通りすがりさん 2022-07-18 12:10:27 |
通報 |
それも間違ってはおらぬな。……初日故、少々の手心はあった方がよかろうか。
(表情を変えることなくそう返してから僅かに目を伏せて呟くと、こちらについて来る気配を感じながら部屋のしつらえと同じく洋風ではあるが他の軍部と同じく余計な装飾の無い廊下を一定の歩調で歩き。廊下から向かう先は軍本部の外、最低限且つ最大の留意点を述べた後、自分が他の軍ならば必ず言う筈の自分の階級を言わなかった意味を含ませた言で一度言葉を結び)
細かな注意点や都度の指示はあるが、自らの始末は自分ですること――それから、他の軍部とではともかくここでは好きに話すといい。
好きに…では、遠慮なく。
(内装や内部のこと、留意点を頭の中に留めると階級を言わなかった理由に少し納得して言葉遣いは丁寧だが少し敬語を抜きながら、少し細かく自己紹介をし)
僕はこの師団のトップの方に引き抜かれて…なぜ自分がここに選ばれたのかわからないのですが、右近衛さんは知っていますか?
さて。陸軍と海軍の敷地の境目あたりで警邏中、誰も居らぬ筈なのに後を付けられている気がする――と、いうのがどちらの歩哨からも報告に挙げられている。
(少しばかり崩れた言葉遣いを耳にいれながら理由を知っているとも、知らないとも、どちらであるとも答えずに代わりにまるで予め用意されたかのように淀みなく、そして前触れもなく言葉を紡ぎつつ零帝本部の建物から出て、そのまま向かったのは話していた通りに陸軍と海軍が管轄する敷地のちょうど真ん中辺りの場所で)
理由を求めるのは構わぬが、肝要なのは己がどう在るべきか……私が貴公に伝えられることがあるとするのなら、それだけだ。
……わかりました、たとえ所属がどこであろうと僕はそこで仕事をするだけですから
(唐突に言われて少し考えてから、自分がどう在るべきなのかと考えればどうすれば良いのか、それはどこであろうと自分に任されたことをするだけだと思い、それを伝えると少し背筋を伸ばしてから相手が謎の気配について自分に言ってきたと言うことはそれを解決することが今からすることだと思い敷地を眺め)
この辺りということでしょうか、境目ですから…
報告によるとそうらしいが。……今回、抜刀は許可されていない。指示は以上だ。
(今の時間帯は哨戒の時間帯ではないために他に人は見当たらず、陸と海、双方の見張り台を遠目に報告があった周辺と相違ないことを確認し。そこで不意に背後から「ひたひた」というべたつくような足音と気配が生まれ、それに静かに目を細めて短く告げると、更に近付く足音と気配が大きく強くなり)
……右近衛さん、僕は彼方から回ってきます、そこを塞げば逃げ道はない筈なので
(目を細めて指示をされると、近づいてくる気配にどうすればいいかと考えるとこの地形ならもう一方の方を自分が塞ぎ逃げ道を塞げば良いかと思い相手に告げると返事を待たずに行って)
……そうか、分かった。こちらはこちらで誘導をしておく。
(返事を待つことなく行動を移す背に向けて幾分か感心した吐息を零し、こちらも聞くことは求めずに視線のみで見送りながらもその一方で「ひたひた」とした足音と気配は相手の後ろ側にも付いていったようで。そして自らの方にも同じ気配と足音、つまり複数形であることが示されつつ見張り台からは見えない死角と陰にあたる位置まで移動し)
……可笑しい、もしかして複数犯?
(自身の頭の中では、一人の何かが向かってきていたのだと考えていたがなぜか自身の背後に「ひたひた」という足音が聞こえ、少し立ち止まり振り返ることはなく近づいてくる足音と気配を感じ取ると最初の考えとは異なり、見張り台の方へ歩みを進め、誘導するように自身を追いかけさせていくとそちらにも足音が聞こえたためゆっくり誘い込むように背後の気配を連れながら歩き)
……少し、暮れて来たな。ならば、そろそろ見えて来ようか。
(さり気なく相手の姿を行動と共に視界の端に捉えつつ、少しずつ傾いて来た陽の位置に小さく呟くとその身を隠すように敷地内に植えられた植木のひとつに背を預けて。その瞬間に自分へ付いて来た足音と気配が一度ぴたりと止み、それから見張り台へ向かおうとしている相手の後ろを付いていくかのような足音と気配が更に増え、同時にその足元に不自然に長い影が伸びていき)
これは…っ、危なかった
(自身の後ろの気配や足音が急に増え、思わず驚き、伸びてきた影から咄嗟に避けるとその影は自信を狙っているのか執拗に伸びてきており、抜刀は許可されていないため避けるしかなく、このまま蹴ったり触れてしまって何かあってはいけないと思い避けながら相手をちらりと視界に入れて)
……。他にヒトは居らぬよ。警邏の順路からもここは外れている。
(背後から伸びた影は回避行動によって避けられてしまうと再び相手の背後を回るように、影の根元にあたる藪が葉をがさがさと揺らしつつ同じく気配と足音も後ろからによるものとなって再度藪中から影が伸びていき。一方で木を背にしている自らの方には足音や気配は現われぬまま、視界上に入れられていること認知済みの上で、ただ相手の出方を試すように他者から受けるなにがしかがないことを言い添えて)
