検索 2022-07-09 20:46:55 |
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お前ほどじゃねぇよ……な、…ほんとに、大丈夫………ハハッ、流石は俺の王子様だ。頑張ってくれた王子様にはご褒美が必要だな
(無茶なお強請りに対して相手は困ったような、しかし幸せそうな顔を浮かべる。相手を困らせるような事を言っている自覚はあるがこちらの我儘を聞き入れて幸せそうにする恋人を見るのはどうしてこうも幸福な気持ちになるのだろうか。 全てを受け入れられているような心地にいつまでもその顔を眺めていたい気分になっていた。ベッドに運ぶといってもせいぜい体を引きずってだろうと構えていたが脇の下に手が潜ると軽く目を開く。そのまま膝裏にも腕が通って体を持ち上げられると更に目は大きく開いて思わず声が出る。まさか相手に再び持ち上げられる事があろうとは。あの時は体が小さくなっていたから良かったものの今はこちらの方が体格がいい状態、思わず相手の方を見上げる。その顔は男としての意地なのか苦しげな表情はひとつもなくて、踏み出す一歩ずつは重いものの不安定に揺れる事はない。予想だにもしない力強い所作にまた相手の知らない一面を見た気がしてグッと心を掴まれると思わず顔が赤くなってしまった。力尽きてベッドに放り込まれる事もなくゆっくりと下ろされれば慣れない丁寧な扱いに顔は嬉しいやら恥ずかしいやらで口は半開きのままだ。だがほぼ同時に相手は力尽きたようで隣にその身が転がり落ちる。どうやら体力的にギリギリだったようだ。先程までとのギャップも相まって思わず笑ってしまうも、こんな我儘を叶えてくれたのが素直に嬉しい。横に寝転がった体に腕を回すと今度は取り込もうとしている酸素ごといただくように、相手の唇をゆっくりとなぞり食むような口付けを送れば顔を付き合わせたまま微笑んで)
…なかなかにハードボイルドだっただろう?…、…はぁ、まだ足りない…
(運んでいる最中心配するような言葉を言われていた気がするが正直相手の反応に気を配る余裕も無かった。相手が首にしっかりとしがみついてくれたおかげで幾らかてこの原理で負担が分散されていたとはいえ普段は安楽椅子探偵の自分にはかなり無理のある行為だった。ほとんど意地で成し遂げだようなもので、知らぬ間に相棒のカッコつけたがりな所が移ったのかもしれない。だがそれも長くは持たずひとまず相手を運ぶことが出来たのを確認すると崩れ落ちる。隣で笑い声が聞こえてそちらを向けば顔はうっすらと赤みが残っていて嬉しそうだ。この表情が見れただけでとやる価値はあっただろう。いつもの相手の真似をしてハードボイルドだと名乗ってみるが疲労感の中ではイマイチキメきれない。一方で相手から呼び慣れない呼び方をされ、再び身体に腕が回され顔が近付いた。肺に取り入れるはずだった酸素ごと相手に飲み込まれて柔らかな唇がなぞったり食むようにして動かされる。疲れた身体に染み渡る熱。やがて唇が離れると思わず息を零すが向けられる微笑みは尚愛おしい。これでは物足りないとわがまま呟いてはこちらからも腰に腕を回して軽く引き寄せ、もう一度重ねると柔らかなそこを食むような仕草を織り交ぜながらも一際長いキスを交わして)
残念だが最後倒れちまうようじゃハーフボイルドだな。……ん、……は、…おれも…
