検索 2022-07-09 20:46:55 |
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お前だって迷いなく切ってんじゃねぇか。ま、見た目以上に美味いとなりゃ仕方ねぇな
(罪悪感を抱えつつ少々可哀想な見た目のウサギのねりきりを食べた訳だが躊躇した要素が吹き飛んでしまうくらいには食べたことのない美味しさがあって顔を綻ばせる。相手にもねりきりを差し出せばこちらも気に入ったようで好意的な感想が伝えられると、先程ウサギの頭に黒文字がささってあれだけ叫んでいたのに相手が辛うじて残っていたウサギ成分を断ち切るように胴体を真っ二つに切ると思わずツッこんでしまった。しかしこの美味しさの前ではいつまでも眺めているだけなんてできやしない。それに相手が言ったようにこれは和菓子なのだからどう食べようと問題ないのだ。お茶を啜りながら美味そうに次々とねりきりを口に運んでいる相手を見ているとこちらまで幸せな気分になってくる。段々と高級な和菓子を食べたい気持ちよりも相手が嬉々として和菓子を食べているところを見たいという方へ気持ちが傾いていく、黒文字を手に取れば紅葉の形をしたねりきりに手を伸ばし葉っぱ一枚分を切り取って断面をみれば「お、これはごまの餡子みてぇだ」と言いつつ相手の方へ欠片を差し出して)
見た目を楽しんでから味の検証に移ったまでだ。 へぇ、中の餡子も味を変えて飽きさせないようにしているのか。
(月見うさぎの姿は可愛らしかったが一度崩れてしまうと興味はその味へと移る。口にした練り切りの味に感動して食べやすいようにウサギの体を二つに割ると相手からツッコミが入った。それに楽しそうな表情を見せながら返事をしてお茶を挟んでいると今度は相手がその隣の紅葉の形をした練り切りに手を伸ばす。グラデーションの綺麗な見た目に目を奪われつつ、相手が葉の一つを取るように黒文字で切ると先程と違う中身が現れる。いくら上品な甘さとはいえずっと同じモノを食べるのはキツいがちゃんとそこも考えられているようだ。感心の相槌を打ってさらに興味を煽られていると切り分けたそれを相手は自分ではなくこちらに差し出してくる。一瞬目を瞬かせるも胡麻餡に惹かれ顔を近づけ食べると餡子はただ甘いだけでなく胡麻の香ばしいような匂いや味が加わって幸せそうに目を細めた。同じように葉の1枚を切り取って相手に食べさせようとするが上手く黒文字に取れなくて、仕方なく指先で掴んでから「君も食べたまえ」と差し出し)
どことっても一流だな、この和菓子。…ならいただくか
(紅葉のねりきりを切り分けてみると違う味が顔を出してそれを伝えながら相手へと差し出す。見た目の華やかさだけでなく味のバリエーションまで手を抜いていないとはさすが高級店とも言うべきか。差し出したねりきりの欠片が相手の口の中へと吸い込まれていく、咀嚼して目を細めてその味を堪能する様をみれば自分の与えたもので幸せな顔を浮かべるのがなんとも胸を満たして思わず口に含んだものを飲み込むまで相手の顔を見続けてしまった。次の欠片を相手に渡そうとする前に相手が動いて同じく葉一枚分が切り取られる。しかし柔らかなねりきりを上手く黒文字で取れなかったようで最後には指で摘んでこちらへと差し出された。すると今度は先程のうさぎの件もあって悪戯心が刺激される。普通は食べることの出来ないものを一緒に共有しながら怒ったり幸せそうにしていたりとコロコロ表情を変える相手が愛おしくてさらにその種類を増やしたくなってしまった。差し出されたねりきりに口を近づける、少しだけ体を前に乗り出すと欠片を口に含むと同時に相手の指先を唇でなぞった。わざわざ吸い付く音を添えて事故ではなく故意であることを示しつつ
体勢を元に戻すと「ん、胡麻餡も美味ぇな」と素知らぬ顔でその味に浸っていて)
…、っ、翔太郎! 今の動作は食べるのに必要ないだろう!
