検索 2022-07-09 20:46:55 |
通報 |
…何言ってんだ。今変身しちまったら…お前の体が、凍っちまうだろ。…それに、変身する必要なんかねぇよ
(氷点下の空間に閉じ込められ手足の感覚も薄れてきて今感じられるのは相手の体温だけだ。痛々しい指先を片手だけでも温めようと首筋に当てるも相手はそこから手を離そうとする、その上変身して装甲を纏うよう言われたが今度はこちらが小さく笑って首を横にふる番だった。背中を優しく撫でられるが薄いシャツ越しに伝わるその指先も既に冷たい、リ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ー.が冷凍車と鉢合わせるまでの時間を考えれば低体温症になって思考が鈍ってしまうだろう。万が一今の作戦が失敗に終わった時次の一手を考えられるのは相手しかいない。一方で自分は変身してパンチ一発放てる体力さえ残しておけば何とかなる。それならば変身して相手の体をこの冷凍車に放置するより相手の思考を鈍らせない方が賢明だ。こちらの首筋から離れそうになる指先を上手く動かない手で無理やり押さえつけるようにして逃がさないようにする、続けて装甲を纏う機会はないと無理やり口角を動かしてニヒルに笑った。相手と目を合わせると自信に満ち溢れた顔で「お前の、推理と…俺の街の、知識が…間違ってるわけ、ねぇだろ?絶対に、大丈夫…だ…」と告げる。しかし喋る度に口からは白い息が溢れ体が震えるせいで言葉が上手く紡げず、不意に眠気が襲いくれば瞼がゆらりと閉じられようと揺れて)
状態としては今と同じだ。…っ、翔太郎!寝たら駄目だ、あと少しだから。
(相手の温もりを奪うのも嫌で手を離そうとしながら相手に変身するように提案するが小さく笑って拒否されてしまう。この環境に居るのが変わらないのであれば変身前後では意識の有無しか違いがなくその代わりに相手の体が寒さから守られるのだから取るべき選択肢だ。だが相手はそれを断って離そうとした手をまた強引に首筋に触れさせる。抗議を口にするも見慣れた自信たっぷりの笑みを浮かべて自分達の考えが間違っていないのだと言われると何も返せなくなってしまう。だがその言葉も途切れ途切れで力強い言葉とは裏腹に震えていて弱く白い息が吐き出されては瞼が閉じられそうになるのを見ると背筋が凍って息が詰まった。手の拘束を解いて相手の肩を強く掴むと名前を叫んで大きく体を揺らす。その目が閉じてしまえばもう二度と開かない気がして怖くて仕方ない。こちらに意識を繋ぎ止めるように必死な声で呼び掛け肩を叩いて刺激を送り続ける。何とかする方法を考えていればス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ンが通知を受け取り、リ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ーがあと数分で指定した場所に辿り着くことを知らせる。自分達の推理が間違っていなければもう少しの辛抱だ。それまで熱を維持できるものは無いかと周囲に目を向けた所でこの場に適したメモリの存在を思い出してぎこちない動きでそれを取り出す。ス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ンにヒ.ー.ト.メ.モ.リを差し込んで低出力で熱を発生させると半ば無理やり相手の手に握らせ上から軽く包み込むことで末端を温めようとして)
っ、…わりぃ………、あったけぇ…
(四肢の感覚はもう無く体はもう動かないのではないかと思うほどに重い、背中に添えられた相手の手のひらの熱も感じられなくなっていった。そのまま引きずり込まれるように瞼が閉じようとした所で肩を強く揺さぶられ名前を呼ばれる。意識さえも冷えきってしまう前に脳内に相手の声が響けば何とか瞼を持ち上げる、目の前には相手の必死な顔があって色々と言わなければならないはずなのに短い謝罪を挟むことしかできなかった。相手の声でリ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ーの到着が近いことを意識の遠くのほうで認識する、それならば尚更あと少しの間相手を守り抜かなければと力を振り絞るように奥歯を噛んで閉じようとする瞼をこじ開け相手の方を見つめる。なんとか意識を繋いでいれば相手はヒ.ー.ト.メ.モ.リ.を取り出しス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.へと挿入する、悴んだ手にそれを無理やり握らされると途端にそこが暖かくなった。簡易カイロといったところだろう、指先の感覚が戻ってくれば軽く息を吐いて相手にもス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を握らせて温かさを共有する。じわじわと指先から血がめぐり頭が僅かに動くようになる、リ.ボ.ル.ギ.ャ.リ,ーが冷凍車に接触するならばこの冷凍車は大きく揺れることになるはずだ。それを凍りかけの頭で予測すれば自分達の推理が正しいことを信じて二人の体を壁側に寄せる。相手の背中が冷えきった壁に直接つかないように自らの腕をクッションにするように回し、もう片方の手は二人の間でス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を握ったまま二人の体を密着させたまま壁側に押し当てて衝撃に備えた。やがて冷凍車は動揺するように車体が揺れ直後に目一杯クラクションが鳴り響く、その瞬間に「俺達の勝ちみてぇだな」と勝利を確信するようにニヤリと笑みを浮かべて)
手だけでもマシだろう? っ…ああ、二人の推理通りだ。…警察?
