匿名さん 2022-12-28 19:47:12 |
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…うん、おはよう
(まだ彼が隣に居る、ひとりじゃないという安心感からくしゃりと笑い、よく眠れたと頷いて。疲れが取れ随分と軽くなった上半身を起こすと両手を上げて伸びを。そこでようやく自分が寝ていた場所が彼の部屋だと気付く。きょろきょろ、見慣れないものも多かった彼の部屋を見渡せば)
あはは、あんまり片付いてないから、僕の部屋。
ここも好きに出入りしてくれていいからね。
( 辺りを物珍しそうに見渡す相手には苦笑して。何故なら、魔法の本などが床に置かれたままだったり、机の上も片付けられていなかったりとそんなに綺麗な部屋ではないからだ。この部屋も好きに出入りしてくれて構わないと伝えると、上半身を起こして今から何をしようか考え。)
(彼の言葉には頷いて了承の意を。ベッドから飛び降りると先程から視界にちらついていたせいで、気になって仕方がなかった机上に置かれた本を数冊手に取り、ぱらぱらとページを捲る。殆どの本は細かな文字がびっしりと並べられており、子供の自分にとっては難しいものばかりだった。つまらないと顔を顰めるも、その手に取った中に一冊だけ、絵や写真が沢山使われている本を見つける。これだったら自分でも読めるだろうし――なにしろ面白そうだ。表紙に「植物図鑑」と書かれたそれを両手で抱え、彼の方へ身体を向けて)
ルミエ、これみてもいい?
もちろん。
クロスと僕が会ったあの場所で、薬草や野菜なんかを栽培してるんだけど、その本には色々お世話になったよ。
( 相手が興味を持った本を見て頷く。植物図鑑はこの森で生活をするときに真っ先に手に入れた本だ。元々薬草栽培なんかに興味があったため、色々な知識をこの本から授かった。その他にも食べられる草や、危険な草などの見分け方も書いてあり、ここでの生活に役に立っている。)
(彼から快く許可を得られたので床に置かれた魔法書の隣に腰を下ろせば、はやる気持ちを抑えきれずに早速表紙を開く。簡単な文字しか読めない自分でも、カラフルな写真や分かり易い説明のお蔭でするすると内容が入ってきた。随分と気に入ったようで、夢中になって読み進め)
そのうち字も教えてあげよう。
そしたら、もっと本を読んだりできるからね。
( 夢中になって本を読み進める姿に、字が読めればもっと色々な知識を身に付けることができるだろうと思う。そのうち字も教えてあげようと相手に伝えながら、暫く本を読ませてあげようと自分もそっと近くの魔法書を手に取り読み始め。街におりたときに、古本屋にいつも立ち寄って手に入れる本たち、世の中にはまだ自分が知らない知識があるとワクワクできる。明日、街に行ったら彼と本屋に行くのもいいかもしれないと思い。)
(こうして本と一対一で向き合うことなんて過去に一度もなかった。そのため今のような時間は新鮮で、ぐいぐいと本の世界へと飲み込まれていく。途切れることのない集中力で一通りのページに目を通し、全て読み終えたころには夕焼け色だった空は真っ黒に染まっていた。ふと彼の方を見ると、自分と一緒に本を読んでいたらしい。読み終えた植物図鑑片手に彼の背へ回り込んで、一緒になって魔法書を覗き込みつつ)
――ルミエ、おもしろかった!
お、読み終わったかい?
おもしろかったならよかった。
( こちらも結構集中して本を読んでいたのか、相手が後ろにきて覗き込む相手に気づき。微笑みながら相手の頭を撫でると、読んでいた本を閉じ、窓の外も暗くなってきたことに気づけば、夕飯の用意でもするかと立ち上がり。「お腹すいてるかい?」 と相手に尋ねて。)
うん、おなかへった。よるごはん?
(空腹かと問われれば頷いて肯定の意を。昼間食べたトーストはとっくの昔に消化されたらしく、空っぽになった腹部へ軽く手を翳す。彼と共に立ち上がり、夕食の準備のためキッチンへやってきた。ここで一度相手の顔を見て「なに食べるの?」と)
うん。
パンと…そうだシチューでも作ろうかな。
シチュー食べたことある?
( 再び2人で訪れたリビング。キッチンに行くと野菜や、鶏肉、牛乳なんかが目につき、ぱっと思い浮かんだ料理名を口にすると、食べたことがあるか相手に尋ねてみて。どちらにせよ、食材も残り少なく明日の買い物でまとめて買ってくる必要がありそうだとストックを見れば。鍋などを用意して。)
しちゅー?
