検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…、ガ……っ!ゴホッ、…な、んだ?
(気道が無理やり閉じられ急速に視界が黒く閉じられていく、遠のく意識に焦りを感じていると突然首を絞め上げていたものがなくなって体が地面へと放り出された。体に力が入らず受け身も取れないまま地面に転がるかと思った矢先にこちらの体を受け止めるものがあって咳き込みながら目線を向ける。体を受け止めた相手を見ればさすがは相棒だと内心思うも油断できる状況ではない。再び怪人の方に目を向けるとその向こうに二人の人影が見えた。相手と同じくらいの歳の男子二人だ、不気味な怪物が目の前にいるというのにイヤに冷静で一人は銃らしきものまで向けている。黒髪の男子はもう一人へ追いつくと『調子に乗るな』と釘を刺すように鋭い言葉を返していた。訳の分からない状況に困惑していると茶髪の方がこちらへ向かって笑みを向ける。その顔をみた瞬間に、なんの根拠も理屈もないのだが、こいつとは何かの縁があると感じていた。呼びかけられた黒髪の方は大きくため息をついたあと『いくぞソウゴ』と呼びかけに答えて何かを腰に巻き付け機械らしいものを起動させる。派手な音楽の後に瞬く間に二人は装甲を纏って度肝を抜かれた。怪人に加えさらに起こった信じられない出来事に動けないでいると二人は怪人へと向かっていく。息のあった連続攻撃に怪人は為す術なく後退すると悔しさからか拳を握りしめていたが『マルモクができたならそれでいい』と小さく呟いてその場から逃走してしまって)
…、…ああ、おかげさまで助かったよ。 だけど、さっきの君達は一体…
(自分と同じぐらいの歳の二人が慣れた様子で怪物と対峙している。それだけでも異様だが何かを操作して特殊な装甲のようなものを纏うとますます信じられない光景が広がっていた。相手と共に動けないでいると二人は駆け出して連続攻撃を加えていく。先程相手が渾身の力を込めて殴っても何とも無かった怪人は確かにダメージを受けているようで見事なコンビネーションの攻撃に後退するばかりだ。ぐらりと大きくふらついた後何やら小さく呟いた後再び起こした突風に目を瞑った瞬間を見計らって居なくなってしまった。怪人が居なくなっても尚現実離れした出来事に呆然としていると『やっぱりライドウォッチが無いと倒しきれないのかな』など言いながら彼らが装甲を解く。見知らぬ単語や行動に思わず凝視していると茶髪の方の彼と再び目があって『ビックリさせちゃってごめん、怪我はない?』と近付きながら問われる。先程の戦闘と目の前にいる人物の柔らかそうな雰囲気のギャップに多少狼狽えながらも返事を返す。その回答に彼は安心した様子だったが今起きた出来事や彼らについて疑問は募るばかりでそのことを問うと『えっと俺達はさっき戦ったア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダーを倒すためにこの時代に来たんだ。その為にはこの時代の仮.面.ラ.イ.ダ,ーに会って力を貰う必要があるんだけど…』と説明してくれるが分からない単語ばかりで話が掴めない。そんなこちらの表情に気付いたのか『ゲイツ、何て説明すれば良い?』と困り顔で黒髪の方に助けを求めていて)
何が起きてんだよ……探偵?…なら俺達がそうだ。この風.都.の探偵、左.翔.太.郎.とフィリップだ
(怪人が風を起こした時も魔法のようだと思ったが二人が装甲を纏いそれが解かれるのも同じくで夢でも見ているのではないかと頬をつねりたくなる。装甲がなくなれば茶髪の方は年相応らしい柔らかい雰囲気を放っていて戸惑いながらも立ち上がり相手が今しがたの状況について問う。しかし返ってきた言葉には理解の出来ない単語が羅列されていて全く状況が掴めない。こちら側二人が混乱しているのを見れば茶髪は黒髪の方へ助け舟を求める。問われる前から呆れた顔を浮かべていた黒髪は再び盛大なため息をつくと『こいつらにそんな話してどうする。第一お前ウォズの話を聞いてなかったのか?この世界のライダーは探偵だって言ってただろ』と茶髪の方に小言を並べていた。その発言の中に引っかかる単語があって目を瞬かせる。黒髪はこちらへ目線を向ければ『俺達は探偵を探してる。知ってる事があったら教えろ』と話しかけてきた。生意気な質問の仕方はまったくもって気に入らないがなんとかその不満を飲み込んでニヒルな笑みを浮かべると自分達こそがその探偵だと自己紹介も兼ねて教えてやる。思わぬ返答に今度は黒髪が驚いたのか目を大きくさせると『ということはどっちかが当たりだな…』と呟いていて)
当たり? …正直まだ飲み込めない事ばかりだけど君達があの半分こ怪人のことを知ってそうなのは分かった。この街を守れるのなら是非とも協力したい。 翔太郎もそれで構わないかい?
