flos 〆 

 flos 〆 

匿名さん  2022-11-22 12:40:22 
通報


その日、一輪挿しの花瓶を買った




コメントを投稿する

  • No.11 by 名無しさん  2022-12-06 01:12:34 



【 出会いについて 】
お心遣い、痛み入ります……!ご提案くださった場面が目に浮かぶようでしたので、よろしければその方向で進めさせてくださいませ。余談となりますが、新しい孤児院との連絡はその親切な近隣住民が取ってくれているとすると、話を繋げやすいのかなと思いました。
転居への姿勢についても承知いたしました!その話を聞いて生じる「どうして転居するのか」と言う疑問が、いつか息子様の不老と言う特性を掘り下げる取っ掛かりにもなり得るかもしれないと想像した次第です。そしてお恥ずかしながら教育機関の存在まで頭が回っていなかったのですが、娘の年齢的には小学校やプライマリースクールの年頃ですので、卒業は三年~五年後ぐらいとなるのかなと考えました。あるいはせっかく架空の国家ですので、「課程を終えたら年齢に関わらず卒業」などでも面白いかもしれません。ご提案いただいた日々の交流につきましては、どれも大変魅力的なため、ぜひ取り入れさせてくださいませ……!覚えたての料理を振舞おうと奮闘してみたり、出かけた町で迷子になったりなど、そんな光景をつい想像してしまいました。


  • No.12 by 匿名さん  2022-12-06 20:46:48 




【 出会いについて 】
なるほど、確かに近隣住民が孤児院との連絡役を担ってくれているのであれば「先方は一週間以内に態度を決めるよう求めている」等の台詞で提供に選択を迫ってくれそうですね。是非、そのように進めさせてください!
仰る通り架空の国家ですので必ずしも教育機関に通う必要はなく、そもそも教育機関がないとか、就学率が低い等の設定も歓迎です。「課程を終えたら年齢に関わらず卒業」というのも、娘様の能力や学習意欲が顕著に表れて面白いですね……!背後様の裁量に任せきりになってしまって非常に申し訳ないのですが、お好きなものを選び取っていただければと思います。余談ですが、その点に関して提供は元は農夫で学校に通ったことがなく、不老になった後に四苦八苦しながら独学で最低限の教養を身に付けたという背景を想定しております。学が浅いため娘様から新たな知識を教わったり、学校のお話を聞かせてもらったりといった交流も選択肢として有り得ますし、他方で学校には行かず店で博識な客に勉強を教わり二人で一緒に学ぶといった交流の仕方にも心惹かれます。どのような設定をご選択されても背後は大喜びいたしますので、どうぞご随意に……!


さて、おおよその要素が固まってきた頃かと思いますので、この辺りで初回のご相談を挟ませていただきますね。他に決めておく事柄が無いようでしたら、互いにPFを再提示してそのまま開始する所存です。奇を衒わず出会いの場面から始めるのが無難かと存じますが、息子と娘様、どちらからの開始がお好みでしょうか?



  • No.13 by 名無しさん  2022-12-09 01:16:20 



【 出会いについて 】
どの選択肢も実に魅力的で、大変贅沢な悩みでした……!迷いに迷ったのですが、ひとまず現在の土地においては「教育機関は存在するが就学率は低め」を選ばせていただきますね!娘の居た孤児院では亡くなった院長が先生代わりとなり、子供たちは日曜学校のような形で学んでいた、と言うような想定です。交流していく中でお互いに知っていることを教え合ったり、お店で一緒に勉強したりしていければと思います……!また、少し先の話ではございますが、転居先の土地ではまた違った教育の在り方をしていても面白そうだなと思いました。例えば先進的な街などには現代における大学のような大人も学べる機関があり、短期の学生として一緒に学び舎へ足を運ぶのも一興かなと考えた次第です!

他にご相談したい事柄は今のところ特に思い当たりませんので、PF再提示からの開始で問題ありません。開始もどちらでも大丈夫なのですが、出会いは娘が軽食屋を訪れる場面となるかと思いますので、背後様に軽食屋の雰囲気やイメージをお伺いできればと考えております。文章等でお教えいただけるようであればそれを元に娘から、ロル中で表現いただけるようであれば息子様から、背後様にとってどちらかやり易い方をお選びいただけましたら幸いです!


  • No.14 by 匿名さん  2022-12-11 12:38:46 




【 出会いについて 】
最初の土地では就学率が低めとのこと、承知いたしました!また、一緒に大学に通うという素敵過ぎるご提案もありがとうございます……!是非取り入れさせていただきたく、転居の際に改めてご相談させてください。

それでは、初回はこちらから書かせていただきますね。以下に名前を入れただけではありますが正規版のPFを提示しておりますので、娘様のPFも頂戴した後、初回を投稿させていただきます……!


