検索 2022-07-09 20:46:55 |
通報 |
ああ、任せた。…この高さから見てもイルミネーションが綺麗だね。
(その場を切り上げようとした相手を引き留め、仕返しとばかりに下唇に甘く噛み付くと上擦った声が聞こえてきた。暗闇の中で秘事のように行った行為と響いた音にぞくりと何処かが震えたが気付かぬフリをしてそのまま機体の上に相手を乗せた。文句を言う相手のそのうしろに自らも乗って腰あたりに腕を回すとやれやれとばかりに相手が準備を始める。今夜今から空を飛ぼうとしている人達など自分達くらいだろう。落ちないように、と声が掛かると調子良く返事をして更に相手にぎゅっと抱き着いた。エンジンがかかって動き出すと一気に風.都の空に飛び立った。あっという間に高度の高い所に到達し、真下には先程まで居たクリスマスマーケットが広がる。他の場所もイルミネーションをしている所もあるようで街中がキラキラと宝石箱のように輝いているようだ。やがてハ,ー,ド,タ,ー,ビ,ュ,ラ,ーは風.都.タ.ワ.ーに近づいて行く。その分辺りの風は強くなって寒くなってきたが相手にくっつき、肩から顔を出しながら「同じ高さから見る風.都.タ.ワ,ーというのも物珍しいね」と感想を口にして)
上から見るイルミネーションってのも悪くねぇな。……あぁ、このまま風.都.タ,ワ.ーに着けるぞ
(二人で機体に乗り込んで冬の空へと舞い上がる、夜の風は一際冷たいが今だけは我慢だ。眼下には愛すべき街が広がっている、普段の夜景よりも各所にイルミネーションが設置された風の街はいつにも増して輝いていてこちらへと抱きつく相手の腕の温かさを感じながら輝く風.都.を眺めていた。そのうち機体は夜闇に静かに立つ真っ暗な風.都.タ,ワ,ーへと近づいていく、こうやってタワーを真横から見るのは滅多になくそれこそ前回相手が考えてくれたデートの時以来だ。肩から顔を出す相手の頭をぽんぽんと軽く撫でてからこの街の象徴へと機体を近づける、やがて機体は優雅に回る風車のすぐ下へと滑り込んだ。小さなスペースに鉄塔だけが上に伸びているそこへ降り立つと機体を端へと止めて「到着だ」と声をかける。先に降りると足元も覚束無い暗がりの中で相手の手を取って移動しスペースの中心、ちょうど鉄塔の真下へとやってきて「ここにお前を連れてきたかったんだ」とようやく目的地を明かして)
…、それは確かに特別な場所だ。
(自分達だけが見れる空からの景色を楽しみながら辺りを見渡す。自分が連れてきた時とはまた違う夜景で顔を覗かせると頭が軽く撫でられた。だがわざわざここに来た割には風,都.タワーはイルミネーションなどで飾られている訳でも無くただそこに静かに立っているだけだ。行先が読めないでいるとこのままタワーに着けると聞いて少し驚く。どうやら風.都.タ.ワ.ーを見に来たのではなく、そこが目的地らしい。ある意味自分達しか来れない所だと納得しつつ機体は下に潜り込んで小さなスペースで止まった。辺りには足元を照らす明かりすらなくて戸惑っていると先に降りた相手に手を取られて続けて機体から降りる。そのまま少し移動して鉄塔の真下にやってくる。そこでようやくここが目的地だと明かされるが見た所何か特別な景色や物がある訳では無い。辺りを観察するように見ながら「確かに他に誰かが来れる場所でもないし、この街の象徴の場所ではあるけど…君が連れてくるような何かがあるようには見えないよ」とイマイチピンと来ていないような素直な反応を見せて)
確かに、これじゃただの薄暗い場所だよな。でも……3…2…1…、
