鬼の哭く夜（〆)

…お疲れだったのでしょう？構いませんよ。
（ルカが目を覚ましたのを見ると軽く会釈をし、空になった湯呑を置くと「兄上も母上も入ってしまいましたし、ルカ殿も風呂に入られますか？」と静かに声を掛け）

そうする…あ、着替えって持ってきてなかったんだけど…この服じゃ堅苦しいかな
（目を擦りながらそう呟くと立ち上がり「お風呂場ってどこ？」と尋ねて）

廊下の奥ですよ。…ご案内しましょうか。
(奥を指差すがややあって立ち上がり、浴衣姿で先を歩くようにして「…こちらですよ。」と声を掛け)

ありがとう、澪のそれって着物？
（笑顔を見せながら着いていくと相手の服装が気になって尋ねてみて）

浴衣ですよ。…着られますか？
(自分の浴衣の襟元を引き、首を傾げながら問うと「…脱衣所に置いていますから、よければ着てください。……着方はご存知ですか？」と思い出したように付け加え)

それが浴衣か、着てみたいけど着方は知らないかな
（相手の言葉に嬉しそうにそう言ってから首を振り、知らないと言って）

…でしたらお教えしますよ。
（微かに微笑みながらそう言うと「…先に風呂に入ってください。着替えるときにお教えしますよ。」と付け加えてルカを風呂へと促して）

ありがとう、じゃあ上がったら呼ぶよ
（促されて頷き、お風呂に入る準備をして）

…畏まりました。
（ひとつ頷くと浅木は久しぶりの自室へと戻る。手近な本棚から本を取り出して読み込んでおり)

お待たせ、羽織ったんだけど…やっぱりわからなかった
（お風呂が終わり、一応羽織ったものの分からず前が少しはだけた状態で相手の方へ行き）

…矢張り。呼んでくださればよかったのに。
（苦笑を浮かべつつルカの方に近づいていくと浴衣を直し、「…浴衣はこう着るのですよ。」と自分の浴衣を見せて）

いや…人様の家で大声で呼ぶのもどうかなと思って
（少し照れたような苦笑いをしながら直された浴衣姿を嬉しそうにし「ありがとう、一度でいいからこう言うの着たかったんだよね。似合ってる？ちなみに澪はとても素敵だよ」と言って）

ええ、よくお似合いですよ。
（薄い笑みを浮かべたまま答え、持っていた本を置くと「確か…使っていない客人用の部屋が一つありましたね。それか私の部屋になら布団が一組余っていたように思いますから…泊まる部屋は、どちらが。」と問うて）

ふふ、ありがとう。じゃあ折角だし澪の部屋にお邪魔しようかな
（相手の問いにそう答え「ほら、客人用の部屋を今から片付けるのも大変だし…わたし個人としてだけど澪の寝顔もう一回見たいから」と言って）

…そうですか。では布団を出しますね。
（ごく小さく頷くと押し入れから菊柄の布団を出し、床に敷き始めて)

何か手伝うよ？
（相手が布団を敷いているのを見てそう言い、菊柄を見るとその綺麗さに少し笑みを零し）

…いえ、慣れていますので。
（首を横に振り、布団を敷き終わると自身はまた本を読み始め）

ありがとう、布団もいいね
（本を読む相手を邪魔するのは気がひける為布団に横になり、落ち着きなさげに左右へ寝返りをうって）

…矢張り、落ち着きませんか？
（本を伏せ、苦笑しつつルカの方を見ると首を傾げて）

落ち着かないけど、これは嬉しくて落ち着かないかな
（苦笑され、少し照れたように頬を赤くして答えると「見苦しいところを見せてごめんね」と言って）