検索 2022-07-09 20:46:55 |
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なるほど、これが殺人の指示になっている訳か。…そうだね、もしかしたら切り裂きジャックの正体を知っているかもしれない。
(相手が読み替えと一文字飛ばしの法則を見つけると手元にあった紙に解読した文字を書いていく。解読した文字は被害者の名前と場所の指定、そして殺害指示を現していて点と点が繋がった。連続殺人は通り魔的な犯行ではなく、広告という多くの人の目につく形で指示が飛ばされ行われてきた事件だったのだ。感心するように感想を口にしながら最新の新聞を解読してみると今度は殺人の指示ではなく誰かと落ち合う約束が書かれている。つまり切り裂きジャックと繋がっている人物と会えるチャンスだ。またとないチャンスに深く頷くと早速そのバーに向かう事にする。部屋を後にして一階に降りると女性に部屋にあげてもらった礼と出ていく旨を伝えた。軽く会話する中でバーの場所を伝えればそこに行くまでの道のりを気さくに教えてくれた。改めて礼を伝えると『なんだかあの二人に似てるのよね』と言われ思わず目を瞬かせるも嬉しい褒め言葉だとして受け取っては家を後にした。教えて貰った通りの道を進んでいけば空の暗さも相まって怪しく感じる通りへと入っていく。一見廃墟のような建物の2階へ向えば小さくだがバーの名前の入った扉に辿り着く。相手に目配せしてから中に入ると意外と中は広く、客がお酒や賭け事のようなものを楽しんでいる空間が広がっていた。指示を出している者を探るためにも慣れた雰囲気で中へと入り客に紛れるようにカウンターについて)
世界一有名な相棒コンビに似てるって言われんのも光栄だな
(次の目的地が決まれば相手と連れ立って一階へと降りる。対応してくれた女性に『あの二人』に似ていると言われると瞬きした後に嬉しさと照れ臭さが襲いきて、なんとか小さな笑みを浮かべるに留めて例を言いながら別れの言葉を言う。名探偵とその相棒を近くで見ている人からその二人のようだと称されるとは光栄だ。ゲーム内とはいえこの時代に来ても自分達二人の絆の強さは眩く見えるものらしい。照れ臭さを自信に変えてこじんまりした扉を抜けてバーの中へと入る。見かけによらず人でごった返す店内を進んでカウンターへと座った。名前は分かっているが顔が分からない状態ではどこに切り裂きジャックに指示を出していた人間がいるかは分からない。どう炙り出すべきかと考えていると店内の一角で一際大きな声があがって思わずそちらの方を見た。そこには自分達と一緒のシナリオを選んだはずのゲーム参加者がいて「あいつら……」と思わず目を見開く。自分達の命がかかっているはずなのに酒を浴びるように飲んで賭け事に興じて派手に遊んでいるようだ。余りの騒ぎっぷりに周囲の顰蹙を買っているようで店内はピリついている。そのうちゲーム参加者と一緒に賭けをしていた男が何か気に食わないことでもあったのか互いに掴みかかる喧嘩が始まり店内は騒然とし始めて)
どうやら自棄になってるようだね。 っ、伏せて!
