匿名さん 2022-09-03 19:19:45 |
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ド性癖!大変光栄なお言葉をもらえて感激しております…!折角楽しみにしていただけているのを無碍にしないよう精一杯お相手いたしますね!
ご相談が楽しすぎてキリがないので、一旦蹴らせていただきますね。ご容赦ください。
開始時についてですが、セベクからお願いしてもよろしいでしょうか?エコーよろしく初対面からの一目惚れの流れを描けたらと思います…!
ヘレナさんの方はいかがいたしましょうか?同じく開始時のご希望がございましたらお聞かせください!
セベクからとのこと承知いたしました!お話を進めていくにあたって違和感などございましたら随時お伝えください…!
ヘレナの方は、レオナとの絡みから始めさせていただきたいなと思っております!初対面から始めるのも面白そうかなと思ったのですが、キャラクターの年齢が変わると少し難しそうかな、とも…。そちらがよろしければ初対面の場面を一通り描写して関係性構築をした上で、ヘレナとラギーが2年次に上がる感じで話を展開させて頂きたいです…!
難しいようでしたら代替案を挙げますので、お伝えくださいますと幸いです…!
ぜひぜひ初対面からやらせていただきたいです~!レオナはともかく、ラギーの方は一目惚れかそれに近いものだと思いますので、(認識違いでしたら大変申し訳ございません!)やはり初対面の場面は描いておきたいですよね!我儘を言わせていただくと初対面だけでなく、好意を自覚からのヘレナさんがレオナに好意を抱いていることがわかり身を引くも、レオナのあしらい方を見て気を変える…というラギーの心情の変遷を追っていきたい欲が…!対するレオナの方の複雑な嫉妬心が芽生える様もぜひぜひ動かしたいですし、何よりわざとらしい好意をちらつかせる1年生のヘレナさんが見たくて見たくて!どのタイミングで進級するかは勿論お任せいたしますので、ぜひともじっくりと関係性を展開していただきたいと思います!
ご快諾ありがとうございますー!そういう関係性の変化がとっても見たかったので、そういったご提案をいただけて嬉しいです…!
それでは展開の進行上やっぱりラギーとの絡みから開始して、ラギーとヘレナの絡みでラギーの好意自覚→レオナとヘレナの絡み→ラギーがレオナに媚びるヘレナを見て身を引く→レオナのあしらい方を見て方向転換……といった感じで1年次から話を進めていければと思います!差支えがありましたらお聞かせください…!
相違ないようで安心いたしました!丁度交互になる感じですかね、畏まりました◎ラギーが方向転換してからは二人同時提供なんかも度々したいですね…!!特にレオナの方が、その場にラギーがいる時といない時とであしらい方に大きく違いが出てきそうですし、そんなレオナの対応を見て焦燥感覚えるラギーもぜひとも描写したいですし、妄想捗ります~!
他に相談しておくことはございますか?こちらからは今のところ特にありません。何か気になることがあればご遠慮なくお申し付けくださいね。
そんな感じで差し支えありません…!二人提供のご提案までありがとうございます!ぜひそのうち負担のない程度に挟めれば嬉しいです~!
こちらも特に相談することはございませんので、そろそろ開始できればと思います…!
開始時は互いに創作のロルから提示する感じでよろしいでしょうか…?それでよろしければ次レスにて開始していただいて結構です◎
【 ドロシー・エルリッチャー 】
あ────っぁ!やだっ、もう。待って待って。
(かの名高いNRCに交換留学生として赴き、環境が変わる目まぐるしさに踊らされ早数日。人間関係や寮生活は勿論だが、留学生として一番気にすべきは勉学について。流石名門校と言うべきなのか、以前いた学園とはカリキュラムの違いが見受けられ、特に幾つかの教科は随分と先に進んでいるらしい。学園側の厚意で1年生用の教科書を譲渡してくれるとのことで、放課後に職員室を訪れたところ、少々手に余る量の教科書や参考書にプリントとを抱えて廊下を行くこと数分。この量だと魔法で運んだ方が早いかもしれない。そう思い胸のマジカルペンに手を伸ばした矢先、急に強く吹き抜けた風に煽られバランスを崩し、バラバラと音を立てて床に広がる冊子類──それだけならまだしも、風に誘われるまま飛んでいく1枚のプリントが。呼び止めても聞くはずもなく、散らばる教科書は後回しに、揶揄うように先を行くプリントを追ってぱたぱたと廊下を駆けて。)
(/ 畏まりました!早速絡み文を用意させて頂きましたが、絡み辛いなどございましたら書き直しますのでお申し付けくださいませ。ヘレナさんの方もお待ちしていますね。それでは改めて、お相手よろしくお願いいたします…!)
