通りすがりさん 2022-09-03 23:20:52 |
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なるほど。切ない、大人のストーリーね…。
( 相手が行き詰まっているということを聞くと、少し考えて。経験があればいくらでも提案できるのだが、何しろ自分の経験がないため、そういったジャンルの資料を探すしかないのだが。確かに彼の過去作は学生ものの話が多く、なぜ今新しい方面でチャレンジをしようと考えたのだろうかと少し疑問に思う。 )
学生の恋愛ものより、幅があるからな。
立場的に叶わない恋とか、遠距離恋愛…切ないってところも難しい。
…これまでの作品って、経験をもとにして書いてるのか?
( 自分が思う切ない恋というと、パッと出てきたものをあげて。ふと、これまでの作品は学生ものだった訳だが、自身の経験なんかも入っているのだろうかと思えば、尋ねてみて。 )
( 彼の提案を聞きながらも、またうーん、と苦難の声をあげつつ首を捻って。確かに、学生物よりも複雑で豊かな人間性や展開を構成することは可能だろう。だが、それを成し得る為にはやはり主人公から固めるべきか…なんて考えながら、続けて投げられた質問にこう答えた。)
中学の頃の経験を参考にした事もあったけど
俺、そんなに彼女できたことないし、どちらかといえば憧れとか…願望が反映されてることが多いかも。
こんな関係性いいな、こういう背景があると面白そうだな、とかね。
物語の中は自由自在だから。
( 笑いながら言い終えると、傍らに置いてあった自分の本を手に取る。この本だって、周囲の人の体験談や自分の中にある恋愛像からできている。
自分もどちらかといえば恋愛とは無縁な学生時代だったし、中学の頃に彼女ができたことはあったが、今思えば中学生なんてまだまだ子供だ。しかも、その頃から片想いが多かったと思う。
それでも、昔から恋愛物の話が好きだった為、色んな本や映画を見てきた。実体験というよりも、見たり聞いたりした情報から成り立っているのだ。 )
なるほど。
かと言って、俺も聞かせられるような話もないしな。
( 相手がどのように話の構想を練っているのかを知ると、なるほどと頷いて。ここで、自分の体験談を語ってやれるような担当編集であればよかったのだが、生憎そういう話は持ち合わせていない。となると、いくつか資料を用意する位しかできないわけで。)
登場人物から決めてくと、何か思いつくこともあるかもしれない。
( もしくは、ストーリーよりも登場人物を確立すること。あんがいキャラクターさえ決まればストーリーが見えてくることもあるかもしれない。)
雪にそんな話がなくて、俺は良かったけど。
( 相手は真剣に悩んでくれているというのに、困らせてしまうのを承知の上でまたそんな事を呟きながら、呑気に笑いかけてはお茶を飲む。相手から過去の恋愛話を聞けば少なからずダメージはあるだろうから、良かったというのは本音らしい。
どうやら相手の事を諦めないと言ったのは、開き直るという意味合いも含まれていたようだ。)
やっぱり登場人物かぁ。ありがとう、考えてみる。
…ところで、雪はなんで編集社に入ったの?