(狭く暗い空間で氷点下の温度に晒されていれば全身の感覚は遠のいて精神もすり減っていく。少しでも思考するのを辞めれば持って行かれそうな意識を相手の存在とやるべきことで縫い留め、何とか瞼が持ち上がった相手と目を合わせる。相手の意識が保つように咄嗟の考えで熱を宿したス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ンを持たせるとさっきとは違うほっとしたような息が吐き出されて密かに安堵する。これぐらいの範囲だと焼け石に水かもしれないが確かに温かな存在は精神的な助けになるはずだ。二人で温もりを分かち合っていれば守るように抱き寄せられて壁際に寄る。直後クラクションが鳴り響き、それでも退かない障害物に急ブレーキを踏んだのか車体が大きく揺れて二人の体が壁に打ち付けられる。痛みを感じるがトラックの動きは止まると相手の方を見て作戦が上手くいったことに口角を上げる。少ししてトラックがUターンしようと再びエンジンがかかるのを聞けば焦ってしまうが遠くの方からサイレンの音が聞こえてくると思わず呟きを零す。その音は徐々に近づいてきてすぐそばに止まると複数人の声と足音がして後ろの扉が僅かに動いた。ガチャガチャと金具を動かす音がしてドアが開くと一気に明るい光と外気が入り込んできて思わず目を瞑る。次に開いたときには刃.野刑事の姿があって『遅くなって悪かったな』と声を掛けられると漸く事態が解決したのだと緊張の糸が解け「…良かった」と小さく呟きを零してふらっと倒れ込みそうになって)
さすがジンさんだ…っ、フィリップ!ジンさん!こいつに毛布となんか体が温まる飲み物、って
(衝撃に備えて、そして自分達の推理が正しい事を信じて壁側で待機する。相手の背に回し壁に付いた手にはもはや感覚がなく冷たいのかどうかさえも分からなかった。足もまるで自分のものでは無いように重かったがどうにか力を込めて倒れないように踏ん張る、直後冷凍車はブレーキを踏んで体が叩きつけられるがそれは推理が間違っていないことを意味していて相手が口角をあげるのに釣られてこちらも笑みを浮かべていた。冷凍車はまた動き出そうとするがその前にサイレンが聞こえてくる、どうやらジンさんが足取りを追ってくれていたらしい。こうなればもう犯人に逃げ場はない、証拠品も無事でこのまま現行犯で牢屋行きだ。リヤドアをいじくる音の直後ようやく扉が開かれて暖かい空気が流れ込んでくれば流石に安堵して大きく息を吐いた。だがジンさんの顔を見て緊張の糸がほぐれたのか相手がその場で倒れそうになる。慌ててその体を支えるも持ち上げられる体力もなくその場で崩れないようにするのが精一杯だった。白い息を吐き出しながら相手の救護をジンさんに早口で頼むがそれを遮るようにツボ押しで額を小突かれ思わず声をあげる、不服そうにジンさんをみると『お前もだろ』と呆れた声で言われてしまいこちらも気が抜けて体の力が抜けそうになった。続いて入ってきた警察官が自分と相手とそれぞれを支えてくれる、手短に冷凍車に残った証拠のことを伝えると外へと引きずり出された。まだ初夏のはずだが外はまさしく生き返るほどの温かさと心地良さだ、道路脇にそっと下ろされると不満気な顔をしたマッキーが毛布を持ってきてくれて『また首突っ込んで!』とつっかかってくるがそれを手を軽く振っていなしておいて)
…ありがとう。
(気を張っている理由も無くなって後を任せられる人の顔を見れば安堵して体から力が抜ける。倒れかけた所を相手に支えられているようだが二人が何か話していると認識した時には別の人に支えられていた。誘導されるまま外に出ると車内との温度差でとても温かく感じられて深く息を吐いた。道路脇に下ろされ座り込むと真.倉.刑事が毛布を持ってきてくれる。礼を言って受け取るが頭が上手く働かない状態では当たり前のように一人一枚の毛布を二人一緒にくるまって二重にして暖を取る。奥では犯人であろう男がパトカーの中にに連れて行かれていて女性の事件と今回の件で容疑が問われることだろう。失った熱も徐々に取り戻していくと顔色も良くなっていき手足の感覚も感じるようになってきた。トラック内の証拠を押さえたであろう刃.野.刑事がこちらにやってくると公園に立ち寄った状況証拠であるドライブレコーダーの事と手慣れた犯行だった事から他の変死事件に関与している可能性を伝える。そこまで情報を掴んで尚且つ無茶をしたことに呆れている様子だったが温かいお茶のペットボトルをそれぞれ渡すと犯人の方に行ってしまった。動くようになった手でキャップを開け、一口飲むと体の中から温かさが染み渡る。思わず息を吐き出すと「もう暫くは寒いのは勘弁だね」と呟いて)
