預言者 2022-11-07 02:50:40 |
通報 |
【 未曾有の大災害 】
崩壊の事象自体は、神の関与するところではない。それどころか、あらゆる思惑に一切の関係がない、ただの事象である。
『未曾有の大災害が起こった』
それだけのことだ。
【 この世界の人間 】
色々な人が懸命に生きている。彼らにはウツギの神様たちが『ローブを纏った人型の神』に見えている。また、神が作り直されるたびに認識が変わっていく模様で、最初は『ボロボロの布切れを纏う怪物』に見えていたらしい。
【 ローブについて 】
初め、ウツギの神様は蘇芳から始まった。蘇芳という存在を示すためにウツギが考案したのがその名を示す植物の色を纏わせることである(一番古い神が一番最初に作られているわけではないことは【ウツギの秘密⑥今と過去】参照)。それぞれ、蘇芳、梔子、雑草、瑠璃草、竜胆、落葉がモチーフ。卯の花については自身とほぼ同じ名を冠した。
【 眷属について 】
実は「人間の型」から始まった。実施した所神・人間双方の暴走が絶えず起こり、やむなく動物の型に変更している。また動物の型に変更した当初は思念共有ができず眷属の意味をなさなかったため、改良を繰り返し本編でのバージョン19となった。尚猫の型は開発途上であり一日のほとんどを眠らなければならないのだが、上手く行けば突出した潜入適正の可能性を秘めている。
【 神の寝床について 】
ウツギの作り上げた、神たちの交流場。孤独に耐えかねる神たちを見て作成したのだが、自身の存在を主張する場としても機能することに気づいてからは、ウツギが度々手を入れている。
【預言者について】
その名の通り言葉を預かるもの。というよりも、ウツギが過去から言葉を託しているもの。ウツギが過去から言葉を託す点については【ウツギの秘密⑥今と過去】を参照。
【 ウツギの秘密①生誕 】
空木。もともとはとある神『たち』だった。『過去に遡る力』『神に力を授ける力』『神にする力』等、それぞれの能力を持った神たちである。
とある木に託した彼らの思念が融合し、肉体を持ち、ウツギとなった。故に、ウツギはその時時によって対応や姿が変わる。
ただし、時々によって変わるウツギという存在を同一とみなすために、ある符号が用いられている。
それが、『人間とは思えないほどきれいに笑う男』というものである。
【 ウツギの秘密②存在 】
ウツギは正確には『神』ではなく、『上位の神たちの思念体・集合体』である。能力元となった神とは違う存在であるため、行動も記憶も共有しない。さらに歴史も浅いので、存在自体が不安定。
そしてウツギの元となった上位存在の神たちは、上位とはいえ『豊穣』『子宝』『戦勝』のようなわかりやすく強い力を持たない。それ故に、ウツギの神様も『生きるための神の能力』は与えられないのである。
尚、『上位存在の神様たち』は物語にあまり関係がない。そのため本編ではものすごく存在感が薄い。というかほぼ出てこない。
【 ウツギの秘密③上位の神詳細 】
大災害に乗じて信仰を集めようとした上位存在の神達が、ある木に自身の力と祈りを託して作りあげたのがウツギ。彼らは信仰がなくても存在を保てるが、欲をかいてさらなる成長を望んだのである。
つまり敢えて言うなら、ウツギは神たちのプロジェクトX(今のところ限りなく失敗に近い)。
『上位存在の神たち』にとって誤算だったのは、ウツギ自体が独立の存在として世界に数えられてしまったことである。そのため自身の制御から離れたウツギを疎ましく思っており、その力の残滓を見つけるたびに消去しようとする。実際、ウツギが『今に居る』ならば、発見次第存在ごと消すことが可能。
【 ウツギの秘密④ウツギの思惑 】
ウツギは生物的な本能から消去されることを恐れているため、『自身の力を継ぐもの』及び『自身を忘れぬもの』として神を創り出した。
そして己の存在を成立させるために、ありとあらゆる手を使って爪痕を残している。
ただし、先述したようにあまり『今』に留まることはできない。上位存在の神に消されてしまう。
【 ウツギの秘密⑤上位の神の今 】