雪は頭も良かったし、文学部なら他にも色々あっただろう。
( まぁ、初めの呟きはさておき、相手の提案を素直に受け入れれば、やはり登場人物から練るか、と腕を組み礼を言って。
そして、ふと疑問に思ったのか、彼が出版社に入り小説の担当になった経緯を尋ねてみる。)
( 相手の言葉には、なんだかこちらも少し開き直ったかのように少しだけ笑い「そうだな」なんて返しながら。登場人物について考えてみる、という相手には頷き。)
まぁ、大きな理由は本が好きだから、かな。
作品を読むだけじゃなくて、そこに関わる仕事をしたいとずっと思ってた。俺は、小説書く才能なんてないから。
( なぜこの仕事を志したか。それは言うまでもなく本が好きだから。本を読むうちに、この作品の制作の裏側にはどんなエピソードが隠されているのか。作者の思いは。そんなことまで考えるようになったら、自分も本の制作に関わる仕事をしたいと思うようになったのだ。頭の片隅には小説家になる道もないわけではなかったが、やはり自分はあくまで読者でいたい。そんな思いがあり。)
そういえば、俺よりもよっぽど本の虫だったもんね。
…本当、キミが次の担当になってくれてよかったよ。
俺、担当が変わるのって苦手で、どんな人が来るんだろうって緊張してたから。
( 本が好きだと言った彼の発言を聞いては、学生時代を思い返して笑い出す。自分も大方本の虫だったが、それ以上に本が好きだったのは確かに彼であり、読書が好きなのはあの頃から変わらなかったのだろう。その気持ちは、自分も同じだからよく分かる。
“懐かしいな”と続ければ、改めて、嬉しそうに安堵の言葉を口にする。
担当替えは、それまで二人三脚でに やってきたコンビを解散させるようなもので、担当が変わる理由には色々あるものの、どうにもこうにも慣れることは無かった。
前の担当ともそこそこ仲はよく、変わるのは残念だったのだが、今回ばかりは担当変えをしてもらってラッキーだと思っている。)
涼も大概だからな。
担当変わるって嫌だよな。
俺も、初めての担当が涼でよかったと思う。
( 本の虫と言われると小さく口元に笑みを浮かべ、どの口がそれを言うのかと思いつつ返して。
相手の話には気持ちはよく分かると頷き。会社でもよく担当関係でいざこざがある。その度に、自分も作家さんと上手くやれるだろうかと不安な気持ちを抱いたのは確かで。それを考えると初めての担当が彼で本当に良かったと思う。)
( 返された言葉には、違いないな、とまた笑って。笑い合うこの空気感が懐かしくて、親友と共に仕事ができることへの喜びが再度湧き上がってくる。それに、なにより好きな人といる時間が増えるのは単純に自分にとって得しかない。
お茶をひとしきり飲み終え、開いていたスケッチブックを閉じれば伸びをひとつ。席を立てば、再度昔と同じ笑顔で親友へと声をかける。)
いつも担当が変わるとご飯に行くんだ、早く仲良くなりたいからね。
まぁ、キミとはそもそも仲が良いと思ってるけど…まだ時間はある?
( 小説を書くことにおいて担当との相性や呼吸は大事であり、少しでも早く距離を縮めていい作品を作るために、毎回時間がある時にはご飯へ出かけるようにしているのだ。
厳密にいえば、彼とは既に息も合うと思うのだが、単にご飯へ行きたいだけというのは黙っておこう。とはいえ彼も仕事としてここにいるのだから、時間に余裕があるかどうか尋ねてみて。)
…あぁ。大丈夫。
( 相手との他愛もない会話は昔に戻ったようなそんな感覚を呼び起こさせる。作家と担当という関係になったわけだが、これからもこうやって彼と一緒にすごせることは嬉しく。
彼からご飯の提案をされるとスケジュール帳を開き、特に予定はないと告げて。もともとこの挨拶の後は直帰予定だったため、ちょうど良かった。提案に頷くと、「いつもどんなところ食べに行くんだ?」と普段利用する店について聞き。)
うーん、お店は割とバラバラだったりするけど…
俺の1番お気に入りのお店があるんだ。
( スケジュールを確認し大丈夫だと言われると、嬉しそうに笑顔になり、そのまま壁に掛かっていた上着を掴むと簡単に出かける準備をする。
お店について聞かれれば、少し考えるように間をおいて答える。特に決まったお店に行くことはなく、誰かと食事に行く時は相手の好みに合わせて決めることが多い。しかし、お気に入りの店が1つあるなと思い出すと、“そこでもいい?”と尋ねた。
店の場所は対して遠くもなく、いつも散歩がてらに寄ったりするほどだ。閑静な路地にあるその店は、素朴で暖かい昔ながらの雰囲気を漂わせる喫茶店らしかった。)
( どうやら彼のオススメの店に連れていってくれるということで、了承するとソファーから立ち上がる。自分も鞄をもつと、相手の横に並びその店まで歩くことに。といっても、結構近くでそれ程まで歩くことも無くたどり着いてしまった。
その店の佇まいに、どこか懐かしさを感じる。店内に入ると窓際のソファー席に腰をかけ、改めて店内を見渡し。)
…いい店だな。
この店に来ると落ち着くからさ、仕事で悩んだ時とか、リフレッシュしたい時とかによく来るんだ。
( 店内に入り、相手も気に入ってくれた様子を見れば嬉しそうに微笑む。そのまま自分も窓際の席へと向かえば、再度向かい合うようにして腰を下ろす。
控えめに流れるジャズの音と漂う珈琲の香りは一昔前に戻ったような気持ちになり、自分によっては現実逃避の場のようなものだ。まぁ、そういうと聞こえが悪くなるため言わないが…。)
あ、このお店パンケーキもあるし、スイーツも美味しいよ。
雪、甘いの好きだったよね?
