匿名さん 2022-09-15 18:22:16 |
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( 連れてこられた時よりも大分相手も落ち着いてきているとは思うが、時々噛み付いてくるように嫌味を言うあたり、ここで過ごすことにはまだ納得していないだろう。まぁ、それもそのはずで、彼らが今も尚苦しい生活をしているのは貴族のせいだ。ずっと、この現状をどうにかしたいと思ってきたが、自分の立場ではどうにもならず、もどかしい気持ちが募るばかり。
本のページを捲れば、記された点字の凹凸を手のひらで撫で、小さなため息を一つ。せめて、視力さえあればこんな所にいなくて済んだかもしれないと考えるが、今頃タラレバ言っても仕方がない。)
……あら、お帰りなさい。
気持ちよかった?…あ、私ったら使い方も教えずに。
( ふと、階段から足音が聞こえ、彼がやったきたのを察すれば上記を述べる。そして、浴室の場所を教えただけであって他は何も教えていないことに今更気づき。誰かをもてなしたこともない故に盲点であったと申し訳なさそうに眉をひそめる。
しかし、相手がそれよりも気になったのは、自分が手にしているこの本のようで。あぁ、と優しく微笑めば、手招きをして本を彼へ差し出した。)
“点字”というもので書かれた本なの。この凹凸が文字を表していて、指でなぞって読むのよ。
( / 大丈夫ですよ!おかえりなさいませ(´ω` ) )
ふーん…不便だな。
(手招きされた近寄ってみれば、疑問の種であった本を渡されて。そこに文字は書いておらず、ただ凹凸が刻まれているだけであり、聞けばその凹凸で解読するのだそう。盲目の相手のためにあるような代物だが、自分にとっては不便極まりない。ついさっき出会った人物に対して気遣うつもりもないのかさらりと上記のように呟けば「ん。」と、気が済んだらしくその本をこつんと相手の額に当てながら返却して。「よっ…と。」と、今まで体験したことのない上質なクッションがついた空いている椅子にどかっと大胆に腰掛ければ「毎日こうやって一人で過ごしてるのか?」と、どうやらこの建物には本当に己と目の前の令嬢以外住んでいないようで、湯浴みをするまでの時間で人の気配を感じられなかったのかそう問いかけ。)
( 唐突に本で額を小突かれれば、驚いたようにビクりと肩を跳ねさせて本を受け取る。このような事をされた事が無いため余計に驚いたのだろう。小突かれた額を擦りながら「 でも、覚えてしまえば簡単なのよ 」と苦笑いしながら答える。とはいえ、点字で書かれた書物は高価なものであり、これは昔、優しかった1人の使用人がこっそり手に入れてくれたもの故、他に自分の読める本などなかった。
相手が近くの椅子へと腰掛ける音を聞けば、其方へ体を向け直し、問われた質問に返答しようと口を開く。)
食事の時間には本棟へ行かなければ行けないのだけれど、その他の時間はここに居るわ。この目では、一人で出掛けることも出来ないし…。
私とは皆、必要以上に会話をしないから、こんなに誰かとお話したのは久しぶりよ。
( これまでは厨房のある本棟まで行き食事を与えられていたが、彼が来たことによってそれがどう変化するかは今のところ分からない。だが、今までの生活を振り返れば、自ら本棟に行くのはそれぐらいだったし、他者の気配を感じられるのもその時間ぐらいだった。
返答しながら終始俯き加減だったが、暫くすれば顔をあげて「おかげで暇つぶしは得意なの」なんて言って肩を竦めて笑いかける。)
へぇ。じゃあ飯時になったらあそこは開けてくれるのかねぇ。
(食事に行くとき以外はいつも一人。何もせずに食事が出されるのなら自分たちからしたら夢のような日常だが、そのような代わり映えのない日常が続いてしまうなど、自分だったら退屈で死んでしまいそうだ。不幸な星のもとに生まれてしまったとはいえ、己の敵である貴族の相手に同情の念など一寸もわかないらしく、興味の薄い反応をしながら、執事は用意しながらさすがに娘を餓死に追い込むようなことなどしないだろうと上記を述べて。)
…っ。あのなぁ、俺はスラム育ちで男なんだぞ。少しは警戒心を持ったらどうなんだ。
(うつむかせていた顔をこちらに向けながら笑顔の表情を浮かべると、先ほどから見ず知らずの男に対して少し慢心が過ぎるのではないかと告げて。こちらから嫌っているのだから相手もこちらのことを嫌う資格はあるはず。だというのに目の前の令嬢は先ほどから笑いかけたり、手招きをしたりなどとまるで知人に接するように対応するので拍子抜けしたのか、なんだか調子がくるってしまいそうで。)
( 相手は相変わらず退屈そうで、軽く返される言葉に「 えぇ、きっと 」とだけ返し此方も肩を竦めるとバルコニーから流れる風に一つ息を吸い込んだ。普段、本棟に行く際はまるで空気になったかのように存在感を消しつつ静かに過ごすが、今回は彼が一緒だ。恐らくあの人が黙っている訳もなく、少し夕食の時間が気がかりだが、まぁ、今心配してもどうしようも無いだろう。
何処か他人事のようにそんなことを考えていれば、呆れ返るような声音が聞こえてきて、空を見つめる瞳で数回瞬きを繰り返した。)
………あら、貴方だって、ふんぞり返って私の隣に座っていてもいいの?
