検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…メモリの影響って線は賛成だがまずお前が敵か味方かハッキリさせるのが先だ
(相手はこちらに物怖じすることなく近づいてくる、記憶の中にある喋り方よりも随分と柔らかい口調で不信感は募るが指先を唇に添える懐かしい仕草を見れば僅かに動揺してしまう。それを表には出さずに警戒を解かず、話を進めようとする相手の言葉を遮り一蹴する。この街で起こる奇妙なことは大方メモリ関連であるのは嫌というほど知っているがここまでのことをするメモリがあるのは聞いたことがない。それこそ相手は敵意を持った誰かが変装している可能性もあり、今まさに幻覚を見せられている可能性だってある。警戒を解かずに相手を睨むがこのままでは埒が明かない。相手がこちらに敵意がないか見定め信頼できるか見分ける方法、その手法を導き出せばス.パ.イ.ダ.ー.シ.ョ.ッ.ク.を向けたまま「自分が信頼できる奴だって言いてぇならお前のサ.イ.ク.ロ.ン.メモリを渡せ」と静かに告げる。力の源であり相棒しか持っていないはずのもの、それを所持しこちらへ渡すというのなら少しは耳を傾ける余地があるというものだ。要求以外は聞かない姿勢を見せながら相手の動向を少しも見逃さないようにジッと見据えていて)
…、分かったよ。…君と使っているダブルのメモリだ。これが世界で一つしかないのは君も知っているだろう。
(どうしてこうなったのか、考えを巡らせようとすれば鋭く相手に一蹴されてしまう。自分の名前と存在を知っていた点や受け答えの反応からしても単なる記憶喪失では無さそうだが少なくとも昼前に出掛けていった相棒とは何かが違うようだ。そんな相手はずっとピリピリしたオーラのようなものを纏っていて尖った警戒を向けられているのが肌で分かる。コロコロと変わる豊かな表情はなりを潜め静かに睨みを効かせる相手からは敵意以外の感情が読み取りにくく居心地が悪い。そんな相手は何かを確かめるためか自分のメインメモリを差し出すように言ってくる。初めて言われた類の要求にぱちり目を瞬かせるもそれで話が進むなら否定する理由も無い。それに普段とは何もかも違うがそれでも目の前の人物は相棒なのだろうという直感がある。要求された通り懐を探ってサ.イ.ク.ロ,ン.メモリと残りの赤と黄色のメモリも取り出すと素直に相手へと差し出す。世の中に出回っている物とは違い正真正銘この世に6本しかないメモリ、相手とあの夜契約を結んだ証でもあるそれを差し伸べながら反応を伺って)
…確かにお前のメモリみたいだな。どうやら状況を整理する必要がありそうだ
(相手が懐へと手を差し入れる、そこから出てくるのが拳銃でもナイフでもいいように身構えていたが出てきたのはこちらが要求した通りのメモリだった。ス.パ.イ.ダ.ー.シ.ョ.ッ.ク.を向けていた手で三本のメモリを受け取りそれらを観察する、間違いなくドライバー専用で相手側のメモリである三本だ。いるはずの無い人物から出てくるはずの無いものが出てきて考える事は多くあるが、少なくとも目の前にいる人物はこちらに敵対しているわけではなさそうだ。メモリをジャケットの内ポケットにしまえ相手へと目を向ける、そこにはもう敵意はないが冷たい視線であるのは変わりなくて表情の変化も乏しい。メモリの影響を考えるにしてもまずは今の状況を整理するべきだろう。懐に手を入れて小さな箱を取り出す、それは煙草の箱でデスクに近づきながら一本口に咥えると火をつける。そのままデスクの上にあるはずの灰皿を探すが確かに置きっぱなしにしていたそれは見つからず、軽くため息をついてから携帯灰皿を取り出した。デスクの端に体重を預けらゆっくりと煙を吸い込み同じくゆっくりと吐き出すと再び相手へと目を向けて「お前は俺と探偵をやってるって言ってたな?あの夜から長いことそうなのか?」とまずは相手の認識を確認して)
信用してくれたのなら何よりだ。…こうも警戒心が強く物静かだと違う人物みたいだね。…っ!それは煙草という奴かい?
