検索 2022-07-09 20:46:55 |
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ならこれは完成だな。____もうすぐ……お、でてきた!……どれもいい出来だ
(四枚の中でも特別な一枚となった最後のプリクラ、それにあえて手を加えないというこちらの意見に相手も同意してくれればパッと顔を明るくさせる。プリクラは楽しいものだがこの写真を文字やスタンプでいっぱいにして賑やかにすればどこか茶化すようになってしまいそうだ、それよりはこの大切な瞬間をそのまま残しておきたい。同じ考えを持っていた事に無邪気に喜びながら落書きの時間は終了となった。表の方に移動すればプリクラはまさに印刷中で相手の隣でこちらも完成に近づくランプを眺めていた。程なくして全てのランプが点灯して取り出し口にプリクラが落ちてくる。写真に指紋がつかないよう端っこを持ちながら取り出して二人の間に持ってくると四者四葉の出来に思わず笑みが漏れた。ぎこちない笑顔ながらも互いの頬に落書きしたプリクラらしい一枚、風.都.の夜景を思わせる二人ならではの一枚、キラキラと輝く恋人らしい一枚、シンプルながらも幸せの瞬間を切り取った一枚、それぞれに二人の楽しい雰囲気や今の気持ちが乗っている。初めてのプリクラという点でも特別だがどれも思い出が詰まった点でも特別で、胸に幸せを感じながらプリクラを眺めていて)
ああ、2人ならではのプリクラの完成だ。 …この検索バ/カというのは仕返しのつもりかい? せっかくだし半分こにしよう。
(全てのランプが点灯すると取り出し口にプリクラが落ちてきた。横からその出来を確認すると今正に落書きした写真が可愛らしい枠と共に印刷されていて感嘆の声を洩らす。それぞれぎこちない初めての写真から大切な瞬間を切り取った写真まで個性ある仕上がりに自然と口元に笑みが浮かぶ。今この瞬間の2人だからこそ撮れた写真の数々だ。普通の写真と違って小さめのサイズで並べられて手描きの落書きがされたプリクラはより特別感と愛おしさがある。順番にその写真の出来を確認していたが最初に落書きした自分の頬に書いた覚えのない文字を発見するとそれを指をさして相手に視線を向ける。お互いを知ってるからこそ出てくる愛称にも近い言葉がお互いの色と字で書かれていて胸に染み渡る暖かな幸せに口元が緩んでしまいがちだ。プリクラは2人用を選んだからかそれぞれ分けられるように真ん中にキリトリセンのようなものが付いている。持って帰る場所は同じだがどうせならばそれぞれが持っていたいと思うとプリクラ機のコーナの近くに併設された台の上でハサミを使ってプリクラを半分に切っていく。綺麗に二分割出来ればその片方を相手に差し出して「くれぐれも落とさないように頼むよ翔太郎」と酔っている相手に揶揄う様に告げて)
へへ、二人共お似合いの落書きだろ?こんな大事なもん失くさねぇよ。大切にしなきゃなんねぇし……
(二人でプリクラを眺めていると相手はようやくこちらが仕込んだ落書きに気がついたようで、悪戯がバレた子供のように笑った後ニヤリと笑って当然仕返しだと暗に回答しておいた。結果的には締まらない顔にそれぞれの愛称が書かれていて何とも愛らしい仕上がりになっている。そう思うのは相手も同じようで隠しきれていない口元の緩みにこちらも幸せな気持ちでいっぱいだった。近場にあったハサミでキリトリ線にそってプリクラが二つに別れればそのうちのひとつがこちらへ手渡される。酔っている自覚がない身としては何よりも大切なものを失うわけがないと豪語してみせる。先日同様に大事なメモリを手元から一時失くしてしまったのはさておき、胸ポケットにプリクラが折れないよう丁寧にしまうとこれで大丈夫だと胸元を叩いてみせた。相手と楽しい時間を過ごしたいと思った願いは今まさに実現しているうえこうやって次々と形になっていく。今やふわふわと締まりのない笑みを浮かべっぱなしになりながら、自然とまた手を取り繋いだ所で再び時計が目に入った。そろそろ頃合いだろうかと相手と目を合わせると「俺、フィリップと行きたい所がもうひとつあるんだ」と秘密を打ち明けるように告げて)
ああ、悪くない。まあそこにあればよっぽどの事が無ければ大丈夫そうだ。 …行きたい所?
