鬼の哭く夜（〆)

……ッ…しまった寝てた…
（数十分後、何か悪い夢を見たように衝動的に起きると相手がいるのに気付き「ごめん、眠ってしまったよ…」と言ってから少し伸びをして）

…お疲れだったのでしょう？構いませんよ。
（ルカが目を覚ましたのを見ると軽く会釈をし、空になった湯呑を置くと「兄上も母上も入ってしまいましたし、ルカ殿も風呂に入られますか？」と静かに声を掛け）

そうする…あ、着替えって持ってきてなかったんだけど…この服じゃ堅苦しいかな
（目を擦りながらそう呟くと立ち上がり「お風呂場ってどこ？」と尋ねて）

廊下の奥ですよ。…ご案内しましょうか。
(奥を指差すがややあって立ち上がり、浴衣姿で先を歩くようにして「…こちらですよ。」と声を掛け)

ありがとう、澪のそれって着物？
（笑顔を見せながら着いていくと相手の服装が気になって尋ねてみて）

浴衣ですよ。…着られますか？
(自分の浴衣の襟元を引き、首を傾げながら問うと「…脱衣所に置いていますから、よければ着てください。……着方はご存知ですか？」と思い出したように付け加え)

それが浴衣か、着てみたいけど着方は知らないかな
（相手の言葉に嬉しそうにそう言ってから首を振り、知らないと言って）

…でしたらお教えしますよ。
（微かに微笑みながらそう言うと「…先に風呂に入ってください。着替えるときにお教えしますよ。」と付け加えてルカを風呂へと促して）

ありがとう、じゃあ上がったら呼ぶよ
（促されて頷き、お風呂に入る準備をして）

…畏まりました。
（ひとつ頷くと浅木は久しぶりの自室へと戻る。手近な本棚から本を取り出して読み込んでおり)

お待たせ、羽織ったんだけど…やっぱりわからなかった
（お風呂が終わり、一応羽織ったものの分からず前が少しはだけた状態で相手の方へ行き）

…矢張り。呼んでくださればよかったのに。
（苦笑を浮かべつつルカの方に近づいていくと浴衣を直し、「…浴衣はこう着るのですよ。」と自分の浴衣を見せて）

いや…人様の家で大声で呼ぶのもどうかなと思って
（少し照れたような苦笑いをしながら直された浴衣姿を嬉しそうにし「ありがとう、一度でいいからこう言うの着たかったんだよね。似合ってる？ちなみに澪はとても素敵だよ」と言って）

ええ、よくお似合いですよ。
（薄い笑みを浮かべたまま答え、持っていた本を置くと「確か…使っていない客人用の部屋が一つありましたね。それか私の部屋になら布団が一組余っていたように思いますから…泊まる部屋は、どちらが。」と問うて）

ふふ、ありがとう。じゃあ折角だし澪の部屋にお邪魔しようかな
（相手の問いにそう答え「ほら、客人用の部屋を今から片付けるのも大変だし…わたし個人としてだけど澪の寝顔もう一回見たいから」と言って）

…そうですか。では布団を出しますね。
（ごく小さく頷くと押し入れから菊柄の布団を出し、床に敷き始めて)

何か手伝うよ？
（相手が布団を敷いているのを見てそう言い、菊柄を見るとその綺麗さに少し笑みを零し）

…いえ、慣れていますので。
（首を横に振り、布団を敷き終わると自身はまた本を読み始め）

ありがとう、布団もいいね
（本を読む相手を邪魔するのは気がひける為布団に横になり、落ち着きなさげに左右へ寝返りをうって）

…矢張り、落ち着きませんか？
（本を伏せ、苦笑しつつルカの方を見ると首を傾げて）

落ち着かないけど、これは嬉しくて落ち着かないかな
（苦笑され、少し照れたように頬を赤くして答えると「見苦しいところを見せてごめんね」と言って）

……いえ。構いませんよ。
（本を閉じ、本棚に仕舞うと浅木は自分の布団を敷き、同じように布団に潜り込み)

