サン・テグジュペリ。 2022-11-20 11:57:35 |
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あら、……そう、なら、いいんだけれど…
(少し、ちくりと棘のあるような言い方に少しだけ悲しそうな顔をした。そうだよね、嫌よね…なんて勝手に解釈してしまいつつ、ブラウスのボタンの掛け違いなんて全く気付くこともなく、浅いため息を吐いては仕事用のスマホから番組監督への連絡などを済ませておき、ふと彼に身を寄せれば、「着くまで音楽でも聞いてる?」と、問い掛けて)
音楽はいいかな、…それにしても、今日はあついね
(トゲのある言い方をしてしまった事に気づかないほどに、ブラウスのことをどう言っていいか考えて。女性の下着なんて、何度も見てきたと言うのに、こんな事でドキマギしてしまうとは…と、自分に呆れて。ようやく考えた苦肉の策で、自分の服のボタンをいじりながら、彼女に大して笑いかけて。その時に、彼女の傷付いた顔が目に入り、自分のせいだと言うのに「どうしたの?」なんて、心配そうな顔をして)
うん?そうかしら、…クーラー下げてもらう?
(彼の苦肉の策も失敗に終わった様子。首を傾げながら問いかけるも、やはり自分のブラウスのボタンのことは全く頭の片隅にも浮かばなかったようだ。運転手に、クーラーを少し下げて欲しいという旨を伝えた後、彼からの問いかけには、首を横に振り、「いいえ、なんでもないわ、」と目を伏せて)
………ごめんね、はっきり言わなかった私が悪い。
(気づかない彼女の純真さに頭を抱えたいところを抑え、運転手に聞こえないように耳元で「ボタン、かけちがっているよ」と囁いて、指先で彼女のブラウスを指さして。「今すぐかけ直した方がいい」と、続けて忠告をする)
えっ?……ぁ、あっ。ごめんなさい、見苦しいものを、
(彼に耳打ちされ、初めて気がついた。自身のブラウスに視線を落としては、前屈みになれば簡単に下着が見えてしまう様になっている。頬を赤く染めては、あたふたとボタンをかけ直して)
見苦しいなんて、そんなことないよ
誰にもみられなくてよかった
(自分からしたらご褒美以外のなにものにでもない光景に、強く否定をして。恥じらう姿を見れただけでも、今日の仕事を頑張れる気がして)
…そう、??なら、…いいや!恥ずかしいから忘れてちょうだいね、
(いつもの癖で、なら良かったと言いそうになるも、かぶりを振っては頬を赤く染めたまま上目遣いに小首を傾けて。)
もちろんだとも、直ぐに忘れるよ
(いつものように誤魔化してみるが、忘れるつもりなんて毛頭なくて。そろそろいつもの調子が戻ってきたのか、車窓に写ったカフェを指さして「この前、ロケで言った場所だね」と、話を振って)
…あ。本当だ!あー…あそこのパフェがすこぶる美味しかったのよねえ、
(彼の指さしたカフェに視線を移しては、すこしきらきらと瞳が輝いた。そのロケの後、プライベートの時にひとりで来ては名物のパフェをたらふく食べたものだ。頬を緩ませては、「今度二人で行く?」なんて誘って)
美味しかったね
ご一緒したいのは山々だけど、大丈夫かい?
(甘味については詳しくもないし、どちらかというと苦手だ。でもここでそんなことを口にするほど野暮ではなく、いつもの笑みで交して。2人で行こうなんて天にも登るような提案に飛びつきたいところを抑え、少し眉を寄せて。この前2人で出かけた時に雑誌に取られ、スクープになったのを思い出して。その時は何とかなったものの、マネージャーである彼女の元にはかなりの文句が入っていたようで)
大丈夫って?………ああ、そういえば、…あぁ…不便になったものね、昔からの友達だっていうのに、男女ってだけでもう二人でどこかに行けなくなっちゃった。
(彼とは学生の頃からの友人だった。昔はたくさん出掛けていたが、今となっては、どこに行ってもスキャンダルに。熱愛に。スクープに。友情が劣情として変換され、世に出されるようになってしまった。彼には幸せでいて欲しいから、自ずとプライベートでの付き合いも減っていっていた。少し寂しそうな顔をしながらも、彼の心配していた事とは別の解釈をしていた。自分が他人にどう言われようが興味は無いが、彼にバッシングが行くのだけは、嫌らしい。肩を竦めては、眉を下げて視線を外し、)
これだから世間様は……、私たちの仲には何も無いと言っているのに。
(学生の頃は彼女とどこへ行こうが何も言われなかった。何回も2人で出かけても、当の彼女は意識さえしてくれなかったのは、今ではいい思い出だ。何も無いと自分で口にしたものの、勝手にショックを受けて。自分にヘイトが向いたとしても性格上気にもならないが、そのせいで彼女と一緒に居れなくなるのだけはどうしても避けたくて。)
本当よね、…でもスキャンダルは無いに越した事は無いからねえ、
(本当はまた一緒に出かけたい。友達らしく、出かけたいのに。悔しく思いながらも、眉を下げたまま、「仕方ない、ロケで近くを通る時なんかに寄りましょうか。それならとやかく言われないはずだわ、」と提案をして。)
そうだね、そうしようか
(彼女から見た自分なんて、まだ友達止まりなんて思われてるのは分かっている。それでも隣に居たらいつかチャンスが来る予感に期待して。彼女には見せないように寂しげな笑顔で返すと、運転手の方から「到着しました」と言われる)
(/返信遅れてすみません!!)
ふふ、…さ。行きましょうか、
(目を細めつつも、到着したと告げられては先に車を降り、彼側の扉を開けに行く。テレビ局の入口には、彼待ちだろうか。沢山の人が居た。裏口から入れるように車を停めさせたとはいえ、彼がここまで有名人になってしまっているだなんて、なんだか遠い存在に感じて、少し寂しそうな顔をした。)
またお出迎えされてるね、この前は少しはしゃぎ過ぎたから…今日は手を振るだけにしていた方がよさそうだね
(彼女に開けられた扉から降りながら、出待ちのファンを眺めてため息をついて。この前というのは、いつものように出待ちしていたファンにハグなんてしていたものだから、ファンの間の中でひと騒動があった。そのハグされた女の子が責められたり、むしろこっち側を責められたりもした。大宰の中では女の子には平等にしないと、なんて思っているから、心底意味がわからないなんて。)
ほんと~うに!この間のはやりすぎよ、全く、…………本当に人気者。
(すこしむっとしてしまうのは何故だろうか。彼がほかの女の子にハグなんてして、そんなのよくあった事なのに、すこし、胸がざわめいた。それを気にしないふりを、しつつ彼に手を差し出し、入口へと促そうとして)
女性を目に入れるとついね、本能が押さえられないんだよ…!
人気者にしてくれたのは君なのに
(わざとらしく演技じみたように言ってはいるが、本当に好きな彼女には指一本触れられない日々が続いている。促されるがまま入り口へと歩いていくと、当たり前のようにファンの子が群がってくる。「応援してます」や「サインください」なんてかかってくる声に「いつもありがとう」なんて、笑顔で手を振って)
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