ビギナーさん 2022-08-20 17:26:05 |
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そうか…
(ちょっかいを掛けた所で相手には全然効いていないようで、接触していた手を引いた。体が妙に擽ったく、アルコールが効いてきたのか、遂には黙りこくってしまい)
…?おーい、黎斗。起きてる?
(暫くすると反応が無くなってしまった相手を見やり、半分ほど中身の無くなった缶をテーブルに置いては相手の目の前で手をひらひらと振ってみて)
はっ、…起きているとも。頭がぼうっとしていただけだ。
(そう言っておきながら、らしくない言動に羞恥心を覚えている様子である。下戸ではないはずだが、仕事の疲労が今になって押し寄せたのか、それとも相手が側にいることで安堵感を覚えていたのか不明瞭であった。所在なく相手の手をぎゅっと握っており)
それならいいけど~。
(相手の返答にはそう答えて引き下がり、今しがた置いた缶を持ち直すと中身を全て飲み干す。空になった缶をテーブルの上に投げ出し、空いた手で相手の頭を撫でてやり)
あたたかい。……悪くは無いな。
(毒気のない口調でそう呟く。それは決して皮肉めいたものでは無く、彼の本心から出た言葉らしい。掌から伝わる感触は心地よく無意識のうちに顎を下げていて、まるで撫でるのを続けろ、と催促しているかのような体勢を取っていた。相手の体温を求めているのか、ゆっくりと顔を近づけた後に抱き付いて)
…
(口に出せばまた機嫌を損ねそうだったので、声には出さないが可愛い、と内心で呟きながら自分に抱き着いてくる相手を優しく抱きしめ返す。頭を撫でる手は止めないが、もう片方の手で相手の首筋やら服から見えている部分を撫で回してみて)
貴利矢。
(微量のアルコールと愛しい相手の仕草に酔いしれて、その名前を語尾の母音を伸ばして呼び掛ける。地肌を撫で回されて『触れたい』という気持ち、あるいは独占欲が昂ったのか、相手の口を強引に奪う。そのままソファに押し倒そうとしていて)
…ん?って、ちょっ…
(呼ばれた自分の名前に返答を返そうとした時、柔らかなものに唇を塞がれる。それが相手の唇だと気付いた時にはソファに身体が沈み込んでおり、下から相手を見上げる形になっていて)
君の戸惑った顔は素敵だ。
(妖しい笑みを浮かべて耳元で囁く。その微笑には、困らせてやりたいという嗜虐性に加えて、本人の熱情が感じられる。
馬乗りになって相手の体を押し付ける。手首を攫み、再度唇にキスを贈るも、それには優しさがこもっていて、なぶるのに不慣れであることが分かる。強情でありながら、心臓がドクリ、と脈打つのをより一層感じていた。相手の色んな表情を知っているのは、この私だけ。…今はただ、彼を独り占めしたいという気持ちが湧いているようで)
っ…黎斗、
(普段からは想像できないほど熱情を露わにした相手を見ると、焦れて切羽詰まったような声で相手の名前を口に出す。自分よりも拙い相手のキスに教え込むような動きでその口内を柔らかく嬲ってやり、少ししてから「…酔い過ぎじゃない?」と問いかける口調はいつも通りであるものの、瞳の奥は妙にぎらついていて)
…こうもしないと、振り向いてくれないだろう?
(珍しくも寂しげな口調で、ぽつりと打ち明けている。普段の貴利矢は掴みどころがなく本心が分からない。そのため、此方に向ける愛情表現は真か、本人はそれを確かめたいようであった。口内を相手の思うままにすっかり懐柔されて恍惚し、「これ程までに欲してしまうとは…私らしくない」と自嘲的になっていて、抑えていた腕の力が弱まり)
…あー…ホント、何なの…
(あまりに頼りない、普段の傲慢不遜な相手からは想像もつかないような発言を聞くと何とも言い難いような表情で天井を仰ぎ、そう口に出す。拘束が緩まったのを良いことにするりと腕を抜き、相手の頭を自身の顔近くまで引き寄せてやると逃げられないように少々力を込めて押さえ込み、頭が近くなったことでこちらも自然と近くなった耳元へ「…もっと欲しがって、確かめていいよ。…可愛いから。黎斗になら、全部あげる」相変わらず本心が読めないながらも節々に熱情を帯びた、普段より数段悪戯っぽい声色で囁くなり先程の柔らかさは微塵もなく獲物を貪る獣のような勢いで相手の唇を奪う。手持ち無沙汰なもう片方の指先は、CRで相手の鎖骨辺りに刻んだ所有印のような自身の噛み跡に這わせられており、表情も先程までの困惑したものから打って変わった捕食者のような眼差しを相手に向けていて)
んっ。あっ、良いぞ。もっと、だ…
(耳元で相手の発言を聞いた際に、暗黒色の目が見開く。どうやら理性のリミッターが解除されてしまったらしい。その口付けの強引さに、内心相手を仕懸けていたことをやや後悔し始めたが遅過ぎた。口いっぱいに舌で蹂躙されて、自身の舌も紐のように絡み合っているせいか、思うように息ができない。獣性を剥き出しにした相手の様子からして、此方側はいわば肉食動物に捕らえられた被食者だろう。頭の中がドロリとした熱い何かで侵食されていく感覚を覚える。光を失い虚ろで蕩けた目つきで、貴利矢を見つめ返すことがやっとだが、乱暴な愛の証明に心の隙間が穴埋めされていく。もっと印をつけて欲しいと言うかのように、無言でシャツを捲り腹部を露わにして)
…ふ、
(こちらを見つめるどこか虚ろな瞳に、自身の心から初めて感じる、征服欲や支配欲じみたものが湧き出てくるのを感じたところで差し出された相手からの随分と可愛らしい要求に微かな笑みを漏らし、顔を上げるが思うように吸いつけないのか舌打ちを一つ、ぐるりと相手を引っくり返すと体勢が逆転して此方が相手に馬乗りになる姿勢となった。照明に照らされた白い皮膚に頭を近付けて最初は優しく、徐々に跡が残るよう吸う力を強めていくと相手の白い肌によく映える幾つもの紅い花が咲いていく。その様子を満足げに見つめ、相手の膝裏に手を差し込んで掬い上げるとその爪先や脛にも何度か慈しむようなキスを落とし、その後にはきつく吸い上げて、自身の衝動のまま差し出された腹部だけでなく足、首筋、腕や相手の全身に所有印を刻んだところで「…まだ、足りない?」と相手に問うような声色だが、半ば己の呟きのような言葉を漏らしては相手の首筋へ吸い寄せられるように顔を寄せ、大きく口を開けるとCRの痕を残す時よりも多少強い力でぎり、と相手の肌に歯を突き立てて新たな噛み跡を残していく。「…黎斗も、していいよ」こちらも肌を露出し、相変わらず相手に向ける瞳はぎらついたままであったがそう薄く笑ってみせ)
は、はははっ。
(押し倒されて痴態を演じている自身に乾いた笑いが込み上げてきた。最後の闘諍は大分前のことだが、私はこれまで彼との喧嘩を何度か経験している。相手を力一杯に殴り、そして思いっ切り殴られる。命を落とすことも度々あった。しかし、同じく己を曝け出す行為と言えど、愛撫は似ているようで違った性質を持つものでは無かろうか。体が相手の色に染められていくのを、素直に悦んでいる。そして体中が傷だらけになっていくのは快感で、荒療治にも思える所行も、ねちっこく物分かりが悪い私にとっては丁度良かった。
相手に頸筋を噛みちぎる勢いで吸いつかれたので、痛みと快感が脳内に駆け巡ってきて無意識に背中を反っている。蝶とそれを誘い込む甘い蜜のように、このまま依存関係になってしまえばいい。
荒い息を途切れ途切れに吐きながら、「想像以上だよ。はぁ、……君でないと満足できない体になってしまったみたいだ」と死霊のような未練がましさをもって呟く。ゆっくりと舌を舐めずった後、相手の首筋に喰らい付いて疵跡を残し)
…っ…
(相手と同じように首筋へ走る痛みに少々眉を顰めるものの、相手の身体に目立つ自身で刻んだ無数の傷痕に目線を落とすと、また煽られたように息を呑む。相手からの呪いにも似た言葉に口元を歪め、指先を妙に艶っぽく見えるその唇へ伸ばして「…ふ…神のお気に入りとか光栄~。」と笑ってみせた。唇の形を確かめるように柔らかくなぞった後は自分の肩口に戻し、噛み跡からじわりと滲む血液を纏わせるとそのまま相手の唇へ持っていき、その次は相手の肩口に指先を這わせ、血液を掬い取るとその指を自らの口元へと見せつけるようにゆっくり運んで)
寵愛にしては少々乱暴だったかな。
(先程の虚脱状態は消えて、不気味にも掴みどころが無い、爽やかな笑みを浮かべて答えている。まるで相手と契約するかのように繊細な所作で赤い液体が滴っている指先を、そっと口に含んで舌で感じ取っている。独特の香りが鼻腔を刺激させて、相手の温もりに情熱を傾けながら「ああ。君は取っておきさ」と囁いており)
…な~んだ、さっきは可愛かったのに。
(すっかりいつもの調子を取り戻したらしい相手を見つめ、そう言うものの表情はいつものままで言葉程落胆している様子は見受けられない。寧ろ自身の首筋に深々と残る噛み跡を気にしているようで、傷痕に手を遣りながら「…あー…これどうしよ。」と小さく呟いており、手近にあった救急箱からガーゼを引き寄せてその傷痕に押し当てていて)
うーむ、流石にやり過ぎたか。
(今くらいは可愛いと言うのを大目に見てやろう、と内心思いながら、相手を見遣ってにんまりと笑っている。当の本人は酔いがすっかり醒めたらしい。先程は妙な言葉を先走った気がするが、自分でも良く覚えていないようだった。無数の傷跡を気にする素振りを見せることはなく、乱れた服を整えており)
…何笑ってんの。
(既にじわりと血が滲み始めているガーゼを首筋に押し当てたままではあったが、相手の笑みを見遣ると途端に不満げな表情を浮かべる。ふと眠そうに欠伸を一つ、「…黎斗、一緒に寝る?」と冗談めかして尋ね)
隣で寝かせてくれ。
(流れに乗って当然の行為をしたまでだ、と本人は考えているため、何故笑っているのかと問われて呆気に取られている。もちろんCRのドクター達に首元の傷が勘付かれた場合には、由々しい事態になりうると頭では理解している。が、何処からか湧いてくる謎の自信のせいで、然程問題視はしていないようであった。
相手の悪戯な表情と誘い文句のお陰でくすぐったい思いがして、無意識のうちに頭を軽く撫でていた。「…これは私からの命令だ」と相も変わらず態度がでかいが、控えめな調子で物言いをし、その語勢から甘えているようにも見受けられ)
はいはい。
(相手からの要請を軽い調子で受け入れ、今しがた二人で本能のまま戯れていたソファに再び体を沈み込ませる。そうしてまた大きな欠伸をひとつ、相手を誘い込むように両手を広げたかと思えば「…ほら、どうぞ」と悪戯っぽく微笑んでみせ)
ふ…
(魅力的な微笑を前に無意識にも笑みが溢れ、相手の体に手を回した。体格差があるため相手を包み込むような体勢で抱き締めている。そして『貴利矢』と名前をささめいて、背中を優しくさすっており)
…何?
