検索 2022-07-09 20:46:55 |
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な、……いや確かにタトゥーを本当に隠したいなら化粧なりなんなりの方が効果的だ。服なら隠すことも見せることも出来る。本当に生.体.コ.ネ,ク.タ.が会場への紹介状ならそこのオークションはメモリを売り捌くためだけの場所じゃねぇか。絶対に止めねぇと……にしても生.体.コ.ネ.ク,タ.が入場の条件なら俺達は会場に入れねぇぞ
(例の息子が調べていたキーワードに頭を捻っていると相手がひとつの可能性を示して目を見開く。反射的にそんな馬鹿なと口にしてしまいそうになったが有り得る可能性だ。わざわざ服で隠すという選択をしていた点や息子が欲しがっているのがメモリである点を考えれば彼が隠したがっていたのは生,体.コ.ネ.ク,タ,なのかもしれない。それにコ.ネ.ク,タ手術を受けた時点である程度組織と関わりのある人間だという担保も取れるはず、それを紹介状にするというのも納得だ。そうなるとオークション会場に集まる客はコ.ネ.ク.タ.手術を受けた人間ばかり、つまり全員メモリを目当てにやってくるということだ。犯罪を生み出す温床のような場所だと思えば眉間に皺が寄る、これは潜入するだけでは終われないかもしれない。だがそうなると新たな問題が発生する。入場に紹介状が必要なら当然今のままでは門前払いだ、かと言ってコ.ネ.ク.タ,手術を受けるのは言語道断だろう。新たな問題に再び頭を捻ると「マジックで描くしかねぇか…?」と思いつきで口にして)
特殊な場所で希少なメモリだと印象づけることで購買意欲を煽り高額の値段で売り付け、そこで得た資金で新たにメモリを製造する。理にかなった商売だ。 …もしかしたら。 __ 以前女装の道具を借りた時にこれが混じっていたんだ。好きな柄や模様を転写出来る物らしいけどコレを肌に付けて馴染ませ紙を剥がせば…手術の完了だ。
(一つの可能性を提示すれば相手の視点からも意見が述べられる。完璧じゃない方法で何かを隠さないといけない理由、完全匿名を保ちながらもあちら側の人間だと判別する方法などが繋がっていけばオークションの実態が見えてくる。相手の言う通り初めからその場の全員がメモリの売買に加担しており、客は希少性や能力の強いメモリを求め運営側はその金を更なるメモリの製造や販路の確保への資金源へとする。考えられた仕組みだが放っておけば更にメモリの被害が拡大するのは間違いないだろう。相手の眉間のシワが深くなるのを見ながらも同意するように言葉を続けていく。この話が合っているなら潜入にはコ.ネ.ク.タを見せる必要がある。その問題に対して相手の呟きを聞けばあるアイデアが浮かんで再びガレージへ向かう。十分程して二枚の紙の様なものを持って戻ってくれば早速相手の腕を取り肘辺りまで軽く袖を捲る。以前ロリィタ服を着た時に借りた道具の中に入っていたタトゥーシールの原紙にコネクタの模様を印刷した物を見せる。シートを剥がし腕の内側に宛てがってから濡らしたタオルでシールを押し付けるように水分を含ませていく。頃合になって端から紙をゆっくり剥がしていけば相手の肌にコネクタの柄が転写され、仕上がりを伺うように「本物っぽく見えるだろう?」と少し得意げに問い)
理にかなってようがなんだろうが、それが街を泣かせることに繋がってんなら見過ごせねぇ…___ん?それコネクタと同じ模様、だよな?………おぉ、すげぇ!確かにこれならパッと見は分からねぇし、ずっとコネクタが浮かんだままってとこにも矛盾しねぇ。ナイスアイディアだ、フィリップ
