検索 2022-07-09 20:46:55 |
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最近って、この前初めて……は?過去?!ならお前は未来のフィリップってことか?
(一度触れられ記憶が想起されたせいかもう消えかけのはずの痕が妙に存在を主張してくる、だというのにこれを刻んだ当の本人は覚えがないようで噛み合わない返事が返ってきた。状況を説明しようとするもあの時の衝動的な行動を改めて口にするのは羞恥に耐えられない、なんとか言葉を捻りだそうとするもうろうろと視線を泳がせ歯切れの悪い言葉を口にしていた。その間に相手は何か思い至ったようでカレンダーを確認しにいく、相手が書き込んだ二人の予定、温泉旅行がそこには記されていてそれを確認した相手は妙な笑みを浮かべてこちらへとやってきた。そして伝えられたのはタイムトリップという思いもしない事で思わず間抜けな声をあげる、だが相手がこれほど自信に満ちた顔で言うなら事実なのだろう。驚愕の表情を浮かべたが直後先程の相手の発言の意味を少しずつ理解しはじめればまた顔は赤くなって俯いていき「…未来でも、俺達付き合ってるってことか」とボソリと呟いて)
そういう事になるね。…ああ、それどころか一緒に住んでいるしこれまで色んな事を経験したよ
(これまで過去に行ったことは何度かあるか自分の知っている時間の誰かに接触したのは今回が初めてだ。一方相手はタイムトリップ自体経験していないはずだが自分が言うならと信じてくれるらしい。その信頼にまた口元が緩みつつ相手にとって未来の存在であることを肯定する。驚いた顔をしていた相手はますますその顔を赤くしては俯いて当たり前のことをぽつり呟く。そんな事で、とも思うがこの頃は新たな関係を築き始めたばかりで些細なことに照れていたように思う。そんな反応を見れば愛おしさとちょっとした悪戯心が芽生えて一歩近付いて顔を覗き込むとわかりやすい同棲の事実とその他のことをわざと濁して伝えてみて)
なっ?!、いっ、しょに?!……いろん、な……
(相手が未来から来たというのもなかなか信じられない事だがその驚きよりも相手との関係が未来まできちんと続いていることの嬉しさの方が勝って頬が熱くなっていく。手放す気はさらさらないのだが相手から愛想をつかされていない事や無事に一緒にいる事が分かればますます嬉しさは増していく。だがそれをまともに表情に出す訳にもいかなくて相変わらず視線を彷徨わせていると不意に相手がこちらへと近づいて視線を相手と交える。その状態で未来の事実を教えられると多すぎる情報量に頬だけだった赤色は一気に首まで広がった。つい最近相手との関係を変える決心をしたばかりなのにそれを軽く飛び越える同棲という関係に、堪らなく嬉しいのに相手がどんな風に自分の家で暮らしているのか想像してしまって思考も感情も全くコントロールできない。そんな状態で名言されずに『色んな事』を経験したと言われるとさらに妄想には拍車がかかってしまう、つい先日口付けることと自分のモノだと示す行為を覚えたばかりなのに、それ以上となると嫌でも色々と想像してしまった。上手く言葉が出てこずに再度相手から逃げるように後ろへ退くと「お前っ、何処でそんなこと覚えたんだよ!やっぱ俺をからかってんじゃねぇのか?!」と叫ぶことしか出来なくて)
ふふ、首や耳まで真っ赤だ。 何処で、って言われても全部君が教えてくれた物だよ、
(ゆらゆらと彷徨う視線を近づく事で捕まえると想像を掻き立てるような言い方で未来の情報を告げる。すると相手の顔どころか首や耳の端までみるみるうちに赤くなっていき、分かりやすい反応に笑みを零した。今の自分にとっては当然の状態であるが結ばれたばかりの相手には刺激が強いのかもしれない。だが最近ではここまで動揺して照れた姿を見る事はあまり無くてどうしても悪戯心などが擽られる。飛び退いて照れ隠しの為か叫ぶ相手に余裕そうな面を見せつつ投げかけられた問いにも上機嫌に言葉を返す。知らないことがあれば地.球.の.本.棚で調べることが多いが恋人としての接し方や積み重ねた経験に関しては全部相手に教えて貰ったことだ。ちゃっかり相手の責任にしてしまいながら「僕を好きに出来るのは君だけなのだから当然だろう?」と更に追い打ちをかけて)