(カウンターに座り客に扮する為にも何か頼もうかと考えていると後ろの方で大きな声があがり相手と共に振り向く。そこには共にこのゲームを選んだ者達が酒を浴びるように飲み賭け事をして豪遊している姿があった。かなり騒いでいるようで周りからかなりの顰蹙を買っている訳だが本人達は全く気付いていない。聞こえてくる声からするにゲームをクリアするつもりはなく騒動に巻き込まれたから仕方ないと最後のひと騒ぎをしているらしい。遠巻きにそれを見て呟いていると何かきっかけがあったのか口論が始まりお互いに掴みかかる喧嘩が始まる。連れの男達も気に入らない態度にキレて喧嘩に加わり、それを止めようと店の者が加入したりすればますます騒ぎは大きくなっていく。これでは指示を出す人物を探すことが出来ないと焦っていると賭けをしていた内の一人が懐に手を忍ばせ銃を取り出したのを見れば目を見開き反射的に叫ぶ。流れ弾を警戒して相手の腕を掴んでカウンターの下にしゃがみこむと同時に店内に発砲音が響く。放たれた弾が参加者の一人を貫くと叫び声と共に床へと倒れたかと思えば光の粒子になって消えていく。データが削除されたような現象に「あれがゲームオーバー…」とぽつり呟いて)
せめて大人しく酒飲んでるだけに……っ!!、くそっ、ここで巻き込まれてたまるかよ
(騒ぎ立てていた参加者と客との喧嘩は瞬く間に人数を増やしていき店内の空気はすっかり険悪になってしまった。いい加減止めるべきかと椅子を降りかけたところで、一人の男が懐に手を伸ばしたのが見えて直後相手の声がかかれば相手に腕を引かれるままカウンターの下へとしゃがみ込んだ。凶弾に撃たれた参加者は血を流すことは無かったがその代わりに粒子となって消えていく、あれがゲームオーバーになった時の演出というところだろう。一度発砲されればもう場は収まらない、騒ぎの真相を知らぬ人間まで銃を抜き始め店内は怒号と銃声と悲鳴が至る所から鳴り響く。ここで巻き添えを食らうのはごめんだ、逃げ道を探そうとした所で奥のテーブル席に座っていた二人の男のうちの一人に屈強なボディーガードらしき数人の男が近づいてくる。二三言葉を交わした後に男は頷くとボディーガードに囲まれ店の奥へと消えていった。ここは小さな庶民的なバーであんな大層な扱いをされてるい人間は他にはいない。敵が多くなおかつボディーガードを雇うだけの権力がある男、そんな男なら新聞に何度でも広告をうって秘匿された指示を出せるはずだ。ホームズが広告を出していた会社の社長の名前の横にわざわざ宿敵の名前を書いていたのを考えれば今店の裏口から逃げようとしている人物にも察しがつく。「あいつを追いかけるぞ!」と相棒へ声をかければ姿勢を低くし相手の身体を引っ張るようにしながら乱闘が起こる店内をあとにして)
了解した。 、君が切り裂きジャックに指令を出していた人物だろう?
(一発の銃弾を皮切りに店内の空気はガラッと代わり争いの場と化す。これに巻き込まれてはゲームオーバーの危機があると身を潜めていたがその奥にこの状態でも冷静に動く人影が見えた。周りの男と何かを話した後に店の奥に消えて行くのを見ればおおよそ察しがつく。相手の言葉に返事をすると腕を引かれるまま身を屈めて乱闘を避けながらあの男の後を追う。幸い店の者は争いの処理に追われているらしく難無く裏口と出ることが出来た。すぐ下の通りに馬車が止まり正に男が乗り込もうとしているのを見れば安全を確認した後、階段から飛び降りて最速で彼らの元に辿り着く。この場で逃げられたら終わりだ。ならば一番興味を引くであろう正体を指差しながら明かしてみせる。指を指された小柄寄りの従者は『どうして私が?』ととぼけたフリをする。「香りだよ。19世紀には調香技術は飛躍的に進歩したけどそれでも一般庶民には手が届かないような高級品だった。シングルノートの物ではなくミドルノートやラストノートまで調合が取れている物なら尚更だ。店の裏口を知っている所を見ても贔屓の店でなにか人目を避けた話をしたい行動故のだろう」と以前調べた匂いの知識を元に推理を突きつけて)
とぼけても無駄だぜモリアーティ教授、ホームズと一緒に調べはついてる
(相手と共に無事店を抜け出せば例の人物はその場を後にしようと馬車に乗り込もうとしていて走る勢いを止めずに追いかける。普段は安楽椅子探偵の相手が階段を飛び降りたのは驚きだったが相手もそれなりに気合いが入っているということだろう。こちらも同じく階段を飛び降りてそのままバーで見かけた男に声をかけようとした。しかし相手が近寄ったのは従者の方でこちらまで驚いてしまう。相手が指摘した香水の匂い、細かい所まではこちらの知識にない話なら相棒が言うことならば間違いないはずだ。相棒の指摘に押し黙った従者だったがさらに男を追い詰めるようにそいつの真の名前を口にし、さらには宿敵の名前を並べてやれば流石に動揺したようだった。ロンドンの犯罪を裏で操るその手法を使う人物は犯罪界のナポレオン以外ありえない。二人の探偵の実力と宿敵との繋がりを示せば『何かようでも?』と教授は話を聞く姿勢にはいって不敵に笑う、これでまた一歩前進のようだ。「なら、切り裂きジャックについて教えてもらおうか」と今回のターゲットの名前を出せば、教授は軽く息を吐き『あれは私の最高傑作のはずだったんだかな…』と含みのある言い方をされて眉をひそめ)
…つまり貴方が育て親で一連の犯行は切り裂きジャックの暴走だと?……分かった、君もそれで良いかい?
