検索 2022-07-09 20:46:55 |
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まぁそうだけどよ…告白から日頃の感謝まで、チョコあげる意味はいろいろだけど、圧倒的に女性の方が参加率が高いんだよな……ふ、当たり前だろ?クラスの女子から元依頼人、付き合いの長いおばちゃんまで色んな人から貰った事あるぜ?……全部義理だけど
(確かに本来の意味で言えば若.菜.姫,の言うように好きな人や大切な人に想いを伝える日なのだからそこに男だ女だは関係ない。高校の頃なんかはバレンタインといえば女の子からの告白の日と専ら恋愛沙汰の日だったが、探偵を始めてからは日頃の感謝やいつかのお礼といった形で貰う事が増えた。大事なのは込められる想いであって性別ではないのだが、どうしてもバレンタインのイベントとなれば女性向けになる。イベント会場であまり目立たない事を祈りながらデパートへの道を歩いていると、バレンタイン定番の質問が飛んできた。バレンタインにいくつチョコを貰えるか、それはどうしようもなく男の自慢話に繋がるものである。無駄に自信満々の笑みを浮かべれば指折りしながら過去の輝かしい戦績を語る。過去貰ったチョコはもう数えることができない程には多い、ただし全て義理チョコだ。周囲と付き合いも悪くなく困った事には手を貸してしまうのは小さい頃からの性分で、そのおかげか『ありがとう』の意味を込められたチョコは今までよく貰ってきた。しかし『好き』の意味のチョコは今まで一度も貰った事がなく、当然バレンタイン当日に告白なんてことも経験がない。最後にボソリとその事を付け加えて軽く自嘲気味に笑い)
他の行事とは違ってなかなか不思議な成り立ちのイベントという訳だね。 …確かに容易に想像がつくよ、それだけ多くの人が君に感謝したり良い印象を抱いたりしていたと言う事でいいじゃないか。…それに僕がその本命とやらを渡す初めてになれるなら悪くない気分だ。
(女性の方が参加率の高い行事、他に例を知らないようなパターンの行事に興味は惹かれるばかりだ。外から日本に入ってきて元の意味合いから大きく変わる例も幾つかあるからバレンタインもそれに近い日本独特の文化なのかもしれない。過去のバレンタインの思い出について聞くと自信満々にその様子が語られる。バレンタイン独特の雰囲気や特別感はピンと来てないが義理や本命のニュアンスは掴めてきた。前者が日頃の感謝や親愛、後者が恋愛的な意味を含むものだ。その上で色々な人から義理チョコから貰ったという話は納得のいくものだ。人当たりが良く困った人を助けて世話を焼いていれば当然慕う者も多いが恋愛までは結びつかなかったという所だろうか。昔から今の性質が変わらないことをこんな所からも感じられると相棒として誇らしくて緩い笑みを浮かべながらもプラスの感想で纏めておく。そして今まで全部義理ということは本命はまだということ、その初めてを得るチャンスだと気づけばニヤリと笑って恋人に宣告した。そんな話をしていれば高級そうなデパートの前に辿り着く。「この上の階のようだね」と告げると中へと入っていき)
まぁこの街の人が俺を慕ってくれてるって事だからその点は悪くねぇな。え、あー……そう、なるな。なら特別な奴で頼むぜ
(義理チョコしか貰った事のない事実はどうやら相手からみたこちらの印象と合致しているらしい。それをプラスの方向で捉えられれば照れくさそうに小さく笑みを浮かべる。お陰様でバレンタイン周りには甘いものに困ったことは無い。チョコの数だけ様々な人から好意的な想いを貰っている事は間違いがなくて、風.都.の探偵として誇らしい事でもある。相手の意見に同意していると不意に本命チョコの話が出て言葉を詰まらせた。当たり前ではあるが恋人である相手からもらうチョコは正真正銘の本命チョコ。貰ったことのないそれを最も大切な人から貰えるのだという事実に今更気がつけば、嬉しいやら恥ずかしいやらで心音が乱れば頬をかく。そうなればこれから乗り込むイベント会場も少しは楽しみになるもので、相手が用意する本命チョコとやらに期待を掛けておくことにした。そうしているうちにたどり着いたデパート、どうやらバレンタインイベントは催事場で行われているらしくエレベーターに乗って目的の階へと移動する。エレベーター内は既に女性客でいっぱいで嫌な予感を覚えつつ目的階についてエレベーターを降りれば、ずらりと並ぶ特設店舗に溢れる人、そしていっぱいに広がるチョコレートの香りが出迎えてくれた。どうやらワンフロア丸々バレンタインフェアの会場になっているらしい、ピンクのハートでこれでもかと彩られた会場を暫く呆然と眺めていて)
ああ、君にピッタリなものを贈るよ。 ____ 凄い、一種のお祭りのような雰囲気だね。 …色々な店があるようだけど、何処か知っている店はあるかい?
