検索 2022-07-09 20:46:55 |
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だな。今日はなんの予定もねぇんだし、何しようと自由だ
(体力の限界を彷徨って髪を乾かす余裕がなくベッドに雪崩こめばこうなるのは目に見えていたが今日が休日ならばそれで困ることは無い。お互いに好き勝手に跳ねる髪を意味もなく弄って、しかしそんな穏やかな時間が今は何よりも心を満たす。お互い寝転がっているから全貌が見えていないが体を起こせばもっと酷い姿が待っていることだろう。だが相手の言うように今日はそこに気を使う必要はない、今日はただただ相手との時間を過ごす日なのだから。当然このままこの狭いベッドから動かずに相手の温もりを感じて過ごすのも構わないだろう、だが眠気から覚醒してきた頭は別の願いも求め始めてしまう。随分長く寝たせいか体は水分を求めている、水分補給をするならとっておきのものが良いがそれを求めればここから動く事になる。いつもならそれほど選択を迷うことはないが今はうだうだとどうにもならない二択を決め兼ねていて「参ったな…」と小さく呟きながら互いの額を合わせて目を瞑る。困ったようなため息を吐きながら軽く額をグリグリと押し付けると「ここから動きたくねぇけど、お前のとっておきのコーヒーが飲みてぇ」と答えのない我儘を口にして)
(/大変お待たせしました。結局お言葉に甘えて体調が十分回復するまで休ませていただきました。優しい言葉をかけてくださり本当に嬉しいです。ありがとうございます。まだしばらくはゆっくりペースかもしれないですが、せっかくの二人だけの時間存分に楽しみましょう…!/こちら蹴りで大丈夫です!)
どうかしたのかい? …、それは確かに難しい問題だね。
(いつもは誰かの為に動いて他人と関わることの多い仕事だが今日ばかりは2人きりなのだからありのままの姿で居れば良いだろう。自堕落なまま狭いベットでくっついて時間を過ごしていたが不意に相手が何かを悩むような呟きを零して不思議そうに目を向ける。何か懸念することがあっただろうかと閉じられた瞳を心配そうに見ていたがグリグリと合わせた額を押し付けられ、子供っぽい我儘が聞こえてくれば瞬きを挟んだのち笑い声が零れた。自分のコーヒーが飲みたいと思ってくれてるのに加えてそんなことで悩んでいるのが何とも可愛らしくて口元を緩ませたまま相手の後頭部を撫で、ご機嫌な声で言葉を続ける。だが流石にベットで寝転がったままではコーヒーを入れることは出来ない。少し考えてから短く口付けを送るとじっと相手を見て「なら間を取って二人でくっついたまま台所に移動してコーヒーを入れるのはどうだい?」と提案してみて)
だろ?…ん、それなら俺の悩みも解決だ。さすがだな、フィリップ
(いつもなら悩みもしない一見くだらない我儘を今は心のまま口にして相手にぶつけたくなってしまう、これも一種相手に甘えているのだろう。こちらの突拍子もない言葉に相手は一拍間を置いて笑い声をもらす、幼稚とも言えない我儘を相手は受け入れてくれてそれだけでも胸が暖かくなるがさらに頭を撫でられてしまえば締まりのない笑みを浮かべて気の抜けた返事を返していた。答えの出しようのない問題にうだうだと相手に抱きついていれば相手から口付けを受けてようやく目を開ける。こちらを見つめる相手と視線を交えながら自分の我儘の答えが示されると口元は満足気に半円を描いた。自分が求めるものをどちらも満たす手段を提示されればそれを選択しないわけがない。最適解を示す相手を褒めながら背中に手を回すとこちらと共に一気に上体を引き起こした。すると案の定と言うべきか、ベッドに押し付けられ誤魔化されていた髪の毛が一気に広がってしまう。いつも以上に好き勝手跳ね回って広がる相手の髪に思わず吹き出してしまうと「なかなかの大惨事だ」と広がった髪を乱暴に触る。自分も同じようなものであるのは気づかないまま撫でてもなかなか治らない髪を弄っていて)
面白がっているようだけど君の跳ね方も相当だよ。今日はここもお揃いみたいだ
