検索 2022-07-09 20:46:55 |
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なっ?!おいフィリップ!さっきの二枚目のはナシって言っただろ!消せ!
(無事恋人としての写真も撮ることができれば後はおかしな顔が写っている写真を消せばやることは終了だ。バ.ッ.ト.シ.ョ.ッ,トをつかもうとするがその前に機体が急旋回すると手は空振りしてしまい代わりに相手の手の中にバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ,トが収まった。止める前に二枚目の写真が確認されてしまい相手が笑い出す、慌てて画面を確認してみれば案の定なんとも言えない情けない顔がそこには写っていた。さすがにハードボイルドからかけ離れすぎている、すかさず写真の消去を迫るが次の瞬間にはその隣に座る相手の表情に目を奪われた。こちらの動揺に気づいているのか上機嫌に緩い笑顔を浮かべる相手の顔はそれこそ最高の瞬間を切り取ったものだ、消すにはあまりにも勿体ない。相手へと叫んでいた勢いは一気に萎んでいきしばらく葛藤するように写真を眺めたあと、最終的には相手の笑顔を保存したい気持ちが勝って「…やっぱ置いとくか」と呟き)
3枚目を撮ることには同意したけど、だからといって2枚目を消す約束はしていない。…! …ああ、これも思い出の一つだ。
(機転を効かせて二枚目を確認すると隣で相手が騒ぎ出す。確かにこの表情は相手の目指すかっこいいハードボイルドからは程遠い姿だ。先程の言葉を根拠に削除を求められるが具体的に写真を消すという約束は結んでいない。あくまで新たに撮影するという内容だったと屁理屈をこねながらしっかりとバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ,トを握りしめる。てっきり更に削除を求める声が続くと思ったのだが何故か急に相手の勢いは萎んでいき何処か一点を見つめている。不思議そうにしてその先に目線を送ればヘンテコな顔の隣に緩みきった笑みを浮かべる自分の顔があって思わず2度見してしまう。自分の顔を見る機会はあまりないがそれでもこんなに締まりのない顔は見たことがない。相手と一緒に居るとこんな顔をするのかという新たな発見と恥ずかしさが入り交じった感情が渦巻いた。悩んでいた相手が出した結論に異論はなく色々ひっくるめて思い出の写真と称するとしっかりと三枚とも保存をしておいた。大事にその写真を見つめてから立ち上がると「何だか今ので身体が暖かくなった気がするよ」なんて冗談半分な事を呟いて)
ったく屁理屈こねやがって……こんだけ騒いだらカイロ要らずだな
(こうなることも読んで曖昧な返事にしていたのか正論だとも言いたげに二枚目を死守しようとする相手に呆れ半分に愚痴を零す。しかし結局は情けない顔を晒してしまった方も残しておきたい写真になってしまった。この三枚を見る度に今のやり取りを思い出すだろう、くだらなくて、でも幸せな何気ないやり取りだ。それを思えばこちらの顔も綻んでしまう、相手に続いて立ち上がりその手を再び取って繋いだ。今は冬の夜で十分気温は低いはずなのに相手と居るだけでその寒さを忘れてしまう、もちろん先程のように騒いだことだって暖かい要因だがそれ以上に胸に満ちる幸せが芯から体を暖かくしていた。ファンシーな空間を抜けると一気に視界が開ける、同時に目の前に広がったのは光の海だった。どうやらここがメイン会場のようで普段は花畑になっている空間一面にイルミネーションか施されているようだ。光が様々な色に変わりながら波打ってその中に建っている建物にはプロジェクションマッピングが映し出されており、街のお菓子屋さんの風景や雪山にある山小屋の風景など次々と映像が切り替わっている。今までで一番の規模の電飾に圧倒されるしかなく「すげぇ綺麗だな」と呟くことしかできずにいて)
ああ、凄く綺麗だ。ここまでの規模のものは初めて見たよ。これだけの量の演出制御となると相当な配線と綿密なプログラムの作成が必要そうだが…
