検索 2022-07-09 20:46:55 |
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___ここだ。このスノードームっての、一緒に作ろうぜ
(名残惜しくもこっそりと繋がった手を離して目的地へ向かって歩き始める、向かうのはクリスマスマーケットの一角だ。相手の左隣を歩きながらひとつの店へとたどり着くと相手の方へと目を向ける、ここではワークショップが行われていてスノードーム作りができる場所だ。とはいえ相手はそもそもこれを見たこともないかもしれない、店先に置かれていた見本品を手に取ると軽く振って相手に見せる。ガラス球の中では木製に見たてられたミニチュアの家に雪がふわふわと降り注いでいる。奥の作業テーブルには中に配置できるサンタさんや子供、もみの木などのミニチュアが並べられていてペンで色をつけアレンジすることも出来そうだ。さらに降らせる雪の結晶の形や色も選べるようでなかなか選択の幅は広く、二人で作れば世界でひとつだけのスノードームが出来上がるだろう。相手の方へ目を向ければ「今日の思い出になるものがあればいいと思ってな」とここに来た理由を説明していて)
スノードーム?…中で雪が降っているみたいだ!これなら部屋にも飾れそうで良い思い出になりそうだね。作ろう、翔太郎!
(相手に案内されたのは一つのテントで道具のような物が置かれている。そして相手がキーワードを口にしながら置物を手に取る。中が液体で満たされた模型のように見えるが一旦さかさまにして振って元に戻すと白い雪の様な結晶がふわふわとした軌道でミニチュアの家や木に降り注いでいて冬の景色を閉じ込めたようなスノードームに目が輝いていく。今まで思い出として写真を撮ったりお土産を買って帰るっていうことはしたが二人で何かを作って持って帰るというのは殆ど経験がない。まだデートは始まったばかりだが相手が説明してくれた通り、今日の日を思い出す特別な物になりそうな予感に心が弾むとすぐに賛成を示した。急かすように声をかけると早速受付を済ませ、作り方の流れの説明を受けて基本となる材料を受け取る。そのまま作業スペースに移動すると様々なミニチュアやオーナメントが用意されていて「これだけあると悩んでしまうね…何かコンセプトとか決めた方が良いのだろうか」と目移りしながら呟いて)
コンセプト、か……あ、そういや前風.都,に雪降った時二人で雪だるま作っただろ?あん時は二人でひとつの雪だるま作ったけど、今回は二人の雪だるま並べるってのはどうだ?
(相手の目の前でスノードームを軽く降って見せるとみるみるその瞳は輝いて一気に相手の心を掴んだのが手に取るように分かる、ここまで良い反応をされるとこちらも嬉しくなるというものだ。待ちきれない相手と共に早々に受付を済ませて作業スペースへと移動する、相手の言うように部屋に飾って今日の思い出としたいところだが二人で作るならばまずは方向性を決める必要があるだろう。先に土台となる部分にミニチュアを配置していくわけだが目の前に並べられた様々なミニチュアを順に見ていくと見慣れたものを見つけて記憶が呼び覚まされる。いつかの日、大寒波によって風の街が雪に覆われた時に作った思い出の雪だるま、あの時は二人の要素を盛り込んだ雪だるまを作ったがどうせならあの時の雰囲気を残しつつ自分達と同じく二つの雪だるまを並べたい。さらに飾りを加えればきっと二人らしいスノードームが出来上がるはずだ。目の前のケースに収められた雪だるまのミニチュアを取り出すと意見を伺うように相手の方へ雪だるまを見せて)
なるほど、それぞれ雪だるまを飾り付けてその二つを並べたら僕達のようになりそうだ。その方法で作っていこうか。