( どれにする?とメニューを相手へ渡しながら、思い出したようにそう言えば柔らかく笑って。)
( リフレッシュときくと、確かに不思議と落ち着くこの店の雰囲気は、昔来たことがあるかのような感じがする程で。いい店を教えてもらえたと少し上機嫌になれば、メニューを開いて何を頼もうか考える。自分が甘党だということを知る数少ない1人の彼が口に出すメニュー名はどれもいいなと思い。少し悩んだ末パンケーキを頼むことに。)
パンケーキにする。涼は?
俺は…パスタのセットにしようかな。
実は、今日の朝なかなか起きれなくて朝ごはん食べ損ねてさ。
( 相手の注文を聞き頷けば、此方が頼むものを尋ねられ少し間をあけて。そして、情けなさそうに笑いながら朝食を食べ損ねた理由を話すと、通りがかった店員を呼び止めて2人分の注文を済ませる。
元々夜更かしをすることが多かったが、それに加え朝もどんどん弱くなり、余裕のある時は寝すぎてしまうのが悩みだ。まぁ、それも自宅で仕事ができる故の贅沢な悩みだが、こんなことを言うとだらしなく思われるだろうか。
注文を終えて大きなあくびを1つすれば、水を一口飲んで再度相手へ視線を戻し“もっとちゃんとしないとな”なんて笑う。)
( / お待たせて大変申し訳ありません!
あげて下さってありがとうございます!!)
そうだったのか。
まぁ、でも作家さんってそんなイメージあるよな。
( 朝食べてないことを知ると、成程と頷き、店員に注文を頼んでくれたことには、「ありがと」と礼を伝え。確かに自分の中の作家というと、不規則な生活をしているイメージがついていて。同僚の編集たちもそれに合わせた生活をしている人もいて、大変だと思っていたところで。
それでも不規則な生活は身体によくないことは分かっているので、少し心配しているつもりで「ちゃんと飯は食えよ」と伝えて。)
(/ いえいえ!返信ありがとうございます!)
うん、気を付ける。
( 相手からの助言に肩を竦めながらそう返事をする。表には出なくとも、彼が心配してくれているのは十分伝わってきて、何だかむず痒い気持ちになる。少なからず、家事ももう少し頑張ってみようかなんて考えれば、ふと、窓の外に目をやって。
そこには仲睦まじく手を繋いで歩くカップルの姿があり、ついつい視線で追ってしまう。)
……雪はさ、恋人とやりたいことってある?憧れることとか。
( ふと、そんなことを聞いてみては“別に、深い意味は無いんだけど”と慌てて付け加えながら頬杖をついて。手を繋ぐのを好むカップルがいれば、そうでないカップルがいるように、それぞれ大切な人と共有したいことややりたいことは異なる。だからこそ、色んな人の意見を聞くのが楽しいのだ。 )
…いきなり難しい質問だな。
( 相手から唐突に問われたことには、少し間を空けて難しいと伝える。実際、恋人がいた経験はあるが、特にこれといってして欲しいことも、したいこともなかったのだ。恋愛不適合者だと自覚している己には些か難題だと難しい顔をして。)
俺は思いつかないな…、涼は?
( 自分はやはりどうしても思いつかなかったため、彼が憧れる恋人の姿について聞き返してみる。恋愛作家なのだから、やはりそれなりに理想などがあるのではないかと思い。)
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