検索 2022-07-09 20:46:55 |
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確かに外との温度差が大きくなるほど出るのが惜しくなりそうだ。コタツではミカンが美味しくなる…? っ翔太郎、事務所にコタツを置くのはどうだい?
(相手もコタツに入ってくればお互いにその温かさを体感する。まるで怪談話のようにその魔力を説明されるとまだ少ししか体験していないにも関わらずその理由がわかるような気がして納得するように頷く。感覚としては今朝の布団から出たくないという気持ちを更に強くしたものだろう。その危険性は理解した一方で相手の発言を聞けば思わず食いついてしまう。人や状況で食べ物が美味しく感じられるのは知っているがコタツに入るという状況でもそれは起こりうるらしい。そんな話を聞けば当然好奇心は刺激されて目が輝き出す。だがここには当然みかんはなく検証は出来ない。ならばと少し前のめりに声をかけると購入して事務所に設置することを提案する。コタツの上の机を使えば普段の事務処理もできるし自分の読書も問題ない。そう言ってから相手が依頼人の目を気にするタイプなのを思い出すと「ガレージの方に設置しても構わないよ」と譲歩したつもりで言葉を続けて)
俺もそう何度も経験したことねぇけどこんなん冬に使っちまったら……なっ?!………、ダメに決まってんだろ!
(今は一番威力を発揮する時期でもないにも関わらず十分にコタツの中は居心地が良くてなかなか動こうという気にはならない。足を直接暖められれば体だけでなく脳もぼんやりとしてしまい、自分が相手の好奇心を駆り立てるような発言をしてしまっていることに全く気が付かず、その目がキラキラと輝き出してからようやく知識欲を焚き付けてしまったことに気が付き口を噤んだがもう遅い。相手は瞳を輝かせたままコタツの設置を提案してくる。事務所にというならば即座に断ったがガレージの方を提案されると言葉に詰まってしまった。冬のガレージはなかなか冷えてコタツを使うにはピッタリの場所だ。だがそれはすなわちあそこにコタツを置いてしまえば早々出られなくなってしまうことを意味して先日昼寝をして所長のスリッパを食らった身としては簡単に飲めない提案だ。誘惑をなんとか振り切るように首を振るが一度想像してしまった真冬にコタツでミカンというシチュエーションはなんとも魅力的で相手だけでなく自分も経験したくなってしまう。そこでふと案が浮かべば「どうせなら雪国でコタツ使って見たくねぇか?」と人差し指を立てて)
アキちゃんの言う電気代も節約出来て快適な冬を過ごすには必要だと思う…、雪国? 使ってみたい!
(余計なことを言ったという顔をしているが一度火がつくと止まらないのが自分の性分だ。事務所がダメならガレージにと熱心にアピールしてみると相手もコタツの魅力は十分に感じているのが熟考している。これならば行けるかもしれないと長い間を置いて出された返答にさらにアピールポイントを並べながら食い下がってみるがふと人差し指を立てながら思わぬ提案がされると一度言葉を止める。雪国ってことは今よりも、もしかしたら冬の風.都よりも寒い所だろう。そんな場所でコタツを使えば相手の言う真の魔力という物が経験出来るのに加えてミカンをより美味しく感じる事が出来るだろう。勿論その話に食いつかない訳がなくぱっと表情を明るくしては賛成の意を示す。だが身近で雪国というワードが当てはまる場所に覚えがなく「どこか良い所でもあるのかい?」と問いかけてみて)
前に行った温泉街覚えてんだろ?あそこの外れに一棟貸しの宿があってそこにコタツがあったはずだ。冬になりゃ雪も積もるはずだからそこで温泉にコタツにミカン、これ以上ないシチュエーションだろ?
(こちらの提案に相手の顔は更に明るくなって事務所にコタツを置くことから意識を逸らせたことに内心ほくそ笑む。だがこちらとしても願ったりな提案だ。先日たまたま読んでいた雑誌に二人で旅行に行った温泉街が特集されていて、その片隅に一棟貸しの宿の案内が出ていたのだ。それこそ一軒家のような宿だが紹介写真の中にコタツが置かれた部屋があったはずだ。しかもメインの温泉街から離れ神社等があった住宅地方面の外れにある分手が出せる範囲の宿代でこんな所もあったのかと記憶に残っていたのだ。相手のコタツへの好奇心が高まっている、それを最高潮に満たすのは今ではなくおそらくあの宿だろう。提案を伝え終われば自信を滲ませた笑みを相手へ向けて)
冬の温泉街…ああ、最高のシチュエーションだ! コタツとみかんの組み合わせは勿論、雪の中で入る温泉はまた違った雰囲気だろうね…是非行きたい!