(シンプルな白あんとはまた違うバリエーションに惹かれるように相手が差し出したねりきりを食べて味の違いを堪能する。咀嚼して飲み込むまでじっと見つめられているのを感じると相手も胡麻餡の方が気になったのかと考え、黒文字では上手く取れなかったねりきりを指で摘まんで相手に差し出す。すると先ほどと同じく顔が近づいて自分の手によって相手が食べる場面を微笑ましく見守っていたがその唇が指先に揺れる。単に偶然だと流そうとしたがねりきりを口に含むと同時にその場に相応しくない吸い付くような音が響くと一瞬固まったのち、顔が薄ら顔を赤くなるのを感じてそれを誤魔化すように相手の名前を叫ぶ。当の相手は素知らぬ顔で感想を述べているが今のがこちらを揶揄うための悪戯であるのは間違いない。胡麻餡を味わっている悪戯好きの頬を摘まんで軽く引っ張ったりしながら不満げな顔で抗議を訴えて)
そうか?せっかくの高級品だからちょっとでも残さないように…いてっ
(最高に美味しいものを静かに堪能するのだっていいのだが相手と二人きりの空間にいれば恋人にちょっかいをかけたくなってしまうものでねりきりを口で受け取る瞬間に指先に悪戯を加える。すると相手は狙い通りに固まって顔まで赤くなれば口元がニヤけてしまわないように抑えるのに必死だった。また違った表情を見れたことに満足しながら胡麻餡の味にも満足していると相手から抗議の声があがる。それを適当な言い訳で躱そうとしたがそうもいかないようで頬を摘まれ引っ張られてしまった。だがそんな囁かな抵抗も可愛らしくて頬を引っ張られながらも目と口元はニヤついている、甘んじて頬を摘まれながら「夢んなかと変わらない照れっぷりだな」と先日のことを持ち出して揶揄いまじりに言う。あの時は関係がリセットされ初心だったからと言い訳が通るが今は違う、未だにこうやって赤面する相手に嬉しいものを感じつつ摘まれているのも気にせず残りの紅葉のねりきりを黒文字で取り、手で受け皿にしながら相手へ差し出すと「ほら、これで機嫌直せって」とまた適当なことを言って)
君も夢の中ではあんなにてんぱっていたのになんでこんなに悪戯好きになってしまったんだい。……、…こっちは硬いみたいだ。
(相手に抗議を訴える間も適当な言い訳を重ねていて不満を態度に表すように頬を摘まんで軽く引っ張る。むにむにと触ったりしていれば申し訳なさどころか楽しんでいるの伝わってくる程相手の目と口元はにやついていて納まる様子もない。抵抗もなければそのまま好きに触っていたが夢の中と照れ方が変わりないと言われると少し眉が寄る。相手との距離感は大分慣れたものだがこういう不意打ちはいつまでも慣れない。相手だって夢の中ではあんなに動揺してずっと顔を真っ赤にしていたはずだ、それがこうやってリップ音を鳴らしたりと自らちょっかいをかけるようになったのは積み重ねた時間と経験を感じて嬉しいような好き勝手されて困るような複雑な気持ちだ。頬を摘まんだまま愚痴るように呟いていたがこちらの機嫌を取ろうと残りのねりきりが口元に運ばれる。食べ物で釣られているような気がして相手とねりきりを交互に見るも高級和菓子の美味しさに勝てずに顔を近づけて口に含んだ。だがそれだけでは不満は晴れず、受け皿として近くにあった相手の手を掴むとそのまま人差し指の側面辺りから味見でもするように軽く噛みついた。あまり力を入れずに軽く甘噛みすると相手の方を見ながらその感想を告げて)
そりゃお前が悪戯しがいがあるからだろ?……ッ、そこはねりきりと何の関係もねぇだろ!食うとこじゃねぇよ!!