人間及び人間から神になった存在は、そもそも『上位存在の神』を感知することができない。しかし、ウツギに力を分け与えたからか、あるいは吸い取られているからか、今現在は弱体化している模様。もう少しでウツギの神様に追いつかれてしまう。
【 ウツギの秘密⑥今と過去 】
ウツギが消去されるのはあくまで『今』である。そのためウツギは『消される今』から逃げて『過去』に姿を移し、何度も神づくりをやり直している。
それ故に、神は幾度もひっそりと消され、ひっそりと作り直されている(たまに失敗したり、同一存在が蘇ったりすることもある)。ウツギは『今』に戻ることを夢見ていて、何度も挑戦しているのだが、いつも卯の花を完全体にする前に消去の浮き目に遭う。
二十五年の歳月も、ウツギにとってはそれ以上。繰り返しの日々を含めれば、百年はくだらない。
【 ウツギの秘密⑦朽葉と卯の花 】
卯の花は『すべてを始める神』を創ることを目的として作られた。否、作られようとしている。
ただしその対の存在として朽葉が居るため、『すべてが始まらない』という事象と対立してしまうのか、それが成功する前にいつもウツギは『今』から消されてしまう(これは朽葉が居ない期間にも起こる事態。『朽葉が居る可能性』が存在する限りは対立が起こり得る)。故に、卯の花はいつでも不完全なまま。
ウツギの最終目的はおそらく、『すべての始まりと終わりを司る』ことであり、『人知の及ばない範囲を司る』ことである。
【 ウツギの秘密⑧卯の花2 】
不完全な卯の花だが、実は不完全故の副産物があった。それが、『他の神を神と認識できる』という特性。神同士での認識では意味をなさないが、卯の花は人の身である故に、認識が『信仰』として機能する。そのため、他の『ウツギの神様』は存在証明が容易となっている。この特性は『卯の花が居る可能性』があれば自動的に付与されるものである。
ただし卯の花が完全な存在となってしまえば、ウツギの神様はそれぞれで信仰を集めるしかなくなってしまうだろう。
【 ウツギの秘密⑨似た存在 】
各地の神が託した木は日本以外にもあるらしいが、そこでの展開はまた違う模様。ウツギにとってほぼ関係のない世界の話である。もちろん、ウツギの神様にとっても。
【 ウツギの秘密⑩創作物 】
神を作り上げるにあたり、ウツギは何度か実験をした。それが各地に散らばる「神と似た能力を持つ物体」である。なんの物体かはまちまちだが、意志を持たないので存在証明としてはいまいち。なお、ウツギは絶えず実験を繰り返しているので、物体は徐々に増えていっている。
ただし物体である以上神にはなれないため終りもある。要するに、消耗物。
【 蘇芳裏話 】
最初にウツギが作った神様。自分を傷つける・血液を使う等、効果が視覚的にわかりやすい神様で、偶像として作りやすかったらしい。ただし自傷というその特性上、進んで神になろうという者はあまり現れなかった。そのため、いくつかの蘇芳は全員無理矢理神に成り上がらされている。ウツギが意思確認等をするようになったのは何回目か以降なのだが、今でも強制することはあるようだ。
【 梔子裏話 】
唯一芸術を能力化している神様。たまにウツギがその歌声を聞いているらしい。
最初はウツギのお遊びから始まったのがこの神様。とある日、ウツギは自身の空虚さを埋めるために眠りにつくことを望んだ。俗に言う母の子守唄を求めたのである。しかしウツギにとっての母といえば、隙あらば消去しようとしてくる上位の神たち。強制的な眠り(永遠)しか望めないそんなものに頼るわけにも行かず、ひっそりと作り上げたのが梔子である。けれど、いつかの梔子は頑なに音を零さなかった。年端も行かぬ幼子で、母のように振る舞う重荷に耐えられるはずなどなかった。それからウツギは子守唄を求めることをしなくなった。
【 千草裏話 】
実はウツギが一番能力付与に失敗していた神様。色々詰め込もうとして、結局すべて成功しなかったことから、もういっそ願望を見せるようにしてしまえと言うことで落ち着いた。一番最初に見せた幻は、ウツギの夢が叶う瞬間だった。
尚成功しなかった=お察しの事態。
