検索 2022-07-09 20:46:55 |
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なら安心だ……ん、…フィリップ
(囲炉裏の傍で寝転がり頭を相手の膝の上に乗せて待てばようやく望んだものが与えられる。いつもより暖かな空間で頭を撫でられればより一層心地好くて至福の息と共に相手に全てを委ねるように目を閉じた。相手の手のひらが頭を撫でて時折髪の間を指が通る、大切なものを愛でる相手の動作全てが自分に注がれていることにこの上ない幸福を感じて口元は緩みっぱなしだ。頭を撫でられながら名前を呼ばれるとゆっくり目を開ける、視界の中には相手しか写っておらず名前を呼ぶ相手の声が鼓膜に届くだけでどうしようもなく幸せで、締まりのない笑みを相手へと向ける。相手の体温に包まれてはいるがもっとその存在を感じたくて撫でていない方の手を取るとこちらの胸板に置く。その上に自分の手を重ね、もうひとつの腕で抱え混むようにして相手の手を包めばより相手の体温を感じる事ができて、こちらもただただ相手の名前を呼んだ。大人しく撫でられながらこの穏やかで幸福な空間を満喫していれば「俺、これも好きだ…」と先程の相手と同じ言葉をこぼすように口にして)
…随分と甘えただね? 僕も君を撫でるの好きだよ。
(膝の上に乗った相手はここが自分の居場所だとばかりに力を抜いていて全てを託すように掛かる体重が今は好ましい。優しく頭を撫でながら溢れる想いか相手の名前となって口から溢れると閉じられた目がゆっくりと開く。開いた瞳と視線が交わるとハードボイルドの欠片もない緩い笑みが浮かんで更に愛おしさが募る。耐えず撫で続けているともう片方の手は胸板の上へと導かれ包み込むように抱き着かれてしまうとくすくすと笑い声を零す。より相手の体温を感じるようになっただけではなく、心臓の音や呼吸による胸の上下まで感じ取ることが出来れば相手が側にいる実感に心は安らいで無意識に目を細めた。こうやって相手を際限なく甘やかすことが出来るのも自分だけの特権で素の相手が見れる特別な時間だ。相手から零れた言葉に口元を緩めて、柔らかな口調で同じ思いだと告げる。そのまま相手の頭を撫でながら穏やかな時間を過ごし、何となく囲炉裏の方を見れば燃えている炭も大分小さくなってきた。そろそろ時間だろうかと思いながらも撫でていた手を耳元まで下ろすとほんの出来心で耳の縁を指先でなぞってみて)
そりゃお前にオネダリしていいって言われたからな。……ん、…くすぐってぇ
(大切なものを愛でるように撫でられるのを感じながらこちらからも何より大切なものを抱きかかえると相手からは笑い声がもれる、今やその声さえ胸を幸せで満たしていた。相手と共にいる事で知ったこちらを甘やかす事で相手が幸せを感じているという事実、今はそれが相手の表情からも読み取れる。こうやって愛でられながら共に幸せを感じているのが嬉しくて仕方がなかった。不意に相手の視線が囲炉裏の方へと向いて撫でていた手が下る、そろそろこの時間も終わりが近いらしい。だがその前に滑った手はこちらの耳の縁をなぞって、不意打ちだったのと緩みきった状態では素直にその感触を受け取ってしまう。擽ったさに身を捩って相手に擦り寄りながら子供のような笑みを浮かべて素直な感想を口にしていた。ひとつ受け取ったならひとつ返したい、それは不意打ちについても同じで胸板で重ねていた手を取るとそのまま上へと持ってくる。相手を見つめたまま口元まで引き寄せると、特に意味もなくただ心のままに親指の側面を軽く甘噛みした。緩く歯を立てたその続きで軽く唇でそこを撫でながら口を離すとしてやったりの顔を浮かべていて)
良い反応が見れた。…っ、どうやら悪戯好きでもあるようだ。
(ひたすらに相手を甘やかすのも幸せな時間ではあるが魔が差してしまえば無防備な耳の縁を撫でてみる。すると分かりやすく身を捩って反応を示す物だから満足げな表情を浮かべる。辺りが静かな分耳への刺激は敏感そうだ。そうしてじゃれあっていると胸板に重ねていた手が取られて相手の口元に運ばれる。そのまま側面を甘噛みされると思ってもみない行動に目を開く。そのまま指先に相手の柔らかな唇が触れて撫でるように離れていくと一連の見せつけるような行動に視線が揺れる。してやったりの顔が目に入り一瞬熱が揺らぐのを感じればそれを誤魔化すように呟きながらくしゃくしゃと雑に髪を撫でて相手の視界を遮る。一息ついて落ち着けば乱した相手の髪を手櫛で整えながらも「それで夜は何か予定はあるのかい?」と今からのことに話題を移して)