(相手の表情を確認すると子供のように笑ったかと思えばニヤリと口角があがった。こっそりとハーフボイルドと書いたのはこちらもだからおあいこでもある。欠点とも呼べる所もお互いを構成する大事な要素で大切な相手に認められているのが幸せで堪らなくて澄ました顔で返事をしておいた。思い出に残る大切なプリクラではあるのには間違いないが同時に恋人であることを前面に出した写真と仮面の正体を明かしたような写真のあるこれは人に見せられない内容でもある。本人は自覚していないようだが酔って突飛押しもない行動をしがちな今の状態では落とさないように見張る必要がありそうだ。胸ポケットに入っていればそうそう落とすことはなさそうではあるが念には念だ。ゲームセンターの機器のゲームや撮影を幾つか体験して相手のいう楽しい時間を過ごせている。手を取られ自然と繋ぎ直しながらもそろそろ帰宅しないと明日の朝が辛そうだと考えたところで相手と目が合って行きたい場所について打診がされる。思わぬことにキョトンとはするがこうなればとことん付き合うつもりで「君が望む場所なら何処へでもついて行くよ」と軽く手を握りかえしながらも言葉返して)
さすが俺の相棒だぜ!なら、ちょっと遠回りして帰るか
(今日を象徴するような思い出の品を簡単に失くすわけがないのに、念入りにプリクラの行方を気にする相手には不思議そうな顔を浮かべる。それを落とした時どうなるかという思考には当然届いていないが、よっぽど飛んだり跳ねたりしない限りは大丈夫だろう。だがもうひとつ行きたい場所への誘いに肯定の答えが返ってくると早速飛び上がりそうなほど嬉しくなってしまうのだから困りものだ。実際飛び跳ねはしなかったが、顔をパァっと明るくさせて握り返された手に自然と力が籠る。もう夜もそこそこ深い時間で街の灯りも直に消えていく。その前にもうひとつどうしても相手と行きたい場所があった。手を繋いだままゲーセンを出るとすっかり冷えた夜の街を歩いていく。繁華街はまだ明るく賑やかだったが、そこを少し離れると途端に人気はなくなってシンと静まりかえった暗い夜の道となった。様変わりした風の街を家とは少し違う方向へ手を繋いで歩いていく。不意に相手の方をみて「ここに来たかったんだ」と声をかけると側にあった角を曲がった。すると薄暗かった道は一気に光を帯びる。そこには電飾で彩られた街路樹がずらりと並んでいてさながら光のアーチを作っていた。この時期の夜限定で行われているイルミネーション、今この時にしか見られない光景を相手と一緒に見たくてわざわざ遠回りをしたくなってしまったのだ。人気がない夜の街の中、静かに木々は煌めいていて「行くか」と声をかけるとその中へ手を繋いだまま歩き出して)
どんな所か楽しみだ ___ 何の変哲もない道に見えるけど…、っ! すごい、綺麗だ…。 何だか幻想的な場所に来たみたいだね。
(相手の誘いを承諾すれば分かりやすくその表情は明るくなる。このゲームセンターも初めての場所だが、相手の連れて行ってくれる所は何処にだって行きたい。この街を庭と称する相手の連れて行ってくれる所には全幅の信頼を置いている。期待に弾んだ声を返しながらも手を引かれてゲーセンを後にする。この時間に出歩くことなど滅多になくまだ冬の気配の残る街の空気は冷たい。繋がった手の温もりをより一層感じながらも繁華街を抜けて少し外れた道へ移動していく。てっきりほかの店か何かに行くと予測していたのだが電灯だけの暗い道に入ると相手の行きたいところはますます予測不能だ。それから少しして相手が振り返る。不思議そうに言葉を返していたが角を曲がった途端煌びやかな景色が目に入って思わず立ち止まる。