(好意的な気持ちがあるからこそ渡されるチョコレートは風.都."を守る探偵としても誇らしい物であるだろう。今年はその場面に居合わせることだってあるだろうし、相手が風.都.の人々に愛されているのを見るのは相棒として誇らしい。そんな中で本命の話を振ってみれば考えが及ばなかったとも取れる反応だ。照れくさそうにする相手の期待に応えるように自信満々に言葉を送っておいた。そのチョコを探すためにもエレベーターに乗って催事場へと向かう。先程の説明に合った通り女性が主役と言うこともあり同じ階に向かう人はほとんど女性客だ。やがて目的の階につくと広告とテイストは同じピンクや茶色、白など可愛らしい色があしらわれたバレンタインフェアの会場が出迎える。一体となった雰囲気は夏祭りにも似た光景に思えて隣の相手とは対照的に目を輝かせていた。人波に合わせて会場内へと入るとスタッフから見所や会場のマップの乗った紙を受け取る。期待通り多くの店が出店しているようだがこういうのに疎い自分にとってはどれも馴染みのない名前だ。その紙を見せながらひとまず回る場所を決める為にも相手ならばどれか知ってるものは無いかと問い掛けて)
まぁバレンタインなんてある種祭りみたいなもんだしな……エリアでなんとなく店が分けられてるみたいだな。ここらへんは風.都.の店で、こっちは日本の有名店。で、ここらへんは世界的に有名な店ってとこだな。せっかくならまずは世界の名店でも見に行ってみるか?
(学生時は今年こそは本命チョコを貰えるのではないかとドキドキしながら当日を迎えたものだが、今年は確実に、しかも今から貰えるというのだから不思議な心持ちだ。だがやはり問題はこの雰囲気、溢れかえる女性客とカップルの中に男二人はなかなかに浮いている。夏祭りと同じで他の客は周囲の人間のことなど気にしていないのだろうが、そもそもデパートという慣れない場所でさらに居心地にも慣れない空間にいるのだから変に浮き足立つというものだろう。相手といえば予想通りこの会場の雰囲気をすっかり気に入ったようで好奇心で目を輝かせている、会場な着いた途端走り出さない点は成長といったところか。相手が楽しそうであればひとまずはそれで良いということにしておこう。こちらもフェアの情報がのった冊子を受け取ればまずは地図を眺める、チョコに詳しいわけではないが一般的に知られているものから辛うじて名前に聞き覚えがある店まで相手よりかは知識があって、まずはざっくりと区分けされている店について説明をいれる。若.菜.姫.のチョコは風.都.コーナーにあるが、ひとまずは規模が大きい店のバレンタインチョコを見て雰囲気を掴むべきだろうと有名店が並ぶエリアを指さして)
なるほど、そう言った違いを比べるのも楽しみと言う訳だね。じゃあまずはそこに行ってみよう。__ …もはや食べ物というより芸術品に近い見た目だ。贈り物にされるのも頷けるよ。
(女性客やカップルも冊子を受け取り目的の店へと歩いている。彼女達も誰かに感謝を伝える為かまたは本命として大切な人に贈る為のチョコレートを買いに来たと思うととてもロマンティックなイベントのように思えてくる。出店の区分けについて説明されると納得したように頷く。より最適なものを選ぶために全ての店を回りたいと思ってはいるが特徴を捉えておくのも大事だろう。今回は特にこだわりはない、相手が指さした方を見れば確かに賑わっているようでそこから回ろうと上機嫌に声を掛けると早速そのエリアに向かう。そもそも自分の中でチョコレートといえは板チョコやチョコレート菓子のことでありそれ以外の物を知らない。どうやら世界でも有数の有名店のブランドチョコが並んでいるようでそこに飾られている物はどれも美しい見た目だ。色も綺麗で艶があり細かな造形がある物やお洒落な箱に入っている物などもあって食べ物と言うより宝石や美術品に近い見た目をしている。値段もそれなりに値の張る物が多く、大切な人に贈るのに相応しいチョコレートだ。初めて見る高級チョコレートの数々に興味深そうに視線を向けながら感心したように呟いて)