(抱き締められると自然と相手の胸元へ頭を埋める形になり、その匂いを吸い込んでいると心地が良いのか半ば微睡み始める。一応呼ばれた名前には返事を返すものの、その声もいつもの声ではなく、眠そうで怠慢なものへと変化しており)
すき …
(微睡み消えかかった声で本心が顕著に現れた、その二文字を返答する。すっかり眠りについたようで寝息を立てており、決して他人には見せない穏やかな寝顔を浮かべていた。相手の腕に手のひらが乗ったまま目を閉じており)
…言い逃げとかズルくない…?
(その言葉を聞くなり一気に眠気が覚めたようで、珍しく赤面しながら恨み言のようにそう呟く。何か文句を言ってやろうにも当の相手は既に夢の中、その後暫く一人で悶えていたが、やがて相手と同じように寝息を立て始め)
(早朝にふと目が覚める。視界の先は格子状に途切れた窓では無く、愛しい人。そして独りではないという現実を心の内に刻んだ。慈しむようなキスを額に贈ってから、満足げに笑い、うとうととしており)
…ん…
(先程までの悪態は何処へやら、すっかり心地良さげな寝顔で深く寝入っており、額に送られた口付けに小さな声を漏らす。相手の背へ回した手に無意識のうちに力を込めており)
お目覚めかい?…貴利矢。
(手の温もり、心地よい感覚が背中に伝わっていった。ゆっくりと瞼を開けて、普段に比べて抑え気味の声量をもって相手に話しかける。前髪をかき上げてこめかみの辺りを優しく撫でており)
…
(撫でられるとこそばゆいのか「ん、」だの「ぁ」だのと鼻にかかったような声を漏らしながら微かに身を捩り、薄っすらと瞳を開けて相手を見つめる。少しの間意識がはっきりせずぼんやりしていたようだが、やがて「…まあね。…おはよ、黎斗。」といつもの表情を取り戻しながら相手に微笑みかけて)
おはよう。
(態と手のひらを重ねてみせて、にこりと微笑む。一つ欠伸をしてソファから起き上がると、昨晩の戯れが烈しかったせいか体の倦怠感が抜けず、体の節々がひりひりとしていて痛い。溜息を零し、肩を回して首を傾げており)
…あー…腰痛い。
(相手に少し遅れて起き上がるものの、全身に走る痛みに眉を顰めながら腰を拳で何度かとんとん、と叩く。そう恨み言のように呟きながら相手の首辺りへ両腕を回してはだらりと凭れ掛かってみて)
(ご無沙汰しております、背後です。今度はパ.ラ.ド.ク.スを動かしてみたいと考えているのですが、動かしたいRiderなどいらっしゃいますでしょうか。此方としてはブ.レ.イ.ブとお話してみたいと考えておりますが、そもそもあまり絡みもない二人ですので…他のRiderでも大丈夫です)
いや、しかし。着替えをどうしたものか……
(取ってつけたような口調でそう呟いて唸っているが、昨晩羽目を外し過ぎたことを流石に自覚しているようではあった。両手首に手を添えて「私だけのせいでは無いぞ」と嬉々として相手に向かって言い返す。普段着ているVネックのTシャツはやめた方が良さそうだと思いつつも、首筋や腕に残った傷を隠すのは困難であるのは明らかで)
(/いつもお世話になっております。もちろんブ.レ.イ.ブで大丈夫ですよ。お好きなシチュエーションや関係性を教えてくださると嬉しいです。もしもバグスターさんと絡みたい場合、当方はグ.ラ.フ.ァ.イ.トでも提供可能です。)
…自分の着とく?
(相手の首辺りへ回した両腕に少しばかり力を込め、普段はほぼ使われていないクローゼットの方に目線を投げかけ、そう問いかけてみて)
(了承して頂き有り難うございます。ではパ.ラ.ド.ク.ス×ブ.レ.イ.ブのCPで進めていきたいと思います。シチュエーションはエ.グ.ゼ.イ.ドたちと対立していた頃のブ.レ.イ.ブに監視役としてパ.ラ.ド.ク.スが付けられたというものを想定しており、関係性はパ.ラ.ド.ク.スが一方的に興味を持っているところから少しずつ発展していくような形を想定しております。そちら側でも何かやりたいシチュエーションなどあれば遠慮なく仰ってください。)
良いのかい。君のを借りても。
(可不可に関わらず貴利矢の服を借りるつもりであったが、背後を一瞥し申し訳なさそうに訊ねている。体に標された無数の刻印を、さらに相手の所有物で覆い被せるという優越感を実感しているようであった。これは恋愛シミュレーションゲームでいう「彼シャツ」なるものか、と余計なことを考えながら、目尻を下げて微笑んでおり)
(/かしこまりました。外科医が研修医と対立関係にある頃でしたら、小姫の未練を未だ断ち切れずにいる、少々不安定な時期でしょうか。そこではブ.レ.イ.ブの繊細で不器用な感じを表現できればなと思います。なので個人的には、ブ.レ.イ.ブはやや受け気味になるかとイメージしております。)
それ以外無くない?
(大したことでもない、と言いたげにあっさり言ってみせると相手の首から両腕を放し、クローゼットの方へ歩いていく。その中から珍しくアロハシャツではない黒のシャツを取り出し、「これでいいんじゃない?」と問いかけて)
(了解致しました。ではゲ.ン.ム×レ.ー.ザ.ーのCPをキリのいい場面まで進めた後、パ.ラ.ド.ク.ス×ブ.レ.イ.ブのCPを進行する形にしても宜しいでしょうか)
ほう。中々洒落ているね。
(受け取った黒色のシャツへ早速着替え、上にジャケットを羽織る。まるで鴉のような色に全身を統一した本人のスーツ姿は、普段に比べてより気品のある印象を与え、様になっている。いつの間にか、持参していた銀色の腕時計をはめて、前髪はワックスで整えられており)
(/はい!そのような流れで大丈夫です。)
…結構似合ってるじゃん。
(ごく一瞬ではあったが、相手に見惚れていたことを認めたくないのか目線を逸らしつつ、棒読みで称賛の言葉を投げかける。自身も思い出したようにいつもの服に着替え、相手を振り返ってから「そろそろ行く?」と問いかけ)
(了解致しました。では背後はこの辺りで失礼させて頂きます)
そうかい?
(相手の顔を覗き込むようにして訊ねた拍子に艶のある前髪の一部分がはらりと揺れる。それから「折角顔は良いのに、素直じゃないね」と溜息を溢して目を背け、革靴を履く。咄嗟に相手に対する本心が口を衝いて出てしまったので、誤魔化すように態とらしく咳払いをしていて)
ふ~ん?
(その言葉を聞けば揶揄うように口元を歪め、屈み込んで革靴を履きながら今度は自分から相手の顔へ自分の顔を近付ける。「そんなに自分のこと好きなんだ?」といつもの調子を取り戻しては笑ってみせ、シューズボックスの上に置いてあったバイクのキーを雑に掴むと「早く来なよ」と呼びかけ)
まあ…ね。分かっているとも。
(軽く揶揄ってやったつもりが裏目に出て、結果的に翻弄されてしまっていることが面白くないようで顔をしかめて首の辺りに手を当てた。相手の方が一歩上手だと思いながら、ヘルメットを持ち出して背後をついて行き)
ちゃんと掴まっててよ。
(欠伸をしながらバイクへ辿り着き、ヘルメットを被ってキーを挿す。エンジンを蒸してハンドルを握り、後ろを振り向いてそう告げてから走り出すと暫し無言でCRまでの道のりを走らせており)
(失礼致します、背後です。失礼すると言った矢先から申し訳ありませんが、CRに到着した場面からパ.ラ.ド.ク.ス×ブ.レ.イ.ブのCPに切り替えようかと考えております。そちらの形で宜しいでしょうか)
……はいはい。
(バイクにまたがって後部座席にしっかりと掴まる。走行中は所在なしに、風で揺れている相手の上着をぼんやりと眺めていた。交通量が多い通りではエンジンやクラクションの音が鳴り響いているが、2人乗りが心地よくて朝の喧騒は然程気にならず、当の本人は意気揚々としており)
(/いえいえ、大丈夫ですよ。そのように致しましょう。)
着いたよ~。
(暫く公道を走り、時折ミラー越しに「見過ぎ」と揶揄うように笑いながらバイクをCRの駐車場に停める。ヘルメットを外すと座席に置いて相手に呼びかけ)
(畏まりました。)
運転ご苦労様。
(バイクから降り、相手の肩を軽く叩き微笑みかけてからCRへ歩を進める。時間短縮のためにワープを使うことが殆どだが、少しでも貴利矢と一緒に居る時間を確保したいがために、徒歩で向かうことにしたらしい。もっとも、それが本人の口から出るはずが無いが)
あれ?今日はワープしないんだ?
(バイクを降り、珍しく歩き出した相手に不思議そうな表情でそう言葉を投げかける。問いかけはしたものの答えを求めている様子はなく、すぐに顔を背けてしまうと自身も歩き出し)
(申し訳ございません、場面転換の際は先レスをお願いしてもよろしいでしょうか。)
………。俺は休息に入る。
(ふと看護師から「鏡先生!お疲れ様です」と声をかけられて一瞬立ち止まる。相手の方を振り向かずにそう答えてから、螺旋階段を昇ってCRの待合室に戻る。長時間に渡る手術を難なく終えて、ふうと深い息を吐く。連日はバグスターの切除手術にも追われ以前にも増して忙しくはなったが、体力管理も実力の内。そう思いながら小型の冷蔵庫から、苺とホイップクリームがたっぷりと盛り付けられたホールケーキを取り出しており)
(/先レス失礼致します。早速場面転換をしてみましたが、絡みにくい場合は遠慮なく申し出てください…!)
…甘そうだな、それ。
(テーブルの上に放置されている宝生永夢のゲーム機の画面からオレンジの粒子が流れ出し、人間の姿を形作ったかと思うとテーブルに行儀悪く肘を付くパラドが相手のことをじっと見つめていた。その視線は半ば相手の手にある糖分の塊じみたホールケーキに注がれているようで、そう呟くように漏らす。落ち着きのない子供のように相手の周辺をぐるぐると回りながら「そんなの食べて病気にならないのか?永夢が言ってたぞ、飛彩さんのケットウチ?が心配だって」と口を出し)
(いえいえ、此方の方こそ絡み辛いなどあれば遠慮なく仰って下さいね)
研修医が?余計な心配はノーサンキューだ。
ケーキに含まれるブドウ糖が精神的疲労を……いや、疲れを取るために食べる。ただそれだけだ。
(両手にナイフとフォークを手にした所で液晶画面から飛び出して来た相手の方を一瞥し、難しい用語を避けて言い訳をした。珍しい来客だなと思いつつも視線は直ぐにケーキへ戻し、ちょこまかと動き回るパラドを牽制するように「俺に用があるのか、パラド」と冷ややかな口調で尋ねる。手元の方はメスのように迷いなくナイフを動かしており、その後ケーキはきっかりと8等分、正確に切断されていた。家から持参したかと思われる、装飾が凝った小皿にケーキを取り分けており)
(/問題無いので大丈夫ですよ!背後はこの辺りで失礼します。)
うん?あ、そうか。グラファイトから言われてたんだった。
(相手からの問いに一瞬首を傾げるものの、すぐに合点がいったように軽く手を叩く。そうして何処からともなく取り出した白いガシャットーレベル100のガシャットを相手に差し出し、「グラファイトからの伝言だ。ーいなくなった恋人に会いたくないか?このガシャットを使ってスナイプたちを倒せば会わせてやる…だってさ。」と台本を読み上げるような一本調子の口調でそう問いかけ、続けて「一緒に来ないか?」まるでチェシャ猫のように口角を吊り上げてみせ)
(私事なのですが、運転の視聴を開始致しました。暫くしましたら提供可能になりますかと存じます)
なに、小姫に会える?…冗談はよせ!