(どうやら大きな根っこの知識は同じようで自分のメモリを三本差し出すと注意深くそれを観察している。ひとまず自分であることは証明出来たらしいが先程から大きな声でリアクションを取るわけでもなく冷静に、それこそ相棒が好んでいたハードボイルド探偵のように顔色変えずに状況を確認する姿はやはり違和感が強い。同じ顔で相手だろうということが分かってるからこそいつもの相棒が恋しく感じてぼつりと素直な感想を口にした。とはいえこの状態を何とかするには状況共有と整理が必要だ。相手に続いてデスク周りに移動していると懐から何かを取り出すのが見える。その正体が煙草だと分かればぱっと瞳に興味の輝きを宿して傍に近寄って声を弾ませる。存在自体は相手の夢の中で不良に絡まれた時に知っている。だが相手を初めとする周りの人で吸っている人は居ないし興味を持てば全力で相棒に止められたせいで間近で使用する所を見るのは初めてだ。燃えるような匂いと吐き出した煙からあまり嗅いだことのない独特の匂いがすると新たな情報に興奮の色を表情に写す。すっかり煙草というアイテムに興味の目を向けながらも相手に認識を問われると記憶にある限りの年月を指を折って数えてから「ああ、時折喧嘩したり片方が怪我して動けないことはあったけどずっと二人で一人の探偵だ」と何処か誇らしげな表情をして伝え)
…っ、……お前にはまだ早い。なるほど、……そこが俺の記憶と大きく違うところだ
(相手の呟きが背後から聞こえてくる、言葉はいつかの記憶通り分析を口にするものだがその声色はどこか寂しげだ。昔の自分がどうだったかなんてあまり思い出せないし思い出したくもないのだが相手とこの事務所にいた頃は確かにもう少し笑ったり怒ったりしていた気がする。それが無くなったのも相手がきっかけなのだが、はたしてその事実を伝えるべきかどうか、そこまで手の内を見せるべきか煙草をくゆらせながら思案する。しかしその思考を断つように相手が声をあげてこちらへと近づいてきて呆気にとられてしまった。同時に遠い記憶が呼び覚まされる、久々に頭には『知識の暴走特急』という文字が浮かんでその輝く瞳に魅入られそうになった。このまま見つめていてはその輝きに焼かれてしまいそうで視線を逸らしながらそれこそ煙を払うように手をふる、どちらにせよあの時のままの年齢ならば相手はまだ煙草を吸える立場にないはずだ。そこからこちらの質問に答えるため相手は二人で過ごした年月を指折りしていく、その数はあっさり自分が思う数を超えていきゆっくり息を吐き出した。迷いはあるがこの話をしなければ事は前に進みそうにない。紫煙を吸い込んで気を落ち着けてから相手の方を見ると「俺の知ってるお前は、相棒になってすぐ死んだ」と短く簡潔に自分の認識を伝えて)
別に少しくらい良いだろう。…え。……それで、君は今もここで、一人で探偵を?
(相手が煙草を吸っているというのも驚きだがあまり見たことのない嗜好品の類に興味が移ってきらきらと輝く瞳を向けあわよくば体験出来ないものかと隙を伺っていたがその前にしっかりと止められてしまう。若干拗ねたように文句を口にするが基本何でも甘い相棒でも自分に害があることや法に逸脱した行為はさせてくれないのは知っていてきっと相手も同じだろうと予想が建てば一旦は諦めることにする。お互いの認識をすり合わせるため過ごしてきた年月を数えそれを伝えると相手がまた煙草に口をつける。一呼吸置いて相手の瞳がこちらを向く。簡素に告げられた相手の認識は今とかなり違うものであり、そして考えたくもない状況で大きく目を見開いては息を詰まらせる。今までそういった事態になる可能性のあった出来事は幾つもあった。それでも二人で乗り越えこうして探偵を続けている訳だが、相手の知っている自分はその何処かで命を失ったという。信じられない話だが嘘を言っているようにも見えず、相手がこんなにも大きく変わってしまうきっかけとしては嫌なほどしっくり来てしまって動揺に瞳を揺らす。なんで自分が死んだのか、気になって仕方ないがそれを聞くのは相手の傷を抉るのと一緒だ。震えそうな声を律しながら目を向け、相手の現状を把握しようと問いを投げかけて)
……あぁ。アキコも暫く居たんだが大阪に帰らせて俺一人でこの街の探偵をやってる。俺にとっちゃお前がここに居ること自体がおかしいが、この事務所の様子を見るに異分子は俺の方だな