(自由に作れるように様々な用意がされているがこれだけあると悩んでしまう。好きに飾り付けても良いのだがせっかく1つの世界を閉じ込めるなら統一感やコンセントがあった方が良いだろう。そうして悩んでいると相手が何かを思い出したように声を上げて以前大雪が降って雪だるまを作った日のことを話題に出す。初めて見る積もった雪に興奮して銀世界の街を探索したり雪合戦したりもしたが二人で雪だるまを作ったのも良い思い出だ。それを今度はそれぞれで再現するというアイデアを聞けば自分達らしい案に声を弾ませて好意的な返事をする。相手が見せてくれた雪だるまの本体に加え同じケースにはバケツや枝を模した飾りなど個性を出すためのパーツも用意されている。今日という日を残すスノードームのコンセントとしてはピッタリだろう。方向性が決まると早速パーツ選びから始める。「前は雪で前髪を作ったけどクリップみたいなものを付けてみようかな」などと呟きながらカラフルなボタンをトレードマークであるクリップに見立てて雪だるまの頭部に置いてみて)
あの日の思い出も入れられるし良いアイディアだろ?おぉ、髪にワンポイントがあると一気にお前っぽくなるな。なら俺は…
(風.都.に雪が降った日のことを思い出してあの日をコンセプトにしようと提案すれば相手からは声を弾ませ返事がされてテーマが決定する、冬の景色を詰め込むのがスノードームならそこに二人の思い出を詰め込む方がいい。相手は早速雪だるまを取り出してパーツを選び始める、最初に手に取ったのはボタンだ。どう使うのか見ているとボタンは頭へとつけられてちょうどクリップの持ち手のようになる。デフォルメされているからこそボタンが相手のトレードマークにピタリと当てはまって感嘆の声をあげた。相手が頭にワンポイントを乗せたのならこちらもまずは頭のパーツを取り付けようとミニチュアが入ったケースを覗き込む。その中から自分と同じ黒いハットを被った男の人形を取り出すと「こいつだけ拝借して…」と帽子を人形から取り外す。接着剤をつけてから雪だるまにつけようとするが小さな帽子は直ぐにポロリと雪だるまから落ちてしまう、加えて一番いい角度で取り付けようとこだわって置こうとするせいかなかなか帽子はくっつかず眉を顰めながらハットと格闘していて)
これも僕のトレードマークだからね。…こういうのは一旦中にも詰めて接触面積を増やしてから…ここで支えておくから隙間を接着剤で埋めてくれ。
(流石に小さなクリップはないがボタンで見立ててみると相手から感嘆の声があがる。何か特別な由来がある訳では無いが今では自分のアイデンティティの一つであり、種類が増えてきた今ではお気に入りの部分だ。誇らしげに言いながらいい感じの位置を決めて頭部の右上の辺りにくっつけた。こう言った細かい作業は割と好きな方で思った所にピッタリ接着できたところでふと隣を見ると相手は男の人形から帽子を拝借しているようだった。黒いハットは相手らしさを表す象徴だろう。だが随分こだわりがあるのか角度を調整しては落とすを繰り返して眉を顰めている。少しの間様子を見ていたが完成した時にハットが外れてしまっては困る。手を貸そうと隣にやってくると苦戦してる帽子を取って中にちょうど良いサイズのもの、近くにあるハートのパーツをハットの中に接着剤で留めて間を埋める。それから相手が付けようとしていた位置にハットを持ってくるとそのままズレないように固定して相手に今のうちに付けるように伝えて)
なるほど、詰め物で接触面積を増やすわけか。よし…おぉ、ナイスだぜフィリップ