……あぁ……そう、だな…
(陽の光がこれ程暖かいと思えることも早々にないだろう。未だ唇が真っ青な事には気付かぬまま小言を言うマッキーを退けていれば相手から二枚の毛布で二人一緒に包まれてしまう。本来なら人前でやるべきでは無いことにツッコムなりして誤魔化さなければならないのだが今はその気力もなくて、張り合いのない探偵にマッキーも捜査の方に戻っていってしまった。代わるようにしてジンさんがやって来るが冷えきった体が日光で一気に暖められたせいか頭は逆にぼんやりと湯だったような心地になって覚束無い目線をジンさんにむける。相手がこちらの掴んだ情報を伝えれば相変わらずこちらの無茶に呆れた様子だったが最後に暖かいお茶をくれるくらいにはこちらの気概を買ってくれているらしい。手に収められたお茶はジワリと指先を暖めて心地良いが、倒れそうになった相手を支えた所で体力を使い切ってしまったのか今はペットボトルの蓋を開けることも出来なかった。隣にいる相手から呟きが聞こえてくる、そこに相手が確かに無事で存在することを声で確認すれば一気に体の力が抜けていく。返事を何とか返すものの、そのまま電池が切れたように体が傾くと相手の方へもたれかかったまま瞼を閉じて)
…翔太郎、…お疲れ様、現場検証が終わるまで少し休むといい
(刃.野.刑事とやり取りをする間も相手は何処か覚束無い視線で反応が無い。お茶を受け取っても開ける気力も無いのかそのまま手に持っている。こちらが一息ついて呟けば相手から力無い返事がされる。だけどそれは冷凍車内で聞いた消え失せそうな物ではなく安堵して力が抜けたような柔らかい物で同時に体重を預けるようにもたれかかって来ると口元は緩んで相手の名前を呼んだ。ちらりと相手の方を見れば瞼が閉じられていて今にも眠ってしまいそうだ。あの極限状態で常に自分の身を気遣ってくれていたのだからこちら以上に体力や精神力が削られているのだろう。頭を撫でたい気分もあったが流石に人前では躊躇われて毛布の下に相手の手を引き込むとそこで軽くこちらの手と繋いで労いの言葉を掛ける。普段よりも冷たいが生きている人間の体温だ。近くの警察が送るのを提案する為か視線がこちらに向けられるが繋いでいない方の手と視線でそれを制してこのままで要ることを選ぶ。どちらにしろ刃.野.刑事達が撤収するまでまだ時間がかかるはずだ。今は帰ってしっかりと休む確実性よりも相手が無事に隣にいることを噛み締めたくて優しく声をかけるとこちらからもそっと寄り添って相手の体温を感じて)
…、………あぁ…
(死に瀕した人体をも凍る極限状態から抜け出して気張っていた分の反動が一気にやってくるともうここから一歩も動けそうになかった。同時に相手が無事だった事に何よりも安堵して自分の役目は終わったとばかりに体は休息を求め始める。自分で支えられなくなった体は無意識のうちに相手の方へと近づくために倒れかかって瞳を閉じればもうそれを開ける気力もなかった。手が暖かなもので包まれる、ペットボトルのお茶とは違い穏やかな温かさをもったそれはいつも感じる相手の体温だ。あんなに悴んで痛々しかった手も元に戻ったのだと思えばますます相手を守りきれて良かったと思えて口角が僅かに上がった。毛布の下で相手に寄り添い手を繋いで体温を共有すれば眠気に抗うことなど不可能で、間近に聞こえる相手の声で休むよう言われると何とか口を動かして短く返事をする。最後の力を振り絞って繋がった手に僅かに力を込めるとそのまま意識を手放して)
(/お世話になっております!そろそろ区切りかなと思いましたのでお声掛けさせていただきました。死がジリジリと近づいてくる状況の中冷静に状況を分析して打開策を導き出していく検索くんがとてもかっこよかったです…こういう時に無理をしてカッコつける探偵も存分にできましたしそういう面でも楽しいお話でした!今回もありがとうございます。
次の展開はいかがいたしましょうか?最近は気を張るお話も多かったので二人でゆっくりできる時間を取れればと思っておりまして、今回の続きで朝のゆっくりした時間を過ごすお話や所長に休日をもらってツーリングに出かけるお話など思いついたのですが、検索様はいかがでしょうか?)