(オークションという特殊な状況で選ばれた人間だけが入れる場となれば、確かに希少なものが手に入るだろうという期待は高まりメモリに高値がつくのも頷ける。メモリの流通と資金調達を同時にやってのけているわけだ。オークションを主催する奴らにとっては重要な場所なのだろう。それが街を泣かせる元凶となっているのなら絶対に見すごすことは出来ない場所だ。だがそこへの入場方法に頭を捻っていると、相手が何かを思いついたのかガレージへと降りていく。暫く事務所スペースで待っていると相手が戻ってきて、その手に握られていたのは二枚の紙だった。転写ができるという説明を受けてもピンと来ないまま相手に身を任せて腕に紙と濡らしたタオルが宛てがわれ、暫くしてから紙が剥がされる。すると腕にはそれこそタトゥーのように生.体.コ.ネ.ク.タ.の模様が浮かび上がって思わず感嘆の声をあげた。これならマジックよりも違和感がなく、むしろ本当にコネクタが体に刻まれているようにさえみえる。入場の時に紹介状を見せるよう迫られてもバッチリだろう。相手の肩を軽く叩いて褒め言葉を送る、これで準備は完了だろう。「あとは息子が動き出すの待つだけだな」と自信を覗かせる笑みを相手へと向けて)
流石に触ったり本物と見比べたりしたら違いに気付くだろうけど軽く見せる程度ならこれでも十分なはずだ。 ああ、彼が外出する頻度を見てもそろそろオークションが開かれる可能性は高い。 それまでにもっと情報を集めておくよ
(紙を剥がして腕に転写された生.体.コ.ネ.ク.タ.の模様に相手が声をあげる。マジックで書くよりも正確で無理矢理落とそうとしなければ数日間はこの状態のままであることも助かる点だ。自らの案を褒められると誇らしげにしながらも補足説明を加える。よくよく見れば質感などに違和感はあるがまじまじと確認するなど高額の金を落としてくれる可能性のあるお客様を疑うような真似は開催者としても取りづらいだろう。これで潜入する準備は出来た。オーディションの開催日などは何かしらの方法で彼に伝えられるはずだ。その内容を知る方法がない以上彼が向かうのに便乗して乗り込むしかない。こちらも潜入に向け自信をにじませた顔で頷き、その時まで各自更なる情報を集めることとなった。その日は何も起きることはなかったが翌日の夕方頃、お願いしていた彼の母親からまた何処かに出掛ける準備をしていると連絡が入った。連絡を受けた相手と顔を見合わせると「いよいよ潜入だね」と告げ急いで準備に取り掛かり)
あぁ、昨日の今日で開催されるとはついてるな。服装も仮面も紹介状もバッチリだ。……敵の巣窟に乗り込むんだ。気合い入れて行くぞ、フィリップ
(これで彼の周りに張り巡らされていた怪しい点を解明することができた。あとはオークション開催の日が巡ってくるまで万全の準備を整えるだけだ。そのチャンスは直ぐにやってきて、翌日に母親からの連絡が入れば相手と顔を見合わせ頷く。オークションだっていつ開催されなくなるか分からない、早いところ蹴りを付けなければならないだろう。予定通りジンさんの軍資金でいつかに買った一張羅を着込んでいつもよりもきっちり整髪剤で髪を整え雰囲気を変える。ジャケットの内側にはメモリの他に青色の仮面を忍ばせておき、腕にあるタトゥーシールの生.体.コ.ネ,ク.タ.もくっきり体に張り付いている。潜入の準備はバッチリだが敵の中へ飛び込んでいく行為にいつかのバーの事を思い出す。あの時はまさか組織に繋がるなんて思いもしなかったが、今回は最初から組織の中に飛び込んでいくのが分かっている。相手を置いていきたい気持ちはあるがそんな場所だからこそ二人でしか乗り越えられない場面もあるだろう。軽く息を吐いたあと相手の両肩に手を置いてまっすぐ見つめ、相手と自分に発破をかける言葉を口にしていた。薄らと顔に緊張を宿しながら「準備いいか?」と確認をとり)
勿論準備万端さ。敵の巣窟だろうがやる事はいつも通りと変わらない。君と二人でこの街を泣かせる元凶を止める、それが僕達の役目だ。