(従者と入れ替わっていたことを指摘して見せれば男は押し黙り、相棒がその正体と宿敵の名を告れば明らかな動揺を見せる。観念したのかそれともここまで辿り着いた自分達に興味を持ったのか話を聞く姿勢を見せる。これで交渉の席に彼を乗せることは出来た。隣で相手がジャックの名前を切り出すと教授は含みのある言い方をして視線で続きを促す。教授によればジャックは浮浪児だった頃に拾い、暗い仕事を任せる為に育てた手駒だと言う。命令には従順で失敗もすることがないが代わりに必要以上に残虐な方法で殺害をしたり依頼していない人にまで手をかけはじめた。今は教授自身もジャックとここ数年は会っておらず居場所も分からない、唯一の連絡手段があの広告を出すことだと語る。『あのままでは奴は手をつけられない殺人鬼になる』と告げる教授の話を聞き終わると内容を確認するように問う。自分の手を汚さず刺客を作り出し利用しておいて被害者のような平然とした言い方に眉を顰めるが今ジャックと接触するにはこの手段を利用するしかないのも事実。『明日、ジャックに新しい殺害の指示を出す。君たちはその現場に先回りして奴を捕まえると良い』と提案する教授の策に乗るしかなく渋々頷きつつも相手に視線をやると意見伺って)
……ここが風.都.なら俺は間違いなくお前を逃がさねぇ…でも俺達は目的を見失うわけにはいかねぇんだ。これ以上話すことはねぇよ
(モリアーティ教授によって切り裂きジャックの情報が語られていく、しかしその内容は自ら育てた殺人鬼が指示を聞かなくなったのを嘆くようなもので眉間の皺を深くさせる。自ら手を汚していなくても教授は間違いなくこの霧の街を泣かせている人間だ。なんの躊躇いもなく殺人の指示を出すことを告げる姿に怒りが湧き上がるが相手の言葉でゆっくりと震える息を吐き出した。本来ならば絶対にここでこの男を逃がしたりしない。しかしこのロンドンの街では警察にツテはなく、そもそも教授を確実に犯人だと言える証拠は持っていない。第一これはゲームの一貫で教授を追いかけるのはその趣旨に反している。隣に相手がいたことでなんとか理性的に返事をすれば教授を睨むようにしながら馬車から離れやがて背を向けて歩き出した。今やるべきことは明日の朝刊を待つことだけ、再びベーカー街に戻ってあの女性に宿を借りるべきかと思った所でこの街の象徴である時計塔が目に入った。参加者の人数を表しているはずの時計はいつのまにか12時2分を表している、つまり残っているのは自分達二人だけだ。相手に時計を見るよう促したあと「俺達は意地でもクリアしなきゃならねぇみたいだな」と呟いて)
…ああ、ゲーム参加者も依頼人が残してくれた手がかりも犯人の好きにさせる訳にはいかない。…その為にも部屋を借りて明日に備えた方が良さそうだ。
(教授が明日出す指示によって誰かが命を狙われることになる。例えそれがゲームの中の仮想の人物だろうが許される事では無いがクリアの条件である殺人鬼と接触するにはこの方法しかない。隣の相棒が怒りを何とか押さえ込もうとしているのを見ればこちらの言葉に不思議そうにする教授に視線を戻し「…それじゃあ広告の件は宜しく頼むよ」とだけ告げてその場を去る。彼の語っていることが事実なら約束を反故することはしないだろう。やるべき事も終わりあとは一夜を明かすのを待つしかないが相手に促されると時計台に目をやる。いつの間にか長針はかなり巻き戻っていて2人しか残っていないことを示している。もし自分達もゲームオーバーになれば他の参加者を含めた50人が死んで事件の真相も闇の中だ。その重みを改めて感じてしまうと無意識に目を伏せる。だが決してそれを抱えるのは一人ではないと相棒の方を向くと気合いを入れる為の決意を口にする。少しの間相手を見つめていたが緊張を解すようにふっと笑うと今夜の方針を立てながら相手の手を取って軽く繋ぐ。ゲームの中とはいえ現実と同じでずっと気が張っていては持たない。シナリオ通りに進んでいるのなら明日の朝にならないと物事は進まないだろうと気を緩めれば先程のホームズの家の方向に歩きながら「まさか19世紀のロンドンで一夜を過ごすことになるとはね」と呟き)