(お互いに身を寄せて取り戻せた温もりに浸り、短い返事と共に繋いだ手が僅かに力を込めて握られると酷く安心してゆっくりと瞼が落ちる。気付けば相手と同様に意識を手放していて現場検証を終えた刃.野.刑事達に起こされるまでそのままで居た。送ってくれるという厚意に甘えて起こした相手と共に車に乗り込む。リ.ボ.ル.ギ.ャ.リーにバイクの回収を任せ、やり取りをしながら帰路に着いたが車が停まったのは事務所前ではなく家の近くの道だった。どうやら自分達が眠っている間、所長に事の顛末を連絡してくれたらしくそこで直帰という所長命令が出たそうだ。加えて明日は臨時休業にすることにしたらしく所長らしい気遣いに思わず笑みがこぼれた。二人にお礼を言ってから降りると自宅への帰宅を果たす。一休みしたとはい身体は回復しきってなくてごくごく簡単な食事と入浴だけ済ませるとなだれ込むようにベットに入って横になった。すぐさまやってくる眠気に身を委ねつついつも以上に相手にくっつくと「…おやすみ、翔太郎」と呟いてから瞼を閉じて)
(/こちらこそお世話になっております! 閉鎖空間の危機的状況で焦って追い詰められながらもお互いの導き出した結論を信じて踏ん張る二人が見られてとても楽しかったです。こういう時に多少無理をしてでも気遣って守ろうとしてくれる探偵君を沢山見ることが出来てドキドキしました。二人ならではの解決策や対処法なんかも盛り込むことが出来て充実した時間でした、今回もありがとうございました!
こちらもゆっくり日常的なお話がしたいなと思っておりましたのでこの流れで朝の時間を過ごすのはいかがでしょうか。家でまったり過ごすのでも少し散歩に行くのでも良いと思っております…!ひとまず強引に事件後の締めをさせてもらったのでまた良いように改変して貰いながらも朝起きた時辺りから始めて貰えたらと思います。/何も無ければこちら蹴りでお願いします。)
____ん、………、
(あの後のことは正直あまり覚えていない。ジンさんに起こされ言われるがままに車へと押し込まれ気がつけば家の前に送られていて礼を伝えたのはなんとか記憶にある。そのまま僅かに回復した体力を再び使い切って食事と入浴だけすると相手と共にベッドへとなだれ込んだ。すぐさま意識を手放して泥のように眠った翌日、体に染み付いた習慣さえ飛び越えていつもより遅い時間にゆっくりと瞼を開ける。一瞬寝過ごしてしまったかと思うも帰り際にジンさんから今日は休みだと所長の伝言を伝えられたことを思い出して再び脱力した。目の前には未だ眠る相手の体がある。そこからは穏やかな体温が発せられていて昨日の記憶が過ぎると相手の方へと擦り寄りその体を包み込んだ。寒さで感覚を無くし触れているかすら分からない状態ではなく、ただただ暖かくて柔らかい体を抱き締める感触にいつも以上に安心を感じると、ゆっくりと息を吐いて相手の頭に頬を擦り寄せていれば意識はうつらうつらと微睡みを漂っていて)
……ん、……しょーたろう?
