検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…ッと、いて、…悪かったって。でも、目覚めバッチリだろ?
(撫でる手に寝ぼけながら擦り寄る相手にまた心掴まれてこのままゆっくり微睡む相手を眺める時間でも良かったのだが悪戯心が勝ってしまった。まるで遅刻したかのように嘘を言ってみれば相手の目は一気に開いて慌てて体を起こす。悪戯は見事成功したようで悠々とベッドに寝転がりながら笑みを噛み殺し相手の様子を見ていると、こちらの態度をみて今日が休日だと思い出したらしくその顔に眉が寄った。途端に不機嫌になった表情に愛おしさとおかしさを感じて思わず笑っていると相手はこちらを呼びながら飛び掛かってきた。まるで猫のような仕草に笑いは止まらなくてしっかりと抱き留めると背中に腕を回してポンポンと宥めるようにそこを叩く。体重をかけて抗議する様にも胸を擽られていたが相手はご立腹らしく頬を摘まれて、しかしそれでも笑うのは止められなかった。相手の不満まで抱き締めつつ謝罪になっていない謝罪を口にし上機嫌のまま短く口付ける。未だ宥めるように背中を撫でつつ「久々の休日だし街に買い物しにいくのもいいと思ってな。それでお前を起こさなきゃと思って」とさらに言い訳になっていない言い訳を言いつつ買い物へと誘ってみて)
…目は覚めたけれど、趣味の悪い起こし方だよ。…ん、買い物? 僕も幾つか買いたい物が幾つかあるし行きたい。
(寝坊したという焦りから慌てて体を起こしたが相手の嘘だと分かればその体に飛び掛った。文句と共に頬を摘んでみるが相手は楽しそうに笑うばかりで謝罪にもなってない謝罪をされる。確かに先程の微睡みは吹き飛んで意識はバッチリ冴えたのだが騙し討ちのような行動に口を尖らせ更に文句を重ねた。だがしっかりと抱き締められて短く口付けられると傍に相手が居る幸せを感じて不満は薄れていく。自分でも単純と思いながら大人しく背中を撫でられるのも受け止めていると相手の提案に目を瞬かせる。最近は何かと依頼やらでプライベートで街にじっくりと買い物に行く機会はなかった。少し考えただけで街で見たい物は浮かんでそちらに興味が向かうとぐいっと顔を近付けて賛成の意思を示して)
朝から心臓に悪いことしたな。やりすぎた、悪い。…、…なら着替えて飯食って出かけるか
(寝ぼけた顔に不満気な顔、あっという間に変わる表情に心擽られていたがそろそろきちんと謝罪しなければ本格的に怒られそうだ。口付けで誤魔化そうとした分も含め謝罪の言葉を伝えた後出掛ける提案をすれば相手は目を瞬かせる。そして直ぐ様その瞳に光が宿るとさらに顔が近づいてきて笑みを漏らす、相手もいろいろと思い当たるものがあるようだ。こちらに近づいてきた相手に思わずまた短く口付けると背中に腕をそえ相手を抱えたまま上半身を起こして膝の上に座らせるようにする。軽く相手を見上げながら「前に言ってた事務所に泊まる時のもんも買っとかねぇとな」と先日交わした約束を持ち出して)
ああ、事務所に置いておく物も見たいしコーヒー豆の補充もしておきたい。あとは寒くなってきたから冬用の物も何か良いのがあったら買おう
(相手からの謝罪も受け機嫌は元に戻すと興味は買い物に向かう。短くキスが交わされて体を起こされると膝の上に乗るような形で話を進める。今しがた浮かんだ候補の一つを相手の口から発されると覚えてくれていたことに嬉しくなってぎゅっと軽く抱きついて頷いた。事務所に置いておく私物の新調とこれから冬になって消費量が増えるであろうコーヒー豆の調達もしておきたい。今日見て回りたいものを順番にいって行けば早く出掛けたくなってきて相手の手を取って握ると立ち上がってベットの上から出る、そのままクローゼットに向かうと「今日はどれにしようか」と悩みながら服の組み合わせを悩み決めた服に着替え始め)
