通りすがりさん 2022-09-29 11:16:31 |
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(ゲダツ)
「ふん、その呼び名は…(昔)を思い出す――つまり末っ子なのだな。」
“ゲダツ様”という呼び名に一瞬複雑な感情を抱く蜘蛛頭の巨漢だったが、振り払う様に頭を振るい、末の妹だという彼女(雪華綺晶)の言葉に人形にも兄弟姉妹というモノは在るのだなと思いながら…
木目作りの廊下を抜けて、休湯中故にガラリとしている食堂に到着すると、食事の受け渡しの調理場と直通している箇所に動く影が見える…
「奴は“イタマエ”番長――この(うっかり湯)の飲食物提供の殆どを請け負っている“ヒューマンドリル”の亜種よ。」
“イタマエ”番長と呼称されている、文字通り板前の格好をした妙に職人風の貫禄のある大きなヒヒは、口にキセルを咥えて煙のわっかをプカプカと浮かべながら、やって来たゲダツと雪華綺晶をねめつけて、特に見ない顔である彼女(雪華綺晶)に大しては不思議そうな視線を向けて…
「イタマエ番長、賄い飯を頼む。――キラキショウよ、お前は何か欲しい食べ物なり飲み物はあるか?大抵のモノは頼めば奴が作ってくれるぞ。」
と説明しつつ、一角のテーブルの椅子に腰を下ろし…ておらず、そのまま椅子をどかして空気椅子状態で寛ぎ始める蜘蛛頭…どうやら本気で椅子の存在に気付けていない様だ。
>雪華綺晶
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