検索 2022-07-09 20:46:55 |
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断言は出来ないけども安心するというか惹かれる匂いがするのは確かだ。 …支配欲って奴かい? 問題ないさ、明日の朝までは左.翔.太.郎.だけの僕だからね
(正確にフェロモンかどうかと問われるとハッキリしたことは言えないがシャンプーの匂いに混じり相手にだけに惹かれる何かとなると一番近い答えだろう。抱きしめた時に体温と共に感じるその匂いが自然と安心出来て手放しなくない原因のように思える。泡立った全身をシャワーで流しながらも自分が感じていたことを伝えてみる。髪も身体も相手が普段使っていた物の匂いに包まれると話の流れもあってより根に近いところがお揃いになったようなふわふわした気持ちが支配していた。それを見透かしたように相手の言葉が聞こえてくるとまた一際胸が脈打つ。それを誤魔化すように軽く息を吐きながら空いてる浴槽の隙間に足を踏み入れた。そのまま腰を下ろしていけば当然スペースは狭く近い位置の肌が触れ合い、お湯の水位は増えて溢れ出した。相手の一部になるなんて支配されていることとほぼ同じだ。だがそれすら相棒にならば許せる、寧ろ望んでいる自分もいて奥底の欲が疼く。そんな考えに引っ張られると逸らされた視線をこちらに向けるように頬に手を添え、フルネームで呼びながら独占欲煽るような言葉を告げ)
まぁお前が安心するってんならそれでいい……っ、!お前な、そういうこと……フィリップ、反対向いて座り直してくんねぇか?
(自分が色気を振りまくようなものを放っているとはあまり思えないが、相棒は惹かれるものがあるらしい。今は誰彼構わず引き寄せるなんて迷惑だ、こちらを向いていて欲しいのはたった一人しかいない。その人物をまんまと誘惑出来ているのだから、つまりは現状維持でいいようだ。その香りの一部であるシャンプーとボディソープの香りを纏って相手も浴槽へと入ってくる。予想通り男二人入るのはギリギリだ、溢れたお湯が床で跳ねる音が妙に浴室に響く。まだ一部しか肌が触れていないのに、既に鼓動は早くて平常心など保っていられそうにない。それなのに相手の一言で、自分でかけていたブレーキがひとつ壊れた気がした。今まで意識はした事はあれど口にしたことはなかった支配欲という言葉。心惹かれる相手を自分の手でどうにでもしてしまえる快楽、決して健康的とは言えないその思考を言葉として形にされてしまって、しかもそれを受け入れるような事を頬に手を添え真っ直ぐと言われれば、息を飲んだ瞬間に理性など簡単に溶けてしまう。口からは窘めるような言葉が出ても体は相手を求めるように動いて、腰に腕を回してこちらへ引き寄せようとする。だがこの狭い浴槽の中で正面を向き合ったままでは近づける距離にも限界がある。より近づきたい、肌を触れ合わせたいと願った時にはもうそれを実現するためのお願いを口にしていて、少しずつ正気を失いつつある目で相手を見つめていて)
言い出したのは君の方だよ。 …仕方ない、他ならぬ君のお願いなら聞くとしよう。_ またこの体勢になるとはね。
(二人して浴槽に入ればあまり身動きは取れない。そんな中でこちらの発言に明確に反応するのを見れば無意識に口角が上がってしまう。同じ匂いだと言い始めたのはそちらだと責任を押し付けながらも濡れた指先で頬をなぞって目線を合わせていると息を飲む仕草さえも分かって相手を自分が乱しているのだとタチの悪い優越感が胸を支配する。同時に距離を詰めようと相手の腕が伸びてくるが狭い浴室ではどうしてもお互いの足が邪魔してこれ以上近寄ることはできない。口調こそいつも通りだが理性が溶けつつある瞳でお願いされるとそういう事だと意識してしまってまた心臓が煩くなった気がする。吐き出す熱い息を誤魔化すようにやれやれとした態度を取りつつ一度立ち上がって同じ方向を向くように座り直す。浴槽の広さの違いはあれど露天風呂の時と同じ体勢だ。相手の足の間に座り、洗ったばかりの後頭部を肩に預けるようにして肌を密着すると「今日は逆上せないようにしないと」と前回の教訓を口にして)
