検索 2022-07-09 20:46:55 |
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………____なら俺は唐揚げにするか。
(こちらから慌てて手を離したのにその手はどこか寂しさを訴えている。誰かと手を繋いだまま話したり笑ったりなんてした事もなければまともに出来るとも思っていなかった。そのはずなのに先程の数分間、まるでそれが自然な事のように手を取ったまま相手の方を見ながら話しが出来ていた。柄にもない事をしていた自分に自分で驚いていると相手も動揺しているのは同じようで、落ち着かない口調で返事が返ってくる。しかし最後の言葉は途中で打ち切られてしまって、その先に何を言おうとしていたのか想像してしまうと一気に顔に熱が上がって来るのが分かった。ついさっき相棒だと感じた相手にこんな感情を抱くのはどう考えてもおかしい、頭を振って余計な思考を振り払うと足早にコンビニへと入っていった。こちらはしっかりと昼食は取ったものの、あれだけいろいろあって動いてをすれば腹は減るもので相手と同じくホットスナックのコーナーを覗き込む。間食とはいえそこそこ腹に溜まるものが欲しくなってしまってこちらは紙ケースに入った唐揚げを選んだ。レジにいた店員に唐揚げを指差し言葉を交わした後代金を払い受け取って「この時間なら公園に誰もいねぇし、ブランコ乗りながら食おうぜ」と提案して)
ああ、そうしよう。___ ブランコなんて久々に乗ったかもしれない。予想通り人が居なくて良かったね。
(昼間から妙な光景を見るせいか変に意識してしまっている。心の内側に踏み込み、踏み込まれることに慣れているようなそれは先程まで冷静に対処していた頭を乱すには十分だ。それを打ち消すようにコンビニを訪れて軽食を調達することに意識を向ける。相手が唐揚げを選択し会計を済ませると続いて自分も肉まんと水分補給の為に水を購入した。すぐに食べるからと包み紙だけの状態で受け取ると蒸し器から出したてでアツアツなのが伝わってくる。続いての相手の提案にも賛成すると本来の目的だった公園に向かうことにした。学校などからも離れ穴場なのか相手の言葉通り公園にはほとんど人はいない。お目当てのブランコもどちらも空いていて早速右側のブランコに腰を下ろす。試しに軽く後ろに下がってから足を地面から離せばブランコは振り子のように前後に揺れて何だか懐かしいような気分に浸る。とはいえ大きく揺れたままでは肝心の肉まんが食べにくい。仕方なく一旦地面に足をつけて振れ方を小さくすると最近は乗ることの無くなったブランコに対して素直な感想を呟く。引き続きゆらゆらとブランコ特有の不安定な揺れを楽しみながらも早速一口肉まんにかぶりついて)
久々に乗ると揺られる感じが気持ちいいだろ?……なぁフィリップ。明日の巡回も一緒に来てくれねぇか?
(公園へたどり着くと予想通り人気はない、もう日は落ちていて子供が遊ぶ時間でもなく元々人通りの少ない所となれば夜はいつも貸切状態だ。相手の隣、左側のブランコに腰を下ろすと足は地面に着けたまま軽く体を揺らすようにして独特の浮遊感を味わう。相手はというと久しぶりのブランコを本格的に味わうためか足を地面から離して軽く揺られている。肉まんを落とさないか少々心配だったがやがてブランコは止まって、感想を呟く相手に同意するよう返事をしておいた。体をブラブラと揺らしたまま相手に続いてこちらも爪楊枝でひとつ唐揚げを突き刺してそのまま口へと運ぶ。ジャンクフードらしい濃い味付けだ、運動後にはピッタリの食べ物だろう。そのまましばらく咀嚼していたが、相手に言わなければならないことを思い出して口の中のものを飲み込む。こうやってブランコに座ると目を合わさなくて済むのが利点だ。一呼吸置いた後こちらから明日の巡回の同行をお願いした。自分には相手が必要だ、相棒という存在が。せっかく目線を前へ向けて合わせないようにしていたのに結局は顔を横へと向けると相手の様子を伺うように見つめていて)