(先程から理解出来ない単語ばかりだが彼らが何やら目的があってこの場面にやって来たのは分かった。黒髪の彼は茶髪に小言を述べた後探し人として探偵の単語を上げると目を瞬かせる。この街の探偵といえば自分たちの事で間違いない。二人の紹介をしながら探偵であることを告げてやれば黒髪の彼は驚いた反応を見せ、その後気になるワードを呟く。その言葉を拾いあげてみるもこちらの話だとばかりに視線をそらされてしまった。その彼に代わって茶髪がこちらを向くと『俺は常.磐.ソ,ウ.ゴ。そしてこっちが俺の仲間で家臣の明.光.院.ゲ.イ.ツ。ちょっとツンとしてるように見えるけど本当はめちゃくちゃ優しくてすっごく頼りになるんだ。』とニコニコした笑みで自己紹介と黒髪の紹介を始める。家臣というワードが気になる所ではあるか悪い人達ではなさそうだ。『俺達はさっきのア.ナ.ザーラ.イ.ダーを倒しにここに来たんだ。その為に翔太郎達の力を貸してほしい』と真っ直ぐ伝えられる。その姿に何となく自分達と近しい物を覚えた。正直理解が出来てないことも多いがこれ以上街の被害を増やさないためにも状況を知ってそうな彼らの手を借りるべきだろう。こちらから賛成を示すと隣の相棒にも意見求めて)
あぁ、あの半分こ怪人を放っておくわけにはいかねぇ。これ以上街を泣かせる前にあいつを止めねぇとな。こっちからもよろしく頼むぜ
(こちらが名乗れば向こうからも自己紹介が入る。ゲイツと呼ばれた黒髪の方は慣れ合う気はないとばかりに視線を明後日の方へ向けていたがソウゴの方から優しい等々の補足が入ると『余計な事を言うな!』とソウゴのほっぺを片手で潰すように掴んでいた。あまり動じていない様子のソウゴにゲイツは鋭い目のまま手を離すと腕を組んでまた明後日の方を向いていて、とりあえずこの二人の仲が良い事は理解した。少々癖のある二人だが自分達と同じ種の人間であるのは感じていてその上であの怪人を倒すという同じ目的を持っているのならば協力するのは大歓迎だ。むしろジンさんから受けた依頼を達成するだけでなくこれ以上街を泣かせないという自分の信念のためにも二人の協力は必須だろう。相手の問いかけにもちろんと賛同するとこちらからも協力を申し出ておいた。強力な味方を得た所で次にすべき一手を考える。ア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーと呼ばれたあの怪人はまた別の場所で同じことを繰り返すはず、その被害を止めなければならないが一方であの怪人の正体を暴くことも必要だ。人手があるならば「ここは二手に分かれた方がいいかもな」と別行動を提案して)
じゃあ決まりだ。…確かに正体に関する調査をする組と対策や作戦を立てる組に分かれた方が良いかもしれないね。 ならば明.光.院.ゲ.イ.ツ、僕と組みたまえ。
(頬を潰されても尚ソウゴの楽しそうに笑みが耐えない辺りそう珍しくもないやりとりなのだろう。半分こ怪人を倒すという目的が一致したところで協力を取り付けることになり今回の事態の解決にも希望が見えてくる。そこで相手から二手に分かれて調査する提案がされる。人手が増えたのならそれを活用すべきだと唇に指先を添え考え込みながらも同意を示す。それぞれに持っている知識の擦り合わせが必要な点や万が一怪人と遭遇した時の手としても彼らと自分達の1人ずつのペアで組んだ方が良いだろう。問題はその組み合わせだが二人の顔を交互に見つつ先程のやり取りを思い出すとゲイツの前に移動してきていつもの口調でご指名を告げる。ア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーとやらの知識や冷静な判断力がありそうに見えた。こちらが彼を指名すれば『じゃあ俺は翔太郎とだね。探偵の仕事を間近で見るなんて初めてだからちょっとワクワクするかも』とソウゴは無邪気に笑みを浮かべていて)
