検索 2022-07-09 20:46:55 |
通報 |
あ、……また遊ぼうな
(半透明で薄気味悪かった気配は像を結んで男の子の姿になる、悠馬が満足したからかそれともメモリの影響を受けなくなったからか、どちらにせよただただ無邪気に笑う姿をみれば上手く事が運んだ事に安堵していた。そこから悠馬が人を脅かしていた理由を語る、メモリがどのタイミングで悠馬と結びついたのかは分からないがホテルに捨てられたのか誰かが落としてしまったのか、いずれにせよメモリが街の外へ拡散しなくて何よりだっただろう。ずっと独りぼっちで寂しい思いをしていたようだが今日存分に満足してくれたのならこちらも驚かされた甲斐があったというものだ、相手が優しく頭を撫でるのを横で見て優しい笑みを向けつつ少々羨ましいのと少々嫉妬を覚えていた。それを子供らしく受け取ると悠馬の体はゆっくりと消えていく、幽霊の法則に従うなら満足して成仏してくれるということだろう。彼が確かに幸せを感じたのならその涙をしっかりと拭えたはずだ、消えゆく悠馬に声をかければ『約束だよ!』と声が挙がってそのまま半透明の体は消えてなくなってしまった。再び周囲は暗闇に包まれるがもう不気味な気配はない、そこにはただただ静寂があるだけだ。これで依頼達成なのだろうが「さて、依頼人になんて説明すっかな」と相手の方を見ながら困ったように笑みを浮かべ)
またね。…確かにそうだね。…幽霊は居たけど君のことは呪っていないようだった、が妥当だろうか。
(男の子の姿になった彼がゆっくりと消えていくのを見ると思わず驚いてしまうが霊は未練を残して現世に残っているというのを考えれば最後に思い切り遊んで満足出来たという事なのかもしれない。相手が声をかけるのに合わせてこちらも軽く笑って呼びかけると明るい笑顔と声を最後に彼は消えていった。ここに来た時と同じ暗闇が辺りを満たしているが今は怖くは無い。一段落して相手が依頼のことを切り出せばここまでの経緯を振り返って同じく困ったように笑った。今回あったことをありのまま話す訳には行かないだろうが依頼は依頼だ。悠馬は遊び相手が欲しかっただけで依頼人のことは呪っていないということをそれらしく伝えれば良いだろうと提案する。散々驚かされてちょっと怖かった想いもして濃密な時間だったが街外れの少年の涙を拭うことが出来たのは確かだ。この場所も彼が消えたことで心霊スポットという不名誉な噂も徐々に消えていくだろう。再び相手の手を取れば「帰ろうか、翔太郎」と声をかけて)
だな。変に何も無かったじゃ不安が残るだろうし、満足して成仏したって言うのが一番かもな
(全ての住民がいなくなり静かになった廃ホテルで二人で顔を見合わせ困った笑みを浮かべる。メモリのおかげであらゆる奇妙な体験はしてきているが、今回はそのメモリの存在を超えた体験でなかなか信じてもらえない話だろう。依頼人は幽霊の存在を信じてはいたのでなんとか成仏したという言葉で納得してもらえるだろうか。なんにせよ依頼も達成しひとりの男の子を救えたのなら十分だ。心霊スポットと呼ばれるこの場所に似つかわしくない晴れやかな気持ちでいれば相手と手が繋がり目を合わせて小さく笑う。夜の時間に叫んで逃げ回ったせいで体力はなかなかに消耗している、明日はゆっくりと事務所に行くことになりそうだ。軽く頷くと「あぁ、本物の心霊体験したんだしゆっくり休もうぜ」と手を引くとレストランを抜けてホテルを後にして)
(/お世話になっております!そろそろ区切りかと思いまして声をかけさせていただきました。どうお話が進むのか予想もできない状態でしたが、思いっきり二人で怖がってから探偵として子供の幽霊を救う2段構えのお話になって終始次の展開を楽しみにしながらやり取りさせていただきました。今回もありがとうございます!
次はどのようなお話にしましょうか?前あげていただいた冷凍車に閉じ込められるシリアス系統でも検索くんがバテてしまうお話でも、ゆっくりとした日常でも、どの方向性でも楽しめるかと思うのですが検索様のご希望はいかがでしょうか?)
