相乗りで何処までも 【 〆 】

あぁ、早くサンタ迎える準備してこい
(事務所を出て夜の街を歩く、街には風車に加え小さなイルミネーションやサンタやらツリーやらが加わりクリスマスイブの夜に相応しい光景だ。いやでも気持ちはあがるものでクリスマスパーティーの浮かれた気持ちのまま家へとたどり着く。家につくやいなや風呂へと直行する相手にはまた笑い声が漏れる。さすが知的好奇心には素直に動く性格だ、検証のためならば何事も全力でやるのが相手だろう。風呂場へ見送ってコート等をしまったあと本日一番大事なものを改めて確認しておく。今シャワーを浴びているであろう相手のことを思えば自然と笑みが浮かんだ、これにはもう少し隠れて貰わなければならない。いつもよりも早い時間にシャワーの音がやみそれにも口元が緩みつつ上がってきた相手を迎える。入れ替わりに風呂場へ向かうもこちらもいつもより手際よく体を洗っていく、サプライズが見つかるのを危惧して早く上がらなければと気持ちが急いていた。早々に風呂からあがるとタオルで髪を拭きながらリビングに戻ってきて「よし、準備できたし寝るか」と声をかけ)

＿おかえり。 もう寝るのかい？ 僕はこのまま一晩起きておくつもりだから気にせず寝て貰って構わないよ。
(早る気持ちのままシャワーを済ませて風呂場から出てくるといつもよりご機嫌そうな相手が出迎える。入れ替わりに相手が風呂に向かうのを確認すればこれから起こることに思いを馳せる。未知の存在であるサンタに会えるのは今年は今日だけだ。リクエストしたプレゼントが一体どうやって届くかは未だに謎でそこを含めて検証しなくてはならない。更にもう一つ、今日の午前中に所長と出掛けた際にお願いしてこっそり準備したサプライズが普段は使わない台所の戸棚に仕舞ってある。それを仕掛けるタイミングなどに思考を巡らせていればいつの間にか時間は経っていて、風呂場から物音が聞こえたかと思えば相手が髪を拭きながらリビングに戻ってきた。出迎えの言葉をかけるも相手から寝るように提案されると首を傾げる。いつもベットに入るよりは早い時間だが今日は一日パーティの準備をして騒いで疲れているのかもしれない。そう自分の中で納得すると自分はサンタの観測の為に寝るつもりがない事を告げ、邪魔にならないようにベットから離れた壁際に座り込むとそのまま待機する姿勢を見せて)

え、……お前、まさかサンタが来るの待ち構える気か？
(寝る前にやることも終わりあとは相手が寝息を立てるまで起きていればやる事をやってミッションは終了だ。その為にもベッドに誘導しようとしたのだが相手は窓際の席を陣取っていてこのまま起きていると宣言されてしまえば言葉を詰まらせる。これでは作戦が台無しだ、サンタからのプレゼントをこっそりと置いておく事ができない。突然どうしたのかとも思ったが理由にはすぐ察しがついて確認するよう問いかける。まさかクリスマスイブに子供が寝なくて困るなんて事態に出くわすとは夢にも思わなかった。ここはなんとかして相手を寝かさなければならない。相手がサンタへ知的好奇心を向けているならそれを満たしてやろうとベッドへ腰掛けると「サンタについてまだ知りたいことでもあんのか？」と焦りを隠しあくまでも自然体を装い聞いてみて)