本読んでてもよかったのに
（布団に潜り込む相手にそう告げながらも嬉しそうな笑顔を見せ、隣にいる相手をじっと見つめて）

…いえ、朝が早いもので。
（首を横に振ると薄く笑い、しばらくすると静かに瞳を伏せて眠り始め)

……おやすみ
（そう呟いてから静かに眠る相手の頬に口付けを落とし何事も無いように眠りにつき）

………
（しばらくは寝ていたが、やがて朝方に目を覚ますと屋敷の庭に降り、剣の素振りをしていて)

おはよ…朝早いね
（朝の光で目を覚まし、横に相手がいないと思い少し浴衣がはだけたまま庭に出ると相手にそう言って）

……そうでしょうか。幼い頃よりの習慣ですから、何とも…
（剣の素振りを一旦止めた浅木は首を傾げつつ答え、「ルカ殿は朝から鍛錬などなされないので？」と問い返して)

わたしは剣より銃だから、しないかな…銃の鍛錬を日本でする訳にもいかないし。だから弱いんだけど
（素振りをやめた相手の問いにそう答え「わたしは参謀とかの方が向いてるから戦闘は基礎しかできないかな」と言って）

銃、ですか。同理で…
（合点が行ったように首を傾げ、穏やかに微笑むと「…私は旧世代の人間ですから、剣しか出来ないのです。」と呟いて)

本音を言えば剣の方がわたしかっこいいと思うけどね、だから独学でやりはするけど、澪みたいにカッコよくないんだよね
（旧世代と相手はいうが、相手の剣裁きは美しく、強いためその言葉を否定するようにそう告げると「銃は音うるさいし」と笑っていって）

……銃も、良いと思いますよ。
（静かな声のまま答え、「…美しくもありませんよ。所詮は剣術など人殺しの為の術です。」と薄く微笑んで)

ふふ、銃もだけどね
（薄く微笑む相手に近寄り、頬を摘むと「澪は自分を卑下しすぎ、卑下しないで？」と言って微笑み）

…卑下、しているでしょうか。
（頬を摘ままれたまま首を傾げ、「…自分では分からないのですが。」と呟いて）

わたしからすればね。わたしがかっこいい、綺麗って言ってるんだし素直にありがとうで良いんだよ
（そう言った後「偉そうに言ってるけど、わたしも分からないけど」と言って笑って）

…畏まりました。
（首を縦に振ると剣を腰の鞘に納め、「朝食にしましょうか。」と空を見上げてそれとなく呟き）

お腹空いたから賛成
（少し伸びをしながら朝食を食べるために相手について行って）

…和食は慣れないかもしれませんが。
（食卓には既に母親と兄が腰掛けており、二人ともが手を振っており）

和食！食べてみたかったんです…が、あまりお箸は使えないので見苦しいかもしれませんが…
（手を振ってる二人に微笑みを返しながら座布団の上に正座してそう言うもののお箸の持ち方はちゃんとしており「いただきます」と言ってゆっくり慎重に食べ）

「あら、お上手ね。」
（浅木の母親は感心したようにルカの箸遣いを眺めており、兄も「外人さんにしては上手ですねえ。」と感嘆していて）

遠征にあたり一応しておけと言われて…あ
（２人の言葉に少し笑顔を見せ説明した瞬間に気を抜いたのかおかずがお箸からお皿に落ち「…まだこんな感じです、お恥ずかしい」と言って苦笑して）

……お上手ですよ。
（黙って朝食を食べていたが、ややあって口を開き)

…ありがとう、もっと練習するけどね
（相手の言葉に少し間があり、嬉しそうに笑顔を見せながら朝食を食べ終え「ごちそうさまでした」と言って）

…御馳走様。
(ルカが食べ終わってしばらくしてから箸を置き、自身も立ち上がって食器を運び)