お前を、好きに………ってことは、…一緒に住むようになって、その……一緒に寝てんだよな?毎日…
(相手になにか悪戯でも仕掛けられているのかと思って叫んでみるが相手は相変わらず余裕の笑みを浮かべていて当然のことを話すように二人の関係を口にする。相手の口ぶりは何も知らないからこその態度ではなく全てきっちり知っている上でのものだ、となればやはり未来の『色々と』経験した相手が話しているのには間違いない。相手の楽しそうな笑みを見るにそれらも踏まえた上でこちらをからかっているのだろう。色々な経験を相手に教えたのが自分でそれができるのが自分だけだと独占欲を擽られれば堪らなく嬉しいのと恥ずかしいのとで心臓の高鳴りは収まらない。相手の意味深な言い方だって思考をどんどん所謂秘め事の方へ誘導しているようなものだが未来の関係に対する好奇心には抗えない。チラリと窺うように相手を見ながら相手の今の生活を聞き出そうと探るように問いかけて)
…ああ、依頼とかが無ければいつも一緒だ。君の家にはベッドは一つしかないからね。
(こちらの態度に嘘や冗談でないことが伝わったようで叫ぶような態度は治まる。結ばれた当初は早く学べと叫ばれたものだが今は確実にその時よりも知識や経験があり、もしかしたら今目の前にいる相手よりも詳しいかもしれない。それ故の余裕を感じながら見つめているとその言葉を噛み締めるように言葉を呟いている。驚き動揺しながらも未来の自分達の関係は気になるのか窺うような視線を受けるとまた満足げと笑って肯定の返事をした。依頼に追われていたりしなければ基本一緒に寝る事がすっかり習慣化している。相手の家に転がり込んだ様なものだからどうやって寝ているか想像もしやすいだろう。加えて「寝巻きもお揃いのものを買ったんだ」と上機嫌に補足して)
はぁ?!お揃いの、ねま、き……そんなバカップルみたいなことする訳ねぇだろ!!
(ある程度予想はついていたものの、その予想通り未来では相手といつも一緒に寝ているようだ。相手はこの事務所で、自分は自宅で寝るのが当たり前になっていて同棲など考えもしていなかったが、毎晩相手の事を考えている上相手が身軽であるのを思えば一緒に暮らす事になるのも時間の問題かもしれない。しかも相手の言う通りあの家にはベッドがひとつしかない、至極当然のように一緒に寝ていると言われればオーバーヒートが続いた体は支えるのさえ難しくなっていて近くにあった壁に背中を預ける。だが直後聞き捨てならない事が聞こえてくれば再び叫ぶことになった。相手を大切に思っているのは確かだがハードボイルドな探偵である以上うつつを抜かしすぎるなど許されない。それにも関わらずお揃いの寝巻きは流石に浮つきすぎだ、全く顔の赤色は引かないまま「まさか、ハートとかついてんじゃねぇだろうな…?」と恐る恐る聞いて)
残念ながら君は僕のことになると相当甘々だ。ハートは流石についてないけど君の希望で僕が紫色で、君が緑色だね。…それくらい僕に絆されてしまうのだから観念したまえ
(度重なる情報に相手は面白いぐらいリアクションをしていてついには力が抜けたように背中を壁に預けてしまった。そろそろ相手のためにも控えようとも思うのだが寝巻きのことを零せばまた大きく叫ばれる。すっかりそれに慣れている身とすればそこまで動揺することかと逆に驚いてしまう程だ。記憶を辿れば確かにこの頃の相手はまだ年上であることやハードボイルド云々に折り合いがついてなかったような気もする。それが今はあの状態なのだから慣れという物は凄い。はっきりとそのバカップルという物に当てはまるであろうことを告げつつ、恐る恐る聞いてきた問いに寝巻きのデザインを思い出す。可愛らしいハートはついていないがそれと同じかそれ以上に意味合いが含まれるそれぞれの色の話を自慢げに告げると壁際の相手に一歩踏み込んでその頬に手を添える。風邪でも引いたのではと思うほど熱い顔をこちらに向かせると過去の相手が違う道を歩むことを一切考えていない自信に溢れた口調と笑みで未来を予告して)
あまあ、ま……、俺が決めた……っ?!