(まともな返事をせずにのらりくらりと受け流していればさらに相手の不満は募ったのか頬から手が離れることはなく、しかしその囁かな抵抗がやはり可愛らしくて態度を改める気はなかった。夢の中のことも絡めて揶揄ってみると益々不満が募ったようで眉間にシワが寄ってしまった。あの夢の中や恋人になる前後は全てのことが新鮮かつ刺激的すぎて何かある度にパニックになっていたが今や相手と時間を積み重ねて間接キスも気にならないくらいにお互いのものを交換するのが当たり前になった。さらに相手のいろんな表情を知ってしまえばそれらを不意に見たくなってしまうのも当然で、その手段がこれらの悪戯というわけだ。そこら辺の事情を省いてまたすました顔で答えるもそろそろ相手の機嫌を取らなければ本格的に怒ってしまいそうだ。その前にとねりきりを差し出せば少々迷ったようだが相手は口を開いてねりきりを食べる。これで空気もリセットだろうと思っていれば不意に相手の顔が動いて目を瞬かせる、そのまま人差し指を甘噛みされるとさらに目を瞬かせた。人差し指に柔い刺激がある状態で相手と目が合えば必然的に相手は上目遣いになるわけで、刺激と視界の情報が合わされば可愛らしくも目に毒な構図に一気に心音が跳ね上がる。結局は自分も顔を薄ら赤くしながらせめてもの抵抗として叫ぶしかなくて)
…ん、練り切りと一緒に手を伸ばしてくるからここも食べて欲しいのかと思ったよ
(肘を押してきた件も含め悪戯を仕掛けてくる相手に仕返しをしようと考えれば差し出された練り切りを食べたタイミングでその手を捕まえてその人差し指に歯を立てる。相手と目を合わせ見せ付けるように甘噛みしてみせればその目が瞬いて、顔が薄ら赤くなっていくのを見えて口角が吊り上がる。どうやら作戦は成功らしい。相手がその動作に対して叫ぶのをさっきとは逆の立場で素知らぬ顔で聞き流しながら何度か歯を動かして食むような動きをする。皮膚は当然練り切りのように柔らかくも甘くもないのだが相手の指ならばこうやって口に含むのもさほど抵抗はない。動揺した相手の反応に満足すると最後に軽くその部位に舌を這わせてからすぐ口を離して、満足そうな笑みを浮かべながらそれらしい言い訳を告げて)
ば、…お前!!…その理屈だと目の前に来たもんなんでも食べるってことだよな?
(手を掴まれていたのもあり甘噛みされても咄嗟に引っ込めることも出来ず、ただ甘噛みされているところを見ていることしかできない。こちらが動揺をみせれば相手は口角をあげていてしてやられているはずなのにそこから目線をそらせない程には可愛らしいと思ってしまっている。これで満足かと思ったが相手はそこから何度かそこを食むような動きをすればさらに動揺は加速して視線が泳ぐ、何か言おうにも言葉が出ないでいると最後にダメ押しとばかりにそこに舌が張って違う刺激にまた瞳が揺れた。ひとまず叫んでみるものの今度は相手がシラを切る番でまともに取り合う気はないらしい。一瞬言葉に詰まったものの満足そうな相手に確認をするように問いかけながら黒文字を掴んで羊羹を一口大に切り分ける、そしてあえて羊羹を指で摘むと相手の目の前に突き出してやれるものならやってみろと言いたげに相手をジッと見ていて)
まあ、そういうことになるね? …あーん、
(何やら騒がしくしているが相手の目はこちらに釘付けのようで動けないほど動揺を誘えているのは実に愉快だ。相手に文句を言ったものの恋人をからかうのが面白いのはこちらも同じでまた食むように動かして舌先で軽く舐めて見せれば瞳が揺れた後叫び声があがって素直な笑い声が零れた。楽しそうにしながらその手を解放して満足していたのだが相手から妙な問いかけをされると不思議そうにしながらもひとまず頷く。自分としては相手に仕返しをして薄ら赤い頬を拝めて十分だったのだが相手にとってはそうでないらしい。キョトンとしながら相手の行動を見守っていると相手は最初に食べた羊羹を1口大に切る。そしてそれを指で掴むとこちらに差し出してきた。思わず羊羹と相手を交互に見るが先程の発言の手前引き下がれずに挑戦状として受け取ることにすれば顔を寄せる。羊羹を一口で食べてしまおうと大きく口を開けて口にすると相手の指先まで含んでしまいながら得意げな顔を見せて)