わたしも持っていくね
（そう言って相手の後ろについて行って食器を運んで）

…食器は洗いますよ。
（流しに食器を置くとルカの持ってきた食器を受け取ろうとし)

ありがとう、何か手伝うよ？
（食器を渡しながら手伝うと言って少し首を傾げて）

…では、この茶碗を洗っていただけますか。
（遠慮がちではあったがルカの方に茶碗を差し出して）

了解
（差し出された茶碗を慣れた手つきで洗い「出来たよ」と言って）

…有り難うございます。
(軽く頭を下げて茶碗を受け取り、残りの食器を全て洗ってしまうと「…昼には総司令部に戻らなくてはなりません。」誰に言うでもなく呟いて)

残念、優しい方々だからもっと居たかったな
（相手の言葉に残念そうな表情を浮かべながら「じゃあこの後帰ろっか」と言って）

……そうですね。母や兄に言っておかないと。
(手を布巾で拭きながら答え、台所から母や兄のいる応接間へと戻り)

わたしもお礼を言わないと
（自分の手を拭き終えて一緒に応接間に戻って）

…昼には軍に戻らないとならないのです。
（浅木の言葉を聞いた母親や兄は惜しむようではあったが、仕方ないと納得した様子を見せ）

短い時間でしたがとても素敵な澪の家族と過ごせて楽しかったです
（笑顔でそう言い、相手の方を見て「偶には帰るんだよ？」と耳元で話して）

……そうしたいのは山々ですが。
(困ったように眉尻を下げ、ルカの言葉に答えて)

思うに、いつ死んでも可笑しくない仕事ではあるんだ、休みはもらえるならもらって、会いに行った方がいい。澪はこんなに歓迎されて愛されてるんだから
（困ったような相手にそう告げながら「まぁ、個人の自由だけど」と付け足して）

…そうですね。偶には、帰りましょうか。
（ふ、と穏やかな笑みを浮かべて頷いて）

いい子、ってことです。もし澪が帰ってこなかったらわたしが国に帰っても駆けつけて連れて来ますね
（相手の頭をくしゃくしゃと撫でると、相手の家族にそう言って笑って。不可能なことを敢えて言って）

…御心配なさらずとも、一度口にしたことは守りますよ。
（瞳を伏せると微かに笑い、「…それでは」と家族に一礼をすると屋敷の外に出て）

澪の笑顔をよくみれるようになって嬉しいな
（屋敷の外に出ると、馬を撫でながらそう言って）

…そうでしょうか？
（どうやら自分では自覚がないらしく、首を傾げて）

うん、とても
澪はありのままで素敵だけど笑顔ももっと好きだよ
（自覚のない相手にそう言って笑顔を見せて自然と褒めて）

…有り難う御座います。
(軍帽を目深に被って答え、馬に跨って)

どういたしまして、さぁ帰ろうか
（同じように馬を跨って）

……ただいま、戻りました。
(総司令部に戻ると上官に礼をしてルカを部屋へ送り届け)

送ってくれてありがとう、少しは息抜きできた？
（送り届けてもらい、お礼を言ってから少し首を傾げながら尋ねて）

…ええ。気を抜けました。
（薄く微笑んだまま答え、軍帽を深く被ってそのまま自室へと戻って）

…ま、これくらいは良いよね。けどどうせそのうち国に帰るんだし、あんまり踏み込みすぎたのは不味かったかな
（部屋に戻った相手を見てから少し困ったように笑うとそう呟いて報告書を書いて）

………
(何故か横になったまま、ぼんやりとした表情でひたすら天井を眺めていて)