(久々に高級なジャケットに袖を通していつもは風になびくような外ハネの髪も控えめに下ろしてクリップは外しておいた。メモリや仮面をジャケットに忍ばせ腕に付けたタトゥーシールも問題ない。この姿に仮面をつければそうそう自分だとは気付かれないだろう。そうして準備が済むと相手がこちらの両肩に手を置いて真っ直ぐ向けられる目と視線が重なる。少し前ならばオークション会場には相手一人が侵入すると言い張って聞かなかっただろう。自分が同行するリスクはあの元研究員の出来事といい十分に理解してるつもりだ。それでも今は相棒として隣に並んで一緒に行動することが許されている事が何よりの信頼のように感じられて口角を上げてその言葉に応えた。珍しく相手の顔に薄ら緊張を感じ取るとこれからやる事もいつも通りと称してこの街の探偵としての使命を口にする。二人ならば出来るとお互いを鼓舞すれば先に偵察に飛ばしておいたバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ,トから通知が来て彼が家を出たことが分かる。「行こう、翔太郎」と肩に置かれた相手の手を取ってぎゅっと握ると事務所を後にした。息子はやはりあの裏路地へと向かっていて早足気味に自分達もそちらへ向かう。先に裏路地についた彼が建物の中へ消えていくのを転送されてきた映像で確認して数分後、自分達も裏路地に辿り着くと相手に目配せしてから仮面をつけ中に入っていき)
…そうだな。二人で一人の探偵がやることはいつも同じだ。俺達で絶対にオークションを止めるぞ
(今から薄暗い闇の中へ進んで行くことを思えば相手がこの手をすり抜けていきそうになった感覚を無意識に思い出していたのかもしれない。いつもよりも真剣味を増した顔と声で気合いを入れれば、相手からは小さな笑みと共にいつも通りだと返事が返ってくる。その言葉で肩に入り過ぎていた力がすとんと抜けた気がした。何処へいこうと二人の探偵の使命は同じだ、そして相手との相乗りならば何処までも一緒で、何処までもいける。顔から余計な緊張が抜けこちらも口角をあげて返事をすればバ.ッ.ト.シ.ョ.ッ,トからの通知が入る。いよいよ幕開けの時間だ。肩に置いていた手が強く握られれば最後の不安さえ溶け落ちて、ハットを手にして被ると相手と連れ立って外へと出た。こちらの読み通り例の息子はあの裏路地へと向かって何も掲げられていない建物へと入っていく。自分達も同じ場所へたどり着けば目配せしたあと同じく青色の仮面を付けて建物の中へと入った。薄暗い廊下を進み角を曲がった先に薄汚れた木のドアとその前に立つスーツの男が見えてくる。男に近づくと『参加証のご提示をお願いします』と丁寧な口調で話しかけられる。袖をまくって生.体.コ.ネ.,ク.タ.を見せてやれば『ありがとうございます』と一礼され男は脇へと退いた。どうやら相手の読みは当たっていたらしい。男に軽く頭を下げてから目の前の扉を開ける。奥には入り口の古ぼけた扉からは想像もつかない広く薄暗い空間が広がっていて)
…適当なところに座ろうか。
(こちらの言葉に硬かった相手の表情が和らぐのを確認すれば安心して事務所を後にする。裏路地に辿り着けばここからはいつ関係者がいるかは分からない。常連やこういう場に慣れている者を装って建物の中に入り進んでいく。やがてドアと傍らに立つスーツ姿の男が見えてきて参加証として相手と共に生.体.コ.ネ.ク.タ.を見せればニッコリと笑って入口へと通される。ひとまず怪しまれることなく潜入に成功したことに密かに安堵しつつも顔には微塵も出さずに中へと入っていく。室内は広くも隣にいる相手の顔がギリギリ見える程度しか明かりが灯されていない。これも運営と参加者の身分を隠すための仕掛けなのだろう。さらに先に進めば前方中央にスポットライトで照らされたステージが用意され、商品を乗せるであろう台が設置してあった。そのステージを囲むように席が用意されていて既に何人もの仮面を付けた客が座って開催を待ち望んでいるようだった。舞台袖や別室に繋がるような扉には見張り役のようなスーツの男が立っていて今からすぐに入り込むというのは難しそうだ。ひとまず場の雰囲気や隙を伺うためにも相手に声をかけ、いつでも動けるように後ろ側廊下側の席を確保してそこに座る。席にはオークションで使うのであろう番号のついた札が置いてあり、それを手に取って観察していると『今日こそ絶対A級メモリ落としてやる』『私は今の計画を進めるためにも洗脳や催眠の能力が欲しいですね』と楽しげに今日の目的物に着いて話す参加者の声が聞こえてきて思わず眉顰め)
っ!あれはおやっさんの……!