(もう何度目か分からない数ハットが雪だるまから転げ落ちるとますます眉間の皺が深くなっていく、繰り返しハットを乗せているせいで接着剤が何度も雪だるまの頭に着いてしまいこのままでは見た目も悪くなってしまいそうだ。ハットは自分を示す雪だるまには欠かせないものなのにどうしたものかと思っていると相手が隣にやってきて再度テーブルへと落ちてしまったハットを手に取る、そして空洞になっている部分にハートのパーツを詰め込むとちょうどいいサイズで中にハマった。中身を固定してから良い位置にハットが固定されると相手に促されるまま外から見えない位置に接着剤を入れ込んでハットを固定する。相手がハットから手を離しても今度は転げ落ちず思わず感嘆の声をあげた。これでグッと自分らしい雪だるまになっただろう。しかし外から見えないとはいえハットの中に入っているのはハートのパーツで暫くジッと考え込むように帽子を見つめると「ハードボイルドの象徴に可愛らしいもんが入ってんのはらしくねぇか?いや、感情に流されねぇって意味ではハートを帽子に隠してんのはハードボイルドらしいか…?」と悩み始めてしまって)
これで固定されたはずさ。…ハットの下には甘さ…いや風.都.への愛が詰まっていると思えば君らしいじゃないか。
(こちらがハットを持って角度を固定すれば相手が接着剤を入れ込んで接着をする。少し時間を置いてからそっと手を離すとハットは固定されてそのままの位置を保つ。相手が感嘆の声を上げ褒められると自然と口角が上がった。これで一気に二人らしい雪だるまになったのだが相手は何故か考え込むようにハットを見つめていて詰め物として入れたハートのパーツについて悩み始めて思わず笑みが零れた。一番サイズ感が近かったから手に取ったハート型だったが相手のハットの中にある物と考えれば妥当とも呼べるチョイスだ。いつものように甘い内面を指摘しようとしたがやり直すと言われるのも悩ましくそれらしい言葉に言い直して相手らしいと伝えた。更に自分の雪だるまに本に見える飾りと緑色のマフラーのような装飾を身に付けさせて更に自分らしくすると相手の雪だるまの横に並べて「なかなかそれっぽくなったんじゃないかい」と得意げに口にして)
……風.都への愛ってなら確かに俺らしいな。俺もマフラーつけて…よし、雪だるまはいい感じだ
(ハットの中にハートが隠れている事についてあれこれ考えを巡らせていると相手がその理由を甘いからだと言いかける、素早く相手の方をみながら半熟だなんだと言うならば今からでも中身を変えようかと思ったが直後この街への愛として隠されているのだと言い直される。この街のことを愛しているのは言わずもがなでそれが帽子に隠されているのもクールでカッコイイ、相手の言うことに納得すると何処か上機嫌に返事をしていた。相手が雪だるまを仕上げて行く中こちらの雪だるまには雪の日と同じように端をあげるようにペンで口を描き足しニヒルに笑っているように見せてさらに紫色のマフラーを巻けば随分自分らしくなった。相手の雪だるまと並べられると隣に相手の分があることで更に自分達らしさが増して自然と口角はあがる、二人分の雪だるまはこれで完成だろう。台座の中央に雪だるまを乗せると「クリスマスっぽさも足しときたいよな、こういうのとか」と雪だるまの後ろにクリスマスツリーのミニチュアを置いてみせて)
そうだね、あとは……あ! …せっかくなら彼もご一緒するのはどうだい?
(ハットの中のハートをこの街への愛だと称すれば相手の表情はご機嫌そうなものになる。実際は甘さや街や人への愛が見てわかるくらい滲み出ているのだが今は言わないでおく、そしてそれぞれ雪だるまを飾って二色のマフラーをした雪だるまが並ぶと一目で自分達だと分かる仕上がりになって満足げな笑みを浮かべる。これでメインの飾りは完成したがよりクリスマスらしさを出すため、相手がその後ろにクリスマスツリーのミニチュアを置く。だんだんと仕上がっていく光景にワクワクしながら辺りを見れば隣のテーブルに気になる配色を見つけ声を上げながら見に行く。それが思った通りの物であれば手に取って相手の元に戻る。少々もったいぶった言い方をしながらその正体、ふ.う.と.く.んのミニチュアフィギュアを見せると相手の様子を伺う。この街のマスコットであり、ゲームセンターでキーホルダーを取ったりと自分達と縁も強い。クリスマスツリーを挟んで逆側に配置すればたちまち風.都のクリスマスの風景となる。その他にもプレゼントの箱などを配置して賑やかにしていき)
