相乗りで何処までも 【 〆 】

ごちそうさまでした。勿論、まだデートした時にでも他のメニューを食べに来よう
（賑やかなやり取りをしながら食事を進めていく。この店のことを教えてくれた彼も知らない組み合わせだろうと持ち上げられるとより一層ご機嫌な笑みを浮かべる。バケットで残ったソースを拭って二つの皿を空にすると手を合わせて食事を終える。どうやら長くやっているお店のようでとても満足のいく味だった。次の機会を希望する相手の言葉に頷くとちゃっかり同時にデートをすることも規定事項にして提案をする。二人でそれぞれ頼んで分け合えばメニューを制覇するのも夢ではない。次の予定を立てながら一息つくことが出来れば会計を済ませて店を後にする。映画を見て美味しいご飯も食べて充実したひと時だがまだ時刻は昼過ぎ、まだまだ時間はある中で相手の方に振り向くと「次は僕が興味ある所に行ってみてもいいかい？」と尋ねて）

この店デートの定番コースになりそうだな。___もちろん、どんと来いだ
(次の来店を希望すれはそこに次のデートの約束もさらりと加えられてしまう。しかし落ち着いていて雰囲気も良くオマケに料理も絶品となれば反対する要素はなにもない、デートという特別な日にくる店にするのも良さそうだ。こちらもすんなりと次のデートを了承しつつ店を出る。朝から待ち合わせしただけあってまだまだデートの時間はたっぷりあって相手の次なるプランは向こうが興味のある場所のようだ。当初は一日中相手が行きたい場所に行くのだろうと思っていたのだから全く問題はない、小さく笑みを向けつつ当然のごとく頷く。「どこに行くかは秘密だったな」と行き先は聞かないことにして相手が歩いていくのについて行き)

…ここだ。バッティングセンター、野球における打撃の練習が出来る商業施設らしい。
(デートの時に利用するならば特別な意味合いを持つ店になりそうで心が踊る。次なる場所について問えば快諾が返ってきてご機嫌のまま「ならば行こうか」と言って歩き出す。静かな通りから歩いていくと屋外に設置された目的地が見えてきて入口の風.都.バッティングセンターの看板の前で立ち止まる。野球という特定の競技の打撃という動作をする為だけの施設があると知りどんな物かと実物を見に来たかったのだ。中からは利用している人がいるのか物同士がぶつかったような音が響いている。早速建物の中に入りながらも「君は利用したことあるかい？」と尋ねて)

あぁ、ここなら何回も来たことあるぜ
(相手が歩くのについていくとだんだんと見慣れた光景になってくる。デートに行くような場所で徒歩圏内となれば大方予想はついて、たどり着いたのは思った通りバッティングセンターだった。とはいえ学生時代はよく来ていたがここしばらく来ていなかった場所、腕が鳴るとばかりに自信を表すよう口角をあげると建物の中へと入る。バッティングスペースとその前の待機場所に古びたゲーム筐体がいくつか置いてある昔ながらのバッティングセンターだ、自分にとっては馴染みの場所だが相手とはあまり縁のないように思える。とはいえ何に興味のベクトルが向くか分からないのが知識欲の塊である相手という存在、「野球にでも興味持ったのか？」とここに来るきっかけを聞き)

そうだと思ったよ、若い君が好きそうだ。若.菜.姫のラジオで話題に出てたんだ、ストレス解消になるし球が打てるとカッコイイのだろう？
(古くからあるこのバッティングセンターは予想通り相手も利用した事があるらしい。大方ヤンチャをしてた頃だろうと予想すればからかい混じりに思ったことを口にしつつ中へと入っていく。検索で下調べした通り奥の方にピッチングマシンがあって飛ばされた球を手前のエリアで打ち返す仕組みのようだ。きっかけは単純で若.菜.姫のラジオに寄せられたリスナーの投稿だ。週末にストレス解消にバッティングセンターに行くとリスナーの投稿にバッティングの上手い男性はカッコイイとコメントしていたのは記憶に新しい。受け入りのように話すと様々な速度や設定のバッターボックスがある中で「どれがおすすめなんだい？」と助言求めて)