…っ……な、………まだとっておきのがひとつ残ってる
(戯れの延長で手元にあった大切な人の手に自分の存在を知らしめてみる、してもらった分を返したつもりだったが相手の瞳が揺れてそこに一瞬熱が宿ったのをみれば息が詰まった。戯れから外れてしまいそうになったが、直後頭を乱暴に撫でられると驚きの声をあげる。穏やかに頭を撫でるのとはまた違う感触に元のような緩い笑みを浮かべれば一瞬疼いたものは静かに息を潜めていく、直後手櫛で髪を整えられるのにまた心地良さを感じながら相手を見上げていると次の予定へと話題が移った。この宿にはもうひとつ大きなイベントが残っている。相手の膝の上で寛ぐ時間が終わってしまうのは名残惜しいが囲炉裏の炭も燃え尽きたのか暖かさはなくなってしまった、次の行動に移るにはちょうどいい機会だろう。ゆっくりと体を起こして相手の方に向き直ると「雪の中の露天風呂入ろうぜ」と最後のとっておきを告げて)
雪の中の露天風呂…! 前に来た時に話していた奴だね
(強引に空気を元に元に戻してからこの先の予定を問う。暖かな時間だったがいよいよ囲炉裏の火は消えてしまってこのままここに居ては段々と空気も冷えていってしまうだろう。その前に動き出そうとすれば相手からまたとっておきの存在を告げられる。期待を煽るような言い方にきらり目を輝かせていると相手は上体を起こしてその内容を明かす。それはこの温泉街に来たもうひとつの理由でもある冬の温泉で一気に興奮したように同じ言葉を繰り返す。外を見れば未だ雪が降っており夜になったこともあってかなり寒い事は容易に想像がつくが以前相手が冬の温泉の良さを語っていたのをよく覚えている。以前旅館で入った露天風呂も気持ちよかったがそれ以上となればいよいよそれを味わえることに楽しみが隠しきれずに声も弾む。相手の手を取って真っ先に立ち上がると「案内してくれ、翔太郎」と急かすように声をかけて)
あぁ、今日の締めにはぴったりだろ?よし、任せとけ
(こちらが少々もったいつけた言い方をすれば直ぐ様相手の瞳は期待に輝いてその変わりようにまた小さく笑みを浮かべる。そして最後のとっておきを告ればさらに相手の瞳は期待と興奮とで煌めいた。前回は満天の星空の下で入る露天風呂を経験したが今日の露天風呂はまた一味違うもの、冬にしか味わえない特別な風呂だ。相手は待ちきれない様子でこちらの手をとって立ち上がる、続いて立ち上がると手を繋いだまま風呂の方へと移動した。廊下を抜けるとそれらしく暖簾がかかった扉があり、そこをくぐれば脱衣所へとたどり着く。木製の用具が多いこのスペースは独特の匂いに包まれていてすでに日常とは離れた空間だ。奥には扉があり扉の先は体を洗うためのシャワースペースになっている、そのスペースをさらに抜けた向こうに露天風呂があるという構成だ。まずは風呂に入る準備をすべきだろうと「早速入ろうぜ」と声をかければ服を脱ぎ始めて)
想像以上に立派なつくりだ。ああ、…温泉を十分楽しむ為にもまずは身体を洗おうか。
(相手の手を引くように立ち上がると相手もそれに続いて風呂へと案内してくれる。廊下を抜けて暖簾をくぐると木造の脱衣所が現れる。この家の大きさからそれなりの物を期待していたが旅館にあった露天風呂にも劣らない広さと作りにテンションが上がって落ち着きなく辺りを見渡す。周りの用具も木製で統一しているおかげが木の良い匂いがしてリラックスするにはピッタリの場所だ。脱衣所の観察を終えたタイミングで相手から声が掛かれば早速服を脱いでいく。まだ脱衣所の段階でも若干肌寒いが露天風呂を最大限楽しむためだと思えば期待で大して気にならない。早速露天風呂を拝見したいところだが前回相手に教えてもらった温泉での作法に従いまずは髪や身体を洗う為に相手の手を引いて一緒にシャワースペースに入る。シャワーのお湯を頭上から浴びて全身を濡らすと傍らにシャンプーやボディーソープのボトルを見つけ「これを使えばいいんだね」と手に取ろうとして)
……なぁ、前はお互いに背中流しただろ?今回は頭洗わないか?