(/お返事お待たせして申し訳ないです。本日体調が優れずお昼にお返事するのも難しそうです……体調回復すれば夜に投稿させていただきますので、今しばらくお待ちいただければ幸いです。)
(/体調が優れない中ご連絡頂きありがとうございます。返信の件承知いたしました。なにより探偵様の体調第一ですのでこちらの事は気になさらずお休みください。少しでも早い回復をお祈り申し上げます)
、…だな。明日が本番なんだ、今日はしっかり休もうぜ。___普通じゃ絶対来れねぇ場所なんだ、帰ってアキコに自慢してやらねぇとな
(教授に殺人の指示を促すのはシナリオの一貫であり決まっていた事なのだろうが架空の世界とはいえ自分の主義には反する選択だ。生き残りが相手と自分だけになってしまった事実も含めて必ずこの事件を解決しなければと険しい顔のまま時計塔を睨みつけ頷いていた。しかし少し置いた後に相手から先程よりも柔らかな声が聞こえて手を取られると予想外の行動に目を瞬かせる。そこでようやく相手の方へ顔を向けて目線が合った。どうやら気が立ちすぎて周囲が見えなくなりかけていたようだ、相手と手が繋がって軽く握られればエンジンのかかりすぎた心はすっと穏やかになっていく。こうやって地に足をつけるよう戻してくれるのもいつだって相棒だ、軽く呼吸をしてこちらも顔を緩めれば手を取り合ってホームズの家へと向かう。ここはあくまでも仮想空間ではあるが体感としてはタイムトリップに近い、レンガ道を歩く感覚も肌をじわりと濡らす濃い霧の感覚もまるで本物だ。命運が決まるのは明日なのに二人の居場所へ帰ることを前提に返事を返す、この霧の街の話を所長にすればきっと『私聞いてない!』の叫び声と共にスリッパが飛んでくるに違いない。スリッパを食らうのは不本意だがこのロンドンでの出来事をアキコに話してやらなければ。その為にもこのゲームと事件とを必ず解決しなければならない、相手と共にだ。静かな決意を胸にホームズ宅へたどり着けば再びあの女性が迎えてくれる。事情を話せば『ちょうど空いてる部屋があるから使ってちょうだい』と中へと入れてくれてガランとした部屋にベッドだけが二つ置かれた部屋へと通されて)
(/大変お待たせいたしました。そして温かい言葉もありがとうございます。ひとまず体調も落ち着いてきましたので問題なくお返事できそうです。お気遣いいただいてありがとうございました/こちら蹴りで大丈夫です!)
シャーロック・ホームズの家に泊まったなんて聞いたらビックリするだろうね。_ どうやらシャワーの設備はあるみたいだ、交代で入って早く寝てしまおう
(ずっと険しかった顔がこちらを向いて目が合う。タイムスリップしたかのように過去のロンドンを体験していることを話題に出せばその表情は緩んでいつもの会話のペースに戻っていく。濃い霧の中、手を引いてロンドンの空気を肌で感じながらもこの状況をお土産話にする気満々の相手の言葉を聞けば自然と口元に笑みを浮かぶ。同意するように会話を続けながら歩いていればホームズ宅に辿り着いて事情と泊めて欲しい旨を伝えると快く迎えてくれて一部屋を貸してくれた。ベッドだけの簡素な部屋だが寝るだけなら十分だ。もう1つの懸念材料だった風呂関係もシャワーは設置してあってお湯は期待出来ないが簡単に済ませる分には問題ないだろう。ぐるりと部屋を探索し終えてその結果を相手に伝えればさくっと入浴することを提案して)
今日は一日走り回ったしな、明日のためにも早く休もうぜ。先に入ってくる