(すっかり依頼以外の写真も保存するようになったバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ.トを懐に仕舞うと相手も立ち上がって再び手が繋がる。探偵らしく決めた所も完ぺきではない情けない所もどれも変わらず大切な思い出で、そういった何気ないやり取りこそが幸せであることは相手と過ごすようになって知ったことだ。不思議と身体はぽかぽか暖かく末端である手も相手と触れて暖かい。その幸せを感じつつファンシーなエリアを抜けるとメイン会場らしい光の海が広がっていた。一面にイルミネーションが施され間の建物も高い所から投影された映像が流れて周囲の色に合わせて移り変わっている。今までも夜遊びした後に駅前のイルミネーションを見たりもしたが比べ物にならないほどの規模の電飾に圧倒され同じく目を奪われたままの感想を呟く。周りは簡易的な柵が設けられているがそれを超えれば光の海に飲み込まれてしまいそうとも思う。暫くその綺麗な景色を見つめていたが段々と好奇心はこの光の裏側に傾いていき、どうやったらこの景色を作り出せるのかと現実的な推測を始めようとして)
あぁ、風.都.でやってんのとは規模が全然違ぇな……おいおいイルミネーションを分析するなんて野暮ってもんだろ。あのサンタくらい不思議な存在でいいんだよ
(風.都.の駅前でやっていたイルミネーションも十分綺麗だったがここまで大規模なものになると幻想的な世界に入り込んでしまった気分になる、波打った光が今にも足元まで流れてきそうだ。一面広がる光に暫く目を奪われていたが隣にいる相手の興味は目の前の光景よりもそれを制御する内情に向いてしまったようだ。人が作ったものである以上いくら幻想的な風景であろうとそれを構築する要素があってそれを分析することは可能だが今はそれを暴くよりも非日常を楽しむべきだろう。光の中にある建物にプロジェクションマッピングの映像がちょうど移り変わってソリにのったサンタが空を駆ける場面が映る。やがてサンタは一軒の家の前にやってきてどうやってプレゼントを届けようか模索する様子が流れていた。イルミネーションはもちろんのことクリスマスはみんな意図的に夢をみるものだ、その最もたるサンタの方を指さしながら茶化すような口調でいい)
…少し前から思っていたけどサンタというのはサ.ン.タ.ち.ゃ.んだけじゃなくて一般的に知られている人物か何かなのかい?この時期になると街でよく見かける辺り有名人のようだけど
(この光景の裏側について思考を巡らせていると相手から制止が入った。確かに幻想的な景色を前にその内情ばかりを考えるのは好ましくないかもしれない。その根拠として相手が指さした先には冬景色の背景に変わり、赤い服の男性がソリに乗って空を駆ける姿が映し出される。家の前でラッピングされた箱のようなものを持っている姿を見れば相手の方に視線を戻してかねてより抱いていた疑問を口にする。自分にとってみればサンタと聞いて一番に思い浮かべるのは特徴的な恰好をした情報屋の彼だ。てっきり彼の愛称なのだと思っていたのだが最近その名を他所でも聞くことがある。他にも似たような格好のイラストやマネキンなども良く見かけるがその実態は把握しておらず、プロジェクトマッピングに現れるほどの知名度に不思議そうにしながら回答を待って)
え……そうか、お前サンタ知らねぇのか……サンタってのはクリスマスイヴの晩にプレゼント配ってくれるおじいさんでな、世界中の良い子の家にこっそりその子が欲しいもんを置いてってくれるんだ
(相手の視線がこちらへ向いて不思議そうな顔を向けられながら極素朴な質問をされて思わず目を瞬かせて一瞬静止してしまった。この時期に必ず現れる赤い服を着たおじいさんの事を知らないとは夢にも思わなかった、当たり前のものすぎて説明をしたことがなかったのにようやく気がつく。相手にとってサンタとのファーストコンタクトはサ.ン.タ.ち.ゃ.ん.になってしまっていたわけだ。ここ最近はあまり意識していなかったが相手は記憶喪失の身、クリスマスの代表格を教えるのを失念していたようだ。そこで次に問題となるのはサンタの真実について相手に話すかどうかだ。サンタを初めて知るのなら実在するものとして話すべきなのかもしれないが相手の年齢を考えればサンタの真実を知っていて当然ではある。数秒考えたものの、未知なる存在を知れば相手の好奇心か刺激されるだろう事と検索をすればいずれ真実にたどり着くだろうという事を鑑みてひとまずサンタの一般的な知識だけを相手に話して)
そんなに一般的なものなのかい? …良い子の元に欲しい物をくれるおじいさん、確かに不思議な存在だ。だが皆がプレゼントを貰えているのなら知名度の高さも頷ける。