(相手のキラキラした瞳は途端に拗ねた顔へと変わる、そんな変化さえあまりにも懐かしくて錆びかけていた記憶が色づいていくようだった。それに胸が弾むような痛いような、複雑な気持ちを抱えたまま煙草を吸って乱れそうになる気持ちを整える。そしてこちらの現実を告れば相手は分かりやすく動揺を示した。自分が死んでいるはずなんて言われて平気な顔をしていられる人間もいないだろう。相手を亡くして二人になった事務所はやがて所長にも危害が及ばないようにと一人で請け負うことになって、今ここにいるのは自分だけのはずだ。しかし最初に感じた通りこの事務所は自分の知るものとは異なる匂いを放っている、きっと相手と所長とがここに出入りしているからだろう。そういえば煙草を吸う人間がいないせいかいくらか空気がすんでいる気がする。つまりこの場に相応しくないのは自分の方だ、何かのきっかけで自分が知るのとは違う事務所に来てしまったのだろう。一本目の煙草が短くなって灰皿へ投げ入れると二本目を口に咥えて火を付ける。ここは自分と相手がずっと二人で探偵をやっている世界らしい、久方ぶりにみた緑色のメモリと遠くに置いてきた言葉を聞けば「二人で一人の探偵か。そんなこと言ってたな」と懐かしむように呟いて)
……、恐らくはそうだと思う。確信はないけどこの世界の左.翔.太.郎と君が入れ替わったのかもしれない。…翔太郎、
(相手の現状を聞けば自分で尋ねたのにも関わらず何も言えなくなってしまう。所長を大阪に帰らせてしまうのも一人でこの街の探偵を続けているのも相手らしい判断だと思うのにどの結果が目の前に居る相手だと思ったら胸が痛かった。その手を離してしまった相手の相棒に文句でも言いたい気分だ。ここまでお互いの認識が違うならばどちらかが何処か別の世界の人物と言われた方が納得がいって控えめに同意を示す。こちらが相手以外に違和感を感じていない辺り相手が迷い込んできた側の可能性が高いだろう。試しにス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ンで相棒に電話をかけてみるが一向に反応はなく、そのまま閉じると今考えられる仮説を口にした。相手が二本目の煙草に火をつける。そんなペースで吸っていれば身体への害が心配になってくるが今の自分に口を挟む権利はない。自分達には何度も確かめ合った現在進行形のフレーズを相手は古い記憶を懐かしむように呟く。相手からは大きな感情の揺れは見られない一方で相手にとって過去になっている事を自分が受け止めることが出来なくて、ぽつり名前を呼ぶと無意識にその顔に手を伸ばそうとする。自分でもどういう感情を抱いていいか分からず何とも言えない表情で「…僕は、君を…」と独りでに呟きながら恐る恐る指先で煙草を嗜む相手の頬に触れ、そのまま更に触れようとして)
かもな。そんな大規模なことできるメモリなんて、……待て、お前まさか……
(相手を見続けることができなくて視線を下に向けたまま思考を巡らせる。状況から考えて相手の推論はいい線をいっているだろう。だが成り代わりや嘘ではなく世界や時空を超えるような力を持つメモリの話は聞いたことがない、メモリが力を及ぼすスケールさえこの世界では違うのだろうかと考えていれば相手の声で自分の名前が呼ばれた。その響きがあまりにも懐かしくて、ずっと心のどこかで求めていたもので、何かを考える前に顔をあげて相手の方を見ていた。相手は間近にいて煙を吸い込んでしまう距離だ、直ぐさま遠ざけようとするもその前に相手の手がこちらへと伸びてきて動きを止めてしまう。目の前に広がっていたのはいつかの日に自分が望んだ光景、そして距離だった。夢にまでみた景色に目は釘付けになって何かを呟きながらこちらに手を伸ばす相手の姿に心が奪われそうになる、。とうとう指先が触れるがその瞬間にこの状況が自分にはありえない事だと思い出して、同時にこの世界にあるひとつの可能性に気が付き素早く相手の手首を掴んでその動きを止めた。確かめるのが恐ろしいが聞かざるを得ない、呼吸を整え「付き合ってんのか?」とただそれだけ口にする。誰が、とは言わないがきっと意味は伝わっている。その名前を、自分と同じ名前を口にすることは出来なかった。手が震えそうになるのを押さえつけながら間近にある相手の顔を見据えながら返事を待って)
…、…翔太郎? 、付き合っているよ。最近は翔太郎の家で暮らしている