(椅子からベッドまでの短い距離ではあったが相手は見かけ上は問題なく自分の体を運び終えたわけで、確かにそれは成果ではあるのだがその直後にヘロヘロになっていては最後まで格好がついていない。こちらの真似をしてハードボイルドを持ち出してくる相手には、こちらも相手を真似ていつも通りの返答をしておいた。ご褒美に送った食むようなキスの後、相手の口からさらにそれを望む言葉が零れれば、見え隠れする欲にこちらの腹底がゾクリと疼く感覚がする。先程煽てるのが美味いと言われたが相手だってそうだ、腰を引き寄せられると頭を撫でられ脳内に漂っていた浮遊感はじわじわと熱へと変わっていく。すぐにまた唇は重なって少しの間離れるのも惜しむよう重なったまま、時折相手の柔らかな唇がこちらのものをなぞればゾクリと体が震える。口の端からは時折息継ぎの為の熱い吐息を漏らして、唇が重なったままでは上手く言葉は話せず舌足らずな返事をする。こちらからも口先で相手の上唇を摘んで戯れるように弄ってやれば、脳内は熱を持ち始めて無意識のうちに口は半開きのままになる。相手の足りないという言葉が脳内に響く、もっと深く、もっと相手の奥に入り込みたい。そう思った時には艶めいた唇の間から舌先を覗かせ、誘うように相手の唇の間をそれで擽っていて)
……ん、…は……翔太郎、…
(いつもとは真逆の立場のやり取りを交わしたりもしたが再度相手の唇の感触を味わうとそちらの方に夢中になってしまう。ただ表面に触れるだけでは物足りなくなってしまって食むように動かしてみれば抱きしめる相手の身体が震えるのが分かる。熱い息が肌を掠めると再び脳がぐらりと揺れて体の奥からじわりと熱が滲んでいく。舌足らずな声と共に上唇を口先で摘まれると敏感にその動きを粘膜が捉えて小さく身が震えた。その内唇とも違う湿った舌先が伸びてきて隙間を擽るとこの先の行為を覚えている身体は無意識に薄く唇を開く。腕に力を込めて更に相手の身体を引き寄せ舌先同士を軽く触れ合わせた後、艶めいた唇を優しくなぞっていく。呼吸の合間に相手の名前を呼び、半開きの口内に舌を侵入して軽く撫でると先程のカスタードクリームのせいか甘いような気さえする。控えめに響く濡れた音にまた熱を増して行くのを感じながらも再び舌同士を触れ合わせて)
……ぁ、…ンっ……、ふぃり、…ふ…ッ、……
(誘うように擽った唇はこちらを迎えるように開いて口に薄らと笑みを浮かべる。しかし直後、腰に回されていた腕に力が入ってさらに引き寄せられ二人の体が密着すると、先程持ち上げられた時に感じたあのギャップがオーバーラップしてきて顔がじわりと赤くなるのを感じる。それを誤魔化すため顔が離れないようにと背中に回した手で相手の服を握った。開きっぱなしになっていた唇に舌先が這えば通った先から相手の熱で溶けてしまいそうで気持ちいいのに、体の芯は邪な疼きで震えて相手の服を掴む手に力が入る。愛しい恋人が自分の名前を呼ぶ声が聞こえる、薄らと目を開ければ先程冗談で言っていた通りその目は蕩けてしまったように惚けていて、こちらからも名前を呼ぼうとするがその前に相手の舌が侵入してきて最後まで名前を呼ぶのは叶わなかった。こちらから舌を差し出すようにして互いのものを絡ませていれば、控えめだった濡れた音はやがてその大きさを増していって、口の端からは呼吸のための苦しげな息継ぎと日常には似つかわしくない妖艶な水音が漏れだしていて)
……ン、…ぁ、は……、しょう、たろ…
(相手の身体を欲望のまま抱き寄せれば相手の顔に赤みが増したように見えた。密着していれば相手の些細な反応すら感じる事が出来て自分の世界に閉じ込めてしまったような錯覚にも陥る。服を掴む相手の手を感じながらも唇をなぞっているとその目が薄く開かれる。今日一日敵意に染まっていたり不安げに揺れていたその瞳はすっかり熱に蕩けてしまったような色をしていて目の前の自分だけを映している。その光景が何よりも美しく幸せで熱い吐息が溢れた。その瞳に吸い込まれるようにくっついて相手の口内に舌を伸ばす。相手からも応えるように舌が伸びてきてお互いを求めるように舌を絡める。その度に聞こえる呼吸音と水音は官能的でますます止まらなくなってしまう。逃がさぬように相手の身体を固定して暫し相手の舌と唇を存分に味わう。舌が溶けてしまうのでは無いかと思う程絡ませた後、ゆっくりと唇を離す。酸素を取り込もうと呼吸を繰り返しながらも熱に浮かされたような表情を向ける。もう不安など微塵もなくてあるのは目の前の恋人への深い愛情だ。腰に回していた手を緩慢な動きで頭部に移動させ、また緩くその頭を撫でてみながらも幸せそうに目を細めて名前を呼び)