…以上のことから被害者は凍死するような環境で死亡し、公園に運ばれた可能性が高い。犯行場所と思われる人が入れそうな冷凍庫を持っている施設を風.都.内に絞って調べてみたけど凍死をさせてから公園に運び、発見時のような状態に出来る距離にある施設は見付からなかった。
(心霊スポットに赴き本物の幽霊の少年と鬼ごっこをした翌朝、報告を聞きに来た依頼人に自分達も幽霊に会ったことを伝えれば驚いている様子だがあのホテルに居た少年の霊で無事に成仏したと告げれば安心したようだった。予想通り依頼料はそこそこあったようで御満悦な所長を見ながら少し変わった依頼は幕を閉じた。それから比較的平和な日々が続いていたが次に舞い込んできたのは奇妙な事件だった。朝方の公園で見つかった女性の他殺体、当初は後頭部の殴打痕が死因だとされていたが司法解剖の結果、凍死が直接の死因だったらしい。この春先で凍死という不自然さから刃.野.刑事が捜査協力という形で依頼を持ってきたのだ。それぞれ調査と検索を行い、ひとまずは情報共有としてガレージに集まって分かったことをホワイトボードに書いていく。そして現段階の情報から導き出されることと更にでた疑問点を相手に説明して「個人で業務用の冷凍庫を持っていたり凍結の能力を持つメモリが利用されている可能性もあるから100%とは言えないけど」と補足しながらも相手の意見伺うように視線向け)
(/こちらこそいつもお世話になっております。いつも以上にノリで進めさせて貰いましたが二人で心霊現象に怖がりつつ幽霊の少年と交流することが出来て不思議な体験と時間を過ごすことが出来ました。叫びまくる探偵君も平気なフリをして張り合う二人もとても良かったです、今回もありがとうございました!
前回存分に探偵君に甘やかして貰ったので冷凍車に閉じ込められてしまう話はいかがでしょうか。事件を追いかける中で決定的な証拠に気づいた瞬間に捜査に気づいた犯人に閉じ込められてしまうみたいな流れを何となく想定していますがこちらもいつも通り自由に話を展開して行けたらと思います。/こちら蹴りでお願いします)
つまり凍った状態で死体を公園に運ぶには距離がありすぎるって事だよな?そう考えると死体を凍らせたまま公園の近くまで移動してこなきゃなんねぇんだしメモリの可能性が高い、か……でもそんな目立つこと街中で出来んのか?
(街外れの心霊スポットから帰ってきた翌日、本当に幽霊がいて成仏していったなんて話を信じて貰えるか少々不安だったものの、依頼人が体験した心霊体験とこちらが体験したそれが同じで依頼人も子供の声を聞いていたことから納得してくれたようで無事依頼解決ということで決着がついた。しばらく上機嫌だった所長を横目に穏やかな日々を過ごしていたが風.都.の風はまた奇妙な事件を運んでくる。ジンさんからの相談で始まった事件だがなかなかに奇妙な状況だ。季節外れの凍死に頭を捻りながらホワイトボードの前に立つ。人が凍って死んだとなれば真っ先に業務用冷凍庫が思い浮かぶが相手の検索結果によればその線はないらしい。個人で所有する冷凍庫もあるだろうが大の大人を丸ごと入れられるほど大きなものを持っている家庭は少ないだろう。そちらの方面も当たる必要はありそうだが不可能な状況を可能にするものと言えばメモリだ。相手に意見を伺うよう目線を向けられればホワイトボードを見上げながらこちらの考えを述べる。距離が長すぎるならその距離を縮めるしかないが、それが可能なのはやはりメモリだろうか。だがド,ー.パ.ン.ト,の姿で死体を持って出歩けば目立ちすぎる、目撃者のひとりくらいはいそうなものだ。悩むように眉間に皺を寄せながら頭を捻っていて)
(/すみません少しだけお伝えしておくことがありまして……前にこちらの冷凍車のお話ドラマが元と仰っていたと思うのですが、こちら恐らくそのドラマ観ていませんのでまた齟齬が発生しそうな時は背後からご連絡ください。よろしくお願いします!/こちら蹴りでお願いします)
偶然目撃者が居なかったという可能性もあるけど、そもそも人を冷やすメモリの能力があるのならば運ぶまでもなく公園で犯行を行えば良いはずだ。他に何か方法が…