(今はこの現象が起きた理由を探らなければいけないのに目の前の相手が今にも消えてしまいそうだと思ってしまって心が動くまま手を伸ばす。相手が顔を上げて目が合えばその気持ちはより強くなって手が届く距離まで近付く、指先が見知った物よりも痩せた頬に触れると素早く手首を掴まれて動きが止められてしまった。不快感とも違う反応に様子を伺うように名前を呼ぶと思わぬ問いがされて目を丸くする。主語が無くともその意味は分かってその観察眼に変な感心すら覚えた。言い当てられたのならわざわざ隠す必要はないだろうとまっすぐと相手を見つめ、肯定の返事を返す。相棒になって直ぐに死んでしまったのなら自分達と同じく二人は特別な関係にまで至っていたのか、それともそれに気付く前に別れが来てしまったのだろうか。どれだけ深い関係になっているかを伝える為に同棲している事実も言い添えると「…君たち、は」と恐る恐る相手の認識を問いかけて)
ッ、!………そうか……俺とあいつはただの相棒だ。俺が怖気付いてる間にあいつがいなくなっちまった
(相手の返答を待つ、聞く必要が無いはずで聞いても何もならない問いなのに聞かずにはいられなかった。そして返ってきた答えに、ずっと冷静を保っていた顔は崩壊して初めて感情を顕にする。動揺と羨望と悲しみと妬みと、あらゆる感情が入り交じって相手を見つめる瞳が激しく揺れた。まだ仮説にすぎないが今いるこの世界が自分にも有り得た可能性の世界だというのなら、あの時腕の中で事切れた相手ともっと深い関係になって互いに触れ合い共に暮らす未来があったかもしれないのだろうか。叫び暴れたい衝動に駆られるがそれをしたって何になるわけでもない。全てを飲み込むように口を真一文字に結ぶと短く返事をし逃げるように移動して相手に背を向け窓の傍に立つ。ゆっくり紫煙を吸い込めば脳は煙に満たされ余計な思考を押し出してくれた。煙を口から吐いたあと静かにかつての相棒との関係を語る。文字通り相棒は相棒でしかない。煙を全て吐き出したあと「余計な事を聞いたな。それよりも元凶を探るのが先だ」と先程の動揺をなかったことにして話を進めようとし)
…そうかい。それで君はこんなに我慢強くなってしまった訳だ…ああ、こうなったのには何か原因があるはずだけど…
(相棒と交際していることを告ればずっと硬かった相手の表情が変わってあらゆる感情が入り交じった動揺を見せる。辛そうなものとはいえ漸く見慣れた相手の表情の一片が見られたようで密かに安堵する。だがその感情は言葉や行動になること無く全て飲み込んでしまうように痛々しい表情をして口を固く結んでしまう。逃げるように窓際に移動して煙を吹かす姿は様になっていたが自分には無理をしているようにしか見えなかった。相手が相棒との関係を語る。どうやら深い関係には至ってなかったらしいがその口調から特別な感情を抱いていたのが分かる。それを伝える前にその人を亡くして、今こうして同じ姿の同じ人物が目の前にいるのは相手にとって亡霊に惑わされているようなものなのかもしれない。こういう時に上手く声のかけ方が分からず今の性格となった推察を語るくらいしか出来なかった。相手が背を向けたまま話を進める。言ってることはもっともで自分のよく見知った相棒と会うためにも原因を突き詰めなければならない。何処から突破口を掴むべきかと考えを巡らせていると突如ス.タ.ッ,
グ.フ,ォ.ンが鳴る。表示された電話番号は何故かバグっていて不審に思いつつも電話に出る。『あ、繋がった!ねぇねぇ、俺の事覚えてる?』と振り込め詐欺に近い内容で声を掛けられるもその声と話し方に聞き覚えがあれば「常.磐.ソ,ウ.ゴかい?」と聞き返す。思わぬ電話だが今の事態に関係があるかもしれないとスピーカーモードにしてから相手も傍に招いていると『正解!良かったぁ、俺達の知ってるフィリップだ。…多分そっちも色々変なことになってると思うんだけどどうやらタ.イ.ム.ジ.ャ.ッ.カーが好き勝手したせいで他の次元の世界線が絡まっちゃったみたいで…』と説明がされる。どうやらこの前歴史改変される原因となったタ.イ.ム.ジ.ャ.ッ.カーが今度は仮.面.ラ.イ.ダ,ーが負けた時間を作ろうとした影響で平行世界同士が絡まる事態が起きているらしい。『それで…ゲイツ、これってどう伝えれば良い?』と電話越しに解決策の伝達について何やら話し合う声が聞こえて)
余計なお世話だ。……誰だ?