ならこの街の探偵の仕事ってやつをたっぷり見せてやるよ
(こちらの意図を汲み取った相手が二手に別れる案をさらに具体化させる。といってもいつもの二人の役割にソウゴとゲイツが加わった形だ、この街の探偵として動くならこのやり方が一番動きやすいだろう。勝手に話が進みゲイツは不満げに眉間に皺を寄せていたが口を開く前に相手にフルネームを呼ばれて指名されてしまい言葉は引っ込んでしまったようだ。軽く息をついたあと『いいだろう。お守りはこいつのお陰で慣れてる』とちらりとソウゴをみやった。ソウゴはというとこの状況にも関わらず探偵というものに興味があるようだ。少々呑気な気もするが期待の目を向けられてしまえばそれに応えないわけにはいかない、ハードボイルドな探偵らしくクールなキメ顔で返事をしておいた。とはいえ相手が同じ年頃の男と二人きりで行動するのに全く何も思わないこともなく無意識のうちにゲイツの方へと目線をやる。すると当のゲイツはこちらをしっかりと圧をかけるように睨みつけていて視線とかち合った。どうもこっちとは相容れないらしい、この組み合わせで正解だっただろう。もう少し情報を共有すべきかと考えていたがその前にサイレンと共にパトカーが到着して周囲の調査と怪我人の保護に当たり始める。その中から黄色い声があがった、どうやらラジオで話題になっていた街のヒーロー警察官がいるようだ。ここで巻き込まれてはまともな調査も出来ないだろう「よし、行動開始だ」と全員に声をかければソウゴと連れ立ちその場を離れて)
【魔王】
俺たちはア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダーの正体を探れば良いんだよね。探偵の情報収集といえば聞き込みとか尾行とか?
(ライダーの力はこの街の探偵が持っていると頼れる預言者にヒントを貰ってやってきたがまさかすぐに会えるとは思わなかった。彼らのどちらかがライダーであるはずだけど歴史改変のせいでその記憶は今はないはずだ。どちらにしても目的が同じならと協力を取り付け二手に分かれることになった。フィリップは話し方から頭が良い印象を受けたからゲイツと動いた方が相性が良さそうだ。ペアが決まったところでちらりとゲイツの方を見れば何故か鋭い視線を相手に送っていて「ゲイツ、怖い顔になってるって」と間に入るとその表情を緩めるように頬をむにむにと摘まんでおいた。そうしているうちに警察がやってきて現場の操作や救護を始める。それを見た相手が声を掛けたのを合図に二手に分かれて行動を開始した。相手に連れられ街を歩き始めると自分たちの担当する仕事を確認する。これまでと同じならア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダーの変身者が近くにいるはずだ。風の街ということもあって風車などが立っているのを物珍しく眺めつつ隣を歩く相手に視線を移す。相手はきちっとしたスーツにハットといういかにも探偵という格好をしていて頼りになる大人という印象を受ける。身近には居ない探偵という職業に興味を持てば緩い調子で調査方法について尋ねてみて)
あぁ。まずは今まであいつが現れた場所に行って情報収集だ。ア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダーとかち合うかもしんねぇが……家臣の方が武闘派みたいだったけど良かったのか?