街路樹がきらきらした光で彩られその周りだけが優しい光を帯びている。それらがずっと奥まで並んでいて先程までの暗い景色とは一転して別世界に来たような印象を受ける。ゲーセンとはまた違う光の景色に思ったままの感想が口から零れる。思わず立ち止まって見蕩れていたが手を引かれるとそのまま歩き出す。電飾の下をくぐればキラキラした光が2人を包んで不思議な気分となる。落ち着かないようにキョロキョロと辺りを見渡しながらも非日常的風景に感激の声をあげ、無意識につないだ手に力を込めつつアーチの下を進んでいき)
だろ?いつもとは違う風.都.の景色を見せたかったんだ
(わざわざ暗い道を通ったおかげか角を曲がって直ぐにイルミネーションが施された通りが目の前に広がるとまるで世界が一気に切り替わったようで作戦通りだと上機嫌に口元が緩む。こちら以上に相手は興奮気味で眩い光を眺めるその瞳に吸い込まれてしまいそうだった。いつもと同じ道のはずなのにまるで違う幻想的な雰囲気になった中をゆっくりと二人並んで歩いていく。こちらの手を強く握られると相手の喜びや興奮が伝わってくるようで、こちらの胸まで暖かく幸せで満たされればふにゃりと締まらない笑みを浮かべていた。光のアーチを潜りながらしばらく歩けば駅が見えてくる。この道の行き着く先である駅前はちょっとした広場になっていて、今は電飾で彩られた木々に囲まれた空間になっていてその中へと足を踏み入れていった。四方からキラキラとした輝きが降り注ぐなか、広場の中は数多の電球で作られたシカやウサギなどの動物、さらにはふ.う.と.く.ん.までいてさながら幻想的な庭園となっていた。その中心に来ると立ち止まる。時計を気にしていたのは点灯の終了時間が迫っていたからで、間に合って良かったと安堵の息が漏れた。夜遅くの終了間際となれば人はほとんどいない、繋いでいた手を相手の腰へと回して二人の距離をゼロにする。相手の温もりを感じながら「綺麗だな」と噛み締めるように呟いて)
確かにこれは夜では無いと見られない景色だね。ああ、…翔太郎、連れてきてくれてありがとう。
(この道はいつの日か通ったことのある場所のはずだがイルミネーションが輝くだけでその印象は大きく異なる。色とりどりの光のアーチをくぐるように歩いていけば駅が見えてきて駅前の広場には樹木の飾りつけだけではなく動物やこの街のマスコットを模した電飾が設置されていた。綺麗に飾り付けれた広場はそれぞれ光を放っていて周りが暗い夜だからこその幻想的な景色を作り出している。興味広場の中心部に来れば繋いだ手が腰に回されてくっつくように引き寄せられる。手よりもずっと広い面積で相手の温かさを感じながらも頷く。とても綺麗な景色を見る事が出来た事自体も勿論嬉しいが何より相手がこの景色を一緒にみたいと考えて連れてきた事が嬉しくて自然と口元に笑みが浮かんだ。もう一度その景色を一通り見ると相手の名前を呼ぶ。こちらを向いたイルミネーションの光に照らされて輝く相手の瞳を見つめながら軽く微笑むと礼を伝える。こちらからも腕を回して軽く擦り寄ると「君を迎えに来た甲斐があったね」とくすくす笑い)
……へへ。おぅ!お前が来てくれて良かった。この街でまたフィリップと思い出が出来たからな…