ああ、その為の準備もバッチリだ。 知りたいことばかりだよ、昨日地.球.の本.棚で検索してみたけど後半部分が何故か読めないようにロックされていたんだ。だからどうやってサンタが住宅部分にプレゼントを届けるのか、一晩で配り終える為の移動手段、そして何故そんなことをするのかという動機を接触して聞いてみなければ。
(これからの行動を告れば相手が言葉を詰まらせる。相手とこの家で過ごすようになってからは健康の為ということで一緒にベットに転がり寝るのが習慣となっていたが今日ばかりは譲れない。相手の問いに得意げな顔を見せると事務所から持って帰ってきたメ.モ.リガ.ジ.ェ.ッ.トの数々を見せる。やってくる場所さえ分かれば待ち構えるのは容易だ。万が一ウトウトしてしまっても有能な彼らがいれば入ってきた人物に気付くことが出来る。整備がバッチリなのを確認しているとサンタについての疑問点を問われ、すぐにそれに食いついた。そもそもサンタとはどういう人物なのかあの後に調べて本は見つかったのだが何故か後半部分がしっかりと閉じられていて見ることが叶わなかった。こんなことは滅多に無いのに加えて中途半端な状態で放置するのは嫌いな性分だ。立て続けにサンタという存在への疑問点と興味を饒舌にあげていき「聞き込みは調査の基本だろう？」と期待の表情を見せて)

お前ガジェットまで持ってきたのかよ……なるほどな。まぁでもサンタは今夜が一番忙しいんだから足を止めさせるのも悪いってもんだろ？それに今の質問なら俺が答えられる。例えばサンタの移動手段はソリだ。赤い鼻のトナカイに引っ張ってもらって空飛ぶソリで世界中にプレゼントを配って回ってる
(どうやら相手は本気中の本気のようで目の前にズラリとガジェットを並べられると一瞬固まってしまう、これは普通の子供よりも何倍も手強そうだ。サンタについて検索済みだと聞けばその正体がバレてしまったかと身構えるもどうやら閲覧不可になっていたらしい。相手の中の何かが制限を掛けているのだろうか。とりあえずその点は安心するとしてやはり問題はどうやって相手を寝かせるかだろう。なんとか相手を説得しなければならない、ひとまずサンタ自身は忙しいという前置きをしておいて相手の疑問に答えることにする。この様子では自分から伝えたこと以外は情報を得られていないらしい。それならば好都合だ、こちらの知識で相手がある程度満足すれば寝る方へ誘導できるかもしれない。手始めにサンタの移動手段について話し「トナカイの歌まであるんだぜ？」とさらに追加の情報を与え)

ソリが空を飛ぶ…？それは何か飛行する為の機材を詰んでいるということかい？ それにトナカイは陸上で生活する動物のはずだ、鼻が赤いという特徴があるということは特殊な個体なのだろうか…
(待ち構える気満々だったがサンタが忙しいと言われると確かに一理あるような気もする。少しぐらついた所で相手が説明を買って出ると視線を向けて興味を移す。だが相手が話した移動手段は気になる要素ばかりで早速考察を始める。サンタの使っているソリは恐らくプロジェクションマッピングでも見た一般的なものだろう。だがソリは雪上で使う物で空を飛ぶ機能など無い。ならばそのための改造が施されているのかもしれない。更に気になるのはそれを引くトナカイの存在だ。陸上の生物が空を飛びサンタの乗ったソリを引っ張るというのだから既存の知識からは掛け離れた状況に寧ろ好奇心が強く刺激されてしまう。歌が作られるくらい知名度があると伝えられると意地でもその不思議な個体を見たくなってしまう。指先を唇に添え知的好奇心にニヤニヤと笑みを浮かべると相手の目的とは裏腹に「ますます見てみたいよ」と告げて)

あーそれは……魔法的な奴じゃねぇか？サンタは何でもできるしな。トナカイだって寒いとこに住んでてサンタも同じとこに住んでんなら友達ってことだろうし、俺達には想像もつかないやり方で空飛んでんだよ。プレゼントを配る時だってどんな煙突もくぐり抜ける能力ってのがサンタにはあるし、不思議な奴なんだよ
(知らない知識を与える作戦はどうやら裏目に出てしまったようで相手は目をキラキラさせるどころか期待が膨らみ過ぎてニヤニヤ笑いが止まっていない。しかもおとぎ話に近いサンタの話を真正面から理解しようとしてかブツブツと並べられる疑問には到底答えようもなかった。答えを無理やり出さなければ相手は納得しない、だが捻り出した返事はなんともおざなりなもので魔法という神秘に全てを丸投げしてしまう作戦だった。実際サンタ周りの話はまともに考えてはいけないもの、こじつけのように話を進めつつ最後には無理やりまとめようとして)