今日は大荷物になりそうだな
(もともと事務所で寝泊まりする時は突発的に発生することもあって日用品が不足しがちであり何よりも相手とのお揃いに慣れてしまった身では物足りなさを感じたのが先日で、事務所で泊まる時に使うものを買おうと約束してからも数度機会があったがやはり不揃いの寝巻きには物足りなさがあった。ようやく機会が巡ってきたと約束を持ち出せば相手がこちらへと抱きついてきて思わず口角があがる、相手もこの買い物を楽しみにしてくれていたようだ。そのまま次々と買い物候補があがる、今日は冬支度も兼ねた買い出しになるだろう。相手と手がつながりそのまま引かれてクローゼットへと移動する、いつも通りのスーツ姿へ着替え休日なのだからとネクタイは赤色と明るい色を選んでおいた。手早くトーストを用意して朝食を軽く済ませると、クリスマスプレゼントとして相手から貰ったハットを頭に乗せてこっそりとお揃いのデザインを身につける。ジャケットを羽織れば「よし、いくか」と声をかけ相手の準備が整うのを待ってから繁華街へと繰り出して)
事務所で着るなら流石に家のように分かりやすくお揃いにするのは避けた方が良さそうだしどうしようか。
(買い物に行く物が大体まとまってくれば大荷物という言葉に「そうだね」と返す。物にあまり執着しないタイプだったが今や相手と関連する物が増えることにワクワクする自分がいる。クローゼットで悩んでいると相手が赤いネクタイを選んだのを見れば何となく赤いロングパーカーを手に取った。少し露骨かもしれないが相棒だからとか秋だからで通すことが出来るだろう。その後トーストで朝食を済ませて支度をする。粗方準備が整ったところで相手を見れば以前クリスマスプレゼントとして渡したハットを頭に乗せていて思わず口元が緩む。胸元とハットに共通の地球を宿しながら声かけられるまま家を後にした。繁華街に辿りつくとまずはメインの寝巻きを買おうと決めるが人がいつ入ってきてもおかしくない事務所では分かりやすくお揃いというのも避けた方が良いだろう。かといってバラバラの物を買うのも味気なくて悩みながらもひとまず手頃な服屋に入る。寝巻きのあるエリアにつくとシンプルなデザインが多いそれらを順番に見ていき)
そうだな。俺達だけが分かるもんにするのが一番いいが……
(クローゼット前で二人並んで着替えつつ赤色のネクタイを手にすれば相手が右隣で赤色のロングパーカーを取り出すのが見えていやでも口角はあがる。お揃いのものを買いにいくというのに出かける服もお揃いだ。さらに特別なハットを被ってワンポイントもお揃いにしてから繁華街へと繰り出した。手頃な服屋へと入りながらどんな寝巻きにするか相手との相談が始まる。事務所で寝る限り寝巻きを他人に見られる可能性はゼロではない、所長は好きな時に入ってこれるし万が一マッキーにでも見られれば永遠に馬鹿にされる、女子高生二人に見られた日には写真を撮られて永遠にいじられ続けるだろう。となれば相手の言うように露骨なお揃いは避けた方がいいが普段着のようにブランドがお揃いとするだけなのも味気ない。もう少し目に見えたものがなければ結局は物足りなくなってしまうだろう。相手の方をちらりと見れば胸元に地球が浮かんでいる、それはまさに今お揃いにしているもので「ワンポイントを同じにするくらいなら直ぐお揃いってバレねぇんじゃねぇか?」と胸元を見つめたまま言って)