…ふ、ン……ッ、は……ふぃりっぷ………もっと欲しい…フィリップのものにして欲しい……
(最初こそ撫でるだけだった互いの舌は段々と互いを求めるものへと変わっていって、口の中で爆ぜる淫らな水音が大きくなっても気にせずこの行為に夢中になっていた。体はとっくに熱くなっていてもとより甘やかされふわふわとした多幸感に包まれていたこの頭は歯止めを効かせるということを知らない。この場から逃げられぬように体を固定されてしまえば過剰な熱を逃がす術も失って、ただ相手から注がれる熱を全て受け止めていく。だがこうやって固定されなくとも相手から与えられるものは全て飲み下してしまいたいと思っているのだからどうしようもない。動かなくなった体はまるで相手の一部になってしまったようだと熱と幸福が溢れる頭では行き過ぎた考えが浮かぶ。どれほど唇を重ねたか分からなくなった所で、そこが外れた。息苦しかった分浅く短く呼吸を繰り返すのにもうこの体は物足りなくなっている。腰の手がゆっくりと頭にたどり着いてそこを撫で始めると目を細めて恍惚の表情を浮かべて口は幸せを示すように弧を描く。浅い息の中で聞こえてくる愛しい人からの呼び声はそれだけでこの胸を幸せで満たすのに十分だ。そしてどうしようもなく、自分のお強請りを叶えて幸せそうにする相手の顔がまた見たくなる。自分が愛されているのだと確かに確信できるその顔を、甘やかされている今さらに我儘にも見たいと願ってしまう。少しだけ身を乗り出して額同時を優しくあてる、そしてとっくに蕩け潤んだ瞳のままさらにお強請りを重ねて)
…は、…僕の全ては君のものだ。…、 余計なことを考えられないくらい僕でいっぱいにしてあげよう。…しょうたろう、愛してる
(短く呼吸を繰り返しながらも頭は熱で浮かれてしまっている。ゆるゆると手探りで相手の頭を撫でていると恍惚の表情を浮かべて幸せそうな笑みを浮かんだ。自分しか見れない顔、恋人だから見れる顔。独占欲と優越感の混ざりあったこの感情は心の奥底の欲望すら満たしてどうしようもない多幸感を覚えてしまう。相手が身を乗り出して熱を持った額同士が優しくくっつく。相手の息遣いすら感じられる至近距離で熱に濡れた瞳と共に更なるお強請りを受けるとぎゅっと心臓が掴まれるような心地がして欲の籠った熱い吐息が漏れた。こんな大好きな恋人の願いを断れる人物などこの世には居ないだろう。同じく至近距離で色欲を宿した瞳を向けながらも溢れる想いを吐き出す。再び短く相手の唇にキスを落とすと上体を起こしながらもゆっくりと相手の肩を掴み仰向けになるように押し倒す。上に覆い被さるような形になれば目を細め妖艶な笑みを浮かべて少し挑発的な言葉を紡ぐ。ネクタイに手をかけゆっくりと解きながらも相手の名前と愛の言葉を甘く囁いては再び唇を重ねて)
(/お世話になっております!そろそろ暗転が近いかなと思いましたのでお声がけさせていただきました。催眠暗示によるいつもと違う態度や敵対、気まずい空気などのシリアスからその後の持ち直す甘い展開まで幅広い描写が出来てとても楽しかったです!今までの積み重ねがあったこその展開ばかりでドキドキしながらお返事させて頂きました。 これからの事になりますがどういたしましょうか? また事件物や日常風景をやったり、先取りですがバレンタインネタとかも有りだな、などと考えているのですが是非とも探偵様のご希望も聞けたらなと思っております…!)