(暗い夜の中一層輝きを放つイルミネーションに囲まれて、それを何よりも大切な人と共に見つめる。腕を回した相手の温かさを感じていれば、名前を呼ばれて相手の方へと目線を向けた。そこで微笑みながら礼を伝えられると、ゆっくりと口は三日月の形へ変わって今日何度目か分からない幼い笑い声が漏れた。アルコールのせいか、外気が低いせいか、それとも相手の笑顔が嬉しいせいか、頬はいつもより熱を持って薄らと赤く染まっている。相手がこちらに擦り寄ってきて擽ったくて心地良い。しかし今胸に溢れてきた思いはそれだけでは足りなくなってしまって、相手の方に飛びつくようにして抱きつくと頬を相手の頬へピタリとくっつけた。大切なものへするように軽くそこを擦り合わせながら、またひとつ思い出が重なったことを噛み締め浮遊感に包まれた頭はすぐにそのことを口に出す。自分が相手と見たいと思って連れてきたこの場所を相手も気に入ってくれたのが何より嬉しくて、腕を回したままくっつけていた頬へとまたひとつキスを落として)
これからも色々な場所に連れて行ってくれるのだろう? …それと君が酔ったらくっつきたがりのキス魔になるということを初めて知ることが出来たのも良い経験だ。
(ほんのりと頬を赤く染めながら幼く笑う相棒の姿はきっと自分だけが見ることの出来る顔だろう。単に迎えに来るだけのつもりだったが記憶に残るようなかけがえの無い一夜となりそうだ。今までもくっついていたが相手に抱きつかれて頬がくっつくほど密着する。嬉しさを噛み締めるように話す相手はやはりいつもより幼く見える。この街のことは大分馴染みのあるようになってきたが相棒には遠く及ばない。これから何度でも同じように風.都.の良い場所を相手に教えて貰ってその景色と二人で見た思い出を積み重ねて行けると思えば心は弾んでそれが規定事項だと確信めいた口調で問いかける。くっついた相手の身体が動き再びキスが落とされると今は動揺よりも柔らかな笑みが溢れた。思いのままに行動する相手が愛おしくてこちらからもお返しにと軽く頬にキスをおとす。そういう雰囲気では無い時にキスをするなど滅多に見れない光景だ。今だからこそできることに胸が幸せでいっぱいになりながらも「でも僕以外にキスをするのは禁止だ」とちょっぴり独占欲をチラつかせた言葉を紡ぎ)
もちろんだ!風.都.のことなら任せとけ!……いつも思ってるけど我慢してるだけだっての。それに……____俺はフィリップとじゃなきゃキスしたくない
(相手の問いかけは問いかけであって答えが先に決まっているもので、いつもなら呆れ顔で返事をするところだが今は全力で肯定の返事をしながら抱き締める腕に力を込める。この街にはまだまだ相手の知らない最高の場所が沢山ある、もしかすると自分さえ知らない場所だってあるかもしれない。そんな風の街で二人の思い出を重ねていける未来を思えば気合いも入るというものだ。こちらからキスを送ればお返しにとこちらの頬にもキスが返ってくる、柔らかくて暖かい感触を頬に感じれば緩く締りのない笑顔を浮かべていた。キス魔という言葉にはピンと来ないらしく首を傾げる、実際今日の飲みの席では泥酔はしていたが誰にもキスなんてしていない。代わりにぼんやりふわふわした頭で導き出した答えは素面の自分には決して聞かせられないような内容、だが心の片隅で相手に触れたいと常に思っているのもまた事実で羞恥も体裁もない頭は思いついたままを口にしていた。それに相手から語られたちょっとした独占欲にも胸は喜びで擽られていてはにかむように笑顔を浮かべる。相手への想いは胸に溢れて、今度は口にする前に体が動いていた。まだひんやりと寒い外気の中、顔を寄せると唇を重ねる。数秒そのままでいたあとゆっくり顔を離すと至近距離で相手を見つめたまま、ひとつの我儘を口にして)
……そうなのかい? ___,、なら安心したよ。僕のキスも翔太郎限定だ。
