ビギナーさん 2022-08-20 17:26:05 |
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確かにな。家に人を入れたのは久々だ。
(ニコは時々此処を訪ねてくることがあったが、男を家に招いたのは初めてかもしれないと思った。ゲームに誘われた途端背後に胡座の形で座り相手の右肩に頭を乗せて「やる」と一言だけ甘えたような掠れ声で言い)
じゃあ僕はこっちを探索するので、大我さんはあっちをお願いします。
(相手の髪が首筋に当たってくすぐったいのか、小さく笑いながら「何だか今日は甘えたさんですねえ」と相手の頭を軽く撫でる。片手に持っていたコントローラーを相手に渡し、場所を指し示すように画面に指を置いてそう言っては、既に画面上のキャラクターを操作し始めていて)
了解。まずはエリアアイテムの確保だな。
(コントローラーを受け取り、相手とは別の方角にキャラクターを走らせる。ゲームを操作しながら、先程の永夢の言葉には前髪を弄りながら「好きだからな、お前のこと……」と返し、まるで開き直った子供のような、意地っ張りな言動で)
…大我さんって可愛いですね。
(キャラクターを操作しながら思わず口から漏れた、というような言葉を漏らすと空いていた片手でまた相手の頭を撫でる。少しして自分の言動に気付いたのか、驚いたように目を見開いて「…あ…ごめんなさい、つい。」と呟いて)
へぇ、俺は永夢の方がかわいいと思うけど。
(揶揄うような言い草で返し、ゲーム機片手に骨張った大きな手で、お返しに相手の頭を強く撫でる。どの辺りが可愛いのかその場で問い質したい気もあったが、流石に聞く程のことでは無いと思った。「それと、あまり男にかわいいって言うんじゃねえよ」と附言し、きまり悪そうに笑っていて)
…う…すみません。
(少々乱暴な手つきで撫でられたせいか、ぐしゃりと乱れた髪のまま決まりが悪そうに謝罪する。空になったスナック菓子の袋を捨て、新しいスナック菓子の袋を開けるとまた食べ出しながらふと時計に目を遣り、「…あ、時間…」と漏らすように呟いて慌てた様子でアイテムを集め始め)
おい、謝んな。別に悪い気はしなかった。
(相手の前では格好よく見せたいという気持ちもあるが、好きな人と一緒に過ごしていると心を許し、なぜか肩に寄りかかりたくなる…そんな気持ちになっていた。バトルの最終局面にさしかかってきた所でボタンに添えていた指を忙しなく動かし始めながら、「お前と居ると、もっと甘えたくなるんだよ」とつい本音を溢した。棒状のチョコレート菓子を口に咥えながらゲーム画面を眺めていて)
そう、ですか?
(相手の言葉に目に見えて安心したような表情を浮かべ、手早く集めてきたアイテムを装備させて敵を倒しながら「それならよかったです」と笑う。敵を倒すと敵の落としたアイテムも集め、確実にキャラクターを強くしていくが、時折相手の髪が揺れてくすぐったいのか身体が小刻みに揺れていて)
ふっ、素直だな。
(表情が分かりやすく見ていて飽きないので実に微笑ましかった。余所見をしている隙に敵から攻撃を受けてしまい、HPを示すゲージが赤く染まっており「悪りぃ、やられた。一応救護要請するぞ」と伝える。この状況下でも天才ゲーマーの腕なら何とかしてくれるだろう、という仄かな期待を抱いており)
任せてください!
(どん、と胸を叩くようにして得意気な表情を浮かべ、自分のキャラクターを操作して相手の援護へ向かう。敵の攻撃を避け、集めたアイテムを最大限に使ってダメージを積み上げるだけでなく相手の回復にも気を配り、少しの間ボスと戦闘した後にステージクリアの音声が鳴って)
……すげぇな。
(慣れた捌きであっという間にゲームをクリアしてみせた相手に感心したらしく、黒色の両目は見開かれていた。ベランダの窓を開けると雨が降った後特有の匂いが鼻を掠め、雨がすっかりと止んでいるのが判った。「雨、止んでるな」と独り言を言い茜色に染まる夕空を眺めていると、楽しいひと時はあっという間に過ぎることが実感されて、名残惜しくなり)
あ、そうですね!