(もはや情報量とそれに伴う感情の昂りと困惑に体がまったくついていけていなかった。お揃いの寝巻きなんて甘すぎるものに手を出すはずがないと確かめてみればハートよりもより二人だけの特別な意味合いを持った寝巻きを選択していて頭がクラクラとする。だがそれが悪くないと思ってしまったのも確かで、直後自分がその色合いを決めたのだと聞けば納得できてしまう自分がいてガクリと項垂れた。ずっと顔が真っ赤で心臓が早い、頭から煙が出ていてもおかしくないくらいには脳内は沸騰している。そんな状態でさらに相手が近づいてきて頬に手が添えられる。顔は熱いはずなのになお暖かい相手の手が触れて咄嗟にまた逃げようとするも後ろは壁で逃げ場はなく、足が壁に当たる音だけが響きわたった。そのまま顔を相手の方に向けさせられ視線が交わる、自信満々にこちらの未来を予告する相手に好意と喜びと羞恥がぐちゃぐちゃになって口を動かすも言葉が出ることはなかった。何処か追い詰められるようで、その未来に全く不満はないのだが、だがこのまま床にヘタってしまうのは男が廃る気がして相手の両肩を勢い良く掴む。確かに未来から来た相手はいろいろと知っているようだがそれを教えたのは自分のはず、ならばと「ならお前も俺にそんだけ惚れてるってことだよな?!お揃いの寝巻き着て一緒に寝て、俺が教えた色々をしっかり覚えるくらいには!」とややヤケクソ気味に叫んで)
これが経験の差かな。え、…まあそうだね、何でも許せるぐらいには惚れ込んでるよ。
(こちらが新たな情報を伝える度に更にその顔は赤くなり動揺しているのが分かって口角があがる。逃がさないようにしながら頬に手を添え未来を予告してやればわなわなと口を動かすが声にはなって無くてその様子にクスクスと笑う。自分達の中では当たり前のことに顔を真っ赤にする相手は初々しくて愛おしい。他にも模擬的に結婚式をあげたことや二人の関係を知ってる人が居るという話など驚きそうな話題はあるがこれ以上からかってオーバーヒートされても困る。ご機嫌なまま手を離して距離も戻そうとした所で今度は相手から両肩を掴まれて思わず声をこぼす。そのままヤケクソ気味に叫ばれた中身はこれまで相手に伝えた内容を総合した中身ではあるが、自分がどれだけ相手を想っているのかを現しているものでもあって照れくささが混じると視線が泳ぐ。だが散々煽っておいて誤魔化す訳にもいかずなんとか相手に視線を戻すと多少口調がぎこちなくなりながら想いを伝えて)
…ぁ……、……ほれ、て……
(顔を真っ赤にさせたままなんとか一矢報いようとガムシャラに叫ぶ。それはそれで恥ずかしい内容ではあるものの何かを言うのに必死すぎて自分が口にした言葉に構う余裕などなかった。すると相手のご機嫌で余裕のある顔は少々変化して視線が泳ぐ、相手が散々恋人を自慢したのは事実なのだから少しはその余裕を崩せたようだ。しかし揺らいだ目線は再びこちらをしっかりと向いて多少ぎこちないながらも改めて想いを伝えられる。ストレートな言葉とは違いもっと深い所まで許しているのが分かる言葉に、そして照れくさそうにしながらもこちらに想いを伝えるその姿に強く心臓が脈打って、一瞬止まりかけた息を無理やり吐き出した。