(扉を通された先は薄暗いオークション会場が広がっている、誰もが仮面を付けてヒソヒソと話す光景はまさにアングラな光景だ。相手に声をかけられ共に端の席へと座る。何処かのタイミングで裏手へ続く扉をくぐって内情を探りたいところだが今はまだその時ではないだろう。開始の時間まで待っていると周囲からはメモリをどう悪用しようかという話が当たり前のように飛び交っていて静かに拳を握る。こんなにも軽々しく街を泣かせる話をする場所があるなんて許される事ではない。必ずここを潰さなければとさらに決意が強くなったところで舞台上に眩い光がたかれて司会進行の男とアシスタントの女性が拍手の中現れた。ご丁寧にどちらも仮面をつけている。司会進行の男は軽い挨拶を挟んで『本日も豊富なラインナップのメモリを用意しております!』と客を煽るような事を高らかに叫べば、アシスタントの女性がオークション品を載せた台車を押して出てくる。その上に乗っていたものをみて息をのんだ。禍々しい色のメモリの隣にあの始まりの夜におやっさんが使っていたドライバーが並んでいたからだ。自分達のもつドライバーから半身が欠けたようなデザインでおやっさんはメモリひとつで変身を果たしていた。一体あれがなぜあそこにあるのか、あれはおやっさんが使っていたものではないか、一気に様々な思考が頭を巡ると気がつけば前のめりの姿勢になって今にも立ち上がりそうになっていて)
っ、落ち着きたまえ。…あれは鳴.海.荘.吉の物なのかい?
(参加証の時点で予想はしてたがここに集まっているのは己の私欲のためにメモリを悪用しようとする人物ばかりのようで聞こえてくる会話はどれも悪趣味なものばかりだ。メモリの被害を憎む相手にとってはキツイ場所だろうと様子を伺っていると更に強い光が舞台に向けられ進行役と思われる二人が現れる。軽い挨拶もほどほどに今回の出品された商品が台車に乗って運ばれてくる。禍々しい色のメモリが並ぶ中で自分達のものと構造の似たドライバーが乗っているのを見れば目を見開く。加えて隣で聞こえてきた言葉に混乱は増すも今にも立ち上がりそうな勢いの相手の腕を掴んで引き留める。ここで目立って疑われてしまえば潜入した意味がない。だがダ.ブ.ル.ド.ラ.イ.バ.ーから半身が欠けたようなデザインのあれは同じように変身するための物なのか、何故ここにあるのかと疑問は尽きない。商品の紹介で沸く会場を尻目に相手に近づくと小声で確認を取るように問いかけ)
っ、悪い……おやっさんのものかは分からねぇけど、あの夜にあれを使っておやっさんは骸骨みたいな姿に変身して戦ってたんだ。多分俺達のダ.ブ.ル.ド.ラ.イ.バ.ーと似たようなもんだが、変身につかうメモリは一本だった
(あらゆる考えが駆け巡るなかおやっさんの片鱗でもあるドライバーに視線を奪われ思わず駆け出しそうになってしまう。その前に相手に腕を掴まれると我に返って動きを止める。元の位置に戻るように座り直すとこちらも小声であのドライバーについて知る事を話す。おやっさんを失ったあの夜、ここから動くなと言われ足場の下で息を潜めていた時に鉄枠の間から見えた一瞬の光景。しっかりと観察できたわけではないがダ.ブ.ル.ド.ラ.,イ.バ.ーと同じあの赤色のドライバーに一本のメモリを挿しておやっさんは見た事もない姿へと変身し敵を次々になぎ倒していった。おやっさんはその後瓦礫の下に埋もれたことを考えれば、あれがおやっさんの持っていたものとは限らない。しかし間違いなくおやっさんが使っていたドライバーと同じものだった。こちらで情報を共有している間ステージ上ではオークション品の解説が始まっていて司会進行の男がドライバーを手にすると『こちらは少々特殊なお品物、名前をロ.ス.ト.ド,ラ.イ.バ.ー.と言います。とある実験のプロトタイプとして開発されたものでして、メモリは別途お買い上げいただく必要がありますがメモリの力を最大限引き出せます!』と宣伝文句をうたう。さらに強力な力が引き出せるデバイスときき周囲の客は盛り上がりを見せている、きっと高額で取引されることだろう。悪しき人間にあれが渡ればさらにメモリの被害は広がってしまうのは目に見えていて「あれを渡すわけにはいかねぇな」と壇上にあるドライバーを見つめていて)