そっか、ありがとう...澪いる？
（何もすることがなく、暇だな...と思い相手の部屋を尋ねると教えられ、その部屋に行くとノックして）

…はい。
（ノックの音に答え、扉を微かに開いて顔を覗かせ）

やぁ、今日のお礼によかったらどうぞ
（そう言ってカステラを持ってきて。二人分だが相手も疲れているだろうと思って自分の分もあるとは言わずに相手に渡して）

…有難う御座います。
（頭を下げてカステラを受け取ると「…良ければ茶を飲んでいかれますか。」と控え目に提案して）

いいの？是非！澪と過ごす時間好きだから嬉しいよ
（嬉しそうに笑顔を見せるとそう言って部屋に招かれて）

いえ…構いませんよ。どうぞ。
（ルカの楽しそうな笑顔を見ると微かに表情を綻ばせ、湯呑に入った茶を持って来て）

あと数日で帰ることになったんだ、さっき連絡が来た
（お茶を受け取ってから少し考えてから相手にだけ先に教えて寂しげな顔をして）

…そう、ですか。
（一瞬口籠った後、何か言いたげな様子を見せたがすぐにいつもの表情に戻って）

だからその前に言いたいことがあるんだけど言っていい？
（相手の表情を見ながらお茶を飲むとそう呟いて）

…はい、何でしょうか。
（どこか不思議そうに見える表情でルカの言葉に首を傾げていて）

……実はわたし、澪のこと恋愛的に好きなんだ。それだけ帰る前には言おうと思って
（笑顔を見せながらも、どこか諦めたように「返事はいらないよ。気持ち悪かったら、明日からわたしの案内とか別の人に変えていいし」と言って悲しげに微笑んで）

…それ、は…
（驚いたように目を見開いていたが、すぐに首を横に振ると「…私も…です。」と微かに呟いて）

.....？え？
（きょとん、としたように数回瞬きをすると理解をしたのか顔が赤くなりながら「え、本当に....？」と言って）

…嘘は言いませんよ。
（顔を背けたままではあったが、薄っすらと耳を赤くしていて）

.....あ...そうなんだ、いつから？
（顔を赤くしているため口元を手で隠しながら尋ねてみて）

…家族の話をした時から、ですかね。
（軍帽を目深に被り、顔を完全に隠すようにしながら小声で答え）

そうなんだ....ちなみに、理由聞いていい？正直、信じられなくて
（小声の相手にもう少し質問をしてみて）

…初めてお目に掛った時から…美しい、方…だと。それに、母のことを本当に気に掛けてくださった、ので。
（時々言葉を詰まらせながらも答え、軍帽を被ったままではあったが顔をルカの方に向け）

っ.....そうなんだ、ありがとう....
（普段ならすらすらと言葉が出るが嬉しさと気恥ずかしさでめずらしく黙ってしまって）

…本当に、私でよろしいのですか。
（確認を取るように一層小さく呟き、「…こんな、剣しか取り柄の無い…面白味の無い男で。貴方ならば、もっと美しい方でも…」と呟き）

剣だけなんかじゃないよ、優しいし、澪の笑顔わたし好きだし…出来ることならずっと側にいたいくらい
（相手の言葉に全力で首を振ってから手を握り「澪がいいから、そんなこと言わないで」と優しい笑顔で言って）

…世辞、ですか。
（浅木はどこか肯定してほしそうな響きを持つ言葉を漏らすが、行動はそれとは裏腹にルカの手を握り返しており）

お世辞じゃないよ、自分で言うのもなんだけどあまり嘘は下手だし
（相手の言葉に思いきり首を振って、笑顔を見せながら「それとも信用ならない？」と首を傾げて）

……いえ。
(浅木は首を横に振り、「……とても、嬉しい…です。」と微笑んで)

ふふ、それなら言ってよかった。降られると思ったから、帰る前に言ったけど心残りが出来るね
（困ったように呟くものの、嬉しそうに相手を抱きしめて）

…ルカ、殿。不躾なお願いですが…
(浅木は言い淀むように軍帽の鍔に手を掛けながら、もう片方の手で自身の唇に触れて)

おや、もちろんいいよ
（相手の仕草で気付いて、自分から口付けをすると離れて顔を赤らめて）

……有り難う、御座います。
(顔を伏せ気味に頭を下げ、浅木は顔を赤く染めながら「………離れたく、ありません」と小さく欲を溢し)

