検索 2022-07-09 20:46:55 |
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揺りかごか…それが一番近いかもしんねぇな
(ハンモックに包まれ揺られながらお互いの体に腕を回しくっついたまま揺らぎに身を任せる。木々の間を吹き抜けてくる風はいつもと違う匂いで緑の香りを纏っている。それをゆっくり吸い込みながら緩やかな時間に相応しく緩やかな会話を相手と交わす、正確にいえば記憶のある中で揺りかごにも乗ったことはないのだが安心できる空間でゆらゆらと揺られるハンモックは揺りかごに乗っている状態に近い。川で足をつけている時よりもより一層穏やかな時間の中で大切な存在と一緒にハンモックという閉じた空間にいると胸にはじわじわと愛おしさが湧いてくる。ただ一緒にいるだけで幸せなのだという事実がより濃く感じられた。相手の体に回したのとは反対の腕を相手の頭の下に入れ込んで腕枕にするとその手で後頭部をゆっくりと撫でる。こちらもゆっくり息を吐き出して脱力しながら「あぁ、ここもお前との時間を過ごすのにちょうどいい」と呟くように言いながら小さく口角を上げて)
…揺りかごのようにここが一番安心出来る場所だ。
(相手とくっついて静かで穏やかで、それでいて温かい時間に浸る。都市の喧騒や事件から離れ、普段立っている地からも今は足を離してただ相手と共にいることが何よりも胸を満たす。何もしない事が幸せなんて相手と一緒にいなければ気付けなかったことだ。この場所ならではの風とハンモックの揺れを感じていると相手の反対側の腕が頭の下に入れ込まれて更に接する面積が増える。腕に頭がのっけた状態で後ろ手に頭を撫でられるとまた力が抜けて心地よさそうに目を細めた。もっととねだるように擦り寄って背中に回した腕で相手を抱き寄せながらも穏やかな気候と傍に感じる相手の温もり、そして心地好いハンモックの揺れが重なれば相手を見つめながら「…下手したらこのまま寝てしまいそうだ」と安心しきった笑みと呟きを零して)
だな……別に寝ちまってもいいんじゃねぇか?食後にちょっとは運動したし、それに休憩すんのもキャンプの目的なんだろ?
(二人でハンモックに揺られて包まれれば狭い空間ながらも二人きりの世界が出来上がっていて風に揺られる心地に浸る。腕枕をすれば相手からも擦り寄ってきてそんな小さな仕草にさえ胸が擽られてしまう。それに応えるように何度も頭を撫でてただ居るだけで幸せに浸れる時間を過ごしていれば、相手がリラックスした笑みのまま寝てしまいそうだと零す。今の時間は昼寝にはちょうど良い頃合いでこんなにも心地良い空間にいるのだから眠気がくるのも当然だ。何も気にせず心のままに過ごすのも二人で風の街を離れている今しかできない事だ。こちらを見つめる相手に背中に回していた手を頬へと添えて親指の腹でゆっくりとそこを撫でる、相手を愛でるように輪郭にそって親指を何度も動かしながら眠りに誘うように枕にした腕で相手の頭を包み込んだ。目線を交える相手にそっと近づくと軽く口付けを送り「お前との時間を過ごせたら何したって良いんだからな」と小さく笑って)
ん…そうかも、しれない……翔太郎、…
