サン・テグジュペリ。 2022-11-20 11:57:35 |
通報 |
だといいのだけれ、……中也?なに、それ。
(でもやはり、あの少し傷付いたような表情にいたたまれない気持ちになる。次会った時には、たくさん甘やかしてあげよう、なんて思いながらも、アタッシュケースを持って戻ってきた中原にめをぱちくり。首を傾げながらもそれを指さして)
紅葉さんに借りてきた、せっかくの舞台にいつものメイクじゃ物足りねぇだろ
(わざわざ3年生の教室まで行き、色々からかわれながらも借りてきたであろうアタッシュケースを置いて中を開くと、まるで俳優やモデルが使用するようなメイク道具が揃っており。「まぁこの道具を使いこなせるかは分かんねぇけどな」と、言いながらもそこらの女性とよりも手馴れた動作でメイク道具を手に取って)
あら、!!あとで紅葉さんにお礼言いに行かないと、…ふふ、ありがとう、中也。
(目をぱちくりとさせながらも、自分のためにわざわざ3年の所まで行ってくれた中原に嬉しさから笑みを浮かべつつも、慣れた手つきで化粧道具を手に取る彼に、慣れているなあ、と内心思う。化粧しやすいように、と目を瞑っては、少しだけ顔を寄せて)
手前がお礼言いに行ったら喜ぶだろうよ
何色を入れて欲しいとか今言わねぇと、俺の好みになるからな
(「早く行動しないと太宰に取られるよ」なんて釘を指してきた紅葉先輩の顔を思い浮かべて。イエベだがブルベだか知らないから、今回は自分が似合うと思うメイクをしようとしてはいるが、まずは彼女の好みを聞こうとし)
んー…なら、中也好みにして頂戴な?せっかく、貴方にお化粧してもらうんだし、貴方のすきなようにやって欲しいわ、
(少し首を傾けて悩むも、目を細めながら微笑を浮かべた。折角のミスコン、誰かが好きだと思ってくれるような自分にしたいなと思っているからなのか、中原の好みにして欲しいと頼んでみて)
……なんだそれ、変になっても知らねぇぞ
(言ってる意味わかってんのか、なんて喉まで出かかった言葉を何とか飲み込んで、呆れたように笑ってしまう。その笑っている顔は、周りの人には決して見せないような優しげな雰囲気で。変に緊張してしまい、震える手を何とか堪えてスキンケア、下地、ファンデーション、パウダーと化粧の手順を踏んで)
中也だもの、大丈夫よ。
(中原を心から信頼しきっているような発言をしながらも、中原のその優しげな笑顔につい顔が綻んでしまう。いつもこんな顔してれば、不良だとか勘違いされないのになあ、なんて考えながらも彼が化粧をしてくれてる間、目を瞑り、まるでいわゆるキス待ちのような表情になっていて)
…そーかよ、なら好きにさせてもらうぜ
(信用してくれてる言葉を素直に受け取れない自分がいて。どうせ優しい彼女だから、俺以外のやつにも普通の顔して言ってんだろとか、変なことを考えてしまっている。あの太宰みたいに歯の浮くようなセリフだって口にできない。アイメイクには彼女にピッタリの淡い桜のようなピンクを、アイラインは黒く強い印象を持たせて。涼やかに、けれど華やかに煌めくグリッターを乗せて、ひと段落ついて。チークは彼女のもつ健康的な色味を生かすように薄く、ハイライトはあまり付けるとギラギラしてしまう。最後の最後にリップで締めようとしたが、どうしてもどの色が決めれずに聞いて。)
リップだけは手前が決めろ
ん、……んー、そうね、…なら、これにするわ。
(黙々とアイメイクをされながらも、すごく手慣れているな、と自ら、そう思って頼んでいたのにも関わらずその意外さにちくりとまたも胸が痛んだ。仲のいい友人の、今まで知らなかった一面に、少しだけ寂しいな。と思ってしまう。リップだけは自分で決めてと言われては、目を開け、自身のものと紅葉のものとで見比べ、しばらく悩みつつも選んだのは、中原の髪色を彷彿とさせるようなパッケージのリップティント。唇に乗せるとコーラルピンクに発色し、健康的で、されど可愛らしく、僅かに妖艶な色味で彼女らしさを演出していた。)
これか?わかった、目ェ閉じろ
(醜い嫉妬心にも似た感情を押し殺して、指名されたリップを手に取り。自分の趣味で行くのであれば血のようにくどく、真っ赤なリップを選びたいところだが、流石に彼女には合わないのは分かっていて。選ばれたそれは健康的な色味で、素直にいいなと思い。オレンジのパッケージに、自分の髪色を思い浮かべたが、そんなことを口にできる訳もなく、目を閉じろと指示して。これ以上メイクアップされた彼女をまっ正面から見ていると、心臓が持たない気がして)
ん、
(小さく声を漏らし頷いては、言われるがままに目を閉じる。空き部屋の外から聞こえる生徒たちの声に耳をすませては、時折ミスコンの言葉が聞こえてつい緊張で肩が強ばってしまう。自分を美しく思っている訳では無いが、彼がこうして着飾ってくれている以上、誰かに美しいと思われたい、そう願っていて)
誰がなんと言おうが、今の手前は綺麗だぜ
俺が保証してやるよ
(彼女が小さく漏らす声にさえ、感情を揺さぶられている。緊張で固くなるのが手に取るようにわかったのか、真剣な顔して鼓舞するように。彼女は何もせずとも美しいとは思っているが、こんな付け焼き刃のメイクで大丈夫か、という不安は残っている。その不安をかき消すように、まるで自分に言い聞かせるような言葉にも聞こえて。リップを終えて大きめの鏡を出し、確認を促して)
こんなもんでいいか?修正したいところがあったら今のうちに言えよ
…!まあ!中也、貴方凄いわ!すっごく綺麗…、!