彼…?おぉ、ふ.う,と,く,ん,か!なら、こいつには…
(メインの雪だるまが出来たところで後はどんどん飾り付けていくターンだ、ひとまずクリスマスツリーを置くと相手は何かを見つけたのか声をあげて端の方にあるミニチュアを取りに行く。気になるものでもあったのだろうかと相手の方を見ていると隣に戻ってきた相手は手の中にあるものをこちらへ見せる、そこにあったのはふ.う.と.く.ん.で思わずこちらも声をあげてしまった。この街の象徴でもある彼が台座にのればグッと風.都.らしさも増してこの街で生きる自分達をより表すような飾り付けだ。相手によってプレゼント箱が並べられてクリスマスさを足すならばとふ.う.と,く,ん,の頭にサンタ帽を乗せてやる。細い棒の先に小さなソリとサンタのシルエットが着いたものを台座に固定して遠くにソリが飛んでいるように飾り付けた。随分台座は華やかになってそろそろこちらは完成だろう。次はスノードーム内を舞うものを選ぶ番だ。ケースにはまたいろいろな雪の元が入れられていてラメ素材や本物の雪のような白い粒、星やハートなどのホログラムまである。透明のドーム部分を手に取ると悩ましげにケースを眺めて「雪だるまだし普通の雪いれるか?」と迷うように言いながら相手の方をみて)
随分賑やかな仕上がりになったね。 うーん…中身が充実しているからこのシンプルな奴と少しキラキラした奴を混ぜるのはどうだい?
(相手にふ.う.と.く.んを見せれば好意的な声が上がる。この街のマスコットを乗せればより自分達らしくなって世界で一つだけの世界が出来上がる。更にクリスマス感を出す為にプレゼントの箱を置くと相手は彼にサンタ帽を乗せ、そりとサンタのシルエットを添えれば随分と華やかな仕上がりになって満足げに感想を呟く。これ以上欲張りすぎるとごちゃごちゃになりそうで台座の方はこれで完成として次に進む。中で降り注ぐものも種類豊かで悩んでしまうが中を凝った分、雪はシンプルな物が良いだろう。本物の雪の様なものを選ぶが細かい結晶の形をしたホログラムも捨て難く悩んだ末両方を混ぜることを提案する。ダイヤモンドダストという現象もあるのだから不自然ではないはずだ。相手の意見も伺いつつドームの底にスノーパウダーなどを量を調整しながら入れていき「あとは中身を詰めれば完成かな」と無邪気な笑みを見せて)
それくらいが良さそうだな。入れすぎると豪雪になって雪だるまが埋まっちまうし
(土台部分が完成しドームの方を手に取ると相手と方針を相談する、いろいろと雪の元はあるが入れ過ぎれば肝心のミニチュアが見えなくなってしまいそうだ。派手に雪が舞うのも見応えはあるのだろうがせっかく作った自分達の雪だるまとふ.う.と.く,ん,はいつでも見えるようにしておきたい、相手の提案に頷くと多くなりすぎないように調整しつつ白い粒と結晶のホログラムを入れた。ここまでくれば完成までもう少しだ、無邪気な笑みを浮かべる相手を盗み見て心を擽られながら「あぁ、あとは仕上げだ」と声を掛ける。球体の方へ少々粘度のある透明な液体をゆっくり注ぎ入れ溢れないギリギリの位置で止める。そして土台部分に緩みがないか最終確認したあと逆さまにして気泡が入らないようにそっとミニチュアごと球体の中へとはめ込んだ。中の液体が少々漏れだすがこれで気泡は一切入っていないはず、濡れてしまった部分を拭くといよいよ完成だ。チラリと相手を見て「いくぞ」と期待を煽るような言葉をかけたあとスノードームを軽く振ってから机の上へと置く、するとスノードームの中では時折キラリと結晶が光るなか二人の雪だるまへと雪が降り注いでいて可愛らしくも幻想的な出来に「おぉ!」と感嘆の声をあげて)
…凄い!ドームの中に雪が降ってるよ…!