(目の前にいる相手を無視するように黙々とケーキを食していたが、話を聞いた途端銀のフォークを落とし、その拍子に金属音が床に響き渡った。相手の誘うような笑みを、睨むように見つめて「Taddle Legacy」と記された白いそれを手にする。危うく口車に乗りそうになったが、無免許医たちを倒すことは断じて容認できない。一方で、相手の目を潜り抜けてガシャットだけを奪う方法も考えられたが、ゲンムとの繋がりがあればその後むごい仕打ちを受けるに相違ない。恋人に対する思いを踏み躙るバグスターに怒りを覚え、気持ちが昂りそうになるも警戒心と冷静さを保ちつつ、机越しに白いガシャットを返して「断る。第一、ドクターである俺がライダーを倒すことはできない」と強い口調で拒むが、完全には未練を断ち切れていないようで、若干声が震えているようでもあり)
(/そうでしたか…!嬉しい限りです。是非お相手様と他作品の也もやってみたいです。)
ふうん。
(どうやら本気で期待もしていなかったようで、案の定と言うべきか相手から突き返されたガシャットをすんなりと受け取ってはまた何処かへ収納すると、あからさまに興醒めしたようなその声を上げる。ほんの一瞬だけ腰に挿してあった自らのガシャットとバグヴァイザーに手を伸ばしかけるものの、すぐに手を引っ込めると代わりのように相手が今しがた落としたフォークを拾い上げ、少しの間しげしげと眺めてからテーブルに置く。「…心が躍らないなあ。…所詮その程度か。」と些か落胆気味に呟いたかと思えば再び自身の体をオレンジ色の粒子に還元し、ゲーム画面に戻ろうとしたが思い出したように相手をくるりと振り返る。「またな」最後だけは普段通りに笑い、未だ放置されたままのゲーム画面の中へと戻ってしまい)
(此方こそ、是非お相手させて頂ければと考えております。他にも様々な作品を現在進行系で視聴しておりますので、提供可能作品を増やせればと)
待て……!
(その言葉は虚しく反響し、再度1人になってその場を立ち尽くしていた。しかし元来備わっている精神力の強さからか、本人は直ぐに気を取り直したようだった。糖分補給や仮眠などして休息を終え諸々の業務対応に追われたのち、再度CRへ戻ると研修医のゲーム機が目に入った。先程までパラドがこの空間にいたこと、向こうから取引を持ち掛けてきたことが記憶となって蘇る。あの純白のガシャットも脳裏に焼き付いていた。またバグヴァイザーに手をかけていたのを見逃しておらず、此方からは『面白いことが起きないのか』と、相手が退屈しているようにも見えていた。流石に本気でやり合うのは命知らずだが、遊び相手としてなら応対しても良いかもしれない。物は試しに本人に訊ねてみようと、「お前はもしかして遊びたいのか?」と我ながら何をやっているのだろうと思いながら、ゲーム機に向かって話しかけていて)
(/ありがとうございます。当方も色々な作品を視聴したいと思っております。改めてではありますが、今後もよろしくお願いいたします。)
遊んでくれるのか?
(暫しの沈黙の後、ゲーム画面にパラドの姿がぼんやりと映し出されたかと思えばそう問いかけてくる。その表情は先程とは全く違って楽しげであり、玩具を前にした子供のような雰囲気が漂っていて、間髪を入れずゲーム画面からひょいと飛び出してきた。その手には自身のガシャットと白いガシャットが握られており、くるくると自身のガシャットを回しながら相手の言葉の真意を探っているようで)
(此方こそ、宜しくお願い致します。)
先程の提案には乗らない。…だが、少し遊ぶだけなら良いだろう。
(相手が手に持っている、レベル3桁のガシャット。おそらく無慈悲な提言をすすめてきたのは誇り高き戦士、グラファイトでは無く、全く別の主犯であろう。目に見えない第三者が此方を誘き寄せている…と出所を不審に思い、険しい表情を浮かべていた。
そして相手の『遊ぶ』という言葉が妙に引っかかる。文字通りのゲームであれば、ゲームの腕が人並み未満の外科医に仕掛けるとも思えない。つまり、相手は単純に勝負がしたいのではないかと本人はそう汲み取った。無許可でドライバーを使用した場合、後で親父から咎められる可能性がありそうだが、オペのトレーニングという名目で説明すれば何とか乗り切れるだろう。あくまで事を荒立てず相手の神経を逆撫でさせない方法を採る。
そのためにも、単独で敵のアジトに乗り込む位よりは、至って安全で賢明な判断だと思っていた。相手に隙を見せる真似はしない、と胸に刻みながら。
ジュラルミンケースからゲーマドライバー、そしてガシャットギアデュアルを取り出して机に置き「それでどうだ」と冷ややかな視線を送り)
…まあいいか。
(相手からの問いかけを聞いたその声に些か不満げな様子は残っていたものの、指先で器用に回していたガシャットの回転を止めると差し出されたゲーマドライバーとガシャットを使え、と言わんばかりに相手の方へ投げ返しながら青い面ー「Perfect puzzle」で固定するとそのままバグヴァイザーに挿し込む。変身音が鳴り、パラドクスの姿に変身を終えるとステージセレクト画面を表示、適当な開けた場所を選択して「…じゃあ遊ぼうぜ、ブレイブ」とマスク越しでは表情こそ見えないものの、声色はひどく楽しそうで)
パラドクス、これより模擬戦を開始する。
(慣れた手付きでドライバーを腰に装着する。ガシャットのダイアルを回してドライバーに装填すると軽快な電子音が鳴り、「Taddle Fantasy」が起動して重厚な音楽が流れる。たちまち魔王を模したブレイブへと姿が変わり、CRの風景はドミノのように崩れて、殺風景なステージへと再構成される。周囲には暗雲のような霧が立ち込めている。大きく跳躍し、相手に先手攻撃を仕掛けようと接近して)
心が躍るなあ!
(相手の攻撃を避けるように一歩下がり、嬉々とした声で笑いながら空中に浮かぶパワーアップアイテムを組み換えていく。鋼鉄化や伸縮化といったアイテムを取得し、有利に模擬戦を進行するが途中で飽きてしまったらしく、ガシャットを「Knockout Fighter」の面に固定して赤いパラドクスへ変身したかと思えば相手すれすれの至近距離まで距離を詰め、強化された拳で相手へ連続攻撃を仕掛け)
くっ、……強い。
(ファンタジーゲーマの特性でエナジーアイテムを無効化して躱しつつ、相手の方向に高エネルギーの光弾を連続で射出した。突如フォームが変わり、至近距離に迫って来る鋼鉄の拳を一発受けてしまいよろめくも、瞬間移動で追撃を免れる。相手の背後に立って、烈火を放っているガシャコンソードを力強く振り下ろし)
ははっ、お前もな!楽しいなあブレイブ!
(防御も間に合わず背後からの手痛い一撃を喰らい、此方も足元が覚束なくふらふらとしてはいるものの、パラドの口から飛び出す言動は相変わらず無邪気な子供じみたものであった。が、突然思い出したように動きを止めると眉を顰め、「…グラファイトから呼ばれてる。そろそろ戻らないと。」と呟いては変身を解除し、普段の姿に戻った後ずっと手に持ったままであった白いガシャットを相手の方へ投げ、「これは渡しとく。でもバグスターを倒すのにこれを使ったら君の恋人のデータは消去する…ってさっきゲンムが言ってたぞ」とだけ言い残すと自身の体をオレンジ色の粒子に還元し、空気に溶けるかのように姿を消してしまい)
少しは満足したか。…全く、手加減を知らん奴だ。
(相手に続けて変身を解除する。肩は上下していて、はぁはぁと浅い呼吸を繰り返した。短時間の遊びにしては熾烈な闘いであったため、楽しそうな様子を目にして若干表情が和らいでいる。
そしてパラドが去った後も、殺風景な電子空間を暫く眺めていた。攻撃を躱したつもりではあったが、知らぬ間に打撃を受けた所為か今更になって身体がジリジリと痛んだ。
CRに戻ってからは、純白のガシャットを警戒心をもった眼で眺めていた。試しに起動スイッチを押したところでびくともせず、術無しで白衣のポケットに放る。ふと相手の発言が思い出されて、「やはりゲンムが関わっていたか。姑息な真似を」と空気を切るような声で独り呟き、堪えられない怒りの余りテーブルに拳を当て付けており)
ブレイブ、飛彩さん…か。
(グラファイト達の元に戻り、とりあえずガシャットを渡してきた旨を簡易に報告すると何やら相談する二人を尻目に、目についた適当な机に腰を下ろしてぼんやりとそう呟く。怪訝そうな表情を浮かべたグラファイトから何の話だ、と問われても気にしていないらしく、言葉を返すでもなく沈黙した後またチェシャ猫のごとく楽しげに口元を歪めては先程まで「遊んで」いた相手の姿を捕らえるように指先でファインダーを作りながら「…心が躍るなあ」と漏らし)
寂しいのか、俺は。
(一方、気難しい外科医は回診や諸業務を終えて1人、病院の屋上で夜景を眺めていた。向こうのビルは心臓が鼓動を打つかのように、赤いライトを点滅させている。包み込むような優しい光が漏れている病棟の窓を遣り場のない気持ちを誤魔化すように一瞥した。過去を口惜しんだ所であの人は戻ってこない。そう頭では理解していても、たまに感情の波が胸の辺りに押し寄せてくるのだ。咄嗟に口から出たその言葉は、直ぐに風が攫って行き)
寂しい?なんだ、それ。
(夜風に紛れるように、そう相手に問う声と共にオレンジ色の粒子が空を舞ったかと思えば屋上の手すりに腰を下ろすパラドが形成される。相手の方をじっと眺めたまま暫く足をばたつかせた後、ひょいと手すりから飛び降りて相手の方へ近付き、「ブレイブは寂しいのか?寂しいってなんだ?」と再び不思議そうに問いかけた。寂しい、という感情はバグスターであるパラドには今ひとつ理解できないものであるらしく、子供のようにあどけない表情で首を傾げており)
そうだ。大切な人に会えなくなり……独りになって心が落ち着かない。…といった感情だ。
(今日はやけにパラドに会うなと内心驚きつつも、平静さを保っている。しかし相手が問いかけた意外な質問に、思わず目を丸くした。寂しい、か。己の感情に内省すると、余計に考え込んでしまいそうだった。それはピースを1個失くしてしまい、永遠に完成しないジグソーパズルのようなものだろうか。感情のように曖昧に定義された哲学者的な存在を、口で説明するのはやはり難しい。考える素振りをすると、「研修医、…もし永夢に会えなくなるとしたら、お前も…この気持ちが分かるはずだ」と途切れ途切れのオルゴールのようなか細い声で言い)
