検索 2022-07-09 20:46:55 |
通報 |
こういう時に同じ背丈だと色々と便利だね。だって、少しでも長く過ごしたいだろう? 食べたいもの…、なんでもいいからきみの作ったものが食べてみたい
(筋肉量の差はあれど普通に着る分にはお互い問題ない体型だ。浴衣ともまた違う普段着だがいつも違う装い、それも相棒の服を借りるのはなかなか面白そうだ。同じ格好で隣に並べばそれこそお揃いでもあるし、それを見た相棒の反応は是非見てみたい。思いがけず楽しそうな機会に恵まれたことに機嫌を良くすれば進む足も自然と弾むがどうやら相手を置いてきてしまったようだ。叫びながら横に追いついた相棒に目を向けると悪びれることもなく少しでも長く家で過ごす為だと上手く説明しておいた。相手について行きながらも夜ご飯のメニューについて振られると首を傾げながら少し考え込む。興味の持った物は是非食べてみたいと思うのだが何も無い状態で何を食べたいかと問われると些か悩んでしまう。そこでふとお好み焼きを作った時の会話を思い出せば目合わせ料理名ではないが相手の手料理をリクエストしてみて)
ん、まぁそれは……間違ってねぇな。俺の手料理ってことか?そうだな……ならチャーハンなんてどつだ?男の手料理っていやこれだろ。
(翌日の服に話は及んでしまいがちだが、相棒は寝巻きからなにからこちらのものを使うわけで、改めて自宅に招くというのがこちらの最もプライベートな部分に相手を入れる事なのだと自覚する。相棒にはそこそこ自分を明かしたつもりでいたのだが、その中でもまだ残っていた未開の部分を見られることになる。別に見られてマズイものなどないのだが、誰にも見せたことのないそこを見せるのはなんだか緊張するものがある。だが相棒の言うように長くゆっくりと二人の時間を過ごしたいのは確かだ。所謂恋人を自宅に招くのも初めての経験、上機嫌な様子をちらりと横目で窺いつつ帰宅の道を歩く。そんな中でリクエストされた夕飯はこちらの手料理だ。うちにあるのは簡素なキッチンだけ、なるべく相手との時間を多く確保するなら簡単に作れるものがいい。それにある程度格好が付くくらい美味くできるものとなると候補はひとつへと絞られた。誰が作っても大抵美味しくなるチャーハンだが、その事は隠しておいて自信満々に自らの胸を叩き)
そもそも一般的に生活を行う住宅を見たことが無いからね、君の過ごしている家という点も含めると十分に調査する時間は必要だ。チャーハン、初めて聞く料理だ。そこまで自信があるようなら是非とも食べてみたい。
(そもそもの話、寝食をする場所と言えば事務所とガレージで一般的な住居という物で過ごした経験がない。加えて知り合いを含めて誰かのプライベートスペースである家に赴くのも初めてで単純に相手との時間を過ごしたい以外にも知識欲を満たす目的がある。それには少しでも長く時間があった方が良いだろう。共に帰宅の道を歩きながら相手の問いに頷く。既製品でも構わないのだがせっかくならば生活の一環として手料理を味わう経験もしてみたい。こちらのリクエストに少し悩んだ仕草をした後候補として挙げられたのは初めて聞く響きの料理名でまた瞳に好奇心の色を宿す。それを告げる相棒の顔は自信に溢れていてどうやら得意料理であることが伺えた。これは食べてみない手はないだろう。相手を見つめながら前向きに食べてみたいと意志を示して)
そういやそうだったな。旅館も家って感じじゃ ねぇし。調査すんのはいいけど、あんま隅から隅まで見るなよ……よし、ならとりあえずそこのスーパーで必要なもん買うか。
(言われるまで気がついていなかったが確かに相棒は今までまともな住居に入ったことはない。事務所でもそれなりに機能は整っているが住むことに特化した住居とはやはり趣が違う。とはいえ自宅は一人暮らし用の小さな物件だ。またいろいろと解説しなければならなさそうだが、相棒が知識欲を溢れさせる姿をどこか楽しみにしている所もある。それでも恥ずかしいものは恥ずかしいので、一応牽制はしておく事とした。夕飯が決まれば外でやることは残り買い出しのみだ。ちょうどスーパーが見えてくると、あそこによろうと声をかけて中に入る。前回のお好み焼きと違って今回は買うものが決まっているが家には本当に何も無い。夕飯以外にも何か買うべきだろうかと悩みながら買い物かごを手に取ると、とりあえずチャーハンの食材を集めようと歩き出して)