(こういう物はあればあるだけ入れたくなる物だが相手の言う通り豪雪となっては困る。ちょうど良い量を入れるとドームの中に液体を注ぐ、ギリギリまで入れてから土台を球体にはめ込むとスノードームの完成だ。濡れてしまった所を拭ってから相手から視線を受けると期待を宿る目でこくりと頷く。軽く振ってから机の上に置くと一気に雪が舞い上がった。キラキラとしたホログラムと共に二人を模した雪だるまに降り注いでいくのは何とも綺麗で見蕩れるような景色だ。子供のように興奮しながら感想を伝え、スノードームの中を熱心に覗き込んで観察する。加えてこの美しさは今だけの物でなくずっと残しておけるのだ。相手の方を見て「世界で一つだけの最高の思い出の完成だ、翔太郎」と声を弾ませて喜ぶ。これで出来上がりなのだがスノードームの土台に何かを書き込める場所を見つけると早速近くにあったペンで今日の日付を書き込んで「これで良しっと」と口元緩め)
あぁ。正真正銘俺達のスノードームだな、フィリップ。…これでいつでも今日のこと思い出せそうだ
(スノードームを振ってみればキラキラと雪が舞ってその中に二人の雪だるまが並んでいる光景は自分達の冬の一幕を切り取ったようでもあって思わず見入ってしまう、相手は子供のようにはしゃいでいてそちらへ目を向ければ同じタイミングで相手もこちらを向く。無邪気に弾む声で感想を告げられるとこちらの胸の内も弾むようでこの笑顔ごと今日の思い出がスノードームに込められた気がした。さらに相手はペンを手に取って手元を覗き込むとそこに今日の日付が書き込まれる、ますますスノードームが今日最高の思い出の品になったことに笑みを深くしながらまた相手の方に目を向けていた。店員がスノードームが完成したのに気がつくと丁寧に箱に梱包してくれて手提げ袋にいれてくれる。それを受け取れば礼を言ってからまた歩き出した。「家のどこに置くか決めなきゃな」と相手に話しかけながら次の目的地に行くためとある方向へと歩いていて)
窓際か棚の上か…枕元でも良いかな。いつでも見える位置が良さそうだ
(同じタイミングで目が合って世界で一つだけの最高のスノードームの出来を褒め合う。大切な物になる事は間違いないがいつ作ったのか分かるように今日の日付を書き込むと今一緒に作った思い出も一緒に刻まれたような思いがした。仕上がりに満足しているとスタッフの人が近付いてくれて丁寧に箱に詰めてくれた。スノードームの様子は見えなくなってしまったが今日家に飾ればいつでも見られるようになると思えば逆に楽しみになってきた。手提げ袋を受け取ると相手はどこかへ向かって歩き出す、隣に並んでそちらについて行きながらスノードームを置く場所について答える。せっかくだから目につきやすい場所が良いだろう。だが関心はスノードームから迷わず進む相手の足取りの方に向いて「これは何処に向かっているんだい?」とご機嫌のまま行き先を尋ねて)
いつでも見れる位置ってのは賛成だな。落としたら壊れちまうし、棚の上がちょうど良さそうだ。…そろそろ体動かしたい時間かと思ってな。この時期にしかないとこがあるんだ
(相手と共に歩きながらスノードームの配置について話し合う、せっかくの思い出の品ならば日常生活でも目につくところに置きたいところだ。しかし落として割れるなんて悲しい結末にならないようにするには安易に他のものが当たらない方がいい。窓際に置いて日光に反射する雪を眺めるのも良さそうだが日焼けのことも考えると棚の上が一番良い置き場所かもしれない。そんな話をしていれば相手はこちらが何処かへ向かって歩いているのに気がついたらしく次の行き先を問われるとまた勿体ぶった返事をする。といっても目的地はクリスマスマーケットのすぐ近くだ、程なくして全容が見えてくる。マーケットから少し歩いた開けた空間には柵で囲われた空間があって門部分には『アイススケート場』の文字が並んでいる。相手の方をみれば「毎年この公園ではクリスマスマーケットと一緒に今だけアイススケート場が出来るんだ。冬にしかできない幻のスケート場ってとこだな」と少々大袈裟に紹介すると相手と自分の分の手袋を取り出して差し出すと「アイススケートやってみねぇか?」と誘って)
クリスマスか冬限定ってことかい? これがアイススケート…、普通の地面では出来ないような動きだ。…やってみたい!