ふうん…よく分からないな。
(相手からの説明にますます首を傾げ、眉を顰めてしまうが続けられた言葉にぴくり、と反応しては「…永夢がいなくなるのは、ダメだ。心が躍らない」とごく小さくぼそりと呟いた。その後は相手にまた視線を戻し、「じゃあ、ブレイブはその人に会えたら寂しくなくなるのか?」と相手の白衣から覗く白いガシャットを指差す。続けて「…グラファイトはブレイブを仲間にしろって言ってるけど、俺は別にどうでもいいんだ」と独り言ちるように屋上の手すりに再び腰を下ろし)
それは…
(核心をつく問いを受けて、白衣のポケットをまさぐりながら口篭る。勿論小姫が生き返る方法が存在するのならば知り得たいが、現実は御伽噺のようにそう都合の良い話ばかりでは無い。
ふと決意を鈍らせるような夜風が頭部を掠り、ブラウンの前髪が目元にかかった。目を離した隙に落ちてしまいそうな、危うい位置に座っている相手に視線を向ける。その独り言には「…俺の方こそお前と争いたくはない」と返していて)
でも俺はバグスター、ブレイブ達の敵だ。
(真っ直ぐな視線を相手に向けたままごく簡潔にそう答え、手すりから手を離すとその手を相手に向けてひらり、と振った後、相手が見ている中ではあったが夜の闇に溶けるかのごとく、屋上からスローモーション再生のように地面へと落下していく。柔らかな黒髪が風に煽られ、服の裾がバサバサと揺れる音を立てながらもパラドは「ブレイブ、またな」といつものごとく無邪気に笑い、落ちる中途でオレンジ色の粒子に肉体を変化させ、また夜風に紛れるようにして消えてしまい)
そうだな。俺達は分かり合えない…
(最後の悲哀が込められたような笑顔が目に焼き付いていた。相手の落下していった方向を見つめ、手すりを握っている手に力がこもる。そう、彼等は人間の敵でドクターは切除しなければならない。世界の条理に抗うことなんて不可能で、胸に波が打ち寄せてくるような感覚を覚えた。
CRに戻って冷蔵庫を開けると、誰かが入れてくれたのだろう、食べかけのケーキがラップに包まれていて、わずかに目元を緩ませ)
ただいま~
(相手とー我ながら随分とドラマティックな別れ方をし、グラファイト達の元へ戻る。帰ってきたのを見つけたらしい二人から揃って早くブレイブを仲間に引き入れてこい、とせっつかれるものの何処吹く風、彫刻のように整った相手の顔を思い出しながら頬杖をついてにんまりと微笑む。「…あの顔が歪むの、見てみたいなあ」正直相手の顔を歪ませる感情は何でも良かった。怒りでも、悲しみでも喜びでも、この奇妙な感覚を満たせるのはそれだけだと感じており、駄々をこねてグラファイトから相手の恋人のデータが残ったガシャットを受け取るとポケットへ突っ込んでしまい、「待ってろよ、ブレイブ」と宣戦布告するように天井を指差しては楽しげに自分のガシャットを回し)
はぁ、俺は何故ここにいるんだ。
(最後にパラドと遭遇してから数日。本人はガシャットの件をすっかり忘れたかのように、診療や外科治療を淡々とこなしていた。その日は勤務時間にも関わらず、病院の近所にある公園へ来ていた。先程親父が「最近顔が暗いぞー、飛彩。思いつめてるようだから、ちょっと風にでも当たってきなさい」と休息を促してきたからである。当初は乗り気では無くて首を横に振ったが、経験豊富な父親の助言を軽視することはできなかった。ベンチに座り、肩の力を抜いてそっと目を閉じる。風が吹く度に街路樹や植え込みの葉がさわさわと音を立てて揺れていて)
また会ったな、ブレイブ。
(グラファイトから借りる、もとい半ば奪ってきたような借り物のガシャット片手に上機嫌そうなパラドは、そんな相手の顔を覗き込むようにしてひょい、と姿を現す。黒のボディにラベルの貼られていない空白のガシャットを相手のー閉じられているが、そんなことは関係ないらしいー目前に突きつけ、「グラファイトから借りてきたぞ。恋人のデータはこれに入ってる」と口に出すなりそれを起動させる。軽快な起動音を立てたガシャットからは白い光のホログラムが投影され、それは次第に人の形を作っていく。やがて形成され終わったホログラムには言葉通り、女性の姿が映し出されていて)
今度は何だ。俺は今忙しい。
(子どものように明快な相手の声に内心倦厭しながらぼやき、目を開けた。すると何かが形作られるような、泡のような音が聞こえた。途端、黒いガシャットから無数の粒子が零れ落ちて、よく知っている人の姿が目に映る。文字通り狼狽し長い夢から覚めたような顔つきを浮かべており、その名前を叫んで駆け寄って)
…小姫!
…
(退屈そうな表情のまま、ホログラムの幻影に駆け寄る相手をじっと見つめていたが、ふとガシャットの電源を落としてしまう。電源が落とされたことで幻影は消え、「協力するなら、ゲンムがこのデータを復元してやるってさ。どうするんだ?ブレイブ」と半ばうんざりしたような声色でグラファイト達から口酸っぱく言われた勧誘文句を口に出す。最後に「…一緒に来てくれ」ごく小さく、少しだけ縋るような瞳で相手を見つめ)
だから言っただろう、協力する気はないと。小姫は俺のやり方で取り戻す。俺の心を弄ぶな!
(彼女の元へ手を伸ばすが、蒸発していくのを見届けるほか無かった。冷静沈着な飛彩にしては珍しく激昂して、相手の顔を睨み返す。退屈そうな相手の表情が癪に触るようで、形の整った瞳は今、歪んだ鏡のような光を放って淀んでいる。ガシャットを持つ相手の手首を強く掴んでから突き放し「もう放っておいてくれ」と震え声で、切ない表情を浮かべながら俯き)
嫌だ。ブレイブ、お前を見てると心が躍るんだ。
(思った通り、相手が普段浮かべる澄ました表情が頼りなく歪む様は妙に心が満たされるような気がした。強く突き放されて一瞬ふらつくのも構わず相手の近くまで歩み寄ると相手の顎に手を掛け、無理矢理持ち上げて自分の方へ向けるといつも通り、無邪気極まりない笑みとあっけらかんとした声色で「じゃ、またな」と手を振り、例のごとくオレンジ色の粒子に変化して消えてしまい)
心が、躍る…?
(相手の名前を呼び止める気力もなく、先程まで触られていた顎の辺りを指先でなぞって眉を顰めた。相変わらずパラドの真意が理解不能だった。何故ここまでして俺に付き纏うのだろうと考えながら、聖都大学附属病院までの道を黙々と歩き、気づけばCRへと辿り着いていた。ポッピーピポパポにいつにも増して怖い顔をしていると指摘、いや心配されたが、お構いなしにデスクチェアに腰掛け、苦渋に満ちた表情を浮かべていて)
…
(今日はどうやらグラファイト達の元へは戻る気にならないらしく、適当な公園のベンチに腰を下ろしてゲーム機を起動する。足を組みながら器用な手捌きで画面上を埋め尽くすような弾幕を躱し、ステージ1をクリアしたところで空を見上げると自分のデュアルギアガシャット、そして黒のガシャットをその眼前に持ってきては目を細め、「…面白い」と呟いてみて)
…ではお先に失礼します。
(長時間に渡る手術の後、当直医の引き継ぎを完了し同僚と挨拶を交わしたところで帰路につく。今日は気分転換に少し回り道をしてから駅へ向かおうと思い、公園内の遊歩道を歩いていた。当然ながら、そこに相手がいることは思いも寄らず)
……
(暫くゲームを遊んでいる内に眠くなったらしく、ベンチに身体を投げ出しては幼い子供のように眠っている。誰かが親切で掛けてくれたらしいブランケットを膝に掛け、片手には電源の入ったゲーム機を握ったままあどけない表情を浮かべており)
おい、風邪をひくぞ。
(相手と関わっていると必ず厄介なことに巻き込まれると解っているはずなのに、幼気な寝顔が理由無しに放っておけなくてベンチの隣に座り、話しかけてしまった。発せられた声は病院で患者の子どもに接するかのような、実に穏やかなもの。そうは言っておきながら、バグスターは風邪をひかないのではないかと後々思ったが)
…うん?
(パラドは急に声を掛けられたことに眉を顰め、勿体ぶるように瞳を薄っすらと開いては声の主を探すかのごとく周辺に目を遣る。がすぐに相手だと分かったらしく、まだ眠気の覚めていないらしい声色で「…なんだ、ブレイブか」と呟いては大きな欠伸をしつつベンチから立ち上がって)
起こさない方が良かったか。
(折角起こしてやったのに。俺に会って嫌だったのか。そう思ってややむくれた顔つきを浮かべながら、膝の辺りで手を組んで座り、その眠たげな顔をまじまじと見ている。そういえば、先程パラドの片手にはゲーム機が握られていた。それに熱中した挙句寝落ちした姿が容易に想像できて、パラドのことを他愛無いがほんの少しだけ可愛げのある奴だと思い)
…いや。
(何処となくばつの悪そうな表情を浮かべて相手と少しスペースを開けた隣へ腰を下ろし、逃げるかのごとく片手に持っていたゲーム機に視線を落とす。ボタンを押す小さな音が気まずい沈黙を際立たせ、暫くしてから独り言のように「…お前を見てると心が躍るんだ、ブレイブ。でも…永夢と遊んでるときとは、違う。何なんだ?」と呟いて)
研修医とは違う……パラドは、こうやって…俺といて楽しいということか?
(その独り言につい疑問を投げかける。彼と本気でゲームをやり合える相手、宝生永夢の場合とは異なる感情を抱いている。そのことを感覚的には理解しているものの、心緒の正体は掴めずにいた。楽器の弦のようにピンと張った眉毛は今は緩んでいて、ぱっちりとした目が相手の横顔を捉えていて)
…楽しい?…そう、なのかもしれない。
(相手の言葉に首を傾げるものの、ゲーム機を一旦スリープしてまたベンチから立ち上がる。何となく相手の顔を見るのは憚られて、顔を背けたまま「…でも、分からない。…またな」とオレンジ色の粒子に肉体を還元し、グラファイト達の待つ場所に戻ってしまい)
…俺はあいつの本心を聞き出せてないままだ。
(帰宅後。一人暮らしにしてはやけに広いリビングのソファに座り、暫くパラドのことを考えていた。此方から顔が見えずとも、相手の背中は物寂しい雰囲気を漂わせているように感じられた。近頃は日が翳るのがはやくなっていて、窓からはやや薄暗い茜色に染まった空が見えた。帰宅してから食べようと思っていたショートケーキをこの時は忘れる位に、思案に暮れていて)
…楽しい?