(ホワイトボードにまとめられた情報をもとに推理を行うがどうにも噛み合わない部分が多い。聞いた女性の状態は氷点下の環境から離れて1時間半程度しか経っていなかったような姿だったがその範囲に冷凍施設を備える施設は無い。大の大人を持ち上げて運ぶなら尚更時間はかかるだろう。そんな不可能もメモリがあれば覆る物だがそうなると今度は相手の言う通り運ぶ際のリスクを負う理由がわからない。殴打痕が着いた時に飛び散ったであろう血痕がないことや手首の縛られた跡、引きずった様な傷があって運ばれてきたのはほぼ間違いない。何か他に違う手段があるのかと考えるが全く検討がつかずこれではキリがないと相手に視線向け「条件的には厳しいけど公園から一番近い冷凍食品の工場にでも行ってみるかい?」と思いついた事を提案して)
そりゃそうだな。そうとなりゃ犯人はどこかで死体を冷凍してここに持ってこなきゃいけなかったってことか。となると冷凍庫の線が濃厚だが冷凍庫をわざわざ運んでくることもできねぇし……だな、こういう時は足で稼ぐに限るぜ
(メモリの可能性を上げてみるが相手の言うようにそれならば全ての犯行が公園で完結するはずだ。それに氷結するようなメモリを持っていたとすればわざわざ殴打する必要もなく、さっさとド.ー.パ.ン.ト.になって凍らせてしまえば良い話だ。なかなか状況が噛み合わず再び頭を捻っていると相手から冷凍食品の工場に行こうと声がかかる。行き詰まった時はとにかく動いた方が早い、動いて状況が変わればそこからまた考えるのが自分のやり方だ。相手に同意し頷くと何か気づきがあるかもしれないからと相手と共に事務所を出る。バイクに乗り込み走らせると冷凍食品工場へとたどり着いた。集めた情報によればこの工場で死体を冷凍したとしても公園との距離がありすぎで条件が一致せずここが犯行現場でないのは明白なのだが、風の街にある一番大きな冷凍食品工場であるここならば何かヒントが得られるかもしれない。工場の入口脇にバイクを止めてどうしようかと見上げていると真横をトラックが通った。工場なのだから珍しくない光景のはずだがトラックが横を走り抜けて巻き起こした風はどこかひんやりとしていて冷たい。咄嗟に走り抜けていったトラックをみれば、何かを思いついたように「あ、」と声をもらして)
やっぱりここに来るまで時間がかかるなら難しい…、翔太郎? アレは冷凍品を運ぶトラックじゃ、…冷凍?
(情報にも推理も行き詰まってくれば何か違う発想を得るためにも現段階では可能性は薄い冷凍食品工場に行くことを提案する。実際の冷凍するような施設を見れば何か得るものがあるかもしれない。早速相手と共に事務所を後にしてバイクに乗り込み目的地へと向かった。計算上では分かっていたがやはり高速道路に近い場所に立てられた工場は公園や事務所からは遠く、深夜でどれだけ速度を上げて走行しても時間内に辿り着くのは不可能だ。実体験として手元の時計を見ながら呟いていると相手が不意に声を零して自然と顔を上げる。相手の視線の先にはここで作った冷凍食品を出荷するのであろうトラックが走っていて特に珍しくもない光景だ。そのことを指摘しようとするがあのトラックが普通の運送用の物でなく冷凍時の温度を保つ冷凍車であることに気付けばはっとした表情を浮かべ「そうか、冷凍施設が無理なら動く冷凍庫を使えば良いのか」と口にする。トラックならばある程度街を走っていても不思議ではない。今まで頭に無かった答えにスッキリしつつ「あの日の深夜に街で使われていたトラックが絞り込めれば犯人も分かるかもしれない」と見えてきた解決への糸口に興奮したように伝えて)
あぁ、きっとあれが俺達の探してた答えだぜフィリップ。条件のあう場所まで死体を凍らせたまま運べる動ける冷凍庫だ
(この工場事態は犯行現場になり得ないが今しがた通り過ぎていったトラックなら有り得る。その事に気がついて声をあげれば相手も同じ答えにたどり着いたようでニヤリと笑みを浮かべ相手の方を見た。冷凍した場所と公園までの距離の問題も冷凍車を使えば解決することが出来る。狡猾な犯人なら死体の解凍時間をコントロールすることも考えたかもしれない。条件に一致するものがようやく見つかり気分も高まってくる、あとは犯行に使われたトラックを見つけ出すだけだ。相手の正面に立てば「フィリップ、検索を頼む」と声をかける。あまり街中で検索をやらせたくはないのだがここはほとんど人通りもなく変な目を向けられることもない。軽く息を吐いて相手の情報もまとめると「検索対象は冷凍車、犯行の夜に使われていて街中を走るような小型車に絞ってくれ。あとはドライブレコーダーに解凍時間に見合う範囲内を通った履歴のあるやつだ」と検索対象を絞っていき)