わたしもだよ…じゃあもう少しお邪魔しようかな
（相手の言葉につられて赤くなりながら、もう少し部屋にいると言って）

……はい。
(浅木は口元に微かな笑みを浮かべ、恐る恐るといった様子でルカの背に手を回して)

ハグかい？
（背に手を回されて少し微笑みながら同じようにハグを返して）

……
(浅木は黙り込んだまま頷き)

澪は可愛いね、好きなだけ澪に我儘なら聞いてあげれるよ
（嬉しそうに相手を抱きしめながらそう言って）

…そのような、はしたない真似は…
（途端に浅木は赤い顔のままルカの手から逃れようとし）

……？別に我儘ははしたなくないよ
（少し首を傾げ、抱きしめたまま首を傾げて）

……このまま、だと…
(口籠るように言葉を濁し、浅木はルカの唇に指先で触れ)

…？えっと、澪？
（キスしそうだと思ったものの、先ほど自分にしてほしいと言った相手からすると思わず少し戸惑って）

………本当に、離れたく…なくなってしまう。
(そう言うと浅木は顔を背け、手を降ろして)

……わたしも離れたくないよ。でも…お互い違う国だし、あ、わたしが黙ってここに住んじゃう？
（手を降ろした相手の手を取ったあと、少し冗談を言うが自身はそれでも構わないと思って。もしそうなら自分の国には変えられないが自分の家族は嫌いだし、自分の今の職は好きでもないため、相手がもし頷くならそうしようと思って尋ねて）

………それ、は…
(ルカからの提案に浅木は顔を上げ、一瞬迷うような仕草を見せた後「……ルカ殿が、宜しいのなら…」と呟き)

……じゃあ、澪はわたしを匿ってね？居るってバレたら君まで追い出されちゃうから。それと名前だけで呼んで？
（相手の呟きに答えながら名前だけで呼んでほしいとも言って）

……母の、家に。居れば宜しいのでは…
(浅木は躊躇うようにして「…母ならば、きっと…ルカ、を…匿ってくれますよ。」とおずおずと提案し)

いい提案だね、じゃあお邪魔しよう。もちろん家事は任せてくれ、澪のお母さんも看病するし
（相手の提案に頷き、「ありがとう、わたしが匿ってもらったら澪も会いに来てね？」と言って）

……ええ。
(浅木は微笑みながら頷き、「会いに…行きますよ。」と答えて)

……本当に好き同士なんだ、嬉しいな…ねぇ澪からキスしてよ
（会いに行くと言った相手に笑みを零しながら少し強請って）

……はい。
(小さく頷いて答えると、浅木は微かに震える手をルカの顔に添えながら唇を重ね)

……ありがとう、本当に好きだよ
（唇が離れると、自分の顔に添えられている手に触れて優しく微笑んで。「そろそろ、わたしの部屋に戻ろうかな、また明日ね」と言って）

…ええ。
（浅木はいつものように頷き、薄い微笑みを浮かべて）

おやすみ、愛してるよ
（さらりとそう言って自分の部屋に戻ると、夢見心地なのかベッドで中々寝付けなかったがしばらくして眠りについて）

…
（ルカの言葉に顔を赤らめながらも布団に潜り、しばらくすると静かな寝息を立て始め）

……んん
（朝になったものの、まだ眠くて二度寝してしまって）

…
（いつも通り起床し、中庭で剣の稽古に励んでおり）

....ねむ....あ
（やっと起きた頃に窓を見ると相手がいた為着替えて相手の元へ行って「おはよう」と言って）

…お早う御座います。
(ルカに気付くと一旦鍛錬を止めて頭を下げ)

おはよう、今日も鍛錬してたんだね
（笑顔を見せながら鍛錬を止めた相手を抱きしめて）

え、ええ…
(浅木はまだ慣れない様子でルカの抱擁を受け入れると、薄く微笑んでみせ)