(別れ際相手がゲイツの頬を弄ると『人前でやるな!』と摘んだ手を払い除けていた、お前も似たような事やっていただろうとか人前でなければ良いのか等色々言いたい事はあったが警察に気づかれる前に別れることになってしまった。相手と連れ立って歩きながら今後の方針を共有する。あの怪人が人の多い所に出没しているのは分かったがそれほど高頻度ではない、となると次に奴が現れるまでの間にこれまで怪人が現れた場所で聞き込みをした方がいいだろう。犯人の足取りを追い外を歩き回るなら再びあの怪人と対峙する可能性はこちらの組の方が高い、先程相手がゲイツに対して奇妙な呼び方をしていたのを思い出せばそれを交えながら視線を向けつつ問いかける。あの様子であれば相手一人と怪人が戦っても負けることはなさそうだったが念の為の確認だ。言い慣れぬ単語に思わず自分で笑ってしまうと「あいつが家臣ならお前は殿様か?」と二人の関係性を聞き)
【魔王】
ゲイツほどじゃないけど俺も実戦を踏んできたから多分大丈夫。それに危なくなったらすぐに助けに来てくれるはずだし。似たような感じだけど、俺王様になりたいんだよね。皆を幸せに出来る最.高.最.善の魔.王に。
(現場から離れて相手についていく。どうやら既にア.ナ.ザ.ーラ.イ.ダーが居た所を知っている辺り自分達と会わずとも独自に調査していたのかもしれない。これからの方針を立てる中で伺うような相手の視線を感じれば余裕のある笑みで問題ないと返す。さっきの手応えを見るに撃破はさておき足止めぐらいは容易なはずだ。もし追い詰められたとしても信頼のおける仲間が必ず助けに来てくれると信じているから心配はない。当たり前といったようにそのことを告げていると相手は何かツボに入ったのか笑いながら関係性について問われる。民を守る立場という意味では間違ってはいないと前置きをしたうえで相手を真っ直ぐ見つめると自らの目標を告げる。幼い頃からずっと持っていた夢でゲイツ達がやってきて共に過ごす中で頑固たる意思となった目指すべき場所だ。疑う事のない声で自らのことを王だと話すとへらりと表情を緩めて「ゲイツはそんな俺を信じてついてきてくれるって約束してくれたから大事な仲間で俺の一番の家臣かな」と説明して)
……そうか。王様とは随分デカイ目標だな。ま、そんなに信頼出来る家臣がいるんなら叶わねぇ夢じゃねぇのかもな。魔王で最.高.最.善.ってのもおかしな話だけどよ
(先程立派に戦っていたがそれでも相手は相棒と同じくらいの年頃で心配もしたくなる。だが余裕の表情で返事をしているのを見るに無茶をしている様子はない、それならば万が一の時には相手を頼っても良さそうだ。続いて関係性を問えば想像以上の答えが返ってきて一瞬呆気にとられてしまう、しかしこちらを真っ直ぐ見つめる目はふざけている様子はない。こちらを見る相手の顔は先程までと同じはずなのにその顔には王様になりたいなんて馬鹿馬鹿しいと否定できない何かを感じた。続いて家臣と呼ばれたゲイツの話を聞けば自然と口元は緩んでいく。出会った時から強い信頼関係は見えていたが相手にとってあの家臣はその名称を超えて絶対的な信頼を置いているらしい。相手が最終的にどんな形を王とするのかは置いておいて既に相手を慕い付き従う家臣がいるのならある意味で相手は既に王様なのかもしれない。自分にとっての相棒のように、相手にとっての家臣は特別な存在のようだ。スケールは違うものの人々を守りたいと思う気持ちは同じ、今日会ったばかりの相手を信じられる理由がまたひとつ増えたというものだ。気になった単語を拾い上げつつ足は昨日の夜にア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ー.が現れた繁華街へと向かっていて)
【魔王】
っ、てっきりいつもみたいに子供っぽいとか変だとか言われるかと思ったのに。ふふ、確かにヘンテコだけど手に入る力があるなら皆の為に使いたいから。…翔太郎も似たような感じでしょ?