ああ、検索を始めよう。 …ヒットだ、翔太郎。 運送会社の小型冷凍車の深夜便に公園近くで10分程度停車した履歴があった。 この冷凍車は…犯行の翌日からここから5キロ先の倉庫に放置されているようだね
(てっきり凍らせた体を持ち出したとばかり考えていたがまさか冷凍状態を維持したまま運んでいたとは盲点だった。犯行手段が分かればあとは使われたトラックと使った運転手を絞り込むだけだ。ニヤリと笑った相手に検索を頼まれるとこちらも得意げに笑い、目を閉じてから手を広げると地.球.の.本.棚にアクセスを果たす。目の前に無数の本棚が現れた状態で相手から伝えられたキーボードを入力していく。限定的な条件を入れていけばあっという間に本は減っていき一冊にたどり着く。本を手に取り中身を捲りながら検索結果を伝える。引っかかった運送会社の冷凍車は本来運搬の予定が無いにも関わらず公園の横を通り近くの道端で10分程度ドライブレコーダーが動かない時間があった。状況からみてこのトラックが犯行に関わった可能性が高い。更にその冷凍車について更に情報を集めると犯行の翌日から今はあまり使われていない倉庫の方に停車していることが分かった。一番の手がかりを得て検索から戻ってくると「その冷凍車から何かしら彼女の痕跡が見つかれば犯行に使われた裏付けになるはずだ」と告げ)
どうやら当たりみてぇだな。放置されてんなら好都合だ、早速その冷凍車見に行ってみようぜ
(全ての冷凍車の履歴を調べることは実質的に不可能だがここまで条件が絞られていればたどり着くのは容易い。相手は検索によってあっという間に一台の冷凍車を見つけ出しさらには犯行当日の情報を引き出していく。条件に合致し怪しい動きをしていた車がそのまま打ち捨てられているとなれば好都合だ。きっとそのまま迷宮入りを狙ったのだろうがそうはいかない、相手の言う通り殺された彼女の痕跡が見つかれば文句なしだろう。そこから犯人にたどり着く証拠だって得られるかもしれない。目的が決まれば再び二人でバイクに跨り冷凍車が放置されているという倉庫を目指して走る。先程の工場も人里からは離れていたが倉庫はさらに人が立ち入らない場所にあって相手の検索が無ければそうそうに見つけられるものではないだろう。倉庫の前にたどり着けばバイクを止めてヘルメットを取る、適当な場所に駐車して倉庫の中を覗きこめば冷凍車らしき車があり「あれみたいだな」と周囲を警戒しながら相手の方を見て)
…本当だ。検索結果とナンバーも一致している。あとは証拠があれば…
(相手の的確なキーワードで一台の冷凍車を絞り込む。犯行場所さえ隠してしまえば捜査の手が及ばないと考えたのかもしれないがどうやらこちらが一枚上手だったようだ。決定的な証拠を得るためにも倉庫に向かう案に同意して早速バイクに跨り移動を開始した。辿り着いた倉庫は更に人気のないところにあってやましいものを隠すにはうってつけの場所だ。万が一誰か来てもトラックがあっても不自然ではない。近くにバイクを停めて降りると相手がトラックを見つけたようで近付いてみる。ナンバープレートを確認すれば検索結果と同じ物で公園に停車した冷凍車は間違いなくこの車だろう。順調に事が進み王手をかける証拠の可能性が目の前にあれば好奇心のまま後ろ側のハンドルを捻ってリヤドアを開けてみる。中は少し暗くてここからではあまり見えなければ荷台に乗り込んで奥へと入る。よくよく辺りを探せば荷台の床に擦り切れた結束バンド、そして壁に血痕のような赤黒い染みを見つけると相手の方に向いてこちらに来るように招きながら「翔太郎、拘束に使われてたと思うものと血痕だ」と伝える。通常の運送では起こりえない決定的な証拠に浮かれていれば冷凍車に密かに近付いてくる足音に気付かないでいて)
…こいつは間違いねぇな。この車をジンさんに見せりゃ……っ!!