うわ言のように相手の言葉を繰り返そうとするがその内容も嬉しくて恥ずかしくて途中で消えてしまう。『何でも許せる』という言葉が頭の中で響いているうちにゆらりと手が動いて相手の後頭部を支える。相手への好意が溢れすぎて脳内は沸騰しているに等しい、思考が鈍る中でそのまま顔を近づけようとした。しかし直後相手は未来からきた存在だと思い出す、確かに同じ存在だが真に隣にいる大切な人ではないはずだ。意識を取り戻したように動きを止めて「悪い」という言葉と共に横へとズレて相手から離れようとする、しかし体はとうに限界を迎えていたようで腰が抜けてストンとその場に座り込んでしまうと、情けなさに赤い顔のまま俯いてしまい)
…翔太郎? っ、大丈夫、ではなさそうだね。 すまない、少々やりすぎた…
(いざ自分が相手によって色々変化したのを受け止めて教えた事を全て覚えてるくらい惚れてると認めるのは恥ずかしいが散々相手をからかったのだから真摯に自分の想いを伝える必要はあるだろう。真っ直ぐと相手の目を見て自分の想いを伝えると相手は固まってまたうわ言のように何かを呟いている。ぎこちない様子に加えて後頭部が支えられるようになると思わず心配するように名前を呼ぶ。ぼんやりした様子で相手がゆっくり近付いて来ようとするがはっと何かに気付いたように動きが止まって謝罪と共に離れようとする。だがその前に腰が抜けてしまうと慌ててその身体を支えて一緒にしゃがむ。どうやらキャパオーバーしてしまったらしい。傍から見ても真っ赤な顔なまま俯いてしまったのを確認すると流石に煽りすぎたとしゅんとしながら反省の言葉を向ける。こういう体験は一つ一つゆっくり積み重ねるもので一度に知ることでは無かったのかもしれない。台所に向かって水を一杯コップに入れて戻ってくると相手の前に差し出し、さらに追い討ちをかけるかもしれないと少し悩むが緩くその頭を撫でて)
…いや、俺も……情けねぇ…………っ、
(相手から受け取った特別大きい想いも、自分から膨れて溢れだし衝動的に弾けそうになった想いも、全て自分では抱えきれない程になってしまって体が根を上げたようだ。足に上手く力が入らずその場でへたり込むと相手も共に床へとしゃがむ、先日に引き続いて腰が抜けてしまうとは。自分が相手を守らなければならないのに散々悪戯されたとはいえ骨抜きになるなんて、相手からそれほど想われているのは当然嬉しいが男としては情けない姿を晒してしまった。俯いたままどこかへ行く相手の背中に向かい小さく呟き息を吐き出していると不意に頭に暖かなものが触れる。反射的に顔を上げれば相手が自分の頭を撫でる姿が目に入った。情けない姿な上にハードボイルド探偵に相応しくない事をされていて男としてここは直ぐに止めなければならないのに、腕を払い除けるのが躊躇われるほどこんなにもこの行為が心地よいことを初めて知って暫く撫でられる心地に浸っていた。ぼんやりと相手を見上げていたが不意に意識を取り戻したように目を瞬かせると逃げるように頭を動かして相手の手から逃れると「ガキ扱いすんなよ、」と目を逸らして)
……、こうしたら落ち着くと思ってね。