フィリップ……そうしてくれ、今はもうお前の事以外考えたくない………あいしてるぜ、フィリップ
(至近距離で発したお強請りに相手は吐息を吐き出して、その吐息が肌撫でればそこが溶けてしまうのではないかという程に熱い。幸せだけでない確かな欲の色が宿った瞳にゾクリと胸が疼く気がした。短く唇が重なった後ゆっくりと体が仰向けに倒されて相手を見上げる形になる。相手から降ってくる言葉は挑発的でいて独占欲も滲むものでそんな感情が自分に向けられている事がこの上なく嬉しい。こちらのお強請りが叶えられると思えばどうしようもなく幸せが胸に溢れてこのまま全てを相手に飲み込まれてしまっても構わないとさえ思ってしまう。こちらに向けられる妖艶な瞳を見つめればこの後の事を想像してしまって嫌でも熱が高まれば頬は真っ赤に染まってしまった。ネクタイが引っ張られてゆっくりそこが解けていく。それが最後の一線、最上級に甘い声に包まれながらこちらも最後のお強請りを口にすればもうこれ以上の言葉はいらないだろう。色欲で蕩けきった瞳を閉じて再び唇を重ねれば、後は相手へと身を委ねて)
(/こちらこそお世話になっております。暗転ありがとうございました!互いが互いを追い詰める展開にハラハラしつつ、少しずつ傷ついたものを治していく所を丁寧にやり取りできてとても楽しかったです。ほんとまさにこれまでの積み重ねがあったからこそ、その積み重ねを壊したりそれきっかけで打開したり、検索様と長くやりとりしているからこそ描写出来たことが多くとても楽しませていただきました。今回もありがとうございます!
今後の展開ですがその中ですとバレンタインなお話をぜひやりたいです!デパートに所長分を買いに行ったり二人でチョコ作ったりなんか楽しそうですね。検索様はいかがでしょうか?)
(/上の方が区切りが良いですので一旦こちらだけで失礼します。いつもの幸せな日々を過ごすのも好きですがこう言ったピリッとしたシリアス展開も好きなのでこちらこそ楽しいやり取りありがとうございました! それではお言葉に甘えてバレンタインなお話にしましょう。 2人で作るのも大変魅力的なのですが初めてのバレンタインなので女性客に紛れてデパートにチョコを買いに行く展開の方で本筋進めていくのはいかがでしょうか? その中で女子高生達などから友チョコを貰ったり前にちょっぴり話題になったウイスキーボンボンのネタをやったりなど色々混ぜて行けたら楽しそうかななどと考えております!)
(/では是非二人でデパートに買いに行く方向でいきましょう。今からゲンナリする探偵が目に浮かびます。女子高生組との絡みやウィスキーボンボン食べちゃう展開もぜひぜひ!また慌ただしい展開がまっていそうですね。デパートでやっている恋人で参加できるイベントに参加しちゃうのも楽しそうです。探偵が自ら出向かなさそうな所なので、出だしはお任せしてもよろしいでしょうか?検索くんが本棚で見つけて興味を示すとか所長から吹き込まれるだとか、お好きに始めていただければ…!)
…ねぇ、アキちゃん。バレンタインってなんだい?