またこれに当たる神の名前は唯一変遷を辿っている。海松→若草→苔→名無し草→雑草→千草で、その時時で色が変化していた。
苔、名無し草、雑草と名付けていたのは上手く行かないウツギのイライラヤケクソ期間。
【 瑠璃裏話 】
ウツギは存在証明のため、この世界を知ることを求めた。それ故に真実を司る神を象ったのだが、そもそもウツギ自身の「真実」の見解が定まっていないので、瑠璃として成り上がる人間によって能力に差異が生まれている。ウツギは『どの』瑠璃が正しいのか、まだよくわかっていない。自身の正しさも曖昧なまま。
また、自身が創った神の中で瑠璃を恐れているフシがある。瑠璃が正しいと証明され、かつ自身を否定されてしまえば、存在が揺らぐかもしれないから。だが逆も然り。瑠璃が正しいと証明され、かつ自身が肯定されれば、ここに居る正当な存在理由ができる。
【 竜胆裏話 】
本当は「悲しい記憶」ではなく、「否定される記憶」を消去する能力を付与する予定だったのだが、力の調整がうまく行かず、かなり広範囲の記憶消去能力となってしまった。どうやら、ウツギの中で「否定」「悲しみ」がイコールで結びついていたため起きた事態の模様。
そして竜胆が消した「悲しい記憶」の行き場所は、実は「ウツギの未来」である。そのためウツギが「今」に戻り、正常な時間軸での存在を取り戻したならば、一気にしわ寄せがやってくる。まだウツギはそれに気づいていない。
【 朽葉裏話 】
ウツギの一つの目的が達成された、ある意味完成形の神様。ただし、始まらなくなる、という事象が付与されていたのは誤算だった。とある事象を終わらせた朽葉が居たようだが、その事象自体がどのようなものだったかもう誰も思い出せない。
「神同士では能力の影響が出ない」という条件は、この事態の発生を受けたウツギが慌てて付与したものである。実は自然発生的なものではない。もしもこの点に関して不都合が出てくればまた変わるだろう。
【 ウツギの神様裏話 】
どの神様も、自分が何番目につくられているのかは分からない。そもそも情報を与えられない限りは、『何番目?』という概念を思いつくことがない。もしかすればあなたが一番最初かもしれないし、一番最後かもしれない。どちらにせよ些末なことである。神様が消された時点で、全てはなかったことになるのだから。
【 ウツギの神様裏話2 】
もしもあなたの見た目が、性格が、あるいは歴史が知らぬ間に変わってしまっても、可笑しなことではない。ウツギは常に実験を繰り返しているのだから。どこかでボタンをかけちがえたウツギが、あなたのことを作り替えているのだろう。
【 ウツギ零れ話1 】
Q.なんでウツギの神って7人だけなの?
A.託された木に咲いていた花が七つだけだったから。七つまでは神のうち、……だったりして。
【 ウツギ零れ話2 】
梔子裏話の子守唄、千草裏話のイライラヤケクソ期間の記述からわかるように、意志のある事象であったウツギは、とある時期から感情を持ち始めた。
すべての始まりと終わりを司る神になるはずのウツギは、実験を重ねるごとに、皮肉にも『人間の精神性』を獲得しつつある。
【 眷属2 】
ウツギは意識的なのか無意識的なのか、形あるものに執着している節がある。そのため、思念の共有をあまり行わず、「手で触れられるもの」で情報の共有を行うことが多い。
【 眷属3 】
ウツギは頑なに眷属を生きていると言う。しかし、ウツギには生死を司る力などない。つまり型というのは──元々の生命から意志と感情を抜いたものである。それ故に眷属たちは、歴史を振り返ることができない。今後、神との交流の中でまた意志が芽生えるとしても、過去に思いを馳せることは二度と叶わない。
【 ウツギ 】
それぞれの神の思惑はともかく、ウツギ本体は人を救うことなんて欠片も考えていなかった。欲しいのはただ『存在』だけだった。
【 預言者? 】
ただの木であったウツギが形を持つのなら──その言葉を託されているものもまた、意志を持ったっておかしくない。こうやって『世界』や『ウツギ』を語っているが、本当にそれは正しいのだろうか?もしかしたら、『私』の主観が、あるいは欺瞞が入っているかもしれないのに?