この座り方が一番近づけるだろ。逆上せないように気をつける……____これで全部俺のものだ
(こちらの願いが聞き入れられて、相棒が足の間に座ると背中を預けるようにしてもたれかかってくる。向き合った姿勢では決してできないゼロの距離間、狭い浴槽に押し込められ偶発的に当たっていた時とは違い、明確に全身が相手と触れ合うようになる。温かなお湯の中でも一際その体は温かく、腕を回して抱きしめると柔らかで心地好い。逆上せないように、と口では言うもののあまり自制できる自信はない。既にその返事さえ熱い吐息混じりで声も震えそうになっている。先程の言葉ですっかり欲を煽られてしまったというのに、それを制すように言うのも同じ人間だなんて理不尽な話だ。まんまと相手の手のひらで踊らされているように思うが、そうやって揺さぶられ翻弄されるのが至福だと思うのだからどうしようもない。こちらに預けられた後頭部に鼻をくっつけてその香りを吸い込む。自分が使うシャンプーの香りの中に、いつもの相手の匂いが混じっていて、それが余計に自分のもので染めた実感となってゾクゾクと邪な欲望が背中を這い回る。その欲に身を任せ後ろから相手を強く抱き締めると、静かに唸るように呟いた。いくら相手が自分の香りで染まっても相手そのものがこの腕の中にいなければ意味が無い。自室の中でも特別プライベートな浴室でこの腕の中に相手を閉じ込めれば、決して誰にも触れられぬ自分の場所に相手を引きずり込んだようにも思えて、膨れていく独占欲と支配欲とを発散させるように、その首筋に数度口付けを落として)
ああ、君の熱が直に後ろから伝わってくる。 それにこの状態では逃げられそうにもない。……ん、
(背後から腕が回され抱きしめられる。温かなお湯の中でも触れる肌はさらに高い温度で先程の何十倍も相手の存在を感じることが出来る。この体勢のままこちらの忠告に耳に近い場所で熱い吐息を感じると必然的にあの時の行為を思い出させてじわりと熱が登ってくる。狭い風呂場でこうして背後から腕の中に閉じ込められてしまうとろくな抵抗が出来ないことを知っている、逃げるなど持っての他だ。頼まれたとはいえ自らその体勢を受け入れ、相手が好き勝手させることを望んでしまっている現状に鼓動を早くしながら自らその状況を打ち明けた。背中を預けていると鼻先が近づけられ匂いを嗅がれている気配がする。それがマーキングを確認するような行為に思えて相手に染め上げられていると自覚させられているようで熱く息を吐いた。さらに腕に力が込められ普段は聞くことなどない低い声で独占欲剥き出しな発言をされると背筋にぞくりと興奮が走る。そうして熱持った首筋に唇の柔らかな感触が触れると頭を傾けてその場所を明け渡しながらも吐息こぼして)
明日の朝まで俺のもんなら逃げられなくても問題ねぇだろ。…っ、……フィリップ…ここならいくらでも声出しても良いからな
(強く抱き締めた相手から現状を説明するような事を言われると今からこちらがしようとしている事全てを受け入れられているようで、さらに歯止めが効かなくなってしまいそうだ。抱いた体は温かいが、あの露天風呂で抱いていたそれはもっと熱かった。あの時のようにもっと蕩けて乱してしまいたいと邪な考えが喉元まで湧き上がってくる。首筋に口付けを落とすと熱い吐息が聞こえてきた。あれをもっと聞きたい。欲望に塗れた体は何か言う毎に熱い吐息を含んでいて、またひとつ理性が壊れていく。耳に口元を持っていけばあの夜の事を思い出させるように、声を我慢しないようにと吐息をそこへあてながら囁く。