(匂いも物の配置も見知ったものとは微妙に違う事務所という空間の中で唯一壁だけが見慣れた物に近く平静を取り戻すためにそこを見つめる。相手は我慢強いとこちらを称するが自分ではそこまでピンとくる言葉ではない。どう足掻いたって現実が変わらない以上はそれを受け入れるしかないことはあの時命の灯火が腕の中で消えるのを目にしてから良く理解しているのだから。異常事態が起こっている以上は対処しなければこの街の探偵は名乗れない、相手の呟きを一蹴して気持ちを整えた矢先に相手のス.タ.ッ.グ,フ,ォ,ン.が鳴る、ちょうど気持ちを切り替えるいい機会だろうと煙草を消すと相手の方へと近づいた。スピーカーモードにして聞こえてくる声は聞きなれないものだが相手の知り合いではあるらしくそのまま会話を聞く。呑気な声で次元やら世界線やらと大層な話が出た後に電話の向こうで盛大なため息が聞こえた。ゲイツと呼ばれた誰かは『貸せ』と短く言った後に会話の主導権を握った。『.タ.イ.ム,ジ.ャ.ッ.カ.ーが手法を変えているらしくてな、ア.ナ.ザ.ー,ラ.イ.ダ.ー.が必ず正史のライダーを消すように仕向けてる。だがお前達は二人で一人のライダーだ、片方しか消さなかったせいで元の時空と歪んだ時空が混じってる。』と一気に喋ったあともう一呼吸置いて『やることは同じだ。お前達の片方の力を奪ったア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーをダブルの力で倒せば元の時空に戻る。他のライダーの力は俺達で取り戻せるがお前達は事が複雑でお前達にしか解決できん』と何処か切り捨てるような言い方をしていて)
ちょっとした仮.面.ラ.イ.ダ.ーの仲間だ。…いや、解決法が分かっているのなら話が早い、こちらのア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーは僕たちに任せてくれ。
(スピーカーにした彼らに関して簡単な説明を施してから話を聞く。概要こそソウゴが教えてくれたものの仕組みの方は上手く説明出来ないらしく会話の主導権がゲイツに移る。どうやら今回も二人で動いているらしい。その説明を聞けば今置かれている状況が見えてくる。その方法が確かならば恐らく相手の相棒が命を失ったというその日、本来は二人とも一気に存在を消されるはずだったのだろう。だが何かしらのアクシデントか何かで片割れしか消すことが出来ずに改変した時空への上書きも中途半端にしか出来なかった、と言った所だろうか。冷たく聞こえる言い回しに『もう、そこは素直に頼りにしてるからダ.ブ.ルのア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダーって言えば良いのに』とソウゴが口を挟みつつ『そういう事で俺達は他のア.ナ.ザーラ.イ.ダーの対処しなきゃいけないからそっちはフィリップ達に任せた!翔太郎も宜しくね。』と王様らしい指示が飛ぶ。正直自分達では発見出来なかったであろう原因で解決法も分かっているのならやることは一つだ。この時空のことはこちらか受け持つことを伝えると電話が切れた。初めての通話相手と時空に関する話で混乱してそうな相手に目を向けつつ、今の会話で大事な情報を掴むことが出来れば一呼吸置く。そしてまっすぐ相手を見ると「彼らの話が事実ならア.ナ.ザ.ー,ラ.イ.ダ.ーという敵を倒せばこの異常事態は元に戻る。そして君の世界で君の相棒が命を失ったのも恐らくソイツが原因だ。…つまり、ア.ナ.ザ.ー,ラ.イ.ダ.ーを倒せば君の相棒は元に戻るかもしれない。」と今の情報を元にした推測を提示して)
……死んだ人間が生き返るとは思わねぇが、あいつを殺した奴を倒すって話ならちょうどいい。あの緑野郎にはいつか借りを返さなきゃならねぇと思ってた