人の家に泊まるのも初めてだ。分かってるよ、隠している物があっても見ないふりをするから安心したまえ。買うものと言えばチャーハンの材料を買うのと明日の朝食ぐらいだろうか、
(いつになっても初めては尽きることがない。まだ見ぬ住居に期待を膨らませながらも相手から前もって釘を刺されると澄ました顔で頷く。長い付き合いで相手のことは分かってきたつもりだ。プライベートな空間では尚更素の部分が現れるものだろう。意外なものがあったり秘密の何かがあるかもしれないと勝手に予想を立てるとそこへの気遣いはちゃんと出来ると言わんばかりに堂々と宣言をした。夜ご飯が決まればそれらを買って帰るだけだ。この前と同じ系列のスーパーに相手に続いて入店する。少し検索すればチャーハンの材料などすぐに分かるが今回は完全に知らない状態で味わってみるのも面白そうだと判断すれば大人しく店を回る相手に着いていく。その他に買うものとして浮かぶのは明日の朝食くらいだろうと意見を述べながらもカゴの中に何が入るのか楽しみに相手の動き伺って)
俺も誰かを家に泊めるなんて初めてだし、勝手が分かんねぇな……な、別に変なもん置いてねーよ!んん゛っ、明日の朝飯な。トーストならあるけどマーガリンしか置いてねぇし、ジャムとかいるか?
(知り合いは多いものの家に誰かを招き入れるほどの人間は今までにいない。またひとつ一緒に初めてを経験するのだと思えば楽しみではあるが、例のごとく相棒の動向が読めず気が張ってしまう。それをまさに体現する言葉が飛んでくると目を見開く。自宅でこっそり隠しもっているものとなるとどうしてもピンクなものを連想してしまって、恋人にそんなものを持っていると思われるのも恥ずかしく思わず叫んでしまっていた。しかし相手はそもそもそういうものすら知らないのではと思い至って、咳払いして誤魔化しておく。こういう時こそ冷静に対応するのがハードボイルドだと自分に言い聞かせながら気持ちを落ち着けた。話題を朝食に切り替える、こちらのメニューは毎日同じでトーストとコーヒーだ。トーストはシンプルな味付けで食べているが、相棒が食べるならば甘いものも必要だろうか。売り場を回ってカゴにチャーハンの材料を集めつつ、ちょうど通りがかったパンのコーナーに並べられていた彩りどりのジャムの方を指さして)
過剰に反応すると逆に怪しく見えるよ、翔太郎。 それに君がカッコつけようとした痕跡を見つけても今更の仲だ。 いや、君と同じで構わ…、やっぱりイチゴジャムもセットにしよう。
(顔は広く交友関係にある人物だって多い相棒だが意外と一定以上に親密な人の話は聞いたことがない。情報屋でもある女子高生達の話をきく限り気の許せる友人同士ではよくあることらしいが、もしかしたら相手にはそこまで踏み込める人がいなかったのかもしれない。そんな相手に自ら家に招かれたと思えば素直に嬉しい。だからこそ相手に気遣った配慮だったのだがどうやら逆効果だったようで過剰な反応が帰ってきた。相手の隠している物、それはつまりハードボイルドを気取ろうとして失敗した物だろう。ハットは板についてきたが以前かっこつけようとしたウイスキーがあの様だ、余罪も多いに違いない。冷静な指摘と共に自分なりの解釈でのフォローを入れておいた。咳払いと共に話題を仕切り直すと朝食に話題が移る。チャーハンの材料だと思われる物がカゴに入れられていくが、特段自分は食にこだわりがあるタイプではない。朝食のメニューも相手と同じで良いと返そうとするが一つの妙案が浮かんで途中で言葉を切る。相手が使わないであろうジャムを買って保存してもらっていれば消費するために自分が何度も訪れる必要が出てくる。また相手の家に行きたいというちょっとした口実にだってなるだろう。その考えに至れば前言を撤回して指さしたパンコーナーからイチゴジャムの瓶を取ってきてカゴに入れた。自分の考える目的が達成されると「他に買うものはあるかい?」と尋ねて)