…っ、……、…
(摘まれていたねりきりを食べようとして指先に唇が当たるのは事故になりうるとしても落とさないようにと添えていた手を甘噛みするのはどう考えても事故では起こりえない、明確な意志を持った悪戯だ。自分も故意で指先に吸い付いていたことは棚にあげて相手の言葉の揚げ足をとるようにして言い返したあとに羊羹を摘んで差し出す。こうなれば意地だ、次に顔を赤くした方の負けだろう。相手は摘んで差し出した羊羹とこちらとを交互に見てやがてその意図を察していたようでそこで照れて勝負が終わってくれても良かったのだが、顔が羊羹と指先に近づいてくる。そのまま大きく開けた口の中へ羊羹が吸い込まれ指まで吸い込まれてしまった。しかし先程のように直ぐに口は離れていかず指先は口に取り込まれたままになっていて得意げな顔を向けられるとまた目に毒な光景に息を詰まらせる。だがこちらが仕掛けた手前簡単にやられるわけにはいかない、何とか息を吐き出すと相手から目を逸らさないまま指先を移動させ、そこに僅かに付いていた羊羹を相手の舌へと塗りつけるように表面をなぞって)
……っ!……、
(何かと相手とは正反対の性質を持っているがこういう所は似ていて負けじと羊羹が摘んで差し出された。相手が引く様子が無ければその挑発に乗るような形で羊羹ごと相手の指先を口内に含んだ。先程と上品な甘さが口に広がってその美味しさを味わうがそれ以上に取り込んだ相手の指先に意識が向かう。言われた通りにしてみせたのだと自慢するように得意げな顔を見せると相手が息を詰まらせたのが分かった。その様子にまた機嫌は良くなるが息を吐いたかと思えば口内にあるある相手の指先が動いてパチリと目を瞬かせる。それから舌の上を指先がなぞると普段誰か触れることのない場所への刺激に小さく肩が跳ねた。なぞられた場所は羊羹の餡子を塗りこんだ為か甘く感じられて触れられたことを主張するようだ。だがこれ以上反応すれば負けを認めたようなもので、負けず嫌いな性質が顔を覗かせると目を合わせたまま、また軽く甘噛みしては同じ箇所をゆっくりと舌でなぞってみて)
…ん、……
(こうなれば先に音を上げた方の負けだ。相手が自分の指を咥えているだなんて刺激の強い光景だがここで引くわけにもいかない。指先についた羊羹と共に舌をなぞれば相手の肩が跳ねるのが見えて薄らと口角があがる、指を咥えられている分体の動きがよく伝わってきた。だが相手はまだギブアップするつもりはないらしく目を合わせたまま 指がまた甘噛みされて体が固まる、視線を外せないまま生暖かい口内の中で今度はより明確に指に舌が這うとより敏感に刺激を拾い上げて僅かに上擦った声が漏れだした。ここで動揺したのがバレればこちらの負けだろうと何事も無かったかのように視線を逸らさず見つめ続けると、再び指を動かして口の中に残る羊羹をすくいとる。そして今度はより広範囲に、より多くの羊羹を塗り広げた。食べ物を使ってこんなことをしている罪悪感と相手の口内という領域を侵している高揚とが綯い交ぜになって心音が変に早くなるのを感じながら指に相手の舌を絡ませながら羊羹を塗り込んでいって)
………は、…
