相乗りで何処までも 【 〆 】

昨日は色々あったんだし、少しくらい休んでもバチは当たらないはずだ。…ん、くすぐったいよ
（相手を抱き締めて撫でることの許されたこの空間は幸せそのものだ。そんな時間をもう少しだけ延長する提案をしてみると一瞬迷うような間が空く。だがあと一歩その背中を押してしまうように腕の力を強めてこの温もりを伝えると結局は折れてこのままで居ると誘いに乗った言葉が聞こえてきた。この瞬間だけは仕事よりも自分の時間を選んでくれたようで仄暗い欲すら満たすようである。それを除いても急激に身体が戻ったことだし様子見することも大事だろうと自分の中でも言い訳を並べながら腕の中の温もりに擦り寄った。世界で一番大切な人がそばにいて甘えてくれている幸せと愛おしさを噛み締めていると顎下に柔らかな物が触れる。昨日もされた可愛らしい好意の示し方に小さく笑みを零しながらもお返しにとおでこにそっとキスを落として）

だな。少しくらい………お前に甘えるの、クセになっちまいそうだな
(相手からもこちらへ体が擦り寄る。風の街という大衆より相手という個人を選んでしまったが、それらを天秤にかけた時にこうやって手を出してしまうくらいに、相手は何事にも変え難く自分から欠けてはいけない存在だ。好意を示すために顎に送った口付けはお返しとして額に降って戻ってくる。柔らかな笑みが向けられるとこちらも自然と同じような表情を浮かべる。それこそ鏡みたいだ。柔らかで暖かな感触にまた安堵するような息が漏れた。視線を下へと戻すと胸板に擦り寄って目を瞑る。どんな願いでも叶えられる幸福が満ちた空間、欲しがっていた事すら忘れていた心地は一度知ってしまえばもう手放す事はできない。何時でも甘えるといいなんてそんなお墨付きを貰ってしまえば今後も直ぐに頭を差し出してしまいそうだ。そんな予感を笑い混じりに口にすると背中に回した手で相手の寝間着を軽く掴んで引き寄せていて)

だな。少しくらい………お前に甘えるの、クセになっちまいそうだな
(相手からもこちらへ体が擦り寄る。風の街という大衆より相手という個人を選んでしまったが、それらを天秤にかけた時にこうやって手を出してしまうくらいに、相手は何事にも変え難く自分から欠けてはいけない存在だ。好意を示すために顎に送った口付けはお返しとして額に降って戻ってくる。柔らかな笑みが向けられるとこちらも自然と同じような表情を浮かべる。それこそ鏡みたいだ。柔らかで暖かな感触にまた安堵するような息が漏れた。視線を下へと戻すと胸板に擦り寄って目を瞑る。どんな願いでも叶えられる幸福が満ちた空間、欲しがっていた事すら忘れていた心地は一度知ってしまえばもう手放す事はできない。何時でも甘えるといいなんてそんなお墨付きを貰ってしまえば今後も直ぐに頭を差し出してしまいそうだ。そんな予感を笑い混じりに口にすると背中に回した手で相手の寝間着を軽く掴んで引き寄せていて)

僕としては喜ばしい事ではあるけどね。君に頼られるのは好きだし、大事な所を明け渡してくれているようで嬉しい。
（お互い擦り寄って抱き締めて笑みを浮かべる。姿は変われどもやってること自体は昨日と同じだ。優しく相手の頭を撫でながらもその温かさを感じる幸せはこういう関係にならないと知ることの出来なかった物だ。背中の寝間着の生地と共に引き寄せられると更に距離が近づいて密着する。零された予感こそ自分が望むものでさらりとした口調で好意的な反応を示す。こうやって甘えられて必要にされるのは相棒としても恋人としても嬉しいことだ。そして何より痩せ我慢が得意で背伸びしがちなこの男の深い所に潜り込んで欲しがる物を沢山与えて自分でいっぱいにしてしまうのは凄く甘美な味がする。もっともっと自分のことを必要にしてくれますようになんて身勝手な感情を抱きながらも抱きしめた身体を宝物に触れるように優しく撫でて言葉を伝えていく。「その分僕も甘えさせて貰うけどね」なんて茶化すように笑いながらも更に擦り寄って）