ああ、こうして過ごすのも悪くない気分だ。…勿論付いていくよ。明日だけじゃなくて明後日もその次の日も、僕は君の隣に居たい。
(ゆらゆらと揺れながら暖かい肉まんを頬張る。今日一日、一緒に登校してパンを買ってきて貰って勉強を教えて、放課後は街を見回って少し危険な目にもあったが2人で切り抜けて今はこうして夜に近い時間帯に公園で買い食いをしている。決して一人では出来ない、しようとは思わない行動の数々を体験出来ているのは相手といるからこそだ。こうして小さな子供のようにブランコに乗りながら話すのも全部俗に言う青春という奴なのかもしれない。そんな時間をかみ締めながら二口目を味わっていると声が掛かって口の中のものを飲み込むと共に視線を向ける。続いた言葉は明日の巡回への同行を願うもので瞬き一つ挟んで嬉しさに目を輝かせた。前を向いていた顔がこちらを向き視線が交わると花の咲いたような笑顔を見せる。必要とされている、隣にいることが許されている。色々理屈を捏ねていたが結局心の奥底が願うのは相手と共にいることだ。直ぐにその願いを承諾すると真っ直ぐに相手を見つめ、明日以降も隣に居たいと自らの願いと意思を告げて)
フィリップ……ま、もちろん俺だけでも十分だけど。でもお前と居ると俺だけじゃ見えないものが見える、俺だけじゃ出来ないやり方が出来る。だから、……隣に居てくれよ、相棒。
(こちらの願いを伝えると相手の表情はより一層華やぐように明るくなる。そんなものを見せられればこちらも自然と笑顔になると言うものだ。
そして告げられた願いは自分と同じ内容、これから先ずっと隣に居て欲しいという願いだ。同じ想いを抱いていた事に照れくささを感じれば唐揚げのケースを傍らに置いていた鞄の上に置き、落ち着かない気持ちをそのまま発散するようにブランコを軽く漕ぎ始める。最初に口に出るのはやはり強がりな言葉なのだが、そのまま意地を張り続ける自分はもう居ない。一人でも街の巡回はできるかもしれない、だが相手と一緒にいれば自分には出来ない事を相手がしてくれる。そして相手が出来ないことは自分がやればいい。そうすればより一層この街を守れるように思った。つらつらと言葉を並べたが結局言いたい事は相手と同じ、ブランコを一際強く漕いで勢いよく飛び出し地面に着地すると相手の方へ振り返る。そして目の前へと歩み寄った。昼間は相手の影が自分へと刺していたが、今は二人共を公園の街灯が照らしている。そして手を差し伸べるとこちらからも同じ願いを口にして)
二人なら君の街を守るという願いもきっと叶えられるさ。…君の隣が僕の居場所だ、相棒。……それに不思議な感覚なんだけど、君とはずっと前から深い仲だったような気がするんだ。
(目線を向けていれば唐揚げのケースを置き、どこか落ち着かないようにブランコを軽く漕ぎ始める。初めこそ意地を張ったような言葉だがその後続いたのは自分の可能性を信じてくれて必要にしてくれるような言葉だ。その言葉が胸に染み渡ってくるのがわかる。やがてブランコの勢いのまま相手が飛び降りてこちらを振り向き歩み寄ってくる。昼間見た影の落ちた不満そうな面ではない、この街の街灯を浴びて決意に満ちた表情を浮かべた相棒の顔だ。一旦肉まんをカバンの上に置くと差し伸べられた手を取って立ち上がる。今度は離さないようにぎゅっと相手の手を強く握った。そして願いに応えるように笑みを向けながら相棒と返す。今日という日は忘れられない一日になるだろう。それと同時に改めて相手の手を握ってみてやはりこの温もりも心地良さも知っている気かする。デジャブと言ってしまえばそれまでで他人に言えばバカにされてしまいそうな内容だが相棒となった相手ならば茶化さないでくれるだろうと思い、昼間から感じていた妙な感覚を恐る恐る伝えてみて)
……俺の居場所もお前の隣だけだ。___んな事あるわけ……いや、実は俺もお前とは会う前から妙な繋がりがある気がしてたんだよな。まぁ俺達は二人で一人の探偵なんだしそれくらい当然……
