隣国同士の王子様は仲がいい(〆)

(/特にないので、飛ばしてもらっても大丈夫です！)

婚約者いるならそう言ってくれりゃいいのに…(寝ようと思っても上手く寝付けず、ただ寝転んだまま、悲しげにそう呟いて)

(/了解しました！主様もご希望など有りましたら積極的に仰ってくださいね！)

(相手が会ってくれなかったという衝撃の日から数日、お目付け役に相手の方から連絡があったかを幾度と無く問うもその答えはいつも無い、と言うものでしかなく、相手に会いたい、その想いが日に日に増していき。しかし、相手に会えないが故にその想いが限界点を突破してしまい、また前にしていたように相手へコッソリ会いに行こうと決意して。そう決意さえしてしまえば行動まではあっという間で相手国の王城内へ入れる配達人を呼び、自分と最低限の着替えだけを持って荷物の中にて息を潜めて相手の元へ向かわんとし)

(/はい、何か思いつき次第、ご相談させていただきますね！)

…(相手に会わないと決めてからというもの、無理やり仕事を詰め込んでおり、食事も部屋で摂っており、偵察や会合などの時以外はほぼ籠りっきりの状態で、何度も執事から相手に会わなくていいのかと聞かれるも、会わない、会いたくないの一点張りで)

(相手国の王城に配達人が荷物を届けに向かい、王城前を通過し城内へと向かい「失礼致します、本日分のお届けに上がりました」と伝えて。そして相手執事が対応してくれる最中、やや大きめの荷物の１つに関しては「こちらジェルミア王子からアルベルト様へ直接渡してほしいと言い伝えられておりまして、良ければアルベルト様の所へお目通し叶いませんでしょうか？」と相手執事に願い出て)

｢…王子が対応してくださるかわかりませんが、かしこまりました。こちらです｣(自分に会いたいと言われると、少し考えては最近の様子からどうかわからないが、相手からと聞けば少しは聞いてくれるかもと思い、配達人を通すことにして、部屋へと案内し)

「失礼致します、アルベルト様。スィクーロ配達屋です。ジェルミア王子よりアルベルト様へ直接お渡ししてほしいとお預かりしたお荷物をお届けに上がりました。お荷物も大きいのでお部屋の中へ運び入れて宜しいでしょうか？」(相手へと届ける荷物を運ぶ許可を貰い、台車にそれを載せ執事の案内で部屋まで向かい。そして部屋の前、ドアのそばに歩み寄れば軽いノックと共に中にいるらしい相手へと声が届くように声掛けをして)

ジェルから？…ちょっと待ってろ(部屋で仕事をしていれば扉がノックされ、執事なら適当に追い払おうと考えていたが、相手からの荷物と聞けばそうもいかず、すぐに仕事を切り上げ、扉まで行くと開け、その大きな荷物を見ては、｢随分と大きな荷物だな。ジェルがいたら隠れそうだ｣と相手のことを想えば自然と微笑みながら言い)

「ジェルミア王子から直接お渡しするよう荷物をお預かりする際に言い伝えられてますので」(相手の微笑みながらの言葉にニコリと微笑みを返しつつそう伝え。勿論、これは嘘ではなく段ボール箱の中に隠れる王子から直接頼まれた事だからこその真実で。その後台車を駆使して相手の部屋の中へと段ボール箱を運び入れては「それでは私はこれで失礼致します」と最敬礼と共に伝え部屋を後にしてそのまま王城を後にして)

…なんだろう(配達人が去っていくのを見送ってから扉閉め、部屋に運び込まれたダンボールを見ては不思議そうに呟きながら、開ければ相手がいて、驚きと同時に会いたくなかったと思ってしまい、｢！…ジェル、なんでこっそり来るんだよ。ダメって言っただろ｣と言い)

だって、アル兄に会いたかったんだもん！(暗い箱の中に箱の蓋が開かれ眩しさで目を細めていたが、相手の声が聞こえてくれば漸く会えたという嬉しさから改めて視界に相手の姿を捉える事が出来ればその実感はより強まって文句のような口調でそう言い返しつつ相手の身体に抱き付いて)