(相手の手を取り薄暗い鉄塔の真下へとやってくる、二人っきりの空間ではあるがただの薄暗いスペースに相手はどこか戸惑っているようだ。確かに移動はしたもののこのままでは先程の倉庫裏と大した違いはないだろう。それを認めるように返事をしつつ再び時計を確認する。どうやら時間ピッタリの様だ。減っていく秒数に合わせてカウントダウンをしていく、そして0になった瞬間、周囲の鉄塔が眩く輝き始めた。二人をぐるりと囲うように鉄塔に施された電飾が煌めいて光が波打つような演出のあと、その光の波は上へと伝搬していって遂には風.都.タ,ワ.ーの羽根へと広がり頭上が一気に明るくなった。今度は周囲が緑色の光に包まれまた波打ちながら登っていくとタワーの羽根を緑色に変える、その後も様々な色と演出を交えながら自分達の周りと風.都.タ.ワ.ーは煌めき続けた。暫くその光に目を奪われた後に相手の方へ目線を戻して「風.都.タ.ワ.ーのイルミネーション見るなら特等席がいいと思ってな」とようやくここに来た目的を明かしつつ手を強く握ると「ここからの景色をお前と見たかったんだ」と心の内を伝えて)
でも…? …っ!…綺麗だ。
(薄暗いスペースでここに来た理由が読めずに戸惑いの感情を見せていれば相手は肯定を示す。その表情から何か用意しているのは明らかで期待を持たせるような言葉とカウントダウンに何となく繋いでいた手に力を込めた。相手がいうカウントダウンがゼロになった瞬間、鉄塔に巻き付けられた電飾に一気に光が灯った。まるで生きて波打っているかのように次々に光が宿って色がついて上部へと広がっていく。その景色に圧倒されて何も言えないでいると今度は辺りにだけあった緑光が上まで伝わってその街の象徴であるタワーの羽根部分を染め上げて輝きながらゆっくりと回る。壮大で綺麗なイルミネーションの一番近いところ、或いはその中に自分達が居ることに心が震えると段々と変わっていく風.都.タ.ワーの景色を目に焼き付けながらぽつりとありのままの感想が零れた。そのまま目を奪われていたが視線を感じて手を強く握られると顔を相手の方に向ける。相手はこの街のことを良く知っていてクリスマスも何度もここで過ごしているはずだ。そんな相手が選んだこの景色は風.都の中で一番の景色なのだろう。それを見る為の自分達だけの特等席を用意してくれて一緒に見たかったと言われると胸は感動や嬉しさでいっぱいになって「こんな景色初めて見たよ。…翔太郎、風.都.一綺麗で幸せだ」と無邪気に微笑んで)
……お前がそう言ってくれるなら何よりだ。……、…
(カウントダウンがゼロになった瞬間に薄暗かった周囲は一気に眩い光に包まれる、チラリと相手の方をみれば食い入るように登り広がっていく光を眺めて夢中になっていてポツリと呟く言葉が聞こえれば胸が暖かくなるのが分かった。この景色を相手と見たかったのだと伝えればその顔には無邪気な笑みが浮かぶ、その瞬間に心から今日相手と共にここへきて良かったと気持ちが華やいでこちらにも笑みが浮かんだ。イルミネーションの光は止むことがなく二人を包み込む、光の波の中に二人ではいって目の前には微笑む相手がいる。この胸に溢れる幸せは止むことがなくて少しでもこれが伝わるようにと相手の正面に立てば背中へ腕を回して抱き締める、そして眩い光の中で相手と口付けを交わした。先程のような悪戯なものではなく相手へと想いを伝える口付け、暫くの間唇を重ねたあとゆっくりと離してその瞳を見つめる。揺れる光が相手の瞳に反射してその輝きに魅入られるようだった。上半身を少しだけ離すと内ポケットに手を入れる、そして細長い箱を取り出すと「メリークリスマス、フィリップ」と相手へ差し出して)
……翔太郎、ん…。…、随分と準備が良いみたいだね
(特等席で次々に移り変わる光の波を目に焼き付けながらもここに連れてきてくれた相手に感想を伝えるとその顔が柔らかく微笑んだ。現実離れしたこの空間では美しい景色も含めて二人だけの世界に来てしまったかのようだ。胸が温かいものでいっぱいになっていると相手が正面にやってきて抱きしめられる。こちらからも背中に腕を回すとどちらともなく顔が近づいて唇が重なった。以前クリスマスについて調べた際ヤドリギの下でキスをすると幸せになれるという言い伝えが一瞬脳裏に浮かんだが自分達にはこちらの方がピッタリだろう。十分にその感触と相手からの好意のようなものを受け取り、確かめたところでゆっくりとその唇を離す。こちらをまっすぐと見つめる相手の瞳にはきらきらと周囲の光を反射して何よりも綺麗で愛おしく思えた。軽く擦り寄るような仕草をしていると相手が内ポケットを探って細長い箱のようなものを取り出すと思わず目を見張る。だがすぐにそれがクリスマスプレゼントだと分かれば破顔して子供のような笑みを見せながら箱を受け取った。包装されたプレゼントは持ってみても大きな特徴がある訳でもなく、中身が気になると「ここで開けてみてもいいかい?」と楽しみが隠し切れない声色で問いかけて)