ぐ、……一理あるな……そりゃそうだけど、恥ずかしいもんは恥ずかしいんだよ。ん?あぁ、じゃあ買っとくか
(いつものように咄嗟に叫んでしまったが相棒の指摘はもっともで、声を抑えようとして喉がなる。隠しているものと聞いてすぐ浮かんだのは如何わしいものだったが、むしろ今相手の言ったカッコつけようとした痕跡の方が家には多い。おやっさんのダンディな香りを付けようと買ったよく分からない匂いの香水や、おやっさんのようにもっと動けるようにと用意した筋トレ道具、ハードボイルドを試行錯誤してるうちに増えてしまったシルバーアクセサリーなど数えればキリがなく、そっちの方が相手に見つかる可能性が高い。相棒の前では素の自分でいる事ができるのだが、それはそれとして相手の前では、恋人の前では格好つけていたいものだ。こういう水面下の足掻きも見せることになるのだと思うと余計に胸がザワつく。きちんと部屋を整理して万全の状態で呼ぶべきだったか。だが今更やっぱり事務所へ帰ろうなんたことは言えない、それにそれよりも二人きりになりたいという気持ちの方が強かった。覚悟を決めるしかないと息を吐いているうちに、イチゴジャムがカゴへと入れられる。食べられれば何でもいいなんて言いそうなのに、好奇心を刺激された様子でもないのにジャムを買った意図は読み切れず、不思議そうな顔をして返事をしていた。これで夕食も朝食も材料は揃った。「いや、こんなもんだろ。」と返事をしてレジへと向かうと精算を済ませて買ったものを袋に移し替え)
まあ君がそう言うならそっとしておこう、今回の主目的はそっちじゃないからね。 __ じゃあ行こうか、ここから家は近いのかい?
(相棒のかっこいい所もダメな所も付き合いの中で一通りは把握しているつもりだが、それでもカッコつけようとする心理は境遇などから理解は出来るが共感しにくい物だ。過去に重ねてきた試行を知ればより相手のことを知ることが出来るが、だからといって今の評価だとか印象が大きく変わることは無い。とはいえ、ここは考え方の違いであるし幾ら恋人同士でも最低限のプライベートは守るべきだろう。それに今回の大きな目的は相手と共に時間を過ごすことであるのを思い出せばさらりと告げて話を纏めた。食にこだわりが無いのにジャムを所望したのが謎なのか不思議そうな顔をしていたが説明するには少し子供っぽい理由だ。そのまま何事も無かったように押し切ってレジに精算しに行く。買った物を袋に詰め替えるがほぼ1食分の材料だけでさほど量はない。何時しかスーパーに行った時には共に持とうと自分が強請って相棒が躊躇していたが今ならその理由も分かる。泊めてもらう御礼でもないが材料の入った袋を自分が持ってそのまま店を後にする。買い物も終えると後は相棒の家に訪れるだけだ。住所も知らなければ道順も分からず何となくの場所を問いかけて)
、……そうだな、早く帰るとすっか。__ありがとなフィリップ。あぁ歩いて数分もないとこだ。立地はいいけど裏路地にあるおかげで家賃が安いんだよな。
(家にあるあれやこれやについてどう誤魔化すべきか考えていた所に、不意打ちでこれからの主目的について相棒が言及すると思考がパタリと止まってしまう。主目的とはつまり二人の時間を過ごす事、もう少し具体的に言えばあの建物の裏手でこれ以上は出来ないと踏みとどまった続きをする事だ。もちろんそれで合っているのだが、こうもさらりと言われてしまうと互いに当たり前の共通認識となっているようで嬉しいようでいてむず痒い所もある。あぁいうことを堂々と宣言するのはやはり未だに慣れない。周りにバレるような直接的な表現ではないのだから狼狽えるのはおかしいと気を落ち着けつつ、動揺を見せないよう無難な返事を返しておいた。袋詰めが終わり買い物袋を持ってくれた相棒にお礼を挟みつつ再び帰路へとつく。歩く道はちょうど事務所へ行く道でもあって、その道中に自宅があると説明する。自宅は事務所と同じエリアにあり、かつ生活に必要な施設が揃っている好条件の土地に建ってはいるがその中でも建物の間にあるような物件で、かつ寝るためだけの一人部屋となれば金のない探偵にも優しいお値段になっている部屋だ。説明している間に歩いていた大きな道から一本脇道へそれるとあまり人気のない場所へと入っていき、「ここだ」とひとつのマンションを指さして)