(心地良い陽気で揺られて相手に頭を撫でられていれば安心感から眠気がやってきてそのまま口にする。それを肯定するような返事がされるとせっかくのキャンプ地での時間に勿体ないだとか野外で寝るのは無防備だとか色んな考えが頭を過ぎるが頬を優しく撫でられて頭を包み込むように抱かれる温かさに判断が揺らいで小さく欠伸が零れた。この場所にいるのは二人きりで相手が傍にいてくれるのならこの心地良さに身を任せてもいいのかもしれない。ゆっくりと重くなっていく瞼で相手を見つめていればその顔が近づいて軽く唇が重なる。その柔らかな温かさと目の前に見える安心できる人の笑顔と存在を強く感じれば一気に気が緩んで眠気は抗い難いものになって芯の籠らなくなった声で相手の名前を呼ぶ。背中に回した腕で相手を軽く引き寄せて大切な物を抱くと眠気はピークに達して「…好き、だ」と脳を介さないありのままの言葉が口から零れ、そのままゆっくり目を閉じて眠りに落ちていき)
俺も…大好きだ、フィリップ
(このまま眠ってもいいと肯定の返事をすれば相手の気持ちが傾いたのか小さく欠伸が漏れて徐々に微睡んでいく顔をゆっくりと親指で撫で続ける。口付けを送れば相手の体からどんどん力が抜けるのが分かって、名前を呼ばれると緩みきったその口調に思わず笑みを浮かべた。そのまま軽く抱き寄せられる、眠る直前の相手の体は暖かくて頬を撫でていた手を再び背中へと回してこちらからも抱き寄せた。眠る直前、意識を手放す最中にこちらへの好意を伝えられると胸はふわりと華やいで眠りに落ちていく相手へこちらからも好意の言葉を送っておいた。このまま自分も寝てしまっても良かったのだがハンモックに揺られ自分の腕の中で眠る相手への愛おしさは止むことを知らなくてしばらく隣で寝る相手を見つめる。背中に添えた手からは周期的な呼吸が伝わって眠っているのがよく分かる、気の抜けた顔で眠る姿をこんなに間近で見られるのも自分だけの特権で他の誰にもこの姿を見せたくはない。相手の眠る姿を十分に見つめた後にようやくこちらも目を閉じる、型がついてしまわないようにハットを外して体の上におけば起こしてしまわないようにそっと互いの額を寄り添わせて、そのまま目を閉じるとやがて小さく寝息を立て始めて)
……、……
(暖かな物に包まれて幸せを抱いたまま目を閉じる。意識を手放す直前相手の声で好意の言葉と名前が告げられた気がして無意識に笑みを浮かべながら眠りについた。初めて使うハンモックであるはずなのに安心できる人の隣であることと快適さから深く意識は落ちて相手と寄り添いながら眠っていた。ふと風が吹いて何かが揺れるような感覚で意識が浮上する。至近距離に相手の顔があってお互いに腕を回してくっついたままの状態だ。ちらりと視線だけ見上げてみれば夕日が差し込み始めたようで空の色が変わりつつある。安心して思ったよりも長く眠ってしまったようだ。再び視線を戻すとハットが外されあどけない寝顔を晒しながら規則正しい寝息を立てる相手がいて小さく笑みを見せながらその姿を観察する。一緒に眠って朝は大抵相手の方が早く起きるのもあって寝顔を見られるのはそこそこレアだ。起こさないようにそっと手を伸ばして頬に触れ、輪郭をゆっくりとなぞる。そうして暫くその貴重な寝顔を見つめていたが段々と相手の反応がないのがつまらなく感じてきた。起こしてしまおうとも思ったがふと悪戯心と良い案が浮かんで小さく笑みを浮かべながら相手に顔を寄せるとそっと頬に口づけを落とす。反応が無ければ少しずらした所にもう一度キスをして何処まで相手を起こさずに済むかのゲームを一人で始めると頬や首、口の端などにそっと口づけて遊んでいて)
……ん、……ッ!!
