匿名 2022-07-20 22:19:23 |
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…それがお望みとあらばそう致しますが。───…失礼します。( 愉しげに口角持ち上げた彼の表情より先程の対応の不備のなさが確認出来れば再び小生意気ながらも従順な発言で返し、顎から手が離れ自然と再び顔は下方へ下がり伏し目がちに戻り。軽い解錠音を立て漸く外れた手錠が擦れていた手首には薄ら赤い擦り傷が走り、そっと指這わせ活動に問題ない程度に動くことを確認し。促され上げた視線の先に扉の開いた馬車を捉えれば一言の前置きの後臆すことなく足を踏み出し、気品さえ垣間見える程悠然とした仕草で馬車に乗り込んで。座席に座り込み揃えた膝の上に両手を重ねて置けば、伸びた背筋に気高さと、伏せた眼差しに淑やかさを携え大人しく座して待ち。)
………。なあ、お前は自分を僕の所有物だと理解しているだろう。視線を下げるな、その行為は僕への冒涜に値するぞ。…お前は奴隷でも愛玩されるだけの詰まらないモノでもないんだから、堂々としていなさい。…ふん、何なら僕以外は蔑んで構わないくらいだよ。(小生意気な発言に軽く肩をすくめ、やれやれといった様子で軽く笑いを溢すと逃げる素振りも見せず馬車に乗り込む姿を見届けては向かい側に座り込み。俯き視線の合わない彼女からは気品さを感じ、座っているだけで絵になるような姿ではあるものの俯くという姿をあまり良く思わない所為か、彼女を見つめて溜息。客が乗り込んだことを確認した馭者が扉を閉め、軽く揺れて無事出発を果たせば本日何度目かの溜息を漏らした後、静かに彼女を叱るよう低い声で態度を指摘して。腕を組み、強い眼差しで恐らく交わるであろう視線を待つと先ほどよりは柔らかな声音で冗談のような一抹の良心を付け加え。)
…失礼致しました、決してそのような意図はなく。勿体なきお言葉にございますが、ご厚意に甘えてさせていただきます。…確かに、貴方様に獲物を横取りされたお方は滑稽な姿を晒しておられました。
( 向かいに座る気配と動き出した馬車の振動にも動じず、背もたれに背を付けていないにも関わらず優れた体幹で姿勢を維持すれば前方から低く響く叱咤の声。あくまで慎みと従属を示す為に下ろしていた視線だったがそんな私的な言い訳など口にする筈もなく、素直に謝罪述べると同時に深く頭を下げ。再び姿勢を元に戻す頃には視線は相手の瞳と絡み、その強い眼差しと隠れた優しさに内心息を付いて。付け足された他者を蔑む言動には相手の内面を見たようで二度瞬きを繰り返せば、まさに奴隷として愛玩しようとしていたであろう先程の男の存在を思い出し、僅かに目尻を下げ口角緩く持ち上げ表情を緩ませながらその軽口に乗っかって。)
( 多忙や相性の不一致など打ち切りの理由は多岐に渡ると思われますが、折角繋がった縁を確認もなしに諦めてしまうのは勿体ないと感じた為、上げさせて頂きます*
あわよくば仁科様の魅力溢れる台詞と語彙堪能な描写回しを再見出来ることを祈って。 )
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