昨日もそんなこと言ってたな。まぁお前には昨日で俺の全部見せちまったようなもんだし、たまにこうしてもらうか
(相手から聞き覚えのある言葉が聞こえてくると小さく笑う。こちらの方が年上でしかも相手は常識さえ抜け落ちた記憶喪失の身だ、恋人になったとしてもどこかで相手を世話するのが役目だと思っていた。それは変わらないのだが、こちらだって相手に甘えて弱音を吐いたって構わないのだとやっと心から思えた気がする。それにそもそも昨日の一日で決して知られる事がなかった幼い姿と性格と思いっきり甘える姿と、ついでに情事に溺れる姿まで見せたのだ。もう相手に知られていない事などないような気もする。頭が撫でられさらに思考は宙へと浮かぶような浮遊感と幸せに満ちていく。さらに擦り寄ってきた体を抱き寄せてその温もりを感じながら相手からも甘えると宣言されるとつられて笑いながら「おぅ、任せとけ」と力強く答え)

(/お世話になっております。元の姿にもどった後のゆったりした時間も楽しませていただいております…！二人の関係がまたひとつ変化して進んだ感じがして、これから紡ぐストーリーにも味が加わりそうで楽しみです。またtimeメモリ周りの設定も綺麗にまとめていただいてありがとうございました。そこらへんはふわっとしようかと思っていたのですが、きちんと理論だでた理由付けしていただいて、理路整然っぷりに背後で唸っておりました。
緩い時間を過ごしつつ、そろそろ次のご相談をさせていただこうかと思いましてお声がけさせていただきました。今回はかなりこちらで好き勝手やらせていただいたので、検索様のやりたい展開などありましたら是非教えていただきたいです！上のレスは一旦置いていただいても大丈夫ですので！)

（/こちらこそお世話になっております。元の姿に戻っても甘えられるように探偵君が可愛らしくゆったりした時間を過ごさせて頂きました！このままゆったりと会話で昼過ぎまで過ごすだろうと思いましたので心苦しいですかキリよくここで一旦蹴らせていただきました。恋人としてもまた一歩踏み込めた気がして重要なイベントとなったと思いますし楽しんでやり取りする事が出来ました。メモリ周りの設定も雰囲気重視で理屈もゴリ押し感が強かったと思ったのですが上手く拾い上げて頂いて嬉しかったです、また勿体無いお言葉もありがとうございます。
次のやりたい展開ですが嗜好が偏ってるのでつい似たような話になっちゃうのですが1.違法バーや裏賭場など怪しい場所に潜入調査・聞き込み中に少し危険な目になる話 2.長期に及ぶ調査で一週間くらいすれ違い生活になり限界突破な話 3.検索が所長経由でこっそりバイトして誕生日プレゼントを準備する話 が浮かんでいてその中で探偵様の興味のあるものがあるものやほかのアイデアがありましたら是非お聞かせください！）

(/次の展開のご提案ありがとうございます。どれも魅力的ですが、たっぷり緩い笑顔でいたので次はビシッとかっこいい探偵で行ってみたいですね！そうなると1の危険な目にあう話か2の限界突破する話でしょうか。1で一緒にピンチを切り抜けるのもいいですし、2で暴走気味な探偵をやってみるのもいいかなと…！
こちらは今回と同じような雰囲気になってしまうのでまた次の機会かなとは思うのですが、Nメモリの話をベースに夢の中で二人が同じ学校に通う高校生になる学パロっぽいことをする話かゾンビ映画のようにパンデミックに巻き込まれる話、みたいなのを考えておりました。
こちらとしてはどれも魅力的なお話ですのでお好きなものを選んでいただければと思います……！)