こういう高いチョコレートって見た目も綺麗だし食うの勿体ないんだよな……値段見ちまうとますます食いにくい…一口サイズだぞ、あれ
(最初のエリアに移動すればそこには何処かで一度は目にしたことのあるようなチョコレート専門店だとか洋菓子店の名前が並んでいて、さすがに甘い物に詳しくない自分でも知っている店ばかりが整列している。ショーケースの中にそれこそ宝石のように並べられているチョコレートはどれもオシャレな名前がつけられていて店員が客から注文を受けて一粒ずつ丁寧に箱詰めをしていた。バレンタイン限定のパッケージもあるようで、そういうものは大概ピンクやハート型やらの箱に同じくピンクやハート型やらのチョコが詰められている。どれも凝ったデザインで飾っても様になりそうなものばかりだ。それをたった一口で食べてしまうなんて何とも贅沢だろう。値札を見てしまった今、口の中に放り込む瞬間にその値段が脳裏によぎりそうだ。だがそこは向こうも商売、高級路線ではあるが数は少なくして買えなくもない値段に抑えられた商品もある。所長様はここらへんのスイーツ事情も詳しいだろうから下手なものは買えない、良いものをお望みだろうし「アキコの分はここらの店の奴のがいいかもな」と量より質を取る案を出しながらショーケースを覗き込み)
ああ、僕達の数日分の食費と同じくらいだよ。だからこその贅沢品なんだろうね。 …それならコレはどうだい? 有名なショコラティエが作ったチョコレートで、それぞれ味が違うみたいだからアキちゃんも満足してくれそうだ。
(あまり贅沢の出来ない事務所生活を送っているせいかどれも手の届かない物に思える。安く量の多い物を求めがちないつもの食卓とは真逆の存在だ。だからこそ自分では買えない贅沢品として喜んで貰えるように贈り物に選ばれるチョコレートなのだろう。相手の感想に同意するように頷きつつもほかの店のショーケースにも目を配る。この中から所長へのプレゼントを選ぶという相手の案は大いに賛成だ。同じエリアにある店を見ているととある売り場が目に付く。名の知れた高級ブランドの店のようで品のある高級な箱にチョコレートが6粒セットで入っている。赤いハートで木苺のジュレが入ったものや丸い形のシンプルなビターチョコ、ナッツの入った四角いホワイトチョコなどそれぞれ見た目も味も違うようで見ても食べても楽しめる特別な贈り物になるだろう。隣に並ぶ相手に目を向けると一つの案として提案してみて)
特別なプレゼントって意味じゃピッタリだが俺達には背伸びしすぎだな。……お、この店なら俺でも知ってるし、ハート型のチョコが入ってるならバレンタインっぽいし良いじゃねぇか。これにすっか
(事務所は火の車とまではいかないが決して贅沢をできる身ではない。こういうのをさらっと買って女性にプレゼントするのもハードボイルドな気がするがそれで身を破滅させれば元も子もないだろう。手を出せる範囲のものを探していれば相手がひとつのセットを提案してきてそちらに目を向ける。所長とはかけ離れた品のある箱に形も見た目も様々な六粒のチョコが行儀よく並んでいた。店の名前は知っているが当然そのショコラティエの名前は知らない。脇に置かれたパネルを見る限り名誉ある賞をとったショコラティエで、その人物がこのフェアのために特別に作ったチョコだというから特別なものなのだろう。それにハート型のチョコさえ入っていればバレンタインチョコとして合格だ。日頃の感謝の気持ちを込めたチョコはこれで決まりだ。店員に注文を告げると、チョコの入った箱は丁寧にプレゼント用に包装されてさらにお上品になり、袋に入れてもらえばそれを受け取って)
包装も特別感があってとても良い感じの仕上がりだ。 アキちゃんも喜んでくれるだろう。 …:せっかくの機会だ、僕達もそれぞれ購入して渡す時までのお楽しみにするというのはどうだい?