料理を作って貰う代わりさ。 なるほど、確かに君の利用用途ならば立地が最重要事項となるね。…ここが、君の家
(至って普通のことを言ったつもりなのだが、返事が数テンポ遅く返ってきた。何か引っかかることを言ったかと言動を振り返るが思い当たる節はなくて今度はこちらが不思議そうにしながらも店を後にした。律儀に礼を言ってくれた相棒に返事をしながらも相手の隣を歩いていく。普通に住む住宅ならば日当たりとか広さなども重要な要素だが何度も聞いた通りほぼ寝るためのスペースとするならば立地が第一だろう。このまま事務所に戻ることの出来る大きな道を進みつつまた行くことが出来るように周りの景色にも目を向ける。やがて横に曲がって細い脇道に入っていく。何も用事が無ければ立ち寄らないような場所だ。そのまま進んでいくと相手が指さして目的地へと辿り着いた。何の変哲もない住宅だがここで相手が生活をしていると思えば特別な場所に思えて全体を観察するように見ながらしみじみと呟く。しっかりと場所を覚えていざ相手の過ごしている場所に踏み込むのだと思うと「少し緊張してきたよ」と思わず呟き)
ここならなんかあった時すぐ事務所に行けるしな。まぁ…旅館と一緒でそのうち慣れんだろ。___どうぞ
(元々はおやっさんの呼び出しに何時でも応じられるようにと選んだ部屋だったが、今でも依頼人が来た時直ぐに事務所に行けるようにという意味で変わらずここを愛用している。相棒が周りを見回しながら歩いているのを見るに部屋の位置を覚えようとしているのだろう。今後ともしっかり休む時やもしもの時の隠れ家として使えるだろうから、自宅の場所を覚えておいて損は無い。だがこの視線がいよいよ家の中に入るとなるとさらに緊張感が高まってきた。相棒もとうとう同じ心境になったようだが、これから何度だって来ることになる事を考えればこういう心理になるのは今だけ。緊張を解すようゆっくり息を吐くと、鍵を取り出し自室の扉を開けて相手を招き入れる。扉を開けてすぐの細い廊下に洗濯機や小さめのキッチンが並んでいて、その奥の扉の先がリビングルームだ。ひとまずいつも通りリビングルームに移動して、事務所では金具にかけるハットを壁際に置かれたポールハンガーへとかける。いつもと違うのは振り返ってみると相棒がいることで、変な緊張をしたままその様子を窺って)
まあそうだね。えっと、…お邪魔します。これが一般的な住居であり君の家か、実に興味深い作りだ。ここがいつも寝ているベッドかい?
(相手の言う通りこの緊張は初めて行く所という部分も大きくて時間を過ごせば多少は解れることだろう。曖昧な返事を返しながらも後ろをついて行けばいよいよ部屋であろう場所で立ち止まった。お互い妙な緊張感を抱いているのを感じながらも相手の取りだした鍵でドアが解錠された。扉が開かれ確か他人の部屋に訪れた時のフレーズをぎこちなく口にして部屋に上がる。狭い廊下にはキッチン関係の設備や洗濯機が設置されていて置かれた洗剤や食器類からここでちゃんと過ごしているのだと生活感が感じられる。その横を抜けてさらに奥のリビングルームに入ると相手から嗅いだことのある匂いが自分を迎え入れた。寝て過ごす場所という言葉通りごちゃごちゃと物が置かれたり長く過ごす為の家具は見られないが、設置されたインテリアは相棒が好きそうなチョイスだ。袋を一旦床に置きぐるりと1周見渡して部屋の様子や配置されたインテリアを確認しては緊張よりも未知の空間への興奮が勝って明るい表情で感想を述べながらあちらこちらに視線を移す。その中でも相手が使っているであろうベッドが目に付けば興味のまま腰掛けてみて)
一人暮らし用の部屋ならわりと一般的な作りだ。家族で住んでる家だともっと部屋が多かったりするな。__、そうだ……シングルベッドだから二人で寝ると狭いかもな。