(完全に腰が抜けてしまった相手に申し訳なさを抱えつつ、俯いた姿を見れば何となくいつもの癖のような感じで手を伸ばしそこを撫でる。相手の顔があがり、こちらを見るがその目はぼんやりしていて否定の色は見られない。やはりこの時の相手にも効果があるのだと内心感心しつつ手を動かし続けた。そうしているうちに幾らか相手の顔の赤みも落ち着いてきた頃、不意に相手の目が瞬くと意識を取り戻したように逃げられる。相手の心の底の願いは小さくなるメモリの件を通して知ったが今は本人も無自覚だろう。ならば深く追及せず簡単な言い訳をしながらこちらも手を離した。散々相手をからかったがそろそろ元の時間に戻る方法も考えるべきで、もう一度相手の元にしゃがみこむと今一度水の入ったコップ差し出して)
だからガキじゃねぇって……ありがとよ
(自ら逃げてしまったものの頭から相手の手が外れるとなんとも寂しい気持ちを抱えてしまう、ハードボイルドな探偵としてあれはナシのはずだ。心の奥底で芽生えたもっと撫でて欲しいという気持ちは無意識のうちに底へと押し込められて相手に再び文句を言いながらコップを受け取る。未だに体は熱い気がするが先程のとこの水とで随分と気持ちは落ち着いた。だが相手と自分がこれから先も二人で、自分が想像するよりも遥かに深く関係を築いていたのは確かで心が落ち着いた今はその喜びだけがただただ残っていた。コップの水を飲み終わると「お前と俺が、未来でもずっと一緒にいるなら良かった」とポツリと感想を漏らす、ようやく新たな関係を結んだばかりだがそれは簡単に引き裂かれるものではないらしい。小さく笑みを見せながら未来の事実に浸っていると事務所内で再び銀色のオーロラが揺れ始めて思わず声を漏らす。始まりがあれならきっと帰る方法もあれだ、ようやく体にも力が入るようになって立ち上がると「そろそろ帰る時間みてぇだな」としゃがんだままの相手に手を差し出して)
今までも、これからもそう簡単に君の事を手放すつもりはないよ。…ほんとだ、ありがとう。 翔太郎、これから先色んなことがあるだろうけど僕はずっと君の相棒で恋人だ。どんな君でも僕は受け入れるからありのままで居ると良い
(今では頭を撫でれば素直に受け止めるだろうが今はまだプライドが邪魔するらしい。そんなところも懐かしくて目を細めては落ち着くのを見守っていた。そんな中何処か嬉しそうに安心するような感想が聞こえてくればはっきりとした口調で言葉を返す。今に至るまでもこれからの未来にあたっても相手の隣を譲るつもりはさらさらない。それはこの頃の自分からずっと変わらない思いだ。そうして穏やかな会話をしていれば事務所内に銀色のオーロラが揺らめいた。恐らくあれを通過すれば元の時間に帰れるのだろう。相手から差し出された手を見れば微笑んでその手を取って立ち上がる。この時間から自分の知っている今に繋がるまで相手に話したような楽しい事ばかりでは無かった。辛い依頼やそれぞれ傷つくこともあったがそれを乗り越えたこそ今がある。だから相手にいつでも自分が傍に居ることと全てを受け止める覚悟があることを改めてその目を見つめながら伝えた。「こっちの僕を頼んだ」と最後に告げるとオーロラが身体を覆ってその姿を消し去って)
■
…、戻ってきた?