(こちらの夢を語れば相手が呆気にとられているのが分かる。見慣れた反応ではあるがゲイツとの話を聞けばその口元が緩んでその目標が肯定されると今度はこちらがぱちりと目を瞬かせる番だった。大体この話をすれば笑われたり微妙な反応をされてばかりなのに相手の声色には揶揄いの要素も読み取れず本当にそう思ってくれたのが分かる。加えて続けられた言葉はゲイツとの関係と共に目指す夢を認めてくれるもので湧き上がる穏やかな感情に緩い笑みが浮かんだ。いくらでも誤魔化しようはあったのに素直に夢を明かそうと思ったのは会った時から感じている縁のようなものかもしれない。魔王という単語に結びつかない最.高.最.善.についてツッコミが入るとそれとなくその理由を説明しては出会った時からの直感を口にしていた。そんな話をしていれば昨夜ア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ー.が現れたという繁華街に辿り着く。初めて来る場所に辺りをキョロキョロしていると道の端に妙な人集りがあることに気づいて「なんだろ、あれ」と指さしながら相手に話しかける。集まっている人達は若い人が多く、携帯を片手に持っている人も多い。「行ってみよ」と声を掛けるとその場所に近づいてみて)
お前一人と会ってるだけだったら信じられなかったかもしんねぇけど、ちゃんと家臣が居んのならもう立派な王様だろ?……そうだな。俺はこの街を愛してる。だからこの街を泣かせない為に俺の全力を使い続ける。なんせハードボイルドな探偵だからな
(こちらの返事に対して相手は意外だったのか目を瞬かせている。今まで散々王様になりたいという夢に対して良い反応をされてこなかったのだろう、それでも口に出し続けている強さも相手にはあるようだ。世迷言だと笑ってしまうのは簡単だが相手を王だと言う人間が確実に一人いる以上その夢を否定することは出来ない。それにやはり相手には只者ではないオーラと言葉にはできない縁を感じるのだ。それを示すように相手から同様の考えを持っているだろうと見抜かれ問いかけられる。当然答えはイエスだ。自分が守りたいのはこの街ではあるが誰かのために使える力があるのなら必ず使う、見過ごすなんてありえない。最後には得意のニヒルな笑みを浮かべながら人差し指でハットの縁を持ち上げて格好つけていた。ア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーの目撃情報があった繁華街へとたどり着けば今日も人通りは多い、ここは昼夜問わず人の目を引くには最適の場所だ。早速聞き込みをしようとしたところで相手に促され指された方向を見る。何やら人だかりが出来ていて騒がしい、怪人と関係があるかは不明だが今はあらゆる情報が必要だ。「あぁ」と頷き答えれば人集りを後ろから覗き込んで)
【魔王】
そっか、俺達守るものとか目指す物は違うけど何か似てる気がするね。
(王は一人では王と成りえない。自分の目指す夢と大切な仲間がそれを支えてくれる様を見て王様と認めてもらえると嬉しくて口元は緩みっぱなしだ。向こうのペアと合流したら相手が自分達のことを認めてくれたと彼に自慢しなければ。直感に従って相手に問いかけるとハッキリとした答えが返ってくる。歴史改変のせいでライダーの力が無くなってもア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダ.ーに立ち向かっていたであろう姿から想像は出来たが相手の言葉には芯が通っていてずっとそうして探偵を続けていたのだと分かる口ぶりだ。カッコつけたような仕草も様になっていてふわり笑みを浮かべると思ったままのことを口にしていた。こちらの提案を受け入れて人集りを覗き込む。そこには側面が凹んだポストがあって周りには簡単な柵と使用停止の張り紙がしてあった。