なるほど、ワンポイントなら自然だし気付かれる前に着替えることが出来そうだ。
(二人の特別にしたい気持ちと露骨なものは避けた方が良いという理性の狭間で揺れどれにしていいか悩んでしまう。家の寝間着はほぼ即決だったが人に晒す可能性がある以上多少は考慮しなくてはならない。店内を見ていると相手の視線を感じてその先を追う。そしてワンポイントを同じにするアイデアを提案されると感心して頷いた。全て一緒であるような露骨なお揃いではないが自分たちは見て分かるし不意に見られたとしても関連が結びつく前に隠したり着替えたりが出来る。一つの方針が決まったところで服を見ていくとスマートな色合いの黒の寝巻きとカジュアルな印象を受ける白の寝巻きを見つける。パッと見は違うように見えるが黒の方には紫っぽい色の縁どり、白の方には黒っぽい縁どりがありそれぞれに前に同じ材質のボタンが付いていれば「こういうのかい?」と相手に見せて)
お、いいんじゃねえか?パッと見は違うデザインだけど色使いが同じだし、ボタンの材質と襟に薄ら入ってるデザインも同じだ。色合いもちょうどフ.ァ.ン.グ.ジ.ョ,ー.カ.ーだしな
(人に見られる可能性もある寝巻きだと考えればどこまで揃えるか悩みどころでワンポイントを同じにすることを提案してみる、すると相手は白と黒の寝巻きを選び出した。一目見た印象は全く違うものだがどうやら同じシリーズの寝巻きらしくちょうどそれぞれの縁の色が交換された色使いになっている。さりげなくボタンの材質が同じところや目立たない程度にあしらわれた襟のデザインも同じで露骨すぎないお揃いを求めている今の二人にはピッタリの寝巻きだろう。家の寝巻きは緑と紫で基本フォームの色だがこの二着は相手が変身する特殊なフォームの色と同じで事務所で泊まるという特殊な日にピッタリの色合いだ。相手が持つ寝巻きを覗き込んで好感触を示していたが、ふと「これにすんならどっちの色にするか悩んじまうな」と相手の方を見ながら困ったように笑う。互いの印象で言うなら相手が白を着てこちらが黒になるのだろうが、寝巻きといえば互いの色を交換するものでもあってそうなれば色合いは逆にすべきだろう。他人にとっては些細なことでも二人にとっては大事なことだ、「お前はどっちが着たい?」と相手の意見を聞いてみて)
それが手に取った決め手でもあるね。…着たい色、…なら君の色が良い
(目に付いた寝間着を二枚取り出してきて相手に見せると好感触の反応が帰ってきた。色使いや細かい所のデザインは一緒で程良いお揃いの具合だろう。その色合いを見て二人の特別なフォームの名前が出ればそれで選んだのだと笑みを浮かべた。家と事務所でフォームチェンジするように違う色を纏うのも悪くないだろう。二人の賛同があればほぼ決まったようなものだがふと相手がどちらにするかと悩みを見せる。お互いの好みや印象を考えれば自分が白なのだろうが相手がわざわざ言ってくるということはそういう事では無いのだろう。それに自分も同じ意見で相手に結び付いた色を纏いたいと申し出た。きっと相手も同じ気持ちだろうと思えば「なら君はこっちだ」と白い寝巻きの方を微笑みながら差し出して体に宛がって見せ)
っ、…まぁ、ダブルが俺達だっての知ってるのは……アキコくらいだから問題ねぇよな