(浮かんだ質問をそのまま投げかけると相手の動きが止まる。その後の反応を見てもどうやら一般的には知っていて当然の人物らしい。あの場所に居た以前の記憶は全くなく一般常識と呼ばれる類の知識がない自覚はあるが今回もそのパターンのようだ。相手を見つめて先を促すとサンタについて説明がなされる。クリスマスイヴという特定の日に欲しいプレゼントを配るおじいさん、初めて聞く特異な人物像に目は期待が宿ってきらきらと輝き出す。あの映像のようにソリで空を飛びプレゼントを配るのなら興味深い対象だ。皆が知っている理由にも納得がいくとすっかりサンタの存在を信じきっていて「もしかして僕にも来るのだろうか」と期待を寄せる呟きを零して)
あぁ、きっと世界中誰でも知ってるぜ?なんせ毎年クリスマスイヴにはサンタさんからプレゼントを貰うのをみんな楽しみに待ってるわけだからな。……、…そうだな。良い子にしてりゃお前の欲しいものをサンタさんが持ってきてくれるかもしれねぇ
(やはり相手はプレゼントを配り回る存在の方に興味を持ったようで相手の瞳が好奇心でキラキラと輝き出せば自然と笑みが宿る。先程のイルミネーションのようにその実情を分析し始めないで何よりだ。目に輝きを宿したまま相手はクリスマスイヴに期待を寄せる呟きを零す。きっとサンタの正体を種明かしするならばここが最後のタイミングだろう。しかし相手は記憶喪失でクリスマスの日が近づいてくるワクワクや朝起きた時にどんなプレゼントが自分の元にやってくるのかというドキドキを経験したことはない。未経験のものならば相手に与えたいと思うのが恋人の心情というものだ、この『初めて』も相手と共有しておきたい。『良い子』という単語を多少強調しつつサンタへの期待を煽るような言葉を続けながら「サンタさんへは自分の欲しいものをひとつお願いすることが出来んだ。お前も考えといた方がいいんじゃねぇか?」と相手の欲しいものを探り始め)
良い子の評価基準が分からないけど是非とも拝見してみたいものだ。 欲しい物か…あ、キーケースとかどうだろうか。家の鍵とか事務所の鍵の複製を作る機会があれば自分用として持ち歩ける。
(どうやらサンタは日本だけでなく世界を股に掛ける人物らしい。その規模の大きさと誰でも知っているという点から個人ではなく組織として活動し、プレゼントを送る仕事に準じている人をサンタと呼んでいるのだろうと想像は膨らむ。こちらの反応に相手は笑みを浮かべていて待ち望むように呟くと前向きな返事がされる。強調される良い子は何を持って評価されるかは不透明だが普段の態度と取るならこの一年間、相手と共にこの街を守るために奔走したのだから貰える対象に入ってるように思う。真剣に貰えるかを悩みつつ口元は緩んで期待を高めていた。サンタという存在自体に興味惹かれていたが相手に欲しい物を考えるように言われると繋いでない方の手を口元に添えながら悩み込む。プレゼントとなれば物をお願いすることになるはずだがその時々で興味を持った物以外に殆ど欲がないせいで直ぐに良いものが浮かばない。しばらく悩んだ所でふと良い物が浮かぶとひとまず候補として出してみる。いつもは相手のモノを使うか借りるかで管理している鍵だが密かに自分用のものがあったらと考えることがあり、キーケースはその時に来た時に鍵をまとめることが出来る。理由を語りつつもまだ迷った様子を見せると相手の方を向き「翔太郎は何を頼むんだい?」と当たり前のように問い掛け)
ん?……キーケースか、なかなかいいチョイスじゃねぇか。ならサンタさんにキーケースもらってお前用の鍵も作っちまおうぜ。俺の……そうだな、ウ.ィ.ン.ド.ス.ケ.ー.ルで新作のハットが出てるらしいからそいつだな
(良い子にしていないとサンタさんからプレゼントを貰えないぞ、というのは定番の躾文句だがクリスマスイヴまでは相手に有効かもしれない。そんなことを考えていると相手が何やら不穏な事を呟いた気がした、しかしすぐに話題は欲しい物の話に移り集中力はそちらへと流れていく。相手が選んだのはキーケースだ、そこは子供と違うところで実用性も高く用意する難易度も高くない。サンタの代行者としてはいつも使うものならばプレゼントする意味も大きい、早速相手と離れ街をパトロールする時にでも買っておかなければと計画を立てておく。相手はまだ迷いがあるようだったが背中を押すように選んだプレゼントを肯定しておいた。その流れで意見を参考にするためかこちらが欲しい物を聞かれてしまって一瞬目を泳がせてしまった。相手にはプレゼントを用意しようと思っていたが自分の分までは考えていなかった、確かにサンタがいる前提で話をするならこちらのプレゼントもなければおかしい。とりあえず用意するのは相手の分だけでこちらの分は誤魔化すとしてそれらしく欲しい物を伝えておき)