魔法…、確かに普通の知識では有り得ないことばかりだ。ガ.イ.ア.メ.モ.リやド.ーパ,ン.トにも特殊な力があるなら他所で近しい技術があっても不思議では無い…
(次々に浮かぶ疑問を魔法の一言で返されるとばちりと目を瞬かせる。だがここまで知名度が高いのにその手段や方法については解明されていない点、とても現実離れした行動の数々は一般常識では説明出来ないものばかりだ。思えばメモリ犯罪も超人離れをした能力が多く現実的見方をするだけでは分からないことは幾つもある。組織のことを思えば他所でも近しい技術がある可能性はゼロではない。相手の説明の勢いに押されたのもあって考えを巡らせながらもサンタは魔法を使うような存在という説を信じる方向に少し傾いていき)

だろ？少なくともサンタは力を悪用する奴じゃねぇから、みんなの為に不思議な力を使ってるんじゃねぇか？それに一番大事なこと言い忘れてたんだが、サンタは寝てる子の元にプレゼントを置いてくんだ。だからこのままだとサンタがプレゼントくれねぇかもしれねぇぞ？
(少々強引なやり方だったが相手はガ.イ.ア.メ.モ. リ.の力と絡めてその存在を超常的なものだと認識し始めたらしく内心ホッと胸を撫で下ろす。こうなればあとは畳み掛けるだけだ。サンタは妖精だなんて説もあるがそこまで話せばカラクリに気づいてしまう可能性もある、ここら辺の塩梅でサンタの正体を誤魔化しておくのが丁度いい。極めつけにともうひとつの常套句、寝なければサンタからプレゼントを貰えない話を伝える。サンタに会えないのは残念だろうがプレゼントも捨て難いはずだ「サンタは良い子のとこにしか来ねぇからな」とさらにダメ押しの一言を添えて相手の反応を待ち)

え、……それは困る。仕方ないけど今日は寝ることにしよう。
(相手から聞いた事と多少の知識しか無ければ相手の言うことが最もような気がしてくる。加えてもう一つの条件について言われると短く困惑の言葉が漏れる。未知な存在への接触もしてみたいが数日前に決めたキーケースのプレゼントも捨て難い。それに魔法的能力があるのなら事前にその対象の行動を確認出来る可能性もある。様々な状況からどちらを選ぶべきかじっくりと悩んでから結論をぽつりと呟く。少なくともこのまま待ち伏せして機会自体を逃すよりも一度寝る体勢を取って策を考えた方が利口だ。そんな企みを隠しつつ寝る事を受け入れると窓際から起き上がってベットの方に向かう。「君が奥で良いだろう？」と提案してベットに共に寝転がろうとして)

よし……ならサンタさんの為にも早く……あー………俺は水飲んでくるから先にベッド入っててくれ
(どうやらこちらの誘導は成功したらしい、寝ることを決めた相手に思わず声を出してしまったが慌てて何事もなかったような顔をする。相手は窓際から離れこれで万事解決かと思ったがベッドの奥へ行くよう言われると言葉が途切れてしまった。相手が寝ている間にプレゼントを置くならばスムーズにベッドから出るためにも手前に寝る必要がある。移動時に相手が起きてしまっては台無しだ。なんとかそれは避けなければと思うもあからさまな間合いを作ってしまい顔に焦りが滲みそうになる。無理やりこちらが奥へ行かないよう理由を捻り出すと特に必要もないのに一旦キッチンへと移動した。サンタ代行もなかなか大変な仕事だとこっそりため息をつきつつ水を飲んでベッドへ戻ってくると「よし寝るか」と仕切り直しの空気を作り)

…？ 分かった。
(大人しく寝ることを告げれば何故か相手が声をあげていて首を傾げる。加えて奥に行くように伝えるとその言葉は途切れて挙動不審だ。何か理由でもあるかと怪しむ視線を送るも水を飲んでくると宣言され、逃げるように台所に行ってしまえば見送るしか無かった。寝たフリをするつもりだが相手と寝れば万が一寝落ちてしまう可能性がある。念の為バ.ッ.ト.シ.ョ.ッ.トに二人以外がこの部屋に入ってきたら写真を撮るように設定しておいた。先にベットに入って待っていれば相手が戻ってくる。様々なことを考えれば手前側の方が都合が良いのだが奥に寝る流れのようだ。仕方なく奥に詰めて寝転がると空いたスペースをぽんぽんと叩いて相手招き)