(パラドはゲーム機片手ではあったが、普段ならばすぐにでも遊び出すところを相手と同じようにぼんやりと思案に暮れていた。二人の声も禄に聞こえていないようで、何度目かに肩を叩かれたタイミングでようやく目線をそちらに向け、「…なんだ?」と心此処にあらずといった風体の返事を返す。呆れたようなグラファイト達にも構わずまた目線を逸らし)
(熱い珈琲を一口飲む。明け方から急患の対応に追われ漸くCRで一息つけた所で、テーブル上に放置されているゲーム機に目を遣った。私物は自己管理をしろと口を酸っぱくして言っているはずなのに、全くあの研修医は。…と内心呆れながらも、誰もいない状況下では、このハードウェアに救われたようにも思われた。どうにかして彼と話ができないだろうかと、物は試しにゲーム機に話しかけており)
おい、パラド。今話せるか?
…なんだ?
(暫くの間は相手の声にすら気付かなかったらしく、ふと気付いたようにゲーム画面から返事を返す。いつものように顔を見せることはなく、その声も何となく輪郭がぼんやりとしたものであり、「…何か用事か?」と普段より数段は素っ気のない口調でそう呼びかけ)
お前に聞きたいことがある。……この前、俺を見ていると「心が躍る」と言ったな。それは「たのしい」と感じるよりは、むしろ…胸の辺りが「ドキドキ」する、ということか?
(おそらくバグスターにとって、人をつかさどる「感情」と呼ばれる不定形の概念を、十分に理解することは難しいだろう。相手が抱いているのは、高揚感と緊張感が入り混じった複雑な情調だろうかと本人は予想しているようだ。一呼吸置き、そして、まるでメスを動かすように繊細に言葉を選び、恐る恐る問いを投げかけ)
…分からない。
(相手からの言葉を聞き、少し考え込んでいる様子ではあったがややあってそう口に出す。片手に持っていたゲーム機を持て余したように置き、首を捻りながら「…ブレイブの表情が歪んでるのを見たい、のか?」と半ば自問自答するように呟いており)
………。最近お前らしくないと思えば…
(ぱっちりとした両目がやや細まっており、本人は一歩分距離を詰めて、瞬がずに相手を見つめている。表情が歪むのを見たいとはつまり、悪戯を仕掛けて困らせたいといった類のものだろうか。そのようにあて推量したものの返答に困っているようで、腕を組んで「一体、俺と何をしたいんだ」と沈黙を打ち破る一言を)
…それは…
(はっきりと聞かれてしまえば躊躇うように口籠り、逃げるかのごとく目を伏せて黙ってしまう。本人もまだ理解できない感情に戸惑っているのか、服の裾を握り締めたまま「…まだ、分からない」とごく小さな声で呟いて)
……そうか。
(気の利いた言葉をかけることもできずに口を噤む。他人とは表面上の付き合いに留まり、決して過干渉しない。それが自身のポリシーのはずだったのに、ここで相手を突き放しても、胸のざわつきは一向に静まらないように思われた。すらりと背の高い相手を見上げた体勢で、逡巡を取り除きたいという気持ちの表れか、やんわりと頭部を撫でていて)
…怒らないのか?
(頭部に手が触れると一瞬だけ身体を震わせ、子犬のような眼差しだけを相手の方におずおずと向けてはそう口に出す。「…表情を歪ませたい、なんて…普通は…嫌、じゃないのか。」その言葉は人間で言うところの所謂「普通の感覚」というものに当て嵌めているようで、伺うように問いかけ、相手の返答を待っており)
嫌じゃない。……もちろん、限度はあるが。
(頭に添えていた手を離し、「お前に振り回されるのは、不思議と悪くない」と控えめに真情を吐露してからそっぽを向く。本人にとっては、体面を踏み躙ることを除けば特に問題は無いよう。ただ、表情が浮かない様子のパラドを見ていると気がかりでならないらしく)
…じゃあ、これはいいのか?
(相手の手が離れると小さくそう呟き、ゲーム機をテーブルに置いて相手の方へ一歩歩み寄る。ごとん、とゲーム機がテーブルに置かれる音とほぼ同時にパラドの手は反応を伺うように、恐る恐るといった様子で相手の体を軽く抱き締めており)
ああ、構わない……
(抱擁という相手のとった意外な行動に目を丸くするも、距離を更に狭めて、細いがたくましい体躯の持ち主に体を預けた。そっと背中へ腕を回すと、身長差によって胸部に顔が埋まる。だんまりを決め込んでいるが、一連の行為が久しかったせいで心拍数が上昇しており)
…暖かい。な。
(パラドは相手の体温にそう言葉を漏らし、その後は暫く沈黙したまま微動だにしない。ややあって頭部が動き、相手を見下ろす形になると「…何だか変な感じだ」と呟いて相手を抱き締める腕に少しだけ力を込め)
(運転の視聴が完了しました。運転/音速/追跡、機械生命体側からは心臓 の提供が可能かと存じます)
そうだな。この感覚は何だか、久しぶりだ。
(抱き締められている内に、わだかまりがそっと溶けていくような気がした。背中の表面を手のひらでなぞり、ゆっくりと撫でる。相手の脆く不安定な気持ちに寄り添い肯定しているようで、珍しく口元には微笑を浮かべていて)
(/お疲れ様です…!此方からは運転/音速/追跡の提供が可能です。ブ.レ.イ.ブとパ.ラ.ドの関係がある程度発展して、きりのいい所まで進行致しましたら、運転の也をやってみましょうか?)
くすぐったい。
(背中に触れられると小さく体を震わせ、そう呟いて無邪気に笑う。相手の髪が気になるのか頭部にぽすんと顔を埋め、何度か鼻を鳴らすと「…永夢とは違うシャンプーの匂いがする」と呟いては暫くの間その姿勢を維持し、ようやく顔を元に戻したかと思えば相手の顔をじっと見つめており)
(返答を忘れておりました、背後会話のみで失礼致します。提供可能キャラ、及び開始タイミング共に了解致しました。進行にあたってこのトピックで進めるか、新しくトピックを建てるかのどちらに致しましょうか。此方側としては他の方の迷惑になってもいけませんので、このトピック内で進めていきたいと考えております)
少し恥ずかしいな……
(まるで人懐っこい大型犬のようなスキンシップを受けてこそばゆくなり、思わず目をギュッと瞑ってしまう。パラドに頭髪の匂いを嗅がれ照れ隠しに眉を顰めたが、嫌がってはいないようで、相手の肘に手を添えながら見つめ返して、首を傾げる動作をし)
(/此方こそ返信を見落としてしまいました…申し訳ございません。私も他方のトピックが流れてしまうのを防ぐために、新たなトピックへの移動はせずに進行する形でよろしいかと思います。)
…?いい匂いだったぞ?
(相手が首を傾げると不思議そうにパラドも首を傾げ、相手の瞳を真っ直ぐに見つめ返しては何を思ったか「ブレイブもやるか?」と頭部を下げ、相手の顔辺りに自分の髪を持ってくる。が、未だどこまで許容されるのかを決めかねているようで表情は何とも言えないものを浮かべており)
(了解致しました。運転はどのCPが宜しいなどありますでしょうか)
なら良かったが。
(思い余って、遠慮がちに相手の方へ顔を近づける。ふわふわとした黒髪は石鹸のような香りがして、確かに家で使っているものとはまた違った匂いがする。相手の頭に乗せていた手をそのまま頬へ添わせ、「今はどんな気分だ?」と診察する時のような口調で問うてみて)
(/ありがとうございます。当方は運転×音速、音速×追跡、運転×心臓のいずれかが出来たら良いなと思っております。)
…なんだか、心がふわふわする。
(肌に触れられると擽ったそうにぴく、と体を揺らしながら少し瞳を細め、表情を崩しては相手を真似るように手を相手の頬へ添わせる。きょとんとしたような表情を浮かべたかと思えば「…これが恋、か?」と無邪気かつとんでもない爆弾発言を)
(希望CP、了解致しました。そちらのお好きなCPを選んでいただければと存じます)
こ、い……俺のことが好き、なのか?
(その二文字を聞いて数秒後、これまでの相手の言動が腑に落ちるような、落ちないような感覚を覚えて唖然とする。冷静沈着な飛彩が普段見せないぽかんとした表情を浮かべ、わずかに唇が震えており)
(/それでは、運転×音速を選んでもよろしいでしょうか。)
…?こういうふわふわした気持ちのことを恋、って言うんじゃないのか?
(爆弾を投下した本人に特に深い意図は無かったらしく、何故か自分の言葉で酷く動揺している相手を不思議そうに見つめながらそう問い返す。数秒後、漸く自分の発した言葉の意味を理解したのかうっすら赤面しながら「…俺がブレイブのことを、好き…?」と困惑しており)
(了解致しました。)
つまりは、そういうことになるな。
(意図せず伝えたとはいえ、相手のことを変に意識してしまうには、十分な威力を持つ言葉だった。どういった返事を返せば良いか分からず、気まずくなって俯いてしまう。拍子に長い前髪がはらりと目の上にかかるが、それが気にならないくらいに思考の整理が追いつかず、顔の辺りがかっと熱くなっていく感覚を覚えて)
(/ありがとうございます。)
…そう、か。
(パラドは独り言のようにそう呟きながら相手の前髪に手を伸ばし、目の上に掛かった部分を軽く払ってやる。その拍子に見えた相手の赤い顔につられるかのごとく此方も一層赤面が酷くなり、「…なんで、ブレイブが照れてるんだ?」とごく小さな声で呟いて)
多分。嬉しいから、か。
(前髪を除けられて相手のつぶらな瞳と目が合って、瞬きをする。立場上対立関係にある相手に好かれているという事実を、不思議にも受け止めることができて、密かに心境の変化を感じていた。気を許したのか、他者には見せないような屈託の無い笑みを浮かべており)
…楽しそうだな。
(相手の笑顔を見ると此方も照れなど忘れたように無邪気な笑みを浮かべ、相手の頬に添えていた手を背中の方へ戻して軽く抱き締める。だがぽす、とまた相手の頭に顔を埋めながら表情を暗くし、「…でも、俺じゃブレイブの恋人の代わりにはなれない」と小さく呟いて)
俺は、パラドに……小姫の代わりになって欲しいとは思っていない。
(自身のことを一途に想ってくれたことが純粋に嬉しくて、抱き締められたままそっと頭を撫でる。相手の落胆した声を聞き、小さく溜息を吐いてから「顔を上げろ。お前にその顔は似合わない」と不釣り合いで、半ば口説き文句のような言葉を淡々とした口調で返すも頬は赤らんでいて)
…そうか。
(相手の言葉を聞くと素直に顔を上げ、いつも通りの無邪気な表情を真っ直ぐに向ける。先程までは感じていなかったと言うのに、今になって照れ臭さが襲ってきたのか一気に赤面しては「…好き、だ」と聞こえるか聞こえないかの声量でそう漏らして)
その……ありがとう。
(普段の調子が戻ってきて無邪気に嫣然と笑ってきたパラドを正面から見つめ、「俺も同じ気持ちだ」と遠回しに好意を肯定し、その印に相手の両手をぎゅっと握ってから、手の甲に軽くキスを落として)
俺の方こそ。
(屈託のない調子で答えると、相手より数段は拙く、おっかなびっくり探るような様子ではあったがパラドも相手の手を取り、忠誠を誓う騎士のごとく床に膝をつくとその手の甲へ柔らかく唇を落とす。そうして相手をゆっくりと見上げ、「…愛してる」と何処かの恋愛ゲームでしか見ないようなー実際に永夢が渋い表情を浮かべながらプレイしていた恋愛ゲームーから参考にしたらしい仕草を)
…それ、どこで覚えたんだ。
(此処らでは滅多に見かけないような愛の誓いを受けて、照れ隠しに相手がいる彼方の方角を向いて視線を逸らす。パラドの所作をやや大袈裟だとは感じつつも、端正な顔立ちや表情、仕草が更に愛おしく思われた。床に膝をついてしゃがみ、目線の高さを合わせてから肩に手を掛けた途端、相手に縋り付いた姿勢となり)
?永夢がやってたゲームだ。
(相手からそう問われれば、何か気に障ったかとでも言いたそうな表情で不思議そうに首を傾げながら答える。ふと自身の肩に添えられた手に視線を投げかけ、「…嫌だったか?」と不安そうな眼差しを向けて)
研修医のか。……嫌じゃない。実は、エスコートされるのが初めてで、
(相手の問いに対してゆっくりと首を横に振り本音を溢す。恋による熱は一向に消えそうになく、普段のクールな言動は何処へやら言動が空回りしているようで、本人らしからぬ、しどろもどろな様子を見せている。そして相手の肩に手を乗せたまま額を合わせて)
…何だかいつもと違うな、ブレイブ。
(不思議そうな表情を浮かべたままのパラドほそう呟き、じっと相手の瞳を見つめ返しては相手の背中に手を回してぎゅ、と抱き締める。「心がふわふわする。」と小さく呟き、相手の肩に顔を埋めるようにして)
そうだな。……パラド……
(胸がキュッと苦しくなって、思わず目の前の愛しい人の名前を呼ぶ。それから肩に顔を埋めてきた相手の頭を、繊細な手つきでそっと撫でる。自身の心が空に浮き立っているのが感覚的に分かって、大きく深呼吸をした。パラドに抱き締められて体同士が更に密着し、微睡む時のような幸福感と共に、心身が一体になったような感覚を覚えた。耳元へ「俺を名前で呼んでも構わない」と小声で呟いて反応を窺っており)
(/私事で返信が遅れてしましました。申し訳ございません。)
…えっと、飛彩…でいいのか?