そりゃ特別なクリスマスデートだしな。…あぁ、開けてみてくれ
(相手を抱き締め見つめ合えばどちらからともなく唇が重なる、奪い去る口付けだって好きなのだがこうやって想いが通いあう口付けも何度だって交わしたい。再び目線を合わせて相手がこちらへと擦り寄る感触に口元を緩ませながら細長い箱を差し出す、今日この日に相手に渡すために用意したクリスマスプレゼントだ。リボンに包まれた箱を見た相手はとびきりの笑顔になってこちらにまでその喜びが伝わってくるようで、楽しみが溢れ出すその反応を一時も逃さないように見つめ続ける。気持ちが浮つくままにキザっぽく返事をするものの直ぐに照れくさくなってしまって思わず自分で笑ってしまう。相手の子供っぽい笑みは止まらなくて中身が気になるようでこの場で蓋を開けるように促す、リボンが解け蓋がなくなったその箱の中には腕時計が収められていた。相手は個性的な服装を好んでいて腕につける時計もそれに負けないくらいに個性的だ、そのバランスも加味して銀色の縁に濃い深緑色の文字盤、茶色の革ベルトは通常よりも太めのもので存在感のある腕時計を選んだ。煌めく光の中で同じく時計もその光を反射して輝いていて「なぁ、それつけてみてくれねぇか?」と願いを口にして)
…これは、時計? 今着けているのに全体のデザインは似ているけど文字盤が僕の色だ。…ああ、
(普段はツッコミを入れるキザっぽい言葉すら今は気にならないほど貰ったプレゼントに舞い上がって宝物のようにそれを見つめる。中身が気になって開けて良いかと問えば了承の返事がされてリボンを丁寧に解いてそっと箱を開けた。中には見慣れない腕時計が収まっていて感嘆の声と共に目を輝かせると心が動くままにそっと取り出してみる。良く依頼人や街の人がしているような細身のデザインやスタイリッシュな物では無く、太めの茶色の革ベルトの上に存在感のある文字盤が配置されている個性的なデザインだ。貰った時から着けている今手首にある物と大まかな雰囲気は似ているが自分のメインメモリ本体と端子の深緑と銀色がより映える配色とデザインになっていて一気に心が奪われる。選び抜かれたであろうことが伺える拘りに声を弾ませていると相手が早速装着するように促す。勿論それに承諾すると今の時計を外して貰った時計を身につける。ベルトを締めて位置を調整してみると思った以上にしっくりとそこに収まって周囲の光を反射して輝いているようにも見えた。相手の方を向くと文字盤が見えるように手首を自分の前に持ってきながら軽くポーズを取ると「どうだい?」と既に誇らしげな笑みで見せて)
散々迷ったけど、その文字盤が買う決め手だったんだ。……すげぇよく似合ってる
(自分が選んだプレゼントを最初に相手が見る瞬間はいつだって緊張するものだが腕時計を目にした相手は目を輝かせて直ぐさま時計を取り出していてその興奮具合がよく分かれば思わずニヤけてしまう。相手は直ぐに文字盤がメインメモリの色であることに気がついて拘った部分を気に入ってくれた様子にまた胸は華やいでしまう、理想的な文字盤の色に縁が端子と同じ銀色だったこれを見つけた時は心が踊ったものだ。時計を選ぶにあたって一番心を掴んだ文字盤のことに触れつつ時計を着けるようにお願いすると相手は早速今つけているものを外してプレゼントしたばかりのそれを身につける。狙い通り相手の個性的なファッションに埋もれない太いベルトは存在感ばっちりで満足気に笑みを浮かべるが、それ以上に相手がどこか誇らしげにプレゼントした時計をこちらへと見せているのが嬉しくて幸せで、プレゼントを喜んで身につけてくれていることが何より幸福だった。再び相手の背中へとしっかり腕を回して抱き締めると「そいつをお前がつけて事務所にいく日が楽しみだ」と期待を寄せれば大切な人に大切だと伝えるように強く抱き締めて周りの輝きに背中を押され「愛してるぜ、フィリップ」と飾らない言葉を口にして)