（/自分もそのどちらかかなとは案を出しながら思っておりました。2の暴走する探偵君も物凄く気になるのですが今の個人的な好みと願望で1の物をさせて貰っても宜しいでしょうか？ 不良だった頃の経験とかでアングラな知識や判断力が一通りある探偵君と文字としての知識はあるけど警戒心があまりない検索みたいな感じで怪しい空間の中でこっそり探りをいれたりしながらもかっこいい探偵君が見たいです…！
流れ的には行方不明になった人の人探しの依頼で失踪前の足取りを調べる内に色々薬物やギャンブルのような怪しい話を聞くようになってその温床となって浮かんだ場所に潜入することになり…みたいな感じでしょうか？
Nメモリベースのアイデアもめちゃくちゃ良いですね、学パロみたいな事をしつつも本来の記憶を取り戻して、みたいな流れとても面白そうで是非してみたいので次の機会にでもやりましょう！）

(/では1のシチュエーションでいきましょう！導入部分も了解しました。最初は上手く潜入してたのに嗅ぎ回っているのがバレて囲まれてピンチに、みたいな流れですかね！どちらかが人質に取られて追い詰められるみたいなのも出来たら楽しそうかなと思います。緊迫した中でかっこいい二人が見れそうで楽しみですね。最初の場面は犯罪の温床になっているところから突入、といったところからでしょうか？
Nメモリの話はまさにそんな流れを考えておりました。同学年となるとまた違う空気もできるかと思いますので次の機会にぜひやりましょう！)

…どうやらここのようだね。 じゃあ潜入しようか
（大きな通りから少し離れた裏路地の更に奥、ただ通り掛かったでは立ち止まることの無いような人気の無いビルの前に二人立っていた。今回の依頼は端的に言えば人探しだ。依頼人の息子が最近家に帰ってこない頻度が増え、顔を合わせた時も人が変わったようだと言う。大学に問い合わせても出席した様子はなくついには一週間連絡が取れなくなったことから今回事務所の扉を叩いたらしい。相棒は勿論その依頼を受け、大学など彼周辺の聞き込みを開始した。そこで最後の足取りとして浮かび上がってきたのがこの違法バーという訳だ。表には届け出がされておらず、噂ではメモリやドラッグの取引がされていたり莫大な金額の賭けが行われていたりと何かと怪しい話は聞くのだが表での聞き込みと地.球.の.本.棚での検索ではそこまでしか掴むことが出来なかった。そして最終手段としてリスクを承知で潜入調査を行おうと言うことで今に至る。最初こそ相棒1人で乗り込むと言い張ったが閉じられた場所であることと無茶しがちなことによる危険性を長々と言い聞かせると同行が許可された。いつもの服装だと未成年に見えるからと上着だけ相棒の黒いコートを借りた格好で相手に話しかけるとビルの中に入っていく。行き止まりのように偽造された重いドアをゆっくり開き黒く塗られた階段を降りていきながらも「何だか秘密基地みたいだね」と緊張半分未知の空間への好奇心半分に呟き）

（/まさにそんな感じです！人質の流れも楽しそうですね。今まで表での事件が多かったので危険な場所ならではのハラハラと緊迫したシチュエーションやイベントが楽しめたらと思います。では簡単にですが導入を回させていただいたのでまたうまい具合に続けて貰えたら助かります。
同学年も楽しそうですね、完全に反映しきれてなくて齟齬によって偽の記憶に気付くシチュエーションとかも出来そうで出来るのが楽しみです！）