(風.都.の案内を任せれば元気いっぱいな返事が返ってくる。相手の知っている風.都.の良いところも新しく見つけるかもしれない良い所も全部思い出として積み上げていきたい。尽きることの無い未来の予定に心は弾んで仕方ない。お互いにキスを送ったが相手はキス魔という表現はピンと来ないらしく不思議そうな顔をしている。いつもよりスキンシップが激しいのは接していれば明らかだが零された言葉は予想外の物でわずかに目を見開く。2人きりならともかく外や誰かの前では受け身がちであまり得意では無いと認識していたのだが我慢していたのだと聞くと少しの間呆気に取られてしまう。それを証明するように相手の顔が近づいて唇に柔らかな感触が触れる。数秒の温かさの後、至近距離の相手の表情と言葉からじわじわと実感が湧いてきて徐々に嬉しさと照れ隠しが混じったような笑みが浮かぶ。子供のような言い方ではあるが、それが自分とのキスだけを望んでくれているものであれば嬉しくて仕方ない。照れ臭くて澄ましたような返しをしてしまいがじっとこちらも相手を見つめて特別なのだと告げる。キスの意味と幸せを知った今、相手がキスするのも自分がキスするのもお互いだけが良い。そうして話していると急に電飾の光が消える。どうやら消灯の時間を迎えてしまったようだ。真っ暗闇の中、至近距離にいる相手の顔と温もりだけを感じ取れると「そろそろ帰るかい?」と確認とり)
そりゃフィリップのこと好きだからな。___っと、時間切れか。ほんとは帰りたくねぇけど……そろそろ帰るか
(相手の顔を至近距離で見つめていれば暖かな感情に溢れた笑顔が見えて、こちらも喜びに溢れた満足気な笑みを浮かべる。真っ直ぐと見つめられながら言われる言葉は相手にとって自分が特別だと示していて、この幻想的な風景の中視界いっぱいに相手を捉えて体中いっぱいを相手によって満たされる感覚に胸は多幸感で溢れていた。しかし不意に周囲の電飾が一斉に消えて暗い夜がやってきて思わず顔をあげる。まるで魔法が解けたように周囲はシンと静かだが相変わらず相手は目の前にいて抱きつく体は暖かい。名残惜しいがそろそろ今日の夜も終わりらしい、帰ろうと誘う相手に素直に頷けば抱きついていた腕を解いて相手の手を取ると恋人繋ぎをした。いまだ体中はふわふわと暖かくて幸せでいつまでもこの時間が続いて欲しいと願っている。だが時間は流れるもの、それならば明日のためにいい加減体を休まなければ。相手と並んで歩き出すと二人の家へと足を向けて)
そろそろ日付が変わる頃のはずだからね。 また今度遊びに来よう。___ 着いたよ
(満足気な笑みもそれと共に言われる『好き』の言葉も何度だって胸を幸せでいっぱいにする。普段はあまり聞くことの出来ない思いの丈を知ることが出来たのだから今日ばかりはアルコールの作用に感謝だ。そうして幸せを噛み締めていたが光が消えたのをきっかけに真夜中だったことを思い出す。ゲーセンで見た時計から考えるにもう日付が変わっていてもおかしくない時間だ。居酒屋から出た時と同じく帰りたくないと駄々をこねる可能性も過ぎったが夜更かしし過ぎて明日の業務に支障をきたしてはいけないという分別はあるようだ。指を絡めるように握られた手に少し力を込めると名残惜しそうな相手に次の約束をする。また相手と夜遊びを出来ると思えば飲みの席に迎えに行くのも悪くない。夜の寒さに負けないくらい温かなものを手と胸に抱えながらも夜の街を通って帰路につく。見慣れた家が見えてくれば声を掛け、玄関の鍵を開けて中に入り)
