再装填　〆

…なんだ。俺はお前らと行動する気は無い
（その場を立ち去ろうとすると背後から聞こえてくる声。気にせず去ることも出来たが何故か足が止まってしまい仕方なく振り返り。その主はここにいる連中の中でも特段特色のない平凡中の平凡と感じた男でその事に余計不機嫌そうに返事をし。愚民のように群れる気はないと突き放すように言葉返し）

もしかして一人で探索するの？その、なにがあるかわからないし複数人でいた方がいいんじゃ…
(見て分かるほどの不機嫌な態度に少し気圧されそうになるが、それよりも恐ろしい状況に巻き込まれているのだと思い直し。周囲が満場一致で探索に傾いていることもあり彼の目的も恐らくは探索と推察すれば、まだ皆と話している大和田を気にして横目で見つつもあからさまに馴れ合いを拒絶する物言いの彼に食い下がり)

ああ、誰がいつ殺しにかかっても可笑しくない状況で他人と一緒に行動しろと言うのか？
（異常な状況で重要なのは現状把握だ。その為にも探索という選択肢は妥当だが何を考えてるのか分からない者と行動する気にはなれず簡素に相槌を打ち。引き下がる様子のない彼に眉を寄せれば他者を信じる気が無さそうな態度で高圧的に問い掛け）

でも一人でいるのだって危険じゃないかな。みんなで…とは言わないけど、誰かと一緒の方がいいと思う。
(彼の考えも分からないでもない、そのため単独行動には異を唱えつつもある程度のまとまりで行動した方がいいと、彼の態度に怖気付くこともなく提案し。そう返したとほぼ同時に、石丸や桑田らが全員で探索しようと俄に意気込み始めて。そして桑田が自分たちにも振り向けば、こちらの会話は聞いていなかったのか聞く気が無かったのか定かではないが『 で、お前らもそんでいいだろ？ 』と言い放ち)

…ならば俺はコイツと行動する。それで文句は無いだろう？
（怖気付くことなく誰かと行動しろ提案する彼は大した才能も無さそうな面をしているが一歩も引く気配は無い。このままずっと平行線では調べられる物も調べられないと小さく舌打ちをし。だからといって他大勢とゾロゾロ行動するつもりはなく妥協案として彼と共に行動すると勝手に決め、手分けして探索しようと話していた奴らにもその意思を告げ。2人ならば単独行動と言われる筋合いはないと石丸らを一瞥すれば「行くぞ」と声掛け返事を聞かないまま今度こそ体育館を後にし）

えっボク！？あ、待ってよ！…ゴメンみんな、また後で！
(てっきり石丸や桑田らに彼は反発するだろうと思っていたが、その予想は外れて同行者に自身を指名されれば驚愕を見せる。一瞬呆けたが、有無を言わせぬその足取りを慌てて追い掛けようとし。足を踏み出す前に残るメンバーに一言断りを入れれば、今度こそ後を彼の背を追って体育館から出て。選択理由などたまたま近くにいた相手だからだとかそんな些細ものだろうとは考えながらも、彼より一歩後ろを歩きつつ声音に戸惑いを滲ませながら問い掛けて)
十神クン、ボクを連れてきてよかったの？

誰かと行動しろと言ったのはお前らだろう。あの訳の分からない連中の誰かと組まされるなら襲われても一番無害そうなお前を選んだまでだ。
（二人ペアと認められたのか体育館からは更なる声が投げかけられることなく廊下に出てきた。後ろから彼が付いてくるのも気にせず歩みを進めるが問い掛けに単独行動を阻止された苛立ちを滲ませながらも鋭く返し。話しかけてきて丁度近くにいたというのもあるが、あの14人の中で一番無害そうで邪魔にならないという判断故で彼の様子を一瞥しながら答え）

確かに大和田クンや大神さんどころか、ボクが勝てるような人なんていないと思うけどさ。…それでどうしよっか。建物の構造や教室、気になるところは多いけど。
(暴走族に格闘家と物理的な手段に秀でた人達と比べれば、いやそれ以外の生徒と比較しても勝てるかは怪しいところで。彼の言うとおり、才能持ちの彼らの中では一番対処が容易であると見られても仕方がないことだ。男として、肩を少し落としてしまう程度には少々物悲しい気持ちもなくはないが、今はそんなことを気にしている場合ではない。彼の態度にも多少慣れてきたこともあってかすぐに切り替えれば、廊下にちらほらと点在している教室のプレートを見上げながら彼の意向を聞いてみて)

まず探すべきは犯人の手がかりと脱出する為の糸口だ。…最もここまで手の込んだ犯行だ、そう易々と見つかるとは思えんがな
（自分の立場が分かっている辺り他の愚民共よりは話は分かるのだろうが、彼自身が襲われる可能性を考慮していない辺り危機感が不足している。大した脅威にならないと改めて判断すれば探索の方針を打ち出し。身代金目当ての誘拐でも単なる愉快犯とも違う用意周到さを感じれば自論を並べつつも一番近くにある教室の中に入り。一般的な教室のような椅子や机がある中で一際異質感を放つ塞がれた窓に近づいていき）