(いつでも見ることが出来る場所かつ壊してしまう可能性が低い所としてスノードームの置き場所を決める。また家に帰って飾るときが楽しみだと胸を弾ませながら今から向かう先について問えばまたもったいぶった説明がされる。体を動かして、この時期ならではと聞けば雪合戦が浮かぶが今雪は積もっている訳ではない。様々な想像をしながら相手に付いていくとクリスマスマーケットからそれほど離れていない開けた場所に辿り着く。そこには柵があって小走りに中を見てみると一面地面に氷が張られていて思わず目を瞬かせる。更にその上をスピードを出して滑る人々の姿を見れば初めて見る行為に分かりやすく興味を示して観察を続ける。以前通った時にはこんな場所は無かったはずで相手の説明から今の時期だけの特別なものだと知る。初めてばかりの情報に好奇心が最高潮に高まったところで準備万端に手袋を差し出されアイススケートに誘われるとすぐさま食いついて体験したいと子供のように応えた。そうと決まれば相手の腕を引っ張って急かすように受付に向かい)
まさに冬にしかできねぇっ、そんな急かすなよ!
(アイススケート場に相手を案内すれば相手の瞳はみるみる輝き出す、イルミネーションも顔負けの眩しさだ。スケートをする人々を食い入るように見つめているあたり相手の興味をバッチリ掴めたようだ。満を持して手袋を差し出すと相手の瞳はさらに煌めいて子供のような返事がされる、これだけでもここを選んでよかったと十分に思える光景に胸が温かくなった。だが相手は既に暴走特急状態で直ぐさま腕を掴まれると受付へと引っ張られる、文句は叫ぶもののどうしてもその声色は弾んでしまっていた。受付へたどり着くと人数を伝えて直ぐ横で足のサイズを聞かれる、それぞれの分を伝えると早速スケート靴が用意された。「ブレードのとこは刃物と一緒だから触んなよ」と解説を挟みつつ靴を履き替えるスペースへと向かう。相手と並んでベンチに座るとそれぞれの分のスケート靴を傍へと置いて早速靴を脱ぐ、靴下を軽く引っ張りながら「スケート靴はちょっと強めに靴紐締めていくのがコツだ」と再度解説を挟みつつ時折相手の分を手伝いながらスケート靴へと履き替えていって)
靴?…っ、ああ。専用の靴を履くんだね。
(流石自分のことはよくわかっているようで最高のタイミングでスケートに誘われるとテンションが上がって文句が上がるのも無視をして受付に向かう。手続きをする相手の横で忙しなく辺りを見渡し観察を続けているとスタッフに靴を手渡される。全体的にがっちりとした印象のものだが何より底の方に見慣れない物がついている。普段よりずっと重いそれを受け取って興味のまま下部のブレードの材質を確かめようと手を伸ばそうとした瞬間、それを見透かしたように注意がされてぴくっと反応して動きを止める。どうやら行動はお見通しらしい。だがその正体がブレードだと知れば興味深くしつつ用意されたスペースに向かう。見様見真似で靴を脱いでまずは全体を緩めてから足を入れる。それから相手の手伝いもありながら下から上へ紐を引っ掛けながらきつく引っ張って締める。普段よりもしっかりと少々窮屈だと思うくらい靴紐を締めてスケート靴に履き替えると早速ベンチから立ち上がってみるが地面と接触している面がブレードの部分しかなく、安定性が無ければふらっとバランスを崩しそうになり、咄嗟に相手を支えにしつつ「これで本当に滑ることが出来るのかい…?」と少々不安げに慣れない足元を見て)
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