匿名さん 2022-07-25 19:18:55 |
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…変な人。普通私みたいな奴に声掛けたりしないよ。
( 見ず知らずの、挙句の果てに全身雨でびしょ濡れなのにも関わらず嫌な顔ひとつすること無く、自らが着ていた上着をかけてくれる相手に対しぼそっと呟き。夕飯前に家を飛び出してきたこともありお腹は空いていて。しかし素直に着いていくのも如何なものかと思いながらも、この人の事だからいくら拒否してもしつこいくらいに説得されるに違いないと思えば小さな声で「…お腹空いてる」と答えお店に行く旨を伝え )
よく言われます。
( 思い当たる節があるのか苦笑まじりに述べながらも、彼女の返答に怒ることもなく頷き。素直な言葉にホッと安堵の表情を浮かべては「すぐそこですよ」と声を掛け、彼女を傘に入れながら純喫茶"れこーど"へと案内をし。そこはどこか懐かしさを感じさせる茶色の煉瓦に身を包み、入り口の花壇にはパンジーやビオラなどの花が植えてあり、カランコロンと鳴るドアを開ければ、そこにはゆったりとしたジャズと食欲の湧くケーキの甘い香りが出迎え。カウンター席はちょうど空いていて、どうぞと手で席を示しながら促し )
お嬢さん、今タオルを持っていきますから、どうぞカウンターに座ってください。美奈子、ただいま。
( 言われるがままに彼の後を着いて行きお店の中に入れば、ふわりと香る甘い匂いにお腹の虫は大きく鳴りそうになり。こくりと小さく頷きながら促されたカウンターの椅子に座り、彼が声をかけた奥さんであろう女性を自然と目で追えば、素っ気ないながらもぺこっと軽く頭を下げ。その後彼が戻ってくるまでの間に何気なく携帯を見れば何件か母親から着信とメッセージが来ていたのだが、返信する気にもなれず溜息をつき携帯の画面を下にした状態でカウンターに置き )
…めんどくさ。
あら、おかえりなさい。やっぱり雨降ったでしょ。傘持って正解ね。
( 会話を交わした秋史が買い物袋をカウンターに置いてタオルを取りに行こうと奥へ引っ込むと、入れ替わるように今度は彼女の元へと向かい。お冷やとおしぼり、そして甘い香りの正体であるスイートポテトのケーキをそっと彼女の前に差し出し、先程の素っ気ない態度や事情がありそうな様をものともせずにこっと朗らかな笑みを見せ話しかけ )
いらっしゃい、初めてのお客さんね。ねぇ、よかったら食べてくれる?感想を聞かせて欲しいの。
(/そういえば季節決めてなかったけど、秋で大丈夫?季節限定メニューとかあるし、甘い香りってスイートポテトのイメージあって出しちゃったんだけど…)
…なんで何も聞かないの。普通こんな全身びしょ濡れの人が来たら嫌な顔するものじゃないの?
( 入れ違いで入ってきた女性はやはり奥さんであり、優しそうな印象の持ち主で。普通ならば自分のような人間が来れば何か詮索してきてもおかしくない筈なのだが、先程の彼と同様に特に気にする素振りを見せない姿に疑問を抱き、お冷をひと口飲むと差し出されたスイートポテトのケーキをじっと見つめながら問いかけ )
( /うん!秋で大丈夫だよ。丁度今もその時期だし全然OK!スイートポテトのケーキ食べたくなってきた…←)
そうねぇ…私にとってお店に入った瞬間からあなたは大事なお客様なの。何があったかは確かに知らないけれど、今この瞬間ここでだけは貴女にとって"安らげる場所"であってほしいのよ。
( 彼女からの問いかけに考えるように視線を上向けた後、ゆっくりとそして瞼を軽く伏せながらも優しい口調で答えて。「それに、"何があったの?"って聞かれたとしても答えたくなかったでしょ。それなら貴女が話したくなるまで気長に待つわ」と付け足し、花が綻ぶような笑みを見せ。秋史がタオルを手に戻り彼女に「どうぞ使ってください。今紅茶を入れますね」とそっと差し出し )
( /ありがとう、じゃあ季節らしいものをその都度考えよう…!