ここの窓も塞がれてる…。なんて言うかさ、ものすごく大胆だよね。十神クンや舞園さんみたいな有名人まで居なくなったら、外ですぐ騒ぎになるなんてわかりきってるのに…。
(彼の方針に頷きながら後に続いて入った教室は、鉄板を含めても最初に目覚めた教室とそう変わらないように見えた。彼に倣って窓へと近づけばそこに手を置いてみるも、やはり硬質な冷たさしか伝わってこない。手を掛けて引いてみてもビクともせず、特殊な工具でも無ければ到底外すことはできなさそうなその窓から一度離れ。コストや諸々の面も含めて彼の言葉通り手が込んでいると考えれば、手近な机の引き出しを一つずつ覗きながらもここまでの展開を経て凡人なりに抱いた月並みな感想を口にして。)

どこの窓も内側から塞がれているようだな。ああ、希望ヶ峰学園を乗っ取り15人を長期的に監禁出来る見込みがあるのは単独犯では有り得ん。少なくとも大きな目的を持つ組織的な犯行であるのは間違いないだろうな
（窓は脱出させない為か厳重に鉄版のような物で内側から塞がれている。これまで通った廊下や体育館も同様だったことから単純に窓や扉から逃げるのは不可能だろう。それに入学前に確認した希望ヶ峰学園の校舎内の間取りとも部屋の配置は一致している。凡人の彼でも浮かぶ感想に同意すると教室内に設置された監視カメラやモニターに目を向け。ここまで大胆で大掛かりな犯行出来るのは相当な恨みなど強い動機があり尚且つ財力と人脈作りを持った組織ではないかと考えつつも教室ぐるりとみて回り）

やっぱりそうだよね…。まだわからないことばかりだけど確かなのは、コロシアイなんて馬鹿げてるし間違ってる。卒業なんて言葉に惑わされちゃダメだ。
(彼の言う通り組織的な犯行と見るのが妥当だろう、こんな大掛かりなことをやってのけているのだから単独犯だとは考えにくい。がらんとした薄闇が広がるだけで結局収穫のなかった机の引き出しに溜息をつきつつも彼の言に神妙に頷き。まだ一つの教室を見ただけとはいえ有効的な手段が見つからない状況に気が遠くなりつつも、情報が無い中で唯一自信を持って言える言葉をまるで自身にも言い聞かせるように拳を固く握り締めながら呟いて。理路整然からはかけ離れた、されど常識的な感性が含まれるその感情論をどうにも口に出さずにはいられず)

…綺麗事だな。このまま脱出への足がかりが無かった場合、お前はここで大人しく捕われたまま野垂れ死ぬつもりか？
（結局この教室に手がかりは無かった。また別の場所の様子を探りに行こうとした所で彼の方から真っ直ぐな意志を持った声が聞こえてそちらに目を向け。正にその他大勢が言いそうなセリフだ。このまま犯人の手のひらの上で踊るつもりはないが、ただ逃げるように生き延びるのは十神の名が廃るのと同然だ。彼の感情論を綺麗事だと吐き捨て、このまま現状維持を選ぶ愚かさを問い掛け）

なにも見つからなくたってそれでも足掻くよ。具体的にどうやってって聞かれると少し困るけど、でも諦めなきゃ絶対に道は拓けるはずなんだ。ボクはコロシアイも停滞も選びたくない。──あ、ごめん。探索の腰を折っちゃったね……。
(ただ口で宣うだけで終わってしまうのならば所詮は理想論に過ぎない。もしも具体的にどう足掻くのか挙げてみろと聞かれたら答えに詰まってしまうのだから、彼の反応も致し方ないことだろう。考えるよりも先に言葉が口を次いで出たことに、そして胸中にざわざわと巣食う焦燥に自分自身でも困惑している。隠し事は得意では無いので上手く消化しきれない感情に耐えるように眉根を寄せながら、半ば決意表明染みたそれを口から絞り出して。彼ならこの発言も下らない根性論だとバッサリ斬り捨てそうだなと思ったが、如何せん後の祭りだろう。なんにせよ足を止めさせたことに謝罪しつつ、別所へ赴こうとしているのであろう彼の方へと歩み寄って)

愚民は鳴き声だけは立派な物だ。…せいぜい俺の邪魔にならない所で足掻くことだな。次は寄宿舎に行くぞ
（大した計画性も実力も無いくせに喚く中身が大きい奴を幾度も見てきた。そういう奴は大抵成し遂げられずにヘラヘラ笑って消えていく。彼も同じ類の人間だろうと馬鹿にしたように呟くがその表情は焦燥に駆られそれでもやり遂げると覚悟を決めた物で次の言葉が一旦止まる。いつの日かこの目と同じような顔を見たような気がすれば、さらに追撃する気も削がれ否定も肯定もしないような言葉に留まり。謝罪を聞き流すとモノクマの話を聞くなら生活を送ることになる寄宿舎を目的地として教室を後にして）