その周りに若い人たちが立っていて周りを見たり携帯で時刻を確認している。状況が読み込めずに近くの女子高生に話しかけてみると『壊れたこのポストを警察がもう一度見に来るかもっていう噂があって、ここに居たらあの警察官に会えるかなって思ってずっと待ってんの』と返答がある。どうやら昨夜の怪人の襲撃で壊れたポストらしくもう一度現場検証しに来る警察を待っているらしい。「有名な人なの?」と更に問いかけると持っていた携帯を見せてくれてそこには1人の警察官に対しての目撃情報や応援のメッセージ、そして次に向かうかもしれない場所が予想されている掲示板のサイトが表示されていて)
その警察官、今風.都.で有名になってんだ。街のヒーローだとかなんとか……げ、こんなサイトまであんのかよ
(相手が柔らかな笑みと共に『似ている』と口にする、奇しくもこちらも同じようなことを思っていたところだ。きっと相手とは根っこの部分が同じなのだろう。やはりただの偶然ではない縁を感じながら人混みへと近づくとそこにあったのは禍々しく歪んだポストだ。あの怪人が左拳で殴ったあとに違いない。周りの人集りは若い人、とりわけ女性の方が多く期待のこもった目でポストの方を見ている。完全にアイドルの出待ちの空気と同じだ。相手が近場にいた女子高生に話を聞くとお目当ては風.都.の噂の中心、例の警官だった。軽く相手に解説を挟みつつ相手が見せてもらっている携帯を一緒に覗き込む。見せられた掲示板には街のヒーローの情報やら応援コメントやらが溢れていてその異様な人気ぶりに思わず本音を漏らしてしまった。書き込みや周囲にいる人をみるに例の警察官は中高生から社会人までの若い女性の心を鷲掴みにしているらしい。若干やっかみの気持ちが生まれた所で近くで黄色い声があがった。釣られるように周囲にいた人々が一斉に声をあげる。すると一人の警察官が爽やかな笑みを浮かべながら数人の警官を連れポストへと近づいていく。周囲の人々は一斉にカメラを警察官へ向けると『シュン様だ!』『シュン様こっち向いてー!!』とそれこそアイドルのように声を挙げていて異様な光景に「なんだこれ…」と圧倒されるしかなく)
【魔王】
へぇ、街のヒーロー…、もしかしてあの人? ねぇねぇ、警察なら俺達が調べられないような情報も知ってるんじゃない?
(相手から説明が入り何となく状況を理解する。怪人が暴れまわっている今街の人を助けたり犯人を追う警察官は頼れる存在だろう。そういえばさっきも直ぐに警察がやってきて救護や現場を調べていた。書き込みによると現場の指揮も担当しているみたいでその頼りがいも人気の理由なのかもしれない。自分達とは違う意味で人々を守るヒーローの存在に素直に興味を示していると近くで黄色い声があがってそちらをむく。すると掲示板に載っていた写真に居た男性が数人を引き連れポストに近づいて行く。反応を見るにあの人が例のヒーローなのだろう。まるでアイドルのイベントのような光景に相手と共に圧倒されていたが一つのアイデアが浮かぶと相手の袖を引っ張って声を掛け得意げな笑みと共にそれを伝える。もしかしたら警察ならば犯人の目星もついているかもしれない。ポストを手袋をした手で何かを検証している警察をちらりと見ながら「聞いてみようよ」と彼に聞くことを提案しては相手の裾を引っ張って人混みの中に入っていく。どうやらあくまで再確認の調査だったようで後のことを任せ去っていこうとする彼の前に堂々と飛び出せば「お仕事お疲れ様です」と物怖じせず話しかける。自分を視界に捉えた瞬間驚いたように動きが止まったのには気付かず「シュンさんに聞きたいことがあって、怪人の目的とか正体って分かったんですか?」と無邪気に問う。まだ周りには彼を目的とした女性達がカメラや視線を向けていて自分も期待の目で彼を見つめて)
ん?まぁそうかもしんねぇけど……え?ちょ、待っ…!