(一番寒い季節は過ぎたとはいえまだまだ寒い日の続く事務所。依頼の方も大分落ち着いている中、定刻になればいつもの様にラジオの前の特等席に椅子を置いて座り、上機嫌に園.咲.若.菜のラジオを聞いていた。やはり彼女の声は心惹かれる物がある。今週はリスナーのおたよりを読むコーナーだ。その中で若.菜.姫はどんなチョコが好きかやバレンタインの予定などを問うおたよりが幾つか読み上げられた。未知の単語ながらもおたよりの内容と彼女の反応から近頃行われるイベントらしいことは理解が出来た。その他のおたよりも読まれていき『皆さんも楽しいバレンタインを過ごしてくださいね』という言葉と決まり文句を最後に番組は終わってしまった。その余韻に少しの間浸るも未知の言葉は好奇心を掻き立てるには十分で近くにいた所長に問いかける。すると所長は突然の問いに少しびっくりした後直ぐににやりと大袈裟に笑って『バレンタインというのは好きな人や大切な人にチョコレートを贈る行事よ!』と何故か相棒の方をチラ見しながらも教えてくれた。色々な行事をこの事務所で過ごしてきたがそんな行事があるとは初めて知った。となれば実行してみないと気が済まないのが性分だ。早速事務作業に取り組んでいる相手のデスクに一直線に向かうと目をきらきら輝かせながら興奮気味に「翔太郎!」と声を掛けて)
(/またいつもの様に面白そうなことがあれば好きに展開する形でバレンタインを楽しめたらと思います! では簡単に導入させて頂きますのでよろしくお願いします。こちら何も無ければ蹴ってもらって構いません。)
だぁっ?!なんだよいきなり!……先に言っとくがハードボイルドな男は甘いもんなんて食わねぇぜ?
(今日は依頼で外を駆け回ることも無い穏やかな日だ。出不精ではないがやはり寒いのは堪える、こういう日はコーヒーを片手にタイプライターを使って英字で報告書を作るのが一番だ。英字という名のローマ字表記なのは置いておいて、いつもの時間になれば相手は定位置について若.菜.姫.のラジオに聞き入っている。そのラジオの声を微かに聞きつつ、穏やかな日を満喫するようにまた一口コーヒーを啜った。やがてラジオは終わったようだが、直ぐさま相手は近くにいた所長に好奇心をたっぷりと含ませた質問を投げかけている。次いで所長がこちらをちらりと見遣れば『あぁこれは面倒な事になるな』と探偵の直感が冴え渡る。内容はバレンタイン、所長の答えも聞けばこの先の展開は大体読めるというもの。タイプライターに集中しようとしたが相手の行動の方が早くいつの間にか目の前に現れた相手に驚きの声をあげた。この先の展開なんてほぼ決まっているようなものだがせめて少しは抗いたい。先手を打つようにクルリと左手を回すといつもより芝居がかった口調でハードボイルド論を語ればビシりと相手を指さして)
この前シュークリームを美味しそうに食べていたのは何処の誰だい? そんなことより、僕も是非ともそのバレンタインという物に参加してみたい!大切な人がいるという条件は揃っているからね
(驚きと文句の声が向けられるが今は全くもって気にならない。芝居がかった口調でハードボイルド論が語られるが相手が普通に甘いものを食べるのは十分に把握済みだ。一例としてこの前のシュークリームを共に食べた出来事を持ち出してその言い訳を論破しておく。相変わらずのハーフボイルドをからかうチャンスではあるが今はそれどころではない。その話は一度脇においてテンション高くいよいよ本題を切り出す。未知の単語、若.菜.姫もオススメしていたイベント、数ある食べ物の中でもチョコレートを贈るという独特の行事、その全てが好奇心を暴走させるには十分な材料だった。簡易的に教えてもらった内容を聞く限り、チョコレートとそれを渡す大切な人がいれば成り立つ行事だ。その対象である相手もいることだし、参加する為の条件は揃っていると得意気に主張する。極めつけは最後の念押しにと相手をじっと見つめながら「…駄目かい?」と小首傾げて)