ありがとう十神クン。……体育館の傍にもシャッターの奥に階段があったけど、封鎖されている場所が結構多いね。わざわざ閉じられてるあたりかなり怪しいけど、なんとか入れないのかな。
(容赦ない口撃が飛んでくることだろうと予想していたが、そこに含まれる棘は存外少なくて。ペアの破棄など造作もないだろうに、辛辣な言動こそ見せつつも行動を共にしてくれることへの礼を謝罪と同様に聞き流されること前提で述べれば共に教室を出て。やがて寄宿舎エリアへと足を踏み入れれば、まず目に入った食堂やランドリー、各個室といった生活感が漂う区画をなんとも言えない微妙な面持ちで見つめ。そこから間を置かずにぐるりと見渡せば、封鎖箇所がいくつか見受けられることに気が付き。それを指摘すると共に、体育館を出た時に少し気になっていたシャッター奥の階段についても思い出したように触れて)

どうやら本当に共同生活をさせるつもりらしい。ああ、これ見よがしにだ。 何か『条件』をクリアしたら開いたりしてな？
（いちいち謝罪をしたり礼をしたり忙しい奴だ。どうやら体育館の奴らも行動を開始したらしく廊下に何人かのペアで探索しているのが見えたがスルーして寄宿舎エリアへと向かった。電子生徒手帳にもある通り食堂やランドリーなど生活する上で最低限必要な物はあるようでただ生きるだけなら支障は無さそうだと不機嫌気味に呟き。相手の指摘通りこれまでの廊下やこのエリアでもあからさまに封鎖されている箇所が見受けられる。壁を作るなどせずあからさまに封鎖していることを強調するような見た目は恐らくわざとだ。犯人がこんなことをする理由について考えればわかり易く1つの解が浮かび、わざとらしく『条件』と濁しながら考え告げ）

それは、誰かを手に掛けろってこと？そんなことは絶対に──そうだ、なにか道具でもあればこじ開けられるかもしれない。わざわざモノクマの意図に乗らなくたってきっと攻略法はあるはずだよ。
(明言こそされないまでもわかりやすく仄めかされたその『条件』にすぐに思い至れば、僅かに眉を寄せて不快感を露わにして。彼に向けたものではないが声音にもあからさまな憤りが滲み。そのまま絶対にしない、と言葉を続けようとしたところで微かな希望的観測が芽生えれば、ぎこちない笑顔とともに努めて語調を和らげ。校則には調査のための行動に制限は課されないとあった。それはつまり、あくまで調査目的ならば正攻法で突破せずとも罰則は齎されないということだろう。非力な自分には厳しくとも道具を用いれば大神あたりは可能かもしれない。それを思い出せば物騒な考えを振り払うように鼓舞し)

お前にやれとは言ってないだろう。…道具なら、そこの倉庫にでもあるかもしれないな。
（どうやら意図は通じたようだがその顔は不愉快とばかりに眉が寄せられる。そもそも先程の発言からも彼が人を手にかけられるとは思えず、誰か他のやつから卒業した者が出たらという意味合いだ。あからさまな敵意も平然とした顔で受け流せば何か妙案を思いついたとばかりの彼の発言に耳だけは傾ける。世界でも有数の才能の持ち主を育てるこの学園の施設がそう易々と壊される可能性など殆ど無いだろうと思うのが普通だろう。だが、校則の範囲やそれを見た犯人の行動をみるのも悪くないかもしれんと此方を覗く監視カメラ見ながら考え。電子生徒手帳にあったマップ思い出せば倉庫に繋がる細い通路に目をつけつつ助言して）

ボクじゃなくたって誰かがするのも嫌だよ。確かに倉庫ならなにかあるかも。……って、鍵が掛かってるみたいだ。
(彼は一言もお前が手に掛けろとは言っていない。しかし自分でなくとも誰かが手を汚してしまうこと自体が嫌悪を生じさせる。とはいえそういった仮定を厭うばかりではなく敢えて展開を見据えた上で防いでいくことも大切であると思い直しつつ彼の助言で倉庫の存在を認識し、早速と言わんばかりに通路へと足を進め。その奥にもシャッターで閉じられた階段があることを確認しつつ倉庫の前へと来るも、そこを覆う黄色のバリケードテープがあからさまに入室を拒んでいる。試しに扉を開けようとしたがガチャガチャと詰まった音が鳴るのみで開く気配は皆無ときた。黒幕とはそういうものなのだろうが、行き来できる一階部分ですら満足に探索できない不条理を押し付けてくる状況に歯噛みして)