(雪国と聞いて帰って来たのは以前旅行に出掛けた温泉街だ。あの時にも冬だと景色は違うといった話はしたがまさかコタツの夢も叶えてくれるような宿があるとは。あの時の楽しさと思い出は深く記憶に残っていて雪景色となれば同じかそれ以上に満喫することが出来るだろう。自信に満ちた問いに深く頷いてそのアイデアを褒めて肯定を示す。今聞いたコタツの魅力やそこで食べるミカンの美味しさを味わうのはもちろん、寒い中で入る温泉やそこから見る雪景色は最高であることは容易に想像がつく。思わず両手で相手の手を包み込むように掴んで行きたい意思表示をすると「ならば早速アキちゃんに言ってお休みを貰わなくては」とすっかり行く気満々で計画を立て始めて)
、だろ?あの温泉街に雪の時にも行きてぇって思ってたし、コタツも満喫できて文句ねぇ。早めにアキコに許可もらって冬の予定を押さえとかなきゃな
(こちらの提案に相手の興奮度も上々のようだ。手を掴まれると突然の行動に目を見開くもすぐにその顔には笑みが浮かぶ。こちらも思いは同じでコタツというキーワードとかつての記憶が結びついたことで良い旅行計画を立てられそうだ。とりあえずの関門は相手の言うように所長への許可だろう。早めに事情を話して出発日までみっちり働くことになりそうだが、またあの温泉街へ二人でいってまた違う体験ができるというなら気合いも入ると言うものだ。旅行への期待は高まるばかりだが人通りの多い店で二人コタツに入りながら手を取り続けるのも恥ずかしく、それとなく手を解くと「そろそろ出ねぇと店員さんに怒られちまうな」とコタツから足を出す。今はまだすんなりとできる行為でも冬の宿ではきっと困難だ。だがその真冬のコタツの魔力に囚われてしまうことが楽しみにしも思えてきて、期待を胸に立ち上がると展示スペースを降りて靴を履き)
ふふ、楽しみだ。ではコタツの検証はその時にしよう、
(またあの街には行きたいとは思っていたがこういう形で実現しようとは思っておらず期待は高まるばかりだ。所長への許可という部分で課題はあるが楽しみがあればある程度無茶振りされても頑張れそうである。さりげなく事務所へのコタツの設置は流されたのだが旅行への楽しみの方が上回って気付かず、促されるままコタツから足を出す。今でも快適だったのだから真の本領を発揮する冬の宿が楽しみだ。立ち上がって靴を履いてそう宣言をし、辺りを見渡して他に気になる暖房器具がないのを確認してから店を後にする。新しい服に新しい冬の予定が出来て口元が緩んで仕方ない中で商店街を歩きながら「他に見たい所はあるかい?」と相手に問いかけて)
俺の方は特に買うものもねぇし、あとは今日の晩飯でも買っときゃいいんじゃねぇか?
(少しだけ店内を見た後に店を後にする。事務所にコタツを置く話をなんとかなかったことにできて一安心だ。暖かいのは良いのだがあれだけ気が抜けてしまう暖房器具もない、まさに悪魔の誘惑そのものだ。事務所に置いてしょっちゅう気が緩む事態になっては困る。かといって家に置くには狭すぎでやはりあの温泉街で最高のコタツ体験をしてもらうのがこの件の落とし所といったところか。その分休みに向けてしっかりと準備をしておかなければ。新たな冬の予定に期待を膨らませつつ商店街を歩く、ひとまずメインの目標は達成出来たわけだが自分に必要なものは今の所思いつかない。となると、直近のものかと夕飯を買い物リストにあげる。何かと冬を思うことが多かった本日だがならば夕飯も同じようにするのはどうかと思い「鍋とか、ポトフとかチーズフォンデュとか……なんか冬らしいものにしねぇか?」と提案して)
冬らしいもの…、じゃあそうしようか。風邪を引かない為にも温まりたい所だし。
(一通り目的が達成出来ると他に冬支度と言われてもすぐには浮かばない。相手もおなじような感じのようで代わりに夕飯の案が出される。あげられたメニューは食べたことは無いが存在自体は知っている物だ。それが冬らしいと言われると一瞬首を傾げるもどれも鍋を囲んだり温かいまま食べるという共通点を見い出せば賛成を示す。旅行にちゃんと行く体調管理という面でも温かい物を食べて英気を養うべきだろう。そうと決まればすっかり行きつけとなった家の近くのスーパーへと向かう。ひとまずどれにするかは決めてないが最初にあがった鍋のスープが売っているコーナーに向かう。そこには寄せ鍋やごま豆乳鍋、もつ鍋、ポトフなど思った以上に種類があって興味深そうにそれらを見ていく。全て制覇したい気持ちもあるが今日食べられるのは一種類だけ、今回の目的とより好奇心惹かれる物と考えると「辛さで発汗作用がありそうなこのキムチ鍋とチーズフォンデュも楽しめそうなトマト鍋、どちらが良いと思う?」とどちらも赤いパッケージを見せながら問いかけ)
