匿名さん 2022-09-15 18:22:16 |
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( 階段を降り着ると、聞こえてきたのは何者かが足元へ倒される音、そして、感情の篭っていないお祝いの言葉が頭から降り注ぐ。もう聞き慣れているはずなのに、この声を聞くとつい目を伏せてしまうのは癖なのか。しかし“執事”と聞けば、ハッとその視線を上げ、眉をひそめる。思わず口を開くが、聞いたことの無い男性の声と同時に響く鈍痛、次いで足元から聞こえてくる呻き声に、対象を捉えられない瞳が揺れる。
此方が口を挟む前に、父は捨て台詞だけを吐いてさっさと扉を閉めてしまい、辺りは嵐が去ったように静かになった。
執事が欲しいだなんて、一言も言ってはいない。姉ならともかく、自分は欲しいものを強請れる立場ではないのだ。しかし、世話係を寄越されるのがどういう事なのかはよく分かっていた。)
__あのっ、大丈夫ですか!
( 一間、突然の出来事に立ち尽くすが、すぐに声のした方へしゃがみこんで手探りで相手の体を探し出す。
声音や手に触れた布の感触から、街から連れてこられた者だと言うことは分かっている。それでもお構い無しに相手の腕へ触れれば「 ごめんなさい、私にそんなつもりは… 」なんて相手へ謝罪の言葉を告げながら悲しげに目元を細める。 )
( /大丈夫ですよ!私もそれぐらい長くなることもあるので、お気になさらないで下さい。細かく描写して下さってありがとうございます!)
か、はーーー!
(鳩尾に手痛い一発をもらったことでうまく呼吸ができなくなってしまい、なんとか整えようとするも当たりどころが悪かったのか少しばかり時間がかかり。やがて、落ち着き始めるとこの建物に取り残されたもう1人の令嬢がこちらを心配そうに見つめ、寄り添ってくると「…っ!触るな!」と、その腕を振り払って。平民以下達から甘い汁を啜り、自分達は傷つくことなく平穏に暮らしている。そのような存在から同情されるなど虫唾が走る。そしてその者達と同じ空気を吸っているのなら尚更だ。呼吸を整えていたことと、己の嫌いな存在ということで令嬢の様子を観察する余裕もなかったのか、相手が盲目であることに気づかず一刻も早くこの場から立ち去ろうとするも入り口は堅牢に施錠されており「くそっ!」と蹴飛ばして。)
(/お優しいお言葉ありがとうございます!)
( 腕を振り払われれば、その勢いで尻餅をついてしまう。それでも懸命に相手の手を取ろうとするが、既に相手は立ち上がり、扉を強く蹴る衝撃音が建物の中へ響き渡った。
ゆっくりと立ち上がると、悪態をつく相手の声が自分よりも遥かに高いところから聞こえるのを感じ、憶測ではあるが其方の方まで顔を上げて「 私でも開けられないの 」と申し訳なさそうに呟いた。実際の距離は分からないが、一般市民に忌み嫌われる家柄なのは重々承知しているつもりだ。それ故、声のする方から数歩下がって、距離を取る。)
私が無闇に出入りしないように、外の警備が見張っているのよ。
ここの施錠が解かれるのは…食事の時間や他の家政婦達が私を訪れる時だけ。
…でも、貴方をここへ連れてきたってことは、もう本棟の人間をここへは送らないつもりなのね。
( 10歳の時にここへ移されてから、最低限の世話時のみ屋敷の家政婦や執事が雑務としてやってきていた。しかし、それも18やそこらになれば全て投げ出されると覚悟はしていたものの、16歳になった今日、その予想が現実になった。どうやら両親は早々と厄介祓いしたいらしい。
わざわざ此方へ出向き執事として彼を連れてきたということは、“我々は今後一切手を貸さない”ということだろう。 )
執事として仕わせるなんて私は望んでいないわ。
だけれど、逃がしてあげることもできないの。
( 上記をぽつりぽつりと付け加えれば、その目を伏せ、再度ごめんなさい、と静かに言葉を落とした。
渡り廊下も壁で囲われ、疎外されているとはいえ外出する時は嫌でも本棟を通らなければならない。肝心なところはいつも見張られているのだ。)
あぁ?あんた、姫さんなんだろ。頼めば何とかなるんじゃないのかよ?