(普段探偵をしている姿からは思いもしないようなワガママをうだうだ捏ねている相手に頭に浮かぶ解決策を提示すれば満足そうな笑みが浮かんだ。離れたくないのならくっついていれば良い、とてもシンプルな答えだ。相手腕が背中に回って一緒に上体が起こされる。相手はこちらを見るなり噴き出しては髪をわしゃわしゃと撫でられされるがままだ。反応を見る限り大変なことになっているらしいが相手も芸術的なうねり方をしていて人の事を言えない状況だ。特に酷い部分に触れてみるが癖づいた髪はそうそう直りそうもなくてお揃いだとくすくす笑う。だが横髪の辺りが少し鬱陶しいようにも見えると相手の手を引いてベットから降りる。そのまま食卓のテーブルに向かい昨日風呂に入る前に外したクリップの片方を手に取ると軽く横に流しながら留めてやり「これなら邪魔にならないだろう」と得意げに告げて)
え、…なかなかの暴れっぷりみたいだな。……なら今日はここもお揃いにしとくか
(好き勝手跳ねる髪を笑ってやったがどうやらこちらも似たような惨状らしい、思わず頭に手をやってみると本来あってはいけないところに髪があって苦笑いを浮かべるしかなかった。髪を乾かさずに寝たのだから当然の結果ではあるが。手を引かれてベッドを降りると相手はテーブルの上に置きっぱなしになっていたクリップをこちらの頭へとつける。見た目に無関心な相手が効率重視で付けたものだったが今やクリップは相手の象徴でもある。それが頭につくのもこうやって二人だけの家で好きに髪を跳ねさせている今だけだ。寝巻きに続いて相手のものを身にまとっている事実に胸が擽ったいがなんとも幸せだ。こちらもクリップを手に取ると相手の髪を軽くまとめてやっていつもの位置へとクリップを付ける、これでまたひとつお揃いが増えた。視界も確保出来たところで今度はこちらが手を引くとキッチンの方へと移動していく、自分のもうひとつの願いを叶えてもらう為だ。だが宣言通り相手から離れる気はさらさらなくて、手を解きすぐさま後ろから抱きしめると「とびきり美味いやつ頼むぜ」とさらに我儘を重ねてから頬へと口付けを送り)
今日だけの特別仕様だ。…ああ、とっておきを入れるから期待して待っててくれ
(相手の髪がこちらのクリップで留められているなんて滅多に見られないものだが二人だけの場所で受け入れられているのが素直に嬉しい。相手ももう一方のクリップを手に取るといつもの場所に着けてくれる。またも一つお揃いが増えて巷でいうバカップルという状態なのかもしれないがお互いが望んでいるのだからしょうがないだろう。ご機嫌に笑みを見せていれば再び手を引かれてキッチンへと移動する。早速相手の我儘を叶えようと準備に取り掛かるところで一旦手は解かれるが代わりに後ろから抱きしめられる。こちらの提案通りくっついたままになると少々動きにくいもののこれぐらいなら許容範囲だ。更に我儘が重なり頬にキスがされると安直にやる気が出てきてちらりと相手の方を向きながら自信たっぷりに宣言をしておいた。お湯を沸かす傍らお揃いのマグカップを用意する。今日はシンプルに中細挽きのコーヒー豆をセットして沸いて少し経ったお湯で数回に分けて丁寧に抽出していく。特別美味しい物をリクエストされているのだから今持てる技術と材料で最高の物を飲んで欲しい。そんな思いから真剣な顔つきで抽出に向き合っていて、お湯を注ぐ際のコーヒー粉の膨らみも理想通りで良い色合いの液体になれば「最近で一番の出来かもしれない」と声を弾ませる。自分のマグカップにも同じように抽出することが出来れば「出来たよ、翔太郎」と覗き込む相手の方を向いてその事を伝えて)
すげぇ良い匂いだ……ありがと、フィリップ