(脱衣所までやってくると相手のテンションは増すばかりで、普段ならばウロウロするなと窘めるところだが今は二人きりなのだからと多めに見ることにした。木の匂いに囲まれながら服を脱いでいけば準備は完了だ、相手に手を引かれるままにシャワースペースに移動する。こんな小さな合間の時間でさえ手を繋いで行動できるのは貸切宿の強みだろう。雪の中にぽつんと建つこの宿に改めて有難みを感じつつシャワーの前にやってきた。相手の隣でこちらもシャワーからのお湯を浴びる、シャワースペースは露天風呂のある屋外に通じている為かすでにひんやりとしているが今はそれも期待へと変わってしまう。早速体を洗おうとするが、その時に前回の記憶と先程の心地良さが一緒くたになって頭の中を巡った。今日は思った事を行動に移すのは早く、お互いに頭を洗おうと提案する。相手に触れられるのはもちろんだがこれならば先程の続きでこちらの頭に相手の手が触れることになる。ちょっとした下心を抱きつつも二人分の椅子を持ってくると相手の方へひとつ置き「な、いいだろ?」と気持ちが前に出すぎて急かすように言えば相手が椅子に座るのを待って)
頭を?…いいよ、じゃあ頼んだ。
(流石温泉街の宿泊施設とだけあって手が込んでいる造りで露天風呂への期待は増すばかりだ。その時間を十分に味わうためにもさっさと頭と体を洗ってしまおうとお湯を浴びてボトルに手を伸ばしかける。そのタイミングで相手からお互いの頭を洗う提案がされるとキョトンとした表情を向ける。確かに前回は風呂の文化にを体験するためにお互いの背中を流したが相手から提案するとは珍しい。そうしている間にも相手は端に置いてあった椅子を持ってきては自分の前に置いて準備を整えていく。普段とは逆の立場で急かそうとしてくる態度が可愛らしく感じてつい口元が緩んで了承を返す。意図は読めないもののお互いの世話をするというのも二人だけの空間だからこそ出来ることで幸せな時間になるだろう。促されるまま用意してもらった椅子に座ると軽く振り向いて任せるように告げ前に向き直って)
よし、任せとけ
(囲炉裏の前で頭を撫でられた余韻から出た思いつきだったが、相手から無事に了承を得られて無意識に目を輝かせる。相手から触れられる機会が増えるそれだけで心が踊るというものだ。こちらが用意した椅子に相手が座って背中を向けると気合いの乗った返事を返した。シャンプーを手のひらに出して髪を梳くようにして全体に広げる。そこから爪が当たらないよう気をつけながら指の腹で揉み込むようにして頭を洗い始めた。相手を組織から連れ出したばかりの頃は風呂に入れるのも一苦労でなかなか風呂に入ろうとしない相手を無理やり引っ張って検索に没頭している隙に頭を洗うこともあった。あの時とは随分と状況が変わってこうやって風呂を楽しむ所まで来たのだから感慨深い。頭頂部付近を大方洗い終わると手をこめかみの方へと移動させマッサージするように生え際を洗っていく。この体勢では当然相手の背中や首筋が視界に入るわけだが、不意にある場所が目に入って悪戯心が疼いた。髪を洗う手を動かしたまま不意に首後ろへ親指を伸ばすと項から生え際に向かってスっと指を滑らせて)
……こうやって君に洗って貰うのも何だか懐かしいね。…っ!?、翔太郎!