今日から共に過ごす時も離れていても検索してる時もずっとこの時計と一緒だ。…僕も愛してる、最高のプレゼントをありがとう、翔太郎
(自分が最初に目についてこの時計を気に入った所が相手が選んだ決め手だと聞けば同じ事を考えているのが分かって自然と口角があがる。促されて早速身に付けてみれば手元でばっちり存在感を示しながら今の格好に馴染んでいる。正真正銘自分のモノになったような気がして相手からも褒められると誇らしげに時計を見せた。無邪気に喜んでいれば相手の腕が回されて期待の言葉と共に抱きしめられる。この時計は相手の言う通りこれから事務所に行く時は勿論何処に行く時も身につけるだろう。別々の得意分野で捜査して離れる時や地.球,の.本.棚にアクセスする時も相手がくれたこの時計が相手と気持ちを繋いでくれると思えば悪くない。弾んだ気持ちを伝えていれば相手と目が合う、そして最上級の言葉が送られるとこちらも自然と笑みが浮かんで感謝を伝えた。そうして再びぎゅっと抱きしめていたがふと顔を上げると「あ、…君の後だと少々インパクトに欠けるけど僕もプレゼント用意してるんだ」と話を切り出す。ポケットを探って小さめの紺色のプレゼントの箱を取り出すとそのまま相手に差し出す。「アクセサリーとかマフラーとも悩んだけど君がこの街の人に手を差し伸べる時に二人で居るにはこれが一番かと思ってね」と説明を添える箱の中身は黒の本革素材の名刺入れだ。アクセントとして入っている紫の革と糸のラインやゴールドの金具が切札メモリを感じさせるがポケット部分の裏地には自分のメモリの色でもある深緑が忍ばせてあるのもポイントだ。街の中で事務所を紹介したり探偵である事を名乗ったりする時、必ず使う名刺とそれを入れる名刺入れはその人と自分達を繋ぐ重要なツールだ。今まで相手だけで行われていたそれに相棒として自分も関わりたいと思って選んだ名刺入れを見ながら「アキちゃんに言って名刺も新調して貰ったんだ」と数枚入れておいた名刺を指さして)
どういたしまして。…え、お前も用意してくれてたのか?
(自分が贈ったものをこれほど喜んでくれるのが嬉しくて胸に幸せは止まらず溢れる気持ちのまま抱き締め言葉を送る、目線を交わす相手からお礼と同じ言葉を受け取ると口元は綻んで互いに腕に強く力を込めた。そうして体温を共有していればふと相手が顔をあげてプレゼントがあるのだと言われこちらも顔をあげて目を瞬かせる。デートだと言っただけで特にプレゼントの話題は出しておらずサプライズのつもりだったが相手も考えることは同じだったらしい。同様の思考回路に照れくささを覚えつつ「ありがとよ」と礼を言いながら小さな箱を受け取る、相手がどんな思いでこれを選んでくれたのかを聞いたあとそっとその蓋を開けた。中に入っていたのは名刺入れでシックな黒に鈍く光る本革を用いた大人っぽいデザインにパッと顔を明るくさせると早速中身を取り出す。探偵の魂たる帽子はいつでも携えているものだが探偵をいつでも名乗れるように名刺入れだっていつでも胸ポケットに控えている大事な仕事道具でこれさえあればいつでも二人で一緒に泣いている誰かに手を差し伸べることが出来る、二人で仕事を出来るようにとこれを選んでくれたことを思えば胸が暖かく華やいだ。アクセントとして付けられた紫の部分を指でなぞると「俺の色だ」と嬉しそうに口にし中を開けてみる、すると裏地には相手の色である深緑が敷かれていて今度は宝物でも見つけたように無邪気に笑いながら「お前の色だ!」と声を弾ませた。さらに名刺まで新調したと聞かされると「そうなのか?よくアキコ説得できたな」と驚きの表情を見せる、あの守銭奴の所長の了承を得るには骨が折れたことだろう。促されるように指をさされると中に収められた名刺を一枚取り出して)
トピック検索 |