ああ、ならキーケースを頼むことにしよう。…なるほど君らしいチョイスだね。まさかこんな所でクリスマスの新たなイベントを知るとは思わなかったけど当日が来るのが楽しみだ。
(思い浮かんだものを候補にあげると肯定の返事がされる。続いて鍵を作る約束がされると思い浮かんでいたことが現実になる未来に表情は緩んでつい声が弾む。今までも自分の家という認識はあったが鍵を託されるのは改めてその場所に居ることを認められたようで素直に嬉しい。キーケースに決めた所で参考に相手にも尋ねてみると何故か一瞬目を泳がせた。何か引っかかるものは感じたがその後愛用ブランドの新作と欲しい物が告げられると相手も似たような物だと安堵する。思えば相手の欲しい物を直接聞いたことはなくて珍しい要望を頭に留めておく。帰ったらサンタという存在については調べるとして軽く流していたクリスマスに楽しみなイベントが出来たことは素直に嬉しく、期待を寄せるように告げる。視線を戻すと星空の中にいるようなプロジェクトマッピングに変わっている。クリスマスイヴも楽しみだが今日はこのイルミネーションを目一杯楽しもうと考えると「他の所も見て回ろう」と繋いでいる手を引いて歩き始めて)
あぁ、クリスマスイヴ楽しみに待っとけよ
(クリスマスは毎年顔見知りをよんで事務所でパーティーを行うが今年はそこにもうひとつ楽しみが加わった。暫くは相手がサンタを楽しみにする姿を見ることができるだろう。サンタの正体がバレた時のことはその時に考えるとして相手に手を引かれて次の場所へと歩き出す。先程のメイン会場から離れて道なりに暫く歩く、通路にもポツポツと小さな飾りが施されておりぼんやりと照らされた道も非日常的だ。そのまま道を進もうと思ったが道なりから離れた方向に建物があるのを見つける。どうやら普段は温室植物園のようでぼんやりと光っているところを見るにあそこにもイルミネーションがあるのだろう。相手に声をかけ暗がりの道を歩くと温室へと入っていく。床には行き先を示す小さな光があるだけで明かりがない、本当にイルミネーションの一貫なのか怪しくなってきたところでいかにもここに立ってくださいと言わんばかりの円が床に敷かれていた。相手と目を合わせてからその上に乗ると周囲が一斉に輝き出す、温室の中には数え切れない程の紙製のランタンが浮かんでいて温かな光を放っていた。まるて浮かび上がっていく無数のランタンの中心にいるような光景に息を飲んで相手と手を繋いだまま見上げることしかできずにいて)
…っ、さっきのはキラキラとした輝きだったけどこの光は柔らかくて温かな感じがする
(相手が期待を煽るような言葉を告げればますます楽しみになって上機嫌のまま先へと進む。壮大で煌びやかなメイン会場から離れていくと灯りの数は少なくなっていき、その分小さな飾りによって照らされた道はいつもと違う印象を受ける。その道から少し外れた所に相手が建物を見つけると光に誘われるように中に入っていく。だが中は無人で床に行き先を示すような灯りがあるだけで天井の方は殆ど真っ暗だ。無意識に繋いだ手に力を込めながら歩いていると建物の中央辺りに円が敷かれていた。相手と目を合わせ一緒にその上に乗ると何かのスイッチだったのか一斉に光が灯る。だが先ほどのような眩い光ではなく、色とりどりの紙の中から漏れ出るような光で思わず目を見開く。淡く光るランタンが温室中に浮かんでいて先ほどとはまた違う幻想的な空間に取り込まれたような気分でもあり何処か懐かしいような感じもする。胸に感じたままを言語化して感想を告げると「不思議と落ち着くね」と言葉を続けて)
あぁ…ずっと見てたくなる光だ
(二人の周りで淡く光るランタンが浮いて隙間風に揺られてか時折ふわりと光が揺れる、それが今まさに天へと浮かんでいくような動きにも見えて見上げた光景に吸い込まれていきそうな感覚すらあった。これまでのイルミネーションも幻想的なものが多かったがここはまた雰囲気が違いつつも幻想的でもある、それを相手が温かで落ち着くと表現すればその言葉がまさに的確だとこちらも頷いた。相手の方に顔を向ければ背景に無数のランタンを携え優しい光に照らされた姿があってまるで二人で温かな夢の中に迷い込んでしまったようだ、無意識に口元を緩めながら繋いでいた手に力が籠る。建物の周囲はぼんやりとした光しかなくここを見つけられたのは運が良かっただろう、多くの人はこの光景を見逃してしまっているかもしれない。そう思えばより一層この景色を見ることが出来てよかったと思いが強くなって、繋いでいた手を一旦離すと相手の腰に回してこちらへ引き寄せると「この景色も二人占めだな」と呟いて)