【 不老の男性PF 】

名前:ジル・ラズリー

性別:男
年齢:見た目は27歳/誕生日は446年前
職業:軽食屋

容姿:首の中間辺りまで伸びたシルバーグレーの髪。店に出る際には邪魔にならないよう後ろで一つに結っていて、セルフカットだが手先が器用なため不恰好には見えない。目元は多少目つきが悪いものの威圧感を与えるほどではなく、切れ長のアクアブルー。痩せ過ぎも太り過ぎもしないごく一般的な成人男性の体躯で、力仕事も多くこなすせいか両腕の筋肉が若干逞しい。身長179cm。

性格:目立つことを嫌い、諍いを好まない事なかれ主義。自分が異物であることを自覚しつつ、それを周囲に悟られないよう出来る限り〝普通〟に準じている。自身について語ること、素の感情を晒すことが苦手で、曖昧にはぐらかして流してしまうきらいがある。人当たり良く振る舞ってはいるものの、内心いつボロを出すかと気が気ではなく、常に他者に怯えている。見る人によっては他人の顔色を伺っているようにも見えるかもしれない。反面、注意深く他人を観察するためによく気が付き、よく気が回る。面倒臭がりではあるが、何だかんだと面倒見は良い方。一線を引いた付き合いをし、身の上を隠すことへの疲れから人嫌いのような言動が散見されるも、その実潜在的な孤独感から心を許せる誰かを無意識に求めている。

不老になった経緯:27歳のある日、夢の中で何かと出逢い、約束を交わしたことで、それ以降歳を取らなくなったという。夢の内容についてはあやふやで詳細も思い出せないため、自身の生命にいつ終わりが来るのか、それ以前に終わりがあるのかすらも定かではない。

軽食屋について:生きていく上で身についたスキルを使って日銭を稼いでいるだけで、特に目標や思い入れといったものはない。途方もなく長い人生において料理と食が楽しみの一つであることは確かだが、店自体はいつ畳んでも構わないと思っている。無限に湧く資金さえあれば山奥にでも隠居したいというのが本音。と言いつつ店にも客にもそれなりの愛着と情を持っているように見受けられる。



  • No.15 by 名無しさん  2022-12-11 23:10:47 



初回をご投稿いただけるとの事、ありがとうございます……!また息子様、もといジル様の素敵なお名前を知ることができて嬉しいです!それではこちらも正式版のPFを提示させていただきますね。名前の追記と、お恥ずかしながら脱字を発見してしまいましたので、一部追記させていただきました。


【 引き取られた少女PF 】

名前:セラフィナ
性別:女
年齢:7歳

容姿:肩に触れる長さの髪は毛先が緩く波打っており、茶と金の中間のような色合い。前髪は目に掛からないぐらいの位置で真っ直ぐに切り揃えられている。瞳は子供らしい丸みを帯び、暖炉の火のような温かみのある橙色。身長は112cmでやや痩せ気味。適度に日に焼けた健康的な肌色で、手先は日々の手仕事によって多少荒れている。生成りのワンピースを身に着けており、所々に丁寧に繕われた跡がある。

性格:素直で物分かりがよく、純真かつ天真爛漫。自身の境遇を悲観することはなく、毎日を全力で生き、全力で楽しもうとしている。大人の前では良い子でいようとする傾向があるが、実際にはまだまだ甘えたい盛り。心を許した人に対しては感情表現がよりストレートになる反面、顔に出やすくもなるので嘘や隠し事が一層苦手となる。本人の意識しないところで「愛し愛されること」を求めているような節があり、愛情を受け取り、そして向けてくれる人には特に懐き、盲目的とも言える信頼を向ける。また同様の理由から、他者の感情の機微には敏感。しかし年齢的なこともあって難しいことまでは頭が回らないため、あくまで感覚的なものに留まっている。自分よりも他人を優先しがちだがこちらもほとんど無意識であり、注意して見ない限りは明るい振る舞いがそれをあまり感じさせない。

孤児院での様子:お姉さんぶりたい年頃であり、その愛情深さも相俟って年下の弟妹の面倒をよく見ていた。親代わりでもある院長を特に慕い、その手伝いをしたい一心で様々なことを貪欲に学んでいたため、簡単な読み書きや家事なら可能。過去のとある出来事がきっかけで花や植物を好きになり、孤児院の庭で花を育てていた。孤児院の支援者などが訪れた際には、お土産に小さなブーケを作って渡すこともあったとか。

孤児院の解体後:院長の葬儀が終わるまでは気丈に振る舞い、本人も泣き腫らしてはいたものの、他の子供たちを慰めて励ますような様子すら見せていた。しかし孤児院の解体が決まり、一人、また一人と別の場所へ引き取られていくのを見送る中で次第に塞ぎ込む事が増え、やがて最後に一人残された際に笑顔を失ってしまう。誰かのためなら辛くても悲しくても頑張ることのできる少女は、自分のためだけに頑張ることができなかった。