！…あーもう、せっかくジェルから離れようって、頑張ってたのに台無しじゃん(相手に抱きつかれ、会いたかったと言われ、相手には婚約者もいるのにと思うものの、やはり好きだからこそ嬉しく、頬を緩ませながら相手を抱き締め返して、無意識に｢やっぱ好き…｣と呟いて)

…ねぇ、なんで俺から離れようとしてたの？(相手の胸元に頬を擦り寄せていたが、相手の言葉の意味が気になってしまって好きと呟かれた声も聴こえてしまい、一瞬問い返しが遅れてしまったが、オズオズと相手の方へ視線を上げてそう問いかけて)

…だって、俺がいたら、絶対ジェルは俺のとこ来るだろ
そしたら、俺が奪ってるみたいで婚約者に悪いじゃんか(相手に離れようとした理由を聞かれれば、相手の城の中庭で見た光景を思い出し、むすっとしながら言い、それに付け加えるように小さく｢それに、婚約者と仲良くしてるとこなんか見たくないし｣と言い)

…？俺、婚約者なんて居たこと無いよ？(相手から自分の婚約者に悪いから会わない、婚約者と仲良くしている姿を見たくない、そんな理由を言われたものの、何故自分に婚約者がいると思われてるのかが理解できずに小首を傾げながら婚約者の存在はいないと嘘偽り無く告げた上で「それに仮に俺に婚約者居たとしてもアル兄といるのを嫌がる婚約者なんて嫌い」と相手と離れるつもりは毛頭無いのだと不満げに付け加え相手の胸元に顔を埋めて)

え…じゃあ、あの女性は？楽しそうに話してただろ？(相手の様子から、いないというのは本当なのかとわかり、付け加えられた言葉に嬉しくなるものの、ならばと中庭で見た女性について尋ねる表情は不安げで)

女性…？女性…あ、もしかして中庭を案内したあの人？あの人はただの城にお仕事に来てたお客さんの娘さんなだけ(相手からの更なる問い掛けに相手の胸元に埋めてた顔を上げれば不安そうな相手の表情が見えて。今まで見たこと無いようなその表情に驚きつつも相手の言う楽しげに話してた女性の記憶を思い返して。そこで漸く相手が来たのに会ってくれなかった日に対応した女性のことを思い出してはその説明をして。その上で「まぁ、好きですとは言われたけど、俺はあの人に興味無かったから断ったし」と告白はあったもののフったのだとあっけらかんと付け加え)

そっか…よかった(相手が告白を断ったと聞けば、本来なら喜ぶべきではないのかもしれないが安堵した表情になり、相手をぎゅっと抱きしめて、女性より自分を選んでたことが嬉しく、相手の頬にキスをしては、｢ずっと俺といてね、ジェルミア｣と言って、相手に会わないように、考えないようにと無理をしていたが、相手の言葉で安心したらしく、眠ってしまい)

ん…当たり前でしょ？(相手に抱き締められながら頬への口付けをされればずっと一緒にいてほしいという相手からの願いの言葉に当たり前だと微笑みながら返して。その後で自分の身体を抱き締めたままソファーで眠ってしまった相手の様子を見ては起こしてせめてベッドで寝ようと提案しようかと思うも、安心したような熟睡をしている相手の姿を見ていると起こすのも忍びなく、静かに相手の腕の中に囚われたままでいたものの相手の温かな体温にあてられて眠気に襲われ、そのまま自分も眠りに就いて)

ん…あ、寝ちゃったんだ(それから数時間後、目を覚ましては自分の腕の中で眠る相手を見て、微笑みながら頭を撫でて、｢ヤキモチ妬いたのに、俺の勘違いだったんだな｣と独り言呟いて)

んぅ…へへ、アルにぃ…(相手に頭を撫でられモゾリと頭を擦り寄せては寝ぼけ眼で相手を見上げればフニャリとだらしない笑顔で相手の名をやや舌足らずに呟いて)