…ここか……おい気ぃ抜くなよ。思った以上にヤバそうだ
(風の街をよく知っているというその意味は何も明るい情報だけではない。街を知れば知るほど日の光が当たらない暗い影もハッキリ濃く見えてくるものだ。そんな場所のひとつに今相棒と共に潜入しようとしている。暗い噂は耐えないのに詳細はハッキリとしない違法バー、そういう噂の漏れださない場所の危険度は軒並み高いことを知っている。そんな場所に相棒を連れていくなんて当然反対だった。いざと言う時が来たら困るだとかお守りがあるから大丈夫だとか、あらゆる方法で説得しようとしたが今回はダメだった。結局こちらが折れて今二人でそんな危険な場所に潜入しようとしている。呑気なことを言う相手に釘を刺すよう返事をしながら階段を下る。敵の巣の中に飛び込んでいくようなものなのだ、一瞬で危険に陥ることだって考えられる。階段を降りた先には下品な金縁で装飾された扉があって、その重い扉をゆっくりと開いた。中から光が漏れ出すとと共に重厚なクラシック音楽が流れでる。中は薄暗いがそこそこの広さはあるらしい。立派なバーカウンターの他にテーブル席がいくつも用意されていて、奥を見やれば黒のベストに蝶ネクタイを付けたディーラーらしき人物がいて、その前では何人かが手持ちのトランプと睨めっこしている。この店が健全ではないのは一目瞭然だ。テーブル席にはちらほらとグループ客がいてそこから漂うタバコとアルコールの匂いが鼻をつく。彼らの話し声は店内に流れる音楽でかき消されていて近づかなければ話を盗み聞くことは出来なさそうだ。相棒の方に顔を寄せると「とりあえず依頼人の息子探すぞ」と耳打ちし)


(/了解しました！そして導入ありがとうございました。とりあえずバーの内装描写しましたが、もっとクラブっぽい方が良いとか、今後の都合が良さそうな方に修正していただいても大丈夫ですので！
まさにそんな感じでちょっとした齟齬から夢だと気づいて犯人探しへ…みたいなたことができればと思っています。
それでは本編では出来なさそうなザ探偵ものって感じの薄暗くて危険な展開楽しみましょう…！/こちら蹴り可です！)

…中も随分と広い、何が起きても可笑しくない雰囲気がするね。…ああ、でも無闇に顔を見て回るのは得策ではなさそうだ。店員か常連客から情報を聞き出そう
（こういう所なことも粗方知っている相棒から釘が刺される。あまり経験がない自分でも分かる怪しい雰囲気、表にある健全な飲み屋というよりはMメモリの事件の際に訪れた違法カジノに近い物がある。階段を降りて重い扉を開けると想像よりも広い空間が現れた。薄暗い照明に重厚なクラシック音楽、嗅いだこともない匂いがして入ってきた外とは全くの別世界のような光景だ。客層も若い者から年老いた人まで幅広いがギラギラとした装飾品を身につけていたり全身黒ずくめのスーツの男性が居たりとやはり独特の人達が集まっているようだ。見慣れない装飾の数々に思わずキョロキョロと周りを見てしまうが相手の耳打ちで危険な潜入だという事を思い出す。だがここから人を探すといっても店内は薄暗く音楽が流れる空間では顔をのぞきみたり聞き耳を立てるのは難しそうな印象を受ける。それにここに集まっている人はそういう場所だと分かりながらも法を犯している者ばかりで余所者が嗅ぎ回っているとバレたらタダでは済まないだろう。地道にはなるが身近な所からさりげなく聞き込みをした方が良いとこちらからも耳打ちを返すと近くのバーカウンターに着く。幾らか飲みに来た客として話を聞く方が警戒もされにくいだろう。それにバーの飲み物への単純な好奇心も少し。自分のことに気付き近づいてきたバーテンダーに「友人に誘われて初めて来たんだ、おすすめと…彼には度数の低いものを一つお願い出来るかい？」と相手に目をやりながらも注文して）