(相手につられるように窓の外を見つめ、夕空を映して薄っすら橙色に光る瞳を向ける。少し迷うようにゲーム機を握る手に力を込めた後、「あの…大我さんさえ良ければ、また呼んでください!協力プレイできるゲーム、いっぱいあるので!」と精一杯の勇気を振り絞ったような声でそう言って)
(その言葉を聞いて振り返り「あぁ」と一言だけ発して、にこりと笑う。頬はやや紅潮していて、窓に夕陽が差し込んでいるからか、それとも嬉しいという感情が表情に表れているからか。答えはおそらく両方だろう。相手の両肩にそっと手を乗せて静かに見つめ、それから控えめに口を開き)
一緒にいるだけで、こんなにも幸せだとはな。……俺、今変な顔してそうだ。つい浮かれちまう。
あの…えっと、「お試し」の期間、なんですが。
(相手の言葉を聞き、表情を見ればまた性懲りもなく「可愛い」なんて思いながらもそう口を開く。「…いつ、までがいいですか。」相手の反応を伺うように恐る恐る問いかけ、少々上目遣い気味に返事を待っていて)
俺が決めれることでもねぇよ。無理強いはしたくねーしな。
(考える素振りをして数秒後、相手の意思を尊重する旨を伝えた。率直に言えば、結論が出るまで何日でも待てる。相変わらず無愛想な口調ではあるが「お前次第だ」と若干柔らかな表情を浮かべて答え)
じゃあ…あと、3日。3日だけ、考えさせてください。
(少し押し黙ると自分なりに考え、出した結論を相手に伝える。その後は早く、ゲーム機をリュックに戻して着ていた服を見ると「これ、また洗濯して返しますね?」とだけ言って玄関まで足早に向かい、「じゃあ、また!楽しかったです!と輝くように純粋な笑顔を浮かべて相手の家を飛び出し、帰路へと着いて)
分かった。返事は焦んなくて良いからな。
(冗談抜きで貸した服が似合っており、(しかもかなり可愛いので)『くれてやる』と思わず言いそうになったが、相手にとっては差し出がましいだろうから言うのを辞めにした。それから「じゃあな」と短い挨拶を返して別れ、ドアに寄りかかりながら、遠ざかっていく相手の背中をそれが見えなくなるまで暫く見つめていた。翌日の早朝。頼まれていた報告書を提出しようと、大きい歩幅で白衣を靡かせながらCRへと向かう。中には誰もおらず、「そのうち誰か来るだろ」と考えてその場の椅子に腰掛け、今のうちに昨日のお礼でも送っておくかとスマホの電源を起動し)
…うーん…
(普段より少し遅い出勤時間、片手間にスマートフォンを弄りながらそう呟く。3日、と宣言したもののまだ自分の中では決心がつかないらしく唸りながらCRの中に顔を覗かせると中にいるであろう誰かに「おはようございます!」と元気な挨拶を)
(CRに顔を出した鏡灰馬院長へ報告書を渡した後パソコンに向かって作業をしていると、背後から快活な声が聞こえたので振り向く。相手に歩み寄り大我らしく「よお」と素っ気ない挨拶を返して、いつものように下の名前ではなくライダー名で呼んでおり)
昨日は雨に降られたが、風邪ひいてねえか。……エグゼイド。
あ、はい!お陰様で…
(自分の呼び方が違うことに少し首を傾げつつも、特に何も変わらないいつも通りの笑顔で答える。自分の席に腰を下ろし、テーブルにリュックを置くとやることもないのと相手以外誰もいないことを良いことに、ゲーム機を取り出して一人用ゲームをプレイし始め)
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