…、…ならば、この景色の元に居る君は僕が独り占めだ。
(お互いに柔らかな光が照らす空間に目を奪われている。相手の視線がこちらに向いてもそれに気付かぬままランタンの光を見上げる。外からは殆ど音は聞こえなくて幻想的な光景も相まってこの空間に二人だけで閉じ込められたようでもあった。繋いだ手が強く握られると視線を相手に向ける。その瞬間に手は解かれ代わりに腰を引き寄せられた。再び相手との距離がゼロになって呟きが聞こえると一気に想いが込み上げてきて、突き動く気持ちのまま相手の頬に手を添えるとそのまま短く口付ける。ゆっくり離れていくと変わらず柔らかな光の元にいる相手が目の前に居て自然と表情が華やぐ。真っ直ぐと相手を見つめると思ったままの言葉を紡いでいて)
、……なら、この景色の中にいるお前は俺が独り占めだな
(幻想的な空間に二人ぼっちの現状、淡いランタンに囲まれた相手を見ていられるならいくらいても構わないと思える程の光景だ。思いのままを呟くと相手の手が頬に添えられる、こちらもこの会場に着いてから相手への想いは募り満ちて溢れていて相手の手に導かれるまま瞳を閉じて唇を重ねた。柔らかく温かな感触のあと唇がゆっくり離れて目を開ける、目の前にある相手の瞳の中に温かな光を放つランタンが浮かんでいてこの光景を取り込んだ美しい光景に思わずため息がもれた。溢れる想いは止めることが出来ず腰に腕は回したまま相手の正面へ立つと後頭部へ手を添える。この景色を網膜に焼き付けるように相手を見つめ同じ言葉を送り返すと今度はこちらから唇を重ね離れ難い感触に暫くそのままでいて)
ああ、……、…綺麗だ
(頭で考える前に身体は動いていて頬に手を添えて唇を重ねた。ゆっくりと離れると相手の目が開いてこちらを見つめる。それだけでどうしようもなく愛おしく感じて軽く相手の頬を撫でる。腰に腕が回されたまま相手が目の前に立ち、後頭部に相手の手が回れば視界に愛おしい人物がいっぱい映る。相手の声で同じ言葉が送られると胸にまた温かな幸せが満たして短く肯定の意を返す。そのまま相手が近づいてくると瞼を閉じて唇を重ねた。状況的に言えばいつ他人がここにやって来ても不思議ではない場所ではあるが今更辞めようとは想定思えない。柔らかく温かい何よりも幸せな感覚を味わうように暫くそのままで居たが数センチだけ唇を離して目を開ける。幻想的なランタンに照らされて何よりも美しい相手の姿を見れば柔らかく微笑んで頭に浮かんだままの言葉を告げて)
……また忘れられないことが増えちまった
(温かで幻想的な光に包まれ寒さも忘れる程に相手と寄り添って唇を重ねる。言葉では言い表せない幸福が胸に満ちてここが家の外だとかイルミネーションの会場だとか、そんな思考はどこかへ行ってしまった。今はただ相手とこの空間に浸りたい、僅かに唇が離れて目を開くと綺麗だと言葉が降ってきた。まさに今の状況にぴったりのものだが柄でもない言葉に多少の恥ずかしさはあってそれを誤魔化すように互いの額をくっつけて口元を緩める。周囲で淡い光を放ちながら揺れるランタンとそれらを目に写しながらこちらを微笑んで見つめる相手と、それらが収まる光景は今までみたどの光景よりも綺麗だ。胸を満たす想いは止まらなくて額をくっつけたまま「愛してるぜ、フィリップ」と心のままに想いを伝えると再び目の前にいる相手へと唇付けを送って)
…僕も、愛してる。……ん、 こうやって素直になるのもイルミネーションの魔力だろうか、
(思うがままのことを口にすると若干相手の顔に照れが混じったように見えた後、額が軽く合わせられた。視界には相手の顔と綺麗なランタンの景色だけが映る。そんな状態で最高位の好意の言葉と名前が呼ばれると更に幸せが満ちてふわふわと浮かれたような心地すらした。こちらからも同じ気持ちだと伝えると再び唇が重なって暫くその感覚に集中する。更に踏み込んでしまいたい欲も揺らいだが流石にここでは躊躇われてゆっくりと唇を離した。相手と外出してこっそり手を繋いだりキスをすることは何度もあったが今日はいつにも増してその境界線が緩い。それを冗談めかしてイルミネーションのせいにしてしまえばこちらからも背中に腕を回して軽く力を込めて)
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