(初めて聞いた料理名だった。ふるふると首を横に振り、不思議そうな顔でその名前を繰り返す。てきぱきと手慣れた様子で鍋等を準備する彼を見、自分も一緒になってなにかしたいと欲が湧いてくる。ぐいぐいと相手のシャツを軽く引っ張って)
おれもなんか手伝う、
よし一緒につくろうか。
野菜の皮を僕が剥くから、クロスはこれを使って食べやすい大きさに切って?
( きっと聞いたことも食べたこともないのだろう。ならば食べさせてあげたい。野菜などを準備していると、手伝うと言う相手に嬉しそうに笑って頷き。野菜の皮を剥くのはさすがに自分がやった方がいいと思ったのか、小さめの包丁を置くとそれを指さし、野菜の切り方を教えて。「ゆっくりでいいからね」と、自分は人参や玉ねぎ、じゃがいもの皮を剥き、相手に渡して。)
わかった!
(仕事を任されたことに喜んで返事をすると、おぼつかない手付きで包丁を握る。綺麗に皮の剥かれた野菜たちを彼から受け取れば、教えてもらった通りの一口大を目指してゆっくりと刃を入れていき。不慣れ故多少時間は掛かったものの、最終的には全ての野菜を怪我無く切り分けることができた。切ったばかりのそれを近くのボウルへまとめて入れ、そのまま相手へ差し出して)
――ルミエ、これでいい?
上手!
クロス料理の才能あるかも。
( 切った野菜たちを受け取ると、初めてにしてはとても上手に切れており感心をして。自分はほかのフライパンにホワイトソースを作り、相手には「切った野菜たちを炒めよう。」と鍋に切った野菜を入れて火をつけ、ヘラを渡すと混ぜながら炒めるよう伝え。その間に鶏肉を一口サイズに切り分けておき。)
ほんと?…へへ、じゃあおれが大きくなったら、ルミエにはいっぱい作ってあげる!
(彼からの誉め言葉を照れくさそうに受け取り、にっこり笑ってそう付け足して。包丁からヘラへと持ち替え、今度は焦がさないようにと一生懸命手を動かす。暫くすると玉ねぎは軽くあめ色掛かり、他の野菜も熱を通したことで、より鮮やかで美味しそうな色へ変化してきた。そして鍋からは野菜特有のいい香りが)
いいかんじだね。
鶏肉も炒めてっと。
( 野菜もいい色になってきたので、鶏肉も一緒に炒めてもらう。ホワイトソースも出来上がり、鍋に入れると炒めた野菜たちと混ぜ合わせて煮込む。その間にパンなどの準備をして。「じゃあ飲み物のコップとか並べてくれる?」と相手に頼んで。自分は出来上がったシチューをお皿に入れて運び。)
できた?できた?
(彼の指示通りテーブルへ二人分、向かい合うようにコップやスプーンを並べて食べる準備は万端に。その途中、シチューから漂う美味しそうな香りが鼻孔へと届き、より一層食欲がそそられる。一足先に椅子へと座れば、彼の運んできたお皿を見てそわそわと)
できたよ。
さ!食べようか。
( 待ちきれなさそうな相手の前にシチューの入ったお皿を運び置くと、自分も向かい側に座って。こんな風に誰かと料理を作るなんて初めてだったけど、楽しいものだななんて上機嫌で「いただきます」と言うとシチューを一口。なんだかいつもより美味しく感じ幸せそうに笑い。そういえば彼は初めてのシチューだが、どうだろうかと感想を聞いてみて。)
どう?
うん、いただきます!
(ぱちん、と心地良い音を立て両手を合わせ、食前の挨拶を済ませれば早速スプーンを手に。クリーム色に輝くそれを掬い上げ口に入れた途端、いっぱいに広がる野菜のうまみに濃厚さ。スープとは似ても似つかぬはじめてのシチューは大成功だった。あまりの美味しさに夢中になってスプーンを動かし、感想を求められれば彼へと満面の笑みを向け)
すっごくおいしいよ、ゆめみたいなあじ!
よかった。
クロスが頑張ってくれたから、こんなに美味しくできたんだよ。
あ、パンも一緒に食べてね。
( 感想を聞くとほっとして。彼が頑張ってくれたお陰で美味しくできたのだと微笑みながら伝える。相手が食べる様子を眺めながら、自分もシチューを食べ進め、先程少し温めたパンも食卓に出してあるため一緒に食べるよう勧めて。沢山作ったのでおかわりもできるし、明日の朝食の分もある。手軽に沢山作れるのがこの料理のいい所だな、なんて思いながらも1人でいるときはあまり作らなかったのだが。)
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