(この世で一番大切な物を抱えいつもとは違う心地に浸りながら揺られていると意識は深く沈んで、さらに心地よい体温を抱くおかげで寝心地は抜群だった。深く眠ったままでいると何か柔らかいものが肌に触れるのを感じる、それは良く知る感触で無条件に幸せな気持ちが広がるものだ。心地良さに拍車がかかって未だ眠りの中にあったが、小さな刺激でも積み重なれば意識を呼び起こされるもので幾度か口付けられた後でようやく僅かに覚醒する。そのタイミングで首にキスが落ちて擽ったそうに僅かに身を捩って微睡みの中で無意識に相手の体を引き寄せる。だが口の端にキスが落ちれば覚醒しかけた意識ではそれを物足りないと感じてようやく体が起こされる事になった。直後口の端に残る感覚に眠気まなこで目を瞬かせ、それが頬や首にいくつもあるのに気がつくと一気に目を見開いて目を覚ます。目の前にいるのは上機嫌な笑みを浮かべる相手だけで、そうなれば大体何をしていたか想像が着くと「お前何してたんだよ!」と答えを知っているのにも関わらず叫びながら頬を僅かに赤くさせていて)
……あ、起きた。おはよう、翔太郎。君がすやすや寝てるから何処までしたら起きるか検証しようと思ってね
(今の状況を良い様に捉えて勝手に起きるか起きないかのギリギリを狙って口付けていく。首元に触れた時には擽ったそうに身が動いて気付かれたかと動きを止めるが逆に寝惚けながら引き寄せられてしまった。どうやら相当深く眠っているらしい。ならばと更に大胆に口端にキスを落として離れると流石に度重なる刺激を感じたのか閉じていた相手の目が見開かれていて視線が交わる。残念ながらゲームオーバーのようだ。自分が何をされていたのか気付いたのか寝起きにも関わらず頬を赤くして相手が叫ぶとハンモックも揺れるがそれも気にせず起床の挨拶を告げる。何をしたのか分かっているとは思うがその目的を明かすと「やっぱり唇の近くは感覚が鋭いのかもしれない」といたずらっ子な声と態度で検証結果を伝えて)
人の体で検証するんじゃねぇ!…、……
(こちらは起きた途端にいろいろと言いたい事が出てきて顔を赤らめているというのに相手はなんでもないように上機嫌に挨拶を口にしている。幾度も口付けられたのは分かっていたがその目的が検証だと知ればすかさずツッコミをいれた。検証なんて言葉を使っているが寝ているこちらで遊んでいたと言った方が正しいだろう。こちらが叫んでいるのに微塵も気にせず上機嫌に結果を伝えられると思わず体を持ち上げようとした。だがここはハンモックの上、大きく体を動かせば静かに揺れていただけの布がバランスを崩すのは当然で、途端に体勢を崩してしまうと相手に覆い被さるように倒れ込む。最初こそ激しかった揺れはゆっくりと落ち着いてきて、気がつけば相手を見下ろすような形になって静かに揺られている状態になった。未だ顔は熱いというのに顔を付き合わせる体勢になってしまって思わず息を詰まらせる。だが相手だけが良い気になっているのはなんとなく納得がいかなくてそのまま顔を近づけると唇を重ねた。たっぷりと時間をとってからゆっくりと唇を離すと「起こすならこういうのにしろよ」とボソリと呟き)
君の寝顔を見るのも良いけど反応が無くて暇だった、しっ…、…近いよ、翔太郎。 …ん……なるほど、君の好みは覚えておこう
(検証というワードを出せばすかさずツッコミが入る。腕に閉じ込められた状態ではろくに動けないのだから興味の対象が相手に向くのは仕方ないことだろう。それにただ寝ている相手の顔などをただ観察するのも最初は良かったが自分の言動にリアクションをして反応を返してくれる時の方が好きだ。そんな身勝手な理論を振り回していれば相手が反射的に動こうとしてハンモックが大きく揺れる。それで体勢を崩した相手が上に覆い被さってきて見下ろされるとどくんと心臓が跳ねる。先程の方がずっと至近距離だったはずなのに何となくこの状況の方がが落ち着かなくて距離感について指摘する。じっと相手を見ていればその顔が近付いて唇が重なった。先程の戯れや悪戯の口付けよりもずっと深く暖かくて実感の持てる味に静かにそれを受け止める。やがてゆっくりと唇が離れていくと目で相手を追うがぽつりとこぼれ落ちた呟きを聞けばにやりと口角をあげる。どうやらキス自体に文句があるのではなく頬や口端では物足りなかったらしい。嬉しそうに声を弾ませて記憶しておくと返せば背中に腕を回して相手を引き寄せる。まだこうしていたいところだが日が暮れる前に夕食やその他の準備をした方が良いだろう。「そろそろテントに戻ろうか」と声を掛けて真似をするように短く口付けをして)