(倉庫に放置されていた冷凍車は相手の検索結果とも一致しているようだ、人の気配がない倉庫を進み冷凍車へと近づいていけば外観には問題はないようで、わざわざここに止まっている冷凍車を調べようとする人間はいないだろう。相手がリヤドアを開ける、こちらはしばらく入口辺りやタイヤの周辺を調べていたがそのうち相手に呼ばれて荷台の中へと入った。相手に言われた所をみれば血痕と結束バンドが見えて眉を顰める、ここで彼女が殺されたのは間違いないだろう。凄惨な扱いをされた跡に怒りを覚えていたがここまで痕跡が揃えば証拠としては十分だろう。きっと犯人にもたどり着けるはずだ。犯人を追い詰めた感覚にハードボイルドな探偵らしくクールな笑みを浮かべていたが突然背後から大きな音が鳴り響き同時に薄暗かった荷台の中はさらに薄暗くなった。咄嗟に振り返れば開いていたはずの扉が閉まっている。慌ててドアを開けようとするがビクともしない、冷凍車の近くに潜んでいたのかそれとももっと前からか、どうやら犯人はこちらの様子を観察していたらしい。何度もドアを開けようとするがビクともせず「野郎…!」と奥歯を噛み締めながらドライバーを取り出す。しかしここで変身して派手に暴れてはせっかくここに揃っている証拠品も消え去ってしまう可能性がある。悔しげにドライバーを握りしめれば「悪足掻きしやがって」と悪態をつき)
っ! まさか犯人に閉じ込められた? …何の音、
(犯行現場の決定的な証拠を相手に共有する。これらか揃っていれば犯人の元まで手が届くはずだ。早速この情報を刃.野.刑事達に共有すべきだと口にしようとした所でリヤドアの方から大きな音がして荷台の中が更に暗くなった。何事かと目を向ければ扉が閉まっていて目を見開く。傍に寄るが外からロックが掛かる音が響き相手が何度もドアを開けようとするが開きそうにない。こんな事をするのはこの荷台を見られたくない犯人だけだ。誰も居ないと思い込んでいたが何処かに潜んでいたのか嗅ぎ回る自分達を追っていたのかもしれない。本来荷物だけが乗る荷台には中から開けることを想定していない為、その手段がない。相手が力づくで脱出しようとドライバーを手にするがせっかく手に入れた証拠を消してしまうことを考えてか悪態をついている。焦る中更に何かの駆動音が聞こえてくれば扉を叩くのを止めてその音の元を探す。音の発生源にはエアコンによく似た吹き出し口があって少しもしない内にそこから凍えるような冷気が出てくる。ここがマイナス15度程で運ぶ冷凍車である事を思い出して背筋が急激に冷たくなると「出してくれ」と何度もドアを叩いて外にいるであろう犯人に訴えるが反応は無く寧ろエンジンが掛かったような音が聞こえてきて)
おい、嘘だろ……閉じ込めた上に氷漬けにする気かよ。……落ち着けフィリップ最終手段で変身する手が残って、……移動する気か?