【 ヘレナ・アンティパス 】
──よろしくね。
(順番通りに1年生の名前が呼ばれ、1人ずつ緊張した面持ちで闇の鏡の前に立って寮の振り分けを受ける入学式。そんな繰り返しの中で自分の番が回ってくると、自分も闇の鏡の前へ向かってその中を覗き込む。女性であることに気付いたらしい周囲の生徒がざわめいているのを気にも止めず、振り分けを受けるとすぐにサバナクローの新入生の席へ向かう。
たしかサバナクローには夕焼けの草原の第二王子が所属していたはずだ。そんなことを思い返しながら上級生の席に視線を向けてその姿を探す。そこに緑の瞳の獅子の獣人を見つけると、腰を下ろす前に視線が合うタイミングを見計らって一度微笑む。式典が終わったら真っ先に声をかけに行こう。それからようやく椅子に腰を下ろすと、隣の席の生徒に軽く挨拶をした上で姿勢を正しながら周囲を観察する。屈強な獣人が多いようだし、あまりナメられないうちになるべく早く誰かに取り入る必要があるだろう。そんなことを思案し、この後あの王子にどう話しかけるかを画策しながら闇の鏡の前に立つ生徒たちを眺め、次にサバナクローに割り振られる生徒が誰になるかを思案して)
──────
【 セベク・ジグボルト 】
おい、人間!廊下を走るんじゃない!
( ナイトレイブンカレッジに女の交換留学生が来た。そんな話で浮足立つ人間たちほど下らないものはない。女が来たからと言って自分たちのなすべきことは変わらないし、人間に至っては妖精族よりもよほど寿命が短いのだ。その時間を浪費してまで、わざわざ留学生の姿を見に行ったり声をかけたりする彼らは愚か以外の言葉では表せまい。彼女を見られたという同級生の興奮っぷりを思い返しながら呆れ混じりに廊下を歩く。
歩いている廊下の先で教科書を落とし、飛んできたプリントを追ってこちらへ駆けて来る人間の姿を認めると、また愚かな人間が来たとばかりの気分で大きく注意の言葉をかける。しかし彼女の艷やかな髪と白い肌、淡い桃色の瞳を認識すると思わず言葉が喉で詰まる。一瞬思考が凍りつくような気分を味わったかと思うと、自分の心音の加速を自覚する。あれはあの噂の留学生だろうか。あんな人間の女は見たことがない。もしかしたら彼女は妖精なのかもしれない。そんなことをぐるぐると考えてしまいながら、半ば呆然としたまま飛んできたプリントを手で捕らえ )
(/先レスありがとうございました!こちらの分の絡み文、返信ともに何か差し支えなどがございましたら遠慮なくお聞かせくださいませ…!こちらこそよろしくお願いいたします!)
【 ラギー・ブッチ 】
(静かで荘厳、周囲の緊張からなのか、雰囲気はどこか張り詰めている。これが格式高い高校の入学式というものなのだろうが、式典なんかに縁遠い生活を送ってきた身としては酷く落ち着かない空間で、そんな空気が破られ騒めいたのはとある新入生が壇上へと立った際。華奢で、小柄で、女顔──ついでに名前も女っぽい。女子か?女?なんて呟きが幾つか聞こえてくるけど、そんなわけないでしょ。男子校ッスよ、ここ。内心で呆れつつ、順番を待つこと数分。
当初の予想通り、寮はサバナクロー。妥当なところだろう。寮ごとに分かれた新入生席へと向かう中、視線の先に居る小柄な影に一瞬目を細め、順番通りその隣へと腰を下ろし。式典服は体型も顔も隠しやすい造形で、加えて相手を目視したのは遠目。きっと近くで見れば男と分かるだろうと踏んでいたのだが、こうして真隣で見ても矢張り女に見える。最初は時折視線を送るだけだったが、次第に目を凝らしてその容姿をまじまじと見始め、結局自分一人では結論が出ないと見切りをつける。式典の邪魔にならないよう声を潜め、澄ました姿の相手に簡潔に問い掛けて。)
……アンタ、やっぱ女の子?