…なるほど。君の見た物と今の説明が正しければあれは僕たちのドライバーの前に作られた物であり、鳴.海.荘.吉は同型のもので変身していた、という訳だね。…あぁ。だけど注目が集まっている中で手に入れるのは至難の業だ、何か方法を考えなくては
(制止を呼びかければ我に返ったようで最悪の事態は免れる。少し冷静になった相手の説明は初めて聞く内容ではあったがあの時の状況を思い出せば納得のいくようなものだった。その後司会が述べる宣伝文句もダ.ブ.ル.ド.ラ.イ.バーに似た性能だがやはりメモリ一本を使う一人用のものだ。二つの話を踏まえれば二つのドライバーは恐らく出所は一緒だと予想がつく。そして少なくとも同型の物を使って鳴.海.荘.吉は仮.面.ラ.イ.ダ.ーとして変身して戦っていた。それが何故この会場にあるのかという疑問は解決していないが恩人の道具を悪用してこの街を泣かせるのを見過ごすわけにはいかない。相手の言葉に深く頷くがいつもとは違う類の出品に会場は大いに盛り上がっていてこの中で穏便にあのドライバーを手に入れるのはかなり難しいように思える。客はともかく運営関係者は全員メモリなどを持っている物だと仮定すると正面突破するのも考え物だ。口元に手を添えその方法を考え込む間でも舞台上ではオーディションの準備が整っていく。一品目は【Shark】のメモリで『このメモリは鋭い歯と力強い顎で鉄筋だろうと何でも噛みついて切り裂くことで出来る圧倒的力を得たい人にお勧めの商品です』と流暢に宣伝文句が述べられる。その度に感嘆の声があがり注目が集まっているのが分かる。開始価格として50万円が提示されると各地からそれを上回る金額の声があがり値段は段々と跳ねあがっていく。欲しいものを貪欲に求める周囲の熱量に若干飲み込まれつつも良い案が思いつかないまま競りの行く末を眺めていて)
おやっさんが俺達のドライバーの旧型を使ってたってことか……それならまたあいつに助けてもらうか。注目の的になってもらおうぜ
(いつもとは違う出品物に客達が熱狂するなか、『お楽しみは後ほど』という一言と共にメモリ1本を残して他の品は裏手へと引っ込められた。どうやらドライバーは今回のオークションの目玉らしい。メモリを使うという点では生.体.コ,ネ.ク.タ,と変わらなくともあれは自分達のドライバーに繋がるもので、おやっさんが使っていたのと同じものだ。街を泣かせないために使われてきた道具を街を泣かせる奴には譲りたくない。今舞台上に出ているメモリ以外はドライバーを含め裏手にあるはずだ。この組織の内情を探るためにどちらにせよ舞台裏に回ることは必要だろう。だがそこへと続く扉の前にはスーツの男が立っていて当然素直に通してくれる空気ではない。その間Sharkメモリの価格はどんどん吊り上がり札をあげる客の中にはあの息子の姿もあった。どうやら今は彼とその隣の男が価格競争で競り合っているといった状況だ。彼はどうしてもメモリが欲しいのか既にヒートアップ状態でまさに狂気を孕んでいる。それならばその狂気をつついて注目を集めてもらおう。不敵な笑みを浮かべればス.タ.ッ.グ.フ.ォ.ン.をライブモードにして価格を競り合う彼と隣の男の足元へと送り込む。そして息子の足首に体当たりをさせた。低い位置の衝撃に彼は競い合う隣の男が足を蹴ってきたと思ったようで『何をするんだ!』と怒号と共に隣の男の足を蹴る。その後はあっという間だ。蹴った蹴ってないの言い合いが一瞬あった後、意地でもメモリを手に入れたい同士で怒りは一気に頂点へ達しすぐに取っ組み合いの喧嘩が始まる。二人の振り回した腕や足が周りの客にもあたり十分ヒートアップしていた会場では連鎖するように乱闘が始まった。方々から悲鳴が上がるなか慌ててスーツの男達が乱闘を止めようと走っていく。もちろん扉の前に立っていた男もだ。警備が外れたのをみると「今だフィリップ!」と声をかけて裏手へ続く扉へ近づき体を中に滑り込ませて)