(相手から強く手を握られる、相棒という呼び名に照れくさくもなるがやはりこれが一番良いと自分の中で何かしっくり来るものがある。相手が言う居場所という言葉には胸を強く掴まれた気さえした。この街を守るためだと強く言い張ってはいたものの、その実はそうすることでしか自分の居場所を見いだせなかったからだ。居るべき場所を見失っているのを認められなくて薄暗い場所に突き進んでいたのかもしれない。だが失っていた居場所はここにあると繋がる手から確信に近い想いが生まれる。それを口にしてみれば何とも言えぬ安心感が胸を満たした。次いで相手が恐る恐る口にしたのはまるで以前から知っているようだという何とも運命的なセリフで、そんな恥ずかしい内容を瞬時には受け入れられず条件反射的に首を振ろうとする。だが思い当たる節は山ほどあって否定の言葉は途中で途切れてしまう。屋上で言い合った時も今こうやって手を握っている今も、意識の外から何かが訴えかけてくるような気がする。だがやはりそんな運命だとかファンタジーな台詞は照れるもので、場を誤魔化すため冗談めかした事を言おうとした。だがそれも言葉が途切れる。何度も言い慣れた言葉を言ったような感覚なのに全く聞きなれない単語をいつの間にか口にしていた。ましてや探偵なんて名乗った事も無いのにその言葉さえ馴染みのあるものに感じる。混濁する記憶に眉を顰めながら段々と言い知れぬ違和感をこの身に感じていて)
っ、そのフレーズも思い当たる節は無いはずなのにとても馴染みがあるんだ。…やっぱり何かおかしい。まるで記憶ごと世界が書き換えられたような…、っ! 翔太郎、向こうから叫び声が!
(あるべき場所に戻ってきたようなそんな安心感。理論的でないものはあまり好まないが今だけはここが居るべき場所なのだと強い確信が生まれていた。そんな心地に流されて魂が訴えているような言葉にし難い相手との見知らぬ繋がりを伝えると相手も思い当たる節があるような反応でますます違和感は強くなってきた。続いて相手が口にした『二人で一人の探偵』だって一度も言ったことも聞いた事もないのに心臓が歓喜するように脈打ってその情報を共有する。知らないはずなのに知っている。自分一人だけなら気の所為かもしれないが実際は二人、それも何よりも大切だと思える相棒と同じことを感じているのなら話は違う。今の常識よりも相棒との深い繋がりの方が信じられそうだった。繋いで無い方の手を口元に添え思考を巡らせながらあるかもしれない可能性をぶつぶつ呟いていると突如先程通ってきた繁華街の方から複数人の悲鳴のような叫び声が聞こえてきた。何かしらの異常事態を感じられるそれに身体は反射的に動き出して相手に声を掛けながらも様子を見に行こうと繋いだ手を引っ張って)
お前も?!…あぁ、なんつーか前世がどーのとか馬鹿げた話じゃねぇ。世界が書き換えられた……、行くぞフィリップ!
(自分で言った言葉に自分で戸惑っていたが、相手からもそのフレーズに覚えがあると聞けば驚き目を見開く。いよいよ偶然だとか運命だとかではなく、現実にあるハッキリとした異物としてこの違和感は首をもたげてくる。相手も感じることは同じようでいつもの様に口元に手を当ててあらゆる可能性をあげていた。相手の言葉をこちらも反復して口にする、その表現が正しいような正しくないような、もう少しで答えが出そうな出ないような、そんなモヤモヤとした感触が胸を渦巻いていた。そんな最中、この場を切り裂くような悲鳴が聞こえてきて反射的にそちらを見る。相手に手を引かれるのとほぼ同時にこちらも走り出した。手を繋いだままなのを忘れて繁華街の道を走る、こうやって人々が逃げ出す中心に真っ直ぐ二人で走っていくのもやはり初めての気がしない。たどり着いた先に居たのは異形の化け物だった、不気味な顔が二つ着いた体は凡そ人間には見えない。その姿を見て無意識のうちに「ド.ー.パン.ト.か」と呟く。その瞬間に視界が開けた気がした。相手の左側に立って街を泣かせる化け物に罪を数えさせる、それが自分の、探偵の使命だったではないか。そしてそのためにこの奇妙な世界に足を踏み入れたのをようやく思い出す。軽く息を吐くと「ようやく目が覚めたぜ」と呟くように言って)