(どうやら自分のチョイスした店はそこそこ有名な物だったらしい。相手も購入に賛成してくれると嬉しそうに笑う。店員に注文を告げると品のある箱を更に上品な包装でラッピングされ、とっておきのプレゼントの完成だ。これで所長への感謝の気持ちを十分に伝えることが出来るはずだ。これでここに来た目的の1つを達成できた訳だが、ラッピングされていく様子を見て1つ思いついたことがある。長年相手と共にいる訳だが何かをプレゼントする機会ということはあまりない。数多くのチョコが集まるこの会場で相手のことを思って選び、せっかくならプレゼントするという体験も含めてやってみたい。綺麗なラッピングを解いて中身を確認するという過程も贈り物の楽しみの一つだろう。二手に分かれることにはなるがじっくりと悩む事も出来るしお互いのチョコを渡す時まで秘密にしておかないかと期待の色を乗せた表情で提案して)
あぁ、これでちゃんと日頃の感謝は伝わるだろ。……プレゼントって形で渡すんだから中身もサプライズの方がいいよな。その案乗った、じゃあそれぞれ別れて、買い終わったらここのイベント広場ってとこで集合にしようぜ。
(所長には日頃お世話になっているし、このイベントを教えてくれたお節介という名の恩もある。それを形として返すには十分なものを選べただろう。渡した時にスリッパが飛んでくることはなさそうだ。あとはお互いの分だろうかという所で別行動の提案がなされた。恋人となってからプレゼントの類のものはやったことがない。確かに相手が自分に何を用意してくれるのか楽しみではあって、このまま一緒に店を回っては中身を知った上でチョコを受け取ることになってしまう。それよりは未知の箱を開けて中身を確かめてみたい。それにこちらが用意した本命チョコを相手が開ける瞬間だって見てみたい『初めて』の瞬間だ。楽しげに笑いながら同意すると先程貰った地図を取り出し、集合場所を指定して)
承知した。優柔不断で悩み過ぎないように頼むよ、翔太郎。
(所長へのプレゼントも確保しお互いの分について提案を持ち掛けると乗り気な返事が返ってきた。自分がどんなものを選ぶかと言う楽しみもあるしどんなものを選んでくれたのかを楽しみに待つ時間だって贈り物の醍醐味だろう。地図上で待ち合わせ場所を確認すると素直に頷く。これだけ店があれば迷ってしまうのが容易に想像出来て自戒の意味も込めて揶揄うように言葉を告げると相手との別行動を開始する。まだ見ていない日本のコーナーは和らしく抹茶を用いた物や凝った造形のものがあり、風.都.のコーナーでは自分でも聞いたことのあるお店や風.都.にまつわるチョコレートといくつかあった。どれも魅力的でどれなら的確に相手が喜んでくれるのかを考えるのは難しいが、同時に渡した時の反応を想像して楽しみでもある。ざっと1周して目星をつけた後に候補の店を巡って悩んだ後ひとつに絞ることが出来た。『好きな人へのプレゼントですか?』という店員の声掛けに素直に『ああ、今回が渡すの初めてなんだ』と返せばおまけにメッセージカードも添えてくれた。綺麗にラッピングして貰ったチョコの入った手提げ袋を受け取れば集合場所であるイベント会場の前に行き、手元のプレゼントについ視線が向かってしまいながらも相手が来るのを待ち)
それはこっちのセリフだっての
(選んで悩むだけのこちらと違い、相手の好奇心が発動してしまえば絶対に向こうの方が時間がかかる。揶揄うように返事をしてから軽く手をふって別行動を開始した。といっても誰かのため真剣にプレゼントを選ぶなんて最近では全くなかったこと、恋人のものを選ぶとなれば初めてだ。ひとまずはと会場内を一周してみたが、女性とカップルの中を男一人で歩くのは相手といる時以上に浮いている気がして気が休まらない。ショーケースをじっくり覗き込むのも恥ずかしく、商品を眺める事もできなかった。気がつけば元いた世界の名店エリアに戻ってきていてどうしたものかとため息をつく。そこで不意に目をあげたときに遠くのショーケースに見えたものに目を奪われた。引き寄せられるように会場の片隅に設けられた小さなコーナーへと足を運ぶ。ショーケースを覗き込めば目を奪われたそれに顔を明るくさせすぐに店員に購入することを伝えた。『お兄さん一直線にいらっしゃいましたね』と軽く揶揄われ照れ隠しの笑みを浮かべながら品物を受け取る。無事に購入も終え待ち合わせ場所であるイベント広場に向かえば既に相手は到着していて「待たせたな」と声をかけながら近寄って)