だな、アキコの無茶ぶりに応えるためにも風邪引いてられねぇし。____それならトマト鍋にするか。キムチ鍋にすると今はまだ暑すぎるだろ
(通い慣れたスーパーへたどり着くとまず決めるべきはスープの種類だ。相手と共にスープが陳列されている棚へ向かうとずらりと並んだ種類の多さに少々圧倒される。もうすぐ冬の到来といったところだがもう既に冬鍋の準備は万端らしい。相手は興味ありげに商品を眺めていてこの冬はスープ制覇のために何度か鍋を食べることになりそうだ。数あるものの中で相手が選んだのは二つの赤いパッケージだ、キムチ鍋とトマト鍋どちらもスープが特徴的な鍋でどちらも美味そうな写真がパッケージに乗っている。しばし二つを眺めて悩むものの選んだのはトマト鍋だ。キムチ鍋は発汗作用もあって辛さが食欲をそそるものだがまだ外気が冷えきっていないこの時期では部屋がかなり暑くなってしまいそうだ。夜には暖かいパジャマを着ることを考えればここはチーズも楽しめるトマト鍋が良いだろう。スープが決まればあとは具材を決めるだけ、キャベツやキノコ、ウィンナーといったパッケージで紹介されていた食材とチーズをカゴに入れれば「他に入れたいもんあるか?」とカゴの中身を見せながら聞いて)
なら今日はトマト鍋だ。 具材としてはこれだけで良いかな、それに確か鍋にはシメという物があるのだろう?
(相手が選んだのはトマト鍋だ。通常の鍋とチーズを掛けても楽しめる良いチョイスだろう。家で2人で夕食をとることも大分増えたのだから今年の冬は度々鍋にお世話になりそうだ。スープが決まればそれに入れる具材を裏のパッケージを見ながらカゴに入れていく。ある程度揃った所で相手に他に無いかと問われるが初めての鍋ならおすすめ通りのスタンダードな物を食べてみるべきだろうと首を横に振る。そしてもう一つの理由としてパッケージの作り方の横に添えてある紹介文を見せながら鍋のシメという物に興味を示す。一度の食事で二つの料理の過程を楽しめるとは中々珍しい食べ方だ。ご飯は家に冷凍ご飯があったはずだと告げ、その他必要な食材や日用品をカゴに入れるとレジへと向かう。会計を済ませてレジ袋に移し替えると「今日は色々と買ったね」なんて言いながら帰路について)
あぁ、こいつの締めくくりはチーズリゾットみたいだな
(パッケージに書かれていた具材を揃えれば鍋の用意はこれで完了だ。相手に鍋のシメの話がでればパッケージの裏面に書かれた項目を相手へ見せる。鍋の具材の下にはシメの例としてリゾットの絵と作り方が書かれていた。チーズはたっぷりと買ってあるので鍋を食べている間もリゾットの時もチーズありきで楽しめそうだ。会計を済ませてスーパーを出ると二人で今日買ったものを分けて持ち帰路へつく。メインは冬の用意だったがまたひとつお揃いが増え、冬の約束が増えと濃い一日だったように思う。少々肌寒い道を歩きながら「またお前のものが家に増えたな」と小さな幸せを噛み締めるように返事をする。相手が興味を示すものが増えてこだわりを持つものが増えて、相手のものも自分一人だった家に増えてきた。いつか手狭になるかもしれない予感を抱えながら家へとたどり着くと「ただいま」といいながら扉をあけて中へ入り)
君の家に初めて招かれた時は手ぶらだったのにね。これが君と生活するってことかな。 ただいま、
(冬の上着とお揃いの寝巻き、旅行の約束と冬に向けて準備するような一日だった。相手の言葉に今ある自分の物と呼べる物を思い返しては小さく笑みを浮かべる。初めて訪れたのはその場の思いつきとも呼べるノリで殆ど私物は無かった。同棲を決めてからも事務所から服を何枚か運んだ程度だったが今はお揃いの服に食器に写真にと自分の物が多く相手の家に存在している。それだけ相手と色々な場所で買い揃えて時を歩んできて、これからも一緒に生活するのだと思えば何だか擽ったくもある。ぽつりと噛み締めるように呟きながらも家にたどり着けば相手に続いて中へと入る。少し早いが興味のまま鍋を作ってしまおうと買ったものを机に並べる。前に探索した時に見つけた少し小さめの鍋を棚から出してくるとスープを移したりしながら「食材切るのは頼んだよ」とお願いして準備を進めていき)
そうかもな……おぅ、任せとけ