(目を開き、鏡を見てはぱっと顔を明るくする。鏡の中に映る自分が、まるでお姫様のようで、自然と笑みが零れてしまった。少しはしゃぎながらも、「修正点なんてないわ、貴方に頼んでよかった!」と彼を絶賛する。少なくとも、目の前の彼は自分を綺麗と思ってくれている。それで緊張がほぐれてきているのか、表情は柔らかくなっており、「本当にありがとう!」と彼の気も知らず、感謝の気持ちを体現するように彼に抱きついて)
ならよかった、…太宰の奴には店に行かなくていいのかよ
(心の底から喜んでいるのがわかって、人知れず安心して。絶賛されることに悪い気は全くしないが、素直になれず「そんなにはしゃいだらメイク崩れるぞ」なんて言葉しか言えず。抱きつかれ一瞬目を見張るが、自分の体にあたる彼女の体温に心臓がうるさくなって。「ばか、離れろ!」と、少し赤くなって焦った顔で言うが、手は抵抗はしてない)
あっ。…そうね、そろそろ行かないと心配してしまうかも…
(太宰の名前を出されては、ハッとした様子で眉を下げた。焦ったように離せと言う中原に、申し訳なさそうにしながらも、「あら、ごめんなさい、」と、おず、と離れてしまう。彼とここまで密着することはなかったから、中原のそのがたいの良さに少しだけ感心してしまった。男の子なのだなあ、としみじみ思う。)
なら、そろそろ教室、戻りましょうか。ミスコンまでは時間もあるし、
そこまで一緒に行ってやるよ
(太宰のいる場所なんてムカつくが、大体わかる。あと、彼女を1人で出歩かせたくないのもある。申し訳なさそうに言う姿に「俺以外にはするな」と、いつもよりか細い声で言って。このミスコンに何もないことを願いながら、太宰のいる場所へと向かって。)
だからね芥川君、もっと笑顔で
(芥川のクラスはカフェをやっていたようで、席でからかっていて遊んでいる太宰の姿がある。さっき、中也の事を優先された腹いせに、真顔の芥川にちょっかいをかけて)
ありがとう、…あら?治、違うところ行ってるのかしら。
(中原と一緒に、一旦自分のクラスまで戻るも、そこに太宰の姿はなく。首を傾げては、少しだけ推理してみた。太宰のことだからきっと誰かをからかっている。からかっているとしたら芥川、芥川のクラスにいるのだろう。と推測しては、中原の服の袖をくい、と、引っ張って芥川のクラスまで行ってみた。すると、案の定芥川をからかっている太宰が見え、「治!」と声を掛けては、手をふりふり。)
メイク終わったんだね、とても綺麗だ
(可愛い後輩をからかうことはとても愉快な事だけど、彼女の声には適わなくて。席を立って彼女の元へと向かいメイクされた顔をよく見て。褒めるその顔は周りの人が勘違いしてしまう程に、愛しいものを見るような顔をしている。「中也にしてはいい趣味をしてるね」と珍しく褒められた中原は死に損ないの虫を見るような目を向けている。)
ふふふ、どうもありがとう!なんだか別人みたいじゃない?私、
(太宰にも褒められては、すっかり上機嫌に笑みを浮かべている。2人がここまで言うのだ、相当綺麗なのだろうなと少し自意識過剰にも思ってしまいつつも、太宰のその愛おしそうな顔には気付かず。時計をちらりとみては、もうすぐミスコンの時間だなあと思えば、すこしだけどきん、と緊張してしまい、)
映画のヒロインだって嫉妬してしまうほどの美しさだよ…!
(ご機嫌な彼女に大袈裟に褒めて。本心から言っているのは間違いないが、そう聞こえないのは太宰の日頃の行いのせい。「俺がメイクしたんだからから当たり前だろ」と、はしゃいでいる太宰に呆れながら言う中原を無視して「もうそんな時間が来たんだね、エスコートしてもいいかな」と、彼女に手を差し伸べて)
トピック検索 |