(寝巻きに加えてクリップまでお揃いになって後ろから抱き締めながら相手がコーヒーを入れてくれるのを見守る。いつかの夢の国で買ったマグカップが取り出されればまたひとつお揃いのものが増えて嫌でも口角は上がっていた。相手の作業の邪魔にならぬよう緩く腕を相手の腰へと巻いて自分のために入れられるコーヒーを眺める。フィルターにセットされたコーヒー豆の香りも既に香しいがそこにお湯が注がれるとその香りは一層華やいで周囲へと広がっていく。なんともリラックスできる香ばし香りに包まれていれば今までで一番の出来だと伝えられる。こちらのとびきり美味いやつ、という願いを叶えられた事に擽ったい幸福を覚えると思わず腰に回す腕に力が入って気持ちを誤魔化すように相手の後頭部に軽く擦り寄っていた。相手の温もりを抱きしめたままもう一杯コーヒーが入れられるのを眺めたあと、相手の顔がこちらへ向いて完成が告げられる。条件反射のように唇を軽く重ねると後ろから相手を見つめながら感謝を伝えた。本来ならばトーストと共にコーヒーを飲んで朝食とするところで、そもそも相手がコーヒーを準備している間にこちらが朝食を準備すべきなのに今日はそんな気にもならない。これからはただただ相手の特別なコーヒーを楽しむ時間だ。流石に熱いものを運ぶ時にくっついてはいられなくて、何よりこの特別な一杯をこぼさない為にも一旦離れると二つのマグカップを持ってリビングへと移動する。テーブルへそれらを置くといつもは向かい合わせになっている椅子を当然のように相手の椅子の隣へピタリと付けて、相手の方に顔を向ければ「早速飲もうぜ」と待ちきれない様子で声をかけ)
ん、何よりも君のリクエストだからね。 ああ、淹れたてで熱いから火傷しないように、
(相手に見守られながらコーヒーを淹れてその出来に満足していれば腰に回された腕に力が籠って後頭部に擦り寄られる。嬉しいという相手の感情が直に伝わってくれば口角は上がりっぱなしで温かい気持ちを抱えながら自分の分もいれた。相手の方を向いて完成を告げると当たり前のように口づけが落とされて素直に受け入れる。まっすぐ向けられる感謝に柔らかく微笑んで相手の為だと強調しておいた。いつもなら自分がコーヒーを淹れる間相手がトーストなどを準備するのだが今日はくっつくのが優先だったらしい。今日は出勤しないから早急なエネルギー補給は不要だろう。コーヒーを運ぶために相手の腕と体が離れて行くと少し寂しくも感じたが移動した先で椅子を隣にくっつけるのを見ると幸せな気持ちでいっぱいになった。早速右側に座って促されるままマグカップを手にする。そのまま口にしようとするが今日の相手は甘えたがりのせいか何処か幼く見えて勢いのまま飲んでしまいそうな様子につい火傷しないようにと注意を告げる。それから軽く息を吹きかけてから口をつけると程よい旨味と苦みでバランスの良い味わいと落ち着くような香りが広がって「…うん、良い味わいだ」と満足そうに呟いて)
いくら何でもコーヒーで火傷しねぇよ。……ん、…すげぇ美味い
(感謝の気持ちも込めて軽く口付けを送るとこの香りも自分の為だと強調されて嬉しさと独占欲と優越感と、様々な感情が入り交じって無意識に相手を抱き締める腕に力が籠った。名残惜しくも腕を解いて代わりに椅子をくっ付けて並べると相手が定位置である右側へと座る。こちらも相手の左側へと座ると早速コーヒーを飲もうと手を伸ばした。しかしそこで相手からまるで子供に言い聞かせるように注意が入る、正直な話早くコーヒーを飲みたいと気が急いていたのは確かで絶対に火傷しなかったとは言えない状況だ。なんとなくこちらの行動を見透かされたのが恥ずかしく、それを誤魔化すように少々ムッとした顔を浮かべる。だがそんな表情も相手のいれてくれたコーヒーの香りをかげば直ぐに柔らかくなった。マグカップを持って軽く冷ましてから一口飲む、すると程よい苦味と芳春な香りが口のなかに広がって思わず軽く息を吐いた。なんせ相手が自分のために特別にいれてくれたものなのだ、コーヒーが体の中に広がればたちまち心身は満たされていく。これを形容するならきっと『幸せの味』なのだろうがそれをそのまま口にするのはさすがに羞恥が勝って、相手の方に体を寄せてまた擦り寄ると「幸せだ…」と言葉を変えてポツリと呟いて)
お気に召したのなら何よりだ。…ああ、良い朝だね。