(相手から囁かれた言葉を聞き、戸惑いがちに相手の名前を口に出す。反応を伺うように肩口から相手の顔を覗き込み、抱き締める腕に少々力を込めると「…何だか変な感じがする。」と呟きながらも満更でもなさそうな表情を浮かべ)
(いえいえ、お気になさらずとも大丈夫ですよ)
ああ。……お前といると無性に落ち着く。
(戸惑っているような相手と視線が合い、また彼の反応が初々しくて、微笑ましく思った。いざ名前で呼ばれると、久しく感じていなかった慕情や安心感が心の奥から込み上げてくる。鋭い目つきは普段よりも柔らかくなっており、無意識のうちに相手と距離が狭まって)
(/誤字失礼します…)
俺もだ。…楽しい、とはまた違う。…愛しい?
(普段より少々恥ずかしげに笑みを浮かべ、暫く相手の身体をそのまま抱き締めていたが少しして「…ここからどうすればいいんだ?」と困惑したような呟きを漏らす。何せバグスターの自分には「こういったこと」は全てが生まれて初めての経験、とりあえずは相手の端正な顔立ちをじっと見つめてみて)
恋人同士なら手を繋いだりする。後は……
(大丈夫、愛情表現の仕方を教えるだけだと己に語りかけて平常心を保ちつつ、くぐもったのちに相手の後頭部を左手の掌でそっと覆う。「俺なら…こうする」と澄まし顔を浮かべながら呟き、相手のその薄い唇に、軽く口づけを落として)
…今の、キスか?
(柔らかく自分の唇に触れた相手の唇に目を瞬き、ぼんやりとした口調でそう呟いた。相手の背中に回していた片腕を解き、その指先で自身の唇に触れながら「…もう一回、いいか」と恐る恐る尋ねてみて)
これがキスだ。……何、もう一回、か。良いだろう。
(相手のすべすべとした頬を、まるでガラス細工を扱うように指先を沿いながら触れて、愛しい者にする際のキスを送った。数秒後唇を離して「これで…満足か?」と相手に向かって遠慮がちに問いかけ)
…ああ。
(ぼんやりとしているのか、まだ夢心地な声でそう答えるとまた指先で自身の唇に触れながら「…心がふわふわする」と呟く。そうして頭の中から永夢のゲームの記憶を引っ張り出し、相手の髪を唇から離した指先で掬うとまた恭しく唇を落とし)
俺も、いい意味で落ち着かない。
(小声で「美人…だな」と無意識の内に口に出ていた。キスをされて思わず瞼を閉じてしまう。が、直ぐにパラドの顔を見つめた。本人はいつもと変わらず冷静沈着な様子でいる一方で、耳の方は赤らんでいて、相手の可愛らしさをより一層感じているようだった。お返しに啄むような口付けをもう一度)
…?飛彩、の方が綺麗な顔だと思うぞ?
(まだ慣れないのか、少し口籠りながら相手の名前を呼ぶとまたまじまじと相手の顔を見つめる。そうして不思議そうに首を傾げ、人並みに羞恥心のある常人ならば口に出来ないような言葉をさらりと言い放つと手を伸ばし、相手の頬に手の甲で触れてみて)
ん……そうか。
(これまで異性から外見を持て囃されることは幾許かあったが、相手の言葉だけは自身にとって特別に感じられる。また、そういった言葉をさらっと言ってのけるパラド、もとい様々な変化をもたらす端正な顔立ちに心を惹かれた。口を一文字に結んでいたが頬を撫でられた拍子に「パラドの手は、温かいな…」と心地良さそうに呟き)
飛彩の肌は冷たくて気持ち良い。
(手の甲に伝わる、相手の肌の冷えた感触にこちらは目を細め、暫く手を当てたままであったがややあって手を離すと「…そろそろ戻る。グラファイトが怒るからな」といつもの無邪気な表情に戻り、不満げに唇を尖らせながら相手から離れ、テーブルの上のゲーム機の方へと歩を進め)
少し待ってくれ。……またな。
(まるで子供のような、天真爛漫な表情が愛しく思われた。銀色の腕時計を見遣ると回診の時間が差し迫っていた。別れ惜しさに相手を引き留めて、頭をやんわりと撫でてから頬にキスを送る。遠慮がちに微笑みながら別れの挨拶を言い)
ん…またな、飛彩。
(大人しく別れの挨拶を受け取ってから軽く手を上げ、ふわりと笑うとテーブル上のゲーム画面へ手を触れる。間髪入れずパラドの姿にノイズが走り、オレンジ色の粒子に還元された肉体がゲーム機の中へ吸い込まれていった。半ば自分の椅子のようにしている机には未だ白いガシャットが置かれており、ぼんやりとした様子で手持ち無沙汰にそれを弄んでいて)
……。仕事に戻るか。
(つられて手を振り返し、相手が吸い込まれていったゲーム画面を数秒間眺めていた。パラドと別れてから一旦病棟へ戻る。飛彩が普段、他人に対して接する際の張り詰めた態度は若干和らいでいて、其れこそはっきりと顔には出ていないが内心嬉しそうで)
…うん?ああ、聞いてるぞ。
(足をぶらつかせていたパラドはまたしても話を聞いていなかったらしく、二人からの?責の声でようやく顔を上げると生返事を返す。呆れた様子の二人を余所に「…好き、好き、か。」と小さく呟いており)
しかし、俺があいつのことを好きになるなんて…
(思ってもみなかった、と患者のカルテを整理しながらふと独り言を呟く。数年間心に空いていた大きな穴が埋められたような感覚、つまり寂しさが段々と癒えていくのを感じて目を細めた。しかし、自身の立場はバグスターである相手と敵対関係にある「医師」であり、同僚達には想いが悟られないよう、直向きに隠す必要がある。パラドとは今後もそう簡単には逢えないだろう、と考えると胸が締め付けられる思いがして)
…不思議な気持ちだ。
(テレビの液晶画面の向こう、じっと相手の姿を見つめながら小さくそう呟いてみる。手にしたゲーム機では見ていないのにアクションゲームを器用にプレイしつつ、自身の胸の辺りへ手をやってみては後ろの二人を振り返り、「…言えないな」と苦笑して)
俺は今……幸せ、なのか。
(画面の向こうで此方が見られていることに勿論気づく筈は無かった。急患の手術を完了し同僚と別れる。CRへ戻ると独り、所在無しにぼんやりと思索していた。そのため、診察を終えて戻って来たのか──後ろにいた研修医に気づかず、危うくぶつかりそうになって陳謝し)
…ブレイブ。
(相手が自身の目の前にいることを確認し、ゲーム画面からひょっこりと顔を覗かせて控え目に名前を呼ぶ。おずおずとした様子ではあったが、ゲーム画面から這い出てくるなり照れを隠すように「元気か?」といつものように無邪気な笑顔で問いかけ)
ああ。体調管理もドクターの仕事のうちだからな。
(明朗快活な声が聞こえて液晶画面の方を一瞥すると、仕草がなんとも愛らしい青年が見えて相手へ近づいた。それから「パラド」と穏やかな口調で名前を呼び、他人にとっては微々たる表情の変化で分かりにくいだろうが、本人はわずかながらに頬を緩ませて笑みを浮かべており)
そうか。
(相手の返事に安心したかのように目を細め、今更思い出したかのように「…あ、飛彩…だったな」と呟き、相手の方へ歩み寄りかけたところで慌ただしい足音が近付いてくる。どうやらその足音の主は宝生永夢らしく、パラドは一旦相手から離れるとゲーム画面の中へ戻ってしまい、足音と同じ勢いのままCRのドアを開いた宝生永夢が息を切らしながら伝えた内容はバグスターが出た、というもので)
…ふ、呼び易い方で良い。
(相手の初々しい反応を見てつい笑みが溢れ、このまま穏やかな時間が流れていくと思われた。ところが、宝生永夢からの情報を耳にすると状況は一転した。パラドに背を向けて、簡易的な医療機器やゲーマドライバーが入ったアタッシュケースを持って駆け出す。「バグスターの型は?…分かった。直ぐに此処を出る」と研修医には早口気味に質疑応答をして後について行き)
……
(ドアの閉まる音と二人の背をゲーム画面越しにひっそりと見送り、独りCRに取り残されたパラドは、自身の持つデュアルギアガシャットを黙ったままでまじまじと見つめていた。恐らくバグスターとしては仲間を守りに行ってやるのが良いのだろう、とは思われたがされど自身の宿主である永夢や他のドクターたちを攻撃したくない、とこれまでのパラドならば思いもしなかったであろう感情の狭間で揺れ動いているらしく、そこから行動を起こすでもなく)
…術式レベル50……
(永夢と共に通報された現場へと辿り着く。
これまで殲滅対象でしか無かったバグスターに、愛しい存在ができた。パラドにとって「治療」とは、尊厳を傷つける、同胞を消し去る行為。だが、医療行為を中断することは、ドクターにとって決して許される行為では無く。沈着冷静な本人にしては珍しく葛藤しているらしい───ガシャットを持つ手は僅かながらに震えており、意を決して起動スイッチを押しブレイブへと変身した。バグスターと距離を保ちつつ向き合ってガシャコンソードを構えており)
…考えても仕方ないか。
(今回は知らぬ存ぜぬを通そう、と決めたらしくデュアルギアガシャットをすぐ側に置き、ドクターたちの帰還を待つようにゲーム画面から伽藍堂のCRへ飛び出す。手頃な椅子に腰を下ろし、足をばたつかせながらドアの方を見つめていて)
(お世話になっております、背後です。
最近返信ペースが遅く、申し訳ありません。
色々と特撮を観ておりましたので、参考までに提供可能作品の一覧を。
(一期)
龍/騎 龍/騎士/占い師
昆虫 天の道を往く男
電車 定期/桃/浦/龍
吸血鬼 引きこもり
破壊者 マゼンタの破壊者
(二期)
探偵 検索/警察
宇宙 ロケット
魔法使い 指輪/古代
果物 オレンジ
運転 運転/音速/追跡/心臓
時の王者 我が魔王/黒い未来人)
…もうパラドは戻っているだろうか。
(活性化しており少々手こずったが、バグスターの切除を終えて患者の手術が完了した。永夢と別れてCRへ戻る。今頃相手は此方に帰っている頃合いだろうが、いつもの如く接しようと密かに決めて青の螺旋階段を上り)
(/お久しぶりです。寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
先月は一身上の都合により浮上ができず、お相手様には長らく待たせる形となってしまいました。誠に申し訳ございません。
私事ではございますが、FC会員となり、様々な作品を観る予定です。提供可能作品を増やしていきたいと思いますので何卒よろしくお願いします)
(お久しぶりです。まだいらっしゃいましたら、反応を頂けると幸いです。
此方もFC会員となり、平成単車乗りは懐かしいものから最新まで全て目を通させて頂きました。)
(/此方こそお久しぶりです!またお相手様に会えて大変嬉しいです。也についてはいかが致しましょうか。以前のようにゲーマーライダーで続きの話を描く、あるいは心機一転してお互いの提供Cを逆にしての進行でも面白いかなと思っております。