あぁ。こういうとこは目立っちゃお終いだからな……悪いな、まだ酒覚えたての若造なんでね。でも金ならたんまりあるから心配すんな
(相手からの耳打ちに頷き返すとハットに手を添え位置を正してから後ろについてバーカウンターへ向かう。表立ってはいないがこういう所は監視の目が行き届いているものだ、少しでもこの場にそぐわぬ行動をすれば直ぐに怪しまれてしまう。空気が暗く澱んでいるこの場所に相応しい振る舞いをしなければならない。カウンター席につくと相棒から注文が伝えられたがその内容に思わずそちらを見そうになってしまった。未成年だというのがバレないように酒を注文するのはいいが、本当に成人済みのこちらの酒を弱いものにするなんて。先日を思えばその選択は正解ではあるのだが。文句は募るが言っている場合ではない。それよりも対処すべきはバーテンだ。酒を飲みなれていないのかと一瞬怪訝そうな表情が顔に浮かぶ。妙な印象を持たれるのは面倒だ、手をひらりと動かしてわざと自嘲気味に言葉を添える。次いで自信を顔に滲ませながら堂々と嘘を言い切った。懐の財布は泣いているというのに。まだ酒を覚えたての若造が大金を持って火遊びを求めやってきた、向こうにしてみればカモが葱を背負ってきたものだろう。「何倍にもできるんだろ？」とギラついた目をむければバーテンも『良い客』が来たと小さく笑みを浮かべている。そうしているうちに二人の前にはカクテルが置かれてグラスを取ると乾杯しようと相手の方へそれを差し出す。だが同時に相棒を見据えながら絶対に飲むなよと念を送っていて)

こういう所は慣れてないから何か不手際があったら申し訳ない。 …、柑橘系で飲みやすい味だね。…翔太郎、テーブル席の奥にも何か空間が続いているみたいだ。周りに見張りのような人が立ってる。
（バーカウンターに二人並んで注文を伝える。これで客として居座るのも自然となった訳だが怪訝なバーテンダーの一瞬の表情に気付いて相手が先手を打つ。流石場を踏んでいるだけあって咄嗟の誤魔化し方や対応が上手い。メインの聞き込みはやはり相棒に任せた方が良いだろう。こちらも多少謙虚に不慣れな事を伝えておく事にした。完璧にこなれた客になりきるよりも背伸びをしている隙のある人物と思わせた方が失敗もカバーしやすいし情報を聞き出せるかもしれない。2人の態度にこういう場に慣れていない若者が噂だけを頼りに夢見に来たと判断したのか表情は小さな笑みに変わっていて密かに安堵する。それからすぐに注文したカクテルが運ばれてくる。自分の前に置かれたグラスのお酒は透明から黄色へのグラデーションになっていて素直に感心できる美しさだ。相手からグラスを差し出されていることに気付けばそれに軽くグラスを当てるが同時に強い念の様なものを感じる。潜入捜査といえども未成年には飲ませられないと言った所だろう。正直に言えば飲んでしまいたいがアルコール耐性が分からない以上避けた方が無難だろう。口をつけグラスを軽く傾けて唇に触れるか触れないかの所に留めると匂いから味を推測して感想を述べる。一杯目を提供したのに加えて他の客からも注文が入るとバーテンダーはそちらへと離れていく。再び飲むふりをしながら辺りに目線を向けると賭事をしているテーブル席の奥、つまり部屋の隅辺りに店員が妙に複数人立っていることに気付く。良く目を凝らせばその奥に廊下のようなものが続いているが途中曲がり角があってその先は見えない。バーカウンターの下でとんとんと相手の膝を叩くとその情報を小声で共有して）