現場はあそこのようだ! …、僕もようやく思い出したよ。君もなかなか愉快な夢を見るんだね。 夢の中では直接メモリブレイクは出来ない、アキちゃんに研究室の残りのメンバーを当たって貰っているからそこで正解を引くまで粘るかド.ー.パ.ン.ト自身から正体を聞き出すか。どちらにしろ切札は君次第だ、翔太郎
(人々が逃げ出す波に逆らって騒ぎの中心に駆けつける。やがてその場所に人では無い異形の化け物の姿を見つけ、その顔がこちらを向いて真正面からそれを見たのと相手の呟きから曖昧だった本来の記憶が漸く全て繋がって、今に至る過程も相手との関係も全て思い出した。自分は相棒として相手の右側に立ってこの街を守る探偵だ。ここが相手の夢の中であることを思い出せば軽い笑みと共に視線を向けて揶揄うような言葉を告げる。以前学生だったらなんて話を帰る時にしたがその時の無意識下の願望が夢として現れたのかもしれない。だがここが夢の中ということはド.ー.パ.ン.トを目の前にしても解決策であるメモリブレイクは使えないということだ。。今回の事件のメモリの効果を夢の中に入る物だと仮定し、念の為眠る前に所長に容疑者のメンバーに当たるようにお願いしている。そこで正解を当てるか目の前の犯人から直接名前や手がかりを引き出して現実世界に戻って倒すしかない。明晰夢は自覚してみる夢であり、凡その場合夢の主が内容を自由に操れることが多い。夢と言うことを自覚した今、ここからは自分達のターンだといつの間にか手元に現れたこの街の風を操る緑のメモリを見せながら選択を投げかけて)
っ、俺だってまさかこんな夢見るとは思わなかったっての。そうだな……なら、腕力だけじゃねぇやり方であいつの正体暴いてやろうぜ
(こちらが全てを理解したタイミングで相手もこの世界の事を思い出したようだ。意識を共有したまま夢に入る事もそこに獲物をおびき寄せる事もきちんと成功していたらしい。だが夢の内容はコントロールが出来ないものとはいえ、まさかいつかの帰り道に話したもしもの話を夢で見てしまうとは。こちらを揶揄う言葉が飛んでくるとバツの悪そうな顔を浮かべる、よりにもよって一番知られたくない過去を夢という形で相手に見せることになるなんて。頭をガシガシと掻きながら言い訳のようなものを口にするが、まずは目の前の敵を見据える。不気味な二つの顔がニヤリと嫌な笑顔を浮かべながら『随分深く眠ってたなぁ』とこちらへ迫ってくる。夢の世界であれを倒すことは出来ない、まさに力だけでは解決できない場面だ。それならば敵の心理を誘導してやればいい、つい先程相手がやってみせたように。いつの間にか両手には切札が現れる、すなわちメモリとドライバーだ。ドライバーを装着すれば互いの意識が共有された。メモリを構えると同時に『力抜いて戦ってこっちが負けそうになるよう演出してくれ』と意識を飛ばした後ドライバーを発動させて)
ああ、今日一番のコンビネーションでも見せることにしよう。 _ 君の暴走で今回で終わりだ。
(夢はその人の願望や記憶を色濃く写すものだ。今日の学生として過ごした一日の言動や服装は過去の相手のモノに近いものなのだろう。思わぬ所で相手の過去を知ることが出来た興味深さはあるものの今は目の前の敵と夢からの脱出方法を何とかする方が先だ。腰にドライバーが現れて意識下で作戦が伝えられる。意識を共有した夢の中でも意識を共有するとは何とも不思議な状態だ。相手の作戦の意図を把握すれば頷いてからメモリを装填する。記憶が封じられた状態でも抜群の連携が取れたのだ、全てを理解した今の2人ならなんだって出来るだろう。相手のドライバーに意識とメモリが転送され、装填された切札のメモリと合わせて変身を果たす。夢の中でも相手が出来ると思えば大抵の事は出来るようだ。挑発するような言葉をド.ー.パ.ン.トに向ければ気に障ったのかこちらへ襲いかかってくる。最初こそ対等に見えるように加減して殴ったり攻撃を躱したりしていたが数回に一度わざと掠める程度のダメージを受けたり攻撃を空振らせたりと、追い詰められているように見えるように演出するように動き)