(捕まり、急に連れてこられ、何も聞かされずに働かされる。この別棟は警備も厳重で逃げることもできないということを告げられると、理不尽にもほどがある仕打ちに腹を立てながら上記を述べる。容姿からして貴族なのは間違いなく、先ほど誕生日を祝われていたため、令嬢に当たる人物だろう。であれば使用人を顎で遣えるほどの立場のはず。それがなぜ、軟禁じみた状況になっているのか疑問に思って。)
いえ、姫君に値するのは姉様だけよ。
私がチェルシー家を名乗ることさえ、誰も良い顔はしないもの。
( 投げかけられた疑問には、それが当たり前と言わんばかりに淡々とそう答える。名家の次女に変わりはないが、自分は欠陥品。それに比べ、姉のイザベラは知識と美貌を兼ね備え、自分のように病気や障害もない。父母からも愛される姉と自分は、比べることさえおこがましいのだ。)
私の髪は老婆の様に白くて、肌も死人のようなのでしょう?
そんな者がお屋敷にいては、お父様達の邪魔になるだけだから。
( 肩から垂れる髪の毛を自ら撫でながら上記を続けると、終わりに「自分では見えないのだけれどね」なんていって赤い瞳は空を見つめたまま小さく笑いかけた。
世間では“目に見えるものが真実”なんて言うけれど、視力のない自分にとっては“聞いたことが事実”になるのだ。自分の病気のことは理解しているつもりだが、実際に傍から見るとどうなのかなんて想像でしか分からない。)
…?あんた、目が見えないのか?
(己が軟禁されている理由を身の上話とともに語られると、その人並外れた容姿と、なにもかも上回って生まれた姉によるものだということを告げられれば、先ほどから気になっていた相手と視線が合わない異様な様子に合点がいき。自分でも確認するように相手の前まで歩み寄り、開いている瞳の前でひらひらと己の手をかざすもそれに反応らしきものがないことを確かめれば上記の様に述べて。)
―――はっ、イカれてるな。あのクソ貴族。
(見ず知らず、それもスラム生まれの劣等育ちの男を己の娘と一つ屋根の下に二人で住ませるなど親の考えることではないだろう。こちらがその気になれば男の力をもって令嬢の細首をへし折ったり、女性としての尊厳を奪うことなど容易だ。それすら気にするに値しないほど、目の前の令嬢は疎まれているということなのだろうか。相手の生まれ持った容姿と盲目に対して「あんたも俺らと同じ『見捨てられた側』なんだな。」と、社会から見捨てられたスラム育ちと同類だと皮肉るようにそう述べて。)
えぇ、何も。気配ぐらいなら分かるけれど。
(目の前で手をひらひらとされれば、一間遅れて大体の位置へと顔を向け、目が見えないことを再度確認されると頷きながら返答する。声のする方を確認すれば「 やはり、貴方は背が高いのね 」なんて言って優しく笑いかける。
人は気配や音で位置や背の高さなどを把握できるが、初めての場所へ行くとなると困難を極める。場所の位置や道筋を覚えていなければあちらこちらにぶつかってしまい移動がままならないのだ。
暫くして、相手から伝わる空気感がピリッと鋭いものに変わったのを感じ、静かに耳を傾ける。彼の言葉には「 そうね 」と息を吐くように呟けば視線を足元へ。
特にこの街は、貧困層に厳しく権力者が猛威を振るう。市民が怒りを積もらせている時、貴族は優雅にお茶を飲みパーティをするだけだ。そんな中この家に生まれた以上、上にも下にも味方が居らず逃げ道はない。)
…そういえば、自己紹介が済んでいませんでしたね。
私はアメリア。
すでに居たくもないでしょうけれど、ここ、部屋だけは有り余っているから、ご自由にどうぞ。
( ふと、空気を変えるように再度笑顔を向ければ、名を名乗って軽く気品のよい会釈を。相手は自分のことも嫌っているだろうが、こうしてずっと立ち話をしているのもなんだろうと、階段の方を手で示し其方の方へとゆっくり歩き出す。)
うおっ?
