匿名さん 2022-12-30 12:35:51 |
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なんとなく、ねぇ…
(全てを見透かしたような目をして相手を見る。口角は微かに上がっていて、シトリンの目も薄くなっている。自分が触れる度身じろぐその動作に「ここ、触られるとくすぐったいですか?」とわざとその箇所に触れてみる。擦ったりなぞったり、いろいろと試す。目線は角の方に行っており「その角も触っていいですか?」と問う)
つ、角…?
(耐えていた擽ったさが、少し甘く感じたタイミング、聞かれた問に、曖昧にうん…、なんて答える。角と尾に興味を持っているのだろうか、触りたがる其の好奇心に、ふわりと心が少し浮く。特別感を感じる。全て見透かされた様に、心が丸見えな様に感じた其の表情。自分が何者かも忘れてしまいそうで、悪魔という生き物という意識が薄れてしまいそうで。そんな、自分でも分からなくなった感情を他所に、角に来る手を待った。)
気になって、駄目ですか?
(聞きながらもう手は角の方に伸びていて。返事を聞いて、ゆっくりの角を触る。「どんな感覚ですか?」と声を潜めて耳元で聞いてみる。今自分は特別な存在に触れているという背徳感と優越感が混じった感情をもう抑えられてないのか、少し恍惚とした顔を浮かべてしまう。少し強くしたり弱くしたり、力加減しながら角を触る。その手つきは優しさを感じられて)
、くす、ぐったい…
(優しい手付きに安心する、何方も、神経の通った急所。其の部分を触られる、命の危機でもある。けれど、どうやらそんな事は無さそうで。唯、強弱を付けて触れられる角に神経が集中する。何処か楽しそうで、艶めかしい。そんな刺激に少し耐えながら相手を見れば、ドキリと心が鳴った。)
くすぐったいんですね
(この答えに満足そうにしながらも手は止めない。角とか尾なんて神経とか通っているだろうし、下手したらきっと急所にもなり得る場所だ。それを触らせてくれるなんて、どんだけ俺に心許してるんだか、と相手を見る。彼も意識しているのが丸わかりでまたぞくりとした。「質問、続けますね」と次は「どこに住んでいるんですか?」と世間話の延長のような質問をして)
住んでるとこ、ない、
(野宿をしている、基、他の人の家で寝ることが殆で、自分の住処などなかった。あわよくば今日は彼の家で寝られるかな、と思う様な、そのレベルだった。そう伝えるも、手付きに魅せられた事を、途切れ途切れの文が証明していた。少しの優しく触る手付きが焦れったい。彼がそんな風に触っていない事など百も承知だが、動く尾はそんな事実を無視し、強請る様にするりと手に絡んだ。そんな無意識な行動に、気づきもせず)
住所不明、という事ですか?
(彼がそんな状況に置かれているなんて想像もせず、目を丸くして固まってしまう。手が自然と角から離れ、ふらついてしまった体をギリギリの所で支える。育った環境が恵まれていたのか、家がないなんて生活を考えられずに、額に手を当て深いため息をついてしまう。「嘘でしょ」と呟く。思わず素が出てしまった事も気にならないくらいに動揺している)
…汚いから、嫌い…?
(ふらつく相手を見て驚く。何がいけなかったのだろうか。必死に頭を回して考えた末、きっと、自分の家も無いような自分は汚いのだろうと思った。其れは精神的にも、物理的にも。動揺する彼の部屋を見るに、かなりの潔癖症な可能性は捨てきれなかった。心は読めない。だから、何を考えているか分からない。分からないから疑問を持つ。ふらつく相手を見て、少し俯いた。悪い事を、してしまった気がした。)
汚いなんて思う訳ないじゃないですか
(心配そうに聞くそのか細い声に否定をする。「家がないと言う事実に驚いただけです」とそのまま思ったことを述べて。「まず汚いと思っていたなら、俺触りませんよ」とさっきまで触れていた部分に目をやる。潔癖な所があるのは認めるが、それは仕事柄の所もある。「では、日頃どうやって過ごしていたんですか?」と聞く)
…ふらふらしてた。ご飯、探して。
(そう簡潔に答える。空腹、というものは必ずしも起こるもの。それはこちらも変わらず、お腹は空くのだ。唯少し食事が違うだけで、何も人間とは変わらない。唯相性が良ければ3日は空かなかったり、悪ければ数分で空いたり。それだけ。今日だって探していた、お腹が空いていた。だからふらふらしていた。それが答え。答えているうちに少し思う。住所不明、に後退りして空いた間がどうしても少し遠く感じる。彼はどうしてこんなにも質問してくるんだろう。少し疑問に思いながらも、唯、一歩も動かず、次の質問を待った。終わりなんて、気にしていなかった。)
ご家族さんとか、頼れる人などは居ないんですか?