【 ドロシー・エルリッチャー 】
わ。…びっくり。ごめんなさい、急いでいたものだから。
(前方を歩く男子生徒の大喝が轟き、突然のことに一瞬身が竦む。一呼吸置いてから改めて進行方向を確かめると、声の主たる彼の手にプリントがあることを確認し、小さく安堵の溜息を吐いてからつかつかと距離を詰めて。困り眉で零す言い訳に合わせて視線で彼の手元を示し──と、そこで相手の妙な様子に気が付き、疑問符を浮かべて訝しげ見上げる。上背があり恰幅もよく、上級生のようにも見えるが、顔立ちにはまだ幼さが残るような。腕章は緑、ディアソムニア寮生らしい。草臥れた様子のない制服は1年生だからか、先程の注意を鑑みるに几帳面なだけかもしれない。一通りの観察を終え再び顔色を窺いつつ、茫然自失といった様子の彼に向けて片手を差し出し、返却を促して。)
捕まえてくれてありがとう。……プリント、返していただける?私のものなの。
(/ 特に問題ありませんのでご安心くださいませ◎こちらも返させていただきましたが、修正点等ございましたらお申し付けくださいね。
特に何もなければ背後会話は蹴ってくださっても構いません。ご質問やご指摘、ご相談の際などはお気軽にお声掛けくだされば幸いです!)
【 ヘレナ・アンティパス 】
( 次に隣に座った生徒が比較的細身であることを見て取ると、こういう生徒もいるのかと思案しながら平然と式典を眺め続ける。この生徒が有力な人間であるなら、彼と親しくするのも一策だろう。どういう人物かを見極めた上で、関わり方を決めることにしよう。
それにしても彼から時折ちらちらと、次第にじっとこちらへ投げられる視線を感じるのは、自分の性別が気になるからだろうか。わざわざそうして見てくるくらいなら普通に尋ねればいいのにと思いそちらを見遣った矢先、ようやくかけられた問いに小さく頷く。ただ、不躾に投げられる視線も"アンタ"なんて呼び方も下品だ。 きっとそれほどいい家の出ではないのだろう。そう考えると媚びるような甘さの少ない声音で淡々と答え、先程呼ばれていた名前を思い返して )
そう、色々あって特別枠で入学したの。あなたは…ラギー、で合ってる?これからよろしくね。
──
【 セベク・ジグボルト 】
( 近づいてくる彼女の自分より華奢な身体を目にして、その瞳に捉えられると、彼女が自分を認めているという事実に言いようのない高揚が募る。相手はただの人間だというのに、自分はどうしてこれほどまでに惑わされているのだろうか。今までにこんなことなんてなかったはずだ。もしかしたら何らかの魔法でも使われているのかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えているうち、目の前へやってきた彼女からプリントを返すように促される。その声も小鳥の鳴き声のようで、声変わりした男の濁ったそれとは違って随分清らかに聞こえてしまう。少しの間彼女のことを見つめて沈黙してからようやく我に返ると、彼女の手に押し付けるようにプリントを返す。普段ならば教科書を落としたことやプリントを風に取られる不注意、廊下を走ったことなどを強く指摘するだろうに、今は何を言うべきか分からない。口に出す言葉に悩んだ後、いつもよりずっと穏やかな言葉を返して )
っ、…風にはもう少し気をつけろ、人間。
【 ラギー・ブッチ 】
特別枠、ね。オジョウサマってわけッスか。
(小さな首肯と共に鈴を転がすような声が聞こえ、つい耳がぴくりと跳ねて反応を示す。特別枠。ただとびきり優秀だから、というわけでもあるまい。挨拶も返さないまま彼女の発した単語を皮肉っぽく復唱してみせて。澄ました横顔は式典服のフードに阻まれ全貌を見ることは叶わないが、凛とした佇まい…と言うべきなのか、学のない自分には上手い表現が見当たらないが、とにかく良家のご令嬢と言われても納得がいく。こんな甘ちゃんが"不屈"か。魂の資質だとか何とか言ってはいるが、案外適当らしい。視線を外し、闇の鏡によって次々と寮分けされていく新入生たちを眺めながら、独り言でも呟くかのような口調で余計な提言を。気に食わない生い立ちへの皮肉半分、育ったお国柄故の女性への心配半分。どちらに傾くこともなく、退屈そうにふらふらと脚を揺らして。)
しっかし、そんなお嬢様がサバナクローってのもなぁ。ポムフィオーレにでも転寮したらどうッスか?アンタも落ち着かないでしょ。
【 ドロシー・エルリッチャー 】