____っ、くそ…俺は姫華ちゃんのナイトだ!正体隠してコソコソしてる陰湿な奴とは違ぇんだよ!
(厳密に言えば眠りにつく前に変身はしているのだから夢の中でまた変身をするのもおかしな話だ。だがこういうのは形が大事と言うもの、二人で戦うならばいつも通りの手順を踏むべきだろう。それにこの装甲を纏った姿こそが真に一心同体なのだから。敵は変身した姿に不可解な様子だったが、これも夢の中にいるからこその産物だと思ったらしい。夢の中では絶対に勝てないと宣言する奴に合わせた演技をしてやろうではないか。相手の意識に合わせまずは互角の戦いを、しかし徐々に追い詰められるような動きをする。顔面に一発貰うと体は揺さぶられて足をふらつかせながら後退した。だがそれも演技だ、この夢が自分の夢でしかも明晰夢ならば、二人で一人の自分達は負けないと強く思う限り、どんなに追い詰められようとも目の前の敵を倒す事が出来るはずだ。肩で息をして荒く息を吐く、そして自分こそがかの姫を救う存在だと声高に言い放ってやれば、見事敵の逆鱗に触れられたようで更に逆上して攻撃の激しさは増していく。防戦一方の演技を続け最後には地面に膝を着いた。敵は勝ちを確信してこちらへゆっくりと近づく、ドリームキャッチャーのような武器をこちらの頭へ近づけながら『どうせこのまま永遠に眠るんだから正体を教えてやるよ』と勝ち誇った声色で自らの名前を口にした。仮面の下でニヤリと笑う、まんまと敵は罠にかかったようだ。「今だ!」と声をあげると共にこれまで耐えた分をお返しするように渾身の拳を敵へと叩き込んで)
君のメモリは夢の中に入る能力であって絶対的支配下に置くような能力はない。自分の能力を過信し、一方的に好意を押し付けた結果がこれだ。 …そろそろ僕達の仲間と警察が君のもとへ訪れている頃だけどここに居てもいいのかい?
(夢に関してのメモリならイレギュラーな能力を持っている可能性もある。それを使わせないためにも勝ち気だが実力の伴わない様を見せて調子に乗らせる方がいいだろう。喧嘩の作法やそれらしい負け方は相手の方が得意分野だ。流れてくる思考に合わせて力を抜いた動作を行って追いつめられたふりをする。そして狙い通り勝ちを確信したのか自ら正体を名乗るを聞けばもう演技の必要ない。渾身の拳はド.ー.パ.ン.トの腹部にくい込みその身体が大きく後ずさった。突然の形勢逆転に動揺しきった敵に仮面の下で得意げな顔をしながら簡単な種明かしを行う。彼女との関係にしても今の状況にしても自分と能力への慢心が招いた結果だ。自らの至らない所を認めて相棒のことを信じている自分達とは違う。その指摘が癇に障ったのか声を荒らげながら襲いかかってくるが単純な動きをあしらい更に拳を打ち込めばよろめいて敵は膝をつく。ド.ー.パ.ン.トの正体を知ることが出来ればこの夢の中には用はない。恐らく貸してもらった装置を使った自分達と同じく夢の中にいる間は現実の彼の身体は無防備のままだろう。そこを突いて彼の身に危機が迫っていることを告げれば分かりやすく動揺を見せる。所長がメンバーを当たっているのは本当だが彼の名前は伝えていないから半分はハッタリだ。だが追いつめられた状態では不安の方が勝ったのか『あとで始末してやるからな』と捨て台詞と共にド.ー.パ.ン.トはその場から姿を消した。直後周りの繁華街の景色が揺らいで瞬き一つ挟むと次に見えたのはガレージの天井だ。どうやら夢から目覚めたようだ。変身を解き自らの身体に意識を戻してから上体を起こすと隣の相棒に「どうやら脱出出来たようだね」と声掛けて)
(/戦闘部分も出来たので敵や依頼の方はさくっと描写のみで解決しちゃっても良いかなとも思うので好きに進めて貰ったらと思います…! 蹴可)
………なぁフィリップ、夢の中のことおぼえてるか…?