(それぞれ白と黒を基調とし縁の色使いは互いに逆、思い浮かべていたのは同じもののようで笑みを浮かべる相手にこちらも同じく笑みが浮かんだ。この色が並んで思い浮かべるものはお互い同じらしい。さらに白と黒、どちらを選ぶか悩んでいると相手からハッキリとこちらの色が良いと言われてしまって目を瞬かせた後照れくさくて小さく笑いながら人差し指で頬をかいた。色を交換するというのもある意味露骨な行為だが互いが司る色があるのを知っているのは所長だけ、他の人が見てもせいぜいイメージとは逆だと思うくらいだろう。白い寝巻きが宛てがわれると相変わらず照れ笑いは止まらないが着慣れないデザインを纏うのがもう既に楽しみになっている。黒の寝巻きを受け取って今度は相手にあてがってみるとやはり見慣れないデザインを相手が纏っていて「…なんか、俺の寝巻きをお前が着てるみたいだ」と自分のものでもないのに思ったままの感想を呟いて)
ああ、アキちゃんになら別に見られても…出来れば見られたくないけど、平気だ。 …確かに初めて君の家に行って服を貸して貰った時と似ているね
(相手の言う通り自分達の正体を知らない人から見ればその色に結びつきがなく珍しいと思われるだけだ。唯一知っている所長も自分達の関係について知っていて多少何か言われるかもしれないが見られるのは問題ない、と言い切ろうとするが自分を司る色を纏った相手の姿を他人に見られるのはやはり避けたいという気持ちもあって一度言葉を区切っては子供っぽくぽつりと本音を零して頷いた。そんな白色を相手に宛てがうとやはり見慣れないデザインでその姿を想像して顔が綻ぶ。今度は相手が黒い寝巻きをこちらにあてがうが普段全体的に緩く広がるような服ばかりを着てるのもあってすらっとスタイリッシュに見える服はなかなかに珍しい。それに大して相手が感想を言えばまだ同棲もしてなくて初めて相手の家にお泊まりした時に似たようなことを言われたのを思い出して懐かしそうに笑う。あの時も急遽相手の服を借りたのだった。これはまだ相手の物では無いが相棒らしいもので以前どこかで聞いたワードを引っ張ってくれば「彼シャツならぬ彼パジャマみたいで良いだろう?」と揶揄うような言葉投げかけて)
…、…まぁアキコならスリッパ食らうくらいだろうが…この寝巻き姿は俺だけのもんにしてぇな……、どこで覚えてきたんだよ、その言葉!
(そもそも互いの色を交換する、という行為も自分達が変身した後の姿を知らなければ分からない事で、そこらへんの事情を知っているのは今の所アキコだけだ。一番寝巻き姿を見られる可能性が高い人物が二人のことをよく分かっている家族でありがたいものの、相手が所長にすら色を交換したところを見られたくないと言えば心臓が跳ねて目線を泳がせる。そもそも寝巻きなんてプライベートな姿でそこに相手が普段はこちらが着るようなデザインを纏い自分の色に染まっている姿となれば他人の目に晒したくない気持ちは十分に分かる、しかも事務所に泊まった時だけしか見られない特別な服装となれば尚更だ。目線を泳がせたまま相手に釣られてこちらも本音を滲ませる、見られても構わないお揃いを選んだはずだが二人で相談するうちにあっという間にそれらの特別感は増して他人に見せたくないものになってしまった。それこそ相手に宛てがう黒の寝巻きはこちらのものを着ているようで嬉しさと恥ずかしさが混在するが、それを彼パジャマと表現されると一瞬言葉を詰まらせ思わずツッこんでしまう。そもそも今家で着ている寝巻きも互いに彼パジャマのようなものだがそれは棚にあげて「ついでに室内用のサンダルも買わねぇか?寝巻きでいつもの靴だと動きにくいだろ?」と無理やり話題を別方向へ逸らして)
僕も色々と学んでいるのさ。そうだね、動きやすくて脱ぎやすい奴があると便利だ。