(相手の視力を確認していると、こちらの顔の位置を正確にとらえて相手もまた顔をこちらに向けてくれば、その正確さに驚くように小さく声を上げ。相手の目が見えない人生の中で、目が見えないなりに視力以外の感覚が研ぎ澄まされているようで、こちらの顔の位置を捉えたまま笑顔を向けられると案外肝が据わっているんだななどと少しだけ感心してしまい。相手はこちらの皮肉を否定せず、素直に受け止めて視線を下げる。張り合いのない相手の対応に気に入らないのか「チッ、」と舌打ちをして。)
…那月。俺の名前だ。
(長い人生の中で、この建物のつくりや己の位置を把握しているのか、目が見えないのにもかかわらず、階段を上り始めると、本当にこの女と共同生活が始まってしまうのかとうなだれるが、これはチャンスなのではないかと考えることにして。スラム街の過酷の環境よりここにいれば衣食住は前の様に困ることはないだろう。ただ、貴族と一緒だという点は気がかりだが相手は己と同じ『見捨てられた側』だと考えればなんとか耐えられる。「それじゃあ、お言葉に甘えて自由にさせてもらいますよ。お嬢。」と、おどけて見せた呼び方をすれば。入口の小窓から執事服のようなものが投げ込まれ。これを着ろということなのだろう。今己が身につけている服よりやはり上等なものだ。どうせ着るなら汚れている体をきれいにしてからのほうがと思えば。)
なァおい。風呂はあるか。
ナツキ…珍しいお名前ね。
( 相手も名乗ってくれるとは思っておらず、少し驚きも混じりつつ嬉しそうに上記を述べる。また、此方の言葉におどけたように返答する様子を聞いて、クスりと笑うと「 ミラでいいのよ 」と肩を竦める。相手には些か申し訳ない気持ちが募るが、こうして誰かと何気ない会話をするのは生まれて初めてで、そう考えると彼が来てくれた事がとても幸運に感じる。
小窓の開く音が聞こえると、反射なのかピタッと動きを止め様子を伺う。どうやら何かが投げ込まれたようで、布の様なものを拾い上げる音がした。お父様の言っていた服だろうか、と思考すると、肩の力を抜いて安堵のため息を。)
お風呂はその廊下の奥にあるわ。
あ…できれば、物の位置をあまり動かさないで貰えると助かるの。
( 風呂の位置を聞かれれば、彼のいる場所から廊下で繋がっていることを伝え、思い出したように言葉を付け加える。
一階には入口に浴室や御手洗が、2階には広間と自室を合わせ部屋が4つほど。地図は頭の中にきっちり入っており、物の場所も正確に把握している。しかし、それが大きくズレてしまうと一気に地図がめちゃくちゃになってしまうのが難点だ。
別棟故に造りもシンプルで豪華さにはかけるが、広く良質なのには変わりはないはずだと考え、彼も少なからずゆっくりできればいいな、なんて心の中で呟いて。
階段を登り着れば、ほとんどの時間を費やす広間の椅子へと腰掛け、テーブルに置いていた本を一冊手に取る。文字は読めないが、点字が施された珍しい本だ。)
ファミリーネームがある恵まれたお方たちからすれば珍しいだろうな。
(スラムの人間たちはたいてい物心つく前から親に捨てられたためか、ファミリーネームがない。もしくはその親と同じファミリーネームをしていたくないといった理由で自らそれを捨てる人間が多い。名乗ったくせに、この期に及んで相手は貴族、こちらはスラム育ちである事実を改めて認識させるように皮肉めいた言い方をして。)
はいはい。
(相手から風呂の場所と諸注意を受けると、けだるそうに返事をしながら風呂場へと向かい。浴室に入ればなにもかもが未知の世界で、いい匂いのする白い塊やとろみがかった液体の入った瓶を物珍しそうに見るも初めて見るそれらの使い方がわかるわけがなく、ただただ首をかしげて。とにかく今は体を流そうと、見慣れぬ浴室の設備に悪戦苦闘しながらどうにかシャワーを出すことができて湯浴みに成功して。いくら不衛生な環境に慣れていたとはいえ、さっぱりするのは心地がいい。暖かなお湯で汚れを洗い流していけば頃合いになったところで浴室を後にして。体を拭き、支給された執事服に袖を通せば、新しい主人(まだ認めてはいないが)のところへ向かい。少し探して相手を見つければ、視力はないはずなのに本を開いている相手がおり、首をかしげながら)
読めないんじゃないのか?
(/遅れてしまい申し訳ありません!)