では、右近衛さんは今から僕がすることは見てないことにしておいてください
(そう言った瞬間、刀を抜く音と共に一瞬で影を斬るが一瞬の怯みだけで影は伸びてきており、器用にそれを斬るものの視線は影の居場所を探るように影が無数に伸びる方へ刀をやると人の形に見えなくもない黒い"何か"を見つけてそれを斬ると、自身の近くになった毛愛が消えたため相手の方を向き)
貴公、存外に大胆であるな。
(相手の言葉にそっと伏せ目がちにすることで承知の意を示した後、足元に伸びていた影が斬られたのを確認するとそこで背を木から離して。そこで背後の藪から残り滓のような僅かな気配が生まれ、それに対してそちらへ身体は向けないままで藪中へ刀を抜かずに鞘尻で小突いてやると藪からぱっと大分小さな人影らしきものが飛び出して来て、慌てたように何処かに逃げ去っていくのを眺め)
他にはもう居らぬようだ。流石にもうここには立ち入らぬであろう……恐らく、貴公も昔話やらカストリ記事の与太で妖異だの何だのと聞いたことはあるとは思うが。
昔話で少し……けれど本当に居るのですね。驚きました
(刀を仕舞いながら相手の元へ行き、聞いた事はあると言いながら自身が切った何かは怪異なのだろうと察せば、これからはこういうものへの対処をするのだと改めて理解すれば、相手の対処法を少し見ていたため斬らなくても良かったのか、と少し思い直して)
そう驚いたようには見えなんだが?……「あれ」ばかりではない、それこそ有象無象。実地の方が分かりやすかろうということであるはいえ、私が何もせぬままだったのは申し訳ないが……。
(視線を相手の方へと戻して片眉を上げて軽い冗談めかしたことを投げながらも、直ぐに表情を改めて謝意を示すように軍帽のつばを鼻上まで下げて。再度顔を上げると敢えて見てはいるが見なかったことにしたのも含めて告げると、ふ、と僅かに目許と口許を緩め)
命を仰ぐ前に動いたこと、直接的な接触を避けたこと、それから、「私は見ておらぬが」対処に選んだ行動。賞するものであると、私は思う。――よくやった、大江。では今後とも、宜しく頼もう。
いえ、結構驚いたものの少し任務に必死だったので…今回のようにされた方が現実だと実感できました
(軽い冗談に必死だったと言うと謝る相手に首を横に振ると、所々さりげなく教えてくれた相手がいたからだたので、軍帽を脱ぎお辞儀をすると見なかったことにしてくれている相手に思わず笑みを浮かべてから、この人なら一緒に働けると思い警戒心が解けたように和らげな表情になり)
勝手な行動ではありましたが、それで正しいならよかったです。こちらこそ今後もよろしくお願いします、右近衛さん
ふふ、正しいかどうかは私も分からぬが。他にここに用がある訳でもなし、戻るとして……貴公はここへ配属になった際の荷物はどうした。
(ここでの用向きが他にない以上は無意味に長居する気はなく、軍帽を被り直してから軍本部の方へ足を向け。配属は変わったものの宿舎の移動や通いに関しては特に指示はなく、個々の希望に任せられていたはずなのでそれを問い)
荷物は…道中で厄介な奴らが僕のこの容姿なので、どうやら舐めてきたのかもっていくための荷物を取られて捨てられ、汚れたのでちょっと色々してから荷物は押し付けて来ました。あ、お金とかはあるので大丈夫です
(軍本部へ歩きながら、大きな荷物や本などの重いものはすでに運んだものの、服などの小物は途中でひったくりに会い、それを溝に落とされ中身も全て台無しになったことと同時に自分を侮辱されたため、一般人に怪我をさせるわけにもいかないので"少しだけ"脅して荷物をあげたと告げながら、服は軍服があるし大丈夫だろうと特に気にすることなく告げ)
一応、家具は運んであるので宿舎は移動済みなのでいつでも任務へ行けます
慈善事業を行って来たとは、御苦労なことだ。嗜好品でなくば、ある程度は支給品扱いで融通が利く。好きに使うといい。ならば、この零帝の宿舎まで案内しよう。
(言葉に含まれる相手の行動やら意味を正しく理解しながらも別段咎めることもなく、あっさりとした口調で慈善事業と済ませて首肯して軍本部の方まで戻り。そこから少し暮れて来た空色を見上げて、軍本部に隣接している陸や海軍の宿舎と比べて造りはそう変わらないがやや規模を小さくした建物へ向かい)
では、支給品として幾つか頼ませていただきます
(そう告げながら本部に近い宿舎へ来ると、自身の部屋として案内された部屋には机や椅子、本棚に幾つかのの本などが入っており生活感はあるようであまりなさげな部屋になっているが部屋の配置に納得したように微笑むと相手の方を振り返り、休憩にお茶とお菓子を用意しようとしたものの、まだ業務があるかもしれないと思いティーポットを持ったまま尋ねて)
お菓子があるのですが、休憩がてらどうですか?あまり片付いていませんし任務があるなら大丈夫なのですが…
トピック検索 |