そういう事か、あぁ! …中にも関係者がいるみたいだ、気を付けて進もう。
(皆が価格を付けていきその値は上がっていく。段々と参加人数が減っていくが熱狂的に声を上げる者の中にはあの息子の姿があって隣の男と競り合っている。そんな中相手が不敵な笑みを浮かべス.タ.ッ,グ.フ.ォンをライブモードにして飛ばすのを見ると何をしようとしてるか分からず首を傾げる。足首に当たり息子が怒り出して隣の男を蹴り、言い合いの後に取っ組み合いの喧嘩が始まると漸くその意図を把握して感心の声をあげる。客同士の争いなら運営も止めざるを得ない。乱闘を止めようとスーツの男たちがそちらに向かうのを見れば相手の声掛けに応じ、身を屈め目立たないようにしながらも裏手に繋がっているであろう扉の前に移動し素早く中に入る。入った瞬間関係者と鉢合わせということにならず安堵の息を着いているとオークション会場になる前のものであろうこの建物の地図のパネルに気付く。どうやらここから進めば舞台袖に繋がっているようだ。相手に目配せしてゆっくりとそちらの方に歩き出す。少し進むと人の声が聞こえて柱に隠れる。見張りと同じくスーツ姿の男で部下らしい人物に表の騒ぎの報告を受けると盛大に舌打ちをして何やら暴言を吐いているが自分が出ると言って客席の方に出ていった。やはり舞台の周りにも関係者が居るようだ。小声で警戒するよう告げながら更に舞台の方向へ進んでいると奥の方で一旦下げる為かスーツの男数人が台車に押して何処かに向かうのが見え「翔太郎っ、アレ!」と指をさしながら呼びかけ)
あいつが上手く暴れてくれて助かったぜ。あぁ、慎重にいくぞ……あそこに今日のオークション品が集まってるってことか
(会場はあっという間に喧騒に包まれオークションを続けられなくなる。その混乱に乗じて舞台裏へと入りこむと扉の傍にあった地図を頭へ叩き込んだ。少し進んだ先で関係者が騒ぐ声が聞こえる、口汚く叫んでいるが部下に指示を出すあたりあいつがこの場を仕切る人物なのだろう。舞台裏はまさに敵の懐の内だ、警戒するよう言う相手に頷き返して先へと進んでいく。すると相手が廊下の先にオークション品を載せた台を見つけ「あぁ!」と返事をして後を付けていく。しばらくもしないうちにオークション品は部屋へと運び込まれ扉には鍵が掛けられる。鍵を預かった男は一人扉の前に残り、残りの男達が引き返してくるのを見れば息を詰まらせた。このままでは鉢合わせだ、咄嗟に先程覚えた地図を思い出し相手の腕を掴んで少し道を引き返して舞台袖に通じていない通路に入ると柱への陰へ隠れる。まだ先程の騒動が落ち着ききっていないのか男達は足早に舞台の方へ戻っていった。こうなればオークション品を守っているのはあの部屋の鍵を持ち扉の前に立つ男一人だ。真正面から全勢力とぶつかるのはリスクが高すぎる、となればオークション品を回収しつつ勢力を削る隠密行動が適しているだろうか。ひとまずオークション品をかっさらう為にはあの男が邪魔だ「ひとりならどうにかなるかもな」と実力行使にでるべき問うように相手を視線を投げて)
…そのようだね。概ね取引終了までの保管庫といったところだろう。…、仲間を呼ばれる前に片付けるよ、翔太郎。