(双方緊張に包まれ入室したが、相棒が周囲を見渡し興味深げに観察を始め、いつも通りの知的好奇心を発揮して部屋の構造の話になると、通常運転の様子にこちらも無駄に入っていた肩の力は抜けていっていつも通りに解説を挟む。狭くはあるが最低限求められる機能はある部屋だ、生活する家を感じるには十分な所だろう。だが改めて自分が生活している場に相手がいるのが不思議でいて小っ恥ずかしい。そんな中で最もパーソナルな場所のひとつであるベッドに相手が腰掛けるのをみると、誰もいない所しか見た事のないそこに相棒が座っているのがやはり夢のようで信じられず、妙な気分になってしまった。ひとまず相手の隣に腰掛ける。事務所のベッドよりか寝心地はいいはずなのだが、相変わらずサイズはシングルだ。そこもあまり考えが及んでいなかった点で、二人で寝られるだろうかとベッドの方へ振り返りながら呟いて)
生活に必要な設備をコンパクトに纏めていて効率的な空間だ。何より好きな物を置いたりと工夫出来てプライベートな場所として過ごしやすそうだね。 それに関しては随分慣れっこだ、寧ろ狭い方が落ち着くような気もするよ
(調理、風呂、睡眠など生きていく上で必要な行為をする場所が一通り揃っていて正に生活を営む場所だ。事務所の併設されている設備や事件などで訪れた本格的な調理場や温泉しか知らない身としては全てが新鮮だ。普通の人はこういった家で生活を行い、学校や仕事に出かけて行くのだろう。ちょっとした物にも相棒の好みが反映されているようで生活の場と共にプライベートな空間という印象と強く受ける。そんな場所に招かれてこうして共に居るのが嬉しくもありまた変な緊張をしそうになる。素直な感想を口にしながらも座ったベッドはそれ用の為か事務所の簡易ベッドよりはしっかりした作りだ。続いて相手も隣に座ると改めて相棒の部屋に居るのだと実感した。どうやら寝る時の心配をしているようだが、面積としてはこちらのベッドの方が広そうに見える。元々ガレージのソファーに寝れる体質だが相手と共に寝るようになってますます狭い空間でも平気となった。逆に相棒の捜査が長引いたとかで一緒に寝られない時にはなかなか寝付けなくなった程だ。今回も恐らくいつもの様に寄り添って寝るのだから特に問題ないだろうとへらりと笑って見せて)
だろ?俺みたいに家にいる時間が短い奴にはこれくらいがちょうどいいんだよな。まぁ、そうか……お前とくっついて寝る方がよく眠れるし
(手狭と表現されることも多い一人暮らし用の部屋だが相棒の言うよう全てがコンパクトに収まっているこの暮らしはわりと快適だ。あらゆるものが手に届く範囲にあると何かと便利なもの、主に外で活動する自分にとってはこれくらいがちょうどいい。カッコイイ部屋を目指して蓄音機やら レトロ映画のポスターやらを貼っているがとりあえず相棒が変な顔をする事もなく上々の反応だ。二人並んでベッドに座ればよりそこは深く沈みこんで、いつもと違う感覚に部屋に相棒が来ているんだと余計に意識させられる。そんな完全にこちらのテリトリーの中で、相手はいつものように無防備に笑っているのだからそれだけで胸が跳ねてしまった。眠る時にくっついて寝るのは間違いないのだろうが、その時のことを想定して返事をすると今すぐにその柔らかな体温に触れたくなってしまう。このままでは欲望に負けてしまいそうになって、視線を宙に浮かせつつ「とりあえず飯作るか」と先にやるべき事を済ませようと提案し)
実に翔太郎らしい部屋だね。 依頼が思ったより早く終わってアキちゃんもご機嫌だったし、今日は朝までゆっくり眠れそうだ。 ああ、君の料理の腕を見せて貰おう
(この場所を選んだ理由も滞在時間の短さ故の選択や部屋の内装に至るまで相棒の価値観や嗜好か反映されていて見ていて飽きない。多少緊張しながらも不思議と心地良さを感じるのは相手の生活感をあらゆる所から感じることが出来るからだろう。また一歩相手の内側に踏み込むことが出来たような気がする。何かと災難に巻き込まれた1日だったが、本来もう数日調査が必要だと踏んでいた依頼だったから事務所を出る時に会った所長は早期解決してご機嫌な様子だった。今までの経験上、ご機嫌に帰っていった次の日の朝は比較的仕事も緩く本人も昼前に出勤してくることも多い。事務所よりも快適なベッドで2人きり、あまり時間もきにしなくていいとなればぐっすり眠れそうだと口元を緩めた。そんなやり取りをしていたがまだ寝るのは先のこと、夜ご飯の話をされると頷いて立ち上がる。まずは炒飯という料理の解明と相手の手料理を味わなければ。買い物袋を手に取るとお手並み拝見とばかりに目線を向け)