(一人で住んでいた家に相手がきて、それが普通になって、相手のものが少しづつ増えて、二人の家になっていく。それを二人で生活することと例えられると小さくとも確かな幸せに自然と柔らかな笑みが浮かんで肯定して頷く。この家が二人の暮らす空間になっていくことは即ち相手と衣食住を共にしている証拠だ。少しずつ、確実に変化していく二人の空間にさらなる愛着を募らせながら返事をすると早速買ってきた具材を切り始めた。といっても一口大に切るだけならばそうも時間はかからない。包丁を縦や横やに動かして具材をきっていけば相手が鍋にスープを用意してくれて鍋の中に具材を並べていく。チーズは最後に入れるとしてあとは煮込めば完成だ。シンクの下にある棚を開けるといつか依頼人に貰って家に持って帰ってきたものの使うことのなかった卓上コンロを引っ張りだして「後はテーブルで仕上げようぜ」とコンロと鍋とをテーブルの方へ持っていく。ガスボンベをセットして鍋を火にかければ煮えるのを待つのみだ。取り皿や仕上げのチーズを用意すれば準備は終了で先に席へとついて)
じゃあいただきます。 チーズはこれくらいで良いかな
(こうやって分担して準備することもそう珍しくないと感じるのは日々の積み重ねの結果だろう。具材を切るのを任せている内に取り皿などを準備していく。相手が下の棚を漁って卓上コンロを取り出してくれば初めて見るそれに興味を示して近付く。どうやらガスボンベを燃料にする独立したコンロのようで「これなら熱々を食べられそうだ」と口元を緩める。コンロの上に鍋を置いて火をつければぐつぐつと煮えて良い匂いがしてくる。準備を終え席に座ると相手の方を見てから手を合わせて食事の挨拶をする。早速準備したチーズを贅沢に鍋の半分側にだけたっぷり入れてみればスープの熱でいい具合に蕩けていく。多少生でも問題ないキャベツを溶けたチーズにくぐらせて器に取るとびよーんと伸びて期待が高まる。そのまま口に運ぶと溶けたチーズの温度に若干火傷しかけるもトマトの濃厚な甘みや旨味とチーズのまろやかさがマッチして「美味しいよ、翔太郎!」と無邪気に感想を伝えて)
いただきます。それくらいの方がチーズもいい感じに溶けるだ、あ、おい!……美味いんなら良かった
(鍋が煮えて酸味の聞いたトマトの香りが周囲に広がり食欲をそそる。相手も席につけば火を弱くしてたっぷりのチーズが鍋に投入された。色味が加わりさらに美味しそうになった鍋を前に相手と共に手を合わせたあと早速鍋をつつくことにする。何を食べようかと眺めているうちに相手は早速キャベツを器へと取る、チーズがよく伸びていて食べにくそうだがあれもこの鍋の醍醐味だろう。火傷すんなよ、と声をかける前に相手はさっさとチーズ付きのキャベツを口にしてしまい思わず声をあげる。咳き込まないかと見守っていたがどうやら何事もなかったらしい。胸を撫で下ろしつつ相変わらず目の前の興味あるものに猪突猛進していく相手には呆れのため息が出る、だがその口角はあがっていてこんななんて事のない日常さえ楽しくて幸せに思えてしまえていた。相手に続いてウィンナーにチーズを絡ませるがよく溶けたチーズはなかなかちぎれる事はなく、ぐるぐるとウィンナーにチーズを巻き付け続けようやくひとつをとる事ができた。器に運びつつ「食べるのに一苦労する鍋だな」と冗談をいって口へと運べばトマトの酸味とまろやかなチーズを纏ったウィンナーを堪能していて)
お祭りの時に食べたチーズの奴を思い出すね、あれもチーズが伸びて大変だった。…こうやって熱々の一つの鍋を食べるなんてなんだが新鮮だ
(チーズをまとったキャベツを躊躇なく口へ運べば相手から声が上がる。心配と呆れのこもった溜息が零されるがこの年で火傷しないかと心配されるのは些か過保護ではないだろうか。だがその口角はあがってるのが見え、続いて相手がウインナーに絡ませたチーズを切るのに悪戦苦闘するのを見れば自然と笑みが浮かぶ。ふと似たような経験を夏祭りにもしたことも思い出せばたっぷりのチーズの入ったパンを食べたことを話題に出す。あれも何処まで伸びるか挑戦したり切れないチーズに苦労したのは記憶に新しい。相手と外出するようになって色々な物を食べたなと思い返しつつ今度は鍋の方を味わおうとお玉でスープごと具材を取り皿に取る。何度も相手と食事を囲んできたが卓上コンロを使って同じ鍋をつつくというのも恐らく初めての経験だ。準備する手間とスープの記載が複数人分を前提にしていることから鍋は誰かと食べることを前提とした料理であることは推測がつく。一人では食べられなかったであろう味と思えばより美味しく感じられて感想を述べながらも「数ヶ月もあればあそこにあった鍋全種類は制覇出来そうだ」と好奇心のまま今冬の企みを掲げて)
あれはお前が限界まで伸ばすから大変だったんだろ!__そういやお前と鍋食べるの初めてだったな……どんだけ鍋食う気だ!、でも鍋なら調理の手間も少ねぇし野菜も沢山取れるし、毎回味が違うならありか…?