ありがとう。
(ぶっきらぼうに押し付けられ、彼の態度に未だ疑問はには思えど追及することもなく、軽く笑みを見せて礼を告げると背を向けて。振り向くと視界に入るのは散乱した教科書たち。今度は魔法で運搬しよう、そう思って胸ポケットのマジカルペンに手を伸ばして数歩進み、そこでぴたりと静止する。想起するのは彼の眼差し。自身を映した双眸。彼の瞳が何色だったかすら思い出せないが、その目に映った自分の姿だけは忘れない。理屈では説明できない、予感めいた確信。彼をここで逃してはいけない。ペンに伸ばした手を下ろし、スカートを揺らして振り返ると、今度はこちらから彼に声を掛けて。申し訳なさそうに肩を竦め、散らばる荷物を視線で示す。忙しいだろうか。断られるだろうか。逃げられる可能性を考えれば切なさが身を窶し、静かに睫毛を伏せて。)
……あの。もしよかったら、運ぶのを手伝ってくださらない?鏡舎まで遠いから、男性が手伝ってくれたらとても助かるの。
【 ヘレナ・アンティパス 】
まあ、あなたよりはよほどいい育ちをしてるでしょうね。
( 申し訳程度にかけた挨拶への返事が与えられることもなく、皮肉じみた言葉が返される。彼からしたらお嬢様なのかもしれないが、自分はせいぜい没落しかけのそれだ。各国の富豪や王族のいるこの学園の中ではそれほどの金持ちでもないだろう。彼の言葉を鼻で笑い、視線は前方へ据えたまま半ば冷淡な言葉を返す。
転寮の勧めをするということは、自分がサバナクローには適応できないとでも言いたいのだろうか。子どものように揺れる脚やその姿勢をじっと品定めするように横目で眺めた後、今のところこの生徒と進んで仲良くする必要はないだろうと判断を下す。ポムフィオーレの生徒で有力な家柄の者は知らないし、転寮へのメリットも見出だせない。サバナクローで夕焼けの草原の第二王子を仕留められるほうがきっと好都合だ。そんな自分の企みが露呈しないように穏やかな口調で答えを告げては、最後の一人の配寮が終わるまでを見届けて )
それはお気遣いありがとう。あいにくだけど、闇の鏡の配寮には満足してるから。
──────
【 セベク・ジグボルト 】
し…仕方ないな、どうしてもと言うなら手伝ってやろう!
( 自分から離れていく彼女の後ろ姿を呆然と見つめる。自分よりも華奢な肩のシルエットや、柔らかそうな脚。歴史を帯びた校舎の廊下をカツカツと歩く足音さえ頭の奥に焼き付くような心地がする。このまま呼び止めて名前を聞きたい。彼女の声をもっと聞きたいし、その目に見据えられたい。彼女の整った顔立ちがどんな表情を見せるのか、全て見てみたい。
しかし、仮にも誇り高い妖精族の一員である自分が人間の女ごときに興味を持っているなんて周囲に知られたら、マレウス様の顔に泥を塗ることになるかもしれない。そう必死に自制していた矢先、彼女が自らこちらを振り向いた。荷物を運ぶ手伝いを頼まれてしまえば、格好の理由ができたような気がして思わず目が輝く。長い睫毛が彼女の目元に儚い影を作るのにどきりとしてしまいながら、それを誤魔化すように高慢な口ぶりで承諾する。つかつかと彼女に歩み寄っては、胸のときめきを必死に顔に表さないように努めながら散らばった教材を拾い集め )
【 ラギー・ブッチ 】
……ふーん。ま、オレには関係ないッスけど。精々食われないようにするんスよ。
(最低限といった愛想で返される言葉に暖かみなど有りはせず、育ちの良さを指摘されれば反論もない。配寮に文句はない──その言葉を反芻し、漠然と抱いていた貴族のぽやっとしたご令嬢のイメージとは剥離していく。ただ安穏と勉学に勤しみたいのであればサバナクロー寮は恐らく合わないだろう。かといって運動に精を出したいようには見えないし、何よりそれだと身体能力で男に劣る以上男子校に入ること自体がミスマッチだろう。さて、腹に何を抱えているやら。貴族様のお考えが貧民街のハイエナに読めるはずもなく、思考を放棄し心ばかりの注意の言葉で会話を打ち切って。
そうこうしている内に全ての新入生の配寮が終わり、それぞれの寮ごとに寮長が指示を出していく。サバナクロー寮生の前に立つのは勿論、我らが夕焼けの草原の第二王子サマ。投げやりで大雑把な指示に耳を傾けてつつ、自らの生い立ちも相俟って胸中に渦巻く雑然とした感情に無理矢理蓋をし、誤魔化すようにフードを深く被り直して。)
【 ドロシー・エルリッチャー 】
どうしても。……ふふ。