……別に、お前がやった奴も嫌いじゃない……
(相手とハンモックに包まれて身を寄せあっているという状況は同じはずなのだが、閉じられた空間で相手に覆いかぶさっているこの状況は何故か先程よりも心臓に悪い。相手は近いだなんて言っているが距離でいえばさして変わらないはずだ、ハンモックで視界を遮断された空間で相手を見下ろすとより相手を閉じ込めた感覚が増すからかもしれない。そのまま先程揶揄われた分を口付けで返す、だがこちらの呟きに相手は言質を取ったと言わんばかりに口角をあげていた。そのまま抱き寄せられるとさらに互いの顔は近くなってその近さに慣れる前に相手から口付けが送られると恥ずかしさも相まって笑みがぎこちなくなってしまう。時刻は夕暮れで夕飯のことを考えればそろそろこの空間ともお別れのようだ。最後に相手の肩口に顔を埋めるとギュッと抱きついてボソリとまた呟く。起き抜けで検証のキスが恥ずかしかったのは確かで唇でなければ物足りないのも確かなのだが、頬や首や様々な所にキスを落とされるのも好きな行為だ。それがなくなってしまうのも寂しい。なんとも我儘なことを口にし、言っておいて恥ずかしくなってしまえば逃げるようにハンモックを降りて目元を隠すようにハットを頭に乗せて)
…、じゃあそれも覚えておこう。 …っと、このハンモック是非ともガレージに置きたいけど設置場所を作らないといけないのが課題だね。グレーチングの下ならば多少スペースが確保出来るはず…
(行為自体の禁止ではなくもっと十分な口付けを望む相手に笑みを見せて抱き寄せるとその顔は夕日だけではない色に染っていた。気持ちがうごくままに口付けをすればぎこちない表情になってしまって、それがまた愛おしく思う。テントに戻ることを提案して腕を解こうとすると上にいる相手が肩口に顔を埋め、小さな呟きが聞こえてくる。それは先程の行為も嫌では無かったという意思表示で一瞬動きが停止するがその意味を理解した途端ますます口元が緩んだ。これも一種の甘えであり許容であって恥ずかしいと思う場所まで明かしてくれるのが嬉しくて堪らない。返事を返している内に相手は逃げるようにハットを手にハンモックを降りる。一人になったハンモックは不安定で相手を追いかけて降りようとすればバランスを崩しかけるが何とか持ち直してハットを被った相手の隣に並ぶ。思わぬ休息と相手の好みを知ることになったがその快適さは身に染みて感じることになって真面目にガレージの休息兼泊まりの際の就寝場所として本格的に検討を始めながら来た道を戻り始め)
ガレージにハンモックか……グレーチングの下なら邪魔になんねぇし設置もしやすいし良いかもな…
(相手の悪戯に抗議するような事を口にしたもののその行為が堪らなく嬉しいのも事実であって心地良い空間ではついそれを相手へと伝えてしまった。ハンモックの上から逃げる間に相手からは上機嫌な返事が聞こえてきてますます心臓に悪い。直後バランスを崩しそうになった相手に駆け寄ろうとするも無事にハンモックから降りられたようで胸を撫で下ろす。再び手を繋いで帰り道を歩いていると相手から事務所にハンモックを置くことを提案される、ハンモックを室内に置くのを考えた時最もネックになるのは何処に吊るすかになるが、ガレージならばグレーチングに金具を引っ掛けて直ぐに設置することが出来るだろう。コタツを提案された時は何時までもそこから出られなくなるからと反対したがハンモックならば寝床という意味で設置を考えてもいいかもしれない。先程の寝心地を忘れられず設置のほうに心が流されながら「お前がハンモックから一日中降りてこなくなるのは困るけどな」と冗談を口にしていればやがて自分たちのテントへとたどり着いて)
そういう状況なら君が入ってくれば良い。そういえば夜ご飯は何を食べるんだい?