(シナリオから考えてもここでホームズ宅に一泊するのは想定内のはず、きちんとした寝床があるのは何よりでシャワーもあるなら文句は無い。明日は世界一有名な殺人鬼を捕まえ、自分達含めた50人の命を救い、あの依頼人を殺した犯人を突き止める決戦の日だ。気合と英気を養うためにも早く寝床に入った方がいいだろう。相手も同意見のようで頷き返すと早速シャワールームへと向かおうとする。すると扉がノックされて『これ良かったら使って』と先程の女性がタオルと寝間着を用意してくれて再び感謝を伝えることとなった。タオルと寝間着をもちシャワールームへと移動すると服を脱いで蛇口を捻る。残念ながら出てくるのは水だけで、ゲームなのだからここまでリアルにしなくていいだろうと思わずごちてしまった。冷えた身体をタオルで手早く拭くと用意してもらった寝間着を手に取る。が、そこで一瞬止まってしまった。躊躇しつつも腕を通して寝間着を着込むとタオルと服を持って部屋へと戻る。相手の元へ戻ると「あがったぞ…」と控えめに声をかけた。女性が用意してくれた寝間着はバスローブで一応体は隠れているが足元に風が通り抜けて落ち着かず、ひとりでこの格好でいるのにいたたまれなくなってくると「早く入ってこい」と相手の腕の中にタオルとバスローブとを押し付けて)
おかえり、…大雨の日にホテルに泊まった以来の格好だね?似合ってるよ、じゃあ入ってくる。
(相手が先にシャワールームに向かう途中女性が再び部屋にやってきてタオルと寝巻きを渡してくれる。風邪を引くのは回避出来そうだと安心したところで相手を見送った。一人となり試しに地.球.の.本.棚に入ろうと試みるが瞼を閉じても本棚は現れない。やはり外部から持ち込むことは出来ず身一つでクリアしなければならないらしい。今頃体験会を見守っていた人達や警察で現実の方も混乱の中だろうと想像した所で相手がシャワールームから出てくる。出迎えの言葉をかけるがそこにはバスローブ姿の相棒が居て妙に落ち着かない様子を見せるものだからつい笑ってしまった。バスローブ自体は大雨の日に泊まったホテルで着たことがあるがまさかここでも見掛けるとは。思ったことを口にするもつい面白がるような声色になってその姿を褒める。もっとからかっても良かったがタオル類を押し付けられると仕方なく自らもシャワールームへ向かった。浴びるのは当然水だったがサッパリ気分を切り替えるのには丁度良く、寧ろこの時代ならではの上下水道やシャワーの整備などを観察していればついつい長くなってしまった。タオルで身体を拭き同じくバスローブを纏うと部屋に戻ってくると「あがったよ。まだ真冬じゃなくて助かったね」と感想と共に声をかけて)
何回着ても慣れねぇ……早くお前もこの格好になってこい___お湯も贅沢品ってのがよく分かったよ
(バスローブは直接タオルが肌にあたる感触や足元がスカスカなこと、ついでに胸元がざっくりと空いている所も何処と無く落ち着かない要因だ。あまり心の伴っていない褒め言葉を受けると相手もそうしないうちに同じ格好になるのだと追い立てるようにしてシャワールームへと見送った。ベッドへ腰掛けると窓の外をみる。時計塔は相変わらず12時2分を示している。どれだけリアルな世界でもこの仮想空間のゲームの中にいるのは今や相手と自分のたった二人だけ。誰か一人がクリアすれば良いルールだが妨害が入ったこのゲームでは相手がいなければきっと最後までたどり着けないだろう。夜の霧は空を覆って星も月も見えず見慣れない霧の街を眺めて相手が返ってくるのを待っていた。しばらくして相手が部屋に戻ってくるとお揃いのバスローブの格好になっている。温かいお湯さえもこの時代では貴重なものだ、ゆっくり風呂に入るためにも明日には二人の家に帰らなければならない。ベッドは二つ用意されているが、ちらりとまた時計塔に目を見やってから「体も冷えちまったし一緒に寝ないか?」と言い訳を付け加えながら自分の隣を軽く叩いて)
これもこの時代ならではの経験かな。 元々そのつもりだよ、広いと逆に落ち着かない。
(部屋に戻ってくれば窓の外を眺めていた相手がこちらを向く。さっきは相手のことをからかった物だが自分が着てみると最近買ったもこもこした寝巻きとは真逆の性質で落ち着かない気持ちも分かる。この感覚は二回目でもそうそう慣れない。シャワーで冷水を浴びる体験をこの時代ならではだと前向きに捉えながらベッドの元までやってくる。二人に宛てがわれた部屋なのだから当然ベッドも二つ用意されているが隣に来るように誘われると口角をあげてそこに座る。事務所や家のベッドに二人で寝る生活に慣れてしまって別々に寝るのは逆に眠れそうにない。明日に備える為にもいつも通りの寝方をして英気を養うべきだろう。当たり前の事を話す態度でその事を告げると腕を回して抱き着くようにしながら一緒にベッドに倒れ込んで寝転がり)