、パトロールの息抜きに行ってたんだよ！若.菜.姫.がそう言ってたならカッコイイとこ見せねぇとな
(一番通っていた時期をズバリ言い当てられると言葉を詰まらせる。相手の予想通りジンさんの補導の目を盗んで夜に入り浸った回数は数え切れない、典型的な不良学生だったのは相手もよく知るところで反論の余地はなかったがせめてもと街のパトロールを言い訳に上げておいた。バッティングセンターの情報源がラジオだと聞けば合点がいく、デートでここに来たのならばホームランを量産してカッコイイ姿を見せるのは定番だろう。平日の昼間なら客はほとんどおらずバッティングスペースに入って練習をしても迷惑にはならなさそうだ。相手はバッティングも初めてだろう、となればまずは基本の打ち方を覚えなければならない。傍らに用意されていた金属バットを持つと相手に差し出し「まずは初心者コースで打つ練習からしようぜ」と提案すると一番端にある初心者コースのスペースに入り立ち位置等を教えようと手招きして)

そういうことにしておこうか。ああ、指導は頼んだ。一応大まかな動作については調べたんだが…こうやって構えて、こんな感じで振るで合ってるかい？
（分かりやすく言葉を詰まらせる様子を見る限りどうやら図星だったようだ。容易に想像できる姿と苦し紛れの言い訳をする相手に免じて軽い笑みで深い追及はしないことにしておく。この場所に来た理由が相手に
伝わるとバットを受け取ってその重量感を確かめながら言葉を返す。経験者がいるのならやり方やコツを教えてもらえるだろう。誘われるまま一番端のバッティングスペースへと入る。バッティングセンターを検索する関連で何となくの動作の順番は頭に入っている。それを思い出しながらホームベースの真横に立つと力むようにバットを構えて腕の動きを主に勢い任せで振ってみる。腰は引けて勢いに振り回されているようなフォームになっているが本人はそれに気づかず相手の方を向いて評価を尋ねて）

……まずはバットにちゃんとボール当てる所からに目標変更だな。ま、大枠は出来てるからあとは力の使い方だ。バットをしっかり握んのは良いけどお前の場合は力みすぎだ。バットは両手をくっつけるようにして持つ。で、スイングする時意識すんのは腰と重心移動だ
(こうやってバッティングセンターで恋人に打ち方を教えて一緒に楽しむのもデートっぽいなと内心で心を踊らせながら早速相手のスイングをチェックする。が、検索結果を見様見真似したせいか構えまでは良くともスイングでバットに体を持っていかれてしまっていてこれではバットにボールを当てられても全て凡打になってしまうだろう。相手からバットを受け取ると今度はこちらがバッターボックスに立つ。バットを両手で持つと軽く脇が開くようにして構えまずは後ろの足から前の足へゆっくり体重移動させてみせる。「で、ここに腰の捻りを入れるんだ」と今度はゆっくり体重移動とすると共に腰を捻った。次はそこにバットのスイングを加えて完成形を見せると再び相手へバットを手渡した。相手のすぐ後ろに立つと「バットはここら辺に構えりゃいい」と密着して背後から手を伸ばすとフォームを調整して)

(/すみません先程のレスに書き忘れたのですが、本日この後の時間から背後事情でしばらくお返事できなさそうです……本日の夜中か明日くらいになると思います。お待たせしてしまいますが暫らくお待ちいただければ幸いです。/こちら蹴りで大丈夫です！)