そしてあの時と同じように、気道を塞げないよう顎に手を添え上を向かせた。ここは自分のテリトリーだ、いくら相手が甘く啼いた所で誰にも聞こえない。その声すら全て自分のものだ。顕になった首筋にもう一度口付ける。唇を押し当て水っぽい音と共に離して、浴室中に口付けた事実を示す音を響かせる。やがてそれでは足りなくなって、口から舌をのぞかせた。耳の裏からゆっくりと下へ丁寧に何度も舌を這わせる。ボディソープで洗ったばかりの綺麗なそこを舐めると、相手を自分の唾液で汚しているような、しかしより濃くマーキングしているような、そんな気がしてより胸の内が昂るのが分かる。持て余していた片方の掌でゆっくり腹のあたりを撫でてその柔らかさを楽しみつつ、舌をわざと複雑に動かせば余計に淫らな水音が舌と肌の接触部から響く。下へと移動した舌は最後に項へと至ると、舌全体を使ってゆっくりとそこを下から上へと一度舐め上げて)
っ、は…、相変わらず、意地が悪い。ッ、ぁ、…っン、ぅ…ひっ、うなじや、だっ
(耳もとに口が寄せられ吐息と共に乱れていいと吹き込まれるとこれからされることを予告されているようで期待にぞくりと身が震えた。声を出しても良いと言いながら実際は強制的に声を出させるように顎を持ち上げてくるのだからタチが悪い。まだ比較的正常に働く理性でその事について憎まれ口を叩いてみるが直ぐに首筋に唇が触れわざとらしいリップ音が響くとまた熱がせり上がってきた。1人用のバスルームは客室や露天風呂より狭く密閉されていて些細な音すら大きく反響する。唇だけだった感触が生暖かく湿った舌に変わり、耳の裏からゆっくりと舐められると身が震えて我慢出来ない甘い声が漏れ出る。その度に揺らぐ水面の音、肌の上で弾ける水音、そして上擦った声が浴室内に響いて頭の中を乱していく。何度も入念に滅多に人が触れることのない場所まで相手の物だとマーキングされるような感覚。身動ぎする度に自分の髪からシャンプーの匂いがして本当に相手の物になったような錯覚をし始める。舌はやがて首の後ろにたどり着き、項の下部に温かな感触がすると一際鋭い声を上げるとともに身体が跳ね上がる。初めはほかの所よりも少し擽ったさを覚える程度だった場所。それが何度も熱持った状態で愛でられ、そういう所だと擦り込みを受けると触れるだけで反応するような部位になってしまった。そこを舌全体でゆっくりと舐められるとどうしようもなくなってしまい、背反らしながら幼く駄々こねるように頭左右に振り)
…、……は、……やだじゃなくて、好きだろ?
(こちらが与える一挙一動に対して腕に抱く相棒の体は強ばったり跳ねたりなんらかの反応を示していて、思うがままに反応するその姿に劣情が煽られていく。自分はどうしても相手の甘く上ずった声が好きなようで、憎まれ口を叩かれても顎を上向きにするのを止めない。そのおかげもあって相手が刺激に喘ぐ声はこの浴室によく響き増幅されこの鼓膜を揺らすと、腹底に潜んでいた欲望さえ脳へと呼び寄せられていく。口元は項に添えたまま、そこを塞ごうと邪魔する毛先は鼻先で払って隠されていた場所を暴き出すと口を開ける。そこを食むように大口を開け唇をそわせて撫ぜて、それを何度も繰り返すうちだんだんとそこは唾液で濡れてきてまた淫らな水音が溢れ出す。十分項が艶めいたところで、不意に今度は唇ではなく歯を項へと当てた。噛み跡がつかない程度に、しかし硬い歯がしっかりと肌をなぞるように口を動かす。頭を振る相手には思わず鼻で笑ってしまって、わざわざ耳元で「好き」という言葉を囁いて、そこへの快楽を刷り込んだ。一際強い反応を見せる項を執拗に食むようにして唇と歯とで愛でたあと、髪で普段は見えない場所に口を近づけると歯を立て今度は強く噛み付く。硬い歯は容易に相手の柔肌を突き破り傷つけ、そこにくっきりと赤い跡を残して)