(ドアを何度叩いたり蹴ったりしてもそれが動く気配はない、荷物を運びさらに温度を保つため冷凍車の密閉具合は最高に良いはずでちょっとやそっとで中から開けられるものではない。犯人を追い詰めたつもりだったがこれでは逆に追い詰められてしまっている。さらに車内に設置されたエアコンが動き始めて冷たい空気が肌を撫でて背筋が凍った。今自分達が乗っているのは冷凍車なのだ、それこそ死体を凍らせられるほどの。長いことここにいればどうなるかは火を見るより明らかだ。冷静さを失い何度も扉を叩く相手の肩を掴んでこちらを向かせる。ここから出る手段がないわけではないがここまで足をつかせなかせなかった犯人のことを思えばこの冷凍車に残る証拠品がなくなってしまえばきっと犯人を追い詰めることはできなくなってしまうだろう。つまり変身すれば犯人を捕まえられなくなってしまう。苦々しい顔をしていると車のエンジンがかかる音が聞こえて眉を顰める、さらに荷台の中が揺れて車が移動を始める気配があった。冷えていく周りの空気に少しでも相手の体を冷やさないようにとこちらへ抱き寄せると「どうなってやがんだ…」と困惑するように呟いて)
…翔太郎。…多分この証拠とそれを知った僕達ごと何処かに乗り捨てるつもりなんだろう。…とりあえず君は電波が通じている内に刃.野.刑事に連絡してくれ。向かう先が分からない以上通信手段が絶たれる可能性もある。僕は打開策を考えて見る
(頭に浮かぶ最悪な事態に冷静さを欠いていたが相手に肩を掴まれ目が合うと幾らか正気に戻る。これから起こることを考えれば下手に体力を消耗するのは避けるべきだ。扉を叩くのを止めると車のエンジンが掛かってゆっくり走り出すような音や振動がある。確実に周囲の空気が冷えていく中相手に抱き寄せられるとその温もりに小さく息を吐いてから犯人の狙いを推測する。ここに来ることは誰にも伝えてなくてこのまま自分達の命を奪いそのトラックごと何処かに捨ててしまえば事件の真実を丸ごと闇に放り込むことが出来る。卑劣な思考に眉を寄せるがならば一層最悪の事態を考えなくてはならない。末端から冷えていくのを感じながらまずは相手に外部との連絡を取ることをお願いする。このまま山奥にでも向かって電波が入らなくなれば捜索して貰う事は不可能に近くなる。動き出したのと外が見えないせいで現在地は分からなくなってしまったが異常事態であることを伝えて助けを呼ぶべきだろう。自分は何を策を講じると伝えるが何かきっかけがあれば程度の面持ちで出かけたせいでメ.モ.リ.ガ.ジ,
ェ.ッ.トも殆ど置いてきてしまっていて冷気の出る吹き出し口と備え付けられた温度計を見ながら焦りを募らせていて)
俺達ごと真相は闇の中ってことか……分かった、ジンさん見つけてくれるといいんだが…
(相手を抱き締め体温を共有すればある程度落ち着いたのか相手から吐息が漏れる。だが相手の体温が明確に暖かいと思える程には既に周囲の空気は冷えきっている、この状態で生命が長く持たないのは明らかだった。相手から外部の連絡を頼まれると一時的に体を離してス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.でジンさんと連絡を取る。まだ通信の届かない場所には到達していないのか直ぐにジンさんと連絡が繋がってこれまでの経緯と冷凍車に閉じ込められ何処かへ連れていかれている事を伝えた。ジンさんは随分焦った様子だったがひとまず冷凍車を見つけた場所と外観の特徴を伝え助けを求めると力強い返事が返ってきて小さく笑みを浮かべる。あとはここから脱出するかジンさんがこの車を見つけるまで待つかになるだろう。連絡を終わらせ相手の方をみると必死に打開策を考えているようだが傍から見てもその顔は明らかに焦っている、相手に近づきながらジャケットを脱ぐとそのまま羽織らせてやった。そして上から包み込むように再び抱き締めると「お前の頭脳が凍っちまったら俺達の負けだからな」と相手を寒さから守るぅように背中を撫でて)
…、え。…ありがとう。…倉庫を出てから12分、大体15キロか20キロぐらい離れていっているはずだ。これまで止まった様子が見られないことから信号が無くて多少傾斜が認められる道…どの辺か分かるかい?