力の使い方、…なるほど、腕だけでなく身体全体を使って安定して移動のエネルギーを一点に集中させる訳だね。…っ、…こうかい？
（飛んできたボールにバットを当て打ち返すだけの単純な動作だと思っていたがどうやらコツがいるらしい。バットを渡すと代わりに相手が立って見本を見せてくれる。軽く握る程度にバットを構え、重心移動とともに腰から身体を捻ってバットをスイングさせている。勢い任せに振るよりも向かってくるボールをしっかり受け止め、動作によって力を無駄なくバットに伝えることのできる動作に感心の声を上げた。大体の理屈が分かった所でバットを受け取って再び構えようとするがすぐ後ろに相手が立って抱きしめるような形で密着してきて動揺に一瞬身体が固まってしまう。本人は気にする素振りはなくフォームを教えるのに都合が良いからなのだろうがデート中となれば意識してしまうのも仕方ないだろう。正直相手の説明の半分ほどしか頭に入ってこない状態で一連の動きを一緒に行う。動き方は凡そ理解したものの以前キャベツの切り方を教えてもらった状況と同じになっていることに気付かせたくて先に相手の手首を掴んで捕らえると「熱心な指導方法だね」と顔だけ振り返って暗にそのことを伝えて）

（/ご連絡ありがとうございます。返信の件承知いたしました。急ぎでは全然ないですしプライベート優先ですのでまた時間が出来ましたらゆっくりとお返事いただけると幸いです。/こちら返信不要です。）

さすがの理解力だな。あぁ、あとはバットに当たるまでボールから目を離さねぇように……え、…ッ？！、バカ掴むんじゃねぇ！
(こちらが軽い解説と動作をみせてやれば相手はその動きの意味をすぐ理解したようでその分析力と解析力には相変わらず驚かされるばかりだ。理屈がわかったのならあとはその動きを体にさせるだけ、そう思って手の運び方や体の動かし方をしっかり教えようと後ろから体を支えつつ一連の動きをやってみせたわけだがどうにも返事のキレがなかった。今度は動きを理解するのに集中しているのだろうかと思っていたが、突然手首を掴まれると予想外のことに間抜けな声を出してしまう。直後相手の顔が間近に迫って『熱心』だと言われればようやく自分が相手を抱きしめるように立っているのに気がついて一気に顔に火がついた。白昼堂々体を密着させるなんて先程映画館で手を離したのはなんだったのかと自分にツッコミたくなる状況だ。慌てて離れようとするもいつか包丁の扱いを教えた時とは違い手を掴まれていて体勢を変えられない。この状況を自覚してしまえば恥ずかしさは増していくばかりでしっかり顔を赤くしながら抵抗するように掴まれた手を振ひつつ叫んでいて)

掴まないと逃げられてしまうだろう。翔太郎、今のだけじゃ分からなかったからもう一回身体の動かし方を教えてくれ
(手首をしっかり掴んだ上でその指導方法について指摘して見せれば間抜けな声をあげてみるみるうちにその顔は赤くなっていく。手を繋ぐよりもずっと言い訳の効かない状態だが本人にしてみれば無自覚での行為だったらしい。その事に気付き顔を真っ赤にして動揺したように叫ぶ様子が面白くて可愛らしくて、ご機嫌な顔で捕まえた理由を答える。平日の昼間では人もあまり居ない。それに先程手を離しておいて教えるのにこの体勢を選んだのは相手なのだ、その使命を果たして貰おうと今の一回では理解出来なかったと主張してこの状態で先程と同じ教え方をするようにお願いしてみて)

分かってて掴んでんのかよ！っ、……教えてるだけだしな、教えてるだけ…
(どうやら相手はこちらの行動を先読みしていたらしい、そこまでお見通しだったことも小っ恥ずかしくてそれを掻き消そうと再び叫びながらツッコむ。こちらが焦るのに対して相手は随分ご機嫌な様子でその顔でもう一度と強請られるとあれだけ叫んでおいて嫌だとは言えなかった、まさに惚れた弱みだろう。周囲には誰もおらずこれからも誰かがくる可能性は低い、ブツブツと自分への言い訳を口にして心を落ち着かせると、多少ぎこちないながらも再び相手に体を寄り添わせ後ろから抱きしめるように腕を回すとバットを持つ手にこちらの手を重ねる。とはいえしてやられっぱなしでは気が収まらずもう片方の腕を腰に巻き付け体を更に密着させ耳元に口を寄せると「バットを振る動作と腰を捻る動作を連動させんだ」と囁くように言いながら相手と共にゆっくりとスイングの動作をして)