(まんまとこちらに化かされた敵は一瞬で形勢逆転された事実に動揺しっぱなしでまともに攻撃も出来ていない、膝をつかせるのは簡単だ。相棒のハッタリを聞けば敵は捨て台詞と共に尻尾を巻いて逃げていく。直後目を覚ませばそこは見慣れたガレージで共有された意識の中で「あとは片をつけるだけだ」と意気込んだ返事をした。すぐに所長へ連絡を取りド.ー.パ.ン.ト.の正体の名を告げれば、研究室のメンバーの動向をきっちり追ってくれていた所長はすぐに敵の位置を教えてくれた。そのままガレージに止めてあったハ.ー.ド.ボ.イ.ル.ダ,ー,に乗り、指定された場所で再び奴の目の前に躍り出てやれば敵はさらに面食らったリアクションをしていた。どうやらこの装甲は夢の中のものだけだと思っていたらしい。独りよがりな願望と自らへの過信に塗れた敵は自暴自棄にこちらへ突っ込んできたが、そんな相手に負ける自分達ではない。マ.キ.シ.マ.ム.ド.ラ.イ.ブ.を発動させ渾身の一撃を叩き込むとメ.モ.リ.ブ.レ.イ.ク.を果たしたのだった。全ての事に片がつき事務所で依頼人を見送ればようやく何時もの時間が戻ってくる。が、こちらはあまり平常心ではいられない。とりあえず落ち着くためにとコーヒーを入れているが気もそぞろで明らかにドリッパーに入れた豆に対して注いでいるお湯が多い。なにせ絶対に見られることの無いはずだった過去の姿を見られてしまったのだ、しかも一番思い出したくない時期のものを。夢であれば起きた途端に忘れている可能性はある、ちらりと相手を窺うように見れば落ち着かない様子のままその記憶を探ってみて)
…夢の中の事というのは君が派手な格好をして一匹狼をしていたことかい? 勿論バッチリ覚えているよ、中々面白い体験が出来たね
(正体を掴んでしまえばあとは簡単だ。どうやらメモリは夢の中での活動に特化したせいか戦闘能力は低くあっさりとメ.モ.リ
ブ.レ.イ.クをすることが出来た。眠りの中に閉じ込められていた彼らも無事に解放され、依頼は無事に解決した。今夜からは安らかな眠りにつく事が出来るだろう。危機も去り事務所にいつも通りの時間が戻ってくると中央のスツールに腰がけ、依頼のお礼として貰った夢に関する研究室の論文に目を通していた。一方で相手はコーヒーをいれているようだが横目で見ても明らかにお湯の量が多すぎる。せっかく豆にこだわっても入れ方がアレなら微妙な味になってしまうが、この事務所ではある意味日常の名物かもしれない。そうして穏やかな時間を過ごしているとその相手から問いが投げかけられる。論文の用紙から相手の方を見遣ると夢の中の事に対して例をあげてみる。学生になりたいという夢はある意味過去を見たようなもので相手にとっては恥ずかしい姿だったのかもしれない。だがそんな物珍しい姿はしっかりと頭に刻まれていて愉快そうに口角をあげつつも感想を口にして)
ぐ、……そんなに詳しく言うなッ!夢ってのは起きたら忘れるんじゃねぇのかよ……まさかあの時話した内容がそのまま夢になっちまうなんて
(ぐうの音も出ないほど正しく夢の中の姿、あるいは過去の姿を言われると息を詰まらせてしまう。どうやら予想以上にあの夢の内容は相手の記憶に刻まれているらしい。声をあげて抗議するもそれで相手の記憶がどうこうできるわけでもなくて虚しい声が事務所に響くだけだ。愚痴るように本来の夢とは性質の違うあの奇妙な夢を嘆く。意識を共有して眠りについた以上自分がはっきりとあの夢を覚えているなら相手も同じだろうというのは分かってはいたことだが、またひとつこちらの過去を知られてしまったのは恥ずかしい以外の何物でもない。湯を注ぐのを止めてポットに溜まった極薄のコーヒーをカップへと注ぐ。夢は大抵眠る直前に考えていた事や視界に入れていたものが反映されるものなのに、あの夢はどういう訳か少し前に二人で話した内容そのものだった。それに普段の夢に比べて随分と深い眠りについたのかいつもは断片的な夢もあの時は丸一日分相手とすごしていた事になる。二人で意識を共有したせいかそれともあの装置のせいなのか、そのヒントが相手のもつ論文にあるかもしれない。カップを片手に相手に近づき論文を覗き込む。小難しい内容はまるで頭に入ってこなくてコーヒーを一口飲もうとするが、極薄のそれは相応に不味くて「まずっ!」と咳き込んでいて)
どうやらあの研究所では外部の刺激による夢の操作も研究していたようだ。 その人が強く思う理想や願望を叶えた世界を明晰夢として自由に動けたら、といった趣旨みたいだね。今回の場合そういった作用を持つ装置で二人分の願いを引き出したからより鮮明で強い夢が出来上がったのかもしれない。…もうこれはコーヒー味のお湯じゃないかい?