(情報を提供してくれるなら余計な質問はせずスピーカーから聞こえてくる声を静かにきく。この世界では自分達の他に仮.面.ラ.イ.ダ.ーがいるとはなかなか驚くべきところだ。電話の向こうではソウゴに文句を言われたのに対してゲイツが『余計な事は言わん』と突っぱねて、最後にこちらの名前を呼ばれて電源が切られる。いろいろ考えるべき所はあるがその前に相手が彼らの話を纏めて、その後に相棒を取り戻せる可能性が示されると息を詰まらせる。次元がどうと話していたがこの世界のように相棒が隣にいる世界が戻ってくるのだろうかと淡い期待が浮かぶ、しかしあの時確実に相棒の命が消えたのを見た身としては相棒が蘇るだなんて夢物語を鵜呑みにすることはできない。余計な期待は体の動きを鈍らせる、それよりも今考えるべきは倒すべき敵のことだ。先程の電話の話からすると相棒を殺した奴が相手のいうア.ナ.ザ.ー.ラ,イ.ダ.ー.というものなのだろう。てっきりド.ー.パ.ン.ト.かと思っていたが違う存在らしい。今でも忘れられないあの禍々しい緑色の体を思い起こせば「奴は風を操る怪人だ。お前に執着してたし間違いねぇ」と自分にとっては因縁ある敵がこれから追うべきターゲットだろうと定めて)
なら交渉成立だ。僕も探偵としても大切な相棒の為にもこの世界を元に戻す必要がある。…半分力貸してくれるかい、翔太郎。
(やるべきことがハッキリして話を纏めると共に相手の相棒がもとに戻る可能性を示すとその表情が変わったのを見逃さない。相変わらず冷静に事を進めようとする相手だがきっと根っこの所は変わらない。別世界の相手の笑顔を取り戻したいと思うなんてよっぽど自分もハーフボイルドに絆されているようだ。今の話を真実とするならそのア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダ.ーは相手の世界の相棒の命を奪った宿敵で、相手はその姿を見ている。探すための情報量としては不足はない。自らのメインメモリと同じ能力なのは引っかかるものの相手とこちらの目的が一致したならやることは一つだ。相手の方に向き直るとこちらの目的を共有する。探偵として仮.面.ラ.イ.ダーとしてこの異常事態に対処する必要があることと自分の相棒を取り戻したい意思を示すと相手に右手を差し伸べる。ダ.ブ.ルになる必要がある以上一人ではどうにもできない、信頼できる相棒の力が必要だ。じっと相手を見つめるとあの時と同じ誘い文句を目の前の左.翔.太.郎に向け、その名前を呼んで返答を待って)
………あぁ。交渉成立だな、フィリップ
(相手がこちらへと向き直る、そうやって顔を付き合わせるだけで心がどこかへ連れ去られそうな感覚を覚えながらも静かに相手の意志を聞く。この街で異常事態が起こっている以上この街の探偵として対処しなければならない、そこは相手と同じ気持ちだ。相棒を取り戻せる可能性にはまだ懐疑的だが少なくとも相手は元の左.翔.太.郎.を取り戻すためにもこちらと組むのを望むだろう。どちらにせよ相手の知識がなければこの事件は解決できない。相手から右手が差し出される、そして告げられたのはあの日耳にした誘い文句だった。懐かしい言葉が相棒の声で告げられてあの日あの時に止まってしまった相手との時間が動き出すようで息が詰まる。それをゆっくりと吐き出してから差し出された手を握って、ようやく相手の名前を口にした。相手の名前を呼ぶ自らの声すら懐かしくて表情は崩さないよう努めたが握る手には無意識に力が篭ってしまった。握った手は直ぐに解いて自分はこの世界では異分子なのだと自らを戒めるように内心唱える。まずは目の前のことに集中しなければ。一呼吸置いて口を開くと「俺達の現実がア.ナ,ザ,ー.ラ.イ,ダ.ー.って奴のせいで捻れたんなら途中までは同じ時間を歩いてたはずだ。お前の記憶の中で組織に通じてて麻薬の売人してた男はいねぇか?」と敵の正体を探り始めて)
ああ、早速調査開始だ。…ちょうどピッタリの人物に心当たりがある。非合法なことに手を染め大金か力を得るために組織の指示を受けて僕を捉えようととしていた奴らだ。…まさか、彼らに?
