ビギナーさん 2022-08-20 17:26:05 |
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なら良かった。…他の奴らは向こうで仕事中、みてえだな。
(2人きりの状況につけ込んで、相手の名前を呼び思いっきり甘えたい気分だった。何なら頭をそっと撫でてやりたいところではあるが、自身が職場に居るということもあって平静を装っていた。キーボードを打つ傍ら考え事をする。そういえば、パラドは俺が永夢に好意を寄せていることを知っているのだろうか、とふと疑問が湧いており)
そうですね~…。
(ゲーム機から顔を上げ、静まり返った室内をきょろきょろと見回す。少しして不安そうに周りを尚も見回しつつ自分の座っていた椅子から腰を上げ、相手のすぐ近くの椅子に腰を下ろすと何かしらそれで満足したらしく、またゲームを再開して)
……ほんと好きだよな、ゲーム。
(ゲーム機の画面に目を呉れてそのように呟き、若干表情を緩ませた。それから手持ち無沙汰になったのか机に伏せた姿勢となって黒くつぶらな目で相手をじっと窺っており)
はい!楽しいですし。あいつ…パラドも好きですから。
(相手の言葉に元気な返事を返して一旦ゲーム機を置くと机に伏せる相手の頭へと、躊躇うように恐る恐る手を伸ばす。ぽす、と柔らかく軽い音が小さく鳴るのと同時に柔らかな相手の髪が手のひらに触れるのを感じて)
ふん。なら、いつでも相手になってやるよ。
(永夢に対し好戦的な口調を以て言う。相手の腕が伸びてきたと思いきや、心地よい感触を憶えた。触れられた辺りの白黒の髪がふわりと揺らめき、前髪が額の方に流れる。
俺の方はというと指先から温もりを感じていた。しんとした空間に響くのは、腕時計の秒針が発する音。もし今聴診器で心音を聴かれたら、きっと見透かされるだろう。いい歳した三十路手前の男がドキドキしているということを。
触れて欲しいと密かに求めていたのは此方だが「お前、俺に甘すぎ」と不服を漏らして苦笑いを浮かべた。その言葉に反して相手の白衣の袖口を、遠慮がちに掴んでいて)
…だって大我さん、可愛いですから。
(しばらく相手の髪を弄んでいたが、少しして相手の頭を緩やかに撫で始める。穏やかな表情でそうしていると永夢から零れ落ちるようにしてひょい、とパラドが顔を見せる。その片手にはゲーム機が握られており、「永夢~、一緒にゲームしようぜ」と声を掛けるものの、永夢と相手を交互に見ると状況が分からないのか「…永夢、スナイプと何してるんだ?」と首を傾げていて)
少し寝ちまってな。こいつに寝癖を直して貰った。
(不意にパラドが現れて少々驚いたが、白衣に添えていた片手をさりげなく下ろした。テーブルに肘をつき咄嗟に思いついた言い訳をする。もしかして先程の会話を聞いていたのか、と嫌な予感が頭をよぎる一方、脳内でその考えを『ないない』と即刻否定して)
う、うん!そうだよ、パラド。
(パラドは特にそれを疑うでもなく「そうか。仲がいいんだな。」とだけ言うと興味を無くしたのか永夢の袖口を子供のように引っ張り、「なあ永夢、ゲームしようぜ」としつこく誘う。根負けした永夢が「分かったよ…でも帰ってからね。どれするの?」と問いかけたところでパラドは相手の方を振り返り、「スナイプも永夢の家来るか?永夢と仲良しなんだろ?」と純粋な表情で首を傾げ)
ああ。仲良し、だな。……行く。仕事終わってから向かうが。
(白い髪の辺りを触りながら答えた。じゃれつくパラドと相手を諭す永夢を見ていると、兄弟…と喩えるよりは、親子と表現する方が正しいかもしれない。それにしては大きい子供だなと思いつつ、2人のやり取りを眺めているとつい心が和む。パラドの提案には首を縦に振り、永夢の方を見遣って「邪魔するが良いか?」と問い)
勿論ですよ!