(相手の横に並ぶと目元を隠すようにハットを整えていたようだが当たり前のように手が取られて来た道を歩き出す。その最中ハンモックをガレージに設置する案を口にすれば意外にも前向きな反応が返ってくる。かなり触れても起きないぐらい寝心地を気に入ったのかもしれない。それを追い風に設置を検討していると相手から一日中居る可能性に言及されるがあの快適さならば有り得ないことではない。検索のことを考えればホワイトボードとハンモックの往復になるだろう。それは構わないのだが相手と顔を合わせられないのは問題でその事を考えれば大真面目な顔で解決策を述べていた。そうしている内にテントに戻ってきた。休息ばかりしたが満腹だった腹も大分落ち着いて夕食も美味しく食べられそうだ。バーベキューと同様管理小屋に食事を取りにいかなくてはならないが説明の途中ハンモックに気を取られて夕食のメニューから頭から抜けていれば移動しながら相手に問いかけて)
俺まで入ったら誰が依頼解決すんだよ。…ん?フィリップ、バーベキューといやもうひとつ定番のメシがあるだろ?
(あの独特の寝心地をすっかり気に入ってしまってハードボイルドらしくないにも関わらず肯定的な返事をしてしまう。ガレージにハンモックがあればお洒落度が増してむしろハードボイルドかもしれないなんて自分の中で言い訳をしつつ相手を揶揄ってやれば大真面目な顔でハンモックへ来るよう誘われてしまった。先程二人でハンモックに寝転がる幸せは十分知ってしまったところだが事務所の探偵二人ともがハンモックで眠ってしまうのは考えものだろう。何よりも先に所長様のスリッパが飛んできそうだ。真面目な顔にまたしてもツッコミをいれていると夕飯のメニューを問われる。どうやらさらりと説明されたのを聴き逃していたらしい、何故か得意げな顔で人差し指を立てるともったいぶった言い方をしてニヤリと笑う。キャンプには欠かせないものはもうひとつあって、「晩飯はチキンカレーだ。しかもここのオーナーが独自で調合したスパイスから作るんだとよ」と期待を煽るようにメニューを伝えて)
定番のメシ…? スパイスから作るチキンカレー…凄く美味しそうだ!
(相手の揶揄いに対して相手も来れば問題ないと大真面目な顔で返答すればこちらも探偵らしい返事がされる。所長も招けばハンモックの快適さを気に入ってくれそうではあるが事務所の経営が成り立たなくなるというのも事実でこの辺は要検討かもしれない。そんな話をしながら夕飯のメニューを聞き逃していたことに気付いて相手に問えば何処か得意げな言い方をされて同じワードを繰り返す。バーベキューが定番のメニューであることは事前に知っていたがその他というとあまり浮かばない。興味を示した目で相手を見ているとそのメニュー名が発表され、ここならではのこだわりが付け加えられると相手の狙い通り期待を煽られて無邪気な反応を示す。カレーライス自体は何度も食べたことがあるが大抵レトルトかルーから作った物でスパイスから作るのは初めてだ。口角を上げている内に管理小屋に辿り着いて番号を伝えるとカレーの材料が渡される。そこには相手が言っていたスパイスの瓶があって食材もいつもと少し違う。期待は高まっていくばかりで「早く作ろう、翔太郎」と笑顔で告げれば早足でテントの方に戻っていき)
だろ?いつもよりもっと特別なカレーだ。____なかなか作りごたえがありそうだな
(もったいぶった言い方をして相手に今晩のメニューを伝えれば狙い通り相手の目は輝いてその反応だけで満足気な笑みを浮かべる。そこそこ運動ししっかり休んだ体にスパイスの効いたカレーは染み渡ることだろう。管理小屋にたどり着いて食材を受け取ればテントサイトへと帰ってくる。食材の箱の中には作り方の手順が書かれた紙が入っていてまずはそれを手にして相手と共に覗き込んだ。目を通し始めて最初の項目を見れば思わぬ内容に目を瞬かせて食材の方に再び目を向ける、最初にやるべき事として書かれていたのは米の準備なのだ。よくみれば食材に混じって土鍋とそれを吊るす鉄柱のようなもの、さらに生の米が入っている。つまりは自分たちの力で白米を炊かなければならないようだ。キャンプでの炊飯はコツがいるという、ただ焼くだけだったバーベキューとは一味違うようだ。テントサイトの傍には夜用に用意されたであろう新しい炭と焚き火用の薪が置かれている、説明の紙によればコンロでカレールーを作りつつ焚き火で米を炊くようだ。一段レベルのあがった料理に腕をまくると「よし、まずは米炊く準備だな」と気合いを入れるように言って)