……あの奥が本丸ってわけか。ここで客の金の使いっぷりをみて本当に羽振りの良い奴だけがあの奥に招かれる。で、法外な額の賭事や普通じゃ手に入らねぇもんの取引がされてるわけだ。よくある方式だな。……豪に入れば郷に従えだ、俺達にしかできない手を使ってあそこに入る
(グラスが小気味よい音を奏でたあとこちらもグラスを傾ける。淡い青色のそれをほんの少しだけ口にしながら横目で相手を見やった。どうやらこちらの意図は伝わったようで相棒はギリギリアルコールに口を付けない絶妙な位置でグラスを止めている。それでよし、と勝手に心の中で思いながらグラスをカウンターへと置いた。周囲の客を観察しているとカウンターの下で相棒からの合図がある。もう一口グラスの中身を飲みながら今度はテーブル席の奥へと目線をやると、確かにそこには見張りがおり奥へと続く道が見えた。おそらくあれはVIPルームという奴だろう。ここを営んでいる奴らが本当に相手をしたい客、巨額を落とす人間のみが入れる場所だ。金を落とす方法はなにも賭事だけではない。あそこでは表の世界で決して手に入らないもの、すなわち薬物やメモリを選別した羽振りのいい人間に売りつけるのだ。失踪した大学生はそれなりに真面目に貯金をしていたのにここ最近で一気に貯金額が減ったという情報があった。あの奥で賭事に興じているのか、それとも巨額を投じなければいけないものを買っているのか、どちらにせよあの中に飛び込んで確かめる他ない。こっちは貧乏探偵だ、財布の中身を見られればすぐにつまみ出されてしまう。それならば今ここで増やすしかない。イカサマは好きではないが他に手はない、それに薄暗いこの場に相応しい手も使わなければ。服の下でドライバーを取り出すと「マ.ネ.ー.ド.ー.パ.,ン.ト.の時のこと覚えてるか？」と小声で確認して)

ああ、そういう目的の部屋なら依頼人からの情報とも筋が通る。彼がいるとするならあの奥だろうね。…、もちろん覚えているよ。幸い遠目から見た限りは同じ手が使えそうなゲームだった。羽振りをよく見せて中に招いて貰う事にしよう。
（情報共有をすると相手も奥の通路に気付いたようだ。それについて相手の推測が語られると納得したように頷く。いくら店内が薄暗いとはいえ噂にあるような取引や高額な賭け事をするには空間が開けすぎている。より安全かつ秘密的に運営するために、ここで通す価値や信用があるのか判断してお眼鏡にかなった人物だけに本当の取引や賭事を持ちかけるのだろう。実に理にかなった形態だ。依頼人の息子もある日を境に大金が引き落とされたという証言を聞くにあの場所に招かれたと考えるのが自然だ。探るべき場所の検討がつけばその次に入る為の手段を考える所だがこれについてはお互い考えることは同じのようだ。カウンターの下に取り出されたドライバーをちらりと見れば思わず口角があがる。絶対に他人にはバレることの無い二人にしか出来ないイカサマだ。ディーラーのカードの配り方を見る限りあの時と同じく心理戦が肝なゲームのように見えた。こういう場を運営してる以上相手側もイカサマを準備しているのを警戒しなくてはならないがこの場を切り抜けるくらいなら意思伝達で十分に事足りるだろう。その作戦に乗ることを決めた所でバーテンダーが帰ってくる。カクテルの味などを軽くやり取りしてから「ここでもっと呑むためにもお金を増やしたいと思うんだけど…挑戦出来るかい？」と問えば僅かにバーテンダーの目が細まる。快諾と共にテーブル席に案内され、グラスを持って移動しながらも作戦決行だと相手に目配せして）