(他の人に見られても構わない寝巻きということで探しているはずがそこに特別な想いが乗れば段々と他人には見せたくないものになっていく。相手も同じことを思ったのか独占欲の含んだ言葉がこぼされると嬉しさと照れ臭さで口元がニヤける。だがかといって今更全然関係ない別の物にしようとも今更思えずこれまで以上に戸締りや寝坊防止を徹底するしかなさそうだと心に決めた。そんな特別な姿を彼パジャマと称すれば相手からツッコミが入る。女子高生達か若.菜.姫のラジオかそれとも違う所の知識か覚えてないが相手に追いつく為に色々調べたりしているのだ。言葉を詰まらせた相手に機嫌良くしながら余裕を見せて言葉を返した。そうしていると話を逸らすように室内の靴を買うことを提案される。あからさまではあるが土足の事務所で寝る直前までいつもの靴というのは不便であることは確かで同意を示すと「じゃあこれは買って靴を見に行こう」といってレジに向かう。二つの服を袋に詰めて貰って受け取ると「どこか良い店はあるのかい?」と問いかけ)
なら、この先にちょうど良い店があるからそこ行くか
(彼パジャマだなんていかにもな単語を出されて怯んでしまうと相手が上機嫌になっていくのが手に取るように分かる、散々お揃いだの互いの着ていそうなデザインだのを選んでもカップル専用用語を持ち出されれば恥ずかしいものは恥ずかしい。会話の舵を無理やり切ると相手の温情で話は靴の方へと流れていって一安心だ。レジで会計を済ませると相手と共に店を出て次の目的地を問われる、風.都を庭と称しているのだから繁華街の店はバッチリ把握済みだ。店のあたりをつけると自信満々に返事をしてそちらへと歩き始める、程なくして到着したのはカジュアルな靴を専門に扱っている店だ。スーツに合わせるような革靴を売っていない代わりにスニーカーやブーツが豊富でサンダルも当然種類が多い。室内用を探してはいるが軽く買い出しに行けるようにスリッパよりはサンダルくらいを選ぶのが良さそうだ。そもそもスリッパは所長によってツッコミ道具に改造される可能性がある。カジュアルな店内でもさらにラフなサンダルが並べられた棚の前にやってくると「せっかくなら足元も寝巻きと合わせたいよな」と順番に靴を眺めながら言い)
寝巻きに合わせるとなるとまた色で揃える方法もあるけど……、これは、
(服屋を後にしながら次の店の目処を聞けば自信満々な答えが返ってくる。流石この街の探偵だと感心しながらついて行くとカジュアルな雰囲気の靴屋に辿り着く。カチッとした靴ではなく日常生活に履くような靴を取り揃えているようで今回の目的に一致しているだろう。ジャンルごとに分けられてる中サンダルの並んだ棚の傍にやってくると並んだ靴を見る。普段の靴よりはラフなスタイルではあるがこのくらいならコンビニに行ったり少し外に出るのにも使えそうだ。並んでその品揃えを見ていると相手から先程の寝巻きとあった靴にする案が出される。このサンダルを履く時は概ね寝巻きを着ている時だと考えれば良いアイデアだ。安直に考えるなら白には白の靴、黒には黒の靴か若しくはここも交換するという案だが選ぶとなると悩ましい。サンダルにも色々形があるようでどれにすべきか見ていると底の部分がかなり厚いタイプのサンダルを見つける。パッと見5センチはありそうなそれに興味が向かってしまうと試しに今履いているブーツを脱いでそのサンダルを履いてみる。するとその底の分普段より身長が高くなり、隣を見れば普段は同じくらいの身長の相手が一段低くなると「これを履けば身長が高くなる訳だね」と物珍しい景色に楽しそうに感想を口にして)
あとはさっきお前が言ってたみたいに脱ぎ着しやすくて動きやすいやつ……ん?なっ?!何してんだよ!