っ、違いねぇな。……明日必ず切り裂きジャックを捕まえてお前と一緒に俺達の家に帰る、絶対だ
(同じベッドへ誘えばそれが当然だという返事が返ってきて小さく笑う、その隙に前触れなく相手が抱きついてきてそれを抱き留めているうちに二人の体はベッドへと転がり変わらぬ温かさに口元を綻ばせながらこちらも相手を抱き返した。何もかもが現実のように見えるここでも今や相手と世界で二人っきり、今確かに相手を感じてこの腕に収めているはずなのにそれも脳にそういう信号が送られているだけで現実の体は離れている。相手をこの腕で確かに感じるにはこのゲームをクリアするしかない。相手と共になら必ず最後まで到達できると信じているが脳内ではバーでの光景が蘇った。光の粒子となって消えていきこの空間から退場してしまう姿、間違いなくこの空間で死というゲームオーバーがあるのだと思えば相手に回した腕に無意識に力が入る。この眠りの空間を二人の最期の時間にしたくはない、しかしここが敵の手中なのは間違いがなくいつまた妨害が起こるか分からなかった。胸のうちに薄く横たわる嫌な未来を掻き消すように腕の中の何よりも大切な存在をさらに強く抱きしめると自分に言い聞かせるように明日への決意を口にしていて)
ああ、僕たちなら成し遂げることが出来るはずさ。…だから大丈夫だよ、翔太郎。
(相手と共にベットに寝転がればその温かさを感じて深く息を吸った。事件の手掛かりを探るためのはずが思わぬ命の危機に見舞われることになってしまった。ゲームオーバーになれば二度と目が覚めることなくあの機械の中で命が尽きてしまう。他の参加者の為にも二人の約束の為にもそれだけは避けなくてはならない。相手も似たようなことを考えたのか背中に回された腕に力がこもって強く抱きしめられる。いつにも増して必ずや絶対という強い言葉を使い、少し痛いくらい抱きしめてくる相手が抱えている不安を誤魔化そうとしているのは見ていて明らかだった。同意する言葉を口にしながら肩から背中までを優しく撫でる。お助けキャラのホームズとの接触を妨害するくらいなのだからもっと大胆な介入をしてくる可能性は十分にある。現実以上に絶対を約束出来ない状況だが相手とならば何とか出来ると根拠のない確信があった。相手に同意するように頷けば一度強く抱きしめた後、相手の顔を覗き込めばその頭を優しく撫でながら大丈夫だと軽く笑って見せ言葉告げ)
、……あぁ、お前とならどんな状況でも切り抜けられるからな
(腕の中にいる相手を決して手放さないように、あるいは自分のものである相手を決して誰にも奪われないように、相手を強く抱き締めていると相手の掌が背面を大きく撫でて力の入りすぎていた腕が緩む。向こうからも強い力で抱きしめられれば、息苦しいはずなのにその苦しさの分だけその存在を感じて心が穏やかになった気がした。視線が交わり頭を撫でられながら『大丈夫』だと、たったその一言を聞けば奥底に潜んでいた不安がゆっくりと溶けて姿を消していく。静かに吐き出した息に不安や妙な力が紛れて流れ出して、呼応するようにこちらも笑みを浮かべた。相手の輪郭を確かめるように頬に手を添えると親指の腹でそこを優しく撫でる、今はこの感触を失う不安はなく早く現実でこの頬に触れたいという願いの方が大きくなっていた。これまでも相手とはどんな状況も突破してきた、今回だって二人ならば世界一有名な殺人鬼も捕まえられる。そう確信することが出来た。撫でられる手と撫でる頬とで相手を感じながら「そろそろ寝るか」と声をかけると身を僅かに乗り出してそっと唇を重ねて)
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