(深く深く眠って迎えた翌朝。相手が目覚めてから少しして、近くで何かが動く気配を感じるとゆっくり意識が浮かび上がって瞼を開ける。どうやら柔らかく暖かいものに包まれているようでとても居心地が良い。ぼんやりとした意識でその存在に擦り寄っていたが少しだけ頭が回るようになれば昨日の出来事と目の前の見慣れた緑のパジャマに意識が及ぶ。冷凍車に閉じ込めれて何とか命からがらに脱出することが出来て昨夜はそのまま眠りについたはずだ。顔を上げてみるとまだ微睡みの中にいるような様子の相手と目が合う。まだ呂律の回り切っていない口調で相手の名前を呼びながらそっと手を伸ばす。大切な物に触れるように頬に手を添えると氷のような冷たさではなく確かに生きている存在の温かさが伝わってきて無意識に口元が緩んだ。心が動くまま愛でるようにその場所を撫でたりしていたがそれだけでは物足りなくなってもう少し体を寄せると頬に触れるだけの口づけを落として「翔太郎、」とまた名前を呼んで)
……、……フィリップ……なんだよ起きてたのか
(二人だけの場所で暖かで柔らかな相手の体を抱き締める、それだけで今日のこの体には十分過ぎるほどの安堵を感じてただただその心地に身を任せて微睡んでいた。このまま二度寝してしまいそうだったが頬に暖かいものが触れるとさらに気を抜くように息を吐きそのまま撫でられると心地よさそうに身を任せてゆっくりと口角の端があがる。しばらく撫でられていると一度その感触が止まって今度は違う心地のものが頬へと降ってくる、先程よりもより柔らかなそれがなんなのかは直ぐに検討がついて愛しい人の呼ぶ声が聞こえればゆっくりと目を開けた。腕の中には紫色の寝間着をきた相手がいる、その顔は血の気が引いたものではなくいつもの体温を持つ相手のものだ。こちらからも名前を呼んで未だ覚醒しきっていない思考のまま相手の後頭部を抱えるようにしながら優しく撫でる。今はただ相手がこの腕の中にいるだけで安心する、心のままに腕の中にいる相手へと近づけば軽く口付けを送って「おはようフィリップ」と目を合わせて言い)
今起きた所だよ、……ん、おはよう。
(相手の頬を撫でると気持ちよさそうに口角が上がって笑みが浮かぶ。溢れる想いは治まらなくて触れるだけの口づけを落としてから元の位置に戻れば閉じられた目が開いて目が合った。まだ芯のこもってない声で名前を呼ばれ、後頭部を包み込まれながら撫でられると安心できる心地に表情を緩めて大人しく身を預ける。なんてことのない行為だが二人だけの安全な場所でちゃんと傍にいることを実感するのが幸せだった。返事をしながら相手を見つめていれば顔が近づいてきて軽く唇が重なる。昨日は出来なかった特別な行為を受け止めて朝の挨拶をするが頬に触れていた手を背中に回すと起き上がる気を一切見せずにぎゅっと抱きしめた。ちらりと壁を見上げた先にある時計はいつもならとっくに事務所に着いている時刻を指している。普段は何もしなくとも目が覚める相手がまだベッドに居るのが珍しくて「今日は寝坊助さんだね」なんて軽く笑いながら胸元に擦り寄って)
昨日あんだけ長い時間寒いとこにいたんだから今日くらいあったけぇとこでゆっくりしても良いだろ?