スイートポテトはたまに作るけど、ケーキがあるとは知らなかった(笑)ちなみにスイートポテトのクレープも食べたことあるけど、やっぱり美味しかったよ。食べたいね…お芋がおいしい季節になってきたよ)
安らげる場所…。
( 彼女の優しい口調は自然と心の中に浸透し、僅かではあるが冷えきった心と身体を暖めてくれるようで彼女が発した言葉を繰り返してみては、実際に今住んでいる家は居心地がいいとは言えず更に安らげる場所というものはなく、心のどこかでそういった場所を求めていたのかと改めて考えさせられていて。たしかに彼女の言う通り何があったかを問われると初対面に答える義理もなく、例え話した所で何も解決策はないだろうという考えに至れば「…おばさんの言う通り。今は何も話したくないし、聞いてもらおうとか思ってないから」と答え。タオルを受け取ると肩にかけ濡れた髪をゆっくり拭きながら彼に向かって「ありがとう」と一言だけ告げて )
( /そうだね!季節のものを考えるのって楽しいよね。
スイートポテトのクレープがあるの?それ絶対美味しいやつ!いいなあ、食べてみたいよ。
たまにスーパーとか行くと焼き芋売ってあるからつい買ってしまう(笑))
冷めないうちにどうぞ。
( 妻の言葉に少しだけ心を動かされたのを見れば、ホッとしたように美奈子と顔を見合わせて微笑み。カウンターに入りいつものように紅茶を用意すると、彼女の前にティーポットとティーカップを置いて )
( /昭和レトロっていうと、やっぱりクリームソーダとかナポリタンとかホットケーキだよね。そういうのを含めながら考えてるよ。いつかぐりとぐらのホットケーキみたいなの食べてみたいな。
確か去年の今頃だったかも?今年はどうなのか分からないけど、結構美味しかったよ。クレープは作ったことないなあ。
あるある(笑)意外とスーパーのおいしいよね!)
…おいしい。
( 用意された紅茶をティーカップに注ぐと良い香りが漂いふーっと冷ましながらゆっくりと口をつけ。その後奥さんが出してくれたスイートポテトのケーキをフォークで掬い口に運ぶと滑らかな舌触りと、しつこくない甘さが口いっぱいに広がりぽつりと感想を述べて )
( /うんうん!そういう感じでいいと思う。最近って昭和レトロなお店あんまり見かけなくなっちゃったよね。
ぐりとぐら懐かしい…。あのホットケーキ美味しそうだよね(笑)
私も街に出かけた時に探してみようかな。そもそも家でクレープ作れたらわざわざお店で買わずに済むし、好きな物トッピングできるから楽しいだろうね!
ちょっと値段高めだけど甘くて美味しいんだよね!)
でしょう?美奈子の作るケーキはおいしいんですよ。
( 雨宿りに来た常連客と妻が談笑する様を見守っていると彼女から溢れた"おいしい"の一言が耳に入り。まるで自分の事のように嬉しさが込み上げ、ふっと優しい表情を浮かべながら食器を拭き、彼女へと視線を向け )
…もしよければ、またここに来てお茶でも飲んでください。二人で待っていますから。
( /物価が上がったし、コロナ禍なのもありそうだよね…。ちょっと調べると昭和レトロな有名店は出るけど、どうなんだろう…。
そうそう!スキレットのやつね。1度は食べてみたいんだけど、自由が丘とか行き慣れてない場所だった…。
クレープメーカー欲しくない?フライパンでもできるけど、しっかりしたやつで作ってみたい…。自分で作るとたくさん生クリーム使ってしまいそうだからカロリー不安だけど(笑)
次の場面どうする?出会ってから通い始めて少しずつ遥ちゃんが心を開いていく感じの場面にしていく?)