？あ、日本じゃしないか…ごめんね
（相手の様子に少し首を傾げるとそう言ってから少し離れて）

…いえ…貴方がしてくれる事は全て、嬉しい…です。
(浅木は首を横に振ると軍刀を鞘に納め、ルカの背に自分から手を回し)

…澪からされると、ドキドキするな…
（相手から自分の背に手を回されて少し赤くなりながら呟いて）

……
(微笑んだまま一度強くルカを抱き締めると離れ、「……鍛錬の続きをしても？」と問いかけて)

…ダメって言ったらしない？……冗談だけど、いいよ
（本心かどうかは言わずにいいよと言うと少し離れた場所に置いてある椅子に座ろうとして）

……
(無言で剣を振り直し、しばらくの間鍛錬に集中していて)

……
（邪魔をしないように黙ってるが少しだけ不満げな表情で相手を眺めて）

…ふう。
(浅木は剣を振るのを止め、ルカの方に戻り)

……澪
（戻ってきた相手に急に立ち上がってぎゅっと抱きついて）

…どうかしました、か？
(抱き締められると驚いたように口籠り、おずおずとルカを抱き締め返し)

…わたしって意外に子供っぽいのかも
（それだけ呟き、自分が少し鍛錬中に構って欲しくなっていたことは言わずに顔を隠し「変なこと言ってごめんね」と言って）

…いえ。
(額に滲む汗を拭いつつ、子供をあやすようにルカの頭に手を置いて)

鍛錬してる澪がすごくかっこいいんだけど…構って、欲しいというか…
（頭に手を置かれて、すこい恥ずかしそうにゆっくり理由を言うと顔を赤くして呟いて）

……そう仰ってくださればいいのに。
(ぼそり、小さく呟くと微笑んで)

恥ずかしいじゃないか、それに鍛錬してる姿も好きだから余計に…
（少し困った顔をすると赤くなった顔を隠すように相手の肩に自分の顔を押し付けて）

……私は、素直な方が好きですよ。
(微笑んだままルカの頭に置いた手を動かし、頭を撫でて)

……好き…鍛錬も良いけどわたしにも構って
（素直な方が好きだと言われてそう言うと相手の目をを少し見て「…困る？」と聞いて）

…いいえ。
(浅木はゆっくりと首を横に振って)

……はぁ、恥ずかしい
（そう言うとまだ顔を赤らめたまま離れて）

……ふ。
(微かに声を上げて笑うとルカを見つめ)

……ふふ、澪のそうやって笑う顔は多分私だけが見れるのかもと思うと嬉しいよ
（相手が少し声を上げて笑うのを見ると自身も少し微笑んでから少し真剣な顔をして「ね、今日か明日にでもまた澪のお母さん方のところに行かない？…わたしのことも言わないといけないし」と言って）

…ええ。
(浅木はごく小さく頷いてみせ)

あー澪と毎日会えないの寂しいな…まぁ母国に戻って会えないよりはいいかな
（少しだけ寂しそうな目をしながらも、微笑んだままそう言って）

…心配せずとも、会いに行きますよ。
(微笑んだままルカの耳元に口を寄せ、「……今から向かいますか？遠出と言えば分からないでしょう。」と囁き)

……じゃあ行こうかな、あとあまり囁かないでね
（先ほどより赤くなりながら、その顔を見られたくないというように少し後ろに下がりながら頷いて）

……行きましょうか。
(馬小屋から馬を二匹連れ出し、一頭に跨って)

今日も美人さんだね、よろしく
（馬にそういうともう一頭に跨ってついて行って）

「あら、澪…お仕事はいいの？」
（屋敷に着くと、ちょうど中庭の散歩をしていたらしい浅木の母が顔を覗かせ）

おはよう…ございます、えっと…
（相手の母親を見ると前のようにすらすらと言葉が出ず、チラッと相手を見て）

…単刀直入に言います、母上。ルカ様をここで匿って下さい。
（浅木は覚悟を決めたように母親の顔を見ながらそう言い放つ。母親は一瞬驚いたようであったが、何かを察したのかすぐに頷くと「ええ。とりあえず中にどうぞ。」と二人を招き入れ）