僕もちょうど今来た所だ。 ある程度雰囲気も楽しめたしそろそろ帰ろう、…! 翔太郎、あそこで写真を撮ったら記念品が貰えるらしいよ。
(プレゼントを片手に相手を待っていると声が掛かって振り向く。その手には勿論こちらへプレゼントと思われる袋が下げられていて視線はつい其方を見てしまう。一体何を買ったのか直ぐにでも聞きたい気分ではあるが今知ってしまっては意味が無い。帰ってからのお楽しみだと我慢しておく。ひとまず出店エリアは全て見る事は出来たしプレゼントも買うことが出来た。空気感は十分に味わえたとして帰ろうと声を掛けるがその途中待ち合わせ場所にしていたイベント会場の催しに目を奪われる。地元のスポーツ選手や若.菜.姫にチョコをプレゼントを贈る為の箱や大切な人にハート型の紙に想いを書いて壁に貼るといって展示などが行われている。だがそれよりも目立つところにこの会場と同じ、ピンクや赤を基調としたハート型の花で出来たモニュメントにハート型の風船が飾られ、中央には2人がけの椅子が置かれた撮影スポットがあった。どうやらここで2人組で写真を撮るとイベントならではの記念品が貰えるらしい。物珍しいそれに興味を持てばぱあっと顔を明るくしながらも相手の腕を軽く掴み、弾む声と共にフォトスポットを指差して)
あぁ、お前が持ってるそれの中身も気になるしな……え。ちょ、待てあれは完全にカップル用の…いや俺達もそうだけど。やりたい、のか?あれ…
(こちらと同じく相手の手には何やら袋がぶら下がっている。あれが相手の用意してくれた本命チョコなのだろう、一体どんな物が出てくるのか今から楽しみだ。チョコの匂いは存分に嗅いだ事だしあとは家でゆっくりとチョコを食すとしよう。そのまま会場を後にしようとしたのだが、不意に相手の動きが止まる。集合場所にしたイベント会場には実に様々なスポットが用意されていてどこも賑わっている、もちろん女性とカップルでだ。相手につられて同じ方向を見ればファンシーかつ華やかに彩られたフォトスポットが目に入り、いかにもバレンタインらしい飾り付けを遠目から微笑ましくみていた。だが相手の申し出には思わず言葉を詰まらせる。遠目から見る分には構わないがあの中に入り込むなんて。あれは完全にカップルに向けた思い出作りのためのフォトスポット、記念品が貰えるとはいえあそこに二人で座ることは周囲にカップルだと宣言するのと同じ事だ。慌てて止めようとするも上手い言い訳は見当たらない。相手の顔をみれば一層の期待を乗せた輝きを放っていてこれはもう止められる状態ではなさそうだ。結果が変わらないのは分かっていながらもフォトスポットを指さし問いかけ)
一応友人同士や家族でも可能みたいだよ。 せっかくならば楽しまなければ損だろう?
(相手もフォトスポットの方を向いた後、こちらの顔を見る。二人で交わした約束と同様あまり目立ちたくないという様子が伺えたがこういうのは押すが勝ちだ。催しとしてはカップル限定ではなく近くに注意書きとして『友人や家族でも参加できます』と書かれている。周りの目が気になるならそう主張すればいい話だ。さりげなく逃げ道の言い訳を潰しながらも相手の問いにはさも当然といった笑みを見せてフォトスポットに近付く。意味合いとしてはあの温泉街のパネルと同じ、思い出作りの一貫だ。近くに寄るとこのイベント会場を担当するスタッフが話しかけてくる。相手と写真を撮りたい旨を伝えると一瞬驚いたような顔をされるがそういう客だと思われたのか直ぐに笑顔で案内がされる。どうやら手持ちのものでなく店側のインスタントカメラで撮影してくれるそうだ。 気兼ねなくフォトスポットの方へと向かい、中央の椅子に1人分のスペースを空けて座ると「…撮らないのかい?」と相手に声かけて)
……お前がそこに座ってんのに俺は撮らねぇなんて言えねぇだろ。ったく……
(雰囲気からして明らかにカップル向けだが一応どなたでも撮影可能ではあるらしい。バレンタインはチョコの受け渡しが醍醐味であってフォトスポットはオマケみたいなもんだ、なんて言い訳をする前に相手はフォトスポットへと向かいもう椅子に座った状態だ。ここから断るなんて選択肢はないだろう。相変わらず興味を持ったことにはまっしぐらだ。困ったような笑みを浮かべつつ相手の左隣に座る。カメラマンは何やらこのフェアの空気にあわせてかハイテンションで、男二人で並んで座れば悪ノリで撮影をしに来たのだと思ったらしく満面の笑みを浮かべながら近づいてきて『じゃあ君は左手を真っ直ぐにして鳩尾辺りに添えて、そのまま左腕を斜め下になるように左肘を下にさげて。で、右手はラジオ体操みたいに頭の上で円を描くように反対側に伸ばしてください。お兄さんはその反対の格好で、二人の下げた肘と伸ばした手をなるべく寄せるようにお願いします』とポーズの指定をしてくれた。全容の掴めないポーズ指定に不思議そうな顔を浮かべながら言われた通りの格好になると『そうすると二人で特大ハート作れますから!』と最後に添えられ予想外の言葉に唖然とした顔を浮かべ)