(何処か落ち着きのない相手に火傷しないように注意をすれば露骨に不服そうな表情を浮かべて思わず笑ってしまう。反論もされるが火傷しないように軽く冷ます仕草に更ににやけてしまう口元をコーヒーを飲んで隠した。コーヒーを飲んだ相手は表情が柔らかくなって息を吐く。自分が手を掛けた物を飲んで幸せそうにしているのを見るとコーヒー以上に胸が温かくなって満たされていく。更に一口飲んでいると相手の体が更に近づき擦り寄ってきてぽつりと呟きが聞こえてくれば堪らずマグカップを一旦テーブルに置き、相手の頭に手を回してゆるゆると撫でる。元をたどればこうやってコーヒーを入れる習慣が付いたのも相手の影響で美味しい物を飲んで欲しいという想いからその方法も調べて身に付けた。誰にも邪魔されることなく、相手の温もりを感じながら過ごすなんでもない穏やかな時間を噛み締めながらこちらからも寄り添って)
……フィリップ…
(相手にピタリと寄り添いながら自分のために入れられたコーヒーをゆっくりと味わう。穏やかに流れるなんてことの無い二人だけの時間は幸せ以外の何ものでもなくてコーヒーの香りに二人して包まれながらポツリと心のままに呟いた。すると相手はコーヒーをテーブルへと置いて、何かあったのかと向こうを見る前にこちらの頭に手が伸びてきてそこを撫でられる。相手にしか許されない特別な行為に口元は締まりなく緩んで、相手色の寝巻きでクリップをつけたボサボサの髪のままその顔には幼い笑みを浮かべていた。こちらもコーヒーを置いてしばし相手に撫でられる感触に集中する、緩く撫でられる心地に目を閉じていれば向こうからも体が寄りかかってきて狭い部屋でさらに二人体を寄せあって時間を共有する。何もしない穏やかな時間はすぐにこの胸を満開にして、不意に名前を呼ぶとすぐ近くにある相手の唇へと口付けた。互いにコーヒーを飲んだばかりでは当然キスの味は相手の特別なコーヒーになっていて、唇を離すと顔を間近に寄せたまま「幸せの味だ」と先程飲み込んだ言葉を口にしていて)
…、翔太郎…
(思うがままに相手の頭を撫でると年上だとは思えないくらい幼い表情が浮かぶ。どちらかと言えばずっと相手に与えられることばかりだったが、その相棒が今は自分の色を身につけてトレードマークといえるクリップをつけて、自分のいれたコーヒーを味わって撫でられている。自分が与えた物でいっぱいになって嬉しそうにしている相手を見れば幸せに目が眩みそうでそれを誤魔化すように頭を撫で続けた。そうしていれば無意識に相手に体を寄せてまたこつんと頭を合わせた。そうして温かさに浸っていると名前を呼ばれて顔を上げる。それと同時に相手に口付けをされて、普段とは違うコーヒーの味が唇に乗る。ほんの僅かに離れたところでこれが幸せの味だと告げられると心が揺れる。吐き出す息と共に相手の名前を呼ぶともう一度その味を確かめようと唇を重ねた。先程よりも長く行った口付けは確かにコーヒーの味が乗っていてそっと離れると「僕達だけの特別の味かもしれないね」と目を細めて笑って)
…、……あぁ。お前の味とお前の特別なコーヒーが混じった味…俺達以外には絶対に知られない味だ
(心のままに普段ならばクサすぎて口に出来ない台詞を紡ぐ、今は気恥ずかしさよりも相手に与えられたもので溢れ同じだけ幸せに溢れている心の内側を相手へ伝えたい気持ちの方が勝っていた。間近にいる相手がこちらの名前を呼ぶ、その吐息にのって香ってくるのも相手が自分のために特別にいれてくれたコーヒーの香りだ。今度はキスの味を味わうように長い時間唇が重なってゆっくりと離れる、コーヒーだけでなくキスまでも特別だと目を細める相手に否応なしに心を掴まれるとこちらの口角も上がった。二人だけしか知りえない二人だからこそのキスの味、さらにそこへ自分だけの為に作られた相手のコーヒーの味が加わればその味はきっと他人が絶対に踏み込むことの出来ないものになる。二人だけが共有するものがまたひとつ増えた事に幸せが華やぐのは止まらなくて再び身を乗り出すと唇を重ねる。その柔らかさを存分に感じたあと、そこに残る特別なコーヒーを余さず堪能するように食むような動きで相手の唇をなぞった。そっと唇を離すと特別な味の残渣さえ取りこぼさなかった事が妙に嬉しくて、だが自らの行動は子供っぽくて、思わず目を逸らしながら照れ笑いを浮かべていて)
…ん、っ……絶対他の人には見せられないな。