(了承の声に伏せた睫毛を僅かに上げれば、目に入るのは言葉に似合わない輝く表情で。引き留めただけで彼を喜ばせるに足る自分に対し、胸がとくとくと早鐘を打ち始める。喜びと昂りに体温が上がるのを感じ、火照った頬を両掌で包み、少しでも熱を取ってから相手に続いて冊子類の回収に身を屈め。一冊、また一冊と手に取る最中も意識は常に彼の方へと向かい、ちらちらと何度も様子を窺ってしまう。彼の金の瞳が、散らばる教科書に、床にばかり向けられているのが気に食わない。もっともっとこっちを見てほしい。彼が抱くなけなしの好意を感じ取りたいのに。小さく息を吐いて髪を耳に掛け、ただ気を引くためだけにさして興味もない質問を投げると、彼の瞳に映る自分を見逃すまいと真っ直ぐに視線を向けて。)
───貴方は、何年生?
【 ヘレナ・アンティパス 】
( 式典が終わり、寮ごとに新入生が分かれるのに合わせて自分もサバナクロー寮生の群れの内に入る。件の第二王子の目につくように前方へ行きたいとは思ったものの、ガタイのいい生徒たちを掻き分けて彼のもとまで行くことは難しかった。前方で固まっているのはがっしりとした体つきの獣人数名。忠誠心が厚いのか自分と同様に王子に取り入りたいのか分かりはしないが、正直いって邪魔だ。
そもそも、この群れの中もなんだかむさ苦しい。たしかにサバナクローは女性には向かないかもしれないと先程の新入生の言葉に納得しつつ、もっとよく見える場所に移動したいと思案してあたりを見回す。しかしあいにくなことに、自分が通れそうな道も見当たらない。すると先程まで話していた彼がフードを深く被っている様子が目に入り、手持ち無沙汰を誤魔化すようにその隣へ立って )
そんなに深くフードを被って、お尋ね者みたい。…何か後ろめたいことでもあるの?
──────
【 セベク・ジグボルト 】
1年生のセベク・ジグボルトだ。お前はたしか2年の留学生だったか…?
( 彼女の柔らかな声が"どうしても"と甘えるように応えるものだから、頼られているような気がして胸が切なく締め付けられる。この教材を集め終わったら、彼女は自分に優しくお礼の言葉を掛けてくれるのだろうか。そんな期待に胸が高鳴るのを自覚しつつ、一冊一冊向きを揃えながら教科書をまとめる。そのうちに彼女から学年を問われると、一度教科書を拾う手を止めてそちらへ視線を向ける。
彼女の瞳が自分を見つめていることに、彼女が今この瞬間自分を意識していることに甘やかな高揚を覚えると思わず息が止まりそうになる。しかし彼女が自分の返答を待っていることを思い出すと、すぐに自分の学年と名前を答える。そうして質問をしてくれるのも、まるで彼女が自分に興味を持ってくれているような気がして嬉しさが込み上げてしまう。それが情けなく表情に現れないよう努めながら、散らばったものを集め終えて )
…ほら、僕の方は集め終わったぞ!お前のも僕に渡せ、そのくらいの量なら僕が一人で運んだほうが早い。
【 ラギー・ブッチ 】
アンタこそさっきからちょろちょろ動き回って、あからさまに不審ッスよ。
(寮長直々に新入生に説明を始める寮や、早々に新入生を引き連れて移動を始める寮、どうやら以降の行動は各寮長に任せられているらしい。サバナクローはというと、寮長が前へと出て以来特に動きがない。一体何してんだか、手持ち無沙汰に式典服の刺繍でも眺める最中、投げ掛けられた鈴の声に大きな耳がフードの下でぴくんと動き。恐らく他にすることもなく、ただ暇を埋めに顔見知りの元へと来たのだろう。可愛げがあるんだか無いんだか。スラムの出身であることを隠す気は更々ないが、自国の王子に向ける複雑な感情を説明するのは面倒だ。答えは返さず、周囲に馴染めない小さな背中が彷徨う様子を指摘して。人垣を掻き分け前へと向かいたいのは分かるが、前方へと移動して何がしたいのか。まさか小柄だからという単純な理由でもあるまい。身を傾け前方を覗き、隙間からちらりと見えたのは新入生に囲まれ気怠そうな獅子の寮長の姿。王族に取り入ろうとする者もいるのだろうが、単純な自国の王族への憧れや、彼のマジカルシフトの活躍に憧れサバナクローを強く希望する新入生も多いと聞く。どういった理由かは分からないが、きっとこのお嬢様も寮長に用があるのだろう。視線を隣の少女へと戻し、顎で前方を示してから表情を覗き込むように問い掛けて。)
…アンタも王子様目当てッスか?あの人のファンなわけ?