  • No.16 by ジル・ラズリー  2022-12-13 12:48:54 




(粗方の洗い物を終え、濡れた手をタオルで手早く拭きつつカウンターの方を振り返る。昼のピークも過ぎ去った午後四時前。L字カウンターの長辺に設けられた四席のうち、右手から二番目のカウンター席では、老爺の客がスコッチエッグにナイフとフォークを突き立てている。その背後では西向きに取り付けられた窓から穏やかな西日が差し込み、オーク材の床に暖かな表情を与えていた。カウンターに囲われた手広な調理台の縁に軽く両手を突くと、間断なく続く老爺の取り留めのない話に先を促すだけの受け答えをしながら、さりげなく店内を見回す。入り口から見て正面にはカウンター席が四席、右手の南向きのスペースには二人掛けのテーブルが四脚。いずれも食器引きから拭き上げまで済ませてある。白地に水色や黄緑色といった淡いパステルカラーで下半分のみ縦縞模様の描かれた壁紙にも、格別の塗装の施されていない床にも目立った汚れは見当たらず、老爺の他には客の姿もない。テーブル席の一番奥の壁に飾っている風車の絵までは流石に見えなかったけれど、終ぞ広く名の知れ渡ることのなかった無名の画家の絵など持ち出す者はいないだろう。そもそも、素朴ながらも小綺麗な町の軽食屋の様相を呈するこの店に、盗られて困るような高価なものは一つだってありはしない。時間にして十数秒程の確認作業を終え、老爺がいつも通りに「つい話し込んでしまった」と話を結んで席を立ったのを認めると、受付と勘定を担うL字カウンターの短辺へと移動する。代金を受け取り、適度に愛想の良い笑みを浮かべて常連の老爺を見送れば、程なくして再度ドアが開かれ。チリンチリン、と来客を知らせるドアベルの音と共に、店内へと足を踏み入れる爪先は二揃え。一人は馴染みの青年客で、彼が「やあ、ジル」と軽く手を上げるから、こちらもやや砕けた調子で挨拶を返す。もう一人の連れられている少女は見知らぬ顔だったが、余計な詮索はせず、身を乗り出すように少しひんやりとするカウンターに両腕を乗せては、彼女にも「いらっしゃい」と柔らかく声を掛けて)
──ああ、ノトムか。いらっしゃい。好きな席に座ってくれ。


(/PFのご提示ありがとうございます! また、息子の名前も早速お呼びくださり、ついじんわりと感激に浸っておりました……。セラフィナ様も可憐さと聡明さを兼ね備えた娘様にぴったりなお名前で、口に出せば出すほど他には無いなと感じております。改めまして、これからよろしくお願いいたします……!
初回を書かせていただきましたが、ロルの形式、展開その他変更可能ですので、何か気になる点があれば随時お伝えくださると幸いです。状況設定を盛り込んだせいでなかなかの長文となってしまいましたが、お返事は文量を合わせていただく必要はございませんので、半量ほどでも、もしくは更に長文でも、気の向くままに言葉を紡いでいただければと存じます……! ロル中に描写できなかった店の外観はジルよりセラフィナ様の方が先に視界に収めるかと思いますので、背後会話でのご説明になりますがご了承ください。屋根はテラコッタの洋瓦、外壁はクリーム色のざらざらとした漆喰、窓の外側には深緑の両開きの雨戸、といった構造を想定しております。ふわっと決めただけですので、色味等については全く別の色になってしまわなければ表現はお任せいたします。二階建てで一階が店舗、二階が住居になっていて、カウンター奥の食糧庫から二階に上がる、もしくは裏口に出ることができる間取りになっています。)



  • No.17 by セラフィナ  2022-12-15 00:41:27 



(優しくもあたたかい”新しい家”には、一つだって不満なことなど無かった。だからきっと、色々なものをうまく受け取ることができなくなっていたせいで、ほんの少し息が詰まってしまっただけなのだと思う。半歩先を行く背中に遅れないようにと足を進めながら、ついそんなことを考えてしまうのは、未だ飲み込めないこの状況からの逃避だろうか。――何の準備も計画もなく、衝動的に新しい孤児院を飛び出したのが昨夜。運よくこの街へと向かう商人の荷物に紛れ込んで、どうにか丘の上の孤児院へと戻ってきたのが昼下がり。それから少し荒れてしまったお庭の手入れをして過ごし、院長が大好きだった花を一輪、墓前に供えようと手折ったところで、目の前の青年に声を掛けられて今に至る。親切な提案に是とも非とも言えないまま連れ出されてしまったが、本当にこれで良かったのだろうか。迷惑になっているのではないかと言う不安はどうしたって拭えないが、寝不足と空腹でぼんやりした頭ではそれ以上の事は考えられず、角を曲がったところ差し込んだ西日に反射的に目を眇めて。眩しさに耐えかねて視線を落とした先には、地平線に沈みゆく太陽と同じ色をしたカレンデュラ。あまり強く握ってしまわないように、けれども大切に腕の中で抱え直していれば『あの建物だよ』と言う声に僅かに顔を上げる。前方に見えるのは夕焼け空の下でなお温かみのある屋根と、なんだか美味しそうな色の外壁。大地に長く影を伸ばしている様は、まるでいつか見た絵本の一ページのようだった。近づくにつれてふわりと美味しそうな香りが漂ってきて、暫く忘れていた空腹感を思い出していれば、勝手知ったると言った様子でドアを開ける青年に続いて建物の中へ。西日を受けて輝く木目の優しさも、壁に連なる春の花々のような色彩も。どれもぜんぶ素敵だったけれど、何よりもこの空間に満ちた穏やかな空気が心地良く、強張っていた肩の力も自然と抜けていき。「わぁ……! あ、ええと……おじゃま、します」初めて見る光景に心奪われていたせいか、カウンター越しに掛けられた声に一拍遅れて反応を示せば、今度は冬の湖のような瞳に見惚れること暫し。飲食店と言うものに馴染みがなく、どう答えていいか分からずにそんな挨拶を選び取れば、その場でぺこりと頭を下げて。それからゆっくりと顔を上げれば、ここまで連れてきてくれた青年の微笑ましげな表情が目に入り、彼が口を開くのを静かに見上げ『――だそうだ。あの端のテーブル席なら、店内が良く見えるんじゃないか?』そんな言葉にこくりと頷けば、素直に示された席へと足を向ける。口を挟むことをしなかったのは、それが大人同士のお話の合図に他ならなかったからだ。椅子に座ると言うよりは半ば登るようにして何とか腰を落ち着ければ、きとんと揃えた膝の上へと、そっと花を下ろして囁きかけて)
――あとでいっしょに、先生のところに行こうね。