(朝から続くまったりした空気のおかげでいつも以上に思ったことが口から溢れる。特別な口付けを交わしこの味が自分達だけの物だと相手が肯定すると独占欲やら優越感が擽られて大切な物を愛でるように髪を撫でる。味以上に心を満たすもののあるキスに緩んだ表情を見せていれば再び相手が身を乗り出して唇を重ねる。その感触に集中する為に目を閉じて三回目で薄くなった特別な味を感じ取ろうとしていると不意に唇が食むような動きをして身を固める。触れるだけでなく積極的に取り込むような仕草で唇をなぞられると相手の唇の感触が何倍にも強く伝わってきて心臓が跳ねた。やがてゆっくり離れていく相手に合わせて目を開けるが子供っぽくも嬉しそうに照れた笑みを浮かべるものだから薄ら顔を赤くしながらこちらも目を逸らした。お互いのこの姿も今の行動も相手の可愛らしい姿も全部他人には見せられない、見せたくないものばかりだ。くっついたまま体の向きは直し、少しぬるくなったコーヒーに口をつけて冷静さを取り戻そうとしながらぽつり呟いて)
だな…見せる気もねぇけど……
(ゆっくりと頭を撫でられ続ければ相手にただ受け入れられる幸せを享受してふわふわとした浮遊感の伴う幸せに浸る。相手の唇に僅かに残る特別なコーヒーさえ全て取り込んで、そんな行動に自分で恥ずかしくなってしまって目を逸らしていると視界の端で相手の顔も逸らされるのが見えた。ちらりと窺うように見ればその顔が薄ら赤くなっていて心臓が跳ねる、寝起きの緩みきった状態で頬を上気させる姿はなんとも目に毒で幸せとはまた違うものが胸を擽った。朝に相応しくないその感情を腹の底に戻すためこちらも体の向きを変えると再びコーヒーを手に取って一口飲む、少々冷めてしまったがそれでも気を落ち着けるリラックス効果は十分で気を抜くように小さく息を吐いた。起き抜けな上に飛びっきりだらけた様相で幸せに揺蕩うこの姿は当然恋人である相手以外には見せられない代物で、同時に相手のこの姿は他人には絶対に見せたくない自分だけのものだ。そもそもこんな自堕落な格好をすることさえ珍しいのだ、そんな貴重なものを相手以外と共有する気はない。互いに独占欲をチラつかせる言葉を口にすればまた相手へ近づきたくなってしまいそうだ、そうなる前に別の欲を満たす方へと舵を切る。軽く相手に寄りかかると「お前のコーヒー飲んだら朝飯食わねぇとな。俺が作ってもいいし…カフェにモーニング食いに行くってのもありだな」とそろそろ鳴り始めそうな相手の腹に目をやりながら言って)
そうだね、昨日は結局ちゃんと食べてないから。…んー、悩ましい二択だ。
(変に鼓動が早まってしまったが相手も体の向きを戻していて自分も特別なコーヒーを再び口にすれば徐々に落ち着いてきた。自堕落な格好でお揃いの物に囲まれて朝目覚めてから殆ど離れることなくお互いが望むままに擦り寄って口付けをする。自分でも甘いと思うが普段誰かの動く仕事をしている分お互いにだけに向いている意識が居心地が良くて特別で、独占したい時間なのは間違いない。相手からも独占欲が滲む言葉が返ってくれば嬉しさとと共にまた心臓が跳ねてしまいそうでもう一口コーヒーを飲んで誤魔化した。そうしていると相手が寄りかかってきてお腹の辺りを見ながらこの後の話が振られる。昨夜は疲労困憊で調理する元気も無かったせいで最低限の物と量だけを口にして寝た覚えがある。あの冷たい空間で削られた体力を補給する為にもちゃんとしたものを食べた方が良さそうだ。そこで相手から二つの案が出されるが今度はこちらが決めかねて悩ましそうにする。カフェのモーニングならば食事としてもバッチリでせっかくの休日に相手と新しい体験をするというのも興味惹かれる。だがその為には外に出る必要があり、その為に支度をするのは今の特別な状態を崩すことと同義だ。寝癖を愛でるように跳ねた部分を弄りながら「オシャレなモーニングは興味あるけどこの時間を崩してしまうのは惜しいな。…ちなみに翔太郎スペシャルのメニューは?」とちゃっかり特別仕様を求めながら相手の作る予定のものを期待の目を向けながら問いかけ)
クリップも外さなきゃなんねぇしな。…そうだな……なら、卵をたっぷり使ったたまごサンドなんてどうだ?