___ただいまっと。……もう寝なきゃなんねぇのかぁ
(アルコールにやられ上機嫌なまま夜の道を歩いていく。外気は寒くとも繋いだ手が暖かければ何も感じない。名残惜しさを覚えつつ家につけば玄関を抜けてリビングにたどり着けばハットとジャケットを脱ぐ。すぐにポケットに入れていたプリクラを折れないように丁寧に取り出すとふ.う.と.く.ん.のぬいぐるみと共に机の上に置いた。家についてしまえば後は風呂に入って寝るだけ、それで今日は終わりだ。だが頭の中は未だに幸福に溢れ楽しくて楽しくて仕方がなくて、それが終息に向かっているのだと思えば飲み屋の前で感じた物足りなさが再び湧き上がってくる。軽くため息をついて眉をへの字に曲げると明らかに不満な声色と共に相手に抱きついた。今自分を止めるとするなら相手しかいない、つまり相手を説得できさえすればまだ眠らなくても良いのだ。そんな飛躍した思考を巡らせながら相手の首筋に顔を埋めて反応を窺って)
普段ならもう寝ている時間だろう。明日も仕事なのだから早く風呂に入ってきたまえ
(家に戻り板チョコのたくさん入った袋をテーブルの上に置く。自分の分のふ.う.と.く.んのぬいぐるみとプリクラも無くしてしまわないように横に置いていると相手に抱き着かれる。家に連れ帰るという当初の目的は達成出来たが明らかな不満げな声色はまだ寝たくないと告げている。だが時刻は既に大分遅く、張り込みなどや急ぎの依頼が無ければ大抵はベッドに入っている時間だ。目線を向ければ眉は八の字の状態で様子を伺うような視線を交わる。本音を言えばお願いされるまま起きていても問題はなく、今の状態の相手を甘やかして堪能したい所ではあるが寝不足で本調子で過ごせなくなるのが目に見えている。ここは自制する場面だと自分に言い聞かせる意味合いも含めて言葉を述べ、宥めるようにわしゃわしゃと相手の頭撫でて風呂に入ってくるよう促して)
んー…まだ眠たくねぇのに………誰かが俺に元気くれたら風呂入れるかもなぁ……キスとか
(ちらりと相手の方を窺ってみるもそこには簡単に折れてくれなさそうな顔があって、思わず唸り声をあげる。ゲーセンで相手がやったように相手の肩に額をグリグリと押し付け暗に嫌だと首を振りながら、子供の言い訳としか言いようのない事を口にしていた。しかし頭を多少大袈裟に撫でられると、途端に頑なになっていた思考は解かれてしまう。明日もいつもの時間に起きていつものように風.都.の探偵として働くのだ。二日酔いで寝不足の探偵なんて一目見た瞬間に依頼人は踵を返して帰ってしまうだろう。思考が正しい方向へと引っ張られるが未だ我儘な思いは残っていて暫く大人しく頭を撫でられる時間が続いた。まだ寝たくはないが寝なければならない、重い足を動かすエネルギーが欲しい。そう思った時にはまるで他人事のような口振りでボソボソと口が動き始めていて、またもちらりと窺うように相手の方を見て)
健康は探偵の資本なのだろう? これではいつもとまるっきり逆だ。 ……仕方ないな、
(肩にぐりぐりと額を押し付けるようにして不貞腐れる様子はとてもじゃないが年上とは思えない。ただでさえ弱いアルコールをそこそこ摂取して夜遅くまで出歩いたのだ、今は眠くなくとも身体はいつも以上に睡眠が必要だろう。何時ぞや検索に明け暮れて寝ようとしなかった時に相手に言われた言葉をそのまま返してみる。起きていたいと主張する側と寝かせようとする側、今日はいつもと逆のことが多い日だ。ブツブツと文句を言うことは無くなったがそれでも動こうとしない相手の頭をずっと撫でていた。すると腕の中で他人事のように呟いたかと思えばちらりとこちらを覗く。今まで好き勝手動いてきたのに今度はやたら遠巻きに、だけど確実にこちらに要望するように呟く様子がいじらしくてつい吹き出すように笑ってしまった。呆れたように小さく息を吐くが喜びの色も一緒に乗ってしまう。もう片方の手を軽く頬に添えると顔を近づけて唇を重ねる。十分にその暖かな感触を味わってから少しだけ離して「これで満足かい?」と問いかけて)