(尚もパラドに遊ぼう、としつこくせっつかれていたが相手の言葉を聞くと笑顔で頷く。その後思い出したように「あんまり綺麗じゃないですけど…」と苦笑いを浮かべながら言うとパラドに顔を戻して「ほら、そろそろ戻って」と促す。パラドは思ったより素直に返事を返すと、永夢と同化するように粒子状になって空気に溶け)
そうかよ。じゃあまた後で。
(パラドが帰ったのを見届けてから荷物を纏める。それから帰る手前に振り返り、永夢に微笑みかけて「楽しみにしてる」と素直で飾り気のない言葉をかけてから青い螺旋階段を降りて行き)
はい!
(元気な返事を返し、どことなく楽しそうな調子でやるべき仕事を済ませてしまうとスキップ気味に帰路に着く。自宅の扉を開けるなり据置のゲーム機を起動させ、普段は使わない三つ目のコントローラーをゲーム機に繋げると既に臨戦体勢で楽しそうな様子のパラドと共に相手がやってくるのを待っていて)
では、痛み止めを処方しますので、数日間は安静に過ごしてください。……お大事に。
(最後の患者が退室した後椅子から立ち上がり、大きく伸びをする。その後は急患もおらず患者の診察等をスムーズに終えることができた。勤務時間終了後『休診』と書かれたプレートをガラス張りのドアにかけて、永夢の家に向かうことにした。相手宅の住所だけは記憶していたが、実際に足を運ぶのは初めてで我ながら変に浮かれていた。そういえば、あいつの好物でも持っていくか。途中コンビニに立ち寄り、スナック菓子を袋いっぱいに購入してから数分後、目的地へと辿り着きインターホンを押して)
あっ、鍵開けてるのでどうぞ!
(相手が来るまでだらだらとしていたが、インターホンの音を聞いたパラドに「永夢、誰か来たぞ」と言われてモニターを見に行けば、そこには相手の姿があった。人に見せられるような格好ではないのも忘れていそいそと玄関まで出ては鍵を解錠し、そう声を掛ける。掛けて少ししたところで今の自分の服装に目をやると首元のゴムが伸び切った高校時代のクラスTシャツ、派手な色のハーフパンツに足は裸足な上クッションに埋もれていたので髪もあちこちが跳ねている、なんて明らかに見せられない格好であることに気付くものの時既に遅し)
邪魔するぜ。
(そう言ってドアノブに手を掛け、扉の向こうにいる相手をしげしげと見つめた。職場では爽やかな好青年の印象を受けるような身嗜みであるが、今となっては髪が所々跳ねているラフな格好。気の抜けた雰囲気で可愛らしい。その服装からだらし無さを感じなくもないが、おそらく自宅では(外科医のお坊っちゃんを除いて)他の奴らも似たような格好をして過ごすだろうとも思った。それに学生時代のTシャツを律儀に取って置いて今もなお使用しているとは、何とも永夢らしい。入る間際に相手の髪を梳き「付いてるぞ、寝癖」と揶揄い)
あっ…すみません!
(相手に指摘されると大急ぎで寝癖を直しつつ、パラドが「来たかスナイプ!」と手を振るリビングへ相手を案内する。相手のレジ袋を見ると「荷物はここにどうぞ!」と普段使わないソファを指し、自分は床にクッションを敷いた上に座り込んで)
よぉ、パラド。……また見てないうちに大きくなったか?
(リビングに入り挨拶してから小さく手を振り返し、永夢の厚意に甘えて荷物を置いた。レジ袋に手を突っ込んでカラフルな包装のスナック菓子やグミ、ラムネ等を取り出して「お前らに差し入れだ」と渡し)
わ、ありがとうございます!
(スナック菓子を見るなり表情を明るくし、ゲーム画面を向いているパラドの服の裾を引っ張ると「パラド、好きなの食べていいよ」とどちらが子供か分からないような態度を見せる。パラドもパラドで「いいのか?」と目を輝かせて)
勿論パラドも。好きなだけ食え。
(そう言って頷き、腕を組んで彼等の様子を窺う。此方からは子どもが2人いるように見えて、口元が緩みそうになる。家から持参した携帯ゲーム機を鞄から取り出し、電源ボタンを押して起動させ)
(スナック菓子を頬張ったままのパラドが相手の方を見ると、「こっちやろうぜスナイプ!」と既に起動してある複数人対戦ゲームを指差してぐいぐいと子供のように裾を引っ張る。永夢は既にコントローラーを握っており、片手で相手の持ってきたお菓子を食べながらNPCとの対戦モードをプレイしていて)
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