すみません…
（招かれると、座敷で少し気まずそうに正座すると少し間を空けてから「わたしは、澪さんと…その、両思いでして」と告げて）

「まあ！そうなの、澪？」
(浅木の母は驚いた様子でこそあったものの、にこやかな笑みを浮かべると浅木に問う。浅木は恥ずかしげではあったもののこくりと頷き)

……ねぇ澪、やっぱりわたしがここに居させてもらうのは申し訳ないよ
（少し考えて、側にいたいし相手の家族も好きだから一緒にいても全く苦ではないが申し訳なくて相手に小声で言って）

……いえ。兄上だけでは母上の世話は疲れますし…どうか、此処に居て下さい。
(浅木は懇願するようにルカの服の裾を握り、浅木の母も「ええ、ええ。あの子だけに負担を掛ける訳には参りませんし…是非ここでゆっくりしてくださいな。」と優しい笑みをルカに向け)

……それなら、必ずお役に立ちます。不束者ですがよろしくお願いします、お母様
（二人の言葉を聞いて頷き、そういうと頭を下げて「ご迷惑をお掛けするかもしれませんが…」と付け足して）

「いいえ、迷惑なんてとんでもない。息子がもう一人増えたようで嬉しいですわ。」
(浅木の母は首を横に振り、ルカの手を華奢な手で握ると笑顔のままそう云う。浅木もそんな母の様子を見て柔らかな笑みを浮かべており)

…わたし、澪のお母様も好きです。本当にありがとうございます
（手を取られると少し微笑み、嬉しそうにいうと相手にも「澪、ありがとう」と言って）

…貴方が、愛おしいからですよ。
(慈しむような眼差しをルカに向け、浅木の母がちょうど「お茶を淹れて来ますね」と応接間を後にしたところで自身からルカの唇に自分の唇を重ね)

っ…わたしも好きだよ
（不意に相手から口付けをされて分かりやすく赤くなりながら「澪って中々大胆だね…」と少し恥ずかしげに笑って）

……貴方の所為、ですよ。
(浅木も顔を赤くしつつ唇を離すと顔をふいと背け)

え、わたし？
（相手の言葉に少し驚いたように首を傾げて）

…貴方が、恥ずかしげもなく愛を囁くから…です。
(顔を背けたままそう言った浅木は一層顔を赤くして)

え、そうかな…？
（自覚はなく、首を傾げて少し考えるものの矢張り分からず「控える方がいいのかな…？」と尋ねて）

…いえ、そんなことは。
(ルカの疑問には首を横に振り、ルカの背に手を回し)

……こんな風にわたし直ぐにスキンシップしてたっけ…確かに恥ずかしいかも
（背中に手を回した相手にそう告げて）

…今は嬉しいので、大丈夫ですよ。
(ルカを強く抱き締め、穏やかに微笑んで)

……もう一回キスして
（強く抱きしめられてそのまま抱きつきながら顔を隠しながら言って）

…はい。
（浅木は頷くと、顔を隠したままのルカの顔を持ち上げて唇を重ね）

ん……なんか、澪の実家でキスするって背徳感？がすごく…あるね
（唇を重ね、離れるとこれが澪のお母様に見られたら死んでしまいそうなほど恥ずかしいと思って小さく呟いて）

…大丈夫ですよ、
（浅木がそう言いかけたときに浅木の母親が戻ってきては「さあ、お茶でもどうぞ。」と微笑んで）

あ、ありがとうございます
（顔が少し赤いまま、お茶と言われて相手と少し離れると笑顔でお礼を言って）

「…澪、戻ってきてもいいのよ。」
（浅木の母親は心配そうな眼差しで浅木を見つめてそう言う。浅木は顔を伏せながら「…ええ。」と頷き）

……澪が戻ったら一緒だね
（澪の母親の心配そうな表情、澪の返事などを聞きながら自分が口出すことではないけど、戻ったら一緒なんだな…と考えていたのが少しだけ口から出て）