(また視界が歪んでは目を閉じ、開くと事務所に立っていた。先ほどと同じ現象のため推測通りなら戻ってきたはずなのだが場所が同じで大きな変化がない所ではいまいちその実感は掴めず疑問符交じりの呟きを零す。ひとまず相手の姿を探せばすぐに見つかった。過去に戻った時、そこに自分の姿が無かった。ならば過去の自分が入れ替わりでここに来た可能性が高いと推測しつつ「翔太郎」と呼んで自分の知っている相棒か反応を窺って
……俺もお前を絶対に手放さない、ずっと隣にいるからな。……ありのまま、か…
(こちらから溢れた呟きに相手はハッキリと手放すつもりがないと宣言すれば嬉しくもあり照れもあって口元の笑みを噛み殺しながら目線を泳がせる。未来でこちらとより強い絆を結んだ相手がそう言い切るのならこれから先も相手と共に歩んでいけるのは間違いないだろう。ようやく足腰にも力が入るようになって差し出した手が繋がると軽く引き上げるようにして相手を立たせる。相手が再び口にした『色んなこと』は先程とは少し意味が違う、きっと今の立場では一筋縄で行かないことがこれから多々あるのだろう。中には困難な事も、だ。しかしそんな中でも相手は自分の傍に必ずいてくれる、そう思えばどんな困難でさえも立ち向かえる。最後の言葉には何処かひっかかりを覚えて小さく繰り返す、何かを隠しているわけではないのだが相手は自分の知らない何かを知っているのかもしれない。それが何であろうと相手が受け止めてくれるのならば不思議と不安は感じなかった。銀色のオーロラが相手へと迫る、最後にこの時間の相手を託されると「あぁ、任せとけ」と頷き返事をして相手を見送った)
■
……この時間のフィリップ、なんだよな?温泉旅行に二回行ってキャンプして、二回目の夏祭りも行って……あと一緒に住んでる
(過去の相手が再び銀色のオーロラに包まれ、直後また相手の姿が現れる。ゆっくりと近づくものの見た目だけでは自分と同じ時間を歩んだ相手かは分からない。少なくともこちらを呼ぶ相手の声色はいつものものだ。様子を伺うようにジッと表情を観察しつつ、先程は知らないと言われてしまった二人の思い出と関係を並べてみて)
…ああ、寝巻きがお揃いでクリスマスやお花見も一緒に過ごした君のフィリップだ。
(相手に視線を向けると様子を伺うような視線と交わる。見た目的にも判別がついていないのであろう。その姿が妙に面白くて小さく笑いつつ過去の自分達は知らないこれまでの思い出が並べられると今の相棒だと確信が持てて深く頷いた。こちらからも二人で積み重ねてきた思い出を語ると愛おしさが湧いてきてこちらからも近づくとその勢いのまま相手に抱き着いた。自分の状況を話して揶揄うのだって十分楽しかったがその記憶や思い出がないのは少し寂しくてやはり自分と同じだけの時間を過ごした相手の方が良い。ぎゅっと相手を抱きしめると「過去の僕に会ったのかい?」と推測から問いかけて)
、…間違いなく俺のフィリップみたいだ。……あぁ、ちょうど温泉旅行の二日前から来たお前とな。なかなか初心だった
(確認のために二人の思い出を並べてみれば相手からも今の二人が経験した思い出が並べられる。そのどれもが恋人として確かに幸せな時間を過ごした思い出で照れくささが襲いくれば曖昧なえみと共に視線を泳がせる。その間に相手が一歩近づいてこちらへと抱きついてくる、その体をしっかりと受け止めるように抱き締めればいつもの抱き心地に無意識に吐息を漏らした。軽く擦り寄りながらいつもの体温を存分に堪能していると過去の自分と会ったか聞かれ顔をあげて目を軽く開く。過去の相手とのやり取り思い出しながらニヤリと含みを持たせた言葉と笑みを向ける、ここに過去の自分が来ていたことを知っていた相手に「もしかして、お前が代わりに過去に行ってたのか?」と今度はこちらが問いかけて)
まだ君と関係を結んだばかりで何も知らないのだから仕方ないだろう…。ああ、恐らくあのオーロラのせいで一時的に過去の自分と入れ替わっていたようだ。
(流石に過去の相手とは必要以上に接触するのは躊躇われたが今目の前にいる相手ならば好きなだけ触ることが出来る。相手に抱きつくと相手からも腕が回されて慣れ親しんだ温もりに軽く擦り寄る。同じ時を歩んだことを証明してから自分がいなかった時に起きたであろうことを問えばその目が軽く開かれた。自分が過去の相棒に接したように相手も過去の自分と接したようでニヤリと笑ったのを見ればその時のことを知りたいような知りたくないような複雑な気分だ。照れ隠しに言い訳を並べつつ相手の問いかけには頷いて起きたであろう現象を説明する。その時のやり取りを思い出すとこちらも自然に口角が上がって「過去の君のリアクションが良くて少々揶揄いすぎてしまった」と反省の色が見られない口調で告げ)
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