(捜査の妨害にすらなるのではと思えるほどの熱狂ぶりだがその中で街のヒーローと呼ばれたシュン様がスカした顔をしているのが若干気に食わない。早く別場所で聞き込みをしようと思った矢先相手が袖を引いて話しかけてくる。確かにジンさんは直接この件を管轄している訳ではなく得られる情報は少なかったが当該事件の担当警察官となれば知っている事も多いだろう。肯定を示している間に相手はこちらの袖を引いて人混みに割って入っていってしまう。この熱狂的ファンを前にあまりにも堂々とした振る舞いだ。止める間もなく例の警察官の前に躍り出てしまうと周囲の女性ファンからの鋭い目線が飛んできて体に刺さり居心地が悪い、相手はそれを全く気にも止めずシュン様へ萎縮することなく話しかけていた。内心ヒヤヒヤしたものの多くの人の目があってか邪険に扱われることなく彼は『まだ調査中で分からないんだ』と笑顔で相手をいなそうとする。少々強引ながらもせっかく掴んだチャンスだ、ここで何も得ずに終わるわけにはいかないのと、こいつの鼻を明かしてやりたいという魂胆もあってシュン様を鼻で笑ってやってから「人が多いとこにばっか現れんだから目立ちたがり屋ってことくらい分かってんだろ?それくらいちょっと怪人のこと調べりゃ分かるぜ?」と煽るように言ってやった。すると彼はこちらへ静かに目線を向ける、平静を装っているつもりなのだろうがその瞳には苛立ちが垣間見えた。そして彼は右顎に手を添えると『暴力的な人間の考えることは分からないね』と爽やかな笑顔で告げる。その言葉と仕草に激しい違和感を覚えて一瞬時が止まった気がした。だが周囲のファンにはその仕草が大層良く見えたようで『シュン様かっこいー!!』『写真撮って下さい!!』と場が混乱し始め、シュン様を鼻で笑ったこちらは女性ファンに弾き飛ばされてしまい地面へ転がってしまった。そのまま笑顔でファンを宥めつつ彼はその場を立ち去ってしまって)
【魔王】
え、あの、もうちょっとだけ!…行っちゃった。翔太郎、怪我はない?
(強引に彼の前に出てきてストレートに質問を投げかけると爽やかな笑みとともに躱されてしまう。捜査状況を簡単に明かせないのは理解できるがこちらも少しでも情報が欲しい。だがこちらが更に問いかける前に隣に居た相手が煽るような口調で言葉を続けた。すると彼の動きが一瞬止まって妙な苛立ちのようなものが感じられた。それでも市民の手前笑みと共に冷静な口ぶりで返すと周りのファンは更に黄色い声をあげて彼の元に駆け寄りあっという間に人の壁ができてしまう。もう一度食らいつこうと人ごみに紛れて彼に話しかけようと声をあげるも熱狂したファンの圧に押されている間に彼は停めていたパトカーで去ってしまった。嵐のような出来事に呆然とするが弾き飛ばされてしまった相手のことを思い出すと近づいて眉尻下げながら手を差し伸べる。未だファンは『シュン様めちゃくちゃかっこよかった』『次何処に行ったら会えるかな』と浮かれている様子でヒーローというよりもアイドルに近い扱いだ。手を引っ張って相手を起こすと先ほどのやり取りを振り返る。彼は相手のことを暴力的な人間と言ったが煽るような言い方を除けばそういった所は無かったように思う。過去に接点でもあったのかと「なんか見知ったような言い方だったけどシュンさんと顔見知りだったりする?」と問いかけ)
いってぇ……ありがとよ。いや、あいつと会うのは初めてだが……考えすぎかもしれねぇけど、あいつ俺が怪人を殴ったとこと同じ場所を手で押さえてた