( / こちらこそ、娘の名前を呼んでいただけたことが嬉しく、感涙に咽ぶような心地です……!これから交流を重ねていく中で、セラフィナからもジル様をたくさん呼ばせてくださいませ!
そして、臨場感あふれる素敵な初回ロルをありがとうございます!まるで軽食屋に佇んでいるかの如く情景が目に浮かび、ぐいぐいと惹き込まれてしまいました。形式や展開含め気になる点は一つもございませんので、今後とも赴くままに綴っていただけましたら幸いです!ロルの長さについてもご配慮くださり恐縮です。悩んだ末に回想を盛り込んだせいでお返事がだいぶ長くなってしまいましたが、背後様も文量については特にお気になさらず、どうか綴りたいものを優先してくださいませ。こちらも場面などによって割と前後するかと思いますので、ロルの長さについては緩くやっていければ大変ありがたく存じます。その他、ロルの形式や表現、展開等で気になる点がございましたら、お手数ですが適宜お教えいただけますと幸いです!
最後になりましたが、この度は素敵なご縁をありがとうございます。これからどうぞよろしくお願いいたします……!)


  • No.18 by ジル・ラズリー  2022-12-16 21:29:48 




(少女は見たところ6、7歳ほどだろうか。陽光を受けてきらきらと輝く金茶の髪と、何もかもが新鮮だとでも言いたげな好奇を湛えた瞳が印象的だった。彼女はその瞳で店内のあれこれにひとしきり目を留めた後、こちらへと顔を向ける。純真そうな瞳にじっと見据えられると、凍った湖さえ溶かせそうな温かな橙色のせいか、内奥に隠した秘密の全てを暴かれてしまうような心地になる。耐えかねてそっと視線を逸らすも、そこへ持ち得る語彙の中から懸命に探し出したらしい戸惑いがちな挨拶が返されると、またそっと視線を元の位置まで戻し。視界の端に捉えた少女は丁度小さな頭を行儀良く下げているところで、彼女の動きに合わせて緩く波打った髪の先とワンピースの裾がふわりと揺れる。その仕草と幾つか繕われた形跡のある衣類に、少女の人物像の一端を垣間見たような気になれば、知らず知らずのうちに僅かに口元が綻んでいて。見れば青年客も似たような表情を浮かべていて、それが余計に笑みを深くさせる。てっきりそのまま彼女に好きな席を選ばせるものと思っていたところ、彼が少女を遠ざけるように暗に端の席を指定したのを見れば、何か訳ありかと即座に察し。少女が椅子によじ登るのを確認した青年は、案の定そちらに背を向ける形でカウンターに顔を寄せ、声を落とす。「……あの子、あの孤児院にいたんだ」、彼はそう口を切った。青年の話は要約するとこうだ。彼女は解体された孤児院に一人でいたところを彼が保護した少女で、名前はセラフィナ。今は他の孤児院で生活しているが、庭の手入れのために戻って来てしまったのだという。朝から何も食べていないと言うので、何か食べさせてやりたくてここまで連れて来た。と、そういうことらしい。「……それはいいけど、これからどうするんだ?」同じく声を落として尋ねると、青年はどうやら一先ず腹を満たしてから孤児院に帰るよう説得を試みる心算のようで、「――だから、とびきり美味いのを頼むよ!」と悪気のない期待を最後に添えられては苦笑を漏らすしかない。話は終わったとばかりに少女の座るテーブルへと向かう背中を見送って、カウンターに短い溜息を吐く。その一息で情報の整理と気持ちの切り替えを済ませてしまうと、カウンターを出て少女を乗せている椅子の傍へ。両膝を折って右膝は床に、左膝は床と平行に固定すれば、両膝の上へとそれぞれの手を置く。「はじめまして。俺はここの店主のジル・ラズリー」やや見上げた位置にある顔に前置き程度の自己紹介をすると、「きみの名前は?」と続けて問い掛ける。もしその問いに先程青年から聞かされたものと同じ答えが返ったなら、響きを確かめるように一度呼んだ後、本命の質問を重ねるはずで)
――セラフィナ。……好物は。


(/はい、是非ともセラフィナ様のお声で、ジルの名前を呼んでやってください……!呼び方については「ジル」でも「ラズリー」でも構いませんので、お好きなようにお呼びくだされば幸いです!
ロルや展開につきましても地雷等なかったようで安心いたしました。こちらからも気になる点は一つもございません。むしろ子どもらしい情感豊かな感想が可愛らしく、またそれが背後様の文筆の才により巧みに表現されていて、非常に満足度の高い読み物として堪能させていただきました……!ロルの長さにつきましても同様に考えておりましたので、引き続き特に制限なく、気ままに物語を綴ってくださいませ。
こちらこそ、文才、人柄共に素敵な背後様にお相手いただけて光栄の至りです……!背後はここで一旦下がらせていただきますが、展開のご相談の際などにまたお声掛けさせていただきますね。背後様からも何かございましたらいつでもお呼びください!それでは、引き続きよろしくお願いいたします……!/蹴り可)