ぁ、歯立て…ッ、ぅ…しょうたろ…、待っ、ーッ!、は…
(いつもならば髪であまり見えない場所に口元が寄せられ好き勝手されてしまっている。その部位を食むように開いた唇を押し付けられると柔らかな感触が全面から伝わってきて堪えきれなかった息が口から溢れる。やがて唾液で滑りもよくなり艷めくと耳の後ろから水音が響いてきてまた脳内を掻き乱していく。それだけでも十分な刺激であるのに今度は硬い歯を立てられるとまた大きく身が跳ねた。肉食動物が得物に対して食らいつく位置を決めるような動き、唇や舌よりも硬さを立つ歯で肌をなぞられる度に捕食されてしまうような感覚に陥って熱い息を吐く。小さな抵抗見せる様子を揶揄され、熱で蕩け始めた頭ではあまり深く考えられなくて耳元で囁かれるまま今の行為と『好き』が結びつきそうになる。それを更に擦り込むように項を執拗に愛でられると途切れ途切れに喘ぎを零しながら情けなく名前を呼ぶことしか出来ない。一旦唇が離れ今度は髪で見えなくなることの多い生え際辺りに歯を立てられると嫌な予感がして思わず声を張り上げた。だがそれも虚しく強く噛みつかれるともはや言葉にならない声をあげて大きく背を反らす。じくじくと赤く残った跡から広がる痛みもそれが勝手に変換される快楽も理性をめちゃくちゃにするには十分でじっとり額に汗かきながら短く呼吸繰り返し)
……やっぱり好きなんじゃねぇか。フィリップ……その目、好きだ。
(唇から歯へ、そして跡へとだんだん刺激は激しいものになっているはずなのに、相手はそれを痛がるどころか甘い声と共に体を反応させている。こちらが与えるどんな刺激にも乱されているその姿が愛おしくて、もっと強い刺激を与えてもっと啼かせたくなってしまう。また耳元で意地の悪い言葉を囁きかける。項を噛んだ時にピンと張った背中が狂おしい程綺麗で、それを教えるように人差し指で背筋をゆっくりなぞった。先程刻んだ赤い跡に再び舌先を這わせる。痛みが伴うのが分かっているのに、ここに証が出来たんだと知らせるためにまた執拗に何度も舌で刺激する。相手は自分のものだとより刻みたい独占欲と、痛みによがる相手をみたいという嗜虐心が、この胸を濃く熱く渦巻いていて歯止めが効かない。ようやく項から口を離すと体勢を変えて相手と目線を合わせた。今日失うかもしれないと思った目は好奇心に輝き、時に不満げに細められ、今は熱で蕩けている。それが自分にだけ向けられているのが何よりも幸福で、もっともっと自分だけしか見えないようにしてしまいたい。愛おしさを込めて瞼に口付けを落とし、そのまま今度は唇同士を重ねた。最初は柔肉を触れ合わせるだけ。そこからそこを食むように唇を啄むと、直ぐに唾液に濡れたそこは水っぽいリップ音を発し始めて)
ぅ、好き…、っあ、ン…、はぁ…しょ、たろ…んっ
(痛いのが悪くないだなんて明らかな異常だ。風呂の熱とせり上がってくる熱でぼんやりとした頭の中、囁かれるまま自分でも『好き』と口にしてみると自分の声が浴室に響いて本当にそうであるような認識に書き換えられていくようだ。背筋をなぞられピンと張った姿勢で固定された状態で再び跡に舌先が這うと鋭い痛みが走って声があがるがその場所を刻みこむように何度も往復すると徐々に色が濃くなっていく。誰よりも優しく視覚を失ったと聞いただけであんなにショックを受けていた相棒が今や本能のまま傷つけるような行為を行っている。それが自分に夢中になっている証拠のようで嬉しくて堪らない。湿った舌が傷口を這う度にびくっと体を震わせながらも暴力的とも言える欲を享受していた。ようやく項から唇が離れると深く熱い息を吐きながらも体勢を変えられ目を合わせる。散々乱され涙が滲んで蕩けた瞳は愛おしい恋人の姿だけを映す。呼ばれた名前に応えるように舌足らずの口調で甘く相棒の名を紡ぐ。瞼に一瞬キスが落とされ、直ぐに柔らかな唇同士が触れ合う。やがて食むような動きに変わるともっと相手の全てを感じたくなって此方からも擦り合わせるように唇を動かすと隙間探すように舌伸ばしてなぞり)