最初はこうやって構えて…、っ…！ ありがとう、これでバッティングの姿勢は把握した。
(散々動揺してツッコミを入れていたがこちらがもう一度を強請ってみると嫌とは言わないのが相手の良い所だろう。じっと見つめていると何かを悩んだ様子でブツブツ喋った後、教えてくれる気になったのか再び腕が回されてバットを持つ手に相手の手が重なる。思い通りになったことに調子を良くして教えて貰う為に最初の構えをしてみる。そのままさっきの動作をするかと思いきや何故か腰に腕に回り不自然な程密着すると異変に気付く。そのまま口元が寄って耳元で囁かれるとぴくりと身体が震えた。これが相手なりの仕返しなのだろう。だがこちらからお願いした手前、相手の思い通りの反応をするのが癪で何もなかった体でスイングの動作をやり切る。二回もすれば大体の動き方は理解出来て付き合ってくれた礼を伝えると離れようとして)

……ならあとは本番だ。…ホームラン一本でも打てたらご褒美やるよ
(バットに手を添えたのは正しいスイング位置を教えるためで腰に腕を回したのはそこを捻るタイミングを教えるためだが傍から見れば後ろから抱きしめているのと同じだろう。先程の名残で未だ心臓が激しく高鳴っていて背中越しに相手へ伝わっていそうだ、だからこそ反撃を試みたのだが相手は小さく反応こそしたものの動揺をみせずにスイングの練習をやりきった。これでは反撃の意味がない、羞恥よりも対抗心の方が上回ると離れていこうとする体を腰に巻き付けた手で強引に再び引き寄せ強く身体を密着させる。そして再び耳元でなんてことない言葉を低い声で『ご褒美』を強調して告げる。次いでおまじないでもするようにリップ音入りで耳へと口付けを施した。そこまでしてパッと両手を離すと涼しい顔で「頑張れよ」と言えば装置に硬貨を入れバッティングスペースを出ていき相手の状況など顧みず有無を言わせぬままゲームをスタートさせて)

な、に、っん…翔太郎！！ っ、受けて立つよ
(動揺する中何とかスイングをやり切ると密かな安堵と共にその場から離れようとする。だが腰に回った手で引き寄せられると思わず焦った声をあげる。そのまま低い声で意味深に耳元で囁かれ極めつけにリップ音が響くと変な声が漏れて一気に顔に熱が登る。いくら人が居なくて挑発したとはいえ外でやる事では無い。やっと解放されると振り向いて赤い顔を晒しながら抗議を訴えるように名前を呼ぶか相手は涼しい顔で装置を操作してスペースから出ていってしまう。一人残されてどうしようか躊躇っていると目の前のホームベースの上にボールが早いスピードで飛んできて目を見開く。奥を見れば投球数のカウントが1つ進んでいて先程の発言も合わせると相手が勝手にゲームを始めたのに気付く。気持ちが落ち着かないまま始まった投球に再び相手の方に視線を向ける。色々言いたいことはあるがご褒美なんて用意する相手の挑戦とするなら受けて立つしかない。気持ちを切り替えるように立ち位置を調整してピッチングマシンを見据えバットを構える。すぐに二投目が投げられるとバットを振るが先程の感覚を思い出してしまうと腰の捻りと体重移動のタイミングがズレてバットに当たらず真横を通り過ぎる。3投目も似たような感じだったが一旦気持ちを落ち着かせるように息を深く吐いて4投目を待ち構え、一緒にしたスイングを意識しながらバットを振ると微かにボールがバットに当たって「当たった！」と声を上げて)