他作品の単車乗りでも大丈夫です!もし可能でしたら、運転のCで物語を紡いでみたいなぁと思っております。)
(反応して頂き、ありがとうございます。
長い間放置するような形になってしまい、申し訳ございませんでした。
此方もそろそろ運転のCで話を紡ごうか、と考えておりました。運転の提供可能Cは運転/音速/心臓 となります。是非お好きなCを選んで頂ければと…)
(/いえいえ、大丈夫ですよ。要望にお答え頂きありがとうございます…!非常に迷うのですが、此方が提供できるCは運転/音速/追跡です。CPは運転/音速、音速/追跡、運転/心臓のいずれかを希望いたします、左右は問いません。ビギナー様の希望Cはありますでしょうか?優柔不断で申し訳ございません。)
(CPについて了解致しました。
では此方は音速/心臓の提供とさせて頂きます。
CPはCC有りで音速×追跡/運転×心臓をさせて頂けたらな…と考えております。)
(/ご指定くださりとてもありがたいです。それでは此方は追跡、運転を提供させていただきます。
最初にどちらのCPから開始致しましょうか。好みの設定やシチュエーションがありましたら、併せて教えて下さると嬉しいです。)
(最初は運転×心臓のCPより開始したいと考えております。時系列は本編後Vシネマでの心臓復活後、シチュエーションの指定は特にありませんが、運転は恋愛的な『好き』で、心臓はそれを友情的な『好き』だと思っていたのに…的なものが萌えますので、ご負担でなければその形式でも宜しいでしょうか。
音速×追跡の時系列も同じで本編後Vシネマでの追跡復活後、シチュエーションはお互いにダチと認め合った後、そこから半歩ずつ友達以上恋人未満から恋人を目指して進んでいくような形式にしたいと考えております。)
(/もちろんそちらの形式で大丈夫です。あれこれと悩みながらも、心臓に対しての押しが強いというイメージで運転を描写したいと考えております。想いがすれ違っている状態は萌えますので、上記の設定でお願い致します。
対して追跡の方は恋愛感情って何だろう状態から少しずつ歩んでは止まる初々しい一面や、真面目で天然な本人の性格を反映させようと考えております。追跡の復活後から始まるのはなんだか感慨深いですね…ご提案いただきありがとうございます!)
…ふぅ、今追ってる事件も大詰めって所だな。
(特状課から捜査一課へ転属してから暫く経つが、親父の背を追い続けるのは今も尚変わらない。市民を守る仮面ライダーであり続けるためにも、もっと頑張らないとな。そう思いながら見上げた空は雲一つなく、まるで海のような爽やかな水色が広がっていた。今の自分は非番なので、気分転換に近所をぶらぶらと散歩している所。丁度金網のフェンスがある道路に差し掛かり、それを懐かしい気持ちで眺めながら歩いており)
(/それでは先にロル投下を失礼致します。絡みにくい場合は遠慮なくお申し付けください…!)
やあ、奇遇だな。
(何をするでもなく道を彷徨いており、曲がり角を通り過ぎようとした時、偶然「友達」の姿が目に入る。途端に柔らかな笑みを口元に湛え、そちらの方へと方向転換しては相手へと近付いていく。赤いコートの首元のファーが揺れ、耳に付いているハート型のピアスは髪や肌と擦れて音を立てる。そのまま相手の肩に手を置くと、「何をしていたんだ?」と至って軽い調子で尋ね)
(了解致しました。心臓の人物像があやふやになりつつありますので、此方こそキャラ崩壊していると思いますがご容赦を…)
ハート…!特に用事も無いから散歩している所だよ。
(声を掛けられた方へ顔を向けると、シルバーアクセサリーに真紅のコートが何とも様になっている相手がいて、思わず笑みが溢れる。仲間を大切にする堂々とした振舞い、そしてその魅力的な顔立ちと微笑みに、心奪われたのは果たしていつからだろうと思いながら。突然の再会に嬉しさが込み上げてきて、相手の背中を軽く叩き「元気にしてたか?」と尋ねて)
(/大丈夫ですよ!引き続き宜しくお願いします。特に問題が有りませんでしたら、返信しなくても大丈夫です。)
ああ、頗る元気だ。お前たちのお陰だな。
(相手からの問いに大きく頷いて答え、何度か手を握ったり開いたりしながら、相手の笑顔につられたかのように再び笑みを浮かべた。久し振りに友達と会えて上機嫌らしく、「そう言えば…今からメディックが食べたいと言っていたケーキを買って帰るつもりなんだが、お前も付き合ってくれないか?…男一人でケーキ屋に入るというのは、どうも気恥ずかしくてな」と提案して)
もちろん、付き合うよ。ついでに俺も買って帰ろうかなぁ。
(元気そうで良かった、聞いた感じだと他のみんなも元気で居るんだろうと安堵する。相手は再会に心底喜んでいる様子で、こちらも幸せな気持ちが満ち満ちて来る。ケーキ屋に同行して欲しいというお誘いには快く頷いて、「メディックはどんなケーキが食べたいのかな…」と一言呟き歩みを進めて)
そうか、ありがとう。確か…期間限定のケーキが食べたい、と言っていたな。
(相手が承諾すると、笑顔のまま礼を述べた。その後に「無茶を言ってブレンを困らせていたよ」と続けて肩を竦め、相手の後を追うようにしてケーキ屋へと歩いていく。ややあってケーキ屋に到着するとショーケースに並ぶ色とりどりのケーキに目線を送り、目当てのケーキを発見したらしくそれを手に取っては「…ブレンの分も買っていくか」と呟きながらもう一つケーキを追加していて)
へぇ、期間限定のケーキか。普段買えないとなると、余計に食べたくなるよな。
お~、色んな種類があるんだな。
これとか美味しそうだ。きっとブレンも喜んでくれるさ。
(目的の店に到着後、隣でショーケースを眺める。艶のある苺ケーキやオレンジが乗ったショコラケーキなど目を惹かれる品々が多く並び、あれこれ迷いながらお土産として数種類注文する事に。相手の話からロイミュード達の仲睦まじい光景を想像して笑みが溢れ、ハートの心優しさにいわゆる『胸がキュン』状態でもあり「優しいんだな、」と小声で呟いて)
二人とも大切な仲間であり友達、だからな。
(相手の口から漏れた小さな呟きが聞こえたのか、レジの店員が注文品の会計をしているのを余所目に相手の方を振り返った。会計が終わって紙袋に入れられたケーキを受け取り、一歩引いて相手の会計が終わるのを待ちながら「メディック達は喜んでくれるだろうか」と二人のことを考えているのか、穏やかな表情を浮かべつつ、耳元のピアスにそれとなく手を触れていて)
…大切な仲間、か。
(ケーキを受け取った後は満ち足りた気分で歩道をのんびりと歩いていく。先程相手が言った言葉を聞いて、ふと自身の大切な仲間──剛や霧子、そしてチェイスのことを思い浮かべた。そして隣にいる、燃えるような赤色が似合う相手のことも。自分からすれば彫刻のようにもみえる横顔を一瞥して「俺さ。ハートも大切な……仲間だと思ってる。だからこの街に戻って来てくれて、凄く嬉しいんだ」と直接口にするのは恥ずかしいと思いながらも想いを伝え)
俺もまたお前に会えて嬉しいぞ、泊進ノ介。お前は俺の「友達」だからな。
(歩く度に紙袋の中で小さく揺れるケーキを気にしつつも、真っ直ぐな視線を相手に向けて答えた。自身を超進化まで導いた相手、そして初めての「人間の友達」である相手のことは少なからず他のロイミュードの友達よりも大事に─親友程度には思っているようで、相手に向ける眼差しは真っ直ぐではあったが、普段よりはどこか柔らかく穏やかに見えて)
わ~…かっこいい。ハートが言うとサマになるんだよ。
そんな風に言われたら、お前のこと更に、そのー…「好き」になりそう。
(此方に向けられた真っ直ぐな眼差しがあたたかく、そして眩しく感じられて何だか照れ臭いが素直に感想を伝える。此処で本心を隠したところで相手への思いは募りに募ってやりきれない一方だろう。この際勢いで言って仕舞おうと、さらりと好意を伝えて白い歯を見せて微笑んでおり)
うん?俺もお前のことは好きだ。
(相手からの好意を深く考えること無く受け取ったらしく、目を何度か瞬かせて言葉を返した。その後に普段と変わらぬ笑顔を浮かべたまま「良き友だと思っている」と続け、十字路の辺りに差し掛かると相手と逆の方向へ歩を進め、「またな」と手を振って相手と一旦別れ)
おう、じゃあ……また。
(混じり気のない豪快な笑顔を前に心の奥がじんわりと温まるような感覚を再度覚えた。会ったばかりで別れるのも名残惜しいが、笑顔で手を振り別れの挨拶を送り返す。一人になった所でやっちまった、と言わんばかりに額に手を当ててふと呟いて)
あー…これ。もしかして、いや絶対伝わってないよな。
俺がハートに惚れてるってこと。
ブレン、メディック。帰ったぞ。
(相手の感情など露知らず、二人の仲間が待つアジトの扉の前に立つと声を掛けつつ、勢いよく扉を開いた。手に持っている紙袋を見て恐縮するメディック、帰ってきたことを喜ぶブレンの二人に囲まれながら近場の椅子に腰を下ろす。「ああ、そうだ…先程泊進ノ介に会ったんだ」ケーキを食べ始めたメディックに向けて先程の出来事を告げると、彼女は何とも言えない表情を浮かべながら「…多分…違うと思いますわ、ハート様」と小さく呟いた。その呟きは耳に入らなかったらしく、椅子に座ったまま二人がケーキを食べる姿を眺めており)
う~ん…
(詩島宅に差し入れのケーキを手渡した後、自宅のリビングであれやこれやと考えを巡らせる。流石にあれだけでは言葉足らずだったよな、とか、そもそもハートは人間の抱く恋愛感情について知っているのか、などなど。此処で逡巡している場合では無いのだが)
…あっ、何考えてんだ俺。
(一瞬、「ハートと手を繋いでみたら」──と甘い妄想に駆られそうになった。そもそも自身の望みが叶う保証は無いのだが、やって後悔する方がずっと良い。それが自分の性分だろう。次会った時にもう一度アタックしようと心を決めて、柔らかい生地のショートケーキを頬張り)
ああ、美味いな。
(暫くは二人の食べる姿を眺めていたが、見かねたらしいブレンが「ハートも食べてください」と自身のケーキを一切れ口に押し込む。いきなり押し込まれたケーキを何度か咀嚼し、ゆっくりと感想を述べた。─その翌日。理由も分からぬまま二人に「とりあえず外を歩いてきてください」とアジトを追い出され、釈然としないような表情を浮かべながら昨日と同じルートを彷徨いていて)
…何故だ?