……今日はよく騒いだし、よく寝れそうだな
(こちらが一旦ベッドを離れて戻ってくれば当然相手が奥側へと寝転がる流れになる。少々強引だったが狙った通りの構図になれば内心これでよしと頷いていた。相手が招くように隣のスペースを叩けば小さく笑みを浮かべてベッドへと潜り込む。二人の体に布団を掛けて軽く相手を抱き寄せれば一気に眠気が襲いきた。ここで眠るわけにはいかないのだがパーティーを存分に楽しんだ体は睡眠を欲している、腕に暖かな体温を持つ相手を抱いていれば尚更だ。なんとしても相手を先に寝かせなければと睡眠を誘発するように背中をポンポンと叩いてやり)

そうだね、良い夢が見られそうだ。
(相手もベッドに入ってきて二人の上に布団を掛けると寝る体勢としてはバッチリだ。相手に抱き寄せられるとその体温が伝わってきて疲労と条件反射的に睡魔が襲いかかる。このまま寝てはサンタのお目にかかれない。だが相手の腕の中からは離れがたくて普段の調子で返事をしつつこちらからも相手を抱き締める。ポンポンと一定のリズムで背中を叩かれるとその穏やかさに一気に眠気がやってきた。それに負けじとウトウトしながらも相手に擦り寄ると「また来年もこうやって過ごせると良いね」と呟いて)

あぁ。事務所でクリスマスパーティーしてあとは
二人でゆっくり過ごすってのが毎年の恒例になりそうだ
(相手を抱き寄せれば向こうからも腕が回される。こっそりとベッドを抜け出すことを考えれば相手がこちらに触れているのはあまり良くない状態なのだが眠気に見舞われている頭ではそこまで考えが及ばず、また今更この温かさを手放すことなどできはしなかった。さらにこちらに擦り寄って次への期待が呟かれると眠気で緩んだ脳内には一気に愛おしさが溢れてやるべき事そっちのけでこちらからも相手へと擦り寄ってしまった。相手を寝かせようと背中を叩いていたはずが段々と眠気に負けてきて「早く眠らねぇと…」とうわ言のように呟き瞼が閉じられて)

ん、毎年こうやって過ごせるなら幸せだ。…おやすみ、翔太郎
(こちらの腕の中にも相手を閉じ込めるとその距離は更に近付いて至福のため息が零れた。今日一日幸せだったが来年も同じような一日が保証されていると思うと胸には暖かな物が広がって何年経とうがこうやって過ごしていたいと強く感じていた。その事を告げていると相手が擦り寄ってきて、聞こえてくる声も眠りが近いのか随分と力無い。安心しきっているように目を閉じられたのを見れば自然と口元が緩んで胸に抱く思いのままその頬に軽く口付けた。幸せな心地と触れる体温の温かさに眠気は強くなっていくばかりで「…サンタが、まだ…」と考えたままの事柄をそのまま小さく口にしながらもゆっくりと目が閉じていって)