(特別に柔らかい場所を重ねれば特別に幸せな心地がおとずれて自然と笑みが浮かぶ。唇が離れ見つめ合えば相手は背中に手を回してこちらへと抱きついてくる、まだここから動く気はないようだ。だがそれはこちらも同じで小さく笑ってから同じく回していた腕に力を込めてここから動こうとはしなかった。そのまま相手の体温に浸っていると笑いながら揶揄うような言葉が飛んでくる、だがそうしたい理由も相手なら分かっているはずだ。あえてこちらに問いかける様に胸を擽られながら胸元に擦り寄る相手の頭を再び抱え込んで腕の中に閉じ込めてしまう。自分の領域の中に取り込んだ相手の後頭部を優しく何度も撫でながら時折髪を梳くような動作を加えて相手の輪郭を確かめていく。互いの足を絡めてしまえばさらにここから動くことは出来なくなって「今日は所長様のお墨付きだしな」とさらに言い訳を持ち出して、ベッドの中という狭く二人だけの空間から動く気配を見せなくて)
ああ、…ここが一番温かくて安心する。
(意識は大分覚醒してきたがここから動く気は更々無くて相手に抱きつけば小さく笑ったのが分かった。抱きしめ合った状態で揶揄う言葉を掛けると相手の腕に包み込まれて相手の存在を更に感じるようになる。後頭部を撫でられて時折髪をとくような仕草も混ざれば心地好くて目を細めて体の力が抜けていく。足も絡ませるようになると全身で相手と触れ合って体温を共有することになってますます離れ難く、腕に力を込めて今この状態で居る幸せを噛み締める。昨日冷凍車から出た時は陽の温かさや毛布の温もりを強く感じたが一番安心してずっと居たいと思うのは相手の腕の中だろう。相手の言う通り今日がお休みならここから動く理由は微塵も無くて小さく笑うと暫くそのままで居た。ゆっくりと相手の胸元から顔を離して再び相手と目を合わせる。昨日風呂に入って殆ど乾かさないままベットに入ったせいかいつも以上に相手の髪が跳ねていることに気付けば思わず手を伸ばして軽く触れてみながら「今日はここがぴょんってなってる」とくすくす笑って)
あぁ、ここならいくらでもいられる……ん?、ハードボイルドな探偵じゃねぇ俺が見れるのもお前だけだな
(相手の頭を何度も撫でてやると体の力が抜けていくのが分かる、自らの腕の中で安堵してリラックスしている事に言葉には出来ない愛おしさを感じれば撫でる頭に軽くキスを落とした。相手の体温を感じ心のままに頭を撫で続ける、何をするでもない朝の時間は昨日忙しなく緊迫した時間を過ごした分何時にも増して贅沢でいて幸福な時間だ。相手の顔が上がる気配を感じて腕を緩めて視線を合わせる、不意に相手の手がこちらへ伸びてくれば不思議そうな顔をするもその理由は直ぐに判明して照れくさそうに笑った。まだ寝ぼけているのか少々幼い言葉選びにも胸は擽られてそのまま大人しく髪を弄られる。髪をセットしていないのもこの家にいる間だけ、すなわち相手にしか見せない何者でもないただの左,翔,太,郎,でいる時だけだ。柔らかい笑みを浮かべながらその事を伝えつつ相手の髪をゆっくりと指先でなぞる。こちらの髪も大変なことになっているだろうが相手もそこそこ長さのある髪でただですんでいないのは目に見えている。髪の間に指をいれてゆっくり下へと下ろしていけば案の定毛先はクルクルと様々な方向へ跳ねていて「お前も今日は手ごわそうだな」と楽しげにいえば、明後日の方向へ飛んでいっている前髪を手に取って指へと軽く巻き付けて)
ふふ、この姿も独り占めだ。 今日は別に誰かに会う訳でもないしこのままで良いだろう?
(思うままに手を伸ばせば相手は不思議そうにするが寝癖が理由だと分かると照れ臭そうな笑みが浮かぶ。普段人一倍こだわりが強い場所だと知っているならこそ風呂上がりから朝の支度の間までのありのままの姿を見ることか許されているのが何だか擽ったい気持ちになる。こうやって寝癖のついた所を素直に晒すのも自分だけなのだと優越感と独占欲を覚えながら笑みを零すとセットされていない柔らかな髪を持ち上げたり指の間に通したりして触っていた。そうして弄っていれば相手から手が伸びてきて髪を触られる。普段から無頓着でくせっ毛もあまり気にしていないが自分も今日は大変な事になっているらしい。何処か楽しげに前髪が弄って遊んでいる姿を見ればまた暖かな気持ちが胸を満たす。普段はこの前髪を留めているクリップも昨夜風呂に入る前に外してテーブルに置きっぱなしで今取りに行く気もない。二人とも探偵らしくない気の抜けた格好だが今日はお互いにしか見せないのだから良いだろうと緩く微笑んで)
(/お世話になっております。すみません本日体調を崩しておりまして本日のお返事難しいかもしれません…回復したら返信させていただきます。しばらくお待ちいただければ幸いです。よろしくお願いします)
(/ご連絡ありがとうございます。何より探偵様の体調が第一ですのでゆっくり休養なさってください。ご返信も明日とは言わず体調が戻って余裕が出てきてからで大丈夫なのでのんびりお待ちしております。)
トピック検索 |