(相手が連絡を取る間打開策を考えてみるが周囲の情報が一切ないのがかなり痛い。相手の言う通り最悪変身すればトラックの壁を破ることは出来るだろうが証拠が無くなってしまうことに加えて生身の自分の身体を抱えて走行中のトラックから脱出するのはリスクが高いだろう。最悪の事態に焦っていると肩に何かが乗せられた感じがして目を向ければ相手のジャケットが掛けられている。これでは相手の体が冷えてしまうだとか自分は大丈夫だと伝えようとするがその前に相手に抱きしめられると言葉は出なくなってしまう。相手の性格上どれだけ抵抗しても返させてはくれない事が分かっていれば素直に受け取ることにしてこちらからも腕を回して体温を共有しながら礼を伝えた。周囲の気温は随分と下がり吐く息も白くなり始めた。時計で閉じ込められた時からの時間を確認して大体の距離を予測し、荷台へと伝わってくる僅かな情報から走っている道の特徴を拾いあげ相手に尋ねる。抽象的な条件なら検索より相手の土地勘の方が確実だ。「道が分かればその先にリ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ーを待ち伏せさせて足止めが出来るかもしれない…」と悴む手でス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を取り出しながら目的を伝えて)
あそこから信号がなくて傾斜のある道か……なら近くにある山を登っていく道だな。フィリップ、今から言うとこにリ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ー向かわせてくれ
(相手を寒さから守るために抱き締めれば礼が告げられて小さく笑みを返す。二人ともが無事にここから脱出しきっちり証拠を警察に渡すには相手の頭脳が必要不可欠だ、絶対に凍りつかせてはならない。なるべく二人の体から熱が逃げていかないように体を寄せあっていると相手が時計で時間を確認する、走行の様子が分析されればこちらにその情報が伝えられる。庭の地図なら頭の中に完璧に入っている、該当する道はひとつしかない。具体的な場所は分からないが途中で獣道へ入ってしまわない限り今走る道は一本道だ。相手がス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を取り出しリ.ボ.ル.ギ. ャ.リ.ー.を呼び出す準備をする、しかしその指先は既に赤く悴んでいて見た目にも痛々しい。自分も同じようなものは脇に置いてリ.ボ.ル.ギ.ャ.リ.ーを走らせる走路を指定した。一本道ならば逆走させればすぐに出会えるはず、その時間からおおよそ自分達の位置も割り出せるはずだ。呼び出しの位置を伝えながらス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を持っていない相手の手をおもむろに取ると悴んだ指先を自らの首筋へと押し当て上から手のひらで包む、太い血管が通るそこは肌が露出している中では一番暖かいはずでこちらの体温をより伝えられるはずだ。だが同時に指先の冷たさを受け取ることになって僅かに眉を顰める、軽く吐き出した息は真っ白だがそれにも構わず自らの体温を相手へと分け与えていて)
分かった、この場所さえ分かれば助けも直ぐ来るはずだ。…冷たいだろう、僕は君の貸してくれたジャケットが有るから大丈夫だ。寧ろ長引くことを考えれば限界が来る前に変身して君の体だけでも体温と体力を維持した方が良い。
(相手と身を寄せ合って可能な限り熱を逃がさないようにしながら今走っている道の推測条件を伝えると相手から該当する場所の返答がされる。地元の人しか使わないような一本道であれば待ち伏せするにも好都合だ。自分に言い聞かせるように告げ、ス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.を操作する手も悴んで覚束無いが間違いが無いよう慎重に指定した道を逆側から来るように指示を送る。そちらに集中していれば同じぐらい冷たい相手の手が触れたことに気付かず、温かな肌に触れて驚いた様に目を向ける。太い血管の通る首はとても温かくて何も無ければもう片方も触れたくなるが今の状況では相手の熱を奪っているように思えてならない。冷たさに僅かに眉を顰めたのが見えれば尚更で手を相手の首から離そうとしながら視線を送る。きっと自分を気遣っての行動だろうがそれで相手が凍えてしまっては意味が無い。相手に大丈夫だと伝え軽く笑って見せながら安心させるように優しく背中を撫でる。最短で指定スポットに来るように指示はしたがそれでも時間がかかりそうだった。その時間を考えれば二人で生身でいるよりも相手が装甲を纏った方が良いのでは無いかと同じぐらい冷たい相手の手を握りながら助言して)
トピック検索 |