珍しく早上がり許可するくらいだからな、朝飯もゆっくり食えそうだ。よし、最高に美味いチャーハン作ってやるから覚悟しとけよ。
(自分が直接会った訳では無いが事務所の維持費だ経費だにうるさい所長が早上がりを許可してくれたのだから、相当機嫌が良いのだろう。朝の時間もいつもならば何もなくともだいたい同じ時間に事務所にいくのだが、それも今や相棒が事務所にいるからという理由が大きい。自宅に相手がいるならば急ぐ必要もないということだ。ド.ー.パ.ン.ト.と衝突して体力も消耗していることだし、明日の朝まで相棒とゆっくりさせてもらおう。こちらも続いて立ち上がると期待の目線に応えるようにキザに笑ってみせる。炒飯なら作り慣れた料理だ、きっと相棒も満足できる仕上がりになる。廊下にあるキッチンへと移動すると、買い物袋を受け取って中身をキッチン台の上へ順番に並べていく。とはいえやることは切って混ぜるだけで単純だ。まな板と包丁をセットすると、まずは厚切りのベーコンを小さなサイコロ状に切っていく。切り分けたベーコンを重ねて一気に十字に包丁をいれ次々にサイコロを作っていく。ベーコンの次に切るのは青ネギだ。包丁を細かく動かし小口切りにすると、これもあっという間に切り終わる。何度も作っていたかいもあって手順も手さばきも問題なしだ。最後に小さなボウルに卵を2個割り入れて手早く混ぜれば具材の準備は終了だ。一旦手を止めると「こっからが本番だ」と相棒に目線をやって期待を煽って)
最高に美味いチャーハン…! そこまで君が言うとは、楽しみにしておこう。 …さすが慣れた手つきだね。 本番って何をするんだい?
(色々忙しい一日だったがそのおかげで明日の朝までゆっくりと過ごすことが出来そうだ。その一つの要素でもある相手の手作り料理についてリクエストするとキザな笑みが返ってきた。カッコつける時によくする表情だが今日のは自信に溢れていて素直に期待出来そうな予感だ。それにわざわざ最高を自称する辺り相当の腕前なのだろう。思わずそのフレーズに食いつくと是非チャーハンが出来上がっていく様子を観察しようとキッチンについて行き隣から調理過程を見守る。買ってきた材料が並べられて早速まずは具材のカットのようだ。相当作り慣れているのか迷いもなく食材が均等な大きさで切られていき、その動作もスムーズである。完成品や調理法が分からなくとも完璧だと思う手つきで材料が切り終わったのを見れば思わず感嘆の言葉を呟く。料理はした事あると言っていたがここまでとは。参考対象がない以上相手の料理の腕が凄い物に見えて尊敬の眼差しを向けながらもさらにここからが本番と知るとさらに目を輝かせて期待を胸に膨らませながら続きを促して)
ふ、任せとけ。包丁とかの使い方さえ間違ってなけりゃそのうち料理は身につくもんだからな。で、料理の本番といや、火使う工程だろ。
(相棒から尊敬の眼差しを向けられると、得意げに左手を軽く振ってニヒルに笑う。実の所を言えばメニューのバリエーションが少なく何度も作っているからそれなりに出来るというだけなのだが、調理回数が多い分客人に出しても問題ない味ではあるはずだ。ちらりと横を見やって興味深げに調理の様子を眺める姿に愛しさで心がじわりと温かくなりつつ、調理の本番へと入っていく。目を輝かせてこちらを観察する相棒に応えてやろうとこちらも気合いが入るものだ。大きめのフライパンを取り出し、サラダ油と生姜を入れ強火にかける。やがて生姜がパチパチと爆ぜる音が聞こえてきたところで一気に卵を流し入れると、派手な音と共にフライパンに接した卵の色が変わった。木べらで適度に混ぜつつ卵が半熟になれば、ストックしていたご飯を加えて解しながら炒める。ベーコン、ネギと続けて入れてさらに炒めればあとは仕上げだ。鍋肌から醤油を垂らすように加えれば再び派手な音が鳴り香ばしい香りが広がる。全体が混ざるようフライパンを大きく振ると、ご飯と具材が宙を舞って再びフライパンに収まった。それを数度繰り返し周囲に十分チャーハンの香りが充満したところで、「うし、完成」と火を止めて)
トピック検索 |