よし！コツが掴めてきたみたいだな。でも、ご褒美はホームランだぜ？
(周囲に人がいないタイミングではあったが家の外で水っぽい音を響かせてやればようやく求めていた反応を見ることができて口を薄い三日月の形へ変える。逃げるように出ていく時相手の顔がこちらへ向くと先程の自分のように真っ赤になっていてにやけ顔は止まらなかった。ボールを打つコツは教えたもののあの動揺っぷりではホームランを打つのは中々に難しいだろう。バッティングスペースの後ろに立って相手の様子を見守る。散々動揺させて打つのが難しい状態に仕立てたのは自分だが4投目でバットが微かにボールを捉えると思わずガッツポーズを作ってしまった。勝負に関係なく、そしていろいろあったとはいえこちらが教えたやり方でスイングが上手くなるのは嬉しいことだ。あとはここからどこまでスイングの動作を完成させられるかだろう。初心者コースならば球種は全てストレートで球速もそこまで早くは無いがどこまで合わせられるだろうか、「あと6球だ！」と残り数を叫んで伝えつつ後ろで見守っていて)

分かってる、…腰の捻りと重心移動を合わせて……、
(バット越しに微かな手応えを感じると背後からも声が上がる。段々と球速と振るべきタイミングが掴めた気がする。相手によって起きた動揺は一旦鳴りを潜めて再びバットを構える。しかしまだ掠めた程度だ、相手からもさらに煽るような言葉が送られると対抗心で強気に返事を返す。初心者用ということもあってどれも真っ直ぐで球速も一定だ。更に早めに振るように頭で考えながらバットを振ると次の球はさっきよりも確かに捉える事が出来てゴロではあるが打ち返す事が出来た。既存の経験から適切な状態に調整する作業は比較的得意だ。相手から教えてもらったことを呟きながらも更にバットの中央に当たるように、そしてそのタイミングに重心移動をして力を込められるように試行錯誤していけば8投目の時点で低い位置だが真っ直ぐ打ち返せるようになっていた。十分な手応えを感じるがここまで来たら相手の提示するご褒美が欲しい。いつになく真剣な顔で九投目も惜しい位置に打ち返し最後の投球だ。バットを構え投げられた球を自分の中で調整した最適なフォームで打ち返すと一番良い音と共にボールは高く強く飛んでいき奥のホームランの的に当たるのを見れば一瞬目を見開いた後、直ぐに後ろを振り返ってその的を指さし「翔太郎！見たかい、ホームランだ！」と無邪気な喜びを爆発させて)

いいぜ、当たってきたな。あとは思いっきり振り抜いて飛ばすだけだ！
(相手を動揺させキリキリマイになるのを楽しむはずがいつの間にか一球ごとに手に汗を握って応援してしまっていた。最初はボールを掠めるだけだったのが次はボールを捕え、次には打ち返す所まで進化する。相変わらず相手の理解力はなかなかのものだ、理屈と体が合ってくれば打ち返したボールがしっかりと飛ぶようになってくる。あとはジャストのタイミングで捕えられればボールを的まで運べるはずだが残りは一球となる。固唾を飲んで相手の真剣な横顔を見守ればこちらまで緊張が伝わった。直後今日一番良い音が場内に響いてボールは見事なアーチを描く、打球の行方を追えば見事に球は的に命中してホームラン判定の音楽が流れる。思わずガッツポーズをすれば相手の無邪気な笑みと目が合って胸に温かなものが広がる。勢いのままバッティングスペースへと戻ってくると自分が仕掛けた駆け引きも忘れたまま「よくやったぜフィリップ！」とこちらも笑みを見せながらハイタッチをするために相手へと手を掲げて)

君が教えてくれたフォームのおかげだ！
(最後の一球を確かな手応えと共に打ち返し、狙いだったホームランの的に命中させることが出来れば達成感と嬉しさで満ち溢れる。振り向けば相手も自分の事のように喜んでくれていてその喜びを分かち合う。初めてのバッティングで一番難易度の高いであろうホームランを成し遂げられたのはひとえに相手のレクチャーがあってこそだろう。掲げられた手を見れば更に笑みを深めてハイタッチを交わして相手の教えてくれたバッティングフォームのおかげだと感謝を伝える。ある意味これも二人で成し遂げた結果かもしれない。そんな喜びを噛み締めていたがふとこの目標を設定した元々のきっかけを思い出すとさらに半歩踏み込んで「課題であったホームランを打てたのだからとっておきのご褒美をくれるのだろう？」と期待と自信に満ちた目で相手を見つめて)