ごちそうさま…。気が向いたらまた来るかも。
( 紅茶も残さず綺麗に飲み終え静かに手を合わせ。こういう静かな喫茶店も悪くはないかな、と心の中で思えば〝2人で待っています〟の言葉に自分の居場所が初めてできた気がして。客相手として言っているのではないかと考えれば素直にまた行くとは言えず曖昧に告げて店を後にして )
( /やっぱりそういうお店あるにはあるんだね。コロナ禍と物価高はお店側からしても経営は厳しいだろうからね。
自由が丘か…私も馴染みのない場所だ。
クレープメーカー欲しい!もうね、この際カロリー気にしちゃいけないよ(笑)食べる時は食べないとストレス溜まっちゃう←
そうだね、美奈子さんが作るケーキ目当てに行くのもありだったりする?秋史さんにはまだ完全には心開いてはいないけど、同姓の美奈子さんとは偶に笑顔も見せられたらなって。)
――ありがとうございました。お気を付けて。
( 自分から声を掛けたもののやはりそうすぐ心は開いてもらえないだろうとは思いながらも、仕草や言動からは礼儀正しさが伝わり人には言えぬ事情があるのだろうと感じ取り。そんな彼女にとっても憩いの場所を提供できたらと思いながら、扉を開け帰っていく後ろ姿に優しい眼差しと声を掛け。接客から戻ってきた妻に「あの子は…また来てくれるかな」と食器を拭きながら尋ねれば「大丈夫。きっと来てくれるわ。そんな予感がするの」と朗らかに微笑み返され。雨の日の出会いから日にちが経過し、その日はちょうど午後3時を回り、疎らに入ってきたケーキ目当てのお客の接客をしていて )
( /物価上昇で価格上げたくないけど上げざるを得ないって話してるお店も見かけたよ。
お店調べたらおしゃれ…。福岡にもあるみたいだね。
自分で作ればカロリーゼロって無理やり言い聞かせるしかないかな(笑)クレープなんて滅多に食べないもんね…言われてみると気にしたら何も食べられないか←
いいね…!ケーキ目当てに通いながら、たまに美奈子に話を聞いてもらいに行く感じかな。少しずつ地元の常連客とも仲良くなっていくのもいいよね。私のイメージでは、商店街の中にある地元の人行き着けの喫茶店って感じなので、気さくな常連客が多いかな。場面変えたから、今話した通りに進めていこう…!)
こんにちは…。
( あの日からどれくらいが経ったのだろう。相も変わらず義父との関係は良いとは言えず、大学の講義が終わっても家に帰る気にはなれず思い足取りで街を歩いていて。この通りは以前雨の日に傘を差してくれたあのおじさんと出会った道でもあり、その時に食べたケーキの味が忘れられず自然とお店の方に向かっていて。お店の前で軽く深呼吸をし、ドアノブに手をかけるとカラン、とあの時と同じように客が入ってきた事を知らせる鈴が鳴り。ゆっくりと足を進めては周りを見渡すと、数人の客が談笑しながらコーヒーとケーキを楽しんでいて。 そんな客達の姿をよそにカウンターへと向かい声をかけて )
( /こうも物価高だと買い物行くのも躊躇っちゃうよね。
え、そうなんだ。福岡かあ、ちょっと距離あるなあ。
あー、なんかホント食べたくなってきちゃったよ。甘い物の会話を始めた時から実はスーパーで焼き芋買ったり、ケーキとかシュークリームを買ってたのはここだけの話。←
そう、そんなイメージで合ってる!感覚的には第2のお母さん的ポジションだと有難いかな。悩みだったり、時に恋バナしたりなんかして盛り上がったりもしてみたい!常連客と仲良くなれるのっていいよね。そういう商店街行ってみたいかも。
場面転換ありがとう!)
…あら、いらっしゃい!カウンターへどうぞ。
( 秋史と空いた食器を片付けていると声がかかり顔を上げれば、以前話題にしていた彼女を確認し。再度の来店に嬉しくなり朗らかな笑みを見せ、彼女に座るように席を勧めながらカウンターへ入り。彼女の席にお冷やとおしぼりを置くと問いかけ )
今日のお勧めはアップルパイだけど、何にする?
( /そうだね。外食へのハードルが上がってきたよ…。
私も福岡はなー…あちこちにあるといいのにね。
なんだか飯テロになっててごめん← かくいう私も気付いたら甘いもの食べたくなってた(笑)肌荒れしてるから今は食べすぎないようにはしてるけど…疲れた時にコンビニ入ってスイーツ眺めてるなあ。
了解!美奈子はきっと遥ちゃんを可愛がるだろうし、恋バナもノリノリで聞くと思う。買い物したり、たまに食べに行ったりとかもして仲良くなっていくのが思い浮かぶなあ。秋史の影が薄くなるけど(笑)
いいよね!美奈子が亡くなった時、秋史は憔悴しきってしまうけど、常連客に励まされてお店を再開するって場面は既にイメージが出来てるんだ。
いえいえ…!)