あぁ依頼人の息子を見つけるにしてもここの闇を暴くにしてもあそこに入らなきゃならねぇ…なら手筈はバッチリだな
(どうやら相棒も考えは同じらしい。ここは二人にしかできないやり方でダーティープレイと決め込もう。虎穴に入らずんば虎子を得ずだ、全ての真相を暴くためにはあの奥に入るしかない。相棒がバーテンと再び言葉を交わしている感、澄ました顔を浮かべていかにも賭事に乗り気な表情を作る。狙い通りテーブル席へと案内されると相棒と目配せした後に服の下にドライバーを装着して後に続いた。テーブル席に案内されると目の前に広がるカジノスペースの説明を簡単に受ける。数種のゲームがあり、そのゲームの中でも賭けられる額の大きさによって卓が別れているようだ。ルーレットや半丁等があるが、自分達の能力を最大限に生かせるのはポーカーだろう。一番参加チップが高い卓に目をやるとこのテーブルからなら参加者全員の手札が見える。狙いを定めたところでバーテンが他の店員に何かを持ってこさせてテーブルの上に置く。曰く『私からの囁かな贈り物です』とのことだ。この若造はプライドが高いと踏まれたらしい、一度高額ベットをすればその後レートを下げられない愚かな男、ならば最初に少量の投資をすることで金を踏んだくろうというのが向こうの作戦といった所か。「ありがとよ」と手を上げて軽く礼を言う。こちらとしては大助かりだ、所長に経費にしては高すぎると言われながらスリッパが飛んでこないですむ。贈り物を手に取ると「じゃあ行ってくる」と相棒に声をかけ移動する。向かうは一番参加チップの高いポーカーテーブルだ。卓へつくと手持ちの半分をチップとして差し出す。いやに自信だけがある若造が高額レート卓に来たとなれば周囲の人間もカモが来たとほくそ笑んだようで、あっという間に残り三人分の席が埋まった。 ここからが二人の腕の見せ所だ。ディーラーから最初の手札二枚を配られ、参加者が各々カードを手に取って)


(/賭事ポーカーにしましたが正直ルールあまり分かっていないのでふわっと雰囲気進行でお願いします！/こちら蹴り可です！)

検討を祈るよ。 …僕はあまり賭け事は得意じゃないし、二人とも負けてしまったら悲惨だからここで見守ることにするよ。…ちなみにこのカクテルは何が使われているんだい？
（相手と目配せした後、コートの下にドライバーが出現する。これで相棒と感覚を共有することが出来るのだ。それを周りに悟られないようにしながらも共に説明を受ける。カジノのゲームもたくさん種類があるがその中で一番この方法で勝てるのはポーカーだろう。ルールを聞く限りは一般的な賭けに使われるテキサスホールデムポーカーであり、上手く周りを乗せられたら一気にチップを集められるゲームだ。思考だけの会話で参加するゲームを決めた所でバーテンから初回特典のつもりなのかそこそこのチップが渡される。相手の予想通り上手く煽れば搾り取れる若者と踏まれているのだろう。こちらとしても大金があると言い切った以上初期ベッドもそこそこで始めないといけない所があった為有難い申し出だ。それらを受け取った相手を手を振って見送った後、これからの作戦に集中することにする。とはいえ二人で来て片方だけがゲームに参加したとなれば周りから見れば不審なようで店員に理由を問われる。それにそれっぽい理由を述べながらも会話を続ける。勝負に勝つと同じくらい周りから怪しまれないことも大切だ。友人の勝負を遠くから見守っているという定でグラス片手にカクテルについての軽い会話を続けていると相棒の意識の方ではゲームが始まったようだ。最初に配られた手札と他3人の手札をちらりとこの位置から確認する。当然ここはベットだ。全員がチップを出した後に正面のカードが3枚開示される。相棒の手札と合わせればワンペアだ。他者も似たような手札のようで回ってきた番にコールを指示する。1人が降りて次のターンとなりもう1枚が開示となる。相棒にだけツーペアが出来たようでここは強気に行って良さそうだ。回ってきた番でレイズを指示して二倍の賭け金を出す。周りもそれに乗って来て最後のターン。全ての場のカードが開示され、相棒の手はフルハウスだ。ほかの残っている人の手札よりも強い。そのことを思考として伝えながらもショウダウンに向け『勝ったら調子に乗ったところを見せるといい』とアドバイス施して）

（/こちらもふわふわ知識しかないので雰囲気です！ 上記で流れ書いてみたら結構長文になっちゃったので重要な部分と結果だけ抜き出してサクサク進行した方が良さそうかなと思ったのでなんとなくで進めて行けたらと思っております！お互いの思考上のやり取りとかも勝手に進めちゃって大丈夫なのでよろしくお願いします /蹴可です）