っ、……フィリップ……ふ、ン……
(こちらが導くように囁いた言葉に誘導されるまま「好き」だという言葉を引き出すと、ゾクリとまた劣情が刺激される。その体から香る匂いさえ今は自分のものに染めているのに、さらに精神さえ犯してしまっているような背徳感。涙で滲んで蕩けた目をみるに、もうまともな思考なんて働いていないだろう。この聡明な頭脳をこんなにも乱しているのが自分だという事実、それにまた極上の悦びが体を走って胸にどす黒い支配欲が滴り落ちて広がっていく。そんな中で途切れ途切れに名前を呼ばれれば、相手にこの胸をぐちゃりと握り潰された感覚に陥った。まともに言葉も紡げない程乱れているのに、必死にこちらの名前を呼ぶ健気さに腕の中にいる相手にさらに心が奪われていく。重なった唇を互いに擦り合わせているうちに唇とは違う柔らかさのものがこちらへ伸びてきた。それを逃がさぬように、舌を出すことによって出来た隙間へ自分のものを侵入させて口をこじ開けると、相手の舌ごと絡めとってしまった。今度はその舌を愛でるように舌の付け根から先へ、表も、側面も、舌先でなぞっていけば、どちらともつかない唾液が口内で跳ねる音が互いの口の中で響いていて)
…ッ、…ッん、…ぁ、
(熱を孕んだ頭はもはや正常に働いてはいない。いつもならばあらゆる情報を取り入れる為に働く五感も今は相手からの刺激を受け取るためだけの器官と化している。身体を取り巻くお湯の温度は感じられずそれよりも高い相手の体温だけが分かる状態だ。何度口付けを交わそうと柔らかい唇は病みつきになる心地良さでそれを確かめるように舌でなぞる。すると相手からも舌が伸びてきて唇の隙間をこじ開けられ容易に侵入を許す。表面から裏面、奥の方まで相手の舌でなぞられ相手の物で塗りつぶされていく。その度に口内で水音が弾けて呼吸の度に覗く隙間から浴室に響いた。相手からも漏れ出る音色の違う声がより劣情を誘って顔の角度を変えれば呼吸ごと飲み込むようにその口を改めて塞ぐ。求められるまま熱持った舌を絡ませつつ時折唇で相手のものを軽く挟んで唾液ごと吸い付いてみるとまた淫らな音が響く。焦点が合ってるかすら怪しいが、それでも目の前の相棒の事がもっと欲しいという本能は止められずに何度も舌を絡みつかせる深いキスに夢中になり)
ん、……ハッ……、……フィリップ……
(二人の間から溢れるあらゆる妖艶な音、互いの口内で跳ねる水音、相手の甘い吐息、こちらの熱を持ちすぎた息継ぎ、体を僅かに動かしただけで爆ぜる浴槽の水面、それらが密閉性のいい浴室に響き渡って、この空間を淫らなものへと染めあげている。ずっと相手を食らうように動かしていた唇を呼吸ごと飲み込むように相手のものがなぞれば、途端に酸素は足りなくなって視界がクラりと揺らいだ。僅かに口を離して呼吸をすれば、吐き出す息は熱く震え湿っぽい。その僅かに離れる時間も惜しくなると再び唇を重ね、互いの舌を絡ませ合う。不意に舌が相手の唇に挟まって艶っぽい音と共に吸われると、相手の体の内さえ自分のもので満たされていくようだ。胸の内にまたゆらりと支配欲が首をもたげると、相手の口内にある唾液を舌を蠢かせながら奪い取り、喉を鳴らして飲み込む。そしてその瞳と再び視線を交えた。焦点が合わないほど熱で浮かされた瞳、しかしあの時と違ってこちらだけを見ている愛おしい瞳だ。こちらを見つめるこの瞳をもっと自分だけのものにしたい。頬に手を添え暫く目線を交え名前を呼んだあと、緩慢な動きで肩へと口元を移動する。そして項にした時とは違い、ゆっくりとした動きで少しずつ、しかし確実に柔肌に歯を立てていく。じっくり時間をかけて、滑らかなそこへ歯を突き立てていけばまたひとつに所有の証を刻みつけて)