( 連れてこられた時よりも大分相手も落ち着いてきているとは思うが、時々噛み付いてくるように嫌味を言うあたり、ここで過ごすことにはまだ納得していないだろう。まぁ、それもそのはずで、彼らが今も尚苦しい生活をしているのは貴族のせいだ。ずっと、この現状をどうにかしたいと思ってきたが、自分の立場ではどうにもならず、もどかしい気持ちが募るばかり。
本のページを捲れば、記された点字の凹凸を手のひらで撫で、小さなため息を一つ。せめて、視力さえあればこんな所にいなくて済んだかもしれないと考えるが、今頃タラレバ言っても仕方がない。)
……あら、お帰りなさい。
気持ちよかった?…あ、私ったら使い方も教えずに。
( ふと、階段から足音が聞こえ、彼がやったきたのを察すれば上記を述べる。そして、浴室の場所を教えただけであって他は何も教えていないことに今更気づき。誰かをもてなしたこともない故に盲点であったと申し訳なさそうに眉をひそめる。
しかし、相手がそれよりも気になったのは、自分が手にしているこの本のようで。あぁ、と優しく微笑めば、手招きをして本を彼へ差し出した。)
“点字”というもので書かれた本なの。この凹凸が文字を表していて、指でなぞって読むのよ。
( / 大丈夫ですよ!おかえりなさいませ(´ω` ) )
ふーん…不便だな。
(手招きされた近寄ってみれば、疑問の種であった本を渡されて。そこに文字は書いておらず、ただ凹凸が刻まれているだけであり、聞けばその凹凸で解読するのだそう。盲目の相手のためにあるような代物だが、自分にとっては不便極まりない。ついさっき出会った人物に対して気遣うつもりもないのかさらりと上記のように呟けば「ん。」と、気が済んだらしくその本をこつんと相手の額に当てながら返却して。「よっ…と。」と、今まで体験したことのない上質なクッションがついた空いている椅子にどかっと大胆に腰掛ければ「毎日こうやって一人で過ごしてるのか?」と、どうやらこの建物には本当に己と目の前の令嬢以外住んでいないようで、湯浴みをするまでの時間で人の気配を感じられなかったのかそう問いかけ。)
( 唐突に本で額を小突かれれば、驚いたようにビクりと肩を跳ねさせて本を受け取る。このような事をされた事が無いため余計に驚いたのだろう。小突かれた額を擦りながら「 でも、覚えてしまえば簡単なのよ 」と苦笑いしながら答える。とはいえ、点字で書かれた書物は高価なものであり、これは昔、優しかった1人の使用人がこっそり手に入れてくれたもの故、他に自分の読める本などなかった。
相手が近くの椅子へと腰掛ける音を聞けば、其方へ体を向け直し、問われた質問に返答しようと口を開く。)
食事の時間には本棟へ行かなければ行けないのだけれど、その他の時間はここに居るわ。この目では、一人で出掛けることも出来ないし…。
私とは皆、必要以上に会話をしないから、こんなに誰かとお話したのは久しぶりよ。
( これまでは厨房のある本棟まで行き食事を与えられていたが、彼が来たことによってそれがどう変化するかは今のところ分からない。だが、今までの生活を振り返れば、自ら本棟に行くのはそれぐらいだったし、他者の気配を感じられるのもその時間ぐらいだった。
返答しながら終始俯き加減だったが、暫くすれば顔をあげて「おかげで暇つぶしは得意なの」なんて言って肩を竦めて笑いかける。)
へぇ。じゃあ飯時になったらあそこは開けてくれるのかねぇ。
(食事に行くとき以外はいつも一人。何もせずに食事が出されるのなら自分たちからしたら夢のような日常だが、そのような代わり映えのない日常が続いてしまうなど、自分だったら退屈で死んでしまいそうだ。不幸な星のもとに生まれてしまったとはいえ、己の敵である貴族の相手に同情の念など一寸もわかないらしく、興味の薄い反応をしながら、執事は用意しながらさすがに娘を餓死に追い込むようなことなどしないだろうと上記を述べて。)
…っ。あのなぁ、俺はスラム育ちで男なんだぞ。少しは警戒心を持ったらどうなんだ。
(うつむかせていた顔をこちらに向けながら笑顔の表情を浮かべると、先ほどから見ず知らずの男に対して少し慢心が過ぎるのではないかと告げて。こちらから嫌っているのだから相手もこちらのことを嫌う資格はあるはず。だというのに目の前の令嬢は先ほどから笑いかけたり、手招きをしたりなどとまるで知人に接するように対応するので拍子抜けしたのか、なんだか調子がくるってしまいそうで。)
( 相手は相変わらず退屈そうで、軽く返される言葉に「 えぇ、きっと 」とだけ返し此方も肩を竦めるとバルコニーから流れる風に一つ息を吸い込んだ。普段、本棟に行く際はまるで空気になったかのように存在感を消しつつ静かに過ごすが、今回は彼が一緒だ。恐らくあの人が黙っている訳もなく、少し夕食の時間が気がかりだが、まぁ、今心配してもどうしようも無いだろう。
何処か他人事のようにそんなことを考えていれば、呆れ返るような声音が聞こえてきて、空を見つめる瞳で数回瞬きを繰り返した。)
………あら、貴方だって、ふんぞり返って私の隣に座っていてもいいの?