ぐ、……っ、あーー分かった分かった。バレンタインな。参加するのはいいが、チョコはどうやって用意すんだよ。
(先手を打ったつもりだったが直ぐさま論破されてしまい思わずくぐもった声を捻りだす。先日シュークリームを自ら購入した所なのだから言い訳も何も無い。だがバレンタインなんていかにも恋人っぽいイベントに真正面から取り組むなんて恥ずかしいにも程がある。どうにか気を逸らせないかと考えようとしたが、その前に相手に見つめられながら小首を傾げられれば嫌でも心臓は掴まれてしまう。まさに悪魔の所業だ。大切な恋人にこんなことをされて断れる人間なんていないだろう。瞬間詰まった息を吐き出し観念したように声を挙げる。これだってもはやいつもの流れだ。椅子から立ち上がり相手の隣まで移動する。バレンタインはいいが問題は相手へと送るチョコレートの準備、一番大きな選択肢は作るか買うかになる。そこを問いかけた所で『それならちょうどいいのがあるわ!』と所長のちゃちゃいれが入った。二人の間に差し出されたのはデパートの広告でバレンタインフェアなるものが開催されるらしい。様々な有名店が出店する他、若.菜.姫.がプロデュースしたチョコが販売されたり、イベントも催されるようだ。問題はそれが完全に女性向けイベントであること、「いやこれは…」と渋い顔を浮かべていて)
ありがとう、翔太郎! バレンタインフェア…、アキちゃんナイスアイデアだ。翔太郎、ここでなら色々な種類から選ぶ事が出来そうだよ、早速行こう! いいよね、アキちゃん。
(じーっと相手を見つめていれば観念したように承諾の声が上がり、ぱあっと表情を明るくする。いつもの流れではあるがこうして折れて付き合ってくれるのだから甘いし優しい相棒だ。嬉しそうに感謝を伝えるといざイベントに参加するための方法について問われる。それについては今から考えようとした所に話を聞いていたのあろう所長がチラシのようなものを持って声を掛けてくる。そこに書かれていた文字を読みあげ、中身を見てみればどうやら有名店が数多く出店する旨やイベント、そして何より若.菜.姫プロデュースのチョコの存在することを知りみるみると表情を輝かせる。もはや行かない理由など無いだろう。一般的なバレンタインが女性が男性にチョコを贈るイベントとは知らず、情報を教えてくれた所長にこれまたお礼を伝えながらも相手の方を向いて是非ともここに行こうと興奮のあまり相手の手を握りながらも誘いをかける。相手の答えを聞く前に隣の所長に早速声を掛けると『仕方ないわね、特別よ』と乗り気な返事が返ってきて外堀が埋まった状態で「翔太郎」と相手を見つめて)
な、待てフィリップ!そもそもバレンタインってのは………もうこうなったら止められねぇな。仕方ねぇ、デパート行くか
(広告の上に踊るピンク色にハート、チョコレートは美味しそうではあるが絶対に男二人で行くところではない。だが相手の好奇心エンジンはフル稼働で今すぐ飛び出して行きそうだ、実際にもう事務所を飛び出す気でいるらしい。一応止めようと試みたものの、手を掴まれさらに所長のゴーまで出てしまえば止める術もない。やれやれとため息をついてなし崩し的に覚悟を決める事にした。バレンタインの意味はデパートにつくまでに教えておく必要があるだろう。こちらの返事になぜか所長も上機嫌で『バレンタインはお世話になってる人にもチョコを贈るイベントだからね』と人差し指を立てるのをみれば、これに乗じてチョコを貰う気満々の所長様に「それが目的かよ!」と突っ込んでおいた。ともあれ好奇心爆発状態の相手をそのままにしておくわけには行かない。こちらを見つめる相手を宥めるように掴まれた手をトントンと叩いたあと、事務所の出入口の方へ移動すれば愛用のハットとジャケットを羽織って)
ああ、早く行かないとお目当てのチョコレートが売り切れてしまうかもしれないからね。 アキちゃんにもとっておきのチョコを買ってくるよ。____…防寒対策も完璧だ、行こう翔太郎。