ふふ、流石僕の相棒だ。 なるほど、腕で形を作るわけだね! ____ありがとう。 なかなか良い写真だ、事務所に飾ろうか
(椅子に座った状態で相手に声をかけると困ったような笑みで隣に座る。何だかんだ満更でもないと言ったように見えるのは気の所為ではないだろう。そんな隣の相棒に満足気な笑を零しているとカメラマンが近付いてきてポーズの指示を飛ばしてくる。相手がその通りに動くのを見れば鏡写しになるように同じをポーズを取る。こちらの主観ではそれが何か判断出来なかったが、特大ハートという言葉に顔だけを覗き込んで納得したような声をあげる。指文字はしたことがあるがこういうポーズは初めてだ。斬新なアイデアに感心しつつもカメラマンが「じゃあ撮りますよ」と声をかけるものだかはそちらを向く。「はい、ポーズ」の合図の元、直後と少し後の2回ほど写真が撮られる。インスタントカメラはその場で現像することが出来るようで出てきたそれをイベント限定のフォトケースに入れて渡してくれた。同時に記念品の薔薇の造花1輪を貰うと写真を相手と共有しながらも冗談混じりに話しかけて)
………飾れるわけねぇだろ!せめて家にしろ家に…
(結局このポーズの意味が分からないまま、一枚目は呆然とした表情でシャッターがきられ、二枚目の時には案内係の店員がクスクス笑っているのをみてどうやら本当にハート型を作っているらしい事を自覚すると、なんともぎこちない顔でシャッターがきられてしまった。フォトフレームに入れられた写真を覗き込むとようやく特大ハートの意味を理解して、ハート型の花とハート型の風船で彩られた中でさらにハート型を二人で作っている姿に顔が一気に熱くなるのを感じた。強烈で忘れられない思い出にはなったがいくらなんでも恥ずかしすぎる。それなのに相手は呑気に事務所にこれを飾ろうなどと言っていてすぐさまストップをかけた。こんな姿所長に見せられない、というより誰にも見せられない。二人だけの空間であればかろうじて耐えられるだろうと家に置くことで妥協する。未だ頬を赤くしてフォトフレームを覗き込んでいると『めちゃくちゃラブラブじゃん』と聞き慣れた声が飛んでくる。そちらのほうを振り返ってみれば情報屋の二人、クイーンとエリザベスが立っていた。クイーンは楽しげに、エリザベスは嫉妬の顔でこちらをみている。水族館の一件のあとお菓子を持って謝りにいき、二人の関係を白状させられてはいるがそれでもあの瞬間を見られていたとは。思わず「げっ」と声を出してしまい)
意外だ、断固拒否されるかと思ったよ。 やあ、クイーンにエリザベス。君達もチョコレートの買い物かい?
(写真を相手と共有してみるとその顔はみるみると赤くなっていく。ハートの飾りに囲まれて自分達でもハート型を作っている姿はファンシーではあるが他では決して撮ることの出来ない光景だ。フォトフレームを握りしめてからかい混じりにも家ならと了承が下る。そもそも目に付く所に飾るというのも相手のプライドなどを考えれば事務所は勿論、家などでも当然却下されると思ったのだが意外な対応に今度はこちらが少し驚いた反応を示す。とはいえ許可が出たのなら部屋の見ようと思えば見れる位置に飾るのも良さそうだ。そんな話をしていると背後から聞き馴染みのある声。振り向くとある意味この場に一番相応しい女子高生達がいて変な声を出す相棒とは対照的に歓迎ムードで彼女達に話しかける。既に彼女達には関係は明かしている。写真のことは特に気にすることなく問い掛けると『勿論。といっても私達は友チョコと自分用だけどね。』とクイーンからの返答がされる。そういえば店の中には自分用のご褒美チョコという触れ込みも幾つかあった。本命やお世話になった人以外の為に買うという新たな方法に感心しているとエリザベスの視線は手元のチョコの入った袋に注がれ『翔ちゃんのそれ、フィリップ君の本命チョコでしょ』と相手に羨ましそうに言葉告げて)
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