ビギナーさん 2022-08-20 17:26:05 |
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…えっと、飛彩…でいいのか?
(相手から囁かれた言葉を聞き、戸惑いがちに相手の名前を口に出す。反応を伺うように肩口から相手の顔を覗き込み、抱き締める腕に少々力を込めると「…何だか変な感じがする。」と呟きながらも満更でもなさそうな表情を浮かべ)
(いえいえ、お気になさらずとも大丈夫ですよ)
ああ。……お前といると無性に落ち着く。
(戸惑っているような相手と視線が合い、また彼の反応が初々しくて、微笑ましく思った。いざ名前で呼ばれると、久しく感じていなかった慕情や安心感が心の奥から込み上げてくる。鋭い目つきは普段よりも柔らかくなっており、無意識のうちに相手と距離が狭まって)
(/誤字失礼します…)
俺もだ。…楽しい、とはまた違う。…愛しい?
(普段より少々恥ずかしげに笑みを浮かべ、暫く相手の身体をそのまま抱き締めていたが少しして「…ここからどうすればいいんだ?」と困惑したような呟きを漏らす。何せバグスターの自分には「こういったこと」は全てが生まれて初めての経験、とりあえずは相手の端正な顔立ちをじっと見つめてみて)
恋人同士なら手を繋いだりする。後は……
(大丈夫、愛情表現の仕方を教えるだけだと己に語りかけて平常心を保ちつつ、くぐもったのちに相手の後頭部を左手の掌でそっと覆う。「俺なら…こうする」と澄まし顔を浮かべながら呟き、相手のその薄い唇に、軽く口づけを落として)
…今の、キスか?
(柔らかく自分の唇に触れた相手の唇に目を瞬き、ぼんやりとした口調でそう呟いた。相手の背中に回していた片腕を解き、その指先で自身の唇に触れながら「…もう一回、いいか」と恐る恐る尋ねてみて)
これがキスだ。……何、もう一回、か。良いだろう。
(相手のすべすべとした頬を、まるでガラス細工を扱うように指先を沿いながら触れて、愛しい者にする際のキスを送った。数秒後唇を離して「これで…満足か?」と相手に向かって遠慮がちに問いかけ)
…ああ。
(ぼんやりとしているのか、まだ夢心地な声でそう答えるとまた指先で自身の唇に触れながら「…心がふわふわする」と呟く。そうして頭の中から永夢のゲームの記憶を引っ張り出し、相手の髪を唇から離した指先で掬うとまた恭しく唇を落とし)
俺も、いい意味で落ち着かない。
(小声で「美人…だな」と無意識の内に口に出ていた。キスをされて思わず瞼を閉じてしまう。が、直ぐにパラドの顔を見つめた。本人はいつもと変わらず冷静沈着な様子でいる一方で、耳の方は赤らんでいて、相手の可愛らしさをより一層感じているようだった。お返しに啄むような口付けをもう一度)
…?飛彩、の方が綺麗な顔だと思うぞ?
(まだ慣れないのか、少し口籠りながら相手の名前を呼ぶとまたまじまじと相手の顔を見つめる。そうして不思議そうに首を傾げ、人並みに羞恥心のある常人ならば口に出来ないような言葉をさらりと言い放つと手を伸ばし、相手の頬に手の甲で触れてみて)
ん……そうか。
(これまで異性から外見を持て囃されることは幾許かあったが、相手の言葉だけは自身にとって特別に感じられる。また、そういった言葉をさらっと言ってのけるパラド、もとい様々な変化をもたらす端正な顔立ちに心を惹かれた。口を一文字に結んでいたが頬を撫でられた拍子に「パラドの手は、温かいな…」と心地良さそうに呟き)
飛彩の肌は冷たくて気持ち良い。
(手の甲に伝わる、相手の肌の冷えた感触にこちらは目を細め、暫く手を当てたままであったがややあって手を離すと「…そろそろ戻る。グラファイトが怒るからな」といつもの無邪気な表情に戻り、不満げに唇を尖らせながら相手から離れ、テーブルの上のゲーム機の方へと歩を進め)
少し待ってくれ。……またな。
(まるで子供のような、天真爛漫な表情が愛しく思われた。銀色の腕時計を見遣ると回診の時間が差し迫っていた。別れ惜しさに相手を引き留めて、頭をやんわりと撫でてから頬にキスを送る。遠慮がちに微笑みながら別れの挨拶を言い)
ん…またな、飛彩。
(大人しく別れの挨拶を受け取ってから軽く手を上げ、ふわりと笑うとテーブル上のゲーム画面へ手を触れる。間髪入れずパラドの姿にノイズが走り、オレンジ色の粒子に還元された肉体がゲーム機の中へ吸い込まれていった。半ば自分の椅子のようにしている机には未だ白いガシャットが置かれており、ぼんやりとした様子で手持ち無沙汰にそれを弄んでいて)
……。仕事に戻るか。
(つられて手を振り返し、相手が吸い込まれていったゲーム画面を数秒間眺めていた。パラドと別れてから一旦病棟へ戻る。飛彩が普段、他人に対して接する際の張り詰めた態度は若干和らいでいて、其れこそはっきりと顔には出ていないが内心嬉しそうで)
…うん?ああ、聞いてるぞ。
(足をぶらつかせていたパラドはまたしても話を聞いていなかったらしく、二人からの?責の声でようやく顔を上げると生返事を返す。呆れた様子の二人を余所に「…好き、好き、か。」と小さく呟いており)
しかし、俺があいつのことを好きになるなんて…
(思ってもみなかった、と患者のカルテを整理しながらふと独り言を呟く。数年間心に空いていた大きな穴が埋められたような感覚、つまり寂しさが段々と癒えていくのを感じて目を細めた。しかし、自身の立場はバグスターである相手と敵対関係にある「医師」であり、同僚達には想いが悟られないよう、直向きに隠す必要がある。パラドとは今後もそう簡単には逢えないだろう、と考えると胸が締め付けられる思いがして)
…不思議な気持ちだ。
(テレビの液晶画面の向こう、じっと相手の姿を見つめながら小さくそう呟いてみる。手にしたゲーム機では見ていないのにアクションゲームを器用にプレイしつつ、自身の胸の辺りへ手をやってみては後ろの二人を振り返り、「…言えないな」と苦笑して)
俺は今……幸せ、なのか。
(画面の向こうで此方が見られていることに勿論気づく筈は無かった。急患の手術を完了し同僚と別れる。CRへ戻ると独り、所在無しにぼんやりと思索していた。そのため、診察を終えて戻って来たのか──後ろにいた研修医に気づかず、危うくぶつかりそうになって陳謝し)
…ブレイブ。
(相手が自身の目の前にいることを確認し、ゲーム画面からひょっこりと顔を覗かせて控え目に名前を呼ぶ。おずおずとした様子ではあったが、ゲーム画面から這い出てくるなり照れを隠すように「元気か?」といつものように無邪気な笑顔で問いかけ)
ああ。体調管理もドクターの仕事のうちだからな。
(明朗快活な声が聞こえて液晶画面の方を一瞥すると、仕草がなんとも愛らしい青年が見えて相手へ近づいた。それから「パラド」と穏やかな口調で名前を呼び、他人にとっては微々たる表情の変化で分かりにくいだろうが、本人はわずかながらに頬を緩ませて笑みを浮かべており)
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