【 ドロシー・エルリッチャー 】
セベク……、くん。私はドロシー。
(下級生と分かれば無意識に力が抜け、口調が幾らか柔らかさを増す。自分を愛してくれるかもしれない相手の名前を復唱し、記憶に刻み付けてからこちらも名乗り、僅かに口角を上げてみせ。先程から、“人間”と、妙な括りで呼んでくる彼ではあるが、どんなに遅くとも愛が生まれる頃には名前で呼びたくなるだろう。過程は問わない。いつか来るその日を想像してほこほこと胸中と頬を温めていると、考えを裂いて飛び込む声にきょとりと顔を上げ。彼がこちらを向いてくれたことも、自分の分まで持ってくれると言ってくれたことも、どちらも嬉しくて自然と相好が崩れる。申し訳なさを声に滲ませながらも、胸に抱えた参考書達ををそっと彼の持つ荷物の上に積み、先程のように風に攫われないようプリント類だけは自分がしかと持って立ち上がり。)
……。じゃあ、お願いします。男の子はすごいね。
【 ヘレナ・アンティパス 】
ファン、って言うと少し変な感じがするけど…そんなところ。あの人から見えるところに行きたいのに、他の生徒たちが邪魔なの。
( 相変わらず自分の問いに答える様子を見せない彼に少々つまらなそうな視線を向けてから、あからさまに不審だという指摘にばつが悪そうに口を尖らせる。フード越しに見えた耳の動きからして、きっと彼もなにかの獣人なのだろう。彼の出身も知らないし、耳や尻尾が式典服に隠されているので何の獣人かも見当をつけ難い。まあ寮生活をしていれば嫌でも知ることになるだろうと判断しつつ、王子様目当てかという問いに曖昧に首を傾ける。明確に言えば彼の権力が欲しいのだが、それを言うのはあまりに露骨だろう。ファンというのもなんだか違うような気がするが、細かい説明の必要はないなと考えて答える。
そのうちに寮長の説明が終わると、サバナクローの寮生たちとともに鏡の間を出る。式典の会場は出たしもういいだろうと判断すると、窮屈な式典服のフードを取って )
フードや帽子って髪が乱れるから嫌。…獣人だと耳の位置が違うし、私よりもっと窮屈に感じるんじゃない?
──────
【 セベク・ジグボルト 】
ドロシーか。覚えておいてやろう!
( ドロシーという何気ない響きの名前一つでさえ、なんだか甘美に思えてしまう。頭の中でその名前を何度か反芻した後、相変わらず偉そうな口ぶりでそう述べる。申し訳無さそうな声色とともに嬉しそうな色の滲んだ表情を向けられ、彼女はこんな表情もするのかと思いながら胸のうちにじんわりと込み上げる熱を噛み締める。プリント類だけはその手に持っていてくれているというささやかなことでさえ、彼女の謙虚さを垣間見たような気がしてしまう。
すっかり自分が彼女に夢中になりかけていることへの自覚なんてないまま、すごいという言葉に誇らしげな笑みを見せる。何せ自分は高貴なマレウス様に仕える誇り高き妖精の一人。彼女がそうして褒めたくなるのも当然だとばかりに告げながら、早速鏡舎へと足を向け )
当然だ、僕はお前のような人間とは違って誇り高い妖精だからな…!