(お昼過ぎ。本日の勤務をどうにか終えることができて、大きな欠伸を一つ浮かべた後にアスファルトの道の上を歩いてゆく。寝泊まり勤務の交代制だった当直が終わり、先程上司から帰宅許可を貰って自宅の方面まで戻っている所だ。長時間勤務で身体が堪えたからか今は何だか眠くて、目覚ましに冷たいシャワーを浴びたい気分だった。まもなく目の前には見覚えのある人物が、此方が近づく度にはっきりと見えてきたので声を掛ける。どうやら考え悩んでいる表情だと見て取れたので尋ねることに)
ハート、また会ったな。考え事でもしていたのか?
ああ、泊進ノ介か。
(彷徨いていた所で相手と出会うと少々表情は柔らかくなるものの、依然として釈然としないような表情のまま「いや…昨日お前と会ったことを話したら、妙な表情をしたメディックとブレンから急に外を歩いてきてくれ、と外に放り出されてな」と首を捻る。何故二人がそのような行動をしたのかが理解できないらしく、考え込みながら何度も首を捻っており)
あ、この前の続きなんだけどさ。
お前のこと、恋愛対象として好き…なんだよな。「友人」として好きでもあるんだけど。
(息を凝らし、言葉選びに気を配りながら本音を溢す。『遂に言ってやった!』という気持ちと『会って早々何を言ってるんだ俺』という自責の念が頭の中をぐるぐると回り、当人は今にも顔から火が出そうな気分。直ぐに理解はされないだろうが、こんな時でさえ誤魔化したくはないと思った。心臓は普段に比べて激しく脈を打っており、凛々しい眼を持った相手の方をじっと見つめていて)
……
(相手の言葉を聞くと驚いたように目を見開き、何度か瞬きをしながら暫くの間沈黙していた。お互いに気まずい沈黙が流れた後、「そう、なのか。お前のことは良き友、だと思っていたのだが…」とどこか困ったような表情と口調でそう告げる。─正直な所、自身にとって恋愛感情というものは理解不能であった。だが相手の言葉を撥ね付ける気にはなれず、あくまでも相手を真っ直ぐに見据えていて)
驚いて当然だと思う。…だけど、どうか嫌いにならないで欲しい。俺はハートのことが好きなんだ。
(嫌いにならないでという一言は自分勝手な要求で、それは百も承知だった。自分は今、『友人』だと誠実に思ってくれている相手を裏切る行為をしているのだと改めて実感する。混じり気がなく、真っ直ぐな目線を意識する度に胸の辺りがチクチクと痛む感覚がして後ろめたい。相手に対して抱いている感情を言葉にしてぶつけた後は暫く沈黙し、ただ目を合わせることしか出来ずにいて)
…嫌いになどなるものか。
(相手の言葉を聞くと硬直していた表情がふと緩み、首をゆっくりと横に振りながら、いつもの柔らかく穏やかな笑顔を浮かべる。それがどんな感情であれ、「親友」が自身に素直な感情を告げてくれたことが心から嬉しいらしく、相手の両肩に手を置いて顔を寄せた。「俺に恋愛感情は分からないが…理解できるよう努めよう」と相手を見据えたままそう言って)
…ありがとう、ハート。
(凪のように穏やかな表情を目にして胸を撫で下ろす。自分の肩に大きな手が添えられて触れられているのを実感すると、何だか両耳が熱くなってくる。たとえ自分の想いが具体的な形となって叶わなくたって、別に良い。相手が理解しようと努めてくれるだけでも十分過ぎたから。感謝の意を相手に伝えた後はすっかり安心し切ったらしく、自然と笑みを溢していて)
礼は要らない。
(相手の笑みを見るとこちらも安心したようで、変わらぬ笑顔のまま両肩から手を離す。耳が赤いことには気付かなかったようで、「折角外に出てきたんだ、茶でも飲まないか」と丁度近場にあったオープンカフェを指差した。相手から好意を伝えられた所で対応が変わるということもなく、相変わらず「親友」として接しているようで)
良いな。実はちょうど休憩したいと思っていたところだったんだ。
(此方からはっきりと好意を伝えたので、さぞかし驚いているだろうが、相手の言動から以前と変わらず接してくれているのが分かる。そして食事に誘われたのが何よりも嬉しくて大きく頷いており、それは仕事の疲れさえも忘れてしまう程で)
そうか、なら良かった。
(相手が誘いを承諾すると、そのまま相手を連れてカフェの中に入っていく。適当な席に腰を下ろし、アイスコーヒーを注文した後は店内を見回していたが、特に目ぼしいものは無かったのかまた相手を真っ直ぐに見据えた。「…誘っておいて何だが、こういう場所は落ち着かないな」と小さく溢し)
まぁまぁそう身構えずに、話したいことを話そう。
この前買ってたケーキ、メディック達は気に入ってた?
(店内を見渡すと学生や若いカップルで賑わっていて、相手にとっては慣れない環境下だろうと推測していた。先程店員が運んでくれたホットミルクを一口啜り、最近の出来事について話題を振ってみることにして)
ああ、とても喜んでいた。
(仲間達の話題になると少々持ち直したらしく、昨日の二人の顔を思い浮かべつつそう答える。そうしている内に運ばれてきたアイスコーヒーに口を付け、「お前の方こそ…仕事の調子はどうだ、泊進ノ介」と尋ねて)
良い感じだよ。
前よりも忙しくなって大変だなって思う時もあるけど、やりがいのある仕事だ。
(異動後は責任の重い仕事が増えて、時折目前の壁にぶつかってしまうこともよくある。それでも市民を救う警官兼仮面ライダーとして困難を乗り越えて前に進むんだ、と決心しているようで力強く頷きながら答えており)
そうか、良かった。
(話している間中ずっと相手の顔をじっと眺めていたが、相手が力強く頷くのを見ると穏やかな笑みを浮かべ、自身も大きく頷いた。その後手元のアイスコーヒーを半分ほど飲み干し、「それでこそ俺の友だ」と何故か納得したようにそう付け加え)
うん。……ハートにそう言われると、やっぱり嬉しいな。
(相手の言葉を耳にして感嘆の余り両眼が見開かれた後、胸中から嬉しさが込み上げて来たからか目尻を下げて笑っていた。好きな相手から大切に想われていることを改めて実感して、同時に屈託のない笑みに心奪われているのが悟られないよう視線を落とす。目の遣り場を見失って鈍い光を放つ耳元のピアスの方を眺めていて)
ん、気になるのか?
(相手の目線がピアスに向いていることにふと気付き、一旦グラスを置くと小さく音を鳴らしながら指先でピアスに触れる。その後に「お前も付けるか?」と何気ない調子で問い掛け)
えっ!?あぁ、その。相変わらずピアス似合ってるなぁ~と思ってさ。俺は穴開けてないから付けられないけどな……。
(我ながら照れ隠しが下手だと思いながら、再度シルバーアクセサリーの方を見つめ直す。見た目からして普段の相手と何ら変わりない筈なのに、自分が今恋をしていることで相手の格好良さが一層増しているように感じられて面映い表情を浮かべており)
気になるなら開けてみるか?
(相手の目線が下げられても相変わらずピアスを気にしていたようだが、相手の言葉を聞くとそう問い返し、「友達は『お揃い』というものをするんだろう?」と続け)
ああ。服とか…ストラップを友達とお揃いにする人は、周りに結構いると思う。
確かに良いかもな、ハートと同じ所に穴を開けるの。
(『お揃い』という言葉を耳にして相手の関心事が意外に思えた一方、それが愛おしく感じたので目を細めて笑いかける。そもそも自分がピアスを付けるという考えを思いついたことが今までに無かったので、段々と興味を持っているらしく)
案外似合うと思うぞ。
(乗り気に見える相手の態度に気分を良くしたらしく、妙に強張っていた態度が徐々に普段の態度へと戻っていく。顔には普段のように屈託無く、どこか冗談めかすような笑顔を浮かべていて)
似合うかな。ハートみたいに格好良くはなれないだろうけど。
(先程まで場に慣れていない様子に見受けられたが今は大丈夫そうだ。緊張がほぐれたようで良かった、と思いながら相手を眺めており、コーヒーカップの方はすっかり空になっている。相手と話していると胸に溶け込むような幸福感を覚え、時間が経つのが一瞬のようにも感じられる。嬉しい余り胸の内をそっと明かしており)
何度も言ってるだろうけどさ…俺、またお前に会えて凄く幸せなんだ。あの時最期のお別れだと思ってたから。
…そうだな。
(相手の言葉に釣られるかのように瞳を伏せ、"あの時"のことを回想する。そのまま消滅するのかと思っていたが、今はまた復活して此処に居る。一際穏やかに微笑んで相手を見据えつつ、腕を組み)
でも今は俺の目の前に、隣にいるわけで。…嬉しいな。
(眺めていると心奪われてしまうその微笑みを見据えて、幸福感を噛み締めながらゆっくりと喋り出す。先日あの場所で巡り合いこうして相手と話しているのは、まさに奇跡に近いと内心思いながら内面の喜びを吐露しており)
前にも言ったが…俺もだ。再びお前と会えて喜ばしいと思っている。
(相手の言葉を聞いてゆっくりと頷き、手違いであったとはいえ、自身を復活させてくれた詩島剛に内心感謝を述べ)
じゃあ…、俺そろそろ行くな。今日はとても楽しかった。また話そう。
(椅子から立ち上がり、相手の顔を見つめながら微笑みを浮かべた。それから会社携帯と長財布を持って店から離れてゆき)
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