(淫魔とはいえ血筋の繋がった者とかは居るだろうと考えて上記のことを聞く。ご飯探してふらついていた、なんて普通の生活では考えられない。食事が取れないほど困窮していたなんて、と正直言葉を失いかけるが、なんとか言葉を紡ぐ。今の状況だけでも保護対象にはなる、が人外と言うのが公になったら彼に危害が及んだり、不安材料の1つになってしまう、それだけは避けたい。そのあとハッとして「お腹空いてますよね、何か嫌いなものはありますか?」と慌てた様子でキッチンの方へ向かう)
親は…、ここにはいない、
(キッチンに向かった彼へ言う。親はいない。兄弟もなし。自立する年になったら自然と合う回数も減るもので。懐かしい、なんて考えながら、嫌いなものは無いと告げる。正直、どれも同じ味。お腹は少し膨れる。でも、彼のその優しさに肖って、言わないことにした。機嫌を損ねたくないし、出してくれるだけでも感謝しなければ。ありがと、なんて伝えて、キッチンから戻る彼を待った。)
そうなんですか…
(頼れる人が1人でもいたら、気持ちだって楽になるだろうと思ったけど、と考えているうちに彼はずっと1人だったということに気づいてしまう。その事実に胸が痛くなり、思わず手で押えていた。嫌いなものはないと聞き、とりあえずはオムライスとかでいいかなと作り始める。15分くらいしたら、オムライスとサラダを相手の目の前に置く。「味の保証はしませんけど、良かったらどうぞ」と促す。)
…、ん、美味しい。
(両手を合わせ、一礼。目の前に出された湯気の立つオムライスを一掬いして、口に運ぶと、ケチャップライスとタマゴが良く合っていた。ご飯の方にケチャップを混ぜるなんて、よく考えるなぁ、と、知ったときは思っていたのを覚えている。ふわふわとして飲み込みやすく、サラダも繊維がしっかりしていて美味しい。随分と洋風、合わせてくれたんだろうか…。唯の思いつきの予想を頭に並べ、平らげた皿にスプーンとフォークをおき、また、両手を合わせて一礼。美味しかった、ありがと、と相手の方を見て告げた。)
よかった、意外とこれでも料理はできるんですよ
(美味しいと聞いて安心したような顔をする。友人とかには料理を披露したことはあるが、それは気心知れている相手だからこそあまり気を張らないが、今回は初対面、しかも心を惹かれかけた相手だからこそ緊張してしまう。「おかわりとかどうです?ありますよ」と促してみる。相手の細い体を見ていたら心配になってしまった)
おかわり……、
(もう一つ、食べられるという事だろうか。そう促す相手の言葉をオウム返しする。お腹は満たされていない。オムライスで、完全に満たされるには、あと一つは必要だろうか。まだある、そう告げているし…。少し考え、ふと思う。「君は、食べないの…?」教わった名前も言わずにそう問う。彼も、お腹が空いているかもしれないと思った、)
その顔はまだ欲しいってことですね
(呟く声と表情から読みとって、空いた皿を手にまたキッチンに戻る。「俺は食べましたからね」なんて言ってみるけど、相手が食べているのを見てお腹すいたのか、少し考えて「やっぱり俺もなんか食べましょうか」と苦笑いをして、2人分を料理をする。10分くらいでまた同じようなオムライスを前に差し出す。自分も席に着いたところで「俺の名前、呼んでくれないんですか?」と相手を試すような目をして)
名前……、
(何故呼ばなかったのかは分からないが、何となくだ。目の前に出されたオムライスを頬張りながら、呼んでみようか、なんて考えた。「優希、」そう、呟くように呼んでみる。いい名前、なんてぼーっと思いながら、減っていくオムライスを見つめた。彼のは、減っているだろうか。少し二人で食べられる事を嬉しく思いながら、ちらりと相手の皿を見た。)
…っ、次からそう呼んでくださいよ、ぜひ
(オムライスを頬張りながら自分の名前を呼ばれて、思わず顔を背ける。あまりの可愛さにニヤてしまう顔が隠せない。ある程度見せれる顔になって、上記のことを言う。結構大食いのタイプで、しかも一口が大きい。でも小さい頃から教わってきたのか、育ちの良さを感じられる食べ方をする。相手をちらりと見ては、ひとくち小さいな、なんて思いながら)
…ふふっ、うん。
(相手が少し照れたのか、背かれた際の耳は心なしか赤く感じた。そのことが少し可笑しくて、面白くて、少し可愛くて、つい頬が緩んでしまう。相手は少し大きく口を開け、されど礼儀正しくオムライスを口へと運ぶ。こんなところに住んでいるような地位の人間。さぞ育ちは良く、食事のマナーに関しても強く言われてきたのであろう。着々と、皿とスプーンのぶつかる音が増えていく。カツ、そう音がして、ついにオムライスの欠片も無くなった皿。目の前で手を合わせ、有り難みを、9文字で表した。)
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