【 ラギー・ブッチ 】
あの人“から”?……よくわかんねぇや。
(あの人“が”ではないのか。相手から視認してもらう必要性とは、と少し考え、もしやこう見えて厄介なタイプのファンなのか、と思案を。あまり深入りはしない方がよさそうだ。当たり障りなく不理解を告げたところで列が動き始め、逆らわずに移動を。堅苦しい鏡の間からやっと抜けることができる。隣にいる彼女も多少なりとも同じ気持ちだったのか、早速とフードを脱ぐ動きに反応し自然と視線をそちらへと遣ると、思わず数秒はた、と静止し。元から端正な顔立ちだとは思っていたが、こうして遮るものもなくなると更に際立つ、ような。スラム出身の自分の目が肥えていないだけなのだろうか。異性であることと整った見目を改めて認識すると急に浮き足立ち始め、慌てて反応を示すと先程とは違った意味で深くフードを被り直し、かつ行動とは反対の発言を歯切れ悪く返して。)
───え?あ、…そうッスね、フード。音は籠るし、耳に布が触れてるってのも鬱陶しくて、……。
【 ドロシー・エルリッチャー 】
へえ…、妖精なのね。なんだか不思議な雰囲気なのはそのせいかな。
(誇らしげな笑みに対し緩りと表情を和らげてみせる。褒め言葉に対してこうも分かりやすく喜ばれると可愛げがあるというものだ。歩き始めた彼の隣を続き、合わない歩幅のために歩調を上げながら相手を見上げる。火や水の妖精を見たことはあるが、こうして人間と同じ姿形の妖精族を見るのは初めてだ。確かに肌は色白だし、よく見ると瞳孔は縦に広がっている。妖精に愛される私──というフレーズも中々に魅力的かもしれない。呑気な想像に表情が綻び、高揚する気分のままにそっと彼の腕に触れ、いつかそこに抱かれる自分の姿を想像し酔いながら穏やかな声音で提言を。)
優しい妖精さんがいてくれてよかった。……でも、重かったら言ってね。私も持つから。
【 ヘレナ・アンティパス 】
鬱陶しいんなら早く脱げばいいのに。ふふ、変な人。
( 自分の目的が王子に取り入ることである以上、認知してもらえないことには何も進まない。しかし、そんな事情をわざわざ初対面の同級生に話す必要もあるまい。そんな考えから彼の言葉を適当に受け流しつつ、フードのせいで髪が乱れていないかを手で確認する。毛流れに沿って髪を撫でつけ、変に跳ねた毛を抑えた上で彼を見遣ると、フードの鬱陶しさに同意しながらそれを深く被り直す奇妙な姿が目に入った。
そんな彼の様子をからかうように笑って指摘しては、彼が自分の質問にまともに答えたのは初めてかもしれないなと思い当たる。先程より素直な態度や、どこか動揺したような歯切れの悪い素振り。それにようやく彼の隙を見られたような気がして、半ば冗談半分に鎌をかけるように問いを掛け )
随分動揺してるみたいだけど、大丈夫?
──────
【 セベク・ジグボルト 】
っ、…この程度の荷物、僕にかかれば重くはない!気遣いは不要だ、必要なだけ頼っていいぞ!