(ウィンナーを咀嚼していると相手が夏祭りの思い出を語るがその時の苦労の大半は相手がチーズを断りもなくどんどん伸ばした事で反射的にツッコミを入れていた。あの時はチーズ自体を楽しむ側面が大きかったがこのトマト鍋はスープとチーズと具材のバランスを楽しむものだろう。相手に続いて具材とスープを取り皿に取っていると鍋が新鮮だと言われて、記憶を辿るとまだ二人で鍋をつついたことがなかったことを思い出す。一人で住んでいる時は鍋も卓上コンロも滅多なことが無い限り活躍することはなかったが、これも相手と一緒に暮らし始めてからの変化といったところだろうか。またひとつ相手と『初めて』を共有したことに鍋とは違う温かさを感じたのも束の間、相手が鍋全種類制覇を宣言してまたも反射的につっこんだ。相変わらず興味を持ったことには極端になる相手だが、この鍋に限っては一拍置いて悪くない提案かもしれないと思い直す。手軽に作れるうえに味のバリエーションも豊富、具材も様々な種類食べられるとなれば案外健康的なメニューかもしれない。予想外に実用的な提案にすっかり肯定側へと回っていて)
調理を進めながら食事が出来るとは合理的な料理だね。見ている限りは基本の具材も似通っているし量の調整やアレンジも容易だ。何より二人で温まる冬のメニューとしてはアリだと思わないかい?
(鋭いツッコミが入れば「そうだったっけ」と惚けたフリをする。思い当たる節はあるがそれを含めての思い出で口角はあがったままだ。料理と言えば出来上がった物を皿に盛りつけてテーブルに運ぶことが多いが鍋は煮込むという料理過程を目の前で行いながら食べるとは合理的かつ面白い料理だ。そして一を知れば全てを検証したくなるのが自分の性分で全制覇を宣言すればまた突っ込まれてしまった。だが今回は渋々受け入れるいつもとは異なり、肯定へと流されつつあるのを見ればすかさずその背中を押そうとアピールポイントを並べていく。帰宅時間が不安定なこの仕事ではすぐに準備が出来て気分や体調によって具材や量を選べる鍋は健康面からみても悪くない案のはずだ。好奇心を満たせるチャンスに真っ直ぐな目を向け最後の一押しをして)
まぁ確かに、俺らの生活スタイルにもあってるな……今度スープ買いだめにいくか。ただし、常識の範囲内でしか買わねぇからな
(帰宅時間がまばらで時にはヘトヘトやボロボロで帰ってくることもある自分達にとって食材の自由度の高さがありつつ調理も簡単な鍋はピッタリの夕飯かもしれない。相手の言うことも尤もで最後の一押しで二人で共有できる点を推されると心は賛同へと動いた。あれだけスープの種類があればいろいろと試して見たくなる気持ちも分かる、今度の買い出しの時にはいつでも鍋にできるように買いだめを提案しておいた。しかしここで単純に賛成をした場合油断すれば相手は一気に全てのスープを買って来て部屋中にスープの袋を溢れさせる人間だ。人差し指をビシッと立てればあくまでも食べられる範囲を買うのだと釘を刺しておく。とはいえ頻繁に食べれば全制覇もあながち無理な目標ではないように思えて「ゆっくり全制覇目指そうぜ」と相手の目標にこちらも乗ることにして)
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