(何かを言いたげな反応ではあったが所長のゴーサインも出れば反対する理由もなくなったようだ。こうやって広告として風.都.中に配られているのなら同じ考えになった人がデパートに集結するかもしれない。バレンタインというイベントを最大限楽しむためにもチョコが売り切れない早いうちに解除に辿り着く必要があるだろう。好奇心に声を弾ませながら所長の言葉にも無邪気な笑みを見せる。彼女だって大切な仲間であり事務所を支えてくれている大事な人だ。外出を許してくれる分お気に召すような美味しいチョコレートを買ってくることにしよう。宥めるように手を叩かれると勢いのまま握っていた手を離す。ラジオでも今日は寒いと言っていた。相手がジャケットとハットを取りに行くのを見ればガレージに上着を取りに行く。念の為に冬になったからと買って貰ったマフラーを巻いてみれば首元も暖かく事務所に上がってくればこれで外を出歩く準備は万端だと相棒に告げる。所長に「じゃあ行ってきます」と声をかけると早速事務所を後にして)
まぁ、若.菜.姫.のチョコレートのために行くってことにするか。よし、行ってくる。___とりあえず先に言っとくが…バレンタインってのは本来女の子が男にチョコレート渡す日だからな、つまり女の子が主役のイベントだ。そこらへん覚悟しとけよ
(会場の様子を想像すれば今から目眩がしそうだ、なんとかデパートにいく理由をみつけると自分の中で無理やり納得させておく。上着を取りにいった相手がガレージから戻ってくれば先日買ったマフラーを巻いていて、いつもと違って布に顔が埋まっている様に可愛らしさを感じて小さく笑みを浮かべる。よく似合っているがその事を口にすれば所長から揶揄いが飛んでくるのは目に見えていて口は噤んでおくことにした。出かける準備は万全となって軽く手をあげて所長様に後のことは任せて事務所を出る。あの期待に輝いた目と、ついでにいつも世話になっているお礼を兼ねて良いチョコを買って帰った方が良さそうだ。目的地は風.都.でも最大のデパート、イベントは大いに盛り上がっているのだろうがその前に相手にはバレンタインの知識を持っておいてもらった方がいいだろう。隣で歩く相手の方に目をむければ一番大事なことをいの一番に教える。これから行く場所が女性とカップルで溢れる場所であっても相手は気にはしないだろうし、覚悟を決めるのはむしろこちらなのだが、まずは雰囲気を掴む所からだろうと人差し指を立てながら説明し)
そんな決まりがあるのかい? 大切な人に物を贈りたい気持ちに性別は関係ないと思うのだが…。 でも本来ということは男性が贈るのもアリなんだろう? なら問題は無い。……ということは君も過去にチョコレートを貰ったことがあるのかい?
(所長に事務所のことは任せて外へ出た。予想通り外は寒いが上着とマフラーで動けない程では無い。今回行くデパートは初めて訪れる場所で隣に歩く相棒について行くような形で進んでいく。楽しみに浮かれていると相手がこちらを向いてバレンタインの説明をする。大切な人やお世話になった人にチョコを渡す日という所までは聞いていたがそこに性別が関わっているとは知らず初めて聞く情報に僅かに目を見開いて聞き直す。これまで体験した行事にはそういう性別に関する事項はあまりなかった。女の子が主役となればハードボイルドを主張する相手がやたら渋ったのも頷ける。だがフラットな目線から見ればわざわざ性別を限定する意味が見出せず不思議そうに呟く。その辺は帰ってから存分に調べあげることにしよう。それにその話を聞いても一度火の付いた好奇心は止まることは無い。本来という言い回しから例外の可能性を読み取れば一応確認しつつも引く気は無いと微笑みながらも告げる。周りが女性客ばかりだろうが大して気にならない性格だ。そのまま歩きながらもふと男性が受け取る側ということを再認識すると過去の相手のバレンタインについて興味本位に問いかけて)
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