(椅子に座ると相手から良い返事が聞こえてきてその気合いの入れように笑みが零れる。若干気恥ずかしさはあるものの相手がシャンプーを全体に広げて揉むように指を動かされるとマッサージされているような気分になって肩の力を抜く。来たばかりの頃、風呂すら知らない自分や検索に没頭して数日間入ろうとしなかった自分を無理やりガレージから連れ出し風呂場に押し込められたのが遠い過去のようだ。その時は興味もなく検索中になにかされている程度の認識だったが今は相手の手の動きに集中して爪を引っ掛けないよう丁寧に洗われているのが分かって心が暖かくなる。その心地良さにいつの間にか目を閉じていて過去のことを思い出しながら大人しく洗われていた。頭頂部は終わったのか相手の手は横へと降りてきて生え際辺りを洗われていく。すっかりリラックスして気を抜いていた所に項の辺りを指がなぞるとその刺激にぴくっと肩が跳ねる。相手に背を向ければ自分の弱点を見せることになるのを忘れていた。咄嗟に手でなぞられた所を庇いながら振り向くと文句を付けるように相手の名を叫んで)
くく、…なんだよ、髪洗ってただけだろ?
(マッサージするように髪を洗っていれば体の力が抜けていくのがわかって、リラックスする姿に心を許されている気がして穏やかな幸せが胸に募る。そんな中で生まれた悪戯心を惜しむことなく発揮すれば相手の肩が面白いように跳ねて思わず笑ってしまった。相手がこちらを振り向くと当然文句が飛んでくる、それにすました顔で答えながら人差し指で頬を軽くつついてやればそこに泡がついてそれも可愛らしいと呑気に思っていた。項の上だって生え際だ、髪がある以上はきちんと洗わければならないという建前がある。それに先程不意打ちをされたのだからそれのお返しだ。すでにその場でやり返していることは棚にあげておいて悪びれる様子もなく「流すから前向けよ、フィリップ」と丸め込むようなことを言いつつ再び背中を向けるよう促す。立ち上がってシャワーを手に取るとお湯を出して顔と耳にお湯がかからないようにしながら泡を洗い流していき)
生え際ならともかくそこは触る必要ないだろう…。
(項への悪戯に反応してしまえば後ろから笑い声が聞こえてくる。当然文句を伝えるが素知らぬ顔で楽しそうに頬をつつかれてしまえば一方のこちらは不満げに眉を寄せ相手を軽く睨む。項近くの生え際までならともかく指を滑らせたのは故意以外の何物でもない。相手の言い分に反論していたがシャンプーを流すと言われると従うしかなく渋々警戒したまま前を向く。頭上からシャワーのお湯がかけられ泡が流されていけばいつもと違うちょっぴり甘いシャンプーの匂いが髪から香る。髪を洗って炭の匂いは消えてしまったが今度はこの匂いでお揃いになりそうだ。そんなことを考えつつあらかた泡を流し終えたように感じれば更に悪戯されない内に椅子から立ち上がり「交代だ、翔太郎」と声をかけ今度は相手が椅子に座るように促し)
何言ってんだ、隅々まで洗わねぇとだろ。……いつもとは違う匂いだ
(相手は未だ不満気な顔だが、そうやってこちらの悪戯に反応して怒っているのも可愛く見えてしまうのだからどうしようもない。やりすぎるとまた機嫌を取るのも一苦労になってしまうのでとぼけた事を言いつつもここら辺で悪戯は止めておいた。シャワーで髪を洗い流せばそこから漂う香りは囲炉裏の前にいた時とまた違ったものになる。シャンプーのパッケージを見るにこの地域で生産されている花が使われているらしい、どうやらボディソープも同じ系統のようだ。今夜はこの香りに包まれながら寝ることになる予感を感じつついよいよ相手が髪を洗う順番になる。相手の手が頭に触れるのを思えばやり返されるかもなんて思考には到底ならず、上機嫌に背中を向けて椅子へ座ると「じゃあ頼んだぜ、フィリップ」と声をかけ)
明日までこの香りに染まるみたいだ。 ああ、任せてくれ。……ふっ、お似合いの髪型の出来上がりだ
(どうやらボディソープも同じ系統の物のようで明日家で風呂に入るまでこの匂いは残るだろう。こんな所でもいつもと違う事を実感出来るようだ。悪戯が成功して上機嫌な相手を椅子に座らせると背中側に回って返事を返しておく。全く警戒していない様子を見ればこれからやることを想像してにやりと口角が上がる。シャンプーを手にとると相手の真似をして全体に広げる。そして爪を立てない程度に指を立てて頭皮をマッサージするように洗っていく。一般的に洗いにくいとされる耳の後ろや襟足の辺りを先に指を滑らせて丁寧に洗うと全体をマッサージするように動かして泡立てていく。十分に泡立った所で優しく撫でるようにして一旦髪を整えてから左右に分けて上に向かってピンと逆立てる。泡のおかげで形を保つようになり鬼のツノのような髪型になれば耐えきれずに噴き出してしまう。前の鏡に映った相手の顔を見れば更に面白く感じてくすくす笑いながら相手にもその完成を告げ)
ん…気持ちいい………は?な、なんだよこの髪型!なにしてんだよフィリップ!!