レイズ……よしっ！初手からフルハウスとは今日の勝利の女神は俺の隣にいるみたいだな。悪いがチップは貰っとくぜ。
(意気揚々と卓についたのは良かったがポーカーのルールは知っていても場数は数える程しかない。それこそ賭事ではやったことなくて学生時にお遊びでしたことがある程度だ。ゲームの流れは手札を把握している理論派の相棒に任せ、こちらは相棒の思考に合わせた表情をするのと切り札を引き寄せる運を発揮するのに努めることにしよう。まずは周囲を伺うようにコール、次にレイズの指示が出た時には一時迷うような様子を見せてからレイズを宣言する。勝てるか迷う手札であると判断した残りの二人はこぞってチップを賭けていく。難しい顔を浮かべたままショウダウンとなると全員の手札が開示された。そのタイミングで渾身のガッツポーズを掲げる。分かりきった結果ではあったがここで大袈裟に騒いで周囲を煽らなければならない。その後の二戦目も同じような流れでまた持ち手が増え、時に控えめに勝ち、時にドロップして勢いだけでない曲者であるのを周囲にアピールしながら、次々に目の前にチップを積み上げていく。その度に「お前のチップいただいとくぜ」だとか「もっと賭け金が多くてもいいのに」だとか調子づいたピエロを演じていた。気がつけば周囲にいる客の注目を集めていて、チップが無くなって誰かが卓を去れば直ぐに他の客が卓について席が埋まる状態が続いた。周囲の客だれもが火遊びに来た若造が火傷をする瞬間を願っているのをヒシヒシと感じながら、相棒と意思疎通しつつゲームを進めていく。また賭け金を二倍にした状態で勝利を収めると「どいつもこいつも弱すぎだ、もっと骨のあるやついねぇのかよ」とそろそろ飽きてきたとでも言いたげな表情を浮かべていて)

僕の相棒が相当荒稼ぎしてしまってるみたいだ。『 ……翔太郎、その人が恐らくオーナーかそれに近しい人物だ。』
（手札が全部見えている状態だから当然と言えば当然なのだが相手の手元にはチップが積み重なっていく。こちらのサポートがあるのも勿論だが周りを乗せたり自信がなさそうにしてみたりの演技が上手く周りを上手く巻き込む所は流石相棒といった所だろう。調子に乗った若造に痛い目を合わせようと次々に挑戦者が現れるが的確な情報把握と話術のコンボで勝ちを積み上げていく。当然上手く行きすぎている結果に同行者である自分にも疑いの目が向くがこの位置から手札は見えても場のカードが見えずそもそも背中が向いている相手に指示を送ることができない旨を伝えると苦渋の表情を向けられる。証拠のないイカサマは立証することは出来ない。まさかお互いの感覚や思考を共有しているとは夢にも思わないだろう。その様子を見ながらも思わず笑顔で店員に呟く。気づけば豪華温泉旅行に優に二桁回は行けるチップが相棒の手元に集まった頃、奥の廊下からディーラーと同じ格好をした気品のある中年男性が現れた。身なりと話していた店員の反応を見るにそれなりの地位の人物だろう。思考越しにその事を伝えつつ、その男性が相棒に近付くと積み上がったチップの山を横目に賭けが上手いことを賞賛しながらも『…良かったらもっと額の大きい刺激的な遊びに興味はありませんか？』と誘いかける。釣り餌にようやく魚が掛かった。初めて来た若者に荒稼ぎされてこのまま帰すのは店としても避けたいはずだ。更に大きな賭けか買い物をさせてチップを回収した上で更に金を搾り取るつもりなのだろう。奥の空間に入るチャンスを逃すわけにはいかない。さりげなく合流して自分も入ることのできるように相手の元に向かえば「僕がやるように勧めたんだから山分けでもしようか」と無邪気な様子を装いながらも会話に交じって）