油断させておいて、貴方の言う通り“お嬢様”の私が一声上げれば、実は兵がなだれ込んでくるかもしれないわよ?
( 肩から垂れる乳白色の髪を手で振り払いながら背筋を伸ばし、言い返すようにして上記を述べる。閉鎖的に見えて、実はしっかりと兵力を持ち自分の地位を確立しているとなれば、スラム育ちの彼がこうやって近くに座っていられる訳は無いだろう。
もちろん、実際はそんな事全くなく、無垢に言い返さんとする所は年相応のただの少女のようで。こういったところも、また警戒心が無いと怒られてしまうだろうか。 )
ダウト。そんなに大事にされてるお嬢様なら、それこそ俺みたいなやつよこさないだろ。
(相手はまるで気を取り直すように、背筋をしゃんとしてこちらに言い返せば相手のハッタリをすぐに看破して。もし、相手のために兵がなだれ込んできて守ろうとするぐらいなら、素行も悪く、執事としての教養もない己を相手のおつきになどしないだろう。それに、そんなことになるのならそれこそ相手が声を上げる前にその口を塞いで首を折ることさえできる。先ほど警戒心を持てといったばかりなのに、そんなことも想像できないのかと思えば相手の楽観さにほとほと呆れてしまい。)
(/これからどのように進めていきましょうか?)
…ふふ、私ったら、こう言うのは慣れていなくてダメね。
( あっという間に論破されれば、今度は言い返すこともせず素直に敗北を認め、両肩を竦めて小さく笑った。こうした些細な言い合いでさえ自分にとっては初めての事で、またも気の抜けた笑みを零すものだから、三度彼に怒られてしまうだろうかと、気を取り直すかのように咳払いを一つ。)
確かに、貴方へは警戒心を持つべきかもしれないけれど……人を、嫌いたくないのよ。
私自身だけでも、その人の、ありのままを受け入れていたいの。信じるのは自由でしょ?
( 先程は誤魔化すように言い返したが、今度はそうはせず、静かに自分の気持ちを伝える。小さい頃から蔑まれてきたが、それでも自分の家族を憎めはしなかった。お人好しだと周りは笑うだろうが、ここで自分自身が愛されることも信頼することも諦めてしまえば、もしかしたら、愛され信頼出来るかもしれない未来さえ、無下になってしまうのでは無いかと思うのだ。
しかし、上記を言い終え一間開けると「 でも、貴方が迷惑ならば控えるわ 」と優しく微笑めば椅子から立ち上がる。その際、膝に置いていた本がそのまま床に落ちてしまい、拾おうとしゃがみこんでは手を右往左往させる。)
( / 雑談が長引いてしまい申し訳ありません;
夕食時になり本棟へ出向いた際、姉を投入しようかと考えておりました!口が悪く劣悪な姉なので、那月くんがひと暴れするのもよいかなーなんて思っております() )
…立派な心意気だな。
(人を嫌いたくないという相手の信念を聞き届ければ、小さくつぶやいて。その発言は皮肉が入っているのか、それとも感心した上でのものだったのか。己もわからないまま、ただ気がついた時には口にしていて。相手のような甘い考えではスラム街でやっていくことはできないだろう。見ず知らずの他人にも希望を見出そうとするお花畑な考えの相手は、やはり己とは住む世界が違う人間だと改めて認識するも、どこかその信念を羨ましくも思っていて。)
…おい待て、俺が取るから。
(微笑みながら立ち上がった際に、大事な本を落としてそれを探そうとする相手が危なっかしく、本を探すその手を止めさせれば、まずは相手の体を支えながら椅子に座らせ本を拾ってあげて。「信じるのも信じないのもお嬢の勝手だ。だけど、精々飼い犬に咬まれないよう気をつけとくんだな。」と、己のことを飼い犬とふざけるようにへりくだって言って。)
(/なるほど、了解しました!姉の方は主様がやっていただけるのでしょうか?)
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