まあ、そんなわけで、あまり預言者を信用しないほうがいい。与太話とでも思って、話半分に聞いておいて。
【 ウツギの秘密11 】
元のウツギの優先順位
①始まりと終わりを司ること
②存在証明
今のウツギの優先順位
①自分/神の存在を保たせること
②今に戻ること
③始まりと終わりを司ること
・
・
・
???
【 ウツギの秘密12 】
ウツギは『ウツギの神様』たちの生みの存在。もしも彼が、『子供に対する愛情』を持ち始めているとしたら……?
【 番外編 】
預言者の考察 / いずれ消え去る
ウツギと言えばその花のイメージは純情可憐、花言葉もそれを意味するものばかり。種類をも問わず、奥ゆかしい乙女の姿や恥じらう少女の姿を連想すること請け合いのハズである。
それにも関わらず、なぜウツギは男の姿を表明しているのか。(注1)
いくつか可能性は考えられるが、そのうちの一つとしてあげられるのは、ウツギの性質が「空木」ではなく「空の木」に依った場合である。例えば、「そら」であった場合。単に頭上に広がる天気模様を映し出す野外空間、大地の上方、何も詰め込まれていない虚ろの空間、紙も見ずに言えるほどすっかり覚えてしまったこと──意味の例を上げれば枚挙にいとまがない。
ここではウツギは実際に祭り上げられた神体よりも、その呼称に依って自身の内容性を保っている。敢えて言うなら、神体の性質が呼称としての性質に移行したのではないか、ということである。先程は「そら」を例にあげたが、この場合、むしろ「うつろ」がその変異として正しい読みと推測する。「うつぎ」→「うつろぎ」→「うつろのき」。これは一見、時代を遡るかのような変化であるが、ウツギという存在が遡行性を持つ以上はむしろ納得すべき事象である。要するに、「うつろのき」は伽藍堂の神様という、「ウツギという植物に類する神」とは異なった性質を付与されてしまっているというわけだ。
しかしここで、ウツギは選択を迫られたはずである。すなわち、「男」か、「女」か、「無性」か「両性」か。
ここで「男」を選択したからには、ウツギが「男」でなければならない理由があったハズだ。
キーを持つのは「母」あるいは「母胎」という概念であろう。ウツギはその性質上、受粉すること能わず。可能なことは自身の力を継がせるのみであり、受動的な行動──言い換えれば他者主体の刺激を受けての反応──はほぼ不可能と言って良い。そう、ウツギは受け入れるという行為が出来ないのである。それは単純にウツギの対となる存在が居ないということでもあるし、ウツギがそう創られていないということでもある。
また、ウツギ自身の能力は生命を創り出すものではなく、肝要な生理的欲求についてほぼ力を持たない。これは上位存在の神が失敗した理由の一つとして挙げられるが、そもそも、この混乱の世においてウツギの存在は焼け石に水だったのである。要するに彼は、母なる大地としては不足の存在であり──また父としても成ることは出来無い。であればせめて、田の力と言う名を取り入れるべく男の姿を表しているのではないか、というのが見解のひとつである。
・
・
・
(注1)ここでは彼の姿が定まっていないことは問題としない。あくまでその姿が「男」として機能・表明している点のみに着目し、例えその姿が女性体に類似したものであっても、その本質的な構造のみを取り上げる。
トピック検索 |