…ですが…軍を、辞める訳には参りません。
（浅木は申し訳なさそうに頭を下げ、母親の瞳を見返すと母親は「…そう、そうよね。澪は軍が大好きだものね。」と眉を下げて笑い）

……まぁ、帰る頻度は増えそうだけど、ね
（２人の会話に、少しフォローするようにそう言うと、笑顔を見せて尋ねるように首を傾げて）

…そう、ですね。
（ルカの言葉を聞くと薄く声を上げて笑い）

…わたしの国には、わたしが死んだと言う感じでいようかなって思ってるんだ
（澪の笑みを見てから、どうすれば捜索されないかと考えた結果を言うと、「どうかな」と尋ねて）

…分かりました。
（静かに瞳を伏せ、頷いてみせ）

ありがとう、澪みたいに素敵な人を家族に紹介できないのは残念だけど、紹介する価値のある家族ではないからいっか
（そう呟くと思い出したように「お母様、住んだ際は遠慮なくこき使ってくださいね」と言って微笑んで）

「まあ。本当に良い方ね、澪。」
(浅木の母親はそう言うと浅木に笑顔を向ける。浅木も「ええ。」と答えて)

いえいえ、当然のことです
（褒められてまんざらでもなさげな表情をしながらも首を振って）

「じゃあ…この方は預かっておくから早く帰りなさい、澪。」
（浅木の母親がそう告げると浅木も頷き、「…失礼します。」と言って玄関先に出て）

……私も一度戻ろうかな荷物とかもあるし…
（玄関先まで行くと、相手と別々になると思うと少し寂しく感じてわがままを言う様にそう言って）

…そう、ですね。
(ルカの言葉に優しく頷くと手を引いて)

離れても大丈夫だと思ったんだけど、こんなに離れ難いって思うんだね
（手を引かれて、少し小さく呟きながら恥ずかしそうに笑って）

…同じ気持ち、ですよ。
（浅木も小さい声ではあったがそう洩らし）

ふふ、ありがとう…じゃあ帰ろうか
（相手の声に嬉しくて抱きつきながら、少し恥ずかしそうに微笑んでから馬に乗って）

……はい。
(同じように馬に跨り、一旦総司令部へと戻って)

ね、明日わたしだけ町の視察って言って出掛けて…海に行ってそこでこの軍服だけ置いて、澪が知らない間にお亡くなりに…って感じでどう？そしたら 澪に責任は行かないよね
（総支部に戻ると、出来るだけ相手がここを止めないように済むシナリオを考えついて、それを言って。軍が好きだと相手の母親が言っていた上に居候する身なら出来るだけ負担は掛けずに…と思って）

……ええ。
(ルカの言葉を最後まで聞き、瞳を伏せて頷いて)

じゃあ、おやすみ…明日の早朝にはいないけど
（そう告げると、相手の額にキスを落としてから部屋に入って）

…おやすみなさい。
(柔らかく微笑み、自室に戻って)

（翌朝、日が登らない時間に少しの荷物を持って馬に跨り海へやって来て。「こんなことになるのは俺も予想外だったな…元々は…日本の偵察とかだったのに、いつの間にやら…」この国では誰も分からないであろう言葉を呟きながら人の気配がすると軍服を放り投げてから馬を走らせて。髪は隠すようにマントを羽織りながら、澪の家に着くとそっと扉をノックして）
……朝早くにすみません

「あら、いらっしゃい。」
(今日も体調がいいらしい浅木の母親が出てきてはルカを招き入れ）

朝早くからすみません、お邪魔します
（失礼のない様にと思いながら、招かれた家に素直に入り「顔色も少しいいですね…よかった」と言って）