(台車の後ろをつけていくと一つの部屋に入っていく。他の部屋よりも頑丈そうな扉は大切な商品を守るための場所故無のだろう。男達が出てくると扉には鍵が掛けられて管理人らしい男だけが残る。他の者達が引き返してくるのに狼狽えるも咄嗟に相手に腕を引かれ柱の陰に隠れることで何とかやり過ごすことが出来た。何とか危機は逃れたが逆に考えれば今商品を守っているのはただ一人。絶好のチャンスといえるだろう。相手も同じことを考えていたのか視線が交わり実力行使を持ちかけられるとニヤリと口角を上げる。身を潜めて一人一人闇討ちするとはちょっぴり悪役っぽくもあるがこの裏オーディションではそんな事も言ってられないだろう。下手に暴れられて周りの者に異変に気付かれる前に倒してしまおうと呼びかけると柱に身を潜めたまま近くにあった段ボールを倒して音を立てる。その音に気付いたのか『なんだ…?』と呟いてこちらに近付いてくる足音を息を殺して待つ。自分たちの姿が見える所まで一歩踏み込んだ所で陰なら男に飛び掛かる。男が声を上げそうになれば即座に両手で口を塞ぎ、振りほどこうと暴れるのを何とか押さえ込みながらもトドメを相手に任せて)
そうこなくっちゃな……よし!いい誘導だぜフィリップ
(こちらが実力行使を問えば相手の口角はあがりこちらもついつい同じような悪い顔を浮かべてしまう。全員と一斉にやり合うには無理があるが二対一なら分があるだろう。相手がわざと物音を立て男を誘導すると息を潜めてその時を待つ。手の届く場所へきた瞬間に相手が飛びかかり口元を押さえた。暴れる男の動きを捉えると顎に向かってアッパーを一発ねじ込んでやる。男の顔が上に向いた所でもう一発顎を揺らすよう拳をお見舞いすればノックダウンだ。床に伸びた男を前に二人の連携を讃えるように相手の肩を拳で軽く叩いておいた。男をこのまま放置するのもまずい。周囲に他の人間がいないのを確認すると男を引きずりながら先程の扉の前に戻る。男のポケットから鍵を取り出すと扉をあけ、体を引きずりながら中へと入った。部屋はガランとしていてオークション品だけが置かれている。男を端へと捨て置いてメモリとドライバーへ近づく、これを盗んでやればここを運営する組織にそれなりのダメージを与えることができるだろう。だが次の瞬間、背後で人の足音が聞こえた。外に警備の男が立っていないのを不思議に思ったのか扉がノックされ『そろそろ次の商品持っていくぞ』と声が掛けられる。扉が開いた瞬間、入ってきた男は目を見開いたが声を発する前に口を押さえ部屋の中へと引きずり込んだ。同時に絞め落としてしまおうと首を腕で圧迫するがなかなかしぶとい。暴れる男を締め付けながら音を出させないように必死に体を押さえつけていて)
ナイスコンビネーションだ。 …、心休まるときがないね。メモリは後から破壊するとしてドライバーは回収しよう
(男の動きを押さえている内に相手が二発を撃ち込み気絶させることに成功する。幸い口を押えたおかげか騒ぎにはなっておらず得意げにお互いを褒めながらも男を引きずって奪った鍵で部屋の中に入る。中には先ほど舞台の上で見たメモリやドライバーが並んでいてオーディションへの出品を待っている。このまま回収しようと手を伸ばしかけた所で別の足音が聞こえて思わず身を固める。ノックと声かけに息を潜め、扉が開いた瞬間に相手が男を口を押えて中に引きずり込むとすぐにその扉を閉めた。激しく暴れているせいかなかなか締め落とせないのを見ると以前調べた格闘技の知識を思い出すとこめかみに向かって鋭く一撃を食らわせる。強い衝撃で平衡感覚が無くなった所を相手が締め上げると男の抵抗が徐々に弱まっていきやがて意識を飛ばす。立て続けの出来事に思わず呟きが漏れるが次の品を取りに来たということはモタモタしていれば他の者も駆けつけるだろう。ひとまずここにある物を全て回収しようと近くにあったジェラルミンケースにメモリ類を詰め、ドライバーは相手に任せて部屋を後にする。あとはどう表に帰るかと考えていた最中で運悪くスーツの男に鉢合わせ『何者だ』と関係者ではないことを一瞬で看破される。インカムのようなもので連絡を取る仕草を見ると「逃げるよ」と相手の手を引いて走り出す。だがその先にも連絡を受けてきたのだろう男が数人立ち塞がって進めない。挟み撃ちにされる中、スポットライトなどの整備に使うであろう階段を見つけると腕を引いて二階に駆け上がり)
、なんせ敵の懐に入り込んでるからな……あぁ、ひとまずこれで目的達成…!