( 不思議な雰囲気、というのはきっと自分のまとう神秘的な雰囲気のことをいっているのだろう。マレウス様にも他の人間にはない威厳と神秘に満ちたオーラがあるし、彼女は自分にそれを感じているに違いない。だとしたら、自分が彼女を見たときに得たような感覚は、自分に限ったものではないのかもしれない。もしかしたら彼女も自分に同じような感覚を覚えているのかもしれないと、都合の良い解釈をしながら歩みを進める。
そのうちに彼女の細い指が自分の腕に触れ、穏やかな声でこちらを気遣うような言葉をかけられる。そんな優しさに触れるだけで息が詰まるような愛しさに胸が熱くなるのを自覚し、高揚を落ち着けるように強引に彼女から目を逸らす。この程度の荷物、別に重くはない。そう答えたら彼女は頼りがいのある男だと思ってくれるだろうか。そんな期待で胸をいっぱいにしながらはっきりとした口調で答えを返し )
【 ラギー・ブッチ 】
……別に、大したことじゃないんスけど、…。
(ころりと転がる笑い声を聞きながら、フードの裏で顔を顰めて息が漏れる。明らかに揶揄われている。決して気分がいいわけではないが、それでも今までお高くとまった冷淡な印象を持っていた相手の、普通の少女らしい反応を見られたことで印象の氷解を感じ、こちらとしても警戒が緩む。今度は深く、彼女にも聞こえるように溜息を吐くと、フード越しにガシガシと髪を掻き乱して気持ちを切り替え、隣へと不満顔を向ける。未だ纏まりのない気持ちを上手く形容できる気がしなくて、半ば無理矢理レッテルを貼るようにこの動揺の理由を定めて口に出すと、辿々しく終止符を打ち。再び不躾な視線を向け、じっとその顔立ちを眺めてみる。あぁ、やっぱり美人だ。肌は白いし、髪はサラサラだし。こうも綺麗だと、褒め言葉を口に出すのもただの事実を羅列しているに過ぎず、気恥ずかしさも無くて助かる。慣れない状況に湧き上がる気疲れを感じ始め、首まで詰まった式典服の釦を幾つか外して。)
オレは育ちが良くないもんで、アンタみたいな身形のいい美人さんを前にするのは慣れてないっていうか、……慣れてないんスよ。それだけ。
【 ドロシー・エルリッチャー 】
……そう?なんだか悪い気もするけど、…嬉しい。でも、今度何かお礼はさせてね。
(ぐっと視線を逸らす彼の様子が微笑ましくて、思わず笑みが溢れてしまいそうなのを抑える。分かりやすい子だ。きっと愛情表現もストレートなのだろう。それとも今の反応の通り照れ隠しも混ざるだろうか。まあどちらだっていい。そこに心が伴うのなら、どんな形で愛してくれても構わない。ふっと吐息混じりの笑みを零し、触れた腕をそっと離して。
視線の先に鏡舎が見え、次第に距離が縮まっていく。元々さほど校舎から遠いわけでもないし、彼の歩きに合わせたらあっという間だ。「セベクくん、」と小さく声を掛け、相手の進行方向へと立つ。鏡舎の方にちらりと一瞥を向け示してから、低い位置で両手を差し出し受け渡しを促して。)
この辺りで大丈夫。ありがとう。渡してくれる?
【 ヘレナ・アンティパス 】
へぇ、ずいぶん素直。…褒めてくれてありがとう、嬉しい。
( 動揺のわけを語りだしたかと思うと、不意に自分の容姿を褒められたものだから一瞬目を丸くする。しかしそれに謙遜や遠慮の姿勢を見せることはなく、上機嫌な笑みを浮かべて言葉を返す。自分を素直に褒めたのだから、少しの不躾な視線は許してやってもいい。そんな考えから彼の視線を咎めずに受け入れる。初対面の生意気な生徒にさえ美人と言わせたのだから、きっと自分の容姿は王子に接近するのにも役立つはずだと密かに自信を持ち直す。
家柄も品もないだろうこんな同級生、正直興味は少しも湧かない。ただ、自分のために動いてくれる駒が一つ手に入るとすればそれは好都合だ。ただでさえサバナクローの雰囲気や自分の立場で起こるトラブルは想定できるし、味方が多いに越したことはない。そんな思案から一度足を止めると、彼の式典服のフードをそっと取って視線を合わせ )
ねぇ、ラギー。アンタじゃなくてヘレナって呼んでよ。…だめ?
──────
【 セベク・ジグボルト 】
( 腕を通る神経が全て、彼女の指の動きを捉えようとしているような気がする。その温もりや触れる指の細さを服越しの腕で感じて鼓動の早まりを自覚しているうち、彼女の手が離れていってしまう。それに名残り惜しさを感じるものの、人間ごときにまだ離さないでほしいなんて甘えたことをほざくわけにはいかないと必死に理性を働かせる。今度お礼をさせてというのは、また次に会う機会があるということだろうか。
それだけで今までに感じたことのないときめきじみた高揚を覚えてしまって、そんな自分に半ば戸惑いを覚えながら歩みを進めていると、鏡舎が早くも近付いてくる。もう彼女と別れることになるのだろうかと思い名残惜しくなってしまって、足取りをわずかに緩めた矢先、目の前に立った彼女から名前を呼ばれる。荷物を差し出すように言われると彼女との別れへの名残惜しさから少しの間躊躇するような様子を見せ、首を横に振り )
いや、…お前一人で運んでまた教材を散らかしたら周囲に迷惑がかかるだろうから、僕が部屋まで持っていってやる!
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