油断させておいて、貴方の言う通り“お嬢様”の私が一声上げれば、実は兵がなだれ込んでくるかもしれないわよ?
( 肩から垂れる乳白色の髪を手で振り払いながら背筋を伸ばし、言い返すようにして上記を述べる。閉鎖的に見えて、実はしっかりと兵力を持ち自分の地位を確立しているとなれば、スラム育ちの彼がこうやって近くに座っていられる訳は無いだろう。
もちろん、実際はそんな事全くなく、無垢に言い返さんとする所は年相応のただの少女のようで。こういったところも、また警戒心が無いと怒られてしまうだろうか。 )
ダウト。そんなに大事にされてるお嬢様なら、それこそ俺みたいなやつよこさないだろ。
(相手はまるで気を取り直すように、背筋をしゃんとしてこちらに言い返せば相手のハッタリをすぐに看破して。もし、相手のために兵がなだれ込んできて守ろうとするぐらいなら、素行も悪く、執事としての教養もない己を相手のおつきになどしないだろう。それに、そんなことになるのならそれこそ相手が声を上げる前にその口を塞いで首を折ることさえできる。先ほど警戒心を持てといったばかりなのに、そんなことも想像できないのかと思えば相手の楽観さにほとほと呆れてしまい。)
(/これからどのように進めていきましょうか?)
…ふふ、私ったら、こう言うのは慣れていなくてダメね。
( あっという間に論破されれば、今度は言い返すこともせず素直に敗北を認め、両肩を竦めて小さく笑った。こうした些細な言い合いでさえ自分にとっては初めての事で、またも気の抜けた笑みを零すものだから、三度彼に怒られてしまうだろうかと、気を取り直すかのように咳払いを一つ。)
確かに、貴方へは警戒心を持つべきかもしれないけれど……人を、嫌いたくないのよ。
私自身だけでも、その人の、ありのままを受け入れていたいの。信じるのは自由でしょ?
( 先程は誤魔化すように言い返したが、今度はそうはせず、静かに自分の気持ちを伝える。小さい頃から蔑まれてきたが、それでも自分の家族を憎めはしなかった。お人好しだと周りは笑うだろうが、ここで自分自身が愛されることも信頼することも諦めてしまえば、もしかしたら、愛され信頼出来るかもしれない未来さえ、無下になってしまうのでは無いかと思うのだ。
しかし、上記を言い終え一間開けると「 でも、貴方が迷惑ならば控えるわ 」と優しく微笑めば椅子から立ち上がる。その際、膝に置いていた本がそのまま床に落ちてしまい、拾おうとしゃがみこんでは手を右往左往させる。)
( / 雑談が長引いてしまい申し訳ありません;
夕食時になり本棟へ出向いた際、姉を投入しようかと考えておりました!口が悪く劣悪な姉なので、那月くんがひと暴れするのもよいかなーなんて思っております() )
…立派な心意気だな。
(人を嫌いたくないという相手の信念を聞き届ければ、小さくつぶやいて。その発言は皮肉が入っているのか、それとも感心した上でのものだったのか。己もわからないまま、ただ気がついた時には口にしていて。相手のような甘い考えではスラム街でやっていくことはできないだろう。見ず知らずの他人にも希望を見出そうとするお花畑な考えの相手は、やはり己とは住む世界が違う人間だと改めて認識するも、どこかその信念を羨ましくも思っていて。)
…おい待て、俺が取るから。
(微笑みながら立ち上がった際に、大事な本を落としてそれを探そうとする相手が危なっかしく、本を探すその手を止めさせれば、まずは相手の体を支えながら椅子に座らせ本を拾ってあげて。「信じるのも信じないのもお嬢の勝手だ。だけど、精々飼い犬に咬まれないよう気をつけとくんだな。」と、己のことを飼い犬とふざけるようにへりくだって言って。)
(/なるほど、了解しました!姉の方は主様がやっていただけるのでしょうか?)
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