(無礼な探偵が突き飛ばされた所で気に止めるファンはおらず例の警察官は颯爽とその場を去ってしまう。相手に手を差し伸べられるとその手を取って立ち上がり服についた汚れを軽く払った。相手も彼の言動には違和感を感じたようで知り合いかと問われるが首を振る。『暴力的な人間』というのが怪人を差すようにも捉えられるがあの目は明確にこちらを向いて目の前の人間に対して言葉を告げていた。さらに彼が手を添えた場所、あそこは効力はなかったものの先程怪人に左拳を打ち込んだ場所だった。確証は何も無い、繋がりとしてはかなり薄い線だがそれでも線は線だろう。「あいつのこともっと調べた方がいいかもな」と
ス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ン.を取り出すと先程女子高生が見ていた掲示板を探してみる。風.都.とシュン様というキーワードですぐに該当のページはヒットして相手に画面を見せながらざっと内容を確認していく。その中で今朝方に例の再開発エリアにシュン様が現れるという書き込みがあった。引っかかったのはその書き込み時間であの怪人が現れたのとほぼ同じ時間に出没情報として書き込みがされている。怪人が現れた所にあの警察官が現れるのは道理だがそれにしては情報が早すぎるだろう。他の書き込みやアクセス解析が出来ればさらなる情報が掘れるかもしれない。となるとここからは相棒の出番だ。相手の方へ向くと「こいつはフィリップに任せて俺達は聞き込みを続けることにすっか」と今後の方針を共有し)
【魔王】
っ!もしかしたらあの人がア.ナ.ザ.ー.ラ.イ.ダーの正体ってこと? なんか未来予知みたいな書き込みだね
(相手と彼が初対面と聞けばますます謎は深まる。探偵として活動しているなら警察に目をつけられているのだろうかと考えた所で相手が咄嗟にした仕草について触れると思わず目を見開く。思いもしない発想だがもしその通りなら一応今疑問に思っていることは説明がつく。一つの可能性をあげていると相手が大きな携帯のようなものを取り出して先ほどの掲示板にアクセスするのを横から見せてもらう。今朝の書き込みを確認していると怪人が現れた時間と同じころに目撃情報があり、その後書き込みが一気に増えている。まるで怪人が現れ彼がやってくるのを予告しているような内容に素直な意見を口にしていた。より疑惑が深まる中で今回の件をもう一人の探偵に任せると言い切る相手から信頼関係が見えてくる。自分とゲイツと同じ、任せたら何とかしてくれると信じられる関係なのだろう。ならばこちらからは異論はなく「そうだね、じゃあ次は通学路の方に行ってみよう!」と賛成を示して移動を開始して)
□
…これが僕たちの事務所だ。
(相棒たちと分かれると自分達は違う方向へ歩き出す。ソウゴと名乗った方は年相応の柔らかな印象がしたが今隣を歩く相手は仏頂面というのがよく似合う顔をしている。それでも茶髪の彼とのやり取りを見る限り尖りきっているわけでもないのかもしれない。そんなことを考えながら口数少な目に移動すれば慣れ親しんだ建物が見えてくる。一度相手の方を向けばここが自分達の探偵事務所だと説明をする。この時間ならば新たに依頼人も来ていないことだろう。相手を引き連れて階段を上がればそのまま事務所内に招いた。作戦や方針を立てるならここが一番落ち着いて物事を考えられるだろう。早速本題に入ろうとするがふと相手は事務所としては客人だろうかと考えが及ぶと「…コーヒーでも飲むかい?」と問いかけて)
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