(色合いは寝巻きに合わせるならば白と黒になり寝る前に履くものだと思えばわざわざ靴紐を結んだりベルトを止めたりする必要がないものの方がより楽だろう。となれば自ずと選択肢は絞られてきてラバー製でシンプルなデザインのものが良いだろうか、などと考えていれば相手が隣でなにやらゴソゴソ動いているのに気が付かなかった。悩み続けていると隣から噛み合わない言葉が聞こえてきて思わず相手の方をみる、いつも通り顔の位置へと視線を向けたはずだったが微妙にその位置はズレていて相手の背丈が伸びていることに気が付いた。思わず言葉を失ってしまうが足元に目線を移すとすぐに厚底タイプのサンダルを履いているのだと気が付き思わずツッこんでしまう。いつも同じ高さにあるはずの目線は少し見上げるくらいになっていて違和感が拭えない。だが相手の年齢を考えればまだ身長が伸びる余地はあるわけでいつかこの目線になる可能性は否めない。この未来が来るのは困る、「俺達二人で一人の探偵なわけだし、目線が合わねぇのは困るな」なんて言いながら相手の頭へ手を伸ばすとツムジ部分をギュッと押して)
面白い用途の靴があったから試しに履いてみたんだけど、…普段の高さの方がしっくり来るね、
(相手が隣で悩んでいる間それよりも興味惹かれる物があって試しに履いてみる。底が高く作られている分普段より視界が高くなって不思議な気分だ。身長を高く見せるという用途の靴を見るのは初めてで興味深く感想を言っていると相手がこちらを向く。普段との目線の高さのズレに気づき顔が上がる。驚いた顔を見せた後足元を確認してその理由を知るとツッコミが入って思わずくすくす笑う。いつかの時に自分の身長が更に伸びたらという話をしたがこの高さはそれを模擬体験しているようなものだろう。相手を見るのに視線を下にやる状態に新鮮さを感じていると頭に相手の手が伸びてきてつむじの辺りをぎゅっと押される。すると少ししゃがむような体勢になって相手と視線の高さが合うとぱちっと当てはまるような感覚がしてこちらの方が良いと答える。ならばあまり底に高さが無い物にしようと新たな条件を決めて棚を見れば白と黒のシンプルかつカジュアル過ぎないコンフォートタイプのサンダルを見つけ「ならこれとかどうだい?」と提案して)
…あぁ、いつも通りが一番だな。…お、いいな。これなら事務所でも外でも使えそうだしどっちの寝巻きにもあいそうだ
(相手の目線があがり僅かに見上げるようになってしまったがこの目線では違和感とついでに妙な焦りが募ってしまう。こちらがツッこめば相手は楽しげに笑うがプライド的な意味と今後相手に服を貸す時に不具合が出るかもしれないと思えばこれ以上背が伸びないようにとおまじないも込めてつむじを押す。すると相手はサンダルで高くなった分低くなっていつもの高さで目が合う、ほんの5cmほどであるはずなのに恐ろしいほど目線の高さにしっくりきて思わず目を瞬かせた。相手も同じ感想を口にしていてこんな所でも無意識にいつも通りが出来上がっていたようだ。サンダルの条件がまたひとつ加わる、就寝前に履くという意味でもより安定していてリラックスできるように高さはあまりない方がいいだろう。すると相手はコンフォートサンダルを提案して理想にピッタリな形に好感触を示した。このままの流れならば互いに白と黒のサンダルをそれぞれ買うところだが目線まで同じであるのを自覚して少々欲が出てくると同じデザインで白をベースとして縁やベルト、靴底部分が黒いものを手に取ると「サンダルくらい一緒でも許されんじゃねぇか…?」と提案してみて)
ならばこれに…、確かに足元はあまり注目されることもないしお揃いでも良さそうだ。 二人のサンダルはこれにしようか
(相手は自分に身長が高くなって欲しく無さそうでつむじを押される。しゃがむことでいつもの目線の高さになればしっくり来てあまり高さが無く程度も同じくらいにしようと決めた。そうして目に付いた二色のサンダルを提案すると相手から良い反応が返ってくる。ならばこれにしようと手を伸ばしたタイミングで相手がその隣のサンダルを手に取る。白をベースに部分部分が黒で構成されて二色か混在しているサンダルに目を向けると第三の案を提示されて目を瞬かせる。それはつまり同じ物を買うということで露骨なお揃いだ、それを理解すれば口角は上がって賛成の理由を添えながら好意的な反応を示す。服はともかく靴まで注目する人は少ないだろうし幸い靴のサイズもそれ程かけ離れてはいない。何より寝巻きより更に分かりやすいお揃いが持てることに心は弾んで相手が選んだサンダルと同じものをもう一足手に取った。特別なフォームの色を宿したサンダルをそれぞれ持った状態で「これで事務所でも快適に過ごせそうだ」と声を弾ませて早速レジに持っていこうとして)
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