今夜の食事が掛かっているから失敗は出来なそうだ。じゃあ僕は火を起こしておくよ。
(テントサイトに戻ってきて箱の中身を確認すると先程よりも食材や道具の種類が多い。相手と共に紙を覗き込まればどうやらカレーだけで無くご飯も自ら炊くようになっているようだ。より本格的な調理が求められるが大事な夕食となれば失敗する訳にもいかない。気合いを入れる為に多少煽るようなことを言いながら調理に取り掛かった。カレーとご飯を作らないといけないが何はともあれ火が無いと始まらない。今日2回目となる火起こしの担当を名乗り出ると今回は焚き火台の上で火を起こすようで風が通るように薪を組んでいく。要領もほぼ同じで炭よりも火のつきやすい薪に着火剤経由で着火して燃え広がらせていけば準備完了だ。安定した頃に相手の元に戻ってくると「炊飯器以外で炊くご飯ってのも初めてだね」ともう一つの初めてへの期待に声を弾ませていて)
あぁ、丸焦げの米じゃ特別なカレーには似合わねぇからな。火起こしは頼んだぜ、俺は食材の準備だ
(キャンプはなんでも自分達で自由に手作りできる分大いに失敗の可能性を孕んでいる。その最もたるが炊飯だろう。手順通りにやれば問題なく出来るはずではあるが、家のガスコンロとは違って火加減を簡単にできないのが一番のネックになってくるはずだ。火加減と鍋の様子は二人で注意深く見ておいた方が良さそうだ。相手に乗っかるようにこちらも発破をかけるようなことをいえば火は赤のメモリをもった相手に任せて早速米の方の準備を始める。箱の中に入っていたミネラルウォーターで米を手早く洗った後にライスクッカーなる炊飯専用の鍋に米をいれる。炊飯では水と米の量のバランスも大事らしく、いつもはだいたいで合わせるところを慎重に水の量を測ってから鍋へと入れた。ここまでくれば米を水に浸しておく時間で相手の火起こしが終わるまでそのまま置いておく。その間にカレーで使用する玉ねぎをみじん切りにし、鶏肉を一口大に切れば食材の用意は完了だ。そのタイミングで相手から火起こしが終わったと声をかけられると「焚き火で炊いたご飯はむちゃくちゃ美味いっていうし、よく様子みながら上手く作らねぇとな」とこちらも弾んだ声で返事をして蓋をした鍋と鍋をひっかける鉄柱をもって相手が起こしてくれた焚き火の傍へと近づく。十分な熱量をもった火に理由もなく気持ちもあがりつつ、支えの鉄柱を置いた後にそっと火にかかるよう鍋を吊るしセットして)
それは興味深いね、カレーと合わせて最高の夕食が出来そうだ。よし、じゃあメインのカレーを作ろう
(こちらが火を起こしている間専用の鍋に米と水が入れられ、食材の用意もしてくれたようで準備はバッチリだ。鍋でご飯を炊くという体験にワクワクしていたがめちゃくちゃ美味しいという話を聞けば尚更興味惹かれて目を輝かせる。普段の炊飯器で炊いたご飯と焚き火で炊いたご飯の差は立派な検証対象だ。鉄柱を立てて火にかかるような場所を作るとそこに引っ掛けるように鍋が吊るされてセット完了だ。蓋が閉まって中身が見えない分どんな状態か分からないが沸騰するのが1つ目の目処のようでそれまでは放置で良いだろう。ご飯のセットが出来れば次はいよいよ本命のカレーだ。焚き火から火を拝借してコンロの方にも火を起こして大きくすると箱からダッチオーブンを取り出してくる。まずは具材を炒めていくのだが興味は調合されたスパイスの方に向かって小瓶と紙を交互にみながら「コリアンダー、ターメリック、クミン、ガラムマサラ…どれも聞いた事のないスパイスだ。…でもカレーっぽい匂いがする」とスパイスの名前を確かめ、試しに小瓶の蓋を外して匂いを嗅ぐと「ほら」と相手の鼻先にも差し出して)
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