(二人で一人だと差しのべた手は今度は払われることなく相手の手と重なって強く握られる。姿は多少変われども触れる体温の暖かさは変わりなく、相手の声でハッキリと名前を呼ばれると心と声は弾んで自然に柔らかな笑みを浮かべた。こちらからも握り返した手はすぐに解かれてしまったが相手に信頼されたのが嬉しくて上機嫌に調査へと当たる。まずやるべきは標的の居場所を探るところからだ。相手の言う通り二つの時間が分かれた時期に接触してきた人物がア.ナ,ザ,ー.ラ.イ,ダ.ー.である可能性は高い。何か思い当たる節があるのか相手はあの男の特徴をあげる。組織に繋がっている麻薬の売人と聞いてすぐに頭に浮かぶのは違法バーで接触し、その後も自分を捕まえようと卑劣な手段を使ってきた彼らだ。その時の記憶を思い返すと不快そうに眉根を寄せつつ彼らに関する情報を口にする。思えば彼らも組織の指示とはいえやけに自分に執着していたように思う。相手がそれを聞いてきた理由を察すれば恐る恐るその認識が合っているか確認するように問いかけ)
多分そいつだな。……あぁ。風.都.で麻薬取引を組織的にやってるって情報を掴んでな。地下にある会員制のバーカジノに潜入したんだが、それがそいつの罠だった。俺達はまんまと嵌められて、相棒がいなくなった
(協力関係を結べば相手の声は分かりやすく弾んで上機嫌になる。そうやって分かりやすく変わる表情に、この表情を見るのが好きだったのだとあの時へと心が拐われそうになった。何とか気持ちを今へと引き戻すとターゲットを絞る作業に移る。こちらがア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ー.の変身者の特徴をあげれば相手はすぐに一人の人物に思い至る。どのような形で出会っているかは分からないが自分の世界でも相手の世界でもあの男はターニングポイントになる人間なのだろう。相手の表情を見る限りあまりいい思い出のある人物ではないようだ。それはこちらも同じで、ここまで情報が揃えば相手にも察しがついたようで恐る恐る確信を問いかけられる、もう隠す必要もないだろう。そして淡々とあの日の事を語る、相手が知っている記憶とは少々違う顛末と圧倒的に違う結末を説明すればポケットの中を無意識に探って煙草を探していた。煙草の箱を握った所で今は捜査に集中しようとその手を離して「さっきの電話の話が本当ならタ.イ.ム.ジ.ャ.ッ.カ.ー.ってのがあいつを唆したってことだな。そいつか、その男の仲間が居そうな場所分かるか?」と敵へと近づく術を探り)
…僕達も似たようなことはあったけど、何とか逃げ切る事が出来た。恐らくそこがターニングポイントなのだろう。…彼らが以前根城にしていたエリアで妙な人の出入りが目撃されている。…まだ深く探っては居なかったが今回の件に関係あるかもしれない。
(相手のあげた条件に思い当たる人物について話せばどうやらビンゴだったようでターゲットが絞られていく。そして話の流れから相棒を失う原因であったことを察して恐る恐る尋ねると相手は淡々とその時の情報が語る。二人で共に危険なバーの中に侵入した所までは一緒だが無事に窮地を切り抜けられた自分達と罠が仕掛けられ片割れを失った相手とで大きく結末が違っていた。顔色に出さない相手の感情の居所を探るようにその顔を覗き込みつつ二人の推理を纏めていく。手持ち無沙汰なのか落ち着かないのか煙草の箱を握り締めている。それを視界に納めつつも奴に関する情報について問われると少し考え込んだ後、情報屋の噂とメ.モ.リ.ガ,ジ.ェ.ッ.トの定期巡回によって得られたきな臭い情報について共有する。まだ直接な被害や確信もなく泳がせていた話だが先程の電話の話と実際に他の次元と混ざりあったことを踏まえれば今回の件に関連している可能性は十分にある。難しい顔で治安が悪いとされるその地区の名前を告げると「行ってみるかい?」と相手の意思を問いかけて)
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