…ン、…は、ぁ……しょうたろう、好き…、っ、ぁ……、ッ
(一旦離れた相手の唇から溢れた熱い息が頬を掠めていく。自分だけでなく相手も乱されているのだと実感するようで無意識に口角が上がった。深く呼吸する暇もなく再び唇を重ねてどちらからとも言わず舌を絡めあう。相手の舌先を吸い上げるのに対抗してか器用に口内の唾液を奪い取られ、喉がそれを飲み込むように動く。身体の外も中も相手に干渉され染め上げられていくようだ。ようやく唇が離れて熱い息を吐き出す。頬に手を添えられると朧気にそちらに視線を向け、目を合わせる形で焦点を結ぶ。大好きな人が自分を見つめている、それだけで幸福が脳内に満ちていく。少しでも触れる表面積を増やそうと相手の太腿に手を置き、蕩けた瞳で見つめながらも此方からも目の前の相手の名前を呼ぶ。濁流のように押し寄せる感情を今の頭では上手く言語化出来ずに結局は甘えるような口調で一番シンプルな好意の言葉を口にした。やがて相手の口元が今度は肩へと移される。肩口に歯を立てられ、ゆっくりと跡を残す過程すら刻み込むように深く沈んでいく。一気にされない分痛みと共に痺れが広がってその部位が熱持っていくのが分かる。抑えきれなかった声が口から溢れ身体を強ばらせながらも白い肌に色濃く所有痕が浮かび上がり)
……っ、……フィリップ、俺も好きだ、……
(ゆっくりと歯を突き立てると肌を食い破った感覚が手に取るように分かって、相手の綺麗な肌に赤い点を落とす背徳感と、相手の甘い声を引き出している支配欲が満たされていく。そんな甘い声で好きだなんて言われれば、まともな思考など保っていられるはずが無い。そのたった一言で胸が痛くなるほど心臓が跳ねて、この体をどうしようもなく熱くしていく。新たに刻んだ所有痕に人差し指を添えると強く押しながらなぞる。ここに赤い跡があるのだと相手の脳にも刻みつけながら、口では相手への想いを吐き出していた。声色は優しいのに、指先では傷つけた場所を強く押して痛みを与えている。酷く矛盾した行為だが、自分にとってはどちらも相手に愛と欲を注いでいるという意味では同じだ。そんな飛躍した考えに至ってしまうほどに、今は相手のことしか目に入っていない。狭い浴槽でこの腕に閉じ込めた最愛の恋人、誰のものでもない、自分一人だけのものなのだと淫らな音が響く度にこの胸が満たされていく。お湯の熱さが分からないほど自分も相手も熱い、改めて後ろから抱き締めると同じ体温をもつ相手の体が心地よかった。だがいよいよ思考もボヤけてきて吐く息は不規則になっている。このままでは今度こそ二人して逆上せてしまいそうだ。相手の後頭部に頬を擦り寄せると「あちぃ…」と互いの体温を堪能しながら幸せが混じった声色で呟き)
…ッ、ん……しあわせ、だ…、…ん、君も僕も同じくらい熱い…
(触れる肌から早い心臓の音と熱が伝わってくる。自分も同じくらい脈打っていて離れているのに同期しているようでもある。今しがた出来たばかりの跡を強く押さえられると噛み付かれたときの様な痛みが走って身体が跳ねた。所有痕が身体とは別に熱を持って深く刻み込まれたのだと痺れを発する。同時に優しい声で『好き』と愛を告げられると頭は幸せを感じとってその二つが変に結びつきを始める。浮ついた頭では相手から注がれる全てが嬉しくて痛みすら誰にも渡したくない、自分だけの物だ。そんな倒錯を抱いてはうっとりと幸せそうに目を細めて自分の想いを呟いた。注がれる熱もそれに伴って自分から発した熱も逃げるところがなければ身体に蓄積して思考が覚束ないほど熱い。後ろから抱きしめる相手の身体も同じくらいで乱れた呼吸程度では発散出来そうにもない。一刻も早く風呂から出るべきだと頭の隅っこで理性が訴えてはいるが今はこの熱を手放したくなくて力を抜いて相手に体重を委ねると「あと少しだけ…」とこのままでいること強請って)