(思惑通りこちらが頭を洗われる番になると待ちに待った瞬間が訪れる。シャンプーを付けた手が髪の間を滑って、やがてマッサージするように指が動かされるとその心地良さに自然と瞼を閉じた。頭を撫でられていた余韻が再び引き戻されてふわふわと幸せな心地に浸りながら大人しく相手に身を委ねる。この心地を欲していたからこそ相手が何か企むかもしれないという思考は回らなくて、これからされることを知りもせずに頭を撫でられる動きが入れば柔らかに口角があがっていた。その後暫く髪の毛を弄る時間があって、瞳を閉じたままなんとも言えない感触に不可解な顔を浮かべる。やがて相手が突然吹き出して間抜けな声と共に目を開ける、すると鏡の中には髪を鬼のように立てている自分の姿があって思わず声を上げてしまった。すかさず相手の方へ振り向いてハードボイルドから程遠い装いに文句を叫ぶがそれこそこの髪型にぴったりの仕草だろう。目を吊り上げ鬼にぴったりな表情を向けながら「早く流せ!」と相変わらず叫んでいて)
せっかくならスタイリングもしてあげようと思ってね、それにしても…ふふ、似合ってるよ。
(気持ち良さそうにシャンプーされているのをいいことに先程の仕返しで流す前に泡で奇抜な髪型を作りあげる。その出来に耐えきれずに吹き出してしまえば鏡の中の相手が目を開ける。鬼のようになった髪を見ると直ぐに相手がこちらに振り返って文句を叫ぶ。だがその表情も目を吊り上げ迫真の顔をするものだからよりツボに入ってしまって何とか笑いを堪えながら白々しく言い訳を告げる。これも二人で風呂に入り髪を洗い合うということをしなければ出来なかったことだ。バ.ッ.ト.シ.ョ.ッ.トが手元にあれば間違いなく記録に残しただろう。笑いを誤魔化す為に視線を他所に向けていたが言葉を続けながら再び相手に目を向けてみるとやはり鬼のような髪と表情の相棒が居て、思わず耐え切れない笑い声が零れそのまま褒め言葉を告げる。仕返しも成功し気分も晴れ晴れとすれば上機嫌に「流すから椅子に戻りたまえ」と告げ)
いらねーよ!やるならハードボイルドな髪型にしろよ……
(瞬間沸騰した勢いのまま相手の方に叫ぶもその様子がさらにツボに入ってしまったのか相手の笑いは止まりそうにない。それにますます叫びそうになるがこの髪型と今の相手の状態では逆効果だろう。それでもツッコみの言葉は止まらず悔しげに相手を睨んでいた。気を許して相手に身を委ねていたのに油断したとたんすぐこれだ。先に手を出したのがこちらであるのは棚にあげ、文句
と共にまた相手の頬をつついてせめてもの抗議をする。こんなハードボイルドの欠片もない髪型似合っていても嬉しくないのだ。相手はすっかり上機嫌になって泡を流すと言われれば「そうしてくれ」とぶっきらぼうに言って再び背を向けて椅子に座り)
……ん、これで良いだろう。
(叫ぶようなツッコミが入るが今の髪型では怖さなど微塵もない。これが旅館などの貸切風呂であれば周りに迷惑だっただろうが雪の中にぽつんとあるおかげでそういう心配もない。それに嫌なら自分出崩してしまえば良いのにそれをしないのが相手の人の良さというものだろう。笑みを絶やさぬまま反撃で頬をつつかれるのも余裕そうに受け入れていた。洗い流すことを告ればぶっきらぼうに相手が椅子に座る。再び相手の背中の前に立つと機嫌を取るように髪を崩してわしゃわしゃと頭を撫でてから全体をお湯で流していく。泡が無くなったように見えればお湯を止め、流し残しがないか確認すると満足げに完了を告げる。少し顔を寄せると相手からも同じシャンプーの匂いがするようになっていて口元が緩んだ。これでひとまずお互いの頭を洗うのが済めば「あとは各自身体を洗って待望の露天風呂だ!」と声をかけ、ボディソープを手に取って身体を洗い始め)
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