(なかなか落ちない男と格闘していると相手が男のこめかみに一発叩き込む。相手が他人に手を出す所はあまり見たことがなく、珍しい光景に一瞬気を取られてしまうも男の力が弱まったのを感じればさらに腕の力を強めて最後には男は意識を失った。先程の男の横に転がすと一息つく。敵側の戦力を少しでも減らせたと思えば儲けものだろうか。まずは第一目的であるオークション品の回収を相手が始めると半身のドライバーを受け取る。あとはここから退散すれば終わりだというところでさらに男が一人入ってきて、再び絞め落とすには距離が足らず仲間に連絡を取られてしまった。その間に相手に腕を引かれて走り出したがあっという間に挟み撃ちにされてしまい退路を失えば近くにあった階段を駆け上がる。照明をメンテナンスするスペースにたどり着くが後ろからはこちらを追いかける足音が迫ってくる。そのまままっすぐ進めば舞台の真上に設置された鉄骨があり、細い鉄骨上をバランスを崩さないよう駆け抜ける。しかし鉄骨の先にも男が現れ再び挟み撃ちにされてしまった。ちらりと下を見やる。舞台上では例の息子がついにSharkメモリを競り落としたのか万雷の拍手が鳴り響いていた。進むのも戻るのも出来ないこの状況、それならば取るべき道は違う方向への移動だ。相手を抱えるように腰へと腕を回すと、追いかけてきた男達にキザったらしく手を降る。そして相手を抱えたまま鉄骨から足を踏み外し下へと落ちる。同時にス.パ.イ.ダ.ー,シ.ョ.ッ.ク.のワイヤーを鉄骨に引っ掛ければ地面に叩きつけられることなく舞台上へ降り立った。客からは突然現れた男二人に驚きの声があがるがそれに構っている暇は無い。「逃げるぞ!」と声をかけるとそのまま走り出そうとして)
これも貰っていくよ。っ、どうやら彼らもなりふり構ってられないようだ。
(階段を駆け上がると中央部は吹き抜けのような形になっていて機材の置いてある場所以外は鉄骨が通っているだけの場所に辿り着く。背後から足音が迫っていれば止まるわけにもいかず鉄骨の上を進んでいくも渡った先の階段からもスーツ姿の男が上がってきて再び挟み撃ちだ。密かに冷や汗をかく中で相手に腕を回されるとその意図を察して離れないように抱き着く。相手と重力に任せて足を踏み外し落ちていく二人の身体をワイヤーで制御して華麗に舞台へと降り立った。観客の注目を集める中最後の一つであるSharkメモリを台座から取り外して奪えばその事を宣言しながらも相手と同じ方向に走っていく。オークションの商品を奪い取られたことに気づいた客が怒号や文句をあげているのが聞こえてくる中でちらり背後を見ればマ.ス.カ.レ.イ.ド・ド.ーパ.ントに変化した数人が迫ってきている。その中には拳銃のような物を構えている者もいて撃ち込まれる弾を何とか避け必死に逃けつつも呟きを零す。ド.ー.パ..ン.トである彼らと生身では圧倒的に分が悪い。この身体が荷物になるのも考慮して二人で一人の姿になるべきか悩むと「僕の身体を担いで逃げられそうかい?」と相棒の判断に任せるように問いかけ)
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