(明治初期の洋室には窓がなく、唯一の扉が開くことはない。豊富な書籍が並ぶ書架、蝶の標本がかかる壁、蓄音機やレコードにベッドとクローゼット、丸テーブルに四脚の椅子。ペルシャ絨毯には人型の血痕。手紙を読みながら眉を寄せる。白いシャツに黒いボウタイ、ズボンに革靴姿。肩口で切り揃えた金髪に赤い瞳)…………つまり、ここにいる誰かは、既に殺害されている、と