____へへ、フィリップのおかげで元気になった。仕方ねぇから風呂入ってくるか
(相手がやっぱり起きていていいという僅かな可能性にかけて持久戦に持ち込むのも良かったが懐柔されてしまうのが先だ。いつかの日に相手に言った気がする言葉を言われるも「俺は大丈夫なのに」と駄々をこねるだけだった。だが遠回しなお強請りを口にした後相手の方を見ているとその顔には笑顔が浮かんで、望むものが手に入ると確信するとこちらもニマリと笑う。呆れ顔をしているがそこにはそれだけでない色もあって、そんな顔で望みを叶えられてはこちらも嬉しくなってしまうというものだ。頬に手を添えられて唇が重なる、もう片方の手は後頭部に添えられていてまるで頭を包み込まれるような体勢が心地よくてこのまま身を委ねてしまいたい気分だった。やがてゆっくり顔が離れる、ほんとはもっとと強請りたい所だが約束は守らなければ。目を細め機嫌よく笑えばこちらからも短くキスを送ってようやく腕を解いた。そのまま脱衣所に移動すると、手早く服を脱いで浴室へと入った。暖かいシャワーを浴びればまた頭がぼんやりとして、立ったまま寝そうになってしまったが体の力が抜けた瞬間に目を覚ましてなんとか転倒を防ぐ。そんなことを繰り返しながらやや時間をかけて風呂に入り終えた。アルコールで火照っていた体はお湯によってさらに温められて顔を含め体が真っ赤になっている。そんな状態でふらりとリビングに戻ってくるが寝巻きは着ているものの髪はほとんど拭かれておらず濡れたままでポタポタと水滴を零しながら「上がったぞ」と呑気に片手をあげていて)
ああ、行ってらっしゃい。 ___ 倒れてないようで良かった、ってびしょ濡れじゃないか。馬.鹿でも風邪をひくのだからちゃんと拭きたまえ。 …今日は僕が乾かしてあげよう
(お望み通りキスを交わせば満足したように目が細められる。自分の行動1つでコロコロと表情を変える様は見ていて面白くもあり心を満たしていく。短く相手からキスが帰ってきて腕が解かれる。脱衣場に向かった相手を見送り自分の口元に手をやる。そこは今日迎えに行ってからずっと緩んでるであろう場所で今も自然とニヤケてしまっている。色々と相手の行動には驚かされてばかりだったがそうやって振り回されるのも悪くないと思う辺り似たもの同士でもあるのだろう。相手が帰って来たらすぐに眠れるように寝具を整え、程よい大きさの空き箱を見つけその中に二体のふ.う.と.く,んを並べてみたりしていたがなかなか相手は上がってこない。アルコールも入っていることだしまさか風呂場で何かあったのでないかと様子を見に行こうとした所で丁度相手が上がってくる。ひとまず何事も無かったことに安堵するがぽたぽたと髪から水滴が落ちて肩口が濡れていくのを見れば思わず駆け寄る。いつもの自分のことは棚に上げ、呆れたように声を掛けなからもタオルを没収して荒っぽく動かし水分を拭いていく。ただでさえ体調を崩しそうな要因が重なっているのだ、楽しい時間を過ごした夜遊びのせいで風邪を引いたとなれば後味が悪い。ひとまず水滴が落ちない程度には拭いたかまだ十分ではなく、相手の手を取るとベッドの方に半強制的に連れてきて座らせる。この前の逆だと告げながらも撫でるような仕草で髪を拭くのを再開して)
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