(相手に指先で舌をなぞられると普段感じることのない刺激に思わず反応してしまう。それを誤魔化すためにもその指先を噛んでみせれば相手の体が固まった。腹の内を探り合うような視線を交わせながらも口に含んだままの指を舐めてみれば微かに上擦った声が聞こえてきて鼓動が跳ねあがる。明らかに異常な光景ではあるがお互い意地か何かで引き下がれなくなっていて不意に指が動いてまだ残った羊羹をすくいとってから塗り広げるように動き始めると思わず目を見開いた。甘噛みするよりももっと明確に中に相手の指が入り込んで普段触れさせない場所へのマーキングの様を可視化されているようにも見える行為に違う所が煽られているように思うのは見ない振りをして目を見つめたまま好きなようにさせる。相手の指が入っている分息もしづらくて小さく吐息が零れる閉じれない口内で溜まった唾液を指から羊羹を拭う代わりに相手の指を濡らしてこちらからも舌を絡ませながら相手の手首に軽く手を添えるとそのまま見せつけるように指先に吸い付いて)
……っ、…ぁ……んン、
(食べ物が残った口内に指を突っ込んでいるのも異様だが、さらにその滑らかさを利用して口内に羊羹を塗り広げれば相手の目が見開かれるのが分かる、それに意地とは違うものを刺激されてしまって目線を交えながら指に残るもので相手の口内を塗りつぶしていった。生暖かい口内で相手が吐息を吐き出せば当然指にはダイレクトにその息が当たっていつもより高い温度に脳がクラリと揺れる。指から羊羹がなくなっていき代わりに相手の唾液に塗れ始めると、指を動かすと同時に小さく水音が跳ねて思わず声が漏れた。意地の張り合いは段々と違う毛色のものに変わっていく、そんな中で手首を掴まれてその構図だけでも刺激的なのにさらに指先を吸われてしまえば大きく瞳が揺れた。唾液に塗れた指を吸われ当然周囲に相応しくない音が鳴り響く、敏感になった指先の刺激に耐えようとしたが声を抑えることは出来なくて今度は明確に上擦った声が漏れだした。咄嗟にもう片方の手を口元に添えるも遅くじわりと顔がさらに赤くなっていく、戸惑いと熱が浮かび始めた目を思わず逸らして「…俺の負けだ」と弱々しく呟いて)
……ん、…なら仕返し成功だ。
(決して目を逸らすことなく甘味の纏った相手の指を舐めていれば次第に水音が響いて本来の意図から外れていくのが分かる。それでも小さく相手の声が何故かやめることは出来なくて、寧ろ逸る気持ちに?き立てられるように手首を掴むと見せつけるように吸い付いた。すると一際大きく水音が響いてほぼ同時に相手の上擦った声が聞こえてぐらりと脳内が揺れた。様子を伺っていた相手の顔がじわりと赤くなってその瞳に戸惑いと熱が浮かんでからすぐ逸らされるのを見ればもっとと求める衝動に駆られるが何とか今の状況を思い出して留めるとゆっくりと口内から相手の指を引き抜いた。相手に勝つことが出来て嬉しいはずなのにいつもより早い鼓動の方が気になって、軽く息を吐いて落ち着こうとしながらそれらしく言葉を返す。口内に未だ残る甘さが相手に触れられた場所だと思えばこちらまで顔に熱を帯びるのを感じながら最後にもう一度相手の指先に軽く口づけを落とすと「やっぱり甘いね」とどちらとも取れる感想を告げて
…んっ、……、…なぁフィリップ、
(視覚からも聴覚からも腹の底を煽るような刺激が入ってきてもう平然としているなんて不可能だった。顔を真っ赤にして降参を宣言すると口内からゆっくりと指が引き抜かれる、その緩慢な動作さえ脳内を激しく揺さぶって唇が肌を這う柔い刺激にまた普通では無い声を漏らしてしまう。しかし指が大気中に帰ってきても物足りなさが募ってしまって、それを埋めるように相手から口付けが施されるもその思いは埋まるどころか加速してしまった。タガが外れるギリギリで踏みとどまったが体は全く止まれる状況ではなくて、しかし依頼人がいつ入ってくるか分からないこの状況ではこれ以上に踏み込むことはできない。もどかしさを感じれば思わず相手に抱きついて肩口に顔を埋めると額を押し当てる、暴発しそうな衝動を沈めつつゆっくりと呼吸して名前を呼ぶと「あとで、続きして欲しい…」と小さな声でこの先を願って)