(チラついた別の欲望を誤魔化すため、しかし相手とはピタリとくっついたままこの後の話を振ってみる。起き抜けにコーヒーを強請って存分に堪能しているところだが昨日最低限のものしか口にせず眠ってしまった体はそのうちコーヒーだけでは満足できないと主張を始めるだろう。せっかくのゆっくりした朝だ、外に食べることも提案してみるが相手からこの空間を崩したくないと言われると無意識に口角があがる。この一時を好んでくれているのが分かる呟きにまた胸は暖かくなる、そうなればもう家から出ていく選択肢は消えていってしまった。続いて相手の顔がこちらへ向くと問いかけという名のオネダリが発動して思わず笑ってしまう、相変わらず相手はこちらにお願い事をするやり方をよく分かっているようだ。相手に特別なコーヒーをいれて貰ったのならばこちらも特別な朝食を作らなければ。相手から与えられたもので幸せを感じるのはもちろん、こちらから与えたもので相手が幸せそうにしているのだってこちらの胸を満たすのだ。少々考えた後にスペシャルメニューの内容を伝える、料理名はシンプルだが簡単に作って終わらせる気はさらさらない。自信を滲ませながら相手の方を見ると「どうする?」と答えの分かりきった問いをあえて投げかけてみて)
たまごサンド…食べたい!
(せっかくの何も予定の無い時間なのだが外に出るのが惜しいと思うほどこの空間を気にいっていてその理由をうだうだ話して相手の方を向く。問いかけという形で特別な朝食をリクエストすれば相手の口元に笑みが浮かんだ。ある意味普段の役割分担と一緒だが今日は特別仕様だ。くっついたまま相手が悩むのを眺めていたがシンプルかつ興味惹かれるメニュー名が告げられるとその目に期待を宿し、ぐいっと顔を近付けては賛成の意思を表明する。卵がたっぷりという響きが既に美味しそうだ。ご飯のことを考えると早速お腹が小さく鳴って体が素直に空腹を訴える。あまりの正直さに恥ずかしそうに笑いながらも「お願いしても良いかい、翔太郎?」ときらきらと期待の目を向けて)
…、……もちろんだ
(答えの決まりきった問いかけを投げれば相手は即座に返事をする、その内容も気に入ったのか相手の顔は間近に迫って期待の目がこちらへと向けられた。こうなれば相手の為に最高で特別なたまごサンドを作らなければならない。期待で煌めく瞳を愛おしげに、あるいは魅入られるように見つめたあと、短く口付けを送る。自分を抑えようにも相手に触れたい気持ちはいつだって自分の中の理屈を超えてしまうものだ。いつもならばこのままここで待っているように言うところだが今はもうこうやってくっついていることか当たり前になってしまって、それが心地好いと感じてしまっていて、外に朝食を食べに行かない選択をした時点でこの前提を覆すのはありえない。ならば相手に望むことはひとつだ、至近距離にある煌めく相手の瞳を見つめたまま「キッチンまで一緒に来てくれるよな?」とくっついたままで居ることを求めて)
…ふふ、楽しみにしてる。 ああ、それを含めたスペシャルメニューだ。
(期待を寄せる目を向けていれば相手の目が愛おしそうな色を宿して顔が近付く。短く感じた唇の感触に笑みが零れて力強い返事を貰うとこちらからも同じように口付けを送って声を弾ませた。今日はやはり他人や外の環境がない分思ったことが直ぐに言葉や行動に出てしまうようだ。相手が作ってくれるたまごサンドを楽しみにしているも相手は動く様子がない。至近距離のまま見つめあっていたが相手が先程と同じくくっついてキッチンまで移動することを望むとぎゅっと胸が掴まれたような気分だ。勿論その答えはイエスでそれも含めて特別だと告げるとコーヒーの最後の一口を飲んでから相手の手を取って席を立つ。短い距離でさえピタリとくっついて移動してキッチンに着けば先程相手がしたように腰に腕を回して緩く抱き着く。肩に軽く顎を乗せて調理工程を見守る姿勢を取りながら「まずは何をするんだい」と尋ねて)
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