(よっぽど見られたくないか忘れて欲しかったようで講義の声をあげる相手にクスクスと笑う。普通の夢なら起きてしばらく経てば次第に忘れていくものだが今回のはかなりハッキリとしていた。カップ片手に近付いてきた相棒に簡単にこの論文の概要を説明する。夢を自由に操ることが出来ることを目的に研究がされ、外部の刺激によってある程度どんな夢を見るか操作出来る旨が記されている。恐らくあの装置はこの研究を応用したものなのだろう。その人の理想の世界を夢として見せてからド.ー.パ.ン.トの能力で永久にそこに閉じこめる。それは邪魔者を排除して彼女と共になるための手段だったのかもしれない。その目的はともかく、研究内容としてはなかなか興味深いものだ。今回の場合、あの時の会話が興味や願望として脳裏に強く残っていて、それが色濃く出た結果が二人が同級生として学生をしている夢だったのだろう。何処か楽しそうに考察を話しながらも咳き込む程のコーヒーの味が気になれば相手の手からひょいとカップを奪い取って一口飲んでみる。お湯の割合が圧倒的に多くコーヒーとは呼べない飲み物に思わずツッコミを入れて)
強い願望か……そりゃお前と高校の時出会えてたらって話はしたけど、俺たちは今が一番だ。あの時に出会ってたら俺は探偵になってねぇだろうし…コーヒーを上手くいれられる夢の方がよっぽと俺の願望に近いぜ
(相手から論文の内容を聞けば納得するように数度頷く。一人分の体に二人分の意識が詰め込まれた状態で二人が同じ願望を持っていたからこそあの深い深い夢を見ることになったらしい。実際あの夢は今までみたどの夢よりも現実味を帯びていて、どんな夢よりもはっきりと記憶に残っている。この論文の成果と二人で一人の特殊な状況が生み出した産物と言ったところだろうか。だが願望という点には否定するように首をふる。確かにもしも一人で暴れ回っていたあの時に相手と出会っていれば二人で高校時代を思う存分謳歌出来た事は確かで、まさに二人でいればこの世の全てを制する事ができるんじゃないかと思える程には自分達が世界の中心にいるような気がしていた。しかしその時は楽しくともあの時点で相手に出会ってしまえばこの道へたどり着く事は決してなかっただろう。あの夜がなければ、罪を数えることがなければ、きっとこの場所に立ってはいない。極薄のコーヒーに咳き込んでいるうちにカップは相手に奪い取られてしまう、コーヒー味のお湯というのはカップの中身を形容するのにピッタリの言葉でやれやれとため息をついた。せめてハードボイルドな探偵として事件の合間の一時に美味いコーヒーをいれられるほうがいいと極薄色のカップの中身を眺めていて)
…そうだね。君と学生らしい事を出来たのは楽しかったけど、一回経験すれば十分だ。 僕の相棒は年上でコーヒーを入れるのが下手なハーフボイルドの探偵だからね。
(相手の言葉に穏やかに同意を示す。夢の中は絡んでくる治安の悪さはあるものの今より平和な世界だった。自分はメモリの開発に手を貸すことはないから街にガ.イ.ア.メ.モ,リが出回っていないし、鳴.海.荘.吉も命を失うことは無い理想的な環境だ。普通の学生としてお互いの長所で助け合ってあの時憧れたような学生生活を送るのは確かに楽しかった。だけど何処までも相乗りしようと契約をもちかけたのは学生の時に出会わずにあの夜に運命を共にした今の相手だ。お互いを相棒と認め合ってと何処か物足りなさを感じていたのはそういう背景と積み重ねてきた二人の時間を忘れてしまっていたからだろう。もう一回コーヒーに口をつけるがやっぱり薄い。相手に視線と共に褒めているのか馬鹿にしているのか分からない言葉を送ると「一緒に入れ直してみるかい?」と誘いをかけて)
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