おやすみ、フィリップ…………ッ、あぶね
(心地よい微睡みの中相手の体温に包まれ頬に柔らかな触感が降ってくるともう抗いようが無い。意識は沈んでいきそのまま途切れそうになる。その最中相手からサンタという言葉が聞こえてきて頭に引っ掛かりを覚えた。何かサンタに関する事でやらなければならない気がすると思考が繋がった所で薄れかけていたやるべき事を思い出し無理やり目を開けた。頭を振って強制的に意識を覚醒させると相手の方を見る、どうやら無事眠りについたようで今こそサンタの代行を果たす時だ。相手の身体をなるべく動かさないようにできるだけゆっくりとした動作で腕の中から抜け出す。そこそこの時間をかけてベッドから抜け出すと今度は足音を立てないようにクローゼットへと向かった。当然仕掛けられたバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ.トに気づくことはない。クローゼットからサンタのプレゼントを取り出す、あの日会話したのと絡めて自分の色である紫のキーケースが入ったプレゼントボックスだ。ベッド脇にそれを置けばこれで任務完了だろう。再び相手を起こさないようにベッドへと戻り隣へ寝転がると相手の顔を覗き込む。明日の朝これがどんな顔に変わるのか楽しみで仕方がない、溢れた思いはそのまま行動になってお返しの意味も込めて頬へと口付けを送ると「メリークリスマス」と小さく言い添えた。起こさないよう軽く腕を回すと今度こそ目を閉じて眠りについて)

…ん、…っ！ 翔太郎翔太郎、サンタからのプレゼントだ！
(目を閉じればあとは沈むだけで緩やかに眠りについた。その間、腕の中から温もりが無くなったような気がすれば僅かに眉根を寄せて小さく声を漏らすも疲れた身体では覚醒まで至らない。その後柔らかく幸せな心地がして何か暖かいものに全身が包まれると無意識に口角が上がって、そこに擦り寄り良いポジションに収まると再び幸せな夢へと落ちていった。その日は不思議と意識が自然と浮かび上がって心地良い温もりの中目を開ける。ぼんやりと続く意識で何気なく辺りを見渡すと頭の近くに見慣れない箱があることに気付く。ラッピングされたその箱は何処か見覚えがあって少し時間を空けてクリスマスのプレゼントと結び付く。その瞬間一気に意識は覚醒して相手の腕の中であることも気にせず飛び起きた。状況と箱の大きさ的にもリクエストしたキーケースで間違いないだろう。サンタに会えなかったことよりもプレゼントを貰えた嬉しさの方が圧倒的に上回るとそれを相手にも共有しようとまだ隣で寝ている身体を揺さぶって起こそうとする。嬉しそうな笑みで手に持った箱を見せながらプレゼントを貰ったことを伝えて)

…っ、…ん、ぁ？…なんだ……
(目を閉じて相手へ腕を回せば中途半端に覚醒していた意識は一気に沈んでいく、その中で腕に抱く体温がさらに増すと無意識に笑みを浮かべてそのまま眠りへと落ちていった。眠りかけた意識を無理やり起こした弊害かいつもの時間になっても起きることは無く暖かな心地に包まれたまま寝息を立てていた。しかし突然腕の中の温もりが失われ僅かに意識が浮上すると立て続けに体を揺さぶられて無理やり目が覚める事となった。こちらを呼ぶ相手の声を頼りに眠気眼を向けるも視界にプレゼントを持ち満面の笑みを浮かべる相手が入ってくれば一気に眠気は吹き飛ぶ。どうやらサンタ代行の勤めは果たせたらしい、想像以上の喜びようにこちらの胸も華やぐのを感じると相手を見上げながら自然と笑みが浮かぶ。体を起こして相手に向き合うよう座りなおすと「ちゃんとプレゼント貰えて良かったな。開けねぇのか？」と中身を見るよう促して)

もちろん開けるよ、…頼んでいたキーケースだ！ この家にピッタリの色だね。
(無理やり相手を起こせば寝ぼけた様子だったが今はそれよりもこの喜びを共有したい。クリスマスらしい包装がされた箱を大事そうに眺めていると相手も起き上がって開けるように促される。返事をして丁寧に包装を外すと上品な箱が出てきてその蓋をゆっくりと開ける。中にはリクエストしたキーケースが入っていてその色が相手を象徴する紫色であればぱっと表情が明るくなって声を弾ませて喜ぶ。箱から取り出して手にしてみると丁度手のひらに納まるサイズでスマートなデザインだ。ケースを開くと当然中の金具にはまだ何も付いていないが、あの時の相手の言葉通りなら近々この家の鍵が収められることになるだろう。この家が自分の場所であることを形として証明する鍵が共に住む相手の色と共に存在することに幸せが溢れて大事そうにキーケースを握りしめながら感想を口にして)