じゃあ…そのオススメと紅茶で。
( 前に一度しか来ていないにも関わらず、自分の事を覚えてくれていたことに内心驚きながらも、問いかけられたことに対し悩むことなく注文をし。用意されたおしぼりで両手を拭いたあとお冷をひと口飲んで鞄からスマホを取り出し操作し始め )
( /だから最近はほぼ外食行かずに作り置きとか時短メニューのレシピ本を参考にしてご飯考えてる。
全国にあってほしいよね。ああいうのって大きい都市しかないのがツラい。
ううん、飯テロになってても問題ないよ!わ、肌荒れはキツいね…。少しは良くなってきた?コンビニスイーツはヤバいよね!見た目で欲しくなるし絶対美味しいもん!←
秋史さんはやっぱり異性だから遥は初めの頃は心開きにくいのかも。家庭環境があまり良くないからもう1人のお母さん的ポジションで何でも話せる仲になれたらなって思ってる。
その常連客の中に遥も混ざって励ませれたらいいな。)
わかった、ちょっと待ってて。
( お店を気に入ってくれたのか再会した彼女に頬を緩ませ、ゆっくりと頷き。皿洗いを済ませた秋史に紅茶を頼むと、アップルパイを冷蔵ショーケースから取り出し。皿にバニラアイスと一緒に添えると紅茶もちょうど出来上がりセットでそっと置いて )
お待たせ。
( /偉い…外食しないのって節約になるし、健康的だね。動画やSNSで料理見て作るのも好き。
わかるー!無茶なのはわかるけど、都心は気軽に行けないの辛いよね…。
おかげさまで肌荒れ治りました…!ありがとう。ちょっと忙しい時期だったから疲れが出たんじゃないかなと。
おいしいよね…!最近だとちいかわのまんまる焼き食べたけど、可愛くておいしくてほっこりしたよ。
秋史としても距離を測りかねてるところあるから、確かにそれが自然かも。お母さんには話せないことあるだろうし、第二のお母さんとして話せるのが楽しみだなぁ。
そうだね、ぜひお願いします…!美奈子が居なくなっても遥ちゃんの居場所であることは変わりないもんね。そこから少しずつ秋史と遥ちゃんの関係が少しずつ変化していくんだろうな…。)
…ありがとうございます。
( 何通か届いていたメッセージに返信をし終えたタイミングで丁度メニューが目の前に置かれると、スマホを伏せてテーブルに置き。美味しそうなアップルパイに自然と頬を緩ませ、早速フォークで一口分取ると口に運びその味を楽しみつつ紅茶も飲み )
このアップルパイ美味しい…。
あら、ほんと?ふふっ、よかったわ。
( 洗い物をしながらも彼女の反応を窺うようにちらりと視線を投げれば、そこには嬉しい言葉と表情が見え。それに対し感激した様子で両手を合わせ朗らかに笑いかけた後、「ああ、そうだわ」とふと思いついたのか声を上げ彼女へと提案を持ち出し軽く首を傾け )
ねぇ、今度から私の作ったケーキの相談に乗ってくれる?糖質控えめだったり、今時の流行りのスイーツが色々あったりするのはわかるんだけど…どういうのが求められているのかちょうど知りたかったの。…どうかしら?
…別にいいけど。なんで私?おじさんは相談に乗ってくれないの?
( 黙々とアップルパイを食べ進めていれば、予想もしていなかった彼女の提案に一瞬フォークを持っていた手が止まり、奥の方で仕事をしている彼女の旦那さんに視線を向けながら素朴な疑問を投げかけ )
だってふみくん、なんでも「美奈子の作るものはおいしいよ」とか「これは人気間違いなしだよ」って言って褒めてはくれるけど、意見くれないんだもの。流行には疎いし…ね、貴女となら私気が合いそうだし、気が向いたらで構わないからお願いできない?
( 秋史の方に自分も視線を向け、子供のように頬を膨らませて拗ねて答え。もはや惚気にも聞こえるが困っていたのは本当なのか、両手を合わせて彼女に頼み込み。一方、会話が聞こえたのか秋史は「ええっ、また僕は美奈子を怒らせたのかい?」と少し慌てた様子で動揺し )
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