで、自分が身籠れないから、それだけの理由で王様になれない、それは嫌だ、婚約者になれるのが嬉しいのに、悲しみで溢れてしまいそうで相手の胸元に顔を埋めるように抱き付いては「アル兄、王様になるの、諦めないでよ…俺、子ども作るためなら他に奥さん作られても良いのに…」と声にも潤みが乗りながらどうにか相手の王位継承の道を模索して。勿論、側室に関しては自分の国で昔の王様が複数名囲い、側室の子を正妻との子として養子に迎えたりしていた過去があったのを知ってるが為ではあるが、相手の国でどうだったかなんて考える余裕はなく)

！…ずっと、王様になれるように頑張ってきたけど、ジェルと結婚できるならって、覚悟決めて諦めようとしたのに…(自分が王になる為に頑張っていたのを小さい頃から見てきた相手だからこそ、自分が王になれない事を嫌がる気持ちがわかり、相手の頭を撫でながら、小さく謝罪して。相手の国の昔の王について知る由もなく、側室について言われると、それなら自分も王位につけるかもと思ってしまい、「俺だって王様になりたい、諦めたくないよ…」と悲しげに呟いて)

アル兄…俺、婚約者になれるのは嬉しいんだよ？でも、俺のせいでアル兄が王様なれないのは嫌だよ…(相手の悲しげな声にギュッと相手の服を掴みながら相手と婚約の関係になれることは嬉しいと伝えつつも相手があれだけ頑張ってたのに自分の存在のせいでなれないのだけは嫌なのだと告げて。せめて相手に王位継承の可能性を、自分はどうなっても良いから…そんな思いを良くも悪くも抱いてしまえば元々の行動派の血は善は急げと騒ぎ立ち、相手の服から手を離しては相手に抱き締められていないのを良いことにバッとベッドから降り立ってそのまま部屋を飛び出しては記憶を頼りに相手の両親の居そうな部屋へと駆け出して行き)

そうは言っても＿って、ジェル！？(相手の言葉に、仕方ない事だと言っている途中で相手が勢いよく立ち上がり、部屋を飛び出せば驚いて、突然の事にポカンとしてしまい。相手が行動派である事は知っており、もしや両親のとこに行ったのではと過ぎり、慌てて相手を追うように両親の部屋へ向かい)

…失礼します、アルに…アルベルト王子の事で王様にお願いしたい事が。何卒、お…私との婚約の代償での王位継承権剥奪の件、撤回してください！(相手の両親の部屋、昔に父親に何度か連れてきて貰ってその後で相手と会ったりしていたその部屋に辿り着けばノックをして軽い声かけをしてから遠慮をせず扉を開け、普段の相手への呼び名で伝えかけたそれをあくまでも王への直言として呼び直しては自分との婚約のせいで相手が王様になれる可能性すらを消すのだけはやめて欲しいと相手の両親に直接懇願して深く頭を下げて)

「…後継を作れない以上、アルベルトを即位させる訳にはいかない。王族である以上、この血を絶やす事は出来ないのは理解してくれ、ジェルミア王子」(突然やって来た相手に少し驚いて、深々と頭を下げてまで自分が王位継承剥奪を撤回するように頼まれると、父は申し訳なさを感じつつも、後継が出来ない以上はどうしようもないのだと伝え。自分も遅れはしたが両親の部屋に着くと中に入り、「やっぱりいた！…お父様、お母様、後継を作るため、側室を用意し、その子を養子にすれば、問題はなくなるはずです。もう一度、自分に王位継承権をください」と提案をした後、自分も頭を下げて頼み)

…もしアルベルト王子の本妻の子でなくてはならないなら、自分が側室扱いでも良いです！父は条件に自分を本妻とするよう言った訳ではないですよね！？(相手の父からはやはり後継問題を理由に断られてしまい、それならばと相手にも提案した条件を告げようとした矢先、相手の声が聞こえそちらを振り向けば自分を追いかけてきたらしき相手が自分よりも先にその条件を告げられ相手が頭を下げる姿に目を丸くしていたが、バッとまた相手の両親の方へと視線を向ければ自分の胸に手を当て、自分の扱いを本妻以下の存在に落とされても構わないと平然と告げてはこれでもダメならと相手の両親の返答を待たずして「仮にこの国が側室を娶るのを禁じてるのなら、自分は子を宿す手術を受けます。遠国で人体を用いての実験は行われてないし、母体となる身体へ高度な危険性が伴うものの術式は実際にあると聞いてます…それを受けたって良い！」と自らの身体への危険性すらも省みない宣言を告げ、自らがどうなっても構わないからこそ相手の王位継承権復活の願いを告げて)

「ジェルミア王子はそう言っているが、お前はどうなんだ？」
…危険が伴う以上、出来ることなら受けて欲しくないです(相手が手術を受けると言い出せば、驚いたが、父にどうなのかと聞かれ、素直に答えると、母が「側室の方はこちらで決めます。その代わり、必ず子を作りなさい」と言い、父も仕方ないと言いたげな様子を見せつつ、「此方としても、ジェルミア王子に危険を犯して欲しくないんだ、側室を用意し、その子を養子としろ。そうすれば王位継承権を戻してやろう」と言うと、嬉しさから緩んだ表情で「それで構いません。ありがとうございます」と言い)

ありがとうございます！(自分の扱いをどうされても良い、それは相手の両親を説得するための言葉ではあったものの本心でもあり、それが無事に通じたのか、側室の子を養子とすることが相手の王位継承権の復活条件となり相手にも王様になれるチャンスが舞い戻り、頬を緩めて感謝の言葉を伝えて改めて深く一礼し。そしてゆっくりと相手の方へ顔を上げては相手の両親の前であることを忘れるほどに相手にギュッと抱き付いて)

ジェルもありがとう、俺の為に動いてくれて(相手が抱きついてくると、優しく頭を撫でながら、自分が王位継承権を再び得られるようにと動いてくれた事が嬉しく、そのお礼を伝えて。父は「わかっているだろうが、くれぐれも王位を継ぐものが決定するまでの間、公の場で婚約関係にある事を明かすなよ。それがあちらの条件だからな」と厳しめの口調で伝え)

はいっ！(相手からの感謝の言葉に嬉しさから頬を緩め、抱き付いた身体に頭を預けていれば相手の父からの厳命にコクリと頷いて返答をして。そして相手に「アル兄、行こっ」と無事に相手にチャンスが出来たことに満足したのか、相手に部屋に戻ろうと促して)

そうだね、じゃあお父様、お母様、失礼します(相手の言葉に頷くと、相手を離すと手を握り、一礼してから部屋を出て、自室へ向かい)

(手を繋いだ相手と共に特に何事もなく部屋へと戻り、扉が閉まったのが音で確認出来た瞬間、奏上した時から無意識に気を張り続けていたのか、相手の腕に少し脱力するように抱き付いては「良かったぁ…これでアル兄がまた王様目指せる…」と嬉しそうに呟いて。勿論、相手の婚約者となったからには恐らく自分はもう自国の王位を継ぐことはほぼ不可能なのだろうが、それでも相手さえ王様になれれば良い…そんな考えを抱いていて)