…、良いよ。 残りは明日アキちゃんと食べようか。
(単なる勝負ごととは違う所が煽られ、そのままエスカレートしていきそうな所にブレーキをかけて指を引き抜く。その仕草にさえ普段と違う声が聞こえてくればまた鼓動は早くなった。先程の行為を名残惜しむように短くキスを落として離れながら相手を見ていれば急にこちらに抱き着いてきて、表情を隠すように顔が埋められる。その位置で呼吸するのを感じて名前を呼ばれると視線を向ける、そのまま先程の続きを小さな声で強請られると強く胸が跳ねてしまう。相手も同じ事を考えているのだと思えば背中がぞくりと震えた。自分を落ち着かせようと小さく息を吐いてから承諾の返事をすると応えるようにその頭を撫でた。和菓子達はまだ残っているが今から平常心で味わえる気がしない。スリッパ覚悟で明日所長と一緒に食べた方が良さそうだと判断すると片腕で相手を抱きしめ返しながらもう片方で蓋をしたりと片付けをする。そうやって他に意識を向けることで踏み止まりつつ、中途半端に一つ残った栗の羊羹を手で摘むと相手の顔を覗き込んで「翔太郎、最後の一個だ」と言いながら口許に差し出して)
そうしようぜ。……ッ、…
(なんとかブレーキはかけたものの全く収まりはつかなくて相手に抱きつき続きを乞う、すると相手は小さく息を吐き出してその熱がいつもより高いのを感じ取ると心臓が跳ねた。そして承諾の返事がなされると相手もこの続きを望んでいるのだと分かって余計に心臓は早鐘を打つ、顔を埋めたままの肩口にグリっと額を押し当てると同意の返事をした。そのまま頭を撫でられると多少肩肘の力は抜けて相手の体温を感じ続ける、視界には入っていなかったがどうやら残った和菓子を片付けてくれているようだ。今は明日飛んでくるスリッパよりも相手のことを考えていたい。甘えるように抱きついたまま片付けが終わるのを待ってちたが相手がこちらを覗き込む気配がして顔をあげる、そこには最後のひとつだという栗の羊羹が手で摘まれた状態で差し出されていて目を開いて固まった。今この状態で黒文字ではなく手で摘まれて羊羹を差し出された意味を理解できないわけがない、さらに先を望んでいる以上この誘惑に勝てるわけもなかった。羊羹に口を近づける、口に入れる前に相手を見上げるようにして目を合わせるとそのまま指ごと羊羹を口に含んだ。第一関節を過ぎたあたりまで咥えこんでしまえば事故ではすまされない状況で、目を逸らしそうになるのをなんとか抑え見つめたまま羊羹を噛むのと同時に相手の指先を甘噛みして)
……、美味しいかい?
(まだ事務所は閉めてなくて今から依頼人がくる可能性のあるのだが相手は離れるつもりはないらしい。自分も似たような物なのだが相手の身体を抱いたまま片付けを済ませ、残っていた栗の羊羹をわざと指で摘んだ状態で差し出すと分かりやすく目が開かれた。敢えて何も言わずに手はそのままで相手の様子を伺っていると相手の顔が近付く。位置関係としても上目遣いの状態で目が合うと心臓が跳ねる。先程自分がしたようにこちらを見つめたまま、羊羹を摘んだ指先ごと相手の口内に含まれる。触れる肌よりもずっと熱く湿った口の中の感触を感じながら自らの指を咥える姿を見るのは理性のブレーキを効きにくくするのに十分で、無意識に熱い息を吐いた。羊羹を食べるような仕草で指先が柔く歯が当たると相手の中に取り込まれているようで目を細める、もっとその表情も高い体温も知りたくなればゆっくりと指先を動かして相手の舌を探ってその表面を撫でる。和菓子を食べたそこはきっと甘そうだなと想像しながら指は引き抜くことなく感想を問いかけて)
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