あぁ…そうだな……愛してるぜフィリップ…
(相手から漏れ出す声も痛みに反応して跳ねる体も、全てがこの胸を幸福で満たしていく。しかもそれを全て受け入れられるように『しあわせ』だと言われてしまえばもうどうしようもない。思考はまともに動かないほど相手に酔っていて、ただ自分へと染め上げここに閉じ込めた相手を愛でるのが幸せで堪らない。荒い息を吐いて呼吸を整えようとするが、体の熱は浴槽のお湯のせいで引きそうにない。だがこの微睡みの中で浸る熱すぎる体温が心地よくて手放し難い。相手も考えていたことは同じようで寄りかかってきた体を強く抱きしめて、この熱く甘い時間をもう少し享受することにした。ゆらゆらと揺れる思考の中、腕の中にいる相手への気持ちは止むことがなくて、寄りかかるその後頭部に触れるだけのキスを何度も雨のように落とす。やがて溢れる気持ちは口付けだけでは足りなくなって、普段は口にするのも恥ずかしく言えないようなその言葉を、柔らかな口調で相手に伝えるとまたひとつ口付けを後頭部に落として)
…ふふ、知ってるよ。…僕も君のこと、愛してる…
(息を整えようと呼吸音がそれぞれの口から吐き出される。熱で十分飽和しているのに相手の高い体温は不思議と居心地が良くて身を預けたまま大人しく抱きしめられる。温かくて甘くて蕩けそうなこの腕の中を知っているのは世界で自分だけだ。雨のように降り注ぐ口付けも柔らかく幸福に満ちた声で紡がれる言葉も全てが愛おしくて幸せが込み上げてくる。小さく笑い声を零し、十分すぎるほど注がれた愛に応えるように呟くとその顔を見ようと振り返る。相手も熱に浮かされているのかいつもは真っ直ぐ貫く視線も今は何処と無く揺れていた。火照った頬を確かめるようにてのひらで軽く一撫でしてから今の想いを改めて言葉にして伝える。それだけでは物足りなくなって唇に触れるだけのキスを交わす。名残惜しそうに相手を見つめながら離れるが流石に熱が溜まりすぎてそろそろ限界だ。「そろそろ上がろうか」とだけ声をかけ、浴槽の縁に手をかけ力を込めることで何とか立ち上がる。洗い場に移動して浴室ドアを開けると一気に外の空気が入ってきて立ち込めていた熱気が冷やされた。相手の様子を見ながらも脱衣場に戻ると準備されていたバスタオルを手に取りその1枚を相手にも手渡して)
……だな、いい加減にしねぇとまた倒れちまいそうだし
(腕の中で相手がこちらを振り返る。この体勢で唯一の悪い所は相手の顔を常に見られない所だろう。窮屈な体勢の相手を支えつつ、頬を撫でられると熱く柔らかい相手の手が心地いい。そして想いを告げられると先程までの粘度の高いものとはまた違う、胸に灯りが点されるような幸せが胸に広がった。互いに荒い息のまま触れるだけのキスを受ける、揃って上気した頬のまま蕩けた目で交わすキスは、それこそ触れ合った箇所から溶けてしまうのではないかと思うくらいに甘い。温泉街で懲りてお互い限度は分かっている、ここら辺が目処だろう。上がろうという声に頷くもこの腕から相手の熱い体がすり抜けていくとやはり寂しいものもあって、追いかけるようにして浴室を後にした。差し出されたタオルを「ありがとよ」と礼を言って受け取ると、軽く髪を拭いてから全身の水分を拭き取っていく。お湯に浸かっている間は気が付かなかったが体は十分にオーバーヒート状態だったらしく、茹でダコの如く真っ赤に染まっていた。ひとまず下着と寝巻きのズボンを履くと、あとは髪を乾かすだけでいつかの如く上着は着ないまま髪をタオルでガシガシと拭き始める。そこまできたところで、そろそろ相手が自分の寝巻きを着る頃かと、ちらりと横目で様子を窺って)
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