  • No.19 by セラフィナ  2022-12-18 02:32:30 



(橙色の花弁をそっと指先で撫でてから顔を上げれば、カウンターを挟んだ二人が顔を寄せ合っているのが目に入る。そんな様子に申し訳ないような気持ちになってしまうのは、そこで交わされているであろう会話の内容に心当たりがあるからこそだ。それでも、新しい家で一人眠りについたあの夜。上手く息をすることができなくなった瞬間に、どうしたって飛び出さずにはいられなかった。故に無理やり視線を彼ら引き剥がすことで苦い気持ちを押し込めては、改めて店内をぐるりと見回して。先の青年の言葉は何も方便だけと言う訳ではなく、確かにここからはお店の中が一望できた。ぽかぽかした陽だまりのような店内だけでなく、椅子の分だけ視界が高くなったことで、カウンターの向こう側にも更に空間が続いていることが窺える。ここは食事をするお店だとあの青年は言っていたから、向こうにあるのは調理場だろうか。孤児院のそれよりも広々とした空間にほんの少しの憧れを抱きつつ、再び彷徨わせた視線は壁に掛けられた一枚の絵で止まり。広大な草原の中に佇む風車は、どこか丘の上の孤児院にも似ている気がした。そんな感想も手伝って、暫しほっとするようなその色合いを眺めていれば、話が終わったらしい二人がちょうど歩み寄ってくるところで。椅子の横で膝をつく彼に合わせて身体をそちらへと向け、更に背筋をしゃんと伸ばせば、見上げて来る瞳をまっすぐに見つめ返す。先ほどよりも近くで見ることができたその色は、やはりきれいに澄んだ水のよう。涼しげな目元と、すっきり束ねられた銀灰色の落ち着いた光沢。どれも冷たい印象を受けるはずなのに、纏う空気と丁寧な所作のためか、不思議とそうは思わなかった。「……はじめまして、ジルさん」先ほどの青年の時もそうだったが、あいさつは笑顔でと心の中では思っていても、上手くできていないことが自分でも分かる。それでもぎこちない笑みを精一杯に浮かべたのなら、きっともう青年から聞いているだろうに、名前を尋ねてくれる彼への感謝と共に自身の名を口にして。「セラフィナ、です」そうして名乗った名前が彼の声で繰り返されれば、胸の辺りが温かくなるような感覚に、知らず胸元で両手を握る。続く問いにはゆっくりと一度瞬けば、好き嫌いは無いのだと主張してから、視線を膝の上へと落としつつ控えめに好みの料理を口にして。思い出すのはかつての賑やかな食卓。まだ意識していないと上手く使えない敬語が外れてしまえば、その言葉は一切を飾らないものとなる。故に懐かしむような、あるいは寂しがるような、そんな響きを伴って)
……食べられるものはなんでも好きです。でも……ふわふわのオムレツの日は、いつもよりちょっとうれしかった。


  • No.20 by ジル・ラズリー  2022-12-20 02:28:44 




そうか、好き嫌いせずに何でも食べられるのは偉いな。ちょっとだけ待ってな、すぐふわふわのオムレツを持ってくる。――……と、
(初対面の大人に緊張しているのか、礼儀正しくもどこかぎこちない様子の少女は、過去に思いを馳せる瞬間にだけ自然な表情を覗かせる。それだけで、今もその思い出が彼女にとっての心の拠り所なのだと悟るには充分だった。もう戻ることのできない時への追想は、ありふれているだけに共感を呼ぶ。遥か昔に出たきり戻ることがなかったにも関わらず、未だ鮮明に情景が目に浮かぶ故郷を思えば、こんな10歳にも満たない少女が縁の場所を失ってしまった事実に僅かばかり胸が痛み。しかしそんな内心はおくびにも出さず、代わりに子ども用に誂えたやや大袈裟なほどの笑顔を貼り付けては、まず会話内容の肯定と率直な賛辞を。それから確かに承ったことを伝えると、ゆらりと上体を前に倒しつつ立ち上がる。その際、きれいに揃えられた膝の上で、小さな手の中に一輪の花が握られているのが目に入れば、調理台へと向けかけた足を止めて数秒視線を注ぎ。小振りな花弁が数多並んだその花は、花屋に並べられていたというより、ついさっきどこかで摘んできたばかりといった風情がある。一時も離さず大事そうに抱えられているところから、彼女の世話していたという孤児院の庭のものかもしれない。生憎花に関する知識など持ち合わせていないため品種の判別はできないが、一般的に切り口を空気に触れさせておくより水に浸けておいた方が長く持つ程度のことは理解している。辺りを見回し、思い出したように足早にカウンターの内側へと姿を消すと、片手に曇り一つない透明なガラス製のピッチャーを持って席へと舞い戻る。中には器と同様に澄み切った透明な水が半量ほど。まともな花瓶がないことに少々決まりの悪そうな曖昧な笑みを浮かべつつ、緩やかな曲線を描くそれをテーブルの中央辺りに置くと、少女の側へとそっと寄せて)
こんなものしかなくて悪いけど……よかったらこれ。そのままだと花、枯れちゃうだろ。



  • No.21 by セラフィナ  2022-12-23 00:43:32 



(衒いのない言葉と向けられた笑顔は”褒められた”と受け取るには十分過ぎるもので、嬉しく思うのと同時にどこか誇らしいような気持ちにもなる。けれども緊張と気恥ずかしさが手伝ってそれを上手く表すことができずにいれば、伏し目がちに視線を彷徨わせた後に小さく頷いて。それから立ち上がる彼を目で追うように一拍遅れて顔を上げれば、その瞳が手元の花を映している事に気が付き、同じように視線を自身の膝の上へと落とす。持ち歩くために水を含ませることもしていない一輪の花は、この状況が予想外であったことを端的に物語っているようだ。今も静かに、しかし微笑みながらやり取りを見守っているノトムと名乗った青年。彼に声を掛けられたのは、院長の眠る墓地に向かおうとしてちょうど孤児院の門を出たところだった。孤児院から墓地まではそう遠くないものだから、手向けのためにと摘み取った一輪も、長く持ち歩くことや人目に触れることを想定してはいない。――もしかして、それが何かお店のマナーに違反してしまっているのだろうか。向けられた視線の意味を図りかね、過った不安にそろりと顔を上げたところで、目に入るのは踵を返してカウンターの中へと消えていく背中。声を掛けることができずにそのまま見送る事になれば、ほんの少し困ったように眉を下げる。質問、いやその前に謝罪だろうか。思わずぐるぐると考え込んでいる間に再び彼が戻って来れば、予想していなかった言葉と机に置かれた水の入った入れ物に、きょとんとした表情で瞬いて。まるで花瓶のように差し出されたそれは、形状からして水差しのようだ。こんなものしかと彼は言うが、逆に花を入れるのに使ってしまっていいものなのだろうか。しかしまごついたのは一瞬だけで、ピッチャーが傍へと寄せられたことに背中を押されれば、両手を伸ばしてそうっと花を挿して。西日を受けてきらきらと輝く水と、同系色ゆえによりその花弁の色を濃くしたようなカレンデュラ。温かな店内の風景にその一輪が溶け込んだような感覚に、自然と表情を緩めては彼の方へと視線を向けて)
……ありがとうございます、ジルさん。この子も、きっとよろこんでると思う。


  • No.22 by ジル・ラズリー  2022-12-25 15:36:52 




喜んでもらえたなら良かったよ。
(少女が手ずから茎を水の中へと落とし、花がピッチャーの縁を転がってゆく。その様を自分と少女と青年客の三人がかりで見守っていれば、やがて落ち着き場所を見つけた夕陽色は静止し、同時にテーブルを囲む三人の間にも穏やかな空気が流れ出す。巻き起こる小さく静かな感動の渦の中、自分を呼ぶ声に振り向くと、その先にはまさに〝花が綻ぶよう〟と形容するに相応しい少女の笑みが広がっていて。つられるように目許を緩めると、少女に向けてなのか、それとも花に向けてなのか、向け先を濁したままの返事を温かな色に染まった空中へと放る。そのまま花について少女に聞いてみたい気持ちが無いわけでもなかったが、任された仕事を差し置いて雑談に興じるわけにもいかない。「次はセラフィナの番だな」と再度大きく広げた笑みを残すと、青年客の方に一瞥をくれてからカウンター内側の調理台へと引き返し。卵を三つほど取り出してボウルに割り入れては、慣れた手つきで卵を溶きほぐし、フライパンを軽く熱してからバターを引く。卵液を流し入れ、慎重に火加減を見ながら整形すると、あっという間にふわふわのオムレツが出来上がり。更に作り置きのスープとサラダ、焼き色をつけたベーコンとライ麦パンを添えれば、ものの五分程度で食事と呼べるだけの料理が木製トレイの上に並ぶ。最後にオレンジジュースもそこへ載せると、客の待つ席まで運び、トレイごとテーブルの上へと置いて。勝手に外で食事をしては共に暮らす伴侶に叱られるであろう青年客にはコーヒーのみを供し、花の生けられたピッチャーはテーブルの中央へと移動する。食卓机を見渡し、全ての準備が整ったことを確認すれば、腹を空かせているであろう少女に合図を送るようにお決まりの文言を口にして)
――お待たせしました。どうぞ。



  • No.23 by セラフィナ  2022-12-31 00:02:38 



(/こんばんは。背後からのみで失礼いたします。
まずはお返事が遅れておりまして、誠に申し訳ございません。年の瀬で少々立て込んでしまい、落ち着いてロルを綴る時間が作れずでして……。来週中にはお返事できるかと思いますので、今暫くお時間を頂けますと幸いです。
一方的なご挨拶となってしまい恐縮ですが、背後様も良いお年をお迎えくださいませ……!)

  • No.24 by ジル・ラズリー  2023-01-01 01:04:14 



(/ご連絡ありがとうございます! お返事につきましてはゆったりと待たせていただく所存ですので、余裕のできた時にでも思い出していただけますと幸いです。いつもお早いお返事をありがとうございます……!
また、年末年始のご挨拶もいただきまして、ご丁寧にありがとうございます。背後様も良い年を迎えられますよう、お祈り申し上げております。本年もどうぞよろしくお願いいたします……!)


  • No.25 by セラフィナ  2023-01-07 18:14:25 



(視線の先で彼の表情が緩めば、感謝の気持ちがちゃんと伝わったらしいことに安堵する。テーブルを取り巻く空気は優しく、差し込む夕陽のように穏やかで。どこか懐かしいような気持ちになるのは、そして少しだけ寂しくも感じてしまうのは、いったいどうしてなのだろう。答えを求めるように橙の花弁に視線を向けても応えがあるはずもなく、それを”郷愁”と呼ぶのだと知ることになるのは、きっともう少しだけ先のお話。そうして抱えた感情の輪郭を掴めずにいれば、自身の名を呼ぶ声に視線を上げて。残された言葉と笑みにぱちりと瞬き、心得たとでも言うように頷いた青年と共に再びその背中を見送れば、すっかり当初の目的も忘れてことんと首を傾げ。「――わたしの、番?」そんな様子を見ていた青年が思わずと言った様子で小さく吹き出すのと同時に、くぅ、とお腹が控えめな音を立てる。それでようやく、そもそもここがどういった場所なのかに思い至れば、向けられる微笑ましげな表情が何だかむず痒くて、椅子に座り直す振りで体を揺らして。それから軽い謝罪と共に話しかけて来た青年と言葉を交わしていれば、二人分の視線は自然にカウンターの中の彼の方へ。この位置からでは手元を窺うことはできないが、彼がてきぱきと動くたびにおいしそうな音と匂いが届き、より空腹を自覚するのと同時にわくわくとした気持ちにもなり。やがてトレーを片手に彼が戻って来れば、目の前に置かれた料理に自然と視線は吸い寄せられて。「わぁ……!」どれもこれもおいしそうだが、その中でもひときわ目を引くのは、できたてであると分かるつやつやのオムレツ。それなりの人数分を一気に調理する孤児院では滅多に巡り合えないそれに分かりやすく喜色を示せば、掛けられた言葉に視線を上げてから彼と青年とに軽く頭を下げ。「ありがとうございます。それじゃあ――」きちんと食前の挨拶を済ませてから右手でフォークを手に取れば、ふわふわのオムレツへとそっと差し込む。ほとんど抵抗もなく一口サイズに切り分けることができれば、そのまま口元へと運んでぱくんと一口。次の瞬間にはぱっと表情が輝き、暫しむぐむぐと口元を動かしてから僅かに喉を揺らして嚥下すれば、年相応の笑顔と共に彼の方を仰ぎ見て。そうして勢いのままに感想を口にしていれば、不意にそれがいつかの記憶と重なり合う。思い出を意識するよりも早くじわりと滲んだ視界に困惑したように声を詰まらせれば、頬を伝う雫ごと左袖でぐいぐいと目元を拭いながら、言い訳でもするように言葉を重ねて)
――おいしい! あったかくて、ふわふわのとろとろ、で……。あれ、えっと……違う、んです。オムレツ、すごくおいしくて……なのに、なんで……。


(/大変長らくお待たせいたしました……!漸く時間が取れましたので、お返事を返させていただきました。暫く空けてしまって誠に申し訳ありません。
また、新年のご挨拶もありがとうございます!改めまして、明けましておめでとうございます。こちらこそ、本年もどうぞよろしくお願いいたします……!)


  • No.26 by ジル・ラズリー  2023-01-11 20:25:49 




(暖かな色をした無垢の双眸は、口に出すより多くを語る。少女がトレイ上に並ぶ料理の品々に釘付けになり、夢中で丸っこい瞳を煌めかす様は、それを供した料理人にとって至高のリアクションで。生活のため心ならず始めた飲食業とはいえ、この瞬間ばかりは毎度心の表面を清涼な充足感が撫で行く。店内に他に客がいないのを良いことに近くの席から椅子を引き摺り寄せると、二人の客からおおよそ等距離の辺りに位置取って腰を下ろし、青年のいる側に軽く肘を置き。適度に気の抜けた姿勢で真っ先にオムレツに手を付けたらしい少女の食事風景を眺めていると、ふいに笑みを向けてくる彼女と目が合って、応答代わりの微笑を浮かべる。美味いか、なんて尋ねるまでもなく小振りな口から飛び出した感想は興奮気味で、一生懸命に感動を伝えようとしてくれる彼女にふっと優しい息が洩れる。弾んだ声が失速しだしたことに気が付いたのはそのすぐ後のことで、みるみるうちに薄い膜が瞳を覆い、ぽろりと涙をが零れ落ちるのを目にすると、ぎょっとして体重を預けていたテーブルから身を起こし。すかさず青年が「ど、どうしたんだ?」と当惑した表情で気遣わしげに声を掛けるも、当の少女も混乱しているようで、口を衝いて出るのは戸惑いの声ばかり。青年も青年で、お腹が痛いのか、本当は着いてくるのが嫌だったのか、何か悲しいことがあったのか、とイエスかノーかで答えられる質問に切り替えて思い付く限りの可能性を投げ掛け始め、事態は混迷を極める。――先程までの和やかな雰囲気から一転、落ち着きを欠いた場の空気の中、いち早く平常に復したのはやはりと言うべきかいつだって鳥瞰的な自分だった。焦燥のあまり更に質問を重ねようとする青年を静かに名を呼ぶことで制すると、彼ははっとして短く息を詰めた後、素直に口を噤む。一先ず猛撃が止んだことに密やかに息を吐き出せば、次いで、まるで見つかってはいけないもののように強引に涙を拭った少女の頭上へと手のひらを乗せ。憶測ならいくらでも立てられるが、彼女の隠そうとしたものを出会ったばかりの自分達が無理に聞き出すのは筋違いだろう。「何も言わなくていい」囁くような声音でそうこぼして、落ち着かせるように金茶の髪の上で手を二、三度跳ねさせる。そのまま波が引くようにそっと手を退ければ、またテーブルに肘を置いた姿勢に戻り、努めて明るい声を出して食事の続きを促して)
――さあ、冷めないうちに食べてしまいな。


(/いえいえ、どうかお気になさらず!セラフィナ様および背後様からのお返事を、日々の楽しみとしてお待ち申し上げておりました。お忙しい中のご連絡とお返事、ありがとうございます……! まだまだ寒い日が続きますので、どうぞお身体にはお気を付けてお過ごしください。/蹴り推奨)



  • No.27 by セラフィナ  2023-01-17 01:36:58 



(どれだけ拭っても零れ落ちる雫は止まるところを知らず、さながら決壊した土手か底の抜けた瓶のよう。自らの涙の理由も理解しないままに口を開いたところで、意味の通った説明などできるはずもなく、焦りが呼吸を詰まらせれば控えめに嗚咽が漏れた。辛くも悲しくもないのだと、彼らにはひとつの落ち度もないのだと、そう伝えたいのに上手くできない。青年から矢継ぎ早に投げかけられる問いには首を横に振ることで何とか答えているものの、その速度についていくのがやっとで、開いた唇から零れるのは困惑を孕んだ母音だけ。別の意味でも泣きそうになりながらへにゃりと眉を下げ、いよいよパニック寸前と言った様子でしゃくり上げていれば、ついには青年の問いすらもきちんと拾えなくなってしまって。気付けばフォークも手から離れて皿の端へと転がり、両手で目元を擦りながらひたすらに首を横に振ることしかできない。「ぁ……ちが――ちがく、て……っ、わ、たし……」しかしそんな時間は長く続かず、不意に静止の色を伴った声が帳のように降りてくれば、自分の名が呼ばれた訳でもないのに思わず動きを止める。同時に青年からの問いかけも止んだため、何か言わなくちゃ――そう思って顔を上げようとした矢先、頭に触れる優しい感触に、濡れた睫毛を大きく揺らすように一度瞬いて。そのまま宥めるように触れてくれる手と、ごく小さな声音で告げられた一言はまるで福音のようで、自分でも驚くほどにすんなりと受け入れられた。次ぐ仕切り直すような言葉には唇を噤んだままこくりと頷くことで返事に代えれば、最後にもう一度だけ袖口で目元を拭ってから、再びフォークを手に取って。擦り過ぎて赤くなった目元がひりひりと傷むのを感じつつ、やり直すように再度オムレツを口へと運ぶ。味わうようにゆっくりと咀嚼し飲み込んだのちに、スープやサラダ、ベーコンやパンへと次々に手を伸ばせば、それぞれ一口ずつを口にしてから顔を上げて。瞳に涙の名残はあるものの綻ぶような笑みを彼らへと向けては、今度は抱えたものが零れてしまわないように、目の前の食事に集中することにして食べ進めていき)
――――おいしい、です……っ! ありがとうございます。ジルさん、ノトムさん。


  • No.28 by ジル・ラズリー  2023-01-21 23:42:38 




(向けられた笑顔は雨上がりの晴天を思わせた。雨降って地固まるとはいかないものの、形ばかりでも笑みを湛えた少女を目にすれば、不意に虹を見つけた時のようにふっと心が軽くなる。張り詰めていた気を長い息に代えて吐き出した後、無意識のうちに呼吸が浅くなっていたことに気が付くと、二人の客に悟られないようさりげない深呼吸を一度。それから点検するように体の各所へと意識を向けては、それぞれ膝と机上で固く結んでいた左右の拳からもゆっくりと力を抜いて。体の強張りを解いてしまうと、店内には微かな息遣いと少女が一心に食事を進める音だけが響く。町の軽食屋に洒落た背景音楽など流れているはずもなく、その他には時折風が窓ガラスを掠めてゆく音が聞こえるばかりで。三人きりの店内、一つのテーブルを囲んで大人が子どもを見守る構図、机上の花、差し込む夕陽の色。眼前には先刻と何一つ変わらない光景が広がるが、そこに漂う空気は明らかに変質している。少女の肩越しに眺めていた窓の外の風景からテーブルの柾目へと一度視線を落とすと、涙の、というより摩擦のせいで赤く腫れた目元を見遣る。一目で傷付いていると分かる皮膚は、思わず手を伸ばしてしまいたくなるほど痛々しい。同じテーブルを囲む青年ならば、注意深く、しかし迷いなく触れるだろう。対して彼のような覚悟も愚直さも善心も持ち合わせない自分はといえば、不用意に触れて痛がらせるくらいなら、と目を逸らして見ない振りをするのだ。そしてそれは、詮索しない代わりに自身の抱える事情も詮索されたくないという気持ちの裏返しでもある。先程から肌に感じる青年の物言いたげな視線を躱すように少女へと笑みを向けると、まるで食事を供してから今までに何も起こらなかったような、馴れ馴れしくも余所余所しくもない口調でおかわりを勧め。それで役割は果たしたとばかりにお茶を濁すと、少女の空腹が未だ満たされていないのであれば空になった器に再度食事を盛り、もう満腹だと言われれば食器を下げて説得の間カウンター内の洗い場に留まるつもりで)
はは、いいえ。おかわりもあるから、いくらでも食べてってくれよ。



  • No.29 by ジル・ラズリー  2023-01-30 13:48:36 




(/無言の期間が一週間を過ぎましたので、お相手解消とさせていただきます。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました……!)



  • No.30 by セラフィナ  2023-01-30 23:31:20 



(/無言でお約束の期間を空けてしまい、大変申し訳ございませんでした。
偏に纏まった時間が取れたら返信を綴ろうと、一言告げるのを怠ってしまった当方の責任です。こんなことを言えた立場ではございませんが、後悔先に立たずと言う言葉の意味を痛感している次第です…。
ジル様、そして背後様と物語を紡ぐことができた時間は、とても楽しいものでした。